2014年10月16日

[東京新聞] 大学中退 粗悪な学びの“安全網” (2014年10月16日)

意欲や能力はあるのに、お金がないばかりに大学を中退する。そんな憂き目に遭う若者が多い。教育格差は貧富の差を広げ、世代を超えて連鎖する。高等教育の無償化をもっと真剣に考えるべきだ。

青色発光ダイオードの発明でノーベル物理学賞に決まった赤崎勇名城大終身教授ら三人は、信念を貫くことの大切さを口々に説く。だが、貧しい若者はその機会さえ奪われてしまっている。

文部科学省調査では、二〇一二年度の大学や短大などの中途退学者は七万九千人。このうち20%は経済的な理由だった。転学、就職に次ぐ三番目の割合だった前回の〇七年度調査より6ポイント余り増え、最多に躍り出た。

休学者は六万七千人。経済的理由は16%で病気やけがの割合を上回り、やはり最も多くなった。

景気が芳しくなく、家計は細りがちなのに、学費は値上がる一方だ。子どもの学生生活を支え切れない家庭が増えて当然だろう。国の奨学金制度や大学の授業料減免枠の思い切った拡充が急務だ。

苦しい家計を助けようと就職を優先する。学資稼ぎのアルバイトに追われて学業不振に陥る。そうして中退や休学を余儀なくされる学生も少なくない。

労働政策研究・研修機構が三年前に東京都内の二十代を調べたら、大学中退者の二人に一人は一貫して非正規雇用の身だった。無職も一割半を占めていた。

不安定で低賃金の仕事にしか就けないのでは、結婚や出産もためらわれるに違いない。生活保護費や失業手当が膨らめば、社会にとっても大きな損失になる。

問題なのは、国の奨学金だ。貸与型のみで、返済不要の給付型がない。しかも、無利子より有利子の貸出枠の方が大きく、大学進学を諦めたり、卒業後の返済に行き詰まったりする若者が大勢いる。

収入の多寡に応じ、毎月の返還額を柔軟に変えられる仕組みも検討されてはいる。だが、借金を背負って社会に出ることに違いはなく、人生設計の足かせになる。

多くの先進国では大学授業料が無償だったり、公的な給付型奨学金が出たりする。ノルウェーやフィンランドなど北欧諸国はよく知られる。日本も家庭の財布への依存度を引き下げるべきだ。

目先の経済成長にとらわれ、次世代への投資を怠っては未来は開けない。高等教育の無償化は、教育基本法や子どもの貧困対策法の要請であるだけでなく、国際人権規約に基づく国際公約でもある。
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[東京新聞] アフガン新政権 挙国一致で治安確立を (2014年10月16日)

アフガニスタンで新しい大統領が就任した。反政府勢力が武力闘争を続け、治安はいまも不安定だ。再びテロの温床に逆戻りしないよう、国際社会は粘り強く国造りを支えていきたい。

選挙から六カ月余。開票不正疑惑が浮上し、国連の監視下で票の再調査が行われ、米政府の仲介でようやく新政権が船出した。

最大民族パシュトゥン人のアシュラフ・ガニ元財務相が新大統領に就任した。タジク人を支持層に決選投票を争ったアブドラ・アブドラ元外相は、首相格で新設の行政長官に就いた。双方が民族の利害を超えて挙国一致政権で合意したことを歓迎したい。

新政権がまず取り組むべきは治安の確立だ。旧支配勢力タリバンが南部で基盤を維持したまま、首都カブールでもテロを続ける。

アフガンに駐留する米軍と欧州各国軍で編成される国際治安支援部隊(ISAF、計約四万一千人)は年内で戦闘任務を終了する。米軍は約一万人の部隊を残して、政府軍と警察を訓練し、装備を支援する。

新政権は米軍が撤退する二〇一六年末までに、政府軍が自力で治安を維持できる体制を築かねばならない。失敗すれば、米軍の撤退後に国内が分裂したイラクの二の舞いになる恐れがある。

反欧米思想が強いタリバンは、国境を超えてイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」との連携を模索しているという。新たな国際テロ組織をつくろうという考えなら、深刻な懸念材料だ。

