2014年10月31日

[東京新聞] 沖縄県知事選 基地の現実直視したい (2014年10月31日)

沖縄県知事選がきのう告示された。最大の争点は米軍普天間飛行場の「県内移設」の是非だが、この機会に、本土に住む私たちも、沖縄に米軍基地が集中している現実を、あらためて直視したい。

仲井真弘多知事(75)の任期満了に伴うもので、十一月十六日に投開票される。三選を目指す仲井真氏に翁長雄志前那覇市長(64)、下地幹郎元郵政民営化担当相(53)、喜納昌吉元参院議員(66)が挑む構図である。

最大の争点は普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への「県内移設」を認めるか否かだ。

仲井真氏は前回「県外」を公約しながら、県内容認に転じた。今回は「(市街地に囲まれた)普天間より、安全性は格段に高い」と辺野古移設推進の立場で臨む。

これに対し、翁長氏は「あらゆる手段を尽くして辺野古に造らせない」と、県内阻止を掲げる。共産、社民両党など革新系の支援も受けるが、前回は仲井真陣営の選対本部長を務めた保守政治家だ。

沖縄県知事選は、保守と革新が対決する構図が長く続き、保守分裂選挙は今回が初めてだ。

在日米軍基地の約74%が集中する沖縄県に、普天間返還のためとはいえ、さらに米軍基地を新設することへの拒否感が、保守層にも浸透しつつあることを物語る。

安倍内閣は、今年一月の名護市長選で辺野古移設に反対する稲嶺進氏が再選されても、県内移設を進める方針を崩そうとしない。

そればかりか、八月に海底掘削調査を始めたり、今月二十四日には本体埋め立て工事の入札を公告するなど、県内移設を県知事選前に既成事実化しようとしている。

菅義偉官房長官は九月の内閣改造で「沖縄基地負担軽減担当相」兼任となったが、県内移設の是非は「もう過去の問題だ」として、県知事選の結果に関係なく、移設作業を進める方針を強調する。

しかし、民意を顧みない強硬姿勢で、重い基地負担に苦しむ県民の理解が得られるだろうか。

普天間問題には移設の是非だけでなく、沖縄をめぐる問題が凝縮していると考えるべきだ。

日米安全保障体制が日本の平和と安全に不可欠なら、負担は国民が等しく負うべきではないのか、負担の押し付けは沖縄県民に対する差別ではないのか、などだ。

本土に住む私たちも、同じ日本国民として、沖縄県民の苦しみから目を背けてはならない。今回の知事選を、沖縄の現実をともに見つめ、考える機会としたい。
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[産経新聞] 【主張】和紙が無形遺産に 技術力の発信を競い合え (2014年10月31日)

「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録される見通しだ。

手間をかけて作られる丈夫で美しい和紙は、世界に誇れる日本の伝統技術だ。ものづくり日本の象徴として、広く世界に発信したい。

無形文化遺産には2009年、すでに手漉和紙の「石州半紙」(島根県浜田市)が登録されている。今回はこれに「本美濃紙」(岐阜県美濃市)、「細川紙」(埼玉県小川町、東秩父村)に範囲が広げられ、「和紙」として登録が勧告された。

石州半紙は主に障子紙として用いられ、本美濃紙は正倉院に残る戸籍用紙にも使われた。細川紙は土地台帳や大福帳などに使用されたことで知られる。

昨年の「和食 日本人の伝統的な食文化」に続くもので、過去には能楽や歌舞伎、結城紬(つむぎ)なども登録されている。和紙は、伝統的知識や技術が世代間で受け継がれてきたことなどが評価された。

和紙の魅力は、身近なところでも発揮されている。

ポケットに紙類を入れたまま洗濯してしまったことはないだろうか。領収書の類は残骸の塊となるが、お札だけは破れもせず、原形のままをとどめている。和紙の製法が応用されていることが、その大きな理由の一つである。

無形文化遺産への登録勧告を受けて、和紙デザイナーの堀木エリ子さんは本紙の取材に「2020年の東京オリンピックではぜひ、和紙の聖火台を作らせてほしい」と訴えた。

素晴らしい発案だと思う。

ただ、世界に発信すべき日本の技術は、和紙だけではあるまい。ものづくりの国の存在感を示すべく、われこそは、と聖火台づくりも競い合ってはどうか。開会式の聖火点火をめぐっては、「最終ランナーに鉄腕アトムを飛ばす」というアイデアもあった。

三菱重工業の子会社、三菱航空機が小型ジェット旅客機「MRJ」を完成させたばかりだ。国産旅客機の開発はプロペラ機「YS11」以来、半世紀ぶりとなる。

あらゆる機会をとらえて、ものづくり日本の復権につなげたい。和紙の無形文化遺産登録も、国産旅客機の開発も、その契機となる。国際社会で日本の存在感を取り戻し、国内では地方創生にも寄与することになる。
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[東京新聞] 小渕氏疑惑 収支の“闇”を洗い出せ (2014年10月31日)

小渕優子前経済産業相の政治資金問題で、東京地検が強制捜査に乗り出した。会計処理に違法性がないか調べるためだ。不透明な「政治とカネ」の実態に迫り、収支の暗部を洗い出してほしい。

「収支報告書の記載に大きな疑念があると言わざるを得ない」と、小渕氏自身が認めたほどだ。「小渕優子後援会」や「自民党群馬県ふるさと振興支部」など四つの政治団体に説明のつかない会計処理が見つかり、告発を受けていた。

東京の明治座での観劇会や東京ドームでの野球観戦を催したが、二〇〇九年から一一年にかけての収支報告書では支出が収入を約四千三百万円も上回っていた。一二年の観劇会では収支の記載そのものがなかった。その年以外にも同様の催しはあったはずだから、収支のずれは総額いくらになるのだろうか。まさか差額が横領されたわけではあるまい。

問題は仮に政治団体側が差額分を負担していたケースだ。公職選挙法が禁じている有権者への寄付にあたる可能性がある。小渕氏の説明では、観劇会の参加者から実費一万一千円から一万二千円を徴収しているという。年一、二回開催で、毎回千人程度の人が参加したそうだ。きちんと徴収しているのなら、なぜ適切な表記をしないのか。根本から疑問が湧く。

