2014年10月11日

[東京新聞] ノーベル平和賞 17歳の勇気を支えよう (2014年10月11日)

「世界のすべての子どもにペンと本を」−。ノーベル平和賞に決まったパキスタンの少女マララ・ユスフザイさんの訴えだ。貧しい国の子どもたちが皆、学校に通い勉学に励むよう支援したい。

マララさんは十七歳。ノーベル賞全部門の受賞者の中で史上最年少だ。児童教育の向上を目指す活動が評価された。インドの児童権利擁護活動家カイラシュ・サトヤルティさんとともに選ばれた。

マララさんは十一歳のときからウェブサイトで、イスラム過激派に脅されて学校に行けない女子生徒の様子を伝えた。二〇一二年十月、過激派に頭を撃たれて重体になり、英国に搬送され大手術を受けて奇跡的に回復した。

世界中から届いた義援金と自伝の印税を元に「マララ基金」をつくり、貧しい国々の子どもの就学を支援している。昨年七月、国連で演説し、「私たちの口をふさごうとしたテロリストの試みはついえた」「ペンと本を手に取ろう。教育こそが唯一の解決策だ」と訴えた。世界中の人々がどれほど励まされたことか。

国連の推計では、全世界で小学校に通えない子どもは約一億人、児童労働者は一億六千八百万人いる。読み書きや計算ができないままでは、希望する仕事に就けない。育児でも苦労する。次世代にも深刻な影響がでるのだ。

不幸なことに、教育の権利を奪う極端な思想がむしろ広がりをみせている。イラク、シリア両国の一部を占拠したイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」は女性の教育どころか、外出にまで目を光らせる。ナイジェリア北部のイスラム過激派ボコ・ハラムは四月、中学校を襲撃し、女子生徒二百人以上を拉致した。

マララさんに対する殺害予告は今も続く。滞在先での身辺警備には万全を期してほしい。世界に勇気と非暴力の大切さを教えてくれた十七歳の少女を、今度は私たちが支えなければならない。

同時受賞したサトヤルティさんは、インドの労働搾取から児童たちを救い、更生させる国際活動を三十年以上続け、ガンジーの精神を今に伝えたことが評価された。

二人の受賞者は、ヒンズー教徒のインド人とイスラム教徒のパキスタン人。ノーベル賞委員会は、二人がそれぞれ、過激思想に立ち向かい教育の権利拡大という共通の目的に取り組んでいると強調した。印パ両国の指導者にも和解を促したメッセージといえる。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】電力会社の提携 料金値下げに結びつけよ (2014年10月11日)

東京電力と中部電力が火力発電の分野で提携し、液化天然ガス(LNG)などの燃料調達を一本化する。老朽化した火力発電所の建て替えなども検討するという。

大手電力同士が本格的に手を組むのは初めてだ。LNG購入で海外との交渉力を強めて割高な価格を是正し、電気料金値下げにつなげてほしい。

電力市場は2年後に全面自由化され、電力会社の営業地域を越えた本格的な競争時代を迎える。多様な料金やサービスの競い合いを通じて利便性の向上が問われるだけに、中部電の首都圏進出につながるこの提携は歓迎したい。

国内では原発稼働がゼロの状態が続いており、原発に代わってLNGを中心とした火力発電がフル稼働している。これに伴い、中東などからのLNG輸入も増えているが、代替電源が乏しいために足元をみられ、欧米よりも2割以上高い値段で買わされている。

東電と中部電は新会社を設立し、LNGなどの調達を統合する。両社合計のLNG購入量は年4千万トンと単独の輸入元としては世界最大になるという。こうした規模のメリットを活用して海外の資源国と交渉にあたり、不利な条件の改善に努めるべきだ。

他の電力会社やガス会社なども、もっとLNG調達で協力すべきだ。政府を含めてオールジャパンの体制で購入価格の引き下げに取り組んでほしい。

両社は燃料調達だけでなく、東電が持つ老朽火力の建て替えや新発電所の共同建設も協議する。東電はコスト削減で原発事故の賠償や除染費用を捻出し、中部電は関東地方に本格進出する狙いだ。

