2014年10月02日

[東京新聞] 再生エネ 中断 原発依存に戻るのか (2014年10月02日)

固定価格買い取り制度(FIT)は、小規模事業者や個人が太陽や風力などでつくる電力を、高値で安定的に買い取ることを大手電力会社に義務付ける。

再生可能エネルギーの普及策として世界中で採用されており、日本では一昨年の夏から始まった。

ところが、日本のFITには大きな抜け穴がある。買い手側の電力事業者が「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる恐れがある」と判断すれば、接続、つまり買い取りを拒否できる。

九電は買い取り中断の理由を、次のように説明する。

今年四月の買い取り価格引き下げを前に、駆け込み申請が急増、三月だけで過去一年分の約七万件の申し込みが殺到した。太陽光や風力は天候による変動が大きい。現在の発送電システムでは急激な出力変動に対応できず、停電など安定供給に支障が出かねない−。

ところが、九電の再生エネ導入量は現在三百万キロワット程度で、計画量の四分の一にすぎない。まだ、十分余裕はあるはずだ。

九電の川内原発は、3・11後の新規制基準に適合し、現在ゼロ状態の原発再稼働に先鞭(せんべん)をつけると目されている。

原発再稼働に最も近づいたとみられる九電が、まず再エネを拒絶し、北海道、東北、四国の三電力会社が、後を追うようにそれに続いた。まるで再稼働への地ならしのようにも映ってしまう。国民の多くはそれを望んではいないだろう。

再エネの普及は、既存事業者が独占する送配電網を、いかに小規模事業者などに開放するかにかかっている。

ドイツでは、二〇二五年までに電力消費量の約半分を再エネで賄う計画だ。その裏付けとして、再エネによる電力を、第三者機関の監視下で優先的に送電網へ送り込む仕組みを築いた。地域間で融通し合えば、より安定的に供給できる。再エネ市場が形成されて、価格も安くなっている。

欧州だけではない。再エネへの追い風は、米国や中国でも吹いている。安全のため、自前のエネルギーを確保するため、日本でも育てなければならないときだ。原発依存への逆行は国民が許さない。
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[東京新聞] 日銀短観低調 民需の指標は総崩れだ (2014年10月02日)

経済指標は軒並み景気の停滞や悪化を示している。「経済の好循環」どころか、消費税増税を発火点に消費低迷が生産、投資を落ち込ませる悪循環だ。負担増を強行した政府の判断ミスではないか。

日銀が発表した九月の短観(企業短期経済観測調査)も悪い。調査は三カ月おきに全国約一万社を対象に景況感などを尋ね、今回は円安が大幅に進んだ八月下旬から九月下旬に回答があった。

円安による恩恵が大きい「大企業・製造業」のみ景況感がわずかに改善したが、これまで景気回復をけん引してきた「大企業・非製造業」や中堅、中小企業の製造業、非製造業はいずれも景況感悪化の回答が多い。三カ月先の見通しも総じて横ばいである。

短観は企業が景気を皮膚感覚でとらえた指標として、景気動向を探るうえで重要視される。それが、この結果である。

短観ばかりではない。直近八月の主な経済指標では、自動車やエアコンなどの生産低迷から鉱工業生産指数は低下。在庫調整の遅れが目立ち、景気はすでに後退局面にあるとの見方も出始めた。家計調査で一世帯当たりの実質消費支出は前年同月比で5%近く落ち込み、住宅着工戸数は同12・5%減である。

政府は「雇用や所得は改善している」というが、中身が問題だ。完全失業率は3・5%に低下したとはいえ、働き口が増えたのは不安定な非正規労働ばかりである。現金給与総額は平均約二十七万五千円でわずかに増えたが、物価上昇を加味した実質賃金でみると同2・6%減である。

消費税増税の影響を政府・日銀が読み間違えたのは疑いようがない。前回一九九七年に消費税を3%から5%に引き上げた際は、所得税減税を先行させ、国民の痛みを和らげる措置をとった。それでも、金融危機の影響などもあって消費は大きく落ち込んだ。

