2014年10月24日

[産経新聞] 【主張】中越地震10年 孤立から人命守る対策を (2014年10月24日)

68人が犠牲になった新潟県中越地震から、10年が過ぎた。

中越地震はマグニチュード(M)6・8の内陸直下型地震で、震度計による観測で初めて震度7が記録された。M7級の大規模地震は、30年以内の発生確率が70%とされる首都直下地震に限らず、日本列島のどこでも起こり得る。国や自治体、国民が一体となって地震防災に取り組む覚悟を新たにしたい。

中山間地を襲った中越地震では、多くの集落が地滑りや土砂崩れによって孤立状態に陥った。

内閣府によると、全国の中山間地や海岸沿いの集落の3割にあたる約1万9千の集落は、地震、津波などの災害時に孤立する可能性があるという。5年前の調査とほぼ横ばいの結果であり、アクセス道路の確保など、インフラ整備による対応が進まない現状を浮き彫りにしている。

自治体や住民にとっては、孤立の期間を短くし、その間の安全を確保することが重要だ。孤立したことを伝えるための通信手段は確保できているか。救援到着までの間、住民の命を守れる食料や医薬品の備蓄は十分か。自治体や地域ごとに検証し、災害への備えの強化を進めてもらいたい。

中越地震の犠牲者のうち、建物の倒壊や土砂崩れで亡くなった直接死は16人だった。これに対し、避難生活のストレスや過労、車中に寝泊まりした被災者のエコノミークラス症候群などが原因となった関連死は52人にのぼる。

孤立の恐れがある集落は、過疎地域でもある。住民の多くが高齢者であることも考慮して避難所の環境を整備することが必要だ。

それでも、災害時に不自由のない生活は望めない。お年寄りをはじめ災害弱者を安全な場所に移送できる連絡・搬送手段の確保が極めて重要な課題である。

災害はその種類や規模、時間や場所によって被害の様相が違ったものになる。中越地震では3千棟以上の住家が全壊したが、地震の規模のわりには家屋倒壊による死者は少なかった。

被災地が世界でも有数の豪雪地帯であることが要因の一つに挙げられる。雪に押しつぶされない頑丈な家屋が、最大震度7の激しい揺れから人命を守ったのだ。

地震防災で最優先すべき課題が耐震化であることも、中越地震の教訓として再確認したい。
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[東京新聞] カナダ銃撃戦 テロへの備え万全に (2014年10月24日)

イスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」への空爆参加を決めたカナダで、男が兵士を射殺、連邦議会議事堂で銃撃戦となるテロが起きた。関係国に波及する恐れもある。備えは万全にしたい。

犯人は首都オタワの戦没者慰霊碑の警備をしていた兵士一人を射殺して逃走し議事堂内に侵入、警官らと銃撃戦の末、射殺された。ハーパー首相は「テロリストによる攻撃」とした。犯人はカナダ国籍の三十二歳とみられ、イスラム教に改宗、海外渡航を企て、カナダ当局にパスポートを没収されたと報じられている。

カナダではこの二日前にも、別の男が車で兵士をひき殺し、射殺されている。この犯人もイスラム教に改宗、過激思想に走り、テロを企てたとして逮捕されたことがあると伝えられている。

カナダは「イスラム国」を抑え込むための「有志連合」に発足当初から参加、ハーパー首相は今月三日、米国主導の空爆にも参加する方針を表明した。今回の議事堂テロは「イスラム国」支持者による犯行だった可能性もある。

同じく有志連合参加国であるオーストラリアでは一カ月前、「イスラム国」支持者とみられる男が警官二人をナイフで刺し、射殺された。「イスラム国」は、有志連合参加国の市民らを殺害するよう、支持者らに呼び掛ける声明を出している。呼応するテロが続く恐れがある。

日本も難民への人道支援などで米国の「イスラム国」対策を支持。菅義偉官房長官は記者会見でテロが起きる可能性について「具体的な情報には接していない」と述べた。しかし、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、日米防衛指針見直しで米軍支援態勢強化を目指すなどの日本の動きは、「イスラム国」支持者らを刺激することにもつながりかねない。テロへの警戒と備えは怠れない。

