2014年10月22日

[東京新聞] 拉致調査で訪朝 情報確認を最優先に (2014年10月22日)

北朝鮮による拉致被害者らの再調査について、政府は月内にも代表団を派遣する。北朝鮮の調査責任者と会い進捗(しんちょく)状況をただすが、拉致解決につながる情報が得られるか不透明で、リスクもある。

訪朝団は外務省の伊原純一アジア大洋州局長を代表に数日間の滞在を予定し、特別調査委員会の徐大河委員長らとの会談を求める。

日朝協議はこれまで第三国で行われてきたが、北朝鮮は九月末、「調査はまだ初期段階」と伝え、状況を知りたければ訪朝して特別調査委から直接聞くよう提案した。

拉致被害者家族会には訪朝団の派遣を「拙速だ」との慎重論が多く、飯塚繁雄代表は「確たる成果が得られないまま、北朝鮮側から難題を突きつけられるのではないか」と不信感を募らせた。

最終的には安倍晋三首相が決断した。派遣を見送れば、ようやく開いた対話の扉がまた閉じてしまうと懸念したからだ。調査委を取り仕切る国家安全保衛部は金正恩第一書記直属の機関だ。拉致問題こそ日本側の最重要課題であることを、金第一書記に正確に伝えたいという狙いもあった。

待っていても状況が好転する見通しがないのなら、訪朝団派遣はやむを得ない選択だったといえよう。一方で相手の懐に飛び込むのは、危うさを伴う。

北朝鮮側は拉致被害者の調査には言葉を濁したまま、代わりに戦後、朝鮮人の配偶者とともに渡航した日本人妻の消息や、終戦直後に北朝鮮で死亡した日本人の遺骨収集を取り上げる可能性がある。経済制裁の追加緩和をまず実施せよと要求するかもしれない。

予想外の対応をする恐れもある。二〇〇四年、政府代表団が訪朝したときは、横田めぐみさんのものだという遺骨を渡されたが、日本での鑑定で別人のDNAが検出された経緯がある。

今回の協議で代表団は、北朝鮮が提示する情報の内容確認を最優先すべきだ。仮に、拉致に関する新たな情報が示されても、交渉を急がず、帰国後に十分検証して真偽を判断した方がよい。

金正恩体制の外交姿勢はまだ不明な部分が多い。今月初め、高官三人が電撃的に韓国を訪問し関係改善を呼び掛けたが、その後は好戦的な言動を繰り返している。

日朝間でも北朝鮮が一方的に主張する可能性がある。日本側は調査内容を厳しく追及しながら、しかも決裂は避けるという難しい協議を迫られる。
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[産経新聞] 【主張】暴力の低年齢化 家庭のしつけが問われる (2014年10月22日)

小学生の暴力行為やいじめが文部科学省の調査で過去最多となった。暴力の低年齢化という心配が統計にも表れた。

どう対応し、防いでいくか。学校の指導はもちろん、家庭も改めてその責任を自覚し、教育を進めてもらいたい。

毎年、全国の小中高校などで把握された暴力行為やいじめ、不登校について文科省がまとめている。

暴力行為は、児童生徒同士や教師に対する暴力、器物損壊を含む。平成25年度は小中高校合わせて約6万件に上る。高校は前年度より減ったが、小学校は増えて初めて1万件を超えた。

小学生が教師の胸ぐらをつかむなど、以前はあまりなかった例もみられるという。学校にナイフを持ち込み、同級生に突き付ける事件も起きている。

いじめ認知件数も小中高校などで約18万6千件と依然多い。23年に大津市で起きた中学生の自殺事件を教訓に対策が取られ、中高校では減少したが、小学校は増加して約11万9千件あった。

普段おとなしい子が突然暴れるなど、学校での生徒指導が難しくなっているといわれる。いじめ問題ではスマートフォンを持つ小学生も増え、ネット上など教師が把握しにくい所で起きるいじめが目立ってきた。