今回は所得税減税はなく、増税一本やりで、一年半の間に消費税は二倍の10%に引き上げられる。年金の支給カットや厚生年金保険料の引き上げなど負担増もめじろ押しだ。アベノミクスのインフレ政策で物価上昇が激しく、消費は前回以上に落ち込むとみるのが当然ではなかったか。

景気腰折れを防ぐために再増税は見送るべきである。企業も好循環を実現すべく、過剰な内部留保を改め賃上げに努めるべきだ。経済立て直しに全力を挙げることが政治の責任、国民の願いである。
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[毎日新聞] 社説:衆参代表質問 論点は見えてきた (2014年10月02日)

「地方創生」や「女性の活躍」といった異論をはさみにくいテーマを前面に掲げる一方で、集団的自衛権の行使容認や消費税率の再引き上げなど国民の間でも意見が分かれる課題には触れたがらない。そんな姿勢が鮮明な安倍晋三首相に対して野党がどう論戦に挑むのか。臨時国会の焦点はそこにある。

衆参両院での代表質問で目を引いたのは、民主党の海江田万里代表が「アベノミクスの企業利益最優先の政策は間違い」と断じて政権との対決姿勢を一段と強めた点だ。また新たに発足した維新の党の江田憲司共同代表も歩調を合わせるように政権批判を展開した。この結果、今後の論点が見えてきたのは確かだろう。

例えば地方創生。海江田氏は「首相は『バラマキ型の投資をしない』というが、来年度予算の概算要求では各府省が縦割りの水膨れ要求をしている」と追及。これに対して首相は「効果の高い施策を集中的に実施する」などと答えただけだった。

また海江田氏は女性の活用に関して非正規雇用で子育てしているシングルマザーを例に挙げ、「輝きたくても輝けない、生活に追われて苦しんでいる女性にどんな施策を講じるのか」とただした。地方創生も含めて、「やればできる」と首相が力説するだけでは進まない深刻な現実がある。その指摘には私たちも同感であり、首相は謙虚に耳を傾けるべきだ。そして、こうした課題については野党も具体策を積極的に示し、政治全体で取り組んでもらいたい。

所信表明演説で首相が触れなかった憲法解釈変更問題を各党が追及したのは当然だ。首相の答弁は従来の説明をなぞるだけだったが、今回の解釈変更には、さまざまな疑問点や問題点が置き去りになったままだ。

首相は「建設的な議論を行いたい」とも答えた。そのためには今国会の予算委員会などの場で集中審議を改めて行う必要があろう。無論、この問題では民主党も党内意見を早急にまとめないといけない。そうでないと首相との議論は進まない。

もう一つ、見逃せない問題も代表質問で取り上げられた。山谷えり子国家公安委員長が2009年、在日韓国・朝鮮人の排斥を訴える「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の関係者と一緒に写真を撮っていた一件だ。さらに高市早苗総務相や自民党の稲田朋美政調会長らが、ナチスの思想に同調しているとみられる極右団体の代表と以前、写真撮影をしていたことも明らかになっている。

山谷氏らはこうした団体の関係者とは知らなかったと説明しているが、安倍内閣の人権意識や歴史認識にもかかわる重大な問題だ。国会の場できちんと説明する必要がある。

2014年10月02日 02時32分
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[毎日新聞] 社説:企業の景況感 軽視できない円安の影 (2014年10月02日)

日銀が発表した9月の短観で、非製造業の景況感が悪化した。製造業でも、大企業以外は落ち込んだ。円安がその企業の業績にプラスとなるかどうかで明暗が分かれたようだ。

短観は、日銀が3カ月に1度、全国の約1万社を対象に景況感や設備投資計画、雇用の状況などを聞く調査である。その最新版によると、自社にとっての景気が「良い」と答えた企業の比率から「悪い」と答えた企業の比率を引いた数字が、非製造業の大企業で前回調査より6ポイント下がった。前回尋ねた「3カ月後の見通し」は、横ばいというものだった。予測に反した悪化である。

