2014年08月31日

[東京新聞] 週のはじめに考える 災害は必ずやって来る (2014年08月31日)

天災は忘れたころに…ではなく、必ずやって来る、と言いたくなるようなこの夏でした。いかに命を守るか。「防災の日」を前に考えてみましょう。

山々を覆っている花こう岩は、われわれが思っている以上に風化しやすいもののようです。

七月九日、長野県南木曽(なぎそ)町の梨子(なし)沢で土石流が発生しました。沢の出口の扇状地で民家十棟が全壊し、中学一年の男子生徒の命が奪われてしまいました。

その沢には、ダンプカーほどもある巨岩からボロボロに崩れたつぶてまで、大小さまざまな花こう岩が、なぎ倒された樹木や土砂とともに堆積していました。

険しい山岳地帯に花こう岩が広がる木曽川上流域のこの一帯は、これまでも、あちこちの沢で繰り返し土石流が起きてきました。

巨岩を先頭にして土砂のうねりが沢を駆け降りてくるような様子が、伝説の大蛇を連想させたのでしょうか。人々は古くから「蛇抜(じゃぬ)け」と呼んで、恐れてきました。

地元では、同じ沢で四十〜五十年おきに蛇抜けが起きる、といわれてきたそうです。

その言い伝えは科学的な知見に合致している、と国土交通省の砂防専門家は指摘します。

雨や雪にさらされた花こう岩の風化は、わずか四十〜五十年で数十センチの深さまで進むことが分かってきたというのです。


◆風化して、一気に
---------

風化してもろくなった部分が斜面で一定の厚みに達していれば、大雨が引き金となって一気に土石流に、というわけです。

蛇抜けが繰り返し襲ってくることは、先人の教えの通りです。では、どのように備えれば…。

国土交通省の監視カメラが今回の南木曽の土石流を捉えていました。なぎ倒された樹木とともに濁流が襲いかかってくる瞬間は、テレビで何度も紹介されました。

衝撃的な映像でしたが、実は、砂防ダムで破壊力をそがれた後の土石流の姿だったのです。

土石流にブレーキをかけたのは、上流にあった砂防ダムです。高さ十五メートルもあったダムは、土石流が運んできたおびただしい数の岩と土砂で埋め尽くされていました。食い止めた土砂の量は約五万四千立方メートル、二十五メートルプール百杯分といいます。

この砂防ダムは、今年三月に完成したばかりでした。間に合っていなければ、沢の下流の被害はどこまで広がっていたでしょう。

逆に言えば、砂防ダムがあっても、土石流被害を防ぎきることはできなかったわけです。

八月二十日未明には広島市北部で土石流が相次ぎ、七十人を超す犠牲者を出してしまいました。

土石流となって流れたのは、南木曽と同じように花こう岩が風化してできた「まさ土」でした。

その一帯では一九九九年六月にも、今回と同じように、山裾の新興住宅地が土石流に襲われ、大きな被害が出ていました。

土砂災害防止法は、その被害を教訓に制定されました。土砂災害の恐れがある場所を危険度に応じてレッドゾーン(特別警戒区域)、イエローゾーン(警戒区域)に指定し、宅地開発を規制したり、避難態勢の周知徹底を図ったりしようというものです。

ところが、対策の第一歩たる区域指定がなかなか進みません。危険な場所があまりにも多い上、地価下落につながる区域指定を敬遠する動きも強いからです。

教訓を生かせぬまま、大きな被害の再発を許してしまいました。

南木曽には「蛇ぬけの碑」と呼ばれる過去の土石流犠牲者の慰霊碑が立っています。そこには、こんな言い伝えが刻まれています。

白い雨が降るとぬける

尾先 谷口 宮の前…

長雨後 谷の水が急に

止まったらぬける…

蛇ぬけの前には

きな臭い匂いがする


◆先人が教えること
---------

土石流の前には、どんなことが起きるのか。どんな場所が危ないのか。先人の教えは、今見ても的確な危険予知の指針といいます。

東日本大震災で津波に襲われた岩手県では「ここより下に家を建てるな」という古い石碑が、被害を防ぐ指針になっていました。

津波も、山津波と呼ばれる土石流も、免れることができないのが日本列島の宿命です。

先人の教える通り、どこが危険かを知り、危険を避けながら暮らす工夫に終わりはありません。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 概算要求 放漫許さぬ覚悟をみせよ (2014年08月31日)

平成27年度予算編成に向けた各省庁の概算要求が、101兆円台に達した。社会保障関係費や公共事業費などが軒並み増加し、過去最大規模に膨らんだ。

27年度予算は、経済再生の動きを確かなものとし、人口減少社会に備えた安定的な発展につなげる布石にしなければならない。成長に資する施策に手厚く配分すべきなのは当然だ。

だからといって、野放図にお金をばらまく放漫は許されない。このままでは税収増頼みで予算を肥大化させた26年度と同じ