2014年10月20日

[東京新聞] 東電・中電提携 生活者視点を忘れず (2014年10月20日)

東京電力と中部電力の提携には火力発電の燃料を合同で安く調達できる期待がある。ただ、後押しする政府に「東電救済」の思惑はないだろうか。提携が生活者視点で進むよう注視が必要だ。

合意では、年度内に出資折半の新会社を設立し、液化天然ガス(LNG)を共同調達する。二社の年間調達量は計約四千万トン。日本全体の輸入量の半分近くを占め、世界でトップクラスの調達量となる。まとめて買い付けることで資源会社との価格交渉力を強くしようという狙いだ。

国際的なLNG価格はシェールガス発掘もあり、下落傾向にあるが、日本は「最も高く買わされている」という批判がある。加えて最近の円安で、エネルギー輸入費が高くなり経済の重荷になっている。電気料金値上げを防ぐため、燃料の調達改革は進めなくてはならない。

提携内容には東電の老朽化した火力発電所建て替えも含まれる。両社が原発再稼働に頼らず経営基盤を固める好機になる。

気掛かりなのは東電に一兆円を出資している政府の思惑だ。「東電救済」色が強まると、消費者に目を向けた建設的提携ではなく、東電が負う原発事故の賠償責任付け回しに陥りかねない。

さすがに中電もこの点は警戒しており、幹部は「賠償責任の切り離しが確認できなければこれ以上前に進まない」としている。単なる救済策にならないように、中電には今後の詰めの交渉で、この一線を守ってもらいたい。また、両社は同じ炉型の原発を採用しているが、それだからといって原子力推進では困る。

電力業界一位と三位の大型提携は、長く続いた業界の地域独占を崩す可能性を秘める。LNG調達では、大手ガス会社を含めた合従連衡の動きも出ている。経済産業省にも電力自由化に向けた業界再編を加速させたい意図があるが、寡占企業を生み出すことにならないか、見極める必要がある。

現段階で、両社の提携が本格的な事業統合につながるかは不透明だが、拙速にガリバーを生み出すのなら市場の寡占化につながる。今のところ東電、中電ともに「再編は意図していない」と述べている。

電力自由化の目的は、新電力の参入を促し、再生可能エネルギーの利用、開拓を進める環境づくりである。多くの国民も電力の未来像として、そう願っていることを忘れてはならない。
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[産経新聞] 【主張】エボラ対策 不安や恐怖の増幅防ごう (2014年10月20日)

安全保障にもかかわる危機としてエボラ出血熱流行に対する国際的な懸念が広がっている。流行国への支援とともに、恐怖や不安への社会的対応が対策の大きな課題となることも、改めて認識しておきたい。

エボラの流行にはいま、2つの懸念がある。一つは西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネ3国の流行拡大がとまらないことだ。世界保健機関(WHO)は死者が4000人を超え、対応策をとらなければ12月には週に5000?1万人のペースで患者が増える可能性があると警告する。

もう一つは米テキサス州の病院でリベリアから入国後に発症した患者の治療の際、看護師2人が感染したことだ。初の国内感染症例に米国社会は動揺した。

この2つの懸念は状況を切り分けて考える必要がある。

国境を越えた人の移動により、米国だけでなく西アフリカ3カ国の近隣国であるナイジェリアやウガンダ、セネガルなどでもエボラの発症が報告されているが、いずれも少数の散発的感染事例で封じ込めに成功している。

流行国では紛争後で保健基盤が崩壊していたが、周辺国は曲がりなりにも保健基盤が維持され、機能していた。国際保健の専門家はこう指摘する。エボラは新興感染症とはいえ、病原ウイルスも感染経路も分かっている。一定の保健基盤が維持されていれば、流行の拡大は抑えられるのだ。

米国の事例は逆に、高度に医療基盤が整った先進国でも散発的な感染が起きうることを示した。それでも、患者と接触した人をさかのぼって調べ、発症を確認したら隔離して必要な医療を提供する。そうした事後対策を丹念に積み重ねれば、流行には至らない。この点も重視しておくべきだろう。