消費増税の影響が続いていることや、夏の天候不順も背景にあるが、ここへきて進行している円安も響いているとみられる。円安は多くの輸入品の価格を押し上げ、企業にとってコスト上昇要因だ。販売価格に転嫁しなければ、経営を圧迫する。

景況感の悪化は、非製造業全般に加え、製造業でも中堅、中小企業で見られた。一方、製造業の大企業は悪化を逃れ、わずかではあるが前回より上向いた。比重が大きい自動車や電気機械のメーカーで改善したのが影響したようだ。

これらの企業は、海外生産の好調さや円安を受けた海外収益の円換算額が膨らむ効果の恩恵を受けている。しかし、製造業でも中小企業になると、円安は一般に、原材料や部品の輸入コストを増やすマイナス面がプラスを上回ってしまう。

円安の悪影響は、今回の短観に表れた以上に、この先企業経営に影を落としそうだ。

今回、企業が回答したのは8月末から9月末まで。この間、円は対ドルで6円以上、下落したが、今回の回答にまだ十分反映されていない可能性が高い。円相場は1日、1ドル=110円台まで進んだ。一方、短観で大企業(製造業)が想定した今年度のレートは1ドル=100円73銭だった。しかも、日米で方向が異なる金融政策を考えると、円安は一段と進み、長期化する構図にある。

今では国内企業の約8割が非製造業だ。昨年末以降、景気を引っ張ってきたのも非製造業である。ここが強くならなければ、日本経済全体の底上げも賃金上昇も難しい。

消費増税から半年。この先、日本経済がようやく増税の影響から抜け出せたとしても、円安に伴うコスト増が大多数の企業で経営マインドを冷やす新たな要因となりかねない。

企業には為替の変動に負けない経営の工夫も必要だろう。とはいえ、あえて円安に誘導しようというのがアベノミクスである。多数の企業を苦しめる副作用に、もっと目を向けるべきだ。

2014年10月02日 02時30分
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[読売新聞] 日銀短観 景気回復の足取りはまだ重い (2014年10月02日)

消費税率引き上げ後の景気減速は長引くのではないか。そんな懸念を抱かせる内容である。

9月の日銀企業短期経済観測調査(短観)は、景況感を示す大企業・製造業の業況判断指数が13と、前回6月調査より1ポイント改善した。

小売りやサービスなど国内需要への依存度が高い大企業・非製造業は、6ポイントの大幅悪化だった。中小企業は製造業、非製造業とも2四半期連続で指数が低下した。

3か月先の予想は、大企業も中小企業も、景況感の変化が横ばい圏内だった。しばらく景気の足踏み状態が続くと、先行きを慎重に見る企業が多いようである。

景況感がさえないのは、個人消費が低迷しているためだ。消費税率引き上げ前の駆け込み需要で急増した後、反動減で落ち込み、回復の足取りは重い。

大雨など夏の天候不順の影響もあるが、消費増税分を含め約3%の物価上昇に、収入の伸びが追いついていないことが、消費を冷え込ませている主因と言える。

政府・日銀は、景気の緩やかな回復シナリオを描いているが、楽観は禁物だ。日本経済の変調に対する警戒を強め、景気最優先の政策運営に徹してもらいたい。

企業の利益が賃上げとして働く人に還元され、家計の所得増が消費を押し上げる「好循環」を生み出さないと、民需主導の持続的成長は実現できまい。

短観では、企業の「人手不足感」が、1992年以来の高水準になったことが分かった。賃金は上がりやすくなると期待される。

ただし、人員不足による事業縮小など副作用の恐れもある。影響を注視することが重要だ。

円相場は一時、約6年ぶりに1ドル=110円台まで円安が進行した。輸出企業には追い風だが、輸出や海外事業を手がけない内需型産業や中小企業は、輸入原料の高騰などで経営が圧迫される。

