2014年10月13日

[東京新聞] 原発説明会 手続きで終わらせるな (2014年10月13日)

川内原発再稼働への地元同意を前に、再稼働の審査に関する住民説明会が始まった。火山の影響は。避難の手順は。御嶽山の噴火で不安は募る。せっかくの機会をただの手続きにしてはならない。

原子力規制委員会は先月十日、川内原発が3・11後の新たな原発規制基準に「適合」しているとの審査結果を公表した。

その二日後、政府は周辺自治体の避難計画などを了承し、「安全性の確保が確認された」という内容の文書を、原発が立地する鹿児島県と薩摩川内市だけに交付した。

再稼働に向けての関門は、地元同意を残すだけだとされている。だが問題は、どこまでが原発の「地元」になるかの線引きだ。

鹿児島県の伊藤祐一郎知事は「薩摩川内市と県だけ」という姿勢を崩さない。原発から半径三十キロ圏では、国の指針に基づいて、事故に備えた避難計画作りを義務付けられている。原発事故で重大な被害を受ける恐れがあるから、避難計画が必要なのに、である。

川内原発の三十キロ圏内には、薩摩川内市のほかに八つの市町が含まれる。危険にさらされている以上、最低限、「地元」とみるのが当然ではないのだろうか。

そのうちの一つ、鹿児島県姶良市議会は今年七月、川内原発の再稼働はおろか、廃炉を求める意見書を圧倒的多数で、可決した。

鹿児島県主催の住民説明会は、原発三十キロ圏にある九市町のうち、比較的人口の多い五市町で開催され、原子力規制庁の担当者が、新規制基準に適合と判断した理由などを説明する。

川内原発の近くには多くの火山がある。御嶽山の噴火以来、原発と火山の近くで暮らす住民は、事故への不安を、一層募らせているはずだ。住民との貴重な接点を、一方的な説明だけに費やさず、噴出する新たな不安を、より広く受け止める場にすべきである。

絶対の安全はない、という共通認識はできている。どんな危険が残るのか。対策は取れるのか。住民は答えを求めている。説明はまだ足りていない。

説明会には、県外からの参加が認められていない。しかし、原発被害が県境をたやすく越えて、より広範に及ぶと、福島の事故は教えてくれた。

審査結果公表直後の意見公募には「形だけ」との批判も多い。メディアを通じて日本中に審査結果を説明した上で、もう一度、声を集め、再考の糧にすべきである。
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[産経新聞] 【主張】体育の日 意味ある日付に戻したい (2014年10月13日)

「体育の日」は、昭和39年10月10日に行われた東京五輪開会式を記念し、41年に制定された国民の祝日だ。

平成12年からはハッピーマンデー制度により、「10月10日」から「10月の第2月曜」に移動された。今年は13日がその日となった。

感動的だった開会式から50年に当たる節目の10日には、五輪を記念する多くの催しが行われ、新聞各紙やテレビ各局は特集を組んだ。「体育の日」を前に、記念行事はほとんど終わってしまったようである。

本来の趣旨が見失われているとはいえないか。「体育の日」を制定当時の10月10日に戻して固定することを検討すべきだ。

ハッピーマンデー制度はカレンダーに3連休を増やし、国民の余暇の利用で経済効果にも期待したものだ。「成人の日」「海の日」「敬老の日」「体育の日」がそれぞれ、固定日の祝日から同じ月の月曜に移動した。

このうち「海の日」については自民党が開会中の臨時国会で、制定時の7月20日に戻す祝日法の改正案提出を目指している。

「海の日」は明治9年7月20日、東北・北海道巡幸を終えた明治天皇が還幸(かんこう)の際、函館から灯台巡視船「明治丸」に乗り、横浜港に着いた日を記念して制定した。現行では「7月第3月曜」に改められている。

歴史的経緯を踏まえて固定することで本来の趣旨を国民に周知する?とする自民党の提案理由に賛成だ。併せて「体育の日」についても、同じ理由で10月10日に固定することを考えてほしい。

国立競技場に聖火が点火され、航空自衛隊機が雲ひとつない晴天に5つの大輪を描き出したあの日を真に記憶にとどめるために、やはり「体育の日」は固定されることが望ましい。