思惑の違いを乗り越えて提携の実を挙げる努力が問われよう。

低廉で安定的な電力供給は、暮らしと産業を支える基盤だ。だが、原発の全面停止で電気料金は震災前に比べて家庭用で2割、産業用では3割も値上がりし、日本経済の大きなマイナス要因だ。

毎年夏と冬に節電も繰り返されており、電力不足の解消も急務である。電気料金を本格的に引き下げ、電力の安定供給を確立するには、安全性を確認した原発を早期に再稼働させる必要がある。

両社の提携は、原発事故を起こした東電を国有化した政府が後押しした。それだけに、政府は原発再稼働に向けた大きな責任があることも忘れてはならない。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】ノーベル平和賞 「マララの夢」への弾みに (2014年10月11日)

ノーベル平和賞は若者に対する抑圧に抵抗し、全ての子供が教育を受けられるよう努力したインドとパキスタンの男女への授与が決まった。

途上国を中心にテロや紛争、差別、貧困などのため学校に通えない子供は少なくない。女子教育を敵視し、学校を破壊する過激集団もある。授賞には、そうした現実に世界の目を向けさせる意義がある。

パキスタンで女子の教育の権利を訴え武装勢力に銃撃されたマララ・ユスフザイさんは現在17歳で史上最年少の受賞となった。

「全ての子供たちが教育を受けられるようになるのが私の夢」と繰り返し語ってきた少女の勇気をたたえ、「マララの夢」を実現する弾みとしたい。

2年前、マララさんを襲ったのはパキスタン北西部に浸透した「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の一派だ。下校バス内での銃撃とはあまりに残忍だ。

重体となったマララさんは英国に搬送され、治療を受けて奇跡的に回復した。同国にとどまり、女子教育の重要性を訴えている。

今年4月にはアフリカのナイジェリアで女子生徒200人余が武装集団に拉致されるという事件があり、世界を震撼(しんかん)させた。

現地語で「西洋の教育は罪」を意味する「ボコ・ハラム」の仕業だった。女子生徒を「奴隷として売る」のだという。マララさんは現地を訪れ、拉致された生徒の家族らと面会し、励ましている。

世界の少女たちを苦しめているのは、過激集団による女子教育の否定だけではない。

風習により幼い結婚、望まない妊娠を強いられたり、紛争地で性的暴力の危険にさらされたりしている。国際社会が力を合わせ、取り組んでいかねばならない。

もう一人の受賞者は、インドで長年、児童労働の禁止と撤廃を訴え続けた非政府組織(NGO)代表、カイラシュ・サトヤルティさんである。雇用主に掛け合い、大勢の子供を学校に入れた。

南西アジアは若年層の人口が厚い。領土問題などで対立する印パ両国から、子供の教育という共通の目的で活動する2人が選ばれたことを歓迎したい。

途上国での教育の普及は、差別、貧困の撲滅や過激集団の浸透を許さない地域作りにつながるものといえる。日本が担うべき役割も大きい。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[東京新聞] アスベスト判決 「公害」の救済を早く (2014年10月11日)

アスベスト(石綿)工場の元従業員が受けた健康被害に対し、最高裁は国の責任を認める初判断をした。中皮腫や肺がんなどを患う原告たちは、もう七十代にもなる。一刻も早い救済が迫られる。

大阪府南部の泉南地域には、一九六〇年代から七〇年代にかけての最盛期で、二百社以上もの石綿工場があった。多くは従業員が十人にも満たない零細な工場で、石綿糸や石綿布などをつくる紡織業が地場産業だった。

耐火性や耐熱性に優れたアスベストは、安価な断熱材として使われた。戦前は軍需産業に、戦後は自動車や造船、鉄鋼など多くの産業分野に製品を供給してきた。高度成長を支えたのが、この繊維状鉱物だったといえる。

だが、アスベストは深刻な健康被害をもたらす。呼吸障害を引き起こす石綿肺や中皮腫、肺がん…。発症まで十年から四十年もの潜伏期間があるとされ、「静かな時限爆弾」とも呼ばれるほどだ。