学校と家庭が連携し、日頃から子供たちの変化に気をつけ、問題があれば毅然(きぜん)としてしつけや指導を行う必要がある。親と教師の教育力が一層問われている。

家庭の役割の重要性は変わらないのに、家庭の教育力低下が指摘されて久しい。家庭でのしつけを棚に上げ、教師から子供がしかられたことに文句をいう親も少なくない。学校と連携する以前の問題といえないか。

専門家からは、幼い頃からしかられた経験のない子は耐性が低く、ささいなことで暴力に走る例が指摘されている。教育委員会のアンケートでは、基本的な生活習慣が身につかず、不規則な生活が不登校に結びつくケースが増えていることも分かった。

ほめるときはほめ、ダメなことはきちんとしかる。長時間、ゲームをする不規則な生活を改め、遊びを通して友達との豊かな関係も育んでほしい。大好きなお父さん、お母さんから、いじめや暴力は絶対に許されないと教われば、いじめをする子には育たない。
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[産経新聞] 【主張】拉致調査で訪朝 不調なら席を立つ覚悟で (2014年10月22日)

北朝鮮による拉致被害者の再調査をめぐり、政府は担当者を平壌に派遣することを決めた。

拉致被害者の家族会はこの段階での訪朝は北朝鮮を利する恐れがあるとして「待つべきだ」と文書で要請していた。産経新聞も同様の理由で「受け入れられる話ではない」と主張してきた。

それでも行くと決めたのであれば、相当の覚悟が必要だ。拉致被害者の安否確認、全員帰国が最優先であるという日本の立場を譲らず、北朝鮮側があいまいな対応を変えないようなら、席を立つことがあってもいい。

制裁の再強化も胸に、強い態度で交渉に臨むべきだ。

そもそもこの訪朝は北朝鮮側が言い出したことだ。7月の日朝政府間協議で再調査の初回報告の時期を「夏の終わりから秋の初め」としながら、「調査はまだ初期段階にある」と先延ばしにし、「詳しく聞きたければ平壌にくればいい」と言い出したのだ。

菅義偉官房長官は9月、「拉致された方について、北朝鮮当局は全て把握していると思う」と語った。拉致被害者についての再調査が初期段階にあるというのは、到底、信じ難い。

一方で北朝鮮側には、日本人遺骨問題について説明する準備があるとされる。終戦後に海を渡った日本人妻の調査も進められているようだ。これらを実績として、制裁解除などの要求を突きつけてくる可能性もある。

安倍晋三首相は臨時国会の所信表明演説で北朝鮮の再調査について「全ての拉致被害者の帰国という具体的な成果につながるよう『対話と圧力』『行動対行動』の原則を貫く」と述べた。

「行動」のボールは北朝鮮側のコートにある。拉致被害者の帰国に向けた具体的進展以外にはあり得ないことを、北朝鮮側に心底分からせる必要がある。

拉致問題とは、北朝鮮という国家による非道な誘拐事件であることを忘れてはならない。

政府の方針を受けて、横田めぐみさんの母、早紀江さんは「日本人がさらわれて、生きているか死んでいるか分からない状態が続いていること自体がおかしいし、許すことはできない。交渉の場に厳しい態度で臨んでほしい」と話した。付け加える言葉はない。

この母を失望させることは、絶対に許されない。
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[東京新聞] 再生エネ改革 送電網さえ整備すれば (2014年10月22日)

政府の再生可能エネルギー買い取り制度改革は、ブレーキとしか思えない。3・11からの復興事業も含め、せっかく芽生えた小規模事業者のはしごを外してはならない。日本の未来の危機である。

本当に育てるつもりがあるのだろうか。政府は太陽光発電の買い取りを抑える方向で、制度の見直しに入るという。

固定価格買い取り制度(FIT)は、風力や太陽光、地熱などでつくった電力を、導入のための助成金を上乗せした高い価格で一定期間、全量買い取ることを電力会社に義務付けた。助成金は電気代に賦課される。

世界中で盛んだが、日本では一昨年から始めたばかりの制度である。なぜ、もう早々と見直すことになったのか。

太陽光発電の買い取り申請が増えすぎて、九州電力など買い取り側の大手電力五社が、電力の安定供給に支障を来すと悲鳴を上げたからである。

日本では水力を除く再エネの割合は、2%程度にしかなっていない。設備が増えて発電能力が向上しても、その電力が、送電網を通じて家庭や事業所などへ届かなければ、普及したとは言い難い。加速を緩める時期ではない。