東京五輪から50年の節目にある今こそ、次の50年を見据え、「体育の日」の意義を再考する時期にふさわしい。6年後には、東京で再びオリンピックとパラリンピックが開催される。

「体育の日」は祝日法で、「スポーツに親しみ、健康な心身をつちかう」ことを旨として制定されている。

加えてこの機に、より五輪運動と連動し、友情や連帯に寄与する「スポーツの力」を見直す日として周知されることを望みたい。
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[産経新聞] 【主張】介護報酬改定 まずは職員の待遇改善だ (2014年10月13日)

介護の担い手が不足したのでは、これからの高齢社会を乗り切ることなどできない。安倍晋三政権は来年度の介護報酬改定で、思い切った介護職員の待遇改善に踏み込む必要がある。

介護職員は現在170万人ほどだが、団塊世代が75歳以上となる平成37年度には240万?250万人が必要とされる。

ところが、仕事の厳しさに比べ賃金が低く、思うよう職員が集まらぬ事業所は少なくない。「将来設計が描けない」などとして離職する人も依然、後を絶たない。

厚生労働省の調査によれば、全産業の平均給与は月額32万4千円だが、介護職員は23万8千円だ。訪問介護に携わるホームヘルパーに限れば21万8千円にとどまる。政府は「医療から介護」「施設から在宅」へのシフトを目指し、地域包括ケアシステムの構築を急いでいるが、人材を確保できなければ画餅に帰すだろう。

政府内では介護人材不足の穴埋め策として、外国人労働者の大量受け入れも検討しているが、それではさらなる給与水準の低下を招きかねない。介護の仕事に魅力を感じている人が、安心して働き続けられるよう賃金や職場環境を整えることが先決である。

看過できないのは、厚労省が公表した介護サービス事業所の経営実態調査で、大半の施設や事業所で高い利益率を確保していたことだ。前回の介護報酬がプラス改定になったのは職員の待遇改善が大きな理由だったはずだ。

それどころか、特別養護老人ホーム(特養)は、毎年の黒字をため込んだ「内部留保」が1施設当たり3億円超もあるという。特養の多くは社会福祉法人が運営しているが、「非営利」であるがゆえに原則非課税などの優遇を受けている。職員給与や提供するサービスの水準を必要以上に抑制することで、これらの利益を生んでいたとするならば本末転倒だ。

これでは財務相の諮問機関・財政制度等審議会から「6%程度引き下げ」要請が出たのもやむを得まい。介護事業者は利益を極力、職員の待遇改善に回すべきだ。

政府はさらなる処遇改善策を検討しているが、ボーナスや手当でなく基本給が上がらなければ意味がない。どう待遇改善が図られたかをしっかりチェックし、実績を挙げた事業所に報酬を加算する仕組みとすべきである。
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[東京新聞] 「イスラム国」拡大 テロの土壌なくしたい (2014年10月13日)

イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」に加わろうとしたとして、北海道大生(26)が警視庁公安部の事情聴取を受けた。本当に戦闘員を目指していたとすれば、テロの芽は早急に摘みたい。

日本人の「イスラム国」参加の動きが明らかになったのは初めて。事情聴取は刑法の私戦予備・陰謀の疑いで、学生は東京都内の古書店でシリア行きを呼び掛ける張り紙を見て応募、七日に渡航予定だったとされる。

「イスラム国」打倒のため米国は先月、国連決議のないままシリア空爆に踏み切った。一方で、国連安全保障理事会は、テロ目的の海外渡航者を処罰する法整備を加盟国に義務付ける決議を全会一致で採択、空爆で足並みのそろわなかった国際社会は中国、ロシアを含めテロ防止では結束している。

「イスラム国」に参加する外国人戦闘員は、八十カ国以上から一万五千人以上に上るという。アラブ諸国以外の出身国別では、ロシア約八百人、フランス約七百人、英国約五百人、ドイツ約四百人、米国約百人などとされ、欧米諸国が目立っている。