カルザイ前政権の十年間で教育環境が整備され、就学児童、生徒数が十倍に増えた。カブールを中心に経済活動が活発化した。だが、多くは駐留外国軍に関係したビジネスであり、国家予算の六〜七割を外国の援助に依存するいびつな構造だ。中央から地方に至るまで汚職がまん延している。

世界銀行での勤務経験もあるガニ新大統領には、経済再建に期待がかかる。銅など豊かな鉱物資源の産出を増やすために、インフラ整備と技術者の育成を急ぐ必要がある。支援国に対しては、汚職を追放して資金活用に透明性を高める姿勢を示すべきだ。

日本は米国に次いで世界二位の支援国であり、一二年から約五年で最大約三十億ドルを予定している。学校建設や農業基盤整備、元タリバン兵の社会復帰への支援は高い評価を得ている。援助が適正に使われているか確認しながら、安定への歩みを後押ししたい。
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[産経新聞] 【主張】定数・格差是正 首相の指導力で打開せよ (2014年10月16日)

衆参両院の定数削減や格差是正が、遅々として進まない。

一昨年の衆院選や昨年の参院選の後、与野党は「次の国政選挙はまだ遠い」と踏んでいたのではないか。抜本的な制度改革も含めて検討し、成案を得る時間は、十分あったはずだ。

それなのに、結論の先送りを繰り返した結果、新制度が次の選挙に間に合う保証はなくなりつつある。

時間切れを待っているのが本音なのではないか。与野党の姿勢に国民は疑いを捨てきれない。

安倍晋三首相は、先の各党代表質問で「与党がリーダーシップを発揮する」必要性に言及した。具体的な行動で示してほしい。

選挙制度に関する衆院の第三者機関はすでに2回の会合を開き、年内に「一票の格差」に関して意見集約を図ることになった。

ただ、定数削減や選挙制度を具体的にどう見直していくかの段取りは不透明なままだ。

特に、本丸の選挙制度改革の結論を得るには時間を要するだろう。政治家が「自ら身を切る」改革として行う定数削減の方策も最終答申まで持ち越されるのか。

選挙制度の行方にかかわらず、定数削減について早急に決着を図る。そのことを与野党が確認し、第三者機関に申し出るべきだ。その程度は各党の側が自己決定しなければ、第三者機関も身動きがとりにくいだろう。

与党の責任者である安倍首相が音頭を取ったとしても、何ら問題はないはずだ。定数削減は野田佳彦政権末期、衆院解散の約束と引き換えに、両氏が党首討論で確認したことを忘れては困る。

参院では選挙制度協議会で検討されてきた人口の少ない県同士の「合区案」を事実上、自民党がつぶした格好になっている。

今月中に示すという、代案の行方も見えない。

首相は参院自民党に意見集約を急ぐよう指示したが、不十分ではないか。両院の選挙制度を党として一体的に検討する組織を設ける必要がある。統治機構をどうするかであり、党憲法改正推進本部も積極的にかかわるべきだ。

民主党など野党の姿勢も問われる。首相に指導力を求める体裁をとり、責任を押しつけるのではだめだ。案が示された段階になって党内をまとめられず、改革に背を向けるようでは情けない。
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[産経新聞] 【主張】拉致問題で訪朝 「成果なし」は許されない (2014年10月16日)

本当に成果は得られるのか。ただ北朝鮮側の説明を聞くだけに終わるなら、失望だけを残すことになる。その上、新たな要求を突きつけられるようなら、政府の責任も問われることになる。

日本政府は、北朝鮮の特別調査委員会による拉致被害者らの再調査の実態を把握するため、調査団を平壌に派遣することを検討している。月内にも正式決定したい考えだとされる。

日本側調査団の訪朝は、9月に中国・瀋陽で行われた日朝外務省局長級協議で、北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使が提案したものだ。

当初は「夏の終わりから秋の初め」とされていた初回報告の時期を「調査はまだ初期段階にある」との勝手な理由で先延ばしにしながら、「詳しく聞きたければ平壌に来て特別調査委に直接聞いてくれ」というのだ。

