2014年10月07日

[産経新聞] 【主張】北の「外交攻勢」 拉致解決と核放棄が先だ (2014年10月07日)

拉致問題の解決と核・ミサイル開発の放棄なくして、国際的孤立からの脱却はない。このことを北朝鮮は肝に銘ずべきである。

ナンバー2が電撃的に韓国を訪問するなど、北が「外交攻勢」を強めている。しかし、韓国や日米との関係を改善したいなら、北はまず懸案の解決に真剣に取り組むことが不可欠である。

金正恩第1書記の最側近の黄炳瑞・朝鮮人民軍総政治局長らが仁川アジア大会閉会式出席を理由に訪韓し、韓国側提案の南北高官級協議の再開で合意した。韓国の朴槿恵大統領は「関係改善の転機を作り出した」と表明した。

南北対話が進展するのは悪いことではない。だが、北はこれまで世界をだまし続けてきた。核開発問題一つをとっても、挑発と歩み寄りを繰り返し、経済的利益を引き出そうとするのは北の常套(じょうとう)手段である。警戒が必要だ。

日朝間の最優先の課題である日本人拉致問題でも同様だ。再調査の初回報告は当初、「夏の終わりから秋の初め」で合意していたにもかかわらず、北朝鮮は「調査は初期段階」と先送りしてきた。

被害者家族の心情を弄ぶような駆け引きは到底、容認できない。北当局が把握していることが自明な拉致事件被害者については優先的に再調査結果を示すべきだ。

このところ北朝鮮高官や党幹部が相次いで外遊しているが、その目的は何か。

4月に就任した北の李秀勇外相は中東、アフリカ、東南アジアを歴訪し、ミャンマーでは岸田文雄外相とも会談した。李氏は、国連総会出席のため北外相として15年ぶりに訪米し、ロシアにも足を延ばしてラブロフ外相と会談した。朝鮮労働党の姜錫柱書記もドイツなどを訪問している。

北朝鮮は政治、経済的に最大の後ろ盾だった中国とのパイプ役、張成沢氏を処刑し、中朝関係が急速に冷却化したことに慌てている。だから日米韓などとの関係改善に活路を見いだそうとしているのだろうが、唐突に対話の姿勢を見せても、にわかに信用できないだろう。

答えは簡単だ。国連安保理決議が禁止する核・ミサイル開発をやめ、国家犯罪による日本人拉致被害者全員の早期帰国を実現することだ。北は、それを行動で証明しなければならない。
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[東京新聞] 派遣労働見直し 雇用の劣化許されない (2014年10月07日)

政府は労働者派遣法改正案を今国会に再提出した。派遣労働の規制が緩和されれば、雇用が不安定で低賃金の非正規労働者をさらに増やしかねない。雇用の劣化につながる見直しは許されない。

同法案が成立すれば、企業にとって使い勝手のいい派遣労働が増え、正社員を非正規社員に置き換える流れに拍車がかかると懸念される。「基本は正規雇用。派遣は例外」という法制定以来の理念を覆すものだ。

現行では、正社員から派遣社員への置き換えを防ぐ目的で、派遣期間に上限を設けている。通訳や秘書など「専門二十六業務」をのぞき、企業が派遣社員を使える期間は三年が上限となっている。

ところが、改正案が成立すると、企業が三年ごとに働き手を変えればどんな仕事でも、ずっと派遣労働者に任せられるようになる。上限より長く派遣社員を使う場合は、派遣先企業の労組から意見を聞くことなどを盛り込んでいるが、歯止めになるだろうか。

また、派遣会社が無期雇用している労働者は、どんな業務でも同じ職場で期間の制限なく働かせることができるようになる。

労働者派遣は当初、専門性の高い業務に限って認められていた。

一九九九年に一部を除いて対象業務が原則自由化。小泉政権下の二〇〇四年に製造業務への派遣が解禁され、派遣労働者数は増加していった。だが、〇八年のリーマン・ショック後、多くが派遣切りにあった。「雇用の調整弁」にされている不安定さを印象づけた。