中東に地理的にも近く移民も多い欧州に、テロの温床があることは「イスラム国」以前にも指摘されていた。二〇〇五年七月、五十二人が犠牲となったロンドン同時テロの実行犯らは英国籍の若者たちだったことから、各国はテロ対策に神経をとがらせていた。

米太平洋軍司令官は、アジア・太平洋地域からの戦闘員参加も約千人に上ると言明。中東情勢に詳しい加藤朗・桜美林大学教授は「インドネシア、フィリピンなどのイスラム教徒が中心だろう。国内での差別に対する鬱積(うっせき)に加え、『イスラム国』という“国”を造る目標もある」と指摘する。

イスラム社会以外でも社会からの疎外感、貧富の拡大など若者たちをテロ組織へと駆り立てる土壌はある。大学生は行き詰まりを感じていたとされる。しかし、行くのは気軽でも現地で待つのは容赦もルールもない過酷な戦争だ。命を落とす危険も大きい。スパイを疑われ、簡単に受け入れてもらえるかどうかも疑問だ。

戦闘員参加拡大の背景にはネットによる勧誘効果もうかがわれる。「イスラム国」に向かおうとする日本人がさらに出てくる可能性もある。安易にテロ組織に走るべきではない。そうさせないためにも、格差や差別をなくし、若者たちを絶望に陥らせないような社会にしていくことが重要だ。
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[毎日新聞] 社説:18歳選挙権 今国会でこそ実現を (2014年10月13日)

もう先送りは許されない。現在は20歳以上である公職選挙の投票権の「18歳以上」への引き下げに向けた与野党の協議が動き出している。2016年夏の参院選で「18歳投票」を実現できるかが焦点だ。

少子高齢化が進み、将来を担う世代の給付や負担が政治の大きな課題となる中、若い世代の政治参加を定着させる意味でも引き下げは待ったなしだ。自民、民主など各党が「2年以内の引き下げ」で合意している意味は重い。今国会で公職選挙法改正を実現すべきだ。

「18歳選挙権」問題が動いているのは憲法改正の手続き法である改正国民投票法が今夏に成立したことを踏まえたものだ。改正法は国民投票の有権者の年齢を当面「20歳以上」とし、18年6月21日以降は「18歳以上」に引き下げることを確定した。改正にあたり自民、民主など8党は選挙権についても2年以内に18歳以上への引き下げを目指し、その場合は国民投票年齢の引き下げも前倒しすることで合意した。

そもそも国民投票法は10年の施行時に国民投票、選挙権年齢双方とも「18歳以上」にそろえることが想定されていたはずだ。今日まで遅れていること自体、政治の怠慢以外の何物でもない。

たとえ解禁対象となる年代の人口が有権者全体に占める比率が低くとも「18歳選挙権」の実現は若者の政治参加を促進し、政治への関心を高める効果が期待できる。せっかく有権者にネット選挙運動を解禁しながら18、19歳に運動が認められないというのが現状だ。高校在学中から教育の場で主権者としての意識を養い、若年層の低投票率傾向に少しでも歯止めをかけるべきだ。

衆院憲法審査会事務局によると、確認できた国・地域の9割超で18歳選挙権が認められる。国際標準であるだけでなくヨーロッパ、南米では「16歳選挙権」の例もある。日本を例外扱いする理由などあるまい。

気がかりなのは選挙年齢を引き下げた場合18、19歳の未成年による選挙違反を少年法の適用除外とすべきかについて各党の調整が難航する可能性があることだ。やはり選挙権年齢との関係で議論がある成年年齢について、衆参憲法審査会はまず選挙権年齢引き下げを先行させるよう決議している。少年法との関係についても「18歳選挙権」の実現を優先すべきだ。

スコットランドの独立の是非を問う住民投票の投票権は16歳から認められた。超高齢化、人口減少社会の日本で若者が政治に参加する風土を育てる意味は大きい。今国会での実現を逃すようだとまた、先送りが続きかねない。大局的な見地から各党は歩み寄ってほしい。

2014年10月13日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:カジノ法案 解禁ありきに反対する (2014年10月13日)