再生エネ電力が約三割を占めるドイツでは、FITの本格導入以来十五年目の今年八月から、固定価格による買い取りの対象を少しずつ減らしていくことにした。

電力事業者は、再エネ電力を市場へ売りに出し、売り上げに助成金が上積みされる。

FITが著しい成果を挙げてスタートダッシュの時期を終えたと判断し、後押しの仕方を変えたのだ。日本とは事情が全く違う。

悲鳴を上げているのは、融通が利かない送電網だ。太陽光発電が盛んな九州の余剰分を、他の電力会社に回せないのはなぜなのか。夏場の不足分などは、補い合えているではないか。

再生エネ普及にまず必要なのは、発電事業と送電事業の完全分離、そして大小の事業者が、さまざまな資源を使ってつくった電気を自在にやりとりできる、柔軟な送電網の整備である。ブレーキでなくアクセルをしっかり踏むべきだ。

米経済誌フォーチュン誌によると、収入の多い全米上位百社の企業のうち六割が再生可能エネルギーの導入目標、または温室効果ガスの削減目標を掲げ、大幅なコスト削減を果たしている。

そういう時代なのである。
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[毎日新聞] 社説:介護報酬改定 人材確保を最優先に (2014年10月22日)

来年度の介護報酬の改定に向けた議論が始まった。介護サービスを提供する事業所側は報酬アップを求めるが、逆に財務省は「6%カット」を提案した。職員の報酬を引き上げる財源を確保するため、内部留保に回っている分の報酬を引き下げる必要があるというのだ。

最も人口が多い年齢層である団塊世代が75歳を超える2025年ごろになると、介護が必要な人が爆発的に増える。限られた財源の中で介護サービスの拡充と人材の確保をどう実現するかに、知恵をしぼらなければならない。

介護報酬は事業者に支払われる介護サービスの公定価格で、3年に1度改定される。14年度の介護費用は総額約10兆円だ。これが25年度には倍以上の21兆円になると見込まれ、財務省は予算の膨張に歯止めを掛けたがっている。一方、現在約150万人いる介護職員を25年には250万人にまで増やさないと、団塊世代の介護需要に追い付かないとされている。人手不足の主な理由の一つは、介護職員の給与水準の低さだ。

介護現場で働く人の平均給与は月21万円台で、全産業の平均額約33万円とは落差がある。看護師約32万円や栄養士約23万円と比べても低い。時間に縛られない働き方を希望して非正規職員にとどまる人が多いのも事実だが、正職員として家庭を持った後も働き続けられるようにすべきだろう。

とかく問題視されるのが、非課税の社会福祉法人の経営が多い特別養護老人ホームだ。

利益率8.7%で、中小企業の平均2.2%より高く、内部留保は平均3億円を超えるとの調査結果もある。将来の増改築のために内部留保は必要などと経営者側は主張するが、社会福祉法人向けには低利の融資制度が各種用意されている。内部留保をもっと現場職員の賃上げに回すべきだとの指摘はもっともだ。

一方、24時間対応の定期巡回訪問介護サービスは、要介護度の高い人も自宅で暮らし続けられるサービスとして12年度に新設した目玉事業だが、事業所数は伸び悩んでいる。利益率が0.9%と低いためでもある。

介護サービスを担う人材の不足は、親の介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」に拍車を掛け、さらなる人手不足を招くという悪循環を生む。住みなれた地域で暮らし続けることを望む高齢者は多いが、在宅生活を支えるサービスは大幅に不足している。介護報酬を一律に削減するのではなく、24時間定期巡回訪問や小規模多機能型居宅介護は報酬を引き上げる必要がある。その上で介護事業の経営者にはさらなる経営努力を求めたい。

2014年10月22日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:拉致問題で訪朝 調査の進展につなげよ (2014年10月22日)