むしろ避けるべきは、社会不安や恐怖をいたずらに増幅させ、感染防止策がとりにくくなるような状態ではないか。致死率の高い困難な病気と最前線で闘っているのは患者であり、患者の治療や看護にあたる医療従事者である。

病気を心配する人が安心して医療を受け、同時に医療を提供する人が感染から守られる。そのためにはどうしたらいいのか。日本国内でも、この点を基本にして医療機関の感染防護策を一層、充実させ、その延長線上で流行国支援への関心も持続させていきたい。
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[産経新聞] 【主張】高齢者と社会保障 能力に応じて負担したい (2014年10月20日)

高齢者への「過度な優遇」をそろそろ見直してもいいのではないか。

厚生労働省が、75歳以上の後期高齢者医療制度で低所得者らの保険料を最大9割軽減する特例措置を段階的に廃止する方針を明らかにした。

年金についても、人口減少などの影響を勘案し支給額を自動的に調整する「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みについて、デフレ下でも発動できるよう改め、支給額を抑制する考えを示した。

少子高齢化はこれからが本番だ。団塊世代が75歳以上となる平成37年度の社会保障給付費は現在より40兆円ほど増え、約149兆円に及ぶとみられる。高齢者にも許容できる範囲で「痛み」を求めるのはやむを得まい。両案とも当然の対応だといえよう。

消費税増税で当面の財源確保にめどがみえてきたとはいえ、サービス抑制や負担増に向けた努力を続けなければ制度は早晩行き詰まる。支払い能力に応じて負担する仕組みへの改革を急ぎたい。

特例廃止によって約865万人の保険料が増額となる。負担増一本やりで老後の生活に支障を来すことになってはならない。だが、軽減措置が全く受けられなくなるわけではない。高齢者医療制度には本来、最大7割軽減される仕組みが設けられている。理解は得られよう。

とはいえ、負担が一挙に3倍増になる人もいる。高齢者に無用な不安や混乱が広がらないよう丁寧な説明はもとより、時間をかけて移行する配慮も求めたい。

一方、マクロ経済スライドのデフレ下での適用は、年金制度の足腰をより強固なものとし、将来世代の給付への影響を少しでも和らげるための有力な方策だ。支給開始年齢の引き上げや厚生年金加入基準の拡大とともに避けては通れぬ課題と位置付けたい。

懸念されるのは、来春の統一地方選挙での高齢有権者の反発を恐れ、与党内に改革先送りの声があることだ。過去にはこうした声に押されて改革案がしぼんでしまったケースも少なくない。「先送りする政治」と決別するためにも、安倍晋三首相のリーダーシップに期待をしたい。

社会保障制度は世代間の支え合いによって成り立っている。改革を成功に導くには、すべての世代が少しずつ我慢し、譲り合う精神を持たなければならない。
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[東京新聞] 特許は誰のもの 社員帰属で意欲を守れ (2014年10月20日)

社員による発明の特許権、その帰属を発明した社員から企業に変える法改正が議論されている。組織を重視する日本の企業社会で、個性のある研究者の意欲をそがないか。慎重な検討が必要だ。

政府の成長戦略を受け、今年三月に特許庁の有識者会議で始まった議論がヤマ場を迎えている。そこへ飛び込んできたのが、中村修二さんのノーベル物理学賞受賞だ。職務発明の帰属や、社員が受け取るべき「相当の対価」の問題を広く世に知らしめたのが、青色発光ダイオード(LED)の特許をめぐる中村さんと、勤めていた日亜化学工業との訴訟だった。

職務発明は企業で職務として行われた発明をいう。特許法三五条では、職務発明で特許を受ける権利は社員に帰属し、この権利を企業が社員から承継するときには、社員は「相当の対価」を受けることができる。見直し案はこれを百八十度転換し、社員に配慮しながらも会社帰属にする。