改正案は、派遣会社に教育訓練を実施することや、派遣先会社が正社員の募集を行う場合は本人に情報提供することなども盛り込んだ。安倍晋三首相は「派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援するもの」と強調するが、実効性は疑問だ。

派遣やパートなどの非正規労働者の全労働者に占める割合は一四年で38%と過去最高。非正社員の平均年収は、正社員の五割程度、二百七十三万円(一一年)にとどまる。厚生労働省の調査では、派遣労働者の六割が「正社員として働きたい」と答えている。

派遣労働者の既婚率は低いという調査もある。若者の雇用環境は悪化しており、不安定かつ低賃金の派遣労働が増えることは日本の将来にとっても問題だ。

安倍首相が掲げる「世界で一番企業が活躍しやすい国」を実現するために、労働者の生活を犠牲にするのなら、改正とは言わない。
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[東京新聞] 働く人の権利 勇気の訴え孤立させず (2014年10月07日)

働く人には職場の改善を求める権利がある。有名エステ会社の社長が、残業代未払いなどを労基署に通報した社員らに対し、圧力をかける言動をしたことを謝罪した。働く人の声に耳を傾けるべきだ。

一日に十二時間働き、月八十時間の残業に対して支払われたのはわずか三万円。休日のサービス出勤、有給休暇も使いづらい−。全国に百二十店舗を展開する、エステ業界大手で働く女性社員のケースだった。

女性が個人加盟の労組「エステ・ユニオン」に入り、残業代の支払いを労基署に申し立てたところ、社長は店舗の従業員を集めた場で女性を名指しし、「労基法通りにやっていたら(会社は)つぶれる」と言った。他の従業員にも組合に加入しているのかどうかを尋ねた。

労基法を無視する発言や、従業員に労組への加入をただすのは、不当労働行為に当たる。

労働組合法では、労働者が二人いれば団結権が保障され、団体交渉などを通して労働改善を求められる。現在、企業労働組合の組織率は二割を切る。一方で、個人加入できる労組が増えてきたのは、不安定な非正規労働が広がり、働く人を使い捨てにするブラック企業などが背景にあるからだ。

労基署は同社に対し、違法な天引きをやめて賃金控除の協定を結び直すことや、有休を使った場合の減給も違法として支払いを勧告した。不足する残業代の精算や、休憩や休暇の取得も求めている。

批判を受けて社長は、労働法に対する知識や意識の甘さを認めた。労基署の勧告や指導に従い、早急に改善に取り組まないと、働く人はつぶされていく。

賃金未払いや、残業の押しつけは同社にとどまらず、とくに大手では従業員の共通の悩みになっている。エステ・ユニオンには、エステ業界の従業員から相次いで相談が寄せられている。ノルマ優先で顧客予約が詰め込まれ、休憩も取れない。二十〜三十代が中心の若い職場でありながら、体力や精神的負担が大きいために離職者が絶えない。毎年、大勢の新卒者が入ってくるのに残念だ。

施術料を安く見せ掛けて顧客を誘い、高額料金を請求したり、商品を半ば強制的に買わせることも少なくない。必然的にトラブルを招く営業のために、前面で顧客の苦情を受ける従業員も傷つく。

職場の問題に気づき、勇気をふるって告発した人を孤立させてはならない。働く人が守られる職場でありたい。
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[産経新聞] 【主張】大学ランキング 世界で競う独創性育もう (2014年10月07日)

英教育専門誌が発表している今年の世界大学ランキングで東大が23位、京大が59位だった。トップ10には英米の大学が並び、100位以内の日本の大学はこの2校だけという寂しい結果だ。

教育水準は、国力を測る重要な指標である。世界にライバルが多いことを改めて認識し、大学改革を進めてゆく覚悟が必要だ。

今月初めに発表された「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)の調査は、信頼のおける指標として知られる。研究論文の引用頻度や教員1人当たりの学生数など、十数の観点から総合的な評価を下している。

上位には、カリフォルニア工科大(米国)、ハーバード大(米国)などが並んだ。日本は東大、京大のほか、200位以内に東工大(141位)、大阪大(157位)、東北大(165位)の5校が入るにとどまった。