費用を全額徴収していたとしても、食い違う書き方をすれば、政治資金規正法の虚偽記載にあたるのではないか。記載がない場合は、不記載に問われよう。東京地検が関係先を家宅捜索したのも、同法違反の容疑に基づく。

報告書の作成者の「名義貸し」まで行われたという。法の趣旨からの逸脱も甚だしい。徹底的に事実関係を解明してほしい。

ベビー用品や下仁田ネギなどの物品購入もあった。「県外在住者への贈答」と小渕氏は説明するが、自分の写真ラベルを貼ったワインを選挙区内の人が受け取ったことをどう説明するのか。カレンダーはどうか。古い“贈答文化”がいまだにはびこっているとしか思えない。

任意聴取を受けた元秘書の折田謙一郎氏は故小渕恵三元首相の代から三十年余の付き合いだ。「私が全部チェックした」と語った以上、納得のいく説明が求められる。

国会議員の懐には税金も入っている。議員歳費はむろん、文書通信費や立法事務費、政党交付金…。「政治とカネ」に対する国民の目はいっそう厳しい。その自覚を議員は持たねばならない。
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[産経新聞] 【主張】参院自民党 与党の自覚も失ったのか (2014年10月31日)

これが「1強多弱」と呼ばれて他を圧倒する政権与党の姿だろうか。

参院自民党が選挙制度改革の方針をまとめきれず、4つの案を並べて「たたき台」と位置付けていることである。

再開される各派協議会に、手ぶらで臨むわけにいかないと考えた末の苦肉の策だろうが、改革案の名に値するものではない。

自民党から出ていた協議会座長が、人口の少ない県同士の「合区」案を打ち出すと、それに反対して座長を更迭してしまったことが混乱の原因である。

責任政党としての自覚があるなら、野党との合意に向けて改革案を練り直すべきだ。

4案とは北海道、東京、兵庫の定数を2ずつ増やし、宮城、新潟、長野の定数を2ずつ減らす「6増6減」案や、選挙区の定数を増やして比例代表の定数を減らす案などだ。2県を1つにする合区案も残している。

中では具体的といえる6増6減案も、選挙制度改革に踏み込まない弥縫(びほう)策にとどまるものだ。協議会は自民党の混乱のあおりで空転していた格好なのに、このたたき台で議論の進展は望めまい。

参院選挙制度への取り組みは、二院制のあり方を含む統治機構を考えることでもある。ばらばらの案の羅列は、制度論を真剣に考えていない印象を強く与える。

「一票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月の参院選をめぐる訴訟の上告審で、最高裁が今年中に統一判断を示す可能性がある。高裁段階では「違憲・無効」の1件を含めて16件の判断が示されたが、「合憲」はなかった。

国側は「抜本的な改革に取り組んでいる」と主張しているが、参院の現状がそう映るだろうか。具体的な制度は司法ではなく立法府として構築すべきものとしても、遅滞を重ねる姿勢を続けて、どうして国民の信を保てるのか。

与野党協議で、政治がまず「身を切る」改革としての定数削減が軽視されているのも問題だ。

「衆参で3年後に1割減、6年後に3割減」「衆院比例80、参院40程度」などと自民、民主両党が思い切った削減案を公約していたのは、つい4年前のことだ。その後の政権交代などをはさみ、ほおかむりしてきたが、このままでは「うそつき」と呼ばれよう。

安倍晋三首相にも両院の改革を促す指導力を求めたい。
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[毎日新聞] 社説:米国の金融政策 正常化の道しっかりと (2014年10月31日)

米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が、2年前に開始した量的緩和第3弾の終了を決めた。2008年秋のリーマン・ショック後、FRBが初めて足を踏み入れた異例の金融政策は、金利のある正常な世界に向け、「出口」の最初のドアをようやく通過した。

リーマン・ショックの震源地となった米国の経済は、劇的な回復を見せ、09年に一時、10%に達した失業率も6%を下回る水準まで好転した。FRBも量的緩和策終了の理由として、雇用市場の見通しに「十分な改善が見られた」ことを挙げた。経済成長が巡航速度を取り戻した以上、劇薬の投与を終えるのは、当然のことだ。

ただ、この政策が成功したと結論付けるのは早すぎよう。

リーマン・ショック直後に実施した第1弾は、極度の動揺状態に陥った金融市場を落ち着かせるうえで効果があったと認める専門家が多い。だが、第2弾、第3弾については、評価が分かれる。米経済や世界経済への影響は、この先起きることも合わせて分析する必要がある。

その「この先」だが、最大の焦点は、ゼロ金利政策が解除され、金利が徐々に引き上げられていく、正常化の道のりだ。来年半ばにも、最初の利上げがあると予測されているが、それでも、歴史的な低金利が当分続くことに変わりはない。

物価が落ち着いていても、長引く超低金利が証券市場などを過熱させ、新たな金融危機を招く危険が残る。すでに代表的な株価指数(S&P500)は金融危機後の安値から3倍近い水準まで高騰しているのだ。FRBは細心の注意を払わねばならない。

一方、金融政策の正常化が必要かつ当然とはいえ、その過程で他国の経済や金融市場を大きく揺さぶる恐れもある。

特に、量的緩和で新興国経済に流入した大量のマネーが米国へ向け逆流を本格化させると、資金が流出する国で混乱が起きかねない。従来通り低コストで資金を調達できなくなった国家や企業が返済難に陥ったり、通貨安が輸入品の価格を押し上げ、インフレを引き起こしたりする弊害だ。日欧の金融政策との違いから、ドル高・円安、ユーロ安に拍車がかかる心配もある。

量的緩和の結果、FRBの資産は約4.5兆ドル(約490兆円)に膨れ上がった。市場価値が目減りしかねない資産が、日本の国内総生産(GDP)に迫るほどの規模でFRBの元に残る。これを、どのようにして減らしていくのか。再び世界経済を危機に巻き込むことなく、政策の正常化を果たしてもらいたい。

2014年10月31日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:大学入試改革 手間をかける決意こそ (2014年10月31日)