要望しているのは経済界だ。職務発明は会社がリスクを取る決定のもと会社の資金や設備を使い、多くの社員のチームプレーに支えられた成果だ。社員帰属のままで高額の対価を求められ、訴訟になれば研究開発や経営に影響が出かねない−と主張する。

しかし組織重視の企業社会を考えると、会社帰属への転換には慎重にならざるを得ない。中村さんに日亜化学が支払った額は二万円。正当な対価を求めて中村さんが二〇〇一年に提訴し、東京地裁は〇四年、二百億円の支払いを命じた。額の大きさに自己主張の強い中村さんの個性も相まって、経済界には発明への貢献まで疑問視する非礼な声さえ広がった。

その後の経過を見ると、経済界の主張は杞憂(きゆう)の面が強い。中村さんと日亜化学は八億円で和解し、相次いだ同様の訴訟も経営を揺るがすような額にはなっていない。紛争多発を受けて特許法は〇四年に一部改正され、その後は目立った訴訟はない。現状はバランスが取れており、経済界寄りの改正は妥当とは言えないだろう。

中村さんは三五条改正について「日本企業には従業員が自由に発言できない傾向がある。企業の論理だけで対価が決められてしまうだろう」と反対を表明している。

ノーベル物理学賞は日亜化学ではなく、中村さんという強い個性の意欲的な研究者に贈られる。特許の帰属をめぐる論争の決着点を指し示しているのではないか。
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[毎日新聞] 社説:消費税10%の議論 「宿題」ができていない (2014年10月20日)

消費税率を予定通り2015年10月に10%へ引き上げることに、政府・与党から異論が出始めている。4月に8%に上げた後、消費の低迷などで景気が足踏み状態になっており、再増税による経済への悪影響を心配しているようだ。

経済状況をみて引き上げるかどうかを判断するという「景気条項」があり、国民の生活を考えるうえで大事な要素であるのは確かだ。しかし、政府や与党は、景気と増税の議論に走る前にやるべきことがある。消費税引き上げの原点を守ること、そして責任をもって取り組むべき「宿題」である。

◇国民の覚悟に応えよ

持続可能な社会保障制度づくりを進め、緩んだ財政規律を改めて歳出を見直す。そして、経済的な弱者に目配りした軽減税率を導入する。さらに自らが身を削る定数の削減も、議論でなく実行に移す。

こうした課題は、安倍晋三首相が8%の引き上げを決断した昨秋に突きつけられたものだ。あれから1年である。政権と国会が一連の課題に成果を見せてはじめて、景気と増税についての議論も説得力を持つ。

国民は財政再建の重要性を理解し、社会保障の充実を願い、家計への重荷を覚悟のうえで4月からの増税をのんだ。しかし、政府や国会が問題への対応をこれ以上先延ばしにするなら、国民には負担増というマイナスしか残らない。

予定通りに引き上げるか、延期かを安倍政権が判断するのは12月になるという。その判断のゆくえにかかわらず、国民の覚悟に応えるため、あと1カ月あまりの間、政権と国会が課題にしっかり取り組むことが与えられた責務である。

消費税増税の原点は、社会保障制度の充実に向けた財源を確保しつつ、借金が1000兆円を超えて先送りが許されない国の財政再建を進めることだ。

毎日新聞はかねて、法律に定めた通り消費税率を10%に引き上げ、財政の余裕度をもう一段高めることが、将来につけを回さず、次世代への責任を果たすうえで欠かせない、と主張してきた。

安心でき、持続可能なものに移行するため、社会保障制度は10%を前提に動き出している。

来春から年金のマクロ経済スライドが始まり、受給額は年々少しずつ減っていく。特に基礎年金の減額が大きく、国民年金の受給者や困窮者への対策が課題となる。こうした人の救済のため、10%時に生まれる財源で「福祉的給付制度」を創設する方針だ。引き上げを先送りすると、この制度は日の目を見ない。