「イスラム国」の外国人戦闘員は八十カ国以上から一万五千人以上に上るとされる。増加の背景には、母国での疎外感などが指摘されている。カナダの銃撃犯は薬物使用が報じられるなど、自暴自棄に陥っての犯行も疑われる。「イスラム国」に加わろうとして今月、警視庁公安部の事情聴取を受けた北海道大生(26)は、就職活動がうまくいかず、閉塞(へいそく)感に陥っていたとも伝えられている。若者たちの希望を失わせ孤立させてしまう社会であってはならないし、「イスラム国」の挑発に走らせてしまうことは避けたい。
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[産経新聞] 【主張】カナダ議会銃撃 テロの拡散に警戒強めよ (2014年10月24日)

イスラム過激思想に染まった男が、カナダの首都オタワの戦没者慰霊碑を警護中の兵士1人を撃ち殺し、さらに連邦議会の議事堂で銃撃し、警官隊に射殺された。

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」への空爆参加を承認した議会などを狙ったテロとみられる。

同組織掃討に直接、間接に加わる国々は危機意識を新たに、「内なるテロ」への警戒を強めなければならない。

容疑者は最近イスラム教に改宗したカナダ人で、当局は、この男がイラクとシリアで勢力を拡大させる「イスラム国」に合流する恐れがあるとして出国を阻止していた。カナダでは、この事件の2日前にも、東部モントリオール近郊の軍施設の近くで、カナダ人の男が兵士2人のうち1人を車でひき殺し、射殺されている。

この男も最近イスラム教に改宗し、ネット上で有志国連合によるイスラム国空爆を激しく非難していたという。

いずれのテロも、兵士や戦没者慰霊碑、連邦議会という、イスラム国に敵対するものを狙った点で共通している。

事件発生時、議事堂内にいて間一髪で避難した同国のハーパー首相は、「カナダはひるまず、テロ組織との戦いを倍加させる」と表明した。

テロは、市民の安全と社会秩序に対する深刻な脅威であり、決して許されない行為である。首相の決意を支持したい。

イスラム国に関連しては、今年5月、イスラム国の前身の過激派組織にシリアで参戦していたフランス人が、ベルギーのユダヤ博物館で4人を殺害した。

オーストラリアでは、イスラム国支援者らが市民を刃物で殺害するテロを企て、15人が逮捕・拘束される事件も起きている。

テロの拡散は、ネット社会を通じた情報のグローバル化によっても加速している。

日本でも、戦闘員としてイスラム国への参加を企てた26歳の北海道大学生(休学中)らが、警視庁公安部の事情聴取を受けた。

日本は有志国を支持し、人道支援を申し出ている。

イスラム国の残虐行為を逃れた避難民への支援が中心だが、テロの拡散を防ぐために国際的な協調体制を強化しつつ、国内の警戒も強める必要がある。
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[東京新聞] 「妊娠降格」訴訟 働く女性を守らねば (2014年10月24日)

妊娠で降格人事を受けた女性の裁判だった。最高裁は男女雇用機会均等法の精神を忠実にくみ取る判断をした。働く女性が安心して出産できる社会が実現できないと、輝きなど生まれない。

この訴訟は広島市の病院勤務の理学療法士が起こした。女性は過去に流産の経験があった。だから、妊娠したとき、身体的な負担が軽い業務への配置転換を望んだ。確かに部署が替わったものの、それまで付いていた「副主任」の肩書がなくなってしまった。

副主任の手当は月額九千五百円あったが、それも失った。上司に抗議したが、「おなかの子のことを一番に考えて」と言われ、そのまま産休と育休をとった。復帰先には既に別の副主任がいて、肩書が戻ることはなかった。だから、この降格人事は不当だとして、女性は賠償を求めたわけだ。

男女雇用均等法はさまざまな不利益な取り扱いを禁止している。妊娠や出産したことを理由にして、解雇することはもちろん許されない。退職の強要や降格、減給も禁止事項だ。不利益となる配置の変更も禁じている。