あまりに理不尽ではないか。拉致は、北朝鮮という国家による誘拐事件である。加害者側の駆け引きに乗る必要は全くない。

成算がないままでの訪朝は、北朝鮮側に「説明した」との口実を与え、これを理由として制裁解除などの新たな要求をしてくる可能性もある。終戦後の残留日本人や日本人妻、日本人遺骨の問題など、広範囲で膨大な調査結果を報告してくるかもしれない。

日本側が最優先すべき最大の課題は、拉致被害者の全員帰国に向けた情報の確認である。北朝鮮側が「8人死亡、4人未入国」としている被害者の情報については、必ず把握しているはずだ。拉致問題の解決なしに、日朝関係は一歩も前に進まない。

拉致被害者の家族は冷静である。増元るみ子さんの弟、照明さんは「行くのなら事務方数人で行って書類だけもらい、日本で精査すればいい」と話した。横田めぐみさんの母、早紀江さんは「何か分かるかもしれないと北朝鮮に行くのは危険だ」と述べた。

13歳で拉致されためぐみさんは今月、50歳となった。昭和39年10月5日の誕生日は、東京五輪開幕の5日前だった。誕生日の集会に参加した早紀江さんは「毎日『どうしたら助けてくれる。今日にも命がないかもしれない』という声が聞こえる」と話した。

母の思いに応え、政府には強い態度で交渉に臨んでほしい。失望を重ねる愚は許されない。
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[毎日新聞] 社説:松島法相の言動 政権にゆるみはないか (2014年10月16日)

先の内閣改造人事で初入閣した松島みどり法相の言動が波紋を広げている。地元で「うちわ」を配ったことが公職選挙法違反ではないかと野党から追及されたことを「雑音」呼ばわりし、撤回に追い込まれた。

法務行政のトップである法相に強い規範意識が求められることは言うまでもない。軽率な言動が続くようでは閣僚の適格性すら問われよう。

松島法相をめぐる問題の発端は、地元で「うちわ」を配ったことが公選法違反の寄付行為にあたるのではないかと民主党の蓮舫参院議員に国会で追及されたことだ。

うちわは盆踊りなどで配られたもので柄があり、名前やイラスト、成立した法律が記されていた。有価物ではないかと追及された松島氏は「うちわのように見えるかもしれないが価値のあるものではない」「討議資料」などと苦しい釈明をした。だが、うちわはうちわである。

選挙管理委員会によっては、選挙区でのうちわの配布禁止を明示している。首相が「疑いをうける以上、配布しない方が望ましい」と指摘したのは当然のことだ。

松島法相をめぐっては東京都内に住居を持ちながら特例で議員宿舎に入ったにもかかわらず、週末を自宅で過ごしたことも批判されている。そんな状況なのに法相は自らへの野党の追及を記者会見で「雑音」と表現し国会で謝罪、撤回した。おごりすら感じられる言動に与党からも「許すまじき発言だ」などの批判が出たのも無理はない。

松島法相は法相就任後もうちわを配布していたという。法相は死刑執行の命令という極めて厳粛な任務にあたる。さらに松島氏は特定秘密保護法も担当しているだけに「ルール」への感覚が疑問視されることは重大だ。一連の追及を「揚げ足取り」と片付けるわけにはいくまい。

今国会は改造前と異なり、野党側が閣僚を追及する場面が目立つ。

政治資金問題に関しても江渡聡徳防衛相の収支報告書の訂正問題をめぐり国会質疑が中断する場面もあった。小渕優子経済産業相は後援会員らが観劇した際、関係政治団体が劇場に支払った費用が参加費を大幅に上回っているとして、政治資金の使途が疑問だと報じられている。政権には新たな火種であろう。

国会の論戦が政策本位であるべきなのは言うまでもない。だが、閣僚が自らの問題について説明責任を果たし、政策論争の環境を整えるのは政権側の責務である。

菅義偉官房長官が政府・与党の会議で「緊張感を持ってやっていきたい」と引き締めたのも閣僚の言動を念頭に置いたものだろう。政権のゆるみを謙虚に点検すべきだ。

2014年10月16日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:エボラ対策 感染防護体制の徹底を (2014年10月16日)

