2014年10月05日

[東京新聞] 週のはじめに考える 「オバマの戦争」の危うさ (2014年10月05日)

「ブッシュの戦争」の幕引きを掲げ就任したオバマ米大統領が、自ら新たな戦端を開きました。敵の正体も勝利の形も見えない危うさに満ちています。

新たな戦争だけは避けたい−。歴史的評価が気になり始めるという政権二期目、オバマ大統領の胸中をめぐっていたのは、こんな思いかもしれません。


◆保守派の揶揄
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米単独主義を掲げたブッシュ前政権によるアフガニスタン、イラク二つの戦争を「負の遺産」として引き継いだオバマ大統領です。三年前に実現させたイラク米軍撤退に続き、今年末のアフガン駐留軍撤収にもめどをつけ、来月に迫った中間選挙に臨む筋書きを描いていたはずです。

それが、シリアを拠点に俄(にわか)に台頭したイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」の脅威に押され、イラク、シリアへの空爆開始に追い込まれました。欧米諸国に対するジハード(聖戦)に呼応するタリバン勢力も名乗りをあげ、アフガニスタンでも軍駐留の二年延長を余儀なくされています。

米国人の斬首映像に象徴される人道に反する犯罪を封じ込める戦いとはいえ、国連安保理決議は得られず、国内的にも、ブッシュ前政権時代に成立した議会の武力行使容認決議に法的根拠を求めています。保守系メディアからは「バラク・ブッシュの戦争」との揶揄(やゆ)も聞かれます。

アルカイダのビンラディン容疑者を追い詰め、殺害した二〇一一年頃を機に、オバマ政権は内向き姿勢を加速させました。

「イラクの体制変換には八年の歳月、米兵数千人の犠牲、一兆ドル近い戦費を要した。それを繰り返す余裕はない」。カダフィ体制を崩壊させた一一年のリビア空爆時の発言です。米国が置かれた厳しい現状そのものでもあります。


◆悲惨な憎悪の拡散
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昨年、化学兵器廃棄への交渉合意と引き換えにアサド・シリア政権への空爆を間際で回避した際には「米国は世界の警察官ではない」と宣言しました。

ブッシュ前政権時代からの厭戦(えんせん)気分を引きずる米世論を意識した発言だったのでしょうが、「米国は弱腰」とテロ組織側に付け入る余地を与えたことは否めません。

米国人聖戦士によるグローバルなカリフ制の再興への懸念は、すでに昨年一月に連邦議会の調査報告書が警告するなど、以前から指摘されていたものです。

しかし、政権二期目以降、民主、共和両党とも中間選挙を最優先に党利党略に明け暮れ、医療保険改革法(オバマケア)をめぐって政府の機能停止も辞さない不毛な確執を繰り広げてきたことは周知の事実です。オバマ大統領が今になって方針転換したのは、テロの脅威が選挙の争点に急浮上した内政事情も一因でしょう。

戦争が生む悲惨な憎悪拡散の一端をニューヨーク・タイムズ国際版が報じています。イスラム国のバグダディ指導者はイラク戦争で米軍に拘束され、南部のブッカ刑務所に五年間収容されましたが、その間に過激思想を一層深め、多数の心酔者を育成。所内はさながら「テロ養成大学」と化し、イスラム国による刑務所奪還後は出所者が各地に散り、テロを指導しているというのです。

ネットを通じた聖戦呼び掛けに共感して駆けつける志願兵は後を絶たず、外国人戦闘員は八十カ国から合計一万五千人に達する、との米当局の情報もあります。

国連安保理による外国人戦闘員封じ込めの決議合意にもかかわらず、現実的脅威はすでに各国に拡散しています。オーストラリア・シドニーでは先月、一般人を無差別に殺害し斬首せよ、とのイスラム国指令を実行に移そうとしていたテロ組織が未然に摘発されました。英国も、テロ警戒の水準を引き上げました。「西洋文明の破壊」を公言する外国人戦闘員の帰国に、国際社会は身構えています。