旧労働省が五〇年代半ばに行った研究報告では、どの工場でも粉じんの濃度が高く、勤続年数が長いほど発症率が高いことが分かった。五八年には石綿肺との医学的な関係も解明された。

国はすぐに対策を講ずるべきだった。最高裁は「粉じんの発散源となる機械に局所排気装置を設置することが最も有効な方策だった」とし、「罰則をもって石綿工場に同装置を義務づけなかったことは違法」と明確に述べた。

粉じん対策の違法性を認めたことは、他のアスベスト訴訟にも大きな影響を及ぼすだろう。国を相手取った訴訟は、他にも十二を数えるのだ。とくに建設アスベスト訴訟が注目される。

六〇年代から約一千万トンも輸入された石綿の約八割は建材などに使われてきたからだ。長い間、全国の建設関係者の健康をむしばむ原因をつくってきた。国はブレーキをかけるべきなのに、十分な対策もとらず、建設現場などで大量の粉じんを浴びさせてきたのではなかったか。

石綿肺については、戦前の旧内務省保険院の検査で既に危険性は報告されていた。それでいて、戦後もアスベストの経済性ばかりに目をやって、多くの人々の生命と健康を犠牲にしてきたのではないか。

予測された「公害」と呼ぶべきである。二〇〇六年には石綿健康被害救済法ができたが、補償額の不十分さなどが指摘されている。抜本的な救済策を望む。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 社説:マララさん受賞 子供の未来を守ろう (2014年10月11日)

子供の教育の権利を訴えてきたパキスタンの少女マララ・ユスフザイさん(17)と、児童労働への反対運動に取り組むインドの人権活動家、カイラシュ・サティヤルティさん(60)に今年のノーベル平和賞が授与されることになった。マララさんは女子教育を敵視する過激派に襲われたが奇跡的回復で活動を再開し、世界に感動の輪を広げ、史上最年少のノーベル賞受賞者となった。勇気と信念が評価されたことを祝福したい。

マララさんは2年前、故郷のパキスタン北西部でイスラム過激派武装勢力「パキスタン・タリバン運動」の男たちに銃撃され、英国の病院に運ばれて治療を受けた。現在は両親と英バーミンガムに住み、地元の学校に通う一方、世界各地で子供や女子への教育の必要性を訴えている。

昨年7月に国連本部で演説し、テロ行為を非難する一方で平和と寛容を呼びかけ、世界の指導者に「すべての子供に無料の義務教育を」と訴えた。今年7月には西アフリカのナイジェリアで講演し、イスラム武装勢力「ボコ・ハラム」が4月に誘拐した女子生徒約270人の解放を求め、過激派がイスラム教を歪曲(わいきょく)して悪用していることを非難した。

マララさんの故郷では伝統的に女性の地位が低かったが、教育の必要性を説いた父の運営する女子校で学ぶことができたという。昨年、英BBCのインタビューにマララさんは「力をつけてパキスタンに帰る」と故郷への思いを語ったが、武装勢力は今も殺害の脅迫を続けている。まだ若い彼女の将来を思い、過度に英雄視せずに周囲が温かく見守っていくことも必要だろう。

一方、サティヤルティさんは1989年に「南アジア子供奴隷解放連合」を設立し、インドのカーペット工場やスポーツ製品工場などで奴隷状態で働かされている子供たちの解放と教育、社会復帰に取り組んできた。児童労働に反対する国際的ネットワークを築き、じゅうたんに生産過程で児童が雇用されていない保証の印をつける「ラグマーク運動」を発案したことでも知られる。

ノーベル賞委員会は2人の「子供や若者への抑圧に反対し、すべての子供の教育の権利を求める闘い」を授賞理由に挙げた。同時に「インドとパキスタンがともに過激主義と闘うことの重要性」にも触れ、歴史的に対立関係にある両国の和解への呼び水となることにも期待を込めた。

「1人の子供と1人の先生、1冊の本、1本のペンが世界を変えることができる」。マララさんが国連で訴えたこの言葉をかみしめ、彼女らとともに世界の子供たちの未来を守るために私たちに何ができるのか、一人一人が考える機会にしたい。