よく考え、判断し、表現ができて主体性がある。これらの力をどう見いだし、評価するか。

容易ではないが、中央教育審議会がまとめている大学入試改革の答申案は、これを選抜試験の主眼とし、学校教育の質的転換もうたう。

高校の段階で「大学入学希望者学力評価テスト」と、基本を確認する「高校基礎学力テスト」の新たなテストを提案した。複数回受けられ、グローバル時代に即して英語は民間の検定試験などの活用を考える。

「学力評価テスト」は、今の大学入試センター試験が切り替えられるものだ。将来は教科・科目別の試験ではなく、枠を超えた「合教科・科目型」「総合型」試験のみにする。

その成績は受験生と志望する大学へ提供されるが、1点刻みではなく、レベル別に表示する。

各大学は、どんな学生を受け入れ育成するかの指針(アドミッションポリシー)を明確に示し、「学力評価テスト」に加えて小論文、面接、集団討論など独自に工夫した個別試験の実施を強く求められる。

大学入試改革は、試行錯誤の連続だったといっても過言ではない。

経済成長に伴う進学率向上と受験競争の過熱、ふるい落とすためだけの難問・奇問の横行などから改革機運が高まり、国公立では1979年に共通1次試験が始まった。

1次で基礎学力の共通試験、大学で個別試験だったが、共通のため偏差値序列が生まれるという弊害が出て90年、センター試験になる。

私立大も自由に参加し、受験生は志望校が指定する科目を受け、各大学は独自に個別試験をする。

しかし、これも少子化を背景に受験生獲得競争が強まると、科目を少なくする大学や、センター試験結果だけで選抜する大学が増える。

また、面接や論述などで特性をみるはずのアドミッション・オフィス(AO)や推薦入試も形骸化が指摘される。学力低下が論じられ、高校課程の復習をする大学も多い。

今回の改革案もこの危機感が底にある。新テストで学習の「動機づけ」をし、高校と大学との接続を円滑にする。専門的な制度設計はこれからだが、課題は山積している。

例えば、1点刻みの順位を当たり前としてきた「試験文化」をどう改めるか。教科・科目を超えた出題とはどのようなものか。大規模大学でどう対処できるのか。肝心の大学教育をどう変えるか……。

これまでの制度でなぜうまくいかなかったか。まず挙がるのは、手間を惜しんだことではないか。

入学者選抜には丁寧に手をかける。それが共通認識として醸成できるかどうかに成否がかかる。

2014年10月31日 02時40分
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[朝日新聞] 沖縄知事選―基地を正面から語れ (2014年10月31日)

沖縄県知事選がきのう告示された。

米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題について菅官房長官は「過去の問題」と強調するが、これこそ沖縄の現実の問題であり、知事選の主要な争点である。

立候補したのは、元郵政民営化担当相の下地(しもじ)幹郎(みきお)氏、元参院議員の喜納(きな)昌吉(しょうきち)氏、前那覇市長の翁長(おなが)雄志(たけし)氏の新顔3人と、昨年12月に辺野古の海の埋め立てを承認し、3選を目指す現職の仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)氏。

自民推薦の仲井真氏は辺野古移設を容認。自民党県連幹事長だった翁長氏は「断固反対」。下地氏は移設問題を決着させるために県民投票実施を主張。喜納氏は民主党方針に反して「埋め立て承認の撤回、取り消し」を掲げ、党を除名された。

沖縄でずっと続いてきた「保革対決」の構図は崩れた。公明、民主は自主投票。保守の一部が革新と組む保守分裂の選挙戦となった。移設問題への立ち位置の違いが、この新たな構図を生んだと言える。

既成政党の枠組みが壊れ、保守が分裂した背景には、仲井真氏の方針転換がある。

前回知事選で県外移設を公約して当選したものの結局、埋め立てを承認した。今回は、辺野古移設が具体的で現実的な方策だと、計画容認にかじを切った。仲井真氏の決断を受け、政府は辺野古のボーリング調査に着手した。

知事の承認に至る過程で、やはり県外移設を公約に当選した沖縄県選出の国会議員や自民党県連に、自民党本部が公約放棄を迫り続けたことも、県民に不信感を植え付けた。知事の公約変更に、有権者がどう審判を下すのかが注目される。

さらに、政権が相次いで打ち出す「基地負担の軽減策」をどうみるかも問われる。

「過去の問題」と言いながら政府は移設に絡んで、現職の仲井真候補へ露骨な肩入れを続けていると受け止められかねない状況が生じている。

普天間配備の空中給油機を8月に岩国基地へ移転。オスプレイの訓練も県外へ分散するとも言う。だが、空中給油機は今も普天間に来ているし、オスプレイの普天間での飛行回数は、配備直後の1年間よりこの1年の方が増えている。

普天間を2019年2月までに運用停止にする政権の約束も、米政府が拒否し、空手形だったことが明らかになった。

「負担軽減」は本物か。知事選を通じて、沖縄の有権者はじっと見ている。
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[読売新聞] 沖縄知事選告示 「辺野古」で責任ある論戦を (2014年10月31日)

沖縄の米軍基地負担をいかに軽減するか。各候補者は、責任ある論戦を展開してもらいたい。

沖縄県知事選が告示された。3選を目指す現職の仲井真弘多知事と、翁長雄志・前那覇市長、喜納昌吉・前参院議員、下地幹郎・元郵政改革相の新人3人が立候補した。

最大の争点は、米軍普天間飛行場の移設問題とされる。

自民党が推薦する仲井真氏は、「普天間問題の解決が最優先の課題だ」と訴え、名護市辺野古への移設を容認している。

翁長氏は、「あらゆる手段を尽くして新基地を造らせない」として、辺野古移設に反対する。

喜納氏は、移設先の埋め立て承認の取り消し・撤回を掲げる。下地氏は、移設の是非を問う県民投票の実施を唱えている。

仲井真氏は前回知事選で県外移設を主張したが、昨年末、辺野古沿岸部の埋め立てを承認した。市街地にある普天間飛行場の危険性除去を最優先したためだ。

辺野古移設は、基地負担の軽減と米軍の抑止力維持を両立させるうえで、最も現実的な選択肢だ。実現には大きな意義がある。

日米両政府は昨年4月、辺野古移設を前提に、2022年度以降の普天間飛行場返還で合意した。移設が遅れれば、普天間だけでなく、合意に盛り込まれたキャンプ瑞慶覧など他の米軍5施設の返還も先送りされる可能性が高い。