政府は、北朝鮮による拉致被害者らの再調査を促すため、政府担当者を平壌に派遣することを決めた。

政府担当者が訪朝すれば北朝鮮の駆け引きに利用される懸念があり、逆に訪朝しなければ情報が得られず、日朝協議の扉が閉ざされる懸念もある。そんな状況での難しい判断だが、協議を継続し、一日も早く拉致問題を解決するためには派遣はやむを得ないだろう。政府は、訪朝を再調査の確実な進展につなげるよう交渉力を発揮してほしい。

北朝鮮は「夏の終わりから秋の初め」としていた再調査の初回報告を、9月中旬になって調査は「まだ初期段階」と先送りを通告してきた。

事情を聴くため開かれた先日の日朝協議では、北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使が「初期段階」との主張を繰り返し、詳細については日本政府担当者が平壌を訪れ、再調査の権限を持つ特別調査委員会から直接、聞くよう提案した。

日本側の説明によると、先の日朝協議でのやり取りの結果、北朝鮮外務省は特別調査委員会にあまり関与しておらず、外務省の担当大使である宋氏から詳細を聞き出すのは難しいことがわかったという。

宋大使が北朝鮮を代表して日朝協議に臨みながら、詳しい話を聞きたいなら平壌に来るよう求めるというのは、外交的常識からかけ離れている。それならばなぜ北朝鮮は特別調査委員会のメンバーを協議に出席させなかったのか。調査は初期段階というのも納得がいかない。

北朝鮮が再調査の報告を引き延ばし、日本政府担当者を訪朝させることで、自国のペースで交渉を進めようとしているのではないかと疑念を持たざるを得ない。拉致被害者の家族会から「この時期に平壌に行くのは危険だ。向こうの要求を聞く場面になってしまうのではないか」と派遣に慎重意見が出たのも当然だ。

だが、北朝鮮という不透明な国と交渉するには、さまざまな機会をとらえて接触する必要がある。北朝鮮側に聞きたいことはいくつもある。

日本側が最優先課題とする拉致被害者の再調査の現状はどうなっているのか。調査が初期段階とする理由は何か。調査は全体で1年程度というが、そんなにかかるはずはない。今後、調査の進ちょく状況を日本側がどうチェックできるのか。

日本政府担当者は、厳しく問いただしてほしい。そのうえで、拉致被害者の再調査について何の進展もない段階で、安易にさらなる制裁解除に応じることのないよう求めたい。

拉致被害者家族の高齢化が進み、再会を果たせないまま亡くなる家族も出ている。早期解決に向け、日本政府の交渉力が問われる。

2014年10月22日 02時40分
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[朝日新聞] 普天間問題―「運用停止」の空手形 (2014年10月22日)

米政府との調整がつく見通しもないままの約束なら、とんだ空手形と言うほかない。

日本政府がめざす米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の2019年2月までの運用停止について、米政府が拒否する意向を明確にした。

米国防総省当局者が朝日新聞に示した回答を見ると、その意図は鮮明である。

▼13年に日米が合意した22年度以降の返還が唯一の方策

▼19年2月の運用停止に米政府は同意していない

▼日本側から正式要請はない

つまり、22年度以降に名護市辺野古の代替施設が完成しなければ、普天間の運用停止はできないという意味だ。

沖縄県の仲井真弘多(ひろかず)知事が5年以内の運用停止を日本政府に求め、菅義偉官房長官は9月、その期限を19年2月までと明言した。仲井真氏が立候補を表明している県知事選向けのリップサービスと受けとられても仕方あるまい。

菅氏は最近の記者会見で、19年2月までの運用停止を「米国に様々なレベルで繰り返し伝えている」と説明した。たしかに日米首脳会談などで日本政府の姿勢として言及してはいる。しかし、その実現に向けて、米側に正面から真剣な検討を求めたことがあっただろうか。

米政府内で、一顧だにされていないのは明らかだ。

普天間のKC130空中給油機15機は米軍岩国基地に移転されたが、普天間での訓練はなくなっていない。同じく普天間の新型輸送機MV22オスプレイの佐賀空港への移転案も一時浮上したが、米側が難色を示して暗礁に乗り上げた。