カジノ解禁をめぐる議論が熱を帯び始めた。「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)について、安倍晋三首相は参院予算委員会で「経済成長に資する」と述べ、改めて積極的な姿勢を表明した。

一方、カジノ解禁を目指し法案をまとめた超党派の「国際観光産業振興議員連盟」は、ギャンブル依存症対策を念頭に、日本人の利用に一定の条件を付ける内容で法案を修正し、今国会成立を図る方針とされる。

議連は先週、カジノ利用を当面外国人に限定する方向で議論をまとめようとした。だが、異論が出て幹部会で方針転換した。カジノ解禁には、負の側面からの徹底検証が必要だ。そもそも成長戦略の名の下、国を挙げて賭博を推進することに正当性があるのか疑問だ。解禁ありきで審議を進めることに反対する。

この法案は、民間資本を導入しカジノやホテル、会議場などの施設整備を目指すものだが、核心はカジノ解禁だ。議連が方針転換したのは、外国人だけではカジノの採算が取れないことが自明だからだろう。

日本人には、入場資格を設けたり入場料を徴収したりすることを想定する。だが、入場資格の線引きは容易ではない。解禁慎重派に配慮して日本人解禁の先送りを打ち出しながら方針を変えること自体ご都合主義的で、真剣にギャンブル依存症と向き合おうとしているとは思えない。

2020年の東京五輪を見据え、観光客の増加、税収増などによる地域経済の振興、雇用の創出などプラスの側面を推進派は強調する。だが、米国では今年、開業間もないカジノが倒産し、カジノ産業の陰りが見えてきた。依存症対策など社会的コストも大きい。アジアにはマカオやシンガポール、韓国などに既にカジノがあり、共存できる見通しは定かではない。カジノ解禁による経済効果は、進出してくる外国資本にほとんど吸い上げられるのではないか。経済的観点からも疑問は尽きない。

それ以上に考えるべきは、金を賭ける側が結局は損をするというギャンブルの特性だ。カジノは賭博性が特に高く損失もけた違いになる。

弁護士や経済学者がアジアを中心にカジノを視察したところ、ギャンブル依存の揚げ句の自殺や失業、借金による家庭崩壊などの事例は枚挙にいとまがない。風紀も乱れ地域がすさむ。また、自国民から高い入場料収入を取っても、ギャンブル依存者数は減っていないという。

日本には公営ギャンブルのほか、全国にパチンコ店があふれる。ギャンブルの全体像を踏まえた依存症対策についての議論が欠かせない。国会は諸外国の事例について実態を把握し、冷静に検討すべきだ。

2014年10月13日 02時35分
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[朝日新聞] 公設民営学校―本当に必要なのか (2014年10月13日)

公立校の運営を塾やNPO法人に委ねる。

「公設民営学校」と呼ばれる新しいタイプの学校づくりを、大阪市が進めようとしている。国家戦略特区制度を活用した国内初の試みだ。

今の臨時国会で関連法案が通れば、大阪市は18年度にも中高一貫校を立ち上げる。海外の大学入学資格を認める「国際バカロレア」の認定を受けるコースのほか、理数系や英語に特化した学科を併せ持つ学校が検討されている。

私立学校と違い、校舎や校地は自治体が用意する。教職員の給与も税金でまかなう。卓越したノウハウや人材を用意できれば、大きな資金がなくても教育に参入できる仕組みだ。子どもや親にとっても、公立並みの学費でニーズに合った教育を受けられるメリットがある。一方で、教育の質をどう担保するかという課題もある。

実現を目指すというのであれば、その必要性を十分に吟味することが肝心だ。

日本の公教育の強みは、どの地方に住んでも同じ水準の授業が受けられることだ。

ただ、画一的であるがゆえに、不登校の子や日本語がうまく話せない外国人など、特別な支援が必要な子のニーズにこたえきれていない現状もあった。

従来の公立校では十分に対応できなかった分野を、外部の専門家に委ねる。そういう目的であれば、公教育の幅を広げる意味で検討に値するだろう。

国際バカロレアの認定校になるには、複数の教科を英語で教えられる教員の確保が必須だ。自前で用意するのは難しく、民間の力を借りることが不可欠――大阪市はそう説明する。