エボラ出血熱の感染が拡大を続けている。米国とスペインでは、患者のケアにあたった医療従事者が感染するという新たな事態が起きた。これまでも、西アフリカの流行地では医療従事者の感染が大きな問題となっていたが、感染防御の装備も体制もきちんと機能しているはずの国で医療従事者の2次感染が起きたことで、危機感が増している。

米国で2次感染した医療従事者は、リベリアで感染し米テキサス州で発病した男性患者を担当していた。エボラ出血熱のウイルスは、空気感染はせず、血液や排せつ物などに接触することで感染する。医療従事者は、防護服などを脱ぐ際にウイルスに触れた恐れがある。

米国やスペインは感染経路を早急に解明してほしい。日本をはじめとする国際社会は、それを教訓に、医療従事者の感染防護体制を徹底する必要があるだろう。

米国などでは患者と接触した一般人は、隔離や経過観察の対象となっている。一方で、患者の治療などにあたった医療従事者は監視対象となっていなかったという。その是非についても検討の余地がある。

感染拡大を防ぐには空港などの検疫強化も大切だが、すり抜けが起きることは避けられない。万が一、日本で感染者が出た場合は、エボラ出血熱のような危険な感染症に対応できる全国45の指定医療機関が治療にあたる。これらの施設向けの診療の手引もあり、訓練も行っているというが、米国などのケースを受け、さらに訓練などに力を入れてほしい。

感染した疑いのある人が指定医療機関以外の普通の医療施設を受診する可能性もある。どの医療施設も、患者の渡航歴には注意し、基本的な感染防御は日常的な習慣としておく必要があるだろう。

エボラ出血熱が日本に上陸した場合の広報体制もきわめて重要だ。正確な情報を国民に提供できなければ、思わぬパニックが起きる恐れもある。政府は、今から準備を怠らないようにしてもらいたい。

世界保健機関(WHO)の報告ではエボラ出血熱に感染した人は8900人以上、このうち4400人以上が死亡している。致死率は高く、有効な治療法やワクチンも今のところない。実験的な治療薬はあるが、その有効性は未知数だ。

オバマ米大統領は各国首脳との電話協議などを通じて国際協力を呼びかけている。16日からイタリアで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議でもエボラ出血熱は議題に上る。感染拡大を防ぐためには、流行の中心である西アフリカ諸国への支援が何より重要だ。国際協力での封じ込めに手立てをつくしたい。

2014年10月16日 02時31分
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[読売新聞] 地方創生法案 特色ある戦略に知恵を絞ろう (2014年10月16日)

人口減少に歯止めをかけ、活力を取り戻すには全国一律でなく、地方の特色を最大限生かした取り組みが重要である。

地方創生の基本理念や国と地方の役割分担などを定めた「まち・ひと・しごと創生法案」が衆院で審議入りした。

法案は、今後5年間の総合戦略の策定を政府に義務づけた。都道府県、市町村にも、それぞれの総合戦略の作成を促している。戦略には、人口維持などの目標や施策の基本的方向性を明記する。

安倍首相は衆院本会議で、「地域の声に徹底して耳を傾け、従来の取り組みの延長線上にない政策を実行していく」と強調した。

民主党の渡辺周氏は、「理念法で具体策がない」と法案を批判した。首相は、「自治体や有識者の知恵を得つつ、総合戦略に盛り込む」と反論している。

法案はそもそも、具体的な人口減対策や地域振興策でなく、その進め方の大枠を定めるものだ。

まず自治体が、地元の地理的条件や伝統、地場産業などを踏まえて、独自の町づくりに知恵を絞る。その自助努力を政府が税財政措置や規制改革で後押しする。そうした方向性は妥当だろう。

各地の先進的な取り組みは、一定の成果を上げている。

島根県邑南町は、良質な和牛や野菜、酪農製品を生かした「A級グルメ」の町づくりを進める。都会の若者をシェフや農業従事者の研修生として積極的に受け入れ、観光振興にも結びつけている。