西欧を否定しながら、テロ組織はインターネットなど最先端の通信、映像技術を駆使し、言論や表現の自由を含む近代的価値観を逆手にとって攻撃を仕掛けています。斬首映像をネットに晒(さら)して省みない時代錯誤にどう対処すべきか。あまりに速い事態の展開に国際社会はまだ適切な答えの糸口を見いだしていません。


◆軍事一辺倒では
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武力行使だけでは事態の根本的解決にはならないことは、「ブッシュの戦争」が示しています。今回は違うというのであれば、軍事力一辺倒とは一線を画すこうした知恵をこそ語るべきでしょう。

このところ精彩を欠くその演説力ですが、就任時「イスラム対話」や「ソフトパワー」を掲げたオバマ大統領です。不条理なテロの脅威を共有する国際社会は、なお耳を傾けるでしょう。
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[毎日新聞] 社説:視点:ロシアと世界 漂流を止める努力も=大木俊治 (2014年10月05日)

「ロシアよ、聖なる我らの大国よ、ロシアよ、いとしき我らの国よ??」。ウクライナの首都キエフで9月中旬に開かれた国際会議で、ポーランドのクワシニエフスキ元大統領が演説中に冒頭のロシア国歌と旧ソ連の国歌を続けて歌ってみせた。

二つの国歌は、歌詞は違うが曲は同じ。ソ連崩壊後、一度使われなくなった曲を再び「復活」させたのはプーチン大統領だ。クワシニエフスキ氏は「ロシアは言葉や歌詞を変えても、曲を変えることはない」と締めくくり、会場を沸かせた。ロシアからソ連へ、そして再びロシアへと、名前を変えてもその「帝国主義」的な本質は変わらないというメッセージだった。

ウクライナで親欧米派が政権を奪取した2月の政変後、ロシアは武力を背景にクリミアを支配下に入れ、ウクライナ東部では親露派武装集団の争乱を支援した。欧米や日本は国際法違反だとして対露制裁を発動し、ロシアに圧力をかけている。目的はロシアに対ウクライナ政策の変更を迫ることだったはずだ。

だがウクライナを「勢力圏」とみなして欧米の干渉に対抗するというロシアの基本路線を変えることはできていない。

モスクワで感じたのは、「ルースキー・ミール」という独特の価値観を国民の多くが支持していることだ。「ロシアの世界」という意味で、歴史的にロシア語やロシア正教の影響下に置かれてきた勢力圏を指す。ウクライナもこの一部だ。この世界を「外敵」から保護すべきだという考え方が、プーチン政権の強硬姿勢を支えている。

これは国際法の考え方とは相いれない。そこで欧米や日本は制裁に踏み切った。だが「自由な考え方を認めようとしない覇権国家の圧力」と反発し、「独自の闘い」に突き進んでいるのが今のロシアだ。ロシアの政治学者たちは口をそろえて「もうロシアが(欧米の価値観を共有する世界に)後戻りすることはない」と断言した。ロシアが国際社会に背を向けて漂流を始めたような印象さえ受けた。

ロシア社会で影響力を失って久しいリベラル派知識人の一人は、「長い冬が始まった」とため息をついていた。メディアやインターネットへの締め付けも強まっているという。

制裁は必要だ。一定の効果もある。だが国際法順守を迫る手段であるはずの制裁が、ロシアを「反対側」へ追いやるのでは逆効果だ。ロシアの「漂流」を食い止め、世界が直面する危機の打開にともに取り組むためにどうすべきか。国際社会の努力も問われていると思う。(論説委員)

2014年10月05日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:裁判員の重圧 調査・検証し負担軽減を (2014年10月05日)

裁判員の職務で被害者の遺体写真を見せられて急性ストレス障害になったとして、元裁判員の女性が国に賠償を求めた訴訟の判決があった。「裁判員制度は国民に苦役を強いるもので違憲」との女性の訴えを福島地裁は退けたが、裁判員を務めたことと障害との因果関係を認め、補償を受けられるとの考えを示した。