2014年10月11日 02時30分
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 社説:石綿被害判決 国の怠慢もう許されぬ (2014年10月11日)

大阪府南部地域のアスベスト(石綿)関連工場の元従業員らが起こした集団訴訟で最高裁が国の責任を初めて認めた。産業発展を優先し労働者の健康対策を後回しにした国に被害者の救済を迫る当然の判決だ。

訴訟は2陣に分かれ、四つの大阪地・高裁判決のうち三つは国の責任を認めた。だが、第1陣の高裁判決は、厳格な規制は産業の発展を阻害するとして原告が敗訴した。労働者の生命・健康と経済効率のいずれを重く見るかで判断が分かれた。最高裁判決は、国民の健康を優先すべきだとする最近の司法の流れを定着させるものと言える。

この地域は約100年前から紡織業が盛んになり、戦後も自動車や鉄鋼などの基幹産業を支えた。戦前から健康被害が確認されていたが、零細企業が多く資金面などから自主的な対策は十分に取られなかった。

判決は、国が旧労働省の調査から被害が深刻であると認識した時期を1958年と認定した。その時点で飛散防止に有効な排気装置の設置を義務付けできたのに、71年の義務化まで13年間にわたって対策を怠った不作為を違法とした。

作業環境はその間改善されず被害は拡大した。最高裁は原告89人のうち82人の賠償を認めたが、元従業員は石綿関連がんの中皮腫(ちゅうひしゅ)などに苦しみ、8年前の提訴から14人が死亡している。国は判決を踏まえた救済を急ぎ、埋もれた被害者がいないかどうかも調べなければならない。

国を相手にした石綿被害訴訟はこの裁判を含めて14件あり、838人が総額約265億円の賠償を求めている。全国各地の建設現場で働いた元作業員らの訴訟では国の責任を認める判決も出ている。政府は今回の最高裁判決を重く受け止め、裁判による決着を待たずに新たな補償の枠組みを検討すべきではないか。

石綿は高度成長期に大量輸入され、建材に使用された。学校施設にも多く使われ、掃除などで石綿を吸って中皮腫で死亡した元教諭の公務災害が認められている。阪神大震災のがれき処理で発症し労災認定されるケースも出てきた。石綿被害の全容は分かっておらず、健康調査を進める必要がある。

中皮腫による昨年の死亡者は過去最多の1410人に上った。発症までに数十年かかるため今後も被害者は増える見通しだ。労災申請の時効が過ぎた労働者や工場周辺住民らを対象にした救済法は補償の金額・範囲とも十分とは言えない。被害の実情に沿った見直しも考えるべきだ。

石綿は今なお全国の建物などに数百万トン残り、数年後に解体工事がピークを迎える。行政と業者は飛散防止策を万全にしてもらいたい。

2014年10月11日 02時32分
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] ノーベル平和賞 テロに屈しない少女への栄誉 (2014年10月11日)

銃撃にも屈しない少女の強い意志と勇気が称賛されたのだろう。

パキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)に、今年のノーベル平和賞が贈られることになった。イスラム過激派の襲撃で瀕死(ひんし)の重傷を負った後も、女性が教育を受ける権利を訴え続けてきた。

インドで不当な労働を強いられている子供の救出にあたるカイラシュ・サティアルティさん(60)への授賞も決まった。

ノルウェーのノーベル賞委員会は授賞理由について、2人による「全ての子供が持つ教育の権利のための闘い」を挙げた。

戦争や、いわれのない抑圧が、子供たちから教育を受ける機会を奪っている。そんな現実を世界が再認識し、問題解決への決意を新たにするきっかけとしたい。

マララさんは、ノーベル賞のすべての部門を通じ、史上最年少での受賞となる。

パキスタンでは女子教育に反対するイスラム過激派が、多くの学校を破壊し、女子の通学を妨害している。そうした実態を、ブログへの投稿などで世界に発信し、一躍注目を集めた。

2年前に通学バスで帰宅する途中、過激派の銃弾を頭部に受け、一時は生死の境をさまよったが、奇跡的に回復した。

国連本部に招かれた際の演説では、「1人の子供、1人の教師、1冊の本と1本のペンが世界を変える」「過激主義者は本とペンを、教育の力を恐れている」と、教育の大切さを訴えた。毅然(きぜん)とした態度が、世界中に感動を与えた。