一方で大阪市は「公教育への民間参入を促すことで市場の開拓を図る」とも主張している。

だが、大切なのは教育目標を達成することであって、公教育を民間に開放することが目的ではないはずだ。

東京都や札幌市は、従来の公立校の枠組みの中で教員を確保し、国際バカロレア認定校を設立しようとしている。

大阪市立の中学、高校には、5千人を超える教員がおり、優れた指導力をもつ人材もいる。教員にはない専門知識や経験のある人が必要であれば、社会人を教員として迎え入れる「特別免許状」という制度もある。

公設民営学校作りを急ぐ前に、メリット、デメリットを出し合い、現行制度の活用の可能性も含めて、議論を尽くすべきだ。大阪市を後押しする政府も丁寧に説明する責任がある。
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[朝日新聞] 原発なき夏冬―節電実績を変革の糧に (2014年10月13日)

原発事故後初めて、「原発ゼロ」で迎えた夏が終わった。

昨夏は動いていた原発2基が止まった関西電力は、火力など他の発電設備をフル稼働し、東京電力からの融通も合わせてなんとか電力需要のピーク時に3%の余裕を保つ計画だった。実際は最も需給が厳しかった7月25日でも6・6%を維持し、東電の融通も受けずに済んだ。

夏の気温が低く、全体の需要を押し下げたのは間違いない。だが、関西の需要のピーク日は大阪で37度を超すなど猛烈な暑さだった。にもかかわらず比較的ゆとりがあった理由について、関電は想定を108万キロワット上回る節電があったと分析した。ほぼ原発1基分である。

原子力規制委員会の審査が最も進んだ九州電力川内原発の再稼働も来年にずれ込む見通しで、この冬も原発ゼロが続きそうだ。楽観はできないが、ここまでの実績は励みになる。

関電管内でのアンケートでは、9割超の事業所と7割近い家庭が「節電に取り組んだ」と回答した。多くの利用者は、できる限り節電に協力しようとしている。

こうした努力に比べ、電力会社側の取り組みは遅々としているように見えてならない。

古い火力発電所は故障のリスクがあり、電力各社は「安定供給には原発再稼働が不可欠」との立場を変えない。燃料費が経営を圧迫しているとして、北海道電力は11月に料金を再値上げする。他社も追随を模索する。

だが、あくまで原発にこだわる姿勢が、経営環境の変化に対応していくために必要な改革にブレーキをかけてはいないか。

福島第一原発事故後の安全策強化で、原発の売り文句だった「安くて安定的な電源」は過去のものとなった。16年以降の電力自由化によって、経費を料金で回収できる総括原価方式が撤廃されれば、経営上の重荷になる可能性も高まっている。

生き残るためにも、電力会社は代替電源を確保し、原発頼みを改めていくしかあるまい。

ここにきて、電力各社が他地域への供給に乗り出す動きが目立ち始めた。一方、送電線の容量が足りなくなったとして、再生可能エネルギーの買い取りを多くの社が中断した。事故から3年半を経ているのに、なんともちぐはぐな対応に見える。

電力各社は、節電に幅広い協力が得られている今を大切な過渡期と位置づけ、「脱原発依存」の経営戦略をしっかり打ち立てるべきだ。「とにかく再稼働を」と繰り返すばかりでは、もう利用者に響かない。
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[読売新聞] リニア新幹線 現行計画に死角はないのか (2014年10月13日)