女性の就労を促し、保育所不足の解消を目指す新制度は年間7000億円の予算だが、消費税10%を先取りする形で始まっている。足をすくわれれば、政権の看板である「すべての女性が輝く社会」がかけ声倒れに終わる。

緩んだ財政規律を改め、むだを削る姿勢を明らかにすることは、消費増税と表裏一体だった。増税は、歳出削減とセットになって大きな効果と納得感を生み、国内外の信頼につながるからだ。

ところが実際はどうだろう。

15年度予算編成に向けた各省庁の概算要求は、前年度の要求額を大きく上回る過去最大の101兆円になった。「成長戦略」「地方創生」といった大義名分の下、目いっぱいまで要求を膨らませたからだ。

◇軽減税率は不可欠だ

国の財政が危機的状況と聞いて、国民は負担増をのんだが、これではだまし討ちではないか。安倍政権には歳出の膨張に歯止めをかけようとする姿勢が、昨年から現在にいたるまで、まるで感じられない。

経済的弱者に配慮する政策はどうなったのか。私たちは、増税で強いしわ寄せが及ぶ低所得層への効果的な対策を繰り返して求めてきた。

その一つが、食品など生活必需品の税率を低くする軽減税率の導入だ。また新聞、書籍についても欧州各国のほとんどが「知識には課税しない」との考えで、税率をゼロや数%に抑えている。

自民、公明は5月までに「基本的な考え」をまとめる方針だったが、いまだに入り口の議論が続いている。自民が中小企業の事務負担の増加などを懸念しているためだ。

だが、8%時に軽減税率が導入されていれば、政府・与党が気にかける消費落ち込みは軽かったに違いない。長期的な視点に立てば事務負担よりも、弱者への配慮や消費の勢いの持続性が優先されるのは明らかである。議論にかまけず、すぐに制度設計に取り組むべきだ。

税を議論する際、前提となるのは政府と国民との信頼関係だろう。

自民、公明、民主の3党が2年前に約束した衆院の定数削減は事実上、棚上げされている。加えて小渕優子経済産業相による極めて不可解な政治資金問題が出てきた。いずれも信頼を損ねる要因だ。

国民は、増税だけを押しつけられ、その見返りともいうべきものはほとんど手にしていない。痛税感をやわらげる将来への展望や安心感は持てないままである。これでは何のための増税か、わからない。

2014年10月20日 02時30分
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[読売新聞] 女性活躍法案 企業は実効性ある行動計画を (2014年10月20日)

安倍政権が掲げる「すべての女性が輝く社会」の実現に向けて、官民挙げた取り組みを加速させる必要がある。

政府は、女性活躍推進法案を閣議決定し、国会に提出した。法案は、従業員300人超の企業に対し、女性登用の数値目標を盛り込んだ行動計画を作り、公表することを義務づけた。

数値目標は、どのような項目を設けるかも含め、企業が自主的に定める。管理職や採用者に占める女性の比率などが想定される。目標値は「倍増する」などの大まかな表現も認められる。

安倍政権は、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標を掲げているが、法案には一律の数値目標を書き込まなかった。

女性活用の状況や課題は、業種や企業ごとに異なる。個々の実情に応じて目標を設定する方式にしたのは、現実的な判断だ。

経済界には数値目標の導入に慎重論もあったが、政権の強い意向で義務化が決まった。女性の登用を進める上で一歩前進だろう。

企業は、採用や管理職登用、勤続年数の男女差など、女性社員の状況を把握、分析した上で、行動計画を策定する。労使で十分に話し合い、実効性ある計画を練り上げることが肝要だ。

目標に届かずとも罰則はなく、進捗(しんちょく)状況の報告義務もない。だが、取り組む姿勢は、株主や市場の評価にさらされよう。企業トップのリーダーシップが問われる。

女性を含めた多様な人材の活用は、企業の創造性を高める上で欠かせない。計画策定を、企業の競争力向上の好機ととらえたい。

重要なのは、企業や男性の意識改革だ。家事・育児の大半を女性に委ねたままでは、女性の活躍は進まない。長時間労働の是正や、在宅勤務をはじめとする柔軟な勤務形態の拡充など、職場全体の働き方の見直しも必要となろう。