政府は、法人税実効税率の引き下げや規制緩和など、国内の事業環境を改善させる成長戦略を、着実に推進する必要がある。

安倍首相の提唱する「地方創生」や女性の活躍支援は、人口減など構造的な変化への対応策を講じ、成長力を底上げする狙いがある。政府は、実効性のある具体策作りを急がねばならない。

首相は年内に、消費税率を来年10月から10%に引き上げるかどうか判断する。再増税に踏み切るのなら、今度こそ食料品などの生活必需品に軽減税率を導入し、家計の負担を和らげるべきだ。
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[読売新聞] 香港抗議デモ 混乱の長期化が懸念される (2014年10月02日)

1997年に英国から中国に返還されて以降、香港がこれほどの混乱に陥ったことはない。習近平政権に、政治的難題が突き付けられている。

香港行政長官選挙の民主化を求める学生や、民主派団体の支持者らが、中心部の政府庁舎周辺や金融街、繁華街などを占拠する状態が続いている。中国の建国記念日にあたる1日も、大勢の学生らが中心街に集結した。

交通機関がマヒするなど、市民生活にも支障が生じている。憂慮すべき事態である。

中国の全国人民代表大会(全人代)が8月、香港の2017年行政長官選挙の新制度を決定したことが、混乱を招いた発端だ。

習政権は、有権者が直接投票する「普通選挙」導入を初めて認めたものの、親中派以外は事実上、立候補できない仕組みにした。

香港は一国二制度の下、「高度な自治」が法的に保障されている。学生たちが「偽の普通選挙だ」と反発したのは理解できる。米大統領報道官も「香港市民の強い願いを支持する」と表明した。

これに対し、香港当局は、催涙弾や催涙スプレーを使い、授業のボイコットや街頭デモを繰り返す学生らの排除に乗り出した。多数の逮捕者も出ている。

梁振英・行政長官は、今回の混乱について、「長期間に及ぶ」との見通しを述べた。早期収拾に有効な手立てを持たない当局の苦しい内情が見てとれる。

カギを握るのは、習政権の出方である。占拠を「社会の安定を破壊する違法行為」と断じている。学生らの要求をのめば、香港統治が思うようにできなくなるとの懸念があるのだろう。

1989年の天安門事件以来、封じ込んできた国内の民主化要求の再燃につながるとの危機感があるのも間違いない。

台湾に一国二制度の適用を図る中台統一戦略にも、狂いが生じよう。少数民族地域では自治要求が一層、強まるのではないか。

北京主導の強引な統治が限界に達しつつある。香港の現状が、それを如実に物語っている。

武力鎮圧という最悪の事態は避けねばならない。習政権には、香港の自治を尊重し、対話によって解決する姿勢が求められる。

混乱の影響が、株価の下落や銀行の休業など、経済面にも及び始めているのは気がかりだ。

国際金融センターの一角を占める香港の混乱が長引けば、日本を含む世界の金融市場の波乱要因にもなりかねない。
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[朝日新聞] 大学への脅迫―暴力は、許さない (2014年10月02日)

自由にものを言う。

学びたいことを学ぶ。

それらを暴力によって押しつぶそうとする行為を、許すわけにはいかない。

かつて慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者が教授を務める帝塚山学院大(大阪狭山市)に9月、別の元記者が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市)には5月と7月、それぞれの退職を要求し、応じなければ学生に危害を加えるという趣旨の脅迫文が届いた。警察が威力業務妨害の疑いで調べている。