こんな状況で、運用停止が実現するかのような説明をするのは不誠実ではないか。

菅氏は辺野古への移設問題を「過去の問題」「終わっていることだ」と述べ、強い反対を押しのけて掘削調査を進めている。移設の「既成事実化」であり、地元の理解を得ながらの作業とはとても言えない。

米ハーバード大のジョセフ・ナイ教授はザ・ハフィントン・ポストへの寄稿で、沖縄のいらだちに言及。「中国の弾道ミサイルの発達で沖縄の米軍基地は脆弱(ぜいじゃく)になった」と指摘し、在日米軍の配備について再考を求めた。米国内の知日派にも柔軟な考え方が出始めている。

安倍首相は次の日米首脳会談で、5年以内の運用停止を正式に要請すべきではないか。

それさえしないのなら、やはり口先だけの約束だったということになる。
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[読売新聞] 火力発電提携 料金値下げにもつなげたい (2014年10月22日)

大手電力10社が各地域ですみ分けてきた業界の構図を変える契機となるのだろうか。

東京電力と中部電力が火力発電事業での提携で基本合意した。

今年度中に共同出資で新会社を設立し、火力発電燃料の共同調達や老朽化した火力発電所の建て替えなどで協力する方針だ。

東電は、福島第一原子力発電所の事故処理と損害賠償、電力の安定供給などの重要な責務を担っている。これらを着実に果たせるよう、提携をテコに収益力の向上を図らねばならない。

東電と中部電では、原発再稼働のメドが立たず、液化天然ガス(LNG)を燃料とした火力発電が全体の6割を超える。LNGの国際市況は下落傾向にあるが、日本企業の調達価格は高止まりし、発電コストを押し上げている。

LNGを新会社で一括購入すれば、年間4000万トンと世界で最大規模の買い手となる。ガス産出国との価格交渉力は強まろう。

割高な燃料の調達価格を是正して、電気料金の値下げにつなげるなど、提携効果を利用者に還元することも望まれる。

最終合意に向けて気がかりなのは、両社の姿勢に、微妙な温度差があることだ。

東電は、既存の火力発電所を新会社に移管するよう提案したが、中部電は慎重な姿勢を崩さず、結論は持ち越されている。

東電は2012年に実質国有化された。他社との提携による経営基盤の強化は、政府の意向に沿って進められた。一方、中部電は政府の介入を警戒している。両社共にメリットのある形で、連携を深めていく工夫が必要だろう。

政府が16年に予定している電力小売りの全面自由化を前に、電力各社は営業区域を越えて事業展開する動きを加速させてきた。

既に自由化されている大口の電力販売では、関西電力が首都圏に進出したほか、九州電力などが他業種の企業と連携して参入する計画も相次いでいる。

電力大手が、それぞれの地域独占を尊重するという「暗黙のルール」は崩れ始めた。

競争激化をにらんだ東電と中部電の提携に刺激を受け、地域や業種を超えた再編劇が活発化する可能性もある。各陣営が料金やサービス向上で競い、恩恵が消費者に及ぶことが期待される。

ただ、過剰なコスト競争が電力安定供給を損なう事態は避けねばならない。政府は、電力自由化の副作用にも目配りするべきだ。
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[朝日新聞] 道徳の教科化―多様な価値観育つのか (2014年10月22日)

「道徳」が小中学校で子どもたちの学ぶ教科になる。中央教育審議会がきのう、その答申を文部科学相に出した。

これまでは教科外の扱いだったが、早ければ18年度にも格上げされる。戦前の「修身」が軍国主義教育を担ったとして終戦の年に廃止されて以来、70年目の大きな転換となる。

答申は、こう述べる。「特定の価値観を押し付けることは、道徳教育が目指す方向の対極にある」。その通りだと思う。

では、教科にすることで多様な価値観が育つのか。かえって逆効果になりはしないか。その懸念をぬぐえない。

教材には検定教科書の導入が提言された。国がつくるより、民間が工夫したさまざまな教科書が使われる方が望ましい。

ただ答申は、教科書づくりのもとになる学習指導要領の記述を、これまでより具体的にするよう求めてもいる。細かく書きすぎると教科書も縛られる。

「正直、誠実」「公正、公平、正義」などのキーワードの明示も考えられるとした。だが規範や徳目を詰め込むより、何が正直で何が正義かを考える授業であってこそ意味がある。