無論、企業で管理職になることだけが女性の活躍ではない。

女性の雇用者の過半数は、パートなどの非正規労働者だ。その処遇改善や正社員への転換の促進が急務である。

子育てや介護の分野で地域に貢献できる女性も多い。専業主婦がボランティアやNPOなどで活躍できるよう支援することは、地域活性化の上でも有効だ。

政府には、様々な立場の女性に目配りした多面的な政策が求められる。男女が共に、職場と家庭、地域のそれぞれで役割を果たせる社会としたい。
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[読売新聞] 老朽原発の廃炉 円滑な実施へ環境整備を急げ (2014年10月20日)

老朽化した原子力発電所を無理に使い続けるのは、安全性とコストの両面で問題がある。

安全性の確認できた原発を着実に再稼働する一方、古い原発は将来的な新増設も視野に入れ、計画的に廃炉にしていくことが得策だ。

東京電力福島第一原発の事故を受け、原発の運転期間は「原則40年」と定められた。原子力規制委員会の認可を得られれば、運転期間を最長20年間延長できる。

全国の原発48基のうち、関西電力美浜原発1号機など7基は稼働から40年前後たっている。これらの運転期間を延長するには、来年夏までに原子力規制委に対し、認可を申請する必要がある。

審査をパスするための設備改修などで追加投資額がかさむと、電力会社の経営は圧迫される。電気料金の値上げなど、利用者の負担増につながる恐れもあろう。

電力各社は、運転延長の費用対効果を踏まえ、廃炉か運転継続かを判断することが求められる。

小渕経済産業相は17日、電気事業連合会の八木誠会長(関電社長)と会談し、老朽化した原発を廃炉にするかどうか、早期に判断を示すよう電力業界に要請した。

40年で運転を打ち切られる原発が何基程度あるか分からないと、全発電量に占める原発比率をはじめ、エネルギー戦略の基本方針に関する議論も進められない。

電力会社はできるだけ速やかに決断してもらいたい。

ただし、廃炉の決定には、様々なハードルがある。

電力各社は40年を超える運転を想定して廃炉費用を積み立てている。積立金の不足した原発の運転を前倒しで打ち切れば、多額の追加負担が生じることになる。

廃炉が決まると、発電設備が資産とみなされなくなるため、会計上、一度に大きな損失の計上を迫られるという問題もある。

電力会社が、足元の業績悪化を回避しようと廃炉の判断を先送りし、結果的に老朽化した原発が運転も廃炉もされないまま、放置される懸念は拭えない。

電力会社が廃炉を円滑に進められるようにするための環境整備が急務である。

政府は、廃炉費用を確実に手当てできる仕組みや、損失処理を段階的に進められる会計制度の導入などを検討すべきだ。

廃炉となると、国が立地自治体に支払っている交付金がなくなるうえに、地元の雇用への悪影響も避けられない。地域経済への配慮も、大きな課題である。
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[朝日新聞] 従業員の発明―報酬切り下げはダメだ (2014年10月20日)

企業の従業員が仕事で生み出した発明(職務発明)に関しては、従業員が特許を受ける権利を持つ。会社に譲り渡す場合は「相当の対価」を請求できる。

そうした現行制度を改め、特許を最初から会社のものにする。ただし、従業員に対価請求権と同等の権利を保障し、政府がガイドラインも作る。

特許庁の審議会がこんな改革案骨子を打ち出し、具体案を詰めることになった。

現在も、大手を中心に企業は勤務規則などで特許を会社側に移している。研究開発は個人よりチームでの取り組みが中心だ。特許を最初から会社に帰属させ、素早い経営判断を後押ししよう。そんな考えに基づく。