今回の平和賞授賞は、女性蔑視などの人権侵害や、暴力を繰り返すイスラム過激派の振る舞いは、決して看過できないという、強いメッセージとなろう。

マララさんの活動に共鳴して設立された基金は、パキスタン国内はもとより、シリア内戦による難民の子供や、教育を受けられないナイジェリア女性の援助などに、幅広く活用されている。

一方、サティアルティさんは、大勢の幼い子供が無理やり親から引き離され、農場などで働かされている問題を糾弾してきた。これまでに8万人とも言われる子供を労働から解放したという。

マララさんらへの授賞に勇気を得た人々が立ち上がり、子供の権利を守る運動が、世界に広がることが望まれる。

正しい教育の普及は、偏見や差別、貧困をなくし、問題を話し合いで解決する社会を作るうえで不可欠である。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] ノーベル平和賞―教育こそ世界の未来 (2014年10月11日)

国籍も宗教も性別もかかわりなく、子どもは誰も、守られる権利や育つ権利などをもつ。

人類が20世紀にたどりついた原則を定めた「子どもの権利条約」が国連で採択されて来月、四半世紀を迎える。

世界の現実をみると、その実現にはまだはるか遠い道のりがあると言わざるを得ない。

貧困や戦乱、差別など様々な理由で、教育の機会を奪われる子が少なくない。国連児童基金によると、世界の子どもの15%が働かされているという。

そんな苦境の子どもを救おうと尽力してきた南アジアの2人にノーベル平和賞が贈られる。

インドの男性カイラシュ・サティヤルティさん(60)と、パキスタン出身の女性マララ・ユスフザイさん(17)。

先進国も新興国も、自国の経済成長ばかりに関心を集中させがちな時代である。置き去りにされる子どもたちに少しでも思いをはせる好機と考えたい。

サティヤルティさんは、南アジアから児童労働をなくす運動に長年取り組んできた。その活動団体が80年以降に救った子どもは8万人をゆうに超す。

その訴える言葉は常に説得力に満ちている。代表的な例は、南アジアのサッカーボール産業である。ボールを縫う仕事をさせられている多くの貧しい子たちが、どれほどボールで遊べる日を夢見ているか、と。

史上最年少で平和賞を受けるマララさんは今や、女性教育の権利を訴える世界の旗手だ。

学校に通っていたパキスタンで過激派から銃撃されたが、一命を取りとめた。英国移住後も高らかに声を上げ続けている。

残念ながら、パキスタンとインドはこれまでしばしば対立し、紛争も経験した。その一番の被害者は子どもたちだった。

ノーベル賞委員会は、2人が「教育のために、過激思想に立ち向かう共通の闘い」にあることを重く見たと授賞理由で表明している。

それなりの国力を持ちながら、核兵器を保有する一方で、なぜ自国の宝である子どもたちの教育に十分な力を割けないのか。授賞には、そんな警告も込められているだろう。

子どもの窮状は、日本にとっても、決して他人事ではない。子の貧困率は近年、最悪となり、放置される子どもの事件もあとを絶たない。

子どもを守り、学校に通わせるのは、大人と社会の義務である。高齢化に悩む先進国であれ、開発をめざす途上国であれ、子どもの健やかな成長よりも確かな未来への道はない。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] アスベスト判決 「泉南」の教訓を対策に生かせ (2014年10月11日)

政府の怠慢が、アスベスト(石綿)被害を拡大させた。これが司法の結論である。

政府は重く受け止め、今後の対策に万全を期さねばならない。

大阪府南部の泉南地域の石綿紡織工場で働き、石綿肺や肺がんになった元従業員と遺族計89人が国家賠償を求めた2件の訴訟で、最高裁は、82人に対しての国の賠償責任を認めた。

旧労働省の調査で、石綿による健康被害が判明したのは1958年だ。だが、旧労働省が工場に排気装置の設置を義務付けたのは、71年になってからだった。この対応について、最高裁は「著しく合理性を欠く」と結論付けた。