辺野古移設に反対する候補は、普天間の危険性を除去する具体的な代替策を示す必要がある。沖縄全体の基地負担の軽減が遅れるリスクについても、県民にしっかり説明しなければならない。

防衛省は公有水面埋立法に基づき、必要かつ正当な手続きを踏み、埋め立ての承認を得ている。この法律には、喜納氏の言及する承認撤回などの規定はない。法令に基づく決定の一方的な変更は、行政権限の乱用にあたるだろう。

疑問なのは、公明党が自主投票を決めたことだ。辺野古移設を支持する党本部は、反対する県本部を説得できず、仲井真氏の推薦を見送った。与党の一員として責任ある対応ではあるまい。

民主党の姿勢にも問題がある。鳩山政権時代に普天間問題を迷走させた末、辺野古移設の支持に転換した。それなのに、今回の自主投票は無責任ではないか。

最近は、尖閣諸島周辺で中国公船が領海侵入を繰り返すなど、沖縄県の平和と安全が脅かされている。知事選では、こうした問題も議論することが大切だ。
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[朝日新聞] 津波と学校―総合的な視点で対策を (2014年10月31日)

東日本大震災を受け、文部科学省が、全国の公立学校施設の津波対策を初めて調べた。

津波で浸水が想定されるのは2860校。その4割近い1066校がまだ「検討中」であると答えた。

耐震化を優先して津波対策が後回しになっている事例や、自治体の想定が確定しておらず、対策が定まらない例もある。

学校は子どもだけでなく、地域住民の命のとりででもある。一日も早く整備してほしい。

今回調べたのは浸水の想定区域内の学校だ。東日本大震災で実際に津波が来た学校のうち、浸水を予測していなかったのは、宮城県石巻市立大川小など半数を超えた。想定区域外の学校への対応も欠かせない。

対策はハード面だけでなく、防災教育や訓練などソフト面も重要だ。文科省の別の調査では、想定区域内で津波の危機管理マニュアルのない学校や、津波の防災訓練をしていない学校がそれぞれ2割余りだった。

住民の避難所としての機能の調査でも、課題が目立つ。9割の学校が避難所に指定されているが、自家発電設備があるのは神奈川が84%に対し、島根が3%など地域格差が大きい。

これらの調査の主体は、施設が文教施設企画部、ソフト面はスポーツ・青少年局、避難所は国立教育政策研究所とばらばらだ。文科省は局の縦割りを超えて調べてほしい。地震や火災、防犯なども含め、「学校防災白書」をつくってはどうか。

学校現場の危機感は大きい。

日本教育学会の研究グループが東南海地域の沿岸部の小中学校にアンケートをしたところ、7割近い学校が、自由記述欄に対策の課題を書いた。

「近くに高台がない。校舎の高さ以上の津波にどう対応するか」「児童の安全を確保しながら住民への対応をどうするか」

条件整備への要望も強い。

「少数の教員で安全に誘導しなくてはならない。教員配置で支援を望みたい」「財政が追いつかず、施設の補強や資材の充実に行政が対応できない」

こうした不安や要望に、国や都道府県、市町村は丁寧に応えていくべきだ。特に国の補助制度の充実は欠かせない。

自治体では、学校、教育委員会と一般行政の防災部局で、もっと協議する必要がある。

教委の制度改革で、自治体の長が設け、教委と話し合う「総合教育会議」が来春から設けられる。

震災を風化させてはならない。防災拠点としての学校の整備を、ぜひ取り上げてほしい。
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[読売新聞] 米量的緩和終了 未知の局面に踏み出すFRB (2014年10月31日)

米国による未曽有の金融緩和策が、大きな節目を迎えた。

米連邦準備制度理事会(FRB)が、国債購入などで大量の資金を世の中に供給する量的緩和策を、10月末で終了する。

2008年秋のリーマン・ショック以降、3段階にわたる異例の量的緩和策を打ち出し、「100年に1度」と言われた世界的な経済危機を、ひとまず収束させたことは評価されよう。

米国債などを買い続けた結果、FRBの資産は米国の経済規模の4分の1に相当する4・5兆ドル(約490兆円)に膨らんだ。

景気が回復した一方で、巨額の資金が市中に出回る「カネ余り」が常態化している。放置すれば、投機によるバブルや、インフレの引き金ともなりかねない。

ただ、これほど大量の資金を回収していく経験は、どの中央銀行にもない。FRBは今後、金融政策にとって「未知の領域」に踏み出すことになる。

当面の焦点は、政策金利の誘導目標を「0?0・25%」としている事実上のゼロ金利政策を、いつ解除するかである。

FRBは声明で、ゼロ金利政策を「相当の期間」維持するとし、これまでの表現を踏襲した。「早期利上げ」の観測を打ち消し、市場の動揺を避ける狙いだろう。

昨年5月には、当時のバーナンキFRB議長が量的緩和の縮小を示唆したことをきっかけに、世界的な株安を招いた。

ショックを与えぬよう、FRBの意図を少しずつ市場に浸透させることが大切だ。丁寧な「市場との対話」が求められる。

気がかりなのは、新興国に大量の「緩和マネー」が流入していることだ。米国の利上げ観測が一気に高まれば、米国への急激な資金還流を起こす恐れがあろう。

新興国の通貨や株価の急落などで、世界経済を揺るがす事態は避けねばならない。

FRBは、超金融緩和を脱却する「出口戦略」を、慎重に進めてもらいたい。

米国以外に世界経済の牽引(けんいん)役が見当たらないことも、市場を不安定にしている要因だ。

特に欧州は、経済政策で各国の足並みがそろわず、低成長とデフレ化の危機が拡大している。財政出動や一層の金融緩和など、機動的な対応が急がれる。

日本も消費を中心に内需が冷え込んでいる。民間企業を活気づける成長戦略を、さらに加速させることが何より重要である。
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2014年10月30日