裁判員に選任されれば公正に職務を遂行する義務を国民は負う。だが、無理をして精神的なダメージを負うことは望ましくない。

このケースが明らかになった後、裁判所は遺体写真の使用を制限し、イラストなどで代替させる運用が中心になった。裁判員の心理的負担を軽減させるこうした取り組みを一層充実させるべきだ。

遺体写真を裁判員に見てもらうのは、裁判員に適正に事実認定をしてもらい、量刑に反映させたいと主に検察が考えてきたからだ。だが最近は、遺体写真を見せる必要性を裁判所が厳しくチェックする。

また、遺体写真が示される予定の裁判では、裁判員の選任段階で候補者へ予告がなされ、訴えがあれば辞退を柔軟に認めている。

裁判員裁判の対象事件は、殺人などの重大事件だが、裁判員は事件と無縁に過ごしてきた市民が大半だ。人を裁き、刑を言い渡すことは重い行為で、そうした面でも精神的負担を背負い込むことがあるだろう。

毎日新聞が一昨年、裁判員経験者に行ったアンケートでは、男性の3人に1人、女性の過半数が「ストレスを感じた」と答えた。精神面への配慮は、市民参加を定着させるためにも欠かせない。

裁判員が精神的負担を感じた場合、電話やインターネットで専門家に相談できる窓口を裁判所は設け、希望があれば臨床心理士らが対面相談にも応じる。だが、そうした受け身の対応だけで十分なのか。

裁判所は裁判員経験者を対象にアンケートを実施し、「審理の分かりやすさ」などについて尋ねているが、精神的な重圧について正面から裁判員経験者に聞いていない。

裁判員が何を心の負担と感じているのか。判決言い渡し後もその負担を引きずることはないのか。一生負う守秘義務が重荷ではないか。そういったことも知りたい。裁判員裁判開始から5年が経過した。専門家を入れた場で、調査・検証する時期だ。

同じ市民参加の陪審制度がある米国では、長期間の審理の場合、カウンセラーを待機させ休憩中に陪審員が相談できたり、任務終了後に同じ陪審員仲間と精神衛生の専門家による集団カウンセリングを受けたりする機会があるという。こうした積極的対応も裁判所は検討してほしい。

2014年10月05日 02時35分
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[読売新聞] 原発避難解除 帰還者をしっかりと支えよう (2014年10月05日)

東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、福島県川内村東部に出されていた避難指示が今月、解除された。

対象地域には139世帯が住民登録している。今のところ、帰還した世帯は一部にとどまるものの、避難解除が復興の契機となるとの期待は大きい。政府と福島県は、帰還者の生活再建をしっかりと支えねばならない。

この地域は、原発の20キロ・メートル圏内にある。事故直後に全住民が避難を余儀なくされた。

その後、除染などにより、放射線レベルは福島市と同程度に下がった。生活に不可欠の電気やガス供給などのインフラ設備が復旧した。日用品を扱う商店や医療機関の整備も進んでいる。

生活再建へ向けた基盤は整いつつあると言える。

村内の近隣地域には、村の誘致に応えて、製造業など3社が進出した。小中学校では、児童・生徒が増え、施設が拡充された。

4月には、田村市の都路町地区東部の避難指示が解除された。田村市全体では、事故前の7割余りまで世帯数が回復している。子供のいる家族が戻ったことで、街には賑(にぎ)わいが出てきたという。

少しでも多くの住民が古里に戻り、生活を再開する。それが復興の礎となるだろう。

帰還促進には、避難住民に対する賠償のあり方も見直す必要がある。現行システムでは、避難指示解除の1年後に、東電からの毎月の支払いが打ち切られる。将来が見通せない中、住民が解除に応じにくい要因になっている。

生活再建に必要な資金を東電が一括支給するなど、政府は新たな仕組みを検討してもらいたい。

この地域は、原発とその関連企業が主な産業だった。新たな産業基盤を築き、雇用を確保することも重要な課題である。

40年はかかるとされる廃炉関連の研究開発事業は、地域再生の有力な産業となり得る。

青写真はある。政府と福島県、第一原発周辺の市町村などが6月にまとめた「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の報告書だ。

廃炉をスムーズに進めるには、壊れた原子炉の分析や、人が近づけない所で作業するロボット技術などが欠かせない。周辺自治体にこれらの開発拠点を整備することを目指している。地域の実情に合った現実的な構想である。

分析・研究施設などの建設がすでに始まっている。取り組みを加速させたい。
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[読売新聞] 新幹線50年 安全で正確な運行これからも (2014年10月05日)

「夢の超特急」と呼ばれた東海道新幹線が、開業から50年を迎えた。

特急で6時間半かかった東京―大阪間を、最高時速210キロの新幹線が一気に4時間へと縮めた。

270キロで疾走する最新型の新幹線は、2時間半を切るまでになった。たゆまぬ改良で今も進化を続ける新幹線は、世界の高速鉄道のお手本と言えよう。

東海道新幹線は、首都圏と関西を結ぶ大動脈として、日本の高度経済成長を支えた。

さらに、山陽、東北、上越へと路線が延びるにつれて、鉄道で日帰りできる範囲は飛躍的に広がった。ビジネスの効率化や、観光振興への貢献度は大きい。

遠距離恋愛のカップルによる再会や惜別の姿を描いた「シンデレラ・エクスプレス」のCMも、話題を呼んだ。生活スタイルに与えた影響は少なくない。

特筆すべきなのは、半世紀にわたって、脱線や衝突などの列車事故で死亡した乗客がゼロという安全性の高さである。

とはいえ、1995年にはホームで新幹線のドアに挟まれ、引きずられた人が死亡した。2004年の中越地震と11年の東日本大震災では、脱線事故も起きた。

「安全神話」に陥ってはならない。さらなる安全性の向上へ、不断の努力を続けてもらいたい。

世界に類を見ない正確な運行管理も、新幹線の特長である。

東海道新幹線は、悪天候の影響を含めても、遅延は平均1分以内だ。この緻密さが、高速運転と、ピーク時に3分間隔という過密ダイヤの両立を可能にしている。

終点に着いた列車が、わずか10分弱で車内の清掃を終え、折り返し運転する様子に、驚く外国人客も少なくないという。

新幹線の性能や安全性だけでなく、優れた運行管理も、日本が世界に誇る貴重な財産である。

これまで培った技術やノウハウを、次世代にしっかりと伝えていくことが大切だ。

世界の10か所以上で、高速鉄道の整備が計画されている。新幹線は、安倍政権が成長戦略の柱とするインフラ(社会資本)輸出の「目玉」と期待される。官民を挙げて売り込みたい。

政府・与党は北海道、北陸、九州の3整備新幹線の開業前倒しを検討しており、建設費が5400億円も増える見込みという。

完成を急ぐより、老朽化した線路や橋の補修・更新を充実させ、既存の新幹線を長く、安全に使うことを優先すべきではないか。
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[朝日新聞] 芸術と展示―表現の幅、広く尊重を (2014年10月05日)

「わいせつ」を理由に、芸術活動に警察が介入する出来事が相次いだ。

もちろん、芸術作品だからといって、どんなものでも無制限に公表していいわけではない。だが、作品の意味や、発表のしかたを考慮せず、取り締まるだけの社会は、息苦しい。

アーティストの「ろくでなし子」さんは7月、警視庁に逮捕された。

彼女は女性器をタブー視する考えや女性差別への異議を、造形作品などで表現している。制作費を集めたネット募金の協力者にお礼として、自分の性器の形の3Dデータを、ネットを介して送ったことで、わいせつ物頒布等の疑いをかけられ、7日間身柄を拘束された。

釈放を求めるネット署名は2万を超え、海外メディアも疑問を投げかけた。

愛知県美術館で8?9月に開かれていた写真展では、鷹野隆大さんの作品の一部が、布や半透明の紙で覆われた。

身体をテーマにした写真で知られる鷹野さんは、撮る・撮られるという一方的な関係ではないものを表現するため、自分も裸でモデルの男女と一緒に写った写真を出品した。

美術館は展示場所をカーテンで区切り、性器を含む全身ヌードがあることを事前に知らせ、中学生以下だけでの鑑賞を制限するなどの注意書きを出し、係員を置いた。だが、匿名の通報を受けた愛知県警が美術館に対処を求めた。

鷹野さんと美術館は写真の一部を隠し、「公権力の介入が見える」新たな作品にして展示を続けた。美術と社会とのかかわりを考えさせる対応だった。

性器を含む表現を、見たくない人や子供の目に触れないようにする配慮は必要だ。愛知県美術館は十分注意を払っていた。ろくでなし子さんがデータを送ったのも、活動に理解を示す限られた人だ。それなのに、警察に抑えつけられた。

芸術は、鑑賞者を刺激して考えることを促したり、問題を提起したりするものである。日常の感覚と異なる表現は、新しい価値観や精神の自由を生む契機になる。それは市民社会の豊かさに結びつく。

だから、作品が具体的に誰かを傷つけたり、むやみに社会に害を及ぼしたりしない限り、表現活動は幅広く尊重されなければならない。

そのためにも、美術館など文化を担う拠点は特に、自由で多様な表現を最大限守る場でなくてはならない。警察は硬直した取り締まりを見直してほしい。
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[朝日新聞] 女性活躍推進―まずは現状の公表だ (2014年10月05日)

働きたい女性が希望に沿って個性や能力を発揮できる社会にしていくためには、何が課題で、どんな対策が必要か。

厚生労働省の審議会が、新たな法律を見すえて報告書をまとめた。大企業と中小企業で義務づけの度合いを変えつつ、こんな方針を打ち出した。

まず、自社の現状を認識するために?採用者に占める女性の割合?勤続年数の男女差?労働時間?管理職での女性の比率、の4種類の数値を「必須項目」として把握する。

企業は行動計画をつくり、目標や取り組み内容、実施時期などを盛り込む。数値目標については各社の実情に配慮する。

求職者が会社を選ぶ際に有益な「現状に関する情報」も公開する。ただし、どんな数値やデータにするのか議論を続け、4種の数値を含むリストを別途、つくる。各社がその中から選んで公表する仕組みにする。

審議会は、大学教授のほか連合、経団連など労使の団体の代表らが委員を務める。焦点となったのは「数値」の扱いだ。

経団連などは「業種ごとに事情が異なるのに、数値はとかく独り歩きする」と主張した。「従業員に関する方針は経営戦略にかかわり、各社の判断に任せるべきだ」との考えからだ。

審議会は、現状に関する情報公開でも企業の裁量を認める立場だ。「公開の範囲によって姿勢がわかる」というが、経団連の主張に沿う内容である。

確かに、様々な業界をひとくくりにはできないし、政府が業界ごとに目標数値を決めて義務づけるのも無理があろう。

しかし、企業の自主性を尊重してきた結果、いまだに「女性が活躍できる社会」を実現できていないことを考えてほしい。

「2020年に指導的な地位の人の3割を女性に」との目標を掲げる政府は、各社が管理職での女性比率について目標を作り、公表するよう義務づけたいようだ。しかし、4種の数値を手始めに現状を明らかにすることが出発点ではないか。

建設や運輸などの業界では、人手不足もあって女性を増やそうとしている。職場環境を改善する努力は当然だが、「本気度」を伝えるためにも、現状を正直に語ってはどうか。

女性に多い非正社員をどう後押しするか。仕事と家庭の両立支援策を含め、働きたいのに働けない女性をどう支えていくのか。報告書が十分に踏み込めなかった課題も山積している。

長く、多様な取り組みになる。議論を深めるためにも、現状に関するデータは不可欠だ。
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