審議会は「従業員へのインセンティブは企業にとっても重要」と強調する。当然だろう。発明を生むのはあくまで従業員だからだ。

今後の検討作業でその視点を貫けるかどうかが問われる。

例えば「対価請求権と同等の権利」の中身。特許を会社帰属とするよう求める経営側の委員と、現行制度維持を主張する労働側の委員が対立し、妥協の産物として盛り込まれた。

現行制度の「相当の対価」は現金報酬が想定されている。一方、特許庁は「同等の権利」について処遇や研究費も含めて検討する構えだ。あるアンケートでは、特許が会社帰属に変われば「従業員に支払う原資を減らす」企業が約3割を占めた。やはり現金報酬に限って「同等」とするべきではないか。

政府が作るガイドラインは、インセンティブにかかわる協議など手続き面を定める予定だが、そのあり方にも触れる必要がないか。そもそも法的拘束力がない点も心配だ。

経営側の主張は、かつて「相当の対価」を巡る裁判で多額の支払いを命じる判決が続いたことを受けている。このほどノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二氏が元勤務先を訴え、200億円の支払い命令を得た04年の判決(後に約8億円で和解)がその代表例だ。

しかし、最近は巨額請求訴訟は影を潜めている。04年に特許法が改正され、「相当の対価」について労使間などでの協議を促す趣旨の規定が盛り込まれたことが大きい。

必要なのは、04年改正の狙いを徹底することではないか。

経営体力を見つつ従業員が納得できる報酬を用意し、やる気を引き出す。発明を通じて企業が潤い、わが国全体としての競争力が高まる――。そんな好循環を目指さねばならない。
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[朝日新聞] カジノ法案―懸念材料が多すぎる (2014年10月20日)

自民、維新、生活の3党が出したIR推進(カジノ解禁)法案が成立するかが今国会の焦点となってきた。

私たちは社説でカジノ解禁に反対してきた。世論調査でも反対が賛成を大きく上回る。カジノがもたらす害については、徹底した議論が不可欠だ。推進派は、20年の東京五輪に間に合わせたいとするが、拙速に成立させるべきではない。

最も懸念されるのは、ギャンブル依存症の問題である。

厚生労働省の研究班は8月、依存症の疑いがある人が成人の5%弱、536万人にのぼる、との推計を公表した。他国と比べても高い水準だという。

推進派の議員連盟はこれを意識し、日本人のカジノ入場に関して必要な措置を政府が考えるよう、法案の修正を決めた。

ギャンブル依存症は世界保健機関(WHO)が精神疾患の一種と位置づける国際的な問題である。日本人だけ入場を厳しくすれば済むという話ではない。

カジノを解禁した各国も、依存症対策に苦心している。

シンガポールは、地元住民には8千円程度の入場料を課し、本人や家族の申し出で立ち入りを制約する制度を設けた。それでも対象者はこの2年間で2倍以上増え、21万人を超えた。

全国に17あるカジノのうち、国民が入れる場所を1カ所のみとしている韓国でも、依存症の増加が社会問題化している。

「国内で依存症が多いのはパチンコ・パチスロや、競馬、競輪などの公営競技のため。カジノが加わっても変わらない」との声も聞かれる。推進議連は、カジノの収益の一部を依存症対策にあてる考えも示している。

賭博として禁じられていないパチンコや公営競技が引き起こす依存症には、国としての対策が急務だ。だが、それはカジノ解禁を急ぐ理由にはなるまい。

カジノに前向きな安倍首相はその理由として「観光振興、雇用創出の効果は非常に大きい」と国会で述べた。

ただ、依存症対策などに必要な社会的コストを上回るほどの経済効果は本当にあるのか。

カジノの収益の本質は、客の負け分である。日本進出に意欲的な外国資本は、中国や東南アジアからの観光客以上に、約1600兆円といわれる日本人の個人資産に注目している。カジノで一見カネが動いても、海外に吸い上げられるだけではないか、との懸念がぬぐえない。

目先の利益ではなく、日本にとって長期的にプラスになるかを考える。そういう姿勢を、推進派に強く求めたい。
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