だが、今回のケースは一審、二審とも女性が敗訴した。「職位の任免は人事権の行使として、使用者の広範な裁量に委ねられている」と、事業主側の裁量権を重くみる論法を使ったのだ。

最高裁は異なった。まず、不利益な取り扱い禁止の規定について、「事業主による措置を禁止する強行規定」と解した。例外は本人が自由な意思で降格を承諾した場合などに限定した。

かみ砕いて言えば、妊娠・出産では特別な事情がない限り、降格人事はできない−、それを確認したといえよう。均等法の精神に忠実な姿勢だ。確かに事業主の裁量が幅を利かせれば、均等法は“空文化”しかねない。

この考え方は女性の労働環境の現状に一石を投ずるだろう。いわゆる「マタニティーハラスメント」が横行する背景があるからだ。全国の都道府県労働局への相談総件数は、ここ数年三千件超というありさまなのだ。

勤め先から不当な仕打ちを受け、つらく悔しい思いをしているに違いない。泣き寝入りしている女性も多いのではないだろうか。

均等法が求めるのは、子どもを産み、育てながら、仕事も続けられる世界である。もっと安心して、育児ができる職場環境づくりこそ求められよう。
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[毎日新聞] 社説:妊娠で降格 マタハラを防ぐ社会に (2014年10月24日)

妊娠をきっかけにした配置転換で女性労働者を降格させた事業者の姿勢を、最高裁が厳しく批判した。広島市の理学療法士の女性が、勤務先の病院を訴えていた裁判だ。

男女雇用機会均等法は、妊娠や出産を理由とした女性に対する不利益な扱いを禁じている。女性は管理職である副主任だったが、妊娠を理由とした異動の後、ポストを外された。訴訟では病院の対応が問われた。

1、2審判決は「降格は女性の同意を得ていた」という病院の主張を認めたが、最高裁は「妊娠での降格は原則として違法」と初めて認定し、広島高裁に審理を差し戻した。

同法は、女性労働者の健康確保や、母性尊重と職業生活の充実を理念とする。最高裁はその実現に重きをおく考え方も判決の中で示した。女性が活躍できる社会の実現を目指す以上、妥当な判断だ。子供を産み育てながら働く女性を、企業や働く人全体で支える契機としたい。

女性は、いったんは渋々降格を了解していた。だが、判決は、降格などの不利益処分に際しては、「本人の承諾」という外形だけでなく、処分の影響について本人が事業者から適切な説明を受け十分に理解して決めたか否かが肝心だと指摘した。

女性の場合、管理職の地位と手当を失うという重大な影響を受けるのに、育児休業から職場復帰する際に副主任に戻る可能性などについて説明を受けた形跡がなかった。最高裁はそこを重視し、女性が降格を受け入れたとは言えないとした。

近年、「マタニティーハラスメント(マタハラ)」という言葉が使われる。働く女性が妊娠や出産を理由に不利益を受けたり、職場で肉体的、精神的な嫌がらせをされたりすることを指す。意に反した降格もマタハラだと女性は主張していた。

連合が5月、働く女性634人を対象に行った調査では、4人に1人が「マタハラ被害を受けた」「周囲に被害者がいる」と回答した。特に非正規労働者が被害を受けやすい。

2005年に次世代育成支援対策推進法が施行され、11年からは従業員101人以上の企業は従業員の仕事と子育ての両立を図る施策の策定と、労働局への届け出が義務づけられた。育休の取得率など個別目標も設定されるため、実際に育休を取る従業員が増えたとされる。一方で、厳しい競争環境の中で職場にゆとりがなく、カバー体制などが不十分だ。マタハラを生む背景として考えられる。

女性の登用を阻む要因として、時間外労働や、進まない在宅勤務制度が挙げられるが、マタハラにも通じる。男女を問わず働き方を変える仕組みを企業が整備することが、女性への差別をなくすことにつながる。

2014年10月24日 02時33分
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[毎日新聞] 社説:中越地震10年 孤立集落対策を急げ (2014年10月24日)

中越地震から10年がたった。新潟県の中山間地域を最大震度7の揺れが襲い、死者は68人に上った。新幹線が国内で初めて脱線した事故としても記憶に残る。

中越地震後も、福岡県西方沖地震や能登半島地震など地方都市が被災する地震が相次いだ。さらに、東日本大震災以後、地震活動が活発化し、全国で地震の発生可能性が高まっていると専門家は警告する。

南海トラフが震源域の巨大地震や首都直下地震に目が向けられがちだが、地方で過疎地が被害に遭った場合の備えは十分だろうか。日本の国土の7割は中山間地だ。中越地震では孤立集落が多数生まれた。地震から10年の節目に、その教訓を行政や地域全体で思い起こしてほしい。

地震発生後、道路が寸断されたうえ電話など通信手段が途絶え、小千谷市や旧山古志村(現長岡市)で61集落の2000世帯近くが孤立した。旧山古志村は、全村民約2100人がヘリコプターで避難した。

集落が孤立した場合、倒壊した家屋から避難する場所や、救援が来るまでの間の食料と飲料水、医薬品の確保が命綱となる。

中越地震発生時は、避難場所が不足し、長い間車中泊する人が相次いだ。その結果、狭い場所で長時間同じ姿勢をとることでできた血の塊が血管を詰まらせ、呼吸困難などを起こすエコノミークラス症候群になり亡くなる人がいた。また、食料不足の地域も少なくなかった。その反省から、多くの被災自治体で備蓄が進む。高齢者や幼児ら要援護者用の物資の備蓄も積極的に行われている。

通信手段の確保も非常時には欠かせない。中越地震の際に多くの集落と連絡が取れなくなり、けが人の搬送や物資の輸送に支障が出た。被災自治体は、災害時に威力を発揮する衛星携帯電話の普及を今は進める。

だが、全国に目を転じた時、備蓄や通信手段の確保は芳しくない。内閣府が今年実施した全国調査では、地震など災害時に孤立する可能性のある集落は全国に1万7000以上に上る。7割近くで避難施設があるが、水や食料の備蓄は1割に満たない。何らかの情報通信手段の確保をしている集落も5割程度だ。

自治体は、命に直結するところから優先的に備えを進めたい。政府も補助など財政的な支援を積極的に検討すべきだ。ヘリポート整備など、孤立化した時、被害を防ぐ手立ても尽くしてもらいたい。

中越地震の被災地はもともと過疎化が進んでおり、集落機能の衰退がみられる。一方で、被災地の外の人たちと結びつきが強まり、観光を含めた新たな産業の芽が生まれつつある。着実な復興を期待したい。

2014年10月24日 02時30分
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[読売新聞] 拉致訪朝団 交渉相手のペースにはまるな (2014年10月24日)

日本人拉致問題で、北朝鮮に主導権を握られることがないよう、政府は厳しい姿勢で交渉に臨まねばならない。

政府は27?30日、外務省の伊原純一アジア大洋州局長が率いる代表団を平壌に派遣する。拉致被害者などに関する北朝鮮の特別調査委員会の幹部らと接触し、進捗(しんちょく)状況を聴取する。

被害者の家族会は「調査に日本が巻き込まれ、結果に責任を持たされる」として、派遣の見合わせを求めていた。北朝鮮が繰り返してきた不誠実な対応を踏まえれば、その心情はもっともだ。

しかし、北朝鮮から譲歩を引き出し、具体的な成果を上げるには、圧力をかけつつ、交渉と対話を重ねるしか選択肢はない。

安倍首相は、派遣決定について「今後調査ができなくなるリスクを考えた」と語った。派遣しない場合、日朝協議の扉が閉ざされかねないとの懸念があるのだろう。首相の決断は理解できる。

宋日昊・日朝交渉担当大使は、調査に関する権限はなく、限定的な情報しか持っていない。権力中枢に近いとされる調査委幹部と接触する意味は小さくあるまい。

大切なのは、情報を小出しにし、より多くの見返りを狙う北朝鮮の交渉ペースに巻き込まれないことだ。調査の責任者を直接問いただす機会を最大限活用し、調査の加速につなげたい。

調査委は、国内全機関を調査する権限を付与されているという。それなのに、「夏の終わりから秋の初め」としていた第1回調査報告をなぜ先送りしたのか。調査手法や態勢に問題はないか。疑問点を突きつける必要がある。

首相は、訪朝団の目的について「拉致問題の解決が最優先であると伝えることだ」と強調した。

調査対象は、未帰国の拉致被害者12人や拉致の可能性のある特定失踪者のほか、日本人遺骨問題などを含む。拉致問題を後回しにしないよう迫ることが重要だ。

首相が掲げる「行動対行動」の原則に基づき、拉致問題について具体的な進展がない限り、北朝鮮に対する制裁緩和や人道支援は行わない。そのことを、北朝鮮に理解させねばなるまい。

北朝鮮は今月、政権ナンバー2らを韓国に派遣した。拘束していた米国人も約6か月ぶりに解放した。中国との関係悪化を踏まえ、孤立状態からの脱却を目指す動きだ、との見方が出ている。

日本は、米韓と緊密に情報交換し、北朝鮮の出方を見極めつつ、交渉することが欠かせない。
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[読売新聞] 「マタハラ」判決 事業者に意識改革迫る最高裁 (2014年10月24日)

妊娠や出産をした女性に嫌がらせをしたり、退職を迫ったりする。「マタニティー・ハラスメント」の抑止に向け、事業者に意識改革を迫る司法判断である。

最高裁が「マタハラ」を巡る初の判断を示した。

広島市の女性が、妊娠後の異動先で管理職を解かれたのは男女雇用機会均等法に違反するとして、勤めていた病院側に損害賠償を求めた裁判だ。女性が敗訴した2審判決を破棄し、審理を広島高裁に差し戻した。

妊娠した女性が自由な意思に基づいて同意するか、円滑な業務運営や人員の適正配置の観点から、やむを得ない場合を除き、降格などの措置は均等法違反になる。最高裁は、そう判断した。

「今回の降格は本人の意向に反するものだった」とも認定し、特段の事情の有無について、審理を尽くすよう高裁に求めた。

均等法はそもそも、妊娠・出産を理由に、職場で女性に不利益な処遇をすることを禁じている。最高裁が、働く女性が安心して出産できるようにする法の趣旨を重視したのは、当然である。

原告の女性は、病院の副主任として勤務し、妊娠すると、負担の軽い職場への異動を希望した。ところが、異動先で副主任を解かれ、育児休業後の部署でも副主任に復帰できなかった。

妊娠を契機に降格させられる事態が許されれば、女性は子供を産むことに二の足を踏みかねない。すべての事業者が最高裁判決を重く受け止めるべきだろう。

「マタハラ」被害を訴える女性は増加傾向にある。

「1年ごとの契約更新を繰り返して働いてきたが、妊娠を報告したら、次回の更新はないと言われた」「育児休業から復帰する際、パートになるよう命じられた」

全国の労働局には、こうした相談が相次いでいる。2013年度には2000件を超えた。

事業者側が、均等法の内容を十分に理解していないことが背景にあるのだろう。

上司や同僚から「周囲に迷惑がかかる」といった言葉を浴びせられるケースも多い。連合の調査では、妊娠経験のある働く女性の26%が、暴言を含めた「マタハラ」を受けたことがあるという。

政府は、均等法などのルールや相談窓口の周知に努める必要がある。最高裁判決を機に、事業者にも、社員の啓発や、産休や育休を見越した人員配置などを進めることが求められる。
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[朝日新聞] 大学進学率―地域格差を見つめよ (2014年10月24日)

高校生の大学進学率の差が、都市と地方で広がっている。

朝日新聞の計算によると、最上位の東京(72・5%)と最下位の鹿児島(32・1%)の差が40ポイントあった。20年前とくらべると倍になっている。

これでは住む場所の違いで進路が狭まりかねない。

大学に進まない選択は、もちろんあってよい。だが、行きたくても行けない生徒が多い現実は問題だ。能力や意欲のある子が進学をあきらめるのは、本人だけでなく社会にとってもマイナスとなる。