[産経新聞] 【主張】「35人学級」 教員増より指導力向上を (2014年10月30日)

公立小学校の「35人学級」をめぐり論議が行われている。

教員を増やし1クラスの児童数の上限を従来の40人から35人に減らす文部科学省のこの施策に対し、財務省は教育効果があいまいだとして待ったをかけた。

安易に教員を増やしても公教育の信頼回復にはつながらない。中身の充実が伴う施策を行ってもらいたい。

35人学級は民主党政権時の平成23年度から小学1年で導入された。きめ細かな指導ができるとし、文科省は他の学年にも広げたい考えだ。

これに対し財務省は、財政制度等審議会の分科会で、小1の35人学級見直しを求める案を提示した。いじめや学力などの調査で、少人数学級の明確な政策効果がみられないとしている。40人学級に戻せば教員が約4000人削減でき、約86億円の歳出削減になるという。限られた財源の中で有効な施策を求める指摘だろう。

国力につながる教育には十分な予算を求めたいが、教員増が優先すべき施策なのかは、疑問だ。増員より教師一人一人の指導力向上が先ではないか。

文科省などがクラスの少人数化を求めるのは、子供の個性に応じ、目配りできるとの理由だ。保護者の要望も多様化し、教員の負担感も増しているという。

だが受け持つ子供が少ないからうまく指導できるものでもない。少人数でも指導力不足の教員が学級崩壊を招く例がある。学校社会は、教員が互いの授業を評価する機会が少なく、ベテラン教員が独善的指導で子供や保護者との信頼を築けない例もある。

少子化のなかで児童生徒数に対する教員数はむしろ増えている。さらなる増員を求める前に、やるべきことは多いはずだ。

悪平等をなくし、指導力不足の教員を放置せず、優秀な教師、熱心な教師を適切に評価し、やる気を引き出す制度を充実すべきだ。地域の人材を活用して土曜授業などを行い、学力向上など効果をあげている教育委員会もある。

家庭の教育力低下が指摘され学校の役割が増しているのは確かだ。いじめなど生徒指導でも担任だけで解決できない問題が増えている。だからこそ一人で抱えず、学校内外で連携する力も一層求められる。ダメな教員をいくら増やしても問題は解決しない。
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[産経新聞] 【主張】沖縄県知事選 正面から移設の意義説け (2014年10月30日)

米軍普天間飛行場の移設問題などを争点とする沖縄県知事選が30日、告示される。

移設先となる辺野古埋め立ての承認は済んでいるが、これを認めない候補者もおり、その理由を語るべきである。

県民にとって、基地負担の軽減に関心が向くのは当然だろうが、尖閣諸島(石垣市)を抱える沖縄が国の守りの最前線になっているという現実もある。

基地負担のみならず、日本の防衛をどうするかという視点に立って議論を展開してほしい。

いうまでもなく、辺野古移設は日米両政府間の重い約束事だ。4月の日米首脳会談や昨年10月の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)でもその方針は確認されてきた。

すでに移設に関連する工事が始まっており、頓挫すれば日米安全保障体制に亀裂が入り、同盟の抑止力低下につながりかねない。

南西諸島方面で近年、何が起きているかを候補者や県民は直視してほしい。中国は力ずくで尖閣の領有をねらい、中国公船が尖閣周辺の領海に侵入してくる。

また、中国は尖閣を含む東シナ海の空域に「防空識別圏」を一方的に設定し、中国軍機が、国際ルールを守って飛行する自衛隊機に異常接近を重ねた。中国海軍艦船は射撃管制用レーダーを海自護衛艦に照射した。

こうした中国の軍事的動向を冷静に考えれば、沖縄における米軍のプレゼンスが、沖縄自身を含む日本の平和と安全、さらには東アジアの安定に欠かせないことはわかるはずである。

日米同盟の抑止力を保ちつつ、住宅密集地にある普天間飛行場の危険性を除くには、辺野古移設の実現こそが現実的な解答だ。

安倍晋三首相をはじめ政府・与党は一丸となって移設を推進する責任がある。だが、知事選での与党の対応は割れた。

自民党は、昨年12月に政府の埋め立て申請を認可した現職を支援するが、公明党は自主投票を決めた。同党県本部が辺野古移設に難色を示したからだというが、与党の責任を果たしていない。

1つの地方選挙が、国の安全保障の行方に影響を与えること自体、望ましくないが、政府は沖縄振興をめぐる協力などとともに、辺野古移設の重要性を正面から説いていかなければならない。
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[東京新聞] 食料自給率 別の指標も見てみたい (2014年10月30日)

政府が食料自給率の目標引き下げを検討している。カロリーベースの自給率は有力な指標だが、現実との隔たりも目立つ。「食料自給力」など新たな指標で補完する必要があるのではないか。

食料自給率は、国内で消費される食料のうち、国内産が占める割合で、政府は目標設定に生産量や消費量を熱量(カロリー量)で示した「カロリーベース」の数値を使っている。

農林水産省は二〇一〇年三月、輸入に頼っている小麦を国内で増産することを前提に、先進国で最低レベルの自給率を、それまでの目標45%から「二〇年度に50%」へと引き上げた。しかし現実には39%前後の低迷が続き、目標の達成は困難になっている。

目標引き下げを求めているのは財務省で、同省の試算ではカロリーベースを1%引き上げるために国産小麦を年四十万トン増産すると、今の制度では年間四百二十億円から七百九十億円の補助金が必要になる。国民負担の補助金に依存した50%達成は困難で、むしろ農業の担い手や農業技術の向上など改革に重点を置き、着実に自給率向上につなげるべきだとしている。農水省も、目標引き下げによる補助金削減を警戒しながらも、現実的な数値を模索している。