行政の不作為を厳しく批判する判決である。2004年の筑豊じん肺訴訟判決、関西水俣病訴訟判決と同様、規制の遅れによって被害を受けた原告は救済されるべきだ、という最高裁の姿勢が示されたと言える。

石綿工場のほとんどは、中小零細企業だ。最高裁は、資金力の乏しい工場に、労働安全の取り組みを任せきりにした政府の責任も重く見たのだろう。

最高裁は、一部の原告については、賠償額算定のため、審理を大阪高裁に差し戻した。既に14人の原告が亡くなっている。

政府は、和解などで早期の決着を図るべきだ。

耐火性に優れる石綿は70?90年代に大量輸入され、主に住宅建材に用いられた。使用が全面禁止されたのは、2006年だ。

石綿が使われた建物の多くは老朽化しており、解体時の飛散が懸念されている。阪神大震災や東日本大震災でも、家屋の倒壊で大量の石綿が飛散したと言われる。

政府は6月、改正大気汚染防止法を施行し、解体工事を実施する際、発注者に自治体への届け出を義務付けた。無届けでの解体には、罰則が科される。

自治体は、解体現場への立ち入り検査を実施するなど、石綿被害の防止に努めてもらいたい。

肺がんや中皮腫などを発症した人の救済も欠かせない。

石綿による疾病で、労災認定や石綿健康被害救済法の給付認定を受けた人は2万人を超え、今後さらに増えるとみられる。

石綿を吸入してから発症するまでの潜伏期間は、20?50年に及ぶ。過去に吸い込んだのではないか、と不安に思う人は、検診を受けることが大切だ。

政府には、治療法の研究開発に一層の支援が求められる。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 電力提携―「一強」にならぬように (2014年10月11日)

東京電力と中部電力が火力発電分野の提携で基本合意した。両社折半で新会社をつくり、液化天然ガス(LNG)をはじめとする化石燃料の購入や老朽化した発電所の建て替え、ガス会社などへの卸売り、海外での発電事業などを手がける考えだ。

原発が動かないなかで、発電に占める火力の割合は9割に及ぶ。再生可能エネルギーの普及に時間がかかる以上、当面は火力が主力となる。

燃料のほぼ全量を輸入に頼るため、円安も影響して購入費の膨張が日本経済の足かせになっている。一方で、米国を中心にシェールガスの開発が進み、有力な供給国が増えた。買う側から見れば有利な条件で取引できる機会でもある。

新会社のLNG購入量は4千万トン規模で、世界最大級となる。売り込みが増えて情報が集まり、価格交渉力も高まるだろう。電気料金の上昇を抑える意味で、新会社設立の効果を期待する。

基本合意では、火力発電所の更新と新設も今後の協議事項に含まれた。扱える電力が増えれば、東電も中電も従来の営業エリアを越えて電気を販売しやすくなる。16年には小売り分野も全面自由化されるため、一般家庭を含めて消費者の選択肢が広がることにもなる。

他の電力会社も手をこまぬいているわけにはいかないだろう。今回の提携が刺激となって、硬直的だった日本の電力市場の変化も加速するはずだ。

ただ、新会社の誕生が電力自由化の趣旨を損なう恐れもある。飛び抜けて競争力をもつようになれば、寡占や独占につながることがあるからだ。

電力自由化の本来の目的は、競争によって技術革新や新しいアイデアやサービスが生まれることだ。そのためには、異業種からの新規参入がカギになる。

すでに小売り自由化をにらんで、都市ガスや鉄鋼、商社、通信などの異業種やベンチャー企業、あるいは自治体や市民電力といった新機軸の事業が動き出している。

資本の論理に任せきりにせずに、こうした新しい芽を育てる政策が同時に求められる。

そもそも今回の提携は、自力で発電所の更新ができなくなった東電の再建計画が発端だ。東電、中電の取り組みを機に、消費者の利益にもエネルギー市場全体の改革にもつなげる工夫が不可欠だ。

「一強」を助長することにならないよう、公正取引委員会の役割も含めて政府のかじ取りが問われる。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする