2014年10月04日

[東京新聞] クマ被害続発 “音のお守り”忘れずに (2014年10月04日)

住民や観光客がクマに襲われる被害が各地で相次いでいる。紅葉シーズンを迎え、山間の行楽地は人出も増える。自治体などは情報を広く伝え、山に入るには鈴などの“音のお守り”を携行したい。

九月下旬、福井、長野、岐阜県などで、襲われた人がけがを負う被害が続いて起きた。中には骨折や入院した人もいる。

今年はツキノワグマの目撃件数が、例年よりかなり多いという。岐阜県白川村は例年の約三倍、長野県大町市でも九月は昨年の十倍を超えた。

秋に目撃が急増するのは、冬眠前のクマの主食であるブナなどのドングリ類が不作で、代わりの食物を求めて人里に下りてくるためだ。今年は東北の被害も際立つ。

環境省によれば、人身被害が百四十七人(うち死亡二人)と、最近ではもっとも多かった二〇一〇年度も、ドングリ類の不作の年だった。

ツキノワグマは本来、おとなしくて臆病な動物である。野生動物の生態に詳しい岐阜大の浅野玄准教授は「人に気づけば怖がって逃げる。不意に出くわすのが、いちばん危険だ」という。

クマに襲われないよう身を守るには「近づかない、近づけさせないこと」が最良の方策だ。

現地に看板などで情報提供もされているが、事前に役場や警察などに目撃情報を確認し、出没地に近づかないようにするべきだ。安易な単独行動も避けてほしい。

だが、森林や山に入らぬわけにもいかぬ。クマを近づけさせないためには鈴や笛、携帯ラジオなどを鳴らし、人の存在や接近を知らせる方法が有効だ。専用の鈴なら登山用品店や現地のホームセンターなどで手に入る。

こんな例もある。福井市の山あいの羽生小学校は毎年、全児童にクマよけの鈴を順繰りに渡している。みんな用心のため、ふだんからランドセルに付けて通学している(写真は昨年、同市・鶉(うずら)小で)。

クマが人里に出没し始めたのは最近に限らない。背景には、過疎・高齢化による農山村などの衰退がある。長期的には、それらの適正管理や再生こそが求められる。
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[東京新聞] 香港占拠長期化 話し合いで解決しよう (2014年10月04日)

香港行政長官の民主選挙を求める「占拠」抗議は長期化した。ようやく対話の機運が出てきたが、「高度な自治」を約束した一国二制度を形骸化させる案では香港市民は納得すまい。

炎天下の香港で、民主派の学生らが連日、道路「占拠」の抗議行動を続けてきた。

学生たちは中国・三国時代の古詩をひいて「本、同根より生ず」と紙に書き掲げた。魏の皇帝に殺されかけた弟が兄弟での争いの悲しみを訴えたものだ。中国政府がルーツを同じくする中華民族の香港市民を敵とみなすのは誤りであるとの声で、力による制圧をけん制している。

学生たちは中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が決めた普通選挙案を「偽の普通選挙」として反発している。

経済界代表などでつくる「選挙委員会」が長官を選出したこれまでの間接選挙から、香港市民が一票を投じる「直接選挙」に変更する案だが、親中派が多数を占める指名委員会のふるいにかけ、民主派が出馬できない制度である。

「直接投票による長官選出」という形ばかりの民主に、学生らが納得できないのは当然であろう。

選挙に真の民意が反映しないという学生らの不満の背景に、「東洋の真珠」と称された香港の自由な言論空間が失われかねないとの香港市民の危機感があるのも見逃せない。

香港では十年以上前、「政府転覆の罪」を含む国家安全条例制定の動きがあった。自治と言論の自由を守るため五十万人がデモを起こし、条例制定を断念させた。

梁振英行政長官が学生の求めに答える形で生まれた対話の機会を大切にしてほしい。「占拠」の解決には冷静な話し合いしかありえず、中国は手詰まりになろうとも、武力行使に踏み切るべきではない。

どう解決するかは、習近平国家主席が最近、「中台統一の最も良い方式」と述べた「一国二制度」による台湾統一へも大きな試金石となるだろう。

国際社会も台湾の人たちも、中国が香港返還の際に約束した「一国二制度」による「高度な自治」をなし崩しにしようとしているのではないかと懸念している。

中国が「普通選挙」で実現しようとするものが、「国家、社会、集団の利益」を優先する一党独裁体制下のかりそめの自由でしかないのなら、長年、自由の空気に触れてきた香港市民は納得すまい。
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[毎日新聞] 社説:エボラ感染拡大 日本も備え怠らずに (2014年10月04日)

米国テキサス州でエボラ出血熱の患者が確認された。これまで、流行地の西アフリカで感染した米国人らが本国に搬送されたケースはあるが、西アフリカ以外で発病が確認されたのは初めてだ。

米疾病対策センター(CDC)の発表や現地の報道などによると、リベリアから一般の航空機で入国した男性で、米国到着から4日後に症状が出た。リベリアの首都圏に住み、エボラ出血熱を発症した患者を病院に運ぶ手助けをしたらしい。その後、航空機でベルギー、米国内の空港を経由し、近親者の住むテキサス州を訪れたという。

エボラ出血熱が国境や海を越えて飛び火する可能性はこれまでも考慮されてきたが、現実になったことで、日本も気を引き締める必要がある。西アフリカから日本に入国する人は限られ、日本で患者が出る確率は低いが、万が一を想定し、体制を整えておかなくてはならない。

今回、明らかになったのは、感染した危険性が高い人でも、無症状のまま空港の検疫をすり抜けてしまうことだ。感染は患者の血液や排せつ物を介して起きるが、流行地では患者と接触した人を追跡調査する体制は不十分であり、同じことは今後も起きうる。

また、今回の患者は、米国到着後に病院を受診した際に、リベリアからの渡航者であることを伝えたのに、その日はエボラを疑われずに帰されたという。CDCが全米の医療機関に注意を呼びかけていたにもかかわらず、院内で情報がうまく伝わらなかったとみられる。

日本も、厚生労働省が自治体に向けて注意喚起はしているが、通り一遍の印象がある。疑い例を見逃さないようにすることはもちろん、感染者の確定診断の手順まで含めて再確認してもらいたい。日本にはエボラ出血熱のような危険な感染症の患者を収容して治療する指定医療機関が全国に40以上ある。そうした医療機関を中心に準備が整っているかのチェックが必要だ。

CDCは現地に専門家チームを派遣し、州政府などと協力して患者と接触した人の追跡調査や経過観察、試料分析などを行っている。チームは公衆衛生や感染症制御の専門家に加え、情報提供の専門家で構成されている。追跡調査は感染封じ込めに欠かせず、日本でも準備しておかなくてはならない。広報活動も重要だ。

9月28日までに西アフリカのエボラ感染者は7100人を超え、3300人以上が死亡している。感染の飛び火を抑えるために何より重要なのは、火元での感染拡大を抑えることだ。さらなる国際支援で封じ込めに力を尽くしたい。

2014年10月04日 02時31分
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[毎日新聞] 社説:香港学生デモ 民主化は普遍的願いだ (2014年10月04日)

中国の特別行政区である香港で2017年の次期行政長官選挙の制度改革に抗議する学生らの大規模なデモが続いている。アジアの金融センターであり、各国の企業も拠点を置いている大都市だ。各国メディアも先月末のデモ開始以来、大きなニュースとして報じ、世界的に関心が高まっている。

2日にはデモ隊が香港政府のトップである梁振英行政長官の辞任を求めて官邸を包囲した。梁長官は辞任を拒否したものの、対話には応じる考えを示した。香港政府と学生らの見解には隔たりがあり、予断を許さないが、対話の兆候が出てきたことは歓迎したい。

デモの発端は選挙制度改革の最終決定権を持つ中国全国人民代表大会(全人代=国会)の常務委員会が8月末に決めた候補者選出方法について事実上、民主派を締め出す狙いという反発が強まったことだ。

これまで行政長官は1200人で構成する選挙委員会で選出されていたが、17年からは香港の有権者が「1人1票」を投じて選ぶ「普通選挙」に変わる。本来、民主化進展につながるはずの改革だが、中国は候補者を指名委員会で選出するという香港基本法の規定を利用した。

指名委員会を現在の選挙委と同じ構成とするとした上で、半数の支持を候補者の要件としたのだ。選挙委は工業、商業、教育、宗教など細かく分類された職能別の選挙などで委員を選ぶ。これまで民主派が過半数を占めたことはない。

民主派や学生らは国際標準に基づいた普通選挙の実施を求め、金融街である「中環(セントラル)」地区の占拠をスローガンにデモに入った。当初、香港警察が使用した催涙ガスを防ぐため、学生らが傘を使ったことから欧米メディアから「雨傘革命」の呼び名がついた。

中国は学生らの道路占拠を「違法行為」と非難し、「過激人士」と批判しているが、国際世論は学生らに同情的だ。参加者が平和的デモに徹して投石や警察との衝突を避けていることもあるが、何より、学生らが求める民主選挙の要求は普遍的なものだと受け止めているからだろう。

オバマ米大統領は中国の王毅外相との会談で学生らに理解を示した上で「平和的な解決」を求めた。王外相は「内政問題だ」と主張する一方で「香港政府には十分な対応能力がある」と述べ、香港政府の対応に任せる姿勢を示した。

国際社会が懸念するのは当局が強硬手段でデモ鎮圧に動くことだ。対話が実現できるかは流動的だが、できるだけ早く話し合いを始め、平和的な解決に向けた糸口を見つけてほしい。

2014年10月04日 02時30分
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[読売新聞] 産経前支局長 韓国は出国禁止を続けるのか (2014年10月04日)

韓国大統領府の人権と報道に対する姿勢が問われている。

韓国の検察当局が、産経新聞前ソウル支局長の刑事責任の追及を今なお続けている。朴槿恵大統領に対する名誉毀損(きそん)の容疑だ。

検察は前支局長に8月上旬、出国禁止を科した。延長を6回重ね、禁止措置は50日を超える。

前支局長には、今月1日付で東京への異動が発令されていたが、帰国できない状態だ。報道活動にも支障を来している。

移動の自由という基本的人権が侵害されている。前支局長の弁護人が、「出国禁止処分は必要最低限の範囲で行われるべきだ」と解除を求めたのは当然だろう。

問題の記事は、産経新聞のサイトに8月3日に掲載された。

4月に旅客船セウォル号沈没事故が発生した当日、朴氏が男性と会っていたという「ウワサ」があると報じた。韓国有力紙の朝鮮日報に掲載されたコラムを引用し、独自の情報も盛り込んでいる。

記事掲載から4日後、大統領府は、産経新聞の刑事責任を追及する、と明言した。検察の執拗(しつよう)とも言える捜査の姿勢に、大統領府の強い意向が働いているのは、間違いあるまい。

産経新聞は、記事には大統領を誹謗(ひぼう)中傷する意図はないとして、名誉毀損を否定している。

その一方で、「捜査には真摯(しんし)に応じる」と表明しており、実際、前支局長は、3回にわたり事情聴取に応じた。

証拠隠滅や、帰国後の逃亡の恐れはないとも主張している。

韓国で、記事を基に、外国人記者の刑事責任が追及されるのは、異例のことだ。

今回の事態は、韓国大統領府が、検察の捜査を名目に、外国人記者に事実上の制裁を加えていると受け取られても、仕方がない。

前支局長の記事は、うわさの真偽を検証せず、実名入りで伝えた点で、批判の余地はある。

だが、民主国家であれば、報道を対象とした刑事責任の追及には、極めて慎重であるべきだ。安易に捜査や訴追が行われれば、民主主義社会に不可欠な報道の自由が侵されかねない。

大統領府は、事故当日の大統領の詳細な行動記録を国会に示した。こうした措置で、うわさが否定され、名誉が回復されたとは考えられないのだろうか。

前支局長に対する捜査を、日本をはじめ、海外の報道機関が注視している。韓国大統領府には、冷静な判断を求めたい。
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[読売新聞] 衆院予算委 現実的な安保論議を深めたい (2014年10月04日)

いかに抑止力を高め、日本の平和と安全を確保するのか。与野党は、現実に即した安全保障論議を深めるべきだ。

安倍改造内閣で初めての本格的な国会論戦となる衆院予算委員会での質疑が始まった。

民主党の枝野幹事長は、集団的自衛権行使を限定容認する新政府見解について「どうにでも読める要件を付け、(容認範囲が)どこまで広がるのか」と批判した。

特に、中東での自衛隊による機雷除去の事例に関して「(集団的自衛権行使が認められる)他国から攻撃を受けた場合に準ずるケースなのか」と疑問を呈した。

安倍首相は「例えば、ホルムズ海峡は、日本のエネルギー安全保障の生命線だ。(行使容認の)事態は生じ得る」と主張した。

様々な危機を想定し、適切に対処できる法制と実施体制を整えるのは、安全保障の要諦だ。民主党も、政権を担当し、その必要性を痛感したはずではないか。

新見解が停戦前の機雷除去を可能にしたのは、適切である。

民主党は、日本の安全保障環境の悪化を直視し、先送りしている行使容認の是非の党見解について早急に結論を出すべきだ。

首相は、新見解について、従来の憲法解釈と一定の整合性が取れていると強調した。イラク戦争のようなケースで軍事的作戦に参加することはないとも明言した。

新見解で、集団的自衛権の行使は「国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などに限定されている。首相は、この内容と意義を丁寧に説明し、国民の理解を広げねばならない。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」について、民主党の前原誠司元代表は「実質賃金が下がり、サラリーマンらの暮らしは苦しくなった」と非難した。

首相は「(物価上昇に)なるべく早く賃金が追いつくようにしたい。機動的な財政政策、成長戦略を進めていく」と反論した。

企業の収益増を賃上げや消費拡大につなげる「経済の好循環」の実現には、雇用の拡大や非正規労働者の待遇改善が欠かせない。どんな政策でこれを後押しするか、与野党は議論する必要がある。

首相は、消費税率の10%への引き上げについて「デフレ脱却を優先しており、生き物である経済を見ながら判断する」と語った。

首相は年内に、消費増税の是非について政治決断が求められる。民主党も、増税の民自公3党合意の当事者である以上、責任ある議論を国会で展開してほしい。
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[朝日新聞] 裁判員の負担―実態をつかみ対策を (2014年10月04日)

殺人事件の凄惨(せいさん)な証拠を見聞きしたため、裁判員経験者が急性ストレス障害になった。

そう認める判決を、福島地裁が出した。

裁判員制度が始まって5年がたち、すでに5万人以上が裁判員を務めた。

判決は女性が求めた国家賠償請求は退けたが、公務災害の補償制度が適用されうるという救済の道を示した。

これで治療費などはカバーされる。最高裁によると、裁判員経験者が精神面で公務災害を申請した例はまだないという。

裁判員の心に深刻な負担を与えているケースが、ほかにもないか。裁判所は実態をつかみ、対策をとるべきだ。

裁判員裁判は、殺人など重大事件が対象で、遺体や外傷、現場の写真や映像など恐怖や不快感を伴う証拠がつきものだ。

元裁判員の訴えをうけ、最高裁は昨年、証拠の示し方を工夫するよう全国の地裁に促した。写真をイラストやCGで代替したり、カラーを白黒にしたりといったことだ。証拠を示す前に裁判官がどのような内容か伝えるだけでも、ショックはその分やわらぐといわれている。

裁判員に不必要に負担を与えない実務を重ねていくべきだ。

一方、証拠に手を加えて示すことには、裁判員の負担軽減からだけでなく、裁判の審理の行方にどう影響するかという観点からの精査も必要だろう。

海外の模擬裁判を用いた実験で、おぞましい証拠の写真を示すことが陪審員に有罪方向の影響を与えたとする研究もある。

裁判員の負担になるのは、証拠に接することだけではない。被告が無実だと主張する事件で有罪を言い渡したり、死刑も含む重い罰を言い渡したりしたことも葛藤になろう。

裁判員経験者には評議の経過などについて生涯、守秘義務があり、家族や友人などにさえ気持ちを出しにくいことも、状況を深刻化させていないか。

法曹関係者に、心理の専門家らも加え、裁判員の経験が与える負担の実態と対策に向き合っていく必要がある。すでに裁判員を経験した人の意見も、取り入れていくべきだ。

裁判員経験者向けに裁判所が設けた窓口には、制度開始からことし8月末までに精神面の相談が213件あった。そこから臨床心理士と面接したのが26件、さらに医療機関に紹介した件が5件あったという。

あれでよかったのか。経験者にさまざまな思いを残す、重い任務である。先々にわたって支える態勢を築いていきたい。
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[朝日新聞] 再エネの購入―普及の機運をいかせ (2014年10月04日)

固定価格買い取り制度(FIT)が始まってから順調に伸びてきた再生可能エネルギーの普及にブレーキがかかり始めた。

再エネでできる電気を全量買い取ることが義務づけられている大手電力側で、送電線の受け入れ容量が足りなくなる地域が出てきたためだ。大手10社のうち九州電力など5社がほぼ全域で新規の契約をストップした。

容量不足は、再エネへの投資意欲や活用への期待が大きいことのあらわれだ。しかし、太陽光や風力には、季節や天候、時間帯によって発電量の差が大きい難点がある。うまく調節しないと周波数や電圧に影響して停電や機器の故障につながる。

解決手段のひとつは、送電網を増やして広域的に運用することで変動を吸収しやすくすることだ。電力会社の間の送電網を太くすれば、例えば九州だけだと余ってしまう再エネ発電による電気を、電力需要があるほかの地域に流せるようになる。

これまで送電網への投資は電力各社の経営判断に委ねられてきた。電力システム改革では送電と発電の部門が分離する。個別の事情に縛られず、全体を見た送電網が築けるようになる。

来年4月には各地の送電業者を束ねる広域的な運用機関ができて主要な送電線や電力会社をまたぐ連系線の整備を担う。国の政策上の必要性や発電事業者からの申し立てに基づいて送電網の増強もしやすくなる。

費用負担のあり方など、詰めるべき点は残っているものの、こうした電力改革を着実に進めることが大切だ。

もっとも、大規模な送電網の整備には時間がかかる。発電施設と接続する箇所での送電線の容量不足といった問題もある。

経済産業省は作業部会を設け、各社の受け入れ可能量の計算方法や条件を検証する。変圧器や蓄電池の増強なども電力会社任せにせず、前倒しでの実施を含めて考えてもらいたい。

事業申請が突出して多い大規模な太陽光発電に対しては、現在は年1回の買い取り価格見直しの頻度を増やすなど、価格メカニズムを通じて適正規模へと誘導するのも一案だろう。

原子力や化石燃料に代わるエネルギーの開発や温暖化対策の観点からも、再エネの促進は世界の潮流だ。

政府は新しいエネルギー基本計画で、13年から3年程度を「再エネの導入を最大限加速する」期間とし、2030年には発電量の2割以上にする目標を掲げてもいる。再エネ普及の機運をしぼませないよう、知恵を絞ってほしい。
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