生きるのに必要な栄養価が基準のカロリーベースは重要な指標であることに変わりない。ただ現実との乖離(かいり)も指摘したい。

一つは「生産額ベース」で見た自給率で、一三年度は65%とまずまずの水準にある。カロリーベースでは輸入飼料で育てた牛、豚、鶏などは自給に計算されない。野菜や果物はほとんどが国内産なのに低カロリーで貢献度が低く、日本の農業の実力を的確に示しているとは言えない。もうひとつは巨大な食品ロスで、日本では食べられるのに廃棄される食品が年間約五百万トンから八百万トン。自給の柱であるコメの生産量に匹敵する。

カロリーベースの欠点を補う新たな指標として「食料自給力」が注目されている。

海外からの輸入が途絶えた場合に、国民が必要とする食料を潜在的に供給できる能力を示す指標で、英国では耕作可能な全農地で小麦を生産した場合の供給力を試算している。

日本では「農地などの農業資源、農業者、農業技術で食料自給力を構成する」というアイデアの段階だ。ぜひ具体化して食料危機に対する国民の潜在的な不安に応えてほしい。
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[東京新聞] 香港占拠1カ月 法治は党のためだけか (2014年10月30日)

香港の学生が民主化を求めて中心部を占拠してから一カ月。政府との対話が物別れになり、事態収拾の糸口は見えてこない。双方が対話を絶やさず、平和的な解決を図る努力が必要だ。

三年後の行政長官の選出方法をめぐり、完全な普通選挙の実施を求める学生らの香港中心部占拠は、先月二十八日に始まった。

この間、香港当局との対話も開かれた。学生側は、中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会が決定した事実上、民主派が立候補できない選挙方法の撤回をあくまで求めた。香港政府はこの要求を全面拒否。全人代の決定を変更する権限は香港には、ないこともはっきりした。学生らが決定の全面撤回を求める限り、対話による香港政府との合意は難しい。

香港政府は対話の中で、二〇一七年より後の長官選での改善を示唆、現在の状況を中国政府に報告することも提案した。妥協案を示しつつあるともいえる。

その中国では共産党中央委員会の第四回全体会議が開かれ、法に基づく国家づくりを進めることを明確にした。同時に一党独裁の堅持も鮮明にした。中国の憲法に従い党の指導が最優先で法はその下に位置付けられ、欧米型の法治とは異なる。

香港問題では、「法による一国二制度の実践と推進」を確認したという。法は香港基本法で、学生たちの行動は違法との見解を示している。中国が一国二制度を推進するなら国際社会が納得する法治であってほしい。

繁華街の占拠はいつまでも続けられるものではない。日常生活を阻害され、反感を抱く市民も出ている。占拠反対派の市民が集めた署名は四日間でほぼ百万人に上ったという。

学生内部でも当局との話し合いで段階的な目的達成を考える穏健派と、普通選挙を勝ち取るまで占拠を続ける強硬派との足並みの乱れもあり、統制が取れていない。

市民同士の衝突だけは避けねばならない。十一月に北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)が終わるまでは、中国政府は国際的な批判を受ける強硬措置は取らないとの見方は強い。しかし、強制排除がいつあっても不思議ではない状況だ。

香港市民の多くは全人代決定の撤回は、すぐには不可能であることを認識しており、段階的な解決を求める考えも強い。学生の主張には共感できる。平和的な収束の道は最後まで貫いてほしい。
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[毎日新聞] 社説:派遣法改正案 格差を固定化するな (2014年10月30日)

今国会の焦点である労働者派遣法改正案が衆院で審議入りした。派遣労働の期限を事実上撤廃する内容で、「派遣は臨時的」という原則の大きな転換になる。

派遣労働者の身分保障や処遇改善をしないまま長期の派遣使用に道を開くことは正社員との格差の固定化を招くおそれがある。成長戦略の観点だけから論じるべきではない。慎重に議論を尽くすべきだ。

現行の派遣法は企業が同じ職場で派遣労働者を使える期間について、ソフトウエア開発など「専門26業務」を除き原則1年、最長3年と上限規制を定める。改正案は全業務で上限を3年とする一方、3年たった時点で別の派遣労働者に交代すれば、引き続き派遣での使用を可能とする。このため期限制限はなくなる。

安倍内閣は成長戦略の一環として派遣法改正を重視する。労働市場の流動化や働く形態の多様化は確かに重要だが、上限撤廃には強い懸念を抱かざるを得ない。

まず指摘したいのは派遣労働者の処遇を改善しないまま長期派遣に「お墨付き」を与える危うさだ。

派遣労働者の契約は「雇い止め」など不安定で、賃金も40代は時給換算で正社員と2倍以上の差があるとされる。専門26業務も不利な条件の労働を強いられる人が多い。

正社員と同等の仕事をこなす派遣労働者の格差是正こそ急ぐべきだ。賃金、安定雇用に加え年金など社会保障、キャリアアップ、福利厚生施設利用など差別解消へ検討すべき課題は山積しているはずだ。

「派遣労働者の能力向上を図り、正社員への転換を促す」との政府の説明もにわかには信用できない。

改正案は派遣元の会社に計画的な職業訓練や、派遣先企業に直接雇用を求めることなどを義務づける。

だが、派遣元の多くは中小零細で、計画的職業訓練をする力がないところが圧倒的に多い。人件費削減による「安価な労働力」目当てという派遣の本質がある以上、正社員化の保証は無い。それどころか派遣労働者の配置転換を繰り返す「生涯派遣」や、正社員の派遣労働者への振り替えなど格差の固定化、拡大を不安視する声が出るのも無理はない。

派遣労働者を含む非正規雇用者への厚生年金の適用拡大を政府は検討してきたが、経済界の反対もあり中途半端に終わっている。「企業の論理」だけで問題を捉えず、処遇改善や正社員化への道筋を実効性ある方法で裏付けるべきだ。

民主党は改正案に反対しているが維新の党がまとめた非正規職員と正社員の同一労働・同一賃金を求める法案の共同提出には応じるという。野党にも責任ある議論を求めたい。

2014年10月30日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:沖縄県知事選 辺野古移設への審判だ (2014年10月30日)

沖縄県知事選がきょう告示される。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向け、仲井真弘多(ひろかず)知事が埋め立てを承認してから初の知事選で、知事の判断と辺野古移設の是非が問われる。