JR東海が認可申請しているリニア中央新幹線の整備計画について、国土交通省による審査が進められている。

2027年に東京―名古屋間で開業する計画だ。45年の大阪延伸も視野に入れている。

リニアは超電導技術を駆使し、磁力で浮いた列車が時速500キロ超で走る。最速の新幹線でも2時間25分かかる東京―大阪間が、約1時間で結ばれる。

旧国鉄時代から最先端の技術開発に挑み、高速鉄道のフロンティアを開拓した意義は大きい。

広大な国ではなおさら、超高速のリニアは有用だ。安倍政権が成長戦略の柱に掲げるインフラ輸出への期待も高まっている。

とはいえ、総額9兆円に上る巨大プロジェクトである。このまま進めていいかどうか、慎重に判断する必要がありそうだ。

建設費の大半をJR東海が負担し、国や地方の支出に頼らないのは評価できるが、そのために国交省の審査が甘くなっては困る。

国交省は、日本の交通政策での位置付けや採算性、環境への影響なども勘案し、総合的に認可の当否を判断すべきだ。

リニアには、3大都市圏の往来を活発にし、経済を活性化させる効用が見込まれる。

一方で、人や企業が大都市に集中する動きを助長し、地方の衰退に拍車をかける副作用を心配する声もある。新幹線が開通した地域では、大都市に人口が流出し、かえって地盤沈下した、との不満がくすぶっている。

全国に延びる新幹線とは裏腹に、大切な地元の足だった多くの地方鉄道が、廃線に追い込まれた。地方創生が課題となっている今こそ、公共交通機関である鉄道網の将来像を、十分に検討することが求められる。

工事が周辺の環境に及ぼす影響への目配りも重要である。

計画区間の9割をトンネルが占めるリニアの工事では、掘り出す土が東京ドーム50杯近くになる。その2割は、置き場所が決まっていない。掘削による地下水の枯渇や水質悪化も懸念される。

人口減少による人手不足や資材高騰の影響で、建設費が今後、大きく膨らむ可能性も指摘される。JR東海は、建設費や運賃収入の見通しをさらに精査し、事業採算性を入念に点検してほしい。

着工後に見積もりの甘さが露呈すれば、JR東海の経営が揺らぐばかりでなく、運賃値上げや財政負担で国民にしわ寄せが及ぶ恐れがある。拙速は避けたい。
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[読売新聞] テロ財産凍結法 資金面から暗躍を封じたい (2014年10月13日)

世界中に拡散するテロ集団の活動を阻止するため、日本も有効な対策を講じねばならない。

政府が、国際テロリスト財産凍結法案を臨時国会に提出した。テロリストの動きを資金面から封じ込めるのが目的だ。

国連安全保障理事会決議に基づき、安保理制裁委員会などが「国際テロリスト」として指定した360人、89団体が、現時点での規制対象だ。アル・カーイダやアフガニスタンの旧支配勢力タリバンの関係者らが該当する。

法案は、対象者・団体が都道府県公安委員会の許可を受けないまま、日本国内の口座から預貯金を引き出したり、不動産を売却したりするのを禁じている。

相手がテロリストと知りながら経済取引することも禁じる。

日本に潜伏したテロリストが、協力者から資金援助を受けるのを断つ。資産を現金に換えられないようにする。こうした効果が期待できるだろう。

政府は、犯罪収益移転防止法を改正し、マネーロンダリング(資金洗浄)に対する監視体制も強化する方針だ。

日本は、テロ資金対策の甘さを指摘されてきた。国境をまたぐ経済取引については、外為法の規制があるが、国内取引を規制する法律がないためだ。

資金洗浄やテロ資金対策について、各国の取り組みを評価する国際組織FATF(金融活動作業部会)は6月、日本を名指しし、国際標準に沿った法整備を急ぐよう異例の声明を出した。

このまま放置すれば、日本の金融機関が「テロ資金の抜け穴」との見方が広がり、国際的な信用を落としかねない。

無論、テロ対策は資金面だけでは不十分だ。テロリストの動きを察知し、摘発することが重要である。国際テロ集団と日本人との関わりについても警戒が必要だ。

国際社会が掃討作戦を繰り広げるイスラム過激派組織「イスラム国」を巡っては、大学生が戦闘員になるために渡航を企てたとして、警視庁が私戦予備・陰謀容疑で捜査に乗り出した。渡航計画には元大学教授が関与していた。

テロ集団などが重大犯罪を計画した段階で処罰対象とする「共謀罪」創設を柱とする組織犯罪処罰法改正案は、国会提出が見送られた。FATFが法整備を求めており、今後の検討課題だ。

2016年に主要国首脳会議(サミット)、20年には東京五輪を控える。備えを強化したい。
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