「辞めさせなければ学生に痛い目に遭ってもらう。釘を入れたガス爆弾を爆発させる」

「元記者を辞めさせなければ天誅(てんちゅう)として学生を痛めつける」

北星学園大には、「爆弾を仕掛ける」という内容の電話もあったという。

攻撃の対象は元記者本人にとどまらない。家族までもがネット上に顔写真や実名をさらされ、「自殺するまで追い込むしかない」「日本から出て行け」などと書き込まれた。

朝日新聞は8月、過去の慰安婦報道について、女性を強制連行したと証言した吉田清治氏(故人)に関する記事を取り消した。間違った記事を掲載してしまったことに対して多くの批判が寄せられており、真摯(しんし)に受け止めている。

しかし、だからといって学生を「人質」に、気に入らない相手や、自分と異なる考えを持つ者を力ずくで排除しようとする、そんな卑劣な行いを座視するわけにはいかない。このようなことを放任していては、民主主義社会の土台が掘り崩されてしまうだろう。

「反日朝日は五十年前にかえれ」。1987年5月3日、朝日新聞阪神支局に男が押し入り散弾銃を発砲、記者1人が殺害された。犯行声明に使われた「反日」は、当時はあまり耳慣れない言葉だった。

あれから27年。ネットや雑誌には「反日」「売国奴」「国賊」などの言葉が平然と躍っている。社会はますます寛容さを失い、異なる価値観に対して攻撃的になってはいないか。

意見を述べ合い、批判し合う自由こそが社会を強く、豊かにする。戦後約70年をかけて日本が築きあげてきた、多様な言論や価値観が交錯する社会を守りたい、暴力に屈することのない社会をつくっていきたいと、改めて思う。

朝日新聞への批判から逃げるつもりはない。しかし、暴力は許さないという思いは共にしてほしい。この社会の、ひとりひとりの自由を守るために。
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[朝日新聞] 日銀短観―経済は分断されるのか (2014年10月02日)

円安の恩恵を受けられるかどうかで、景況感も分かれてしまう。それが、いまの日本経済、そしてアベノミクスの現実のようだ。

日銀短観の9月調査で、大企業・製造業の業況判断指数が2四半期ぶりに改善した。しかし同じ製造業でも、中堅企業や中小企業では指数が悪化し、特に中小企業では1年ぶりにマイナスに落ち込んだ。円安が収益改善につながるグローバル企業と違い、中小企業にとって円安は、輸入原材料の価格高騰につながるなど負の側面も多い。

非製造業では、大企業でも中堅、中小企業でも景況感は悪化した。非製造業が頼る内需がふるわないからだ。

心配なのは個人消費だ。総務省の家計調査によると、消費支出は4月から8月まで5カ月連続で前年同月を下回り続けている。東日本大震災があった2011年3月から11月まで9カ月連続でマイナスを記録して以来の長期の低迷だ。

消費増税前の駆け込み需要の反動や、夏場の天候不順など不振の理由はいくつかある。中でも大きいのは、賃金が十分に伸びていないことだ。名目の給与総額は増えている。しかし物価上昇分を差し引いた実質賃金は昨年7月以降、前年を下回り続けている。

特に苦しいのは低所得層だ。家計調査をもとに所得階層ごとの消費の増減を、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが分析したところ、低所得層では消費増税前の駆け込み消費は少なかったのに、増税後の支出は大きく落ち込んでいる。駆け込み消費が多かったうえに、増税後も消費が増えている高所得層と対照的だ。

消費の低迷は、生産にも影響し始めた。8月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりに低下している。

大胆な金融緩和でデフレから脱却し、円安で収益が改善した企業が設備投資や賃金を増やし、経済全体が潤う。アベノミクスが描く成長の姿だ。安倍首相は「経済の好循環が生まれ始めている」と強調する。もちろん、今回の日銀短観にも、企業の設備投資計画が上方修正されるなど、明るい材料はある。

しかし、現状では、賃金は上昇しているものの物価上昇には追いつかず、消費が縮み、生産も減少、そこに円安で物価が上昇するという、悪循環が生じかねない。

産業界も消費者もアベノミクスの恩恵が偏在して分断されていないのか。政策当局には一層の目配りが必要になっている。
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