政府は選挙結果にかかわらず移設を進める方針だが、地元の民意を無視した安全保障政策は長続きしない。政府は選挙で示される県民の声に真摯(しんし)に耳を傾けてもらいたい。

知事選には3選を目指す仲井真知事、翁長雄志(おなが・たけし)前那覇市長、下地幹郎元郵政担当相、喜納昌吉(きな・しょうきち)元参院議員が立候補を表明している。辺野古移設について4氏の主張は、仲井真氏は推進、翁長氏は反対、下地氏は県民投票の実施、喜納氏は埋め立て承認の撤回を求め、違いが鮮明だ。

政党支援の構図は複雑だ。沖縄県知事選としては初めて保守系が分裂し、保革対決の構図が崩れた。自民党は仲井真氏を推薦するが、公明党は自主投票を決めた。翁長氏は、那覇市議会の保守系会派と共産、社民などの支援を受け保革共闘で臨む。

翁長陣営は知事選を「イデオロギーではなく、沖縄のアイデンティティーの戦い」と位置づける。冷戦終結から四半世紀を経ても沖縄に基地が集中し、新基地建設を押し付けられるのは沖縄への「構造的な差別」であり、「オール沖縄」で沖縄の将来を勝ち取ろうという考えだ。

仲井真氏は現実路線で対抗する。「普天間の危険性除去」が最優先だとして、辺野古移設を「現実的で具体的な解決策」として推進する。

安倍政権は、基地負担軽減策に取り組んで仲井真氏を全面支援する一方、選挙結果が移設に影響しないよう工事の既成事実化を図ってきた。

負担軽減策のなかには、普天間の空中給油機KC130部隊を山口県の米軍岩国基地へ移転したり、日米両政府が在日米軍基地の環境調査に関する新協定の締結に実質合意したりするなど前進したものもある。

だが、仲井真知事が昨年末の埋め立て承認の際、最重要の条件とした「普天間の5年以内の運用停止」は、米政府が反対しているとされ、実現は困難視されている。日本政府の沖縄への空手形に終わる可能性がある。

政府は沖縄県がすでに公有水面埋立法に基づく埋め立て承認をしている以上、重大な法的瑕疵(かし)や明白な環境破壊がなければ撤回や取り消しはできないとの立場だ。とはいえ、選挙結果いかんによっては、移設をめぐる政治的環境が根本から変わる。今回の知事選は辺野古移設に対する事実上の審判となる。

投開票は11月16日。沖縄の過重な負担のうえに日米安保体制の恩恵を享受している本土の人たちもまた沖縄の将来を考える機会にしたい。

2014年10月30日 02時35分
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[読売新聞] 政治資金問題 報告書監査の実効性を高めよ (2014年10月30日)

政治とカネを巡る閣僚や国会議員の不祥事が相次いでいる。国民の信頼を回復するため、与野党は、再発防止策を早急に検討すべきである。

宮沢経済産業相が代表を務めていた自民党支部は2007、08年に、外国人が株式の過半数を保有する企業から計40万円の政治献金を受け取っていた。

外国人や、外国資本の企業などからの献金を禁じる政治資金規正法に抵触する可能性がある。宮沢氏は、企業の実態を知らなかったと説明したが、資金管理が甘かったことは否定できない。

民主党政権当時は、前原外相が在日韓国人から献金を受けていた責任を取って辞任した。菅、野田両首相も外国人からの献金問題で非難された。類似の問題が後を絶たないのは残念である。

宮沢氏の資金管理団体がSMバーに政治活動費を支出していたことも発覚している。これ以外に不適切な支出がないか、厳格な点検と丁寧な説明が求められる。

望月環境相の関連政治団体は、08、09年分の政治資金収支報告書に交際費として計約660万円を計上すべきだったのに、本来は関係がない賀詞交歓会の経費に付け替えて記載していたという。

望月氏は、経理を担当していた妻が死去したため、付け替えの理由など詳細は確認できない、と釈明している。だが、望月氏の監督責任は免れない。関係者からの事情聴取など、本格的な調査を行い、結果を公表せねばならない。

野党も人ごとではない。民主党の枝野幹事長の関係政治団体は、11年の新年会収入約240万円を記載していなかった。枝野氏は、記載ミスを認めて陳謝した。

政党交付金制度の導入で政治資金には公金も含まれる。

女性2閣僚の辞任後も、問題が続出している。国民の政治不信を助長しかねない事態だ。

国会議員の関係政治団体は、07年に改正した政治資金規正法によって、09年分の報告から、公認会計士や税理士らによる政治資金監査を義務づけられている。

ただ、実態は、領収書通りに記載されているかなどの確認にとどまり、支出の適正性などはチェックされない。監査の実効性を高める方策を検討してはどうか。

報告書を作成する会計担当者や秘書らの能力向上も欠かせない。自民党は、所属議員秘書らを対象に、報告書などに関する研修会を検討している。こうした取り組みを積極的に進め、幅広く定着させることが急務である。
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[読売新聞] 新ODA大綱案 平和目的の軍支援は進めたい (2014年10月30日)

政府開発援助(ODA)をより戦略的に活用し、日本の外交力を強化することが重要である。

政府が、ODA大綱に代わる「開発協力大綱」の原案を公表した。大綱改定は11年ぶりで、意見公募を経て12月に閣議決定する。

原案は、道路建設、災害救助など、軍隊の非軍事目的の活動に対する支援について「実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」として、容認したのが特徴だ。

外務省の有識者会議が6月、軍隊への民生目的のODAに関して「一律に排除すべきではない」と提言したのを踏まえたものだ。

現在は、軍隊が関与する活動へのODAは厳しく制限されている。軍関係者に対する研修も難しい。だが、途上国では、大規模災害の対処、復興、感染症対策などで軍隊が活動する例が多い。

こうした実情に合わせて、ODAを活用するのは妥当である。

安倍政権が掲げる「積極的平和主義」とも合致しよう。

防衛省は、東ティモールでの車両整備など、軍関係者の人材育成のために自衛官を派遣し、能力構築支援活動を行っている。こうした活動とODAを組み合わせ、効果を高めることが大切だ。