アジア圏では東大が首位を守ったものの、シンガポール国立大(25位)などライバルに追い上げられている。

こうした順位に過度にとらわれる必要はないが、ランキングで示されるような研究・教育環境の指標を充実させてゆかなければ、国際的な競争に生き残ってゆくことはおぼつかないだろう。

欧米の主要大学では、優秀な教員や研究者を国内外から集め、学生を鍛える態勢が当たり前だ。日本の大学は英語がネックとなり、外国人教員や留学生の比率が低いなど、長らく指摘されてきた閉鎖性がなかなか改善されない。

文部科学省は、世界レベルの研究を行う「スーパーグローバル大学」を選定し、重点支援する施策を始めた。世界に目を向けるのは当然だ。だが、一部の大学に限らず、地方を含めて各大学が特徴を持った強い分野を見いだし、研究と教育を進めてゆくことも、全体の底上げには大切だ。

過去のノーベル賞受賞者をみても、化学賞の下村脩氏は長崎大、医学・生理学賞の山中伸弥氏は神戸大の出身で、地方大学などでの研究生活で育まれた新しい芽が、海外も含めた息の長い研究を重ね花開いたケースもある。

短期の成果だけにとらわれず、その大学だけにしかできない研究について誇りと個性、独創性を持って進めてほしい。

学術と文化を支える大学の使命は重い。
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[毎日新聞] 社説:再生エネの普及 国は民間任せにするな (2014年10月07日)

再生可能エネルギーの普及に暗い影が差している。

大手電力会社の間で、固定価格買い取り制度(FIT)に基づく太陽光と風力発電の新規受け入れを停止する動きが広がっている。供給量が急増し、受け入れ能力が足りなくなったからだ。再生エネ普及を加速させるには、受け入れ能力の拡充に国が責任を持つ必要がある。

国内では1000万キロワットを超える再生エネ発電が稼働し、FITで認定済みの設備を含めると、発電容量は7000万キロワットを上回る。すべてが動くと政府がエネルギー基本計画で示した「2030年に全体の約2割をさらに上回る」との目標を達成する計算だ。

しかし、このままでは絵に描いた餅になりかねない。九州電力や北海道、東北、四国、沖縄の電力5社が新規受け入れを一時停止すると発表したからだ。

FITは毎年4月に買い取り価格を見直すが、価格を引き下げる直前の3月、太陽光を中心に高い買い取り価格を狙った「駆け込み申請」が殺到した。その結果、経済産業省の認定を受けた発電容量が受け入れる電力5社の需要のピークを上回ってしまった。認定分がフル稼働すると電力会社が自前の発電所を完全に止めても電気が余るということだ。

電気は需給の均衡が崩れると発送電設備に過大な負担がかかって大規模停電を起こすおそれがある。そこで各社は数カ月かけて受け入れ可能量を検討するという。不安定な電源として拒絶するのではなく、最大限受け入れる努力を求めたい。

経産省は各社の受け入れ可能量を検証する有識者会議を設置し、受け入れを促す方針だ。それ自体は必要だが、抜本解決にはつながらない。現状では需要のピークを超える電気は受け入れようがないからだ。

再生エネ発電は都市部から遠く、地価が安い地域に集中する。こうした事態を招くことはFITを導入した時から想定できたはずだ。制度設計を早急に見直す必要がある。

再生エネを増やすには電力会社の垣根を越えて送電網を強化し、広い地域で電気を融通しなければならない。しかし、それには数兆円単位の費用がかかる。エネルギーの将来像が明確に示されない中で、民間会社である電力会社だけにそうした負担を強いるのは難しい。国の支援が不可欠と言える。

政府は核燃料サイクル事業のために20兆円近い費用がかかると試算している。これは原発の存続を前提としたものだ。一方、再生エネ拡大は原発依存から脱却するために欠かせない。限られた予算は、そのために振り向けるべきだ。

2014年10月07日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:夜間中学 まず「1県1校」実現を (2014年10月07日)