文科省は今年、検定のルールを変えた。「愛国心」を盛り込んだ教育基本法の目標に照らして重大な欠陥があると判断されると、不合格になる。この運用次第では、かつての国定教科書に近づきかねない。

評価は点数制を見送り、コメントで記すよう求めた。だとしても、何をどう評価するかが問われるのは変わらない。

文科省が今年つくった教材「私たちの道徳」は、二宮金次郎らの偉人伝や格言を集めている。そんな物語から「正しい人間像」を説き、それを受け入れた場合のみ評価するのなら、思考を養うことにはなるまい。

答申は、学校や教員で格差が大きいといった現状を改めるためにも教科にしたいという。だが、それは運用で解決する話ではないか。重要なのは教科化という形ではなく、何をどう教えるかという授業の中身だ。

答申は情報モラルや生命倫理など現代の課題を扱うことや、対話や討論の授業も求めた。ぜひ進めてほしい。そうなると、シチズンシップ(市民性)教育や哲学に限りなく近づく。

生の社会で価値判断の分かれるものこそ、格好の素材だ。そのために教員にはテーマを選ぶ自由がなければならない。

決まった教科書を使っているかどうか、国がいちいち調べているようでは困る。挑戦を応援する姿勢こそ必要だ。
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[読売新聞] 米軍基地新協定 環境面で地元負担を軽減せよ (2014年10月22日)

政府は、在日米軍基地の環境対策を強化し、周辺自治体の負担軽減につなげることが重要だ。

日米両政府が、米軍基地の環境調査に関する新たな日米協定(環境補足協定)の締結で実質合意した。

返還予定の米軍基地内の土壌汚染や埋蔵文化財を調査するため、自治体などが返還前に立ち入ることを認める。環境汚染につながる事故が発生した際、立ち入り調査を行うことも可能となる。

一方で、米軍基地内の環境対策として、日本政府が汚染水の浄化設備や太陽光発電装置の整備などに資金提供するとしている。

新協定は、沖縄県の仲井真弘多知事の要望を受けたものだ。日米両政府が11月の沖縄県知事選前の実質合意を目指していた。

環境対策に関する規定がない日米地位協定を事実上、初めて改正するものであり、前向きに評価できる。仲井真知事も、「地位協定締結から54年を経て初めての成果だ」と歓迎している。

地位協定では、基地管理権は米軍にあり、日本政府や自治体の立ち入りには米軍の許可が必要だ。米側には返還時の原状回復義務がないため、土壌汚染などがあった場合、日本側が調査や有害物質の除去を行っている。

日米両政府は多数の在沖縄米軍基地・施設の返還で合意しているが、基地跡地では過去に再三、環境問題が発生している。2003年には、キャンプ桑江の一部返還地で高濃度の鉛などが検出され、跡地利用の障害となった。

新協定による立ち入り調査の制度化により、日本側の事前調査が容易になる意義は大きい。跡地利用の迅速化が期待される。

ただ、調査手続きなど細部の詰めの交渉は続いている。沖縄県は返還3年前からの事前調査を求めている。自治体が跡地を利用しやすい制度にしてもらいたい。

日米両政府は、両国の環境基準のうち厳しいものを在日米軍に適用するとしているが、具体的な内容は公表されていない。透明性を高める努力が求められる。

政府は新協定以外でも、沖縄の基地負担軽減を進めている。

米軍普天間飛行場に配備されていた空中給油機KC130部隊は8月、山口県・岩国基地への移駐を完了した。普天間飛行場の米軍輸送機オスプレイの訓練も、県外への分散移転を拡大している。

日本防衛に不可欠な米軍の沖縄駐留を持続可能なものにするため、日米双方がこうした措置に着実に取り組まねばならない。
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