原案は重点課題として、「自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配」などの普遍的価値に基づく支援を明示した。中国を念頭に、東南アジア諸国などとの連携を強化するのは適切である。

平和構築支援として、途上国の海上保安や治安維持、テロ対策の能力強化などを列挙している。

こうした支援は、日本の海上交通路(シーレーン)の安全確保につながり、国益に資する。

原案は、経済協力開発機構(OECD)の基準では「ODA卒業国」となった中所得国も、新たに支援対象とすることを明記した。災害に弱い太平洋やカリブ海の島嶼(とうしょ)国などを想定している。

従来のODAの枠にとらわれず柔軟な支援を可能にすることは、日本の国際貢献の幅を広げる。国連安全保障理事会の改革などで、より多くの国の協力を得るための有効な外交カードとなろう。

ODAと、国際協力銀行など政府系金融機関や民間企業による投融資を連動させ、相乗効果を上げる考えも原案に盛り込まれた。

菅官房長官は「ODAを触媒に、官民一体でインフラ整備を支援することは重要だ」と語る。ODAを呼び水に日本企業の海外活動を拡充し、日本と被支援国の双方が利益を得る関係を構築したい。
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[朝日新聞] ウクライナ―親西欧の改革望む民意 (2014年10月30日)

民意は欧州への統合と改革の推進をはっきり求めた。

ウクライナの議会選挙でポロシェンコ大統領の与党など親欧州派勢力が圧勝した。これで、格段に強い基盤をもつ連立政府が発足する方向となった。

1991年の独立後、ウクライナの議会は、親西欧派と親ロシア派が拮抗(きっこう)しつつ争う不安定な状況が続いてきた。親西欧派だけで安定多数を占めるのは、初めてのことである。

今年2月の政変で親ロシア派の前大統領が退くと、ロシアはクリミア半島を併合した。さらに東部の親ロシア派武装勢力を後押しして内戦を激化させ、新政権がとった欧州連合(EU)への加盟政策などの阻止へ向けて圧力をかけてきた。

だが、ポロシェンコ氏が大勝した5月の大統領選に続き、国民はロシアの介入を真っ向から拒む選択を示した。

武装勢力の一部支配地域で投票ができなかったとはいえ、公然と主権や領土を侵す力ずくのやり方が、自らの思惑と逆の方向にウクライナ国民の大多数を向かわせたことは明らかだ。

東部での内戦は9月に停戦合意が成立した後も、政府軍と親ロシア派武装勢力との間で局地的な戦闘が続いている。これまでの紛争による死者の総数は、約3700人に達した。

停戦合意では、武装集団の国外撤退や、ロシアの兵力や武器の流入が指摘される国境の管理強化などが決められていたが、遅々として進んでいない。

ロシアが義務を果たしていない責任は大きい。米欧が制裁を緩めずにいるのは当然だ。

ロシアの経済は、制裁の影響と主要輸出品である石油の安値で苦境を深めている。プーチン大統領はウクライナ政策をただちに転換し、米欧との建設的な協力関係の回復を図るべきだ。

ウクライナの側にも、課題は山積みだ。人口4500万人の大国で、地味豊かな黒土地帯や天然資源にも恵まれている。

なのに汚職や腐敗、絶え間ない政争、極度に安い公共料金など人気取り本位の政策が、この国を深くむしばんできた。

莫大(ばくだい)な対外債務を抱え、経済は破綻(はたん)寸前だ。ロシアとの間で続く天然ガス料金の未払い問題は、またも供給停止の余波を欧州に及ぼしかねない。

EU加盟を本気で目指すなら、痛みを伴う改革に敢然と取り組むしかない。地方分権の推進やロシア語系住民ら少数派の権利保護に真剣に努め、東部の混乱を収束させることも必要だ。圧勝劇を一時の幻影で終わらせてはならない。
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[朝日新聞] 派遣法審議―目指すべきは均等待遇 (2014年10月30日)

労働者派遣法改正案の国会審議が始まった。

派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結んで、派遣先企業で働いている。派遣先で仕事がなくなると派遣会社から解雇されたり、賃金を安くされたりする問題がある。このため、派遣労働が広がらないよう、派遣先が派遣社員を受け入れる期間は上限3年に規制されている。ただし、専門的だとされる26業務では期間の制限はない。

この「業務」による規制がわかりにくいという主張が、派遣業界や経済界に強かった。派遣労働者にとっても、上限を業務で決めると、例えば前任者が2年をこなすと、後任の派遣社員が1年しか働けない事態が起きてしまう。

改正案は、業務による規制を見直し、派遣会社と派遣社員の間の契約期間によって区別することにした。期間を決められている有期雇用派遣と、定年まで働ける無期雇用派遣だ。同じ派遣先で働ける期間は、前者が上限3年、後者は無制限となる。

派遣会社が無期雇用派遣を増やせば、派遣社員から見ると、解雇の不安は緩和される一方で、働き方が派遣というスタイルに固定される恐れもある。有期雇用派遣の場合は、3年ごとに派遣社員を代えれば良く、業務自体が派遣に固定化されてしまう可能性が残る。国会での論議も、この見方を巡って賛否が割れている。

しかし、目指すべき方向ははっきりしている。同じ価値のある仕事をしている人には同じ待遇を義務づける「均等待遇原則」を導入することだ。

この原則があれば、派遣会社に支払うマージンが必要な派遣労働は直接雇用よりも割高になり、コスト目的で派遣労働を使うことへの歯止めにもなる。

改正案のとりまとめ過程で均等待遇原則の導入が提案されたが、経営者側の反対で見送られた経緯がある。確かに、いきなり賃金の均等待遇を実現させるには、無理もあるだろう。しかし、交通費などの手当や福利厚生面で待遇に違いがある。まず、そんな扱いをやめて、原則の実現を目標にするべきだ。

改正案には、これまで一部の派遣会社に認められていた届け出制をやめ、全てを許可制にすることも盛り込まれた。条件を満たせば届け出だけですんだことが、不適切な業者がはびこる一因になっていたからだ。

改正案に盛り込まれた改善の流れを太くするためにも、派遣労働者の所得が向上する道筋をつけること。その責任が、この国会にはある。
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