文部科学省はこの地域間格差を政策課題ととらえるべきだ。各都道府県で国公私立別や専門分野別の進学率を世帯年収の層ごとに調べ、分析してほしい。

進学率はこの間、どの都道府県も伸びてきたが、特に大都市圏が著しい。国が02年、都市での大学増設の抑制方針を撤廃し、大学が集中した。もともと大学が多かったが、さらに通いやすくなった。

地方はどうか。大学に進みたくても数や定員が少ない。都市の大学に行くには、下宿代など親の負担が重くなる。保護者の収入が下がる折から難しい。

そこで重要なのが、地元の国立大だ。戦後、教育の機会均等を実現するために「1県1大学」以上の原則でつくられた。だが、その授業料は、入学金と合わせると82万円と30年前の倍以上まで上昇している。

最後の頼みの綱は奨学金だが、全体の9割の額を占める日本学生支援機構の奨学金は、すべてローンだ。しかも利子つきの枠が7割近くを占める。返さなくてすむ給付型はない。返せなくなると延滞金もかかる。

そもそも都市部の方が親の学歴が高く、年収も多い。地方の生徒はいくつものハンディを負っているのだ。

ことは教育にとどまらない。

大学教育を受けるのに地方が不利となると、子どもを持つ家庭や、これから産もうとする若年層が流出する恐れが高い。地方の人口はますます減る結果となるだろう。

政府の教育再生実行会議は、「地方創生のエンジン」となる教育のあり方や、これからの教育財政の方向の議論を始めた。

地元の国立大が豊かでない家庭の子に門戸を開き、地域の人材を育てる役割を持つことに改めて目を向けてもらいたい。奨学金の充実は言うまでもない。

教育は、努力次第で誰もがチャンスを得られる「格差是正装置」だったはずだが、「格差拡大装置」になっている。この現状への処方箋(せん)を描いてほしい。
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[朝日新聞] 降格違法判決―妊娠を不利益にしない (2014年10月24日)

妊娠を理由に降格させることは、よほどの事情がない限り、認められない。

最高裁がそう判断した。

広島市内の病院に勤める理学療法士の女性は、就職後10年で管理職の副主任になった。08年、妊娠がわかって負担の軽い業務に変えてもらえるよう願い出たところ、異動後に副主任の役職を外された。

これまでの努力が無に帰したと感じた。月9500円の副主任手当を失ったことも家計には痛手だった。

男女雇用機会均等法は、妊娠・出産を理由とする不利益な取り扱いを禁止している。

最高裁は、本人の意に反して、妊娠を理由にした降格が許されるのは、雇用主がやむをえない事情を説明できる場合に限定した。納得できる判断だ。

しかし現実はどうだろう。妊娠を報告したら、上司から退職を迫られた、派遣先に契約更新はないと告げられた、夜勤など業務の負担を軽くする配慮が全くない、といった経験を耳にすることがあまりに多い。

「マタニティー・ハラスメント」という言葉が定着し、同様の問題に直面した人たちのグループもできている。

厚生労働省によると、都道府県労働局に昨年度、妊娠・出産に伴う雇用主による不利益な取り扱いや健康管理をめぐる相談が3千件以上寄せられた。

これも氷山の一角で、不本意ながら受け入れているのが多数ではないか。

子どもを産み、育てながら働き続ける。多くの先進国で当たり前のことが、日本では難しい状態が続いてきた。

政府は女性の活躍推進を掲げているが、足元にあるこうした現実をまずしっかり見すえてほしい。問題ある雇用主への指導など、関与を強めるべきだ。

裁判で病院側は、ほかの女性職員は役職を外されても子育てが落ち着いてから再び役職につけるよう努力している、と降格を正当化した。

女性は妊娠・出産のたびキャリアをリセットしてやり直すものだ、という発想だ。雇用する側の本音かもしれない。だが、母性を保護し、仕事も充実させるという均等法の理念からは、およそ逸脱していた。

最高裁が厳格な基準を示した以上、各企業は自らの姿勢を問い直してみるべきだろう。

妊娠中や出産後にどう働くかは、職場の理解や協力によるところが大きい。カバーする負担が一部の人に集中して別の無理をうむことがない、職場環境の工夫も不可欠である。
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