何らかの事情で義務教育を終えられなかった人のための夜間中学を全国的に拡充しようという動きが出ている。これを推進しようという超党派の議員連盟が発足、最低でも各都道府県に1校開校する方向で次期通常国会に議員提案する構えだ。

夜間中学、正式には「中学校夜間学級」は、戦後の混乱期に開設されたのが始まりだ。中学校の2部授業という位置づけで、学校教育法施行令に基づき設置されている。昨年9月現在で、大阪、東京、神奈川など8都府県に31校あり、約2100人が在籍しているが、潜在的な需要者は数十万人にのぼると見られ、開設のない自治体や自主運営グループなどから増設の陳情が多く出ている。

こういった流れを受けて4月には自民党から共産党までの国会議員49人が「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」を作り、8月には全国夜間中学校研究会とシンポジウムを共催、5年間引きこもりの生徒が夜間中学にやっと自分の場所を見つけた体験談や、在日韓国人のおばあさんが字を書けるようになった喜びについて語り、拡充の必要性を訴えた。

一方で、夜間中学の現場も大きく変化している。定住ないし就労ビザ、家族ビザの外国人労働者やその子どもたちが利用するケースが急増しているのだ。例えば、都内のある夜間中学は、生徒数68人を国籍別にすると、ネパール36、中国11、フィリピン4、インド3、バングラデシュ、タイ、ミャンマー、トルコ各1という多彩さ。日本人は10という構成だった。年齢は15?19歳が44人と多い。外国人の入学資格は、母国での就学年数が9年に満たない者で、入学相談の折に必ず短期ビザでないことをチェックする。

授業をのぞかせてもらった。午後5時半から8時50分までの40分刻みの1日4時限授業。途中入る30分間の給食時間はにぎやかだ。生徒10人程度に1人の先生がつく少人数学級のためか、生徒たちの熱心さが伝わってきた。教師の中には昼より夜間中学を志望する人もいる、という。

1県1校の夜間中学拡充構想については、すべての国民に教育を受ける権利を保障する憲法26条の趣旨からして賛成したい。

ただ、外国人生徒急増をどう考えるか。外国人の義務教育に税金をあてることについて国会できちんとした議論をして、その意義を明確にしてもらいたい。

いろいろな考えがあるだろう。ただ、今後日本の社会・経済にとって外国人の存在が大きな位置を占めることを考えると、世界的に定評のある日本の義務教育を世界の子どもたちに提供することは魅力的な仕事である。それはまた日本のソフトパワーの一つになるのではないか。

2014年10月07日 02時32分
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[読売新聞] 大学中退調査 経済的な負担を軽くしたい (2014年10月07日)

学費を払えずに、学ぶのをあきらめる大学生が増えている。意欲ある学生が勉学に励める支援策の充実が求められる。

文部科学省の調査によると、2012年度に全国の大学や短大などを中途退学した学生は7万9000人に上った。

このうち、経済的理由での中退が20%を占める。前回の07年度調査より6ポイント増加した。文科省は「不況の影響が続き、家庭の経済的な格差が広がったことが背景にある」と分析する。

授業料の支払い猶予など、大学側の柔軟な対応が欠かせない。

政府の奨学金を利用しやすくすることも大切だ。文科省は、大学卒業後の年収に応じ、毎月の返済額を変えられる「所得連動返還型奨学金」の導入を目指している。弾力的な仕組みは、返済の負担を軽くする効果が期待できよう。