合計特殊出生率が2・81で全国1位の鹿児島県伊仙町は、「子宝の町」を掲げる。敬老祝い金の一部を子育て支援金に回すなど、地域全体で育児を支えている。

こうした事例は、他の自治体のヒントになろう。

政府は、自治体の総合戦略作りを支援するため、中央省庁の若手官僚を市町村長の補佐役として派遣することを検討している。霞が関の行政面の知見と地方の現場感覚をうまく合体させたい。

石破地方創生相は、使途の自由度が高い新たな交付金制度の創設を検討する考えを示した。「やる気のある地方の提案の競い合いが前提だ」とも語っている。

雇用創出や、若者の定住・移住促進、結婚・出産支援など、具体的な政策目標を定め、交付金の効果をきちんと検証できる仕組みにすることが大切である。

重要なのは旧来型の予算のばらまきを避けることだ。府省の縦割りによる事業の重複や非効率な予算執行も排除する必要がある。
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[読売新聞] 新聞週間 正確な報道で信頼回復したい (2014年10月16日)

真実を追究し、正確かつ公正に報じる。新聞の在り方が、今ほど問われている時はない。

新聞週間が始まった。虚偽証言に基づく慰安婦報道と、東京電力福島第一原子力発電所事故を巡る「吉田調書」の記事について、朝日新聞が誤りを認め、取り消すという問題が起きた中で迎えた。

新潟市で開かれた新聞大会で、朝日新聞の木村伊量社長は、「吉田調書」報道などに関し、「新聞メディア全体に対する信頼を大きく損なわせた」と謝罪した。

慰安婦問題の誤った報道については、「第三者委員会の検証結果を尊重したい」と述べた。

戦時中、韓国で女性を強制連行し、慰安婦にしたという虚偽の証言を、朝日新聞は繰り返し報じ、今年8月まで取り消さなかった。国による強制連行があったとの誤解が世界に広がり、日本の国益を損ねたことは間違いない。

一連の問題について、朝日新聞は、社内外のメンバーで構成される委員会も新たに発足させ、意思決定の過程や企業体質を今後、検証するという。

大会では、しっかりとした検証を望む声が上がった。朝日新聞には、問題点を洗い出し、再発防止策を講じることが求められる。

読売新聞が9月末に実施した世論調査では、「新聞が事実やいろいろな立場の意見を公平に伝えている」と回答した人は58%にとどまり、この質問を始めた1991年以来、初めて6割を切った。

「新聞報道を信頼できる」と答えた人は80%だったが、昨年より6ポイント減っている。逆に「信頼できない」という人は17%で、5ポイント増えた。国民が新聞報道に厳しい目を向けていることを痛感する。

読売新聞も2012年10月、日本人研究者の虚偽の説明に基づいて、「iPS細胞から作った心筋細胞を患者に移植した」という誤った記事を掲載した。

白石興二郎・読売新聞グループ本社社長は、掲載直後の新聞大会で、「新聞の信頼を傷つけたことを読者や関係者におわびしたい」と謝罪している。

インターネット上には、様々な情報があふれている。真偽不明のものも少なくない。こうした時代だからこそ、読者が新聞に期待するのは、記事の正確性だろう。

今年の大会では、「正確で公正な報道に全力を尽くす」との決議を採択した。国民の「知る権利」に応える。その重い使命を胸に刻み、新聞界全体で読者の信頼を取り戻す努力を重ねていきたい。
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[朝日新聞] 民間発の地方創生―「社会的投資」を突破口に (2014年10月16日)

安倍政権が重要政策に掲げる「地方創生」を巡り、国会で本格的な論戦が始まった。

「ばらまきはしない」。こう強調する首相は、各地の地域活性化への実例を引きながら「やればできる」「一緒に挑戦しよう」と自治体に呼びかける。

では、具体的にどんな政策を打ち出すのか。早速取りざたされているのは、1兆円を超える自治体向けの交付金や「ふるさと納税」の拡充などだ。

交付金は、国に納められた税金の一部を自治体に移す仕組みだ。ふるさと納税は、好きな自治体に寄付し、地元自治体などへの税金を軽くしてもらう。最近は過熱気味で、自治体間の税の奪い合いの様相だ。