奨学金は、無利子に比べて有利子の方が多い。経済状況の厳しい学生が安心して利用できるようにするには、無利子の貸出枠を増やしてもいいのではないか。

気がかりなのは、学業不振での中退も目立つことだ。経済的理由、転学に次いで多い。

近年、大学生の学力低下が指摘される。少子化の中で生き残りを図る大学が、定員確保を優先した結果、授業についていけない学生が増えている可能性がある。

大学全入時代を迎え、取りあえず入学したものの、意欲がわかず、学業不振に陥る学生もいる。

各大学は、補習などの支援に加え、教職員が学生の相談に乗り、きめ細かくアドバイスする体制を整えてもらいたい。

大学と学生のミスマッチを防ぐためには、大学が情報発信を充実させ、求める学生像や教育内容を明確に示す必要もある。

受験生は将来の進路を見据えた上で、志望する大学や学部を決めることが望ましい。高校側にも適切な進路指導が求められる。

12年度に休学した学生は、6万7000人だった。そのうち、海外留学を理由にした休学は1万人にとどまる。

海外で異文化に接し、様々な経験を重ねる留学は、学生が成長する上で貴重な機会だ。

ところが、「卒業が遅れ、就職で不利になる」といった懸念が、学生には根強い。企業の間に、留学体験を積極的に評価する意識が広がってほしい。

学生が留学時に取得した単位を、日本の大学が卒業単位に認定するなど、留学しやすい環境を整えることも重要だ。
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[読売新聞] 日中「海上連絡」 偶発的衝突の回避に不可欠だ (2014年10月07日)

不測の事態を防ぐため緊急時の連絡体制の構築を急ぐ必要がある。

日中両政府が年内にも防衛当局間の「海上連絡メカニズム」作りの協議を再開する。

尖閣諸島を含む東シナ海での艦船や航空機による偶発的な軍事衝突を避けるのが目的で、9月下旬の事務レベル協議で一致した。

海上連絡メカニズムは、防衛当局の定期協議や、幹部間のホットライン開設、艦船・航空機間の直接の無線通信が柱となる。

日中の防衛当局は2012年6月、こうした内容で大筋合意したが、同年9月の日本による尖閣諸島の国有化に中国が反発し、一方的に協議を打ち切っていた。

東シナ海では、13年1月に中国海軍が海上自衛隊艦船に火器管制レーダーを照射した。今年5、6月には、中国軍戦闘機が自衛隊機に異常接近するなど、危険な挑発行為を繰り返している。

緊急時の重層的な連絡体制があれば、偶発的な事故や、事故がさらなる軍事衝突などに拡大することを防ぐのに役立つ。危機管理上、日中双方に利益がある。

中国が日本の協議再開の求めに応じたのは、11月の北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を控え、日本との緊張緩和に前向きな姿勢をアピールする思惑からだろう。

9月には河野克俊海上幕僚長が国際会議の際に中国海軍トップと立ち話をし、衝突回避へ意思疎通を深めることで一致している。

日中両国は、防衛当局の協議再開を足がかりにして、信頼醸成と関係改善を進めるべきである。

一方、看過できないのは、中国が尖閣諸島周辺で領海侵入を常態化させ、力による現状変更の既成事実化を図っていることだ。

今年、中国公船の侵入は月4?10隻のペースで続く。漁船の侵入は急増しており、海上保安庁の退去警告は9月末現在で208隻と、昨年の88隻の2倍以上だ。

中国は軍艦、公船、漁船が相互に連携し、一体で活動しているとされる。政府は、警戒監視活動を緩めてはならない。

海保は15年度中に、大型巡視船12隻による尖閣専従体制を整備する。15年度予算の概算要求では、小回りの利く小型巡視船4隻の整備費を計上した。

海自も、数年後に小型で建設費の安い新型護衛艦2隻を導入するなど、部隊を増強する。

海保、海自、警察などが緊密に協力することが、不測の事態に対する抑止力となろう。
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[朝日新聞] 安保論議―「明白な危険」は明白か (2014年10月07日)

集団的自衛権の行使を認めた7月の閣議決定への疑問がいつまでも解消されない。衆院予算委員会の安保論議でも、懸念は深まるばかりだった。

「明白な危険」。民主党の枝野幹事長は、閣議決定の中核をなす「武力行使の新3要件」の文言を取り上げ、「あいまいだ」と追及した。

他国に対する攻撃でも、国民の権利を根底から覆すような「明白な危険」があれば集団的自衛権を行使できる――。

公明党の要求で盛り込まれた条件であり、与党協議で十分な「歯止め」をかけたという主張の根拠にもなった。そこが「あいまい」だとしたら、議論の土台は崩れてしまう。

枝野氏が突きつけた疑義は根本的な問題だと言える。

安倍首相の答弁は詰まるところ、「明白な危険というのは明白なので、あいまいなものではない」というものだった。

乱暴な答弁である。歯止めにするというなら、相手を説得するための丁寧な説明を心がけるべきではないか。

一方、このときの論議で首相は、中東ホルムズ海峡での自衛隊による機雷除去の必要性を強調した。多国籍軍の空爆とは違って機雷除去は「限定的、受動的な行為」であり、新3要件にあてはまる可能性があるとしている。