ともに、国・自治体という「官」の内部での資金の配分を変える制度である。地方が自由に使える財源を増やし、自治体が創意工夫を競う仕組みへと見直していくことは大切だろう。ただ、国も地方も多額の借金を抱え、そもそも税収が足りない現状を忘れてはなるまい。

■行政だけでは限界

福祉や教育、環境保護など暮らしに身近な分野でも、行政の手が回らずに放置されている課題は少なくない。地域の活性化策も「官」任せでは知恵や財源に限界があり、縦割りの弊害もなくならない。

NPO(非営利組織)や中小企業、大学などの地域での社会的活動を支えるために、民間の資金を呼び込めないか。その資金のもとに官と民、産や学が集い、知恵を出し合って「自治力」を高めていけないか。

こんな問題意識から注目されているのが「社会的投資」である。

個人や企業が「社会のために」と出すおカネには、まず寄付がある。直接の見返りを求めない、渡し切りだ。

一方で、通常の株式や債券への投資でも、もうけるだけではない何か、を求める動きが広がる。社会貢献度が高そうな企業の株式が注目され、投資信託でも収益の一部を寄付に回す商品が関心を集める。

「社会的投資」は、この両者の中間と言えようか。

自分の生活のことを考えると、多額の寄付までには踏み切れない。ただ、もうけはそこそこ、トントンでもいいから、投じたおカネをすべて社会課題の解決に充ててほしい。そんな「志ある投資」を指す。

公益財団法人「京都地域創造基金」は、地元の住民や企業がおカネを出し合って作られた。理事長を務める深尾昌峰さん(40)の思いはこうだ。

■おカネの地産地消を

補助金を国から取る。工場を誘致して雇用を生む――。深刻な財政難や国際競争の激しさを考えると、そうした「よそから引っ張ってくる」発想自体が、もはや限界ではないか。

人口減や過疎化で「消滅自治体」すら話題になる厳しい状況の中で、地域社会を支えていくには、おカネの「地産地消」の流れを作ることがカギになる。

発想の起点は、自治体によるメガソーラー(大規模太陽光発電所)の誘致合戦だった。おひざ元の京都市も、東京の大手IT企業グループがからむ事業を呼び込んだが、これでは収益の多くが東京に流れ出し、地元での資金循環の効果が薄れる。

以前から地域興しで縁があった和歌山県印南(いなみ)町と組んで太陽光発電に乗り出した。1年前に立ち上げた「1号機」は、教鞭(きょうべん)を執る大学からの拠出と金融機関からの借り入れで資金をまかなった。初年度の利益は、約1千万円の見込み。この一部で基金を作り、地元のNPOなどへの助成に回す。地域を元気にし、新たな資金を生む好循環を目指した一歩だ。

今月に同県串本町で稼働した「2号機」は、借り入れに加え、個人からの投資受け入れを実現した。より理想に近い「市民発電」だ。

■後押しが政府の役割

「都市部だけでなく、地方にも資金は眠っている。社会的投資への関心も、確実に広がっている。新たな動きを後押しすることこそが政治の役割ではないか」。深尾さんは言う。

実際、資金はある。株式投資を促す少額投資非課税制度(NISA)の口座開設が相次いだり、税制上の優遇措置をつけたことで祖父母から孫への贈与が急増したりしているのは、その表れだろう。こうしたお金を、個人や家系を超えて社会の中へ導き出せるかどうか。

昨年、英国で開かれた主要国首脳会議(G8サミット)では、キャメロン英首相が社会的投資に関する検討チーム立ち上げを提唱し、9月には課題を整理した報告書が公表された。社会的投資は、財政難や高齢化、低成長に直面する先進国に共通する関心となりつつある。

日本政府も、従来の発想や制度を超えて、民間発の新たな動きに応じていく時ではないか。

「地方創生」は、国のあり方をも問い直している。
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