ところが公明党は、ホルムズ海峡の機雷除去は事実上できないと主張してきた。新3要件を踏まえれば、日本周辺での事態にしか対応できないという考え方だ。

これほど重要な問題で、与党の中ですら見解の相違があるのはどうしたことだろう。公明党は改めて、首相の見解を国会でただすべきだ。

首相は今回の憲法解釈の変更について「限定的な容認」と強調している。しかし、これまで憲法上できないとしてきたことを、時の政権の判断によって行使する可能性が出てきた。重大な転換と言わざるをえない。

しかも限定の中身がすべて、閣議決定に書かれているわけではない。だからこそ、歯止めの議論が重要になる。自衛隊は世界のどこで、何をするのか。

憲法解釈が変わった今、関連する様々な政府の見解や答弁も変わるのか、あるいは変わらないのか。細かく吟味し直されなければならない。

与野党どころか与党内の共通理解さえままならない。このまま政府が法整備を推し進め、自衛隊に新しい任務を課していいものだろうか。議論が足りなすぎる。
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[朝日新聞] 日朝協議―果敢な交渉で主導権を (2014年10月07日)

北朝鮮による拉致被害者の家族たちは、今年の秋をどんなに長く感じていることだろう。

被害者らの再調査を進める北朝鮮は「夏の終わりから秋の初め」に最初の報告をするはずだった。なのに先の協議では「具体的な結果を報告できる段階ではない」と答えたという。

そのうえで日本政府担当者らが平壌を訪れ、実際に調査にあたる特別委員会から話を聞いてほしいと提案してきた。

北朝鮮側の誠意のなさには、強い腹立たしさを禁じ得ない。

だが、総合的に状況を見れば、日本政府はあえて担当者を派遣すべきではないか。

特別委には、国家最高指導機関の幹部も名を連ねる。彼らを直接ただし、交渉の主導権を握るべく力を尽くすときだ。

これまでの協議では、北朝鮮側代表の宋日昊(ソンイルホ)氏が実際どれほどの交渉権限を与えられているのかという疑念が出ていた。

そもそも日本側は、「国家的な決断をできる組織が前面に出る」とみて、独自制裁の一部を解いた。だが先の協議に特別委は姿を見せなかったという。

日本側が何より急ぐべきは、拉致被害者を含めた日本人が北朝鮮にどれぐらいいて、どんな暮らしをしているのかという全容を把握することだ。

その調査の実態を特別委に明らかにさせる意味は大きい。もし明確に答えない場合は、理由を厳しく追及すべきである。

北朝鮮は先週、最高幹部らを電撃訪韓させ、南北高官会談を続けることに合意した。もともと対日協議には、韓国を焦らせる狙いがあるとされていただけに、日本にはこれまでより強い姿勢をみせるかもしれない。

だが、これで南北関係が急進展するとは考えにくい。さらに北朝鮮が最も望む米国との対話再開は、糸口も見いだせていない。日本との関係を簡単に断てない状況に変わりはない。

5月に再調査で合意した際、安倍首相は「固く閉ざされた拉致被害者救出の交渉の扉を開くことができた」と評価した。

交渉は一筋縄ではいくまい。協議を長引かせ、貨客船万景峰号の入港禁止措置の解除を求めてくることも予想される。

だが、日朝交渉の原則は常に「行動対行動」である。不誠実な態度のままでは見返りを出すことは一切あり得ない。

拉致被害者家族からは派遣に否定的な声が出ている。北朝鮮に失望させられ続けた歴史を考えれば当然の懸念だろう。

政府は直接交渉に果敢に取り組み、再び家族らが希望を抱けるように努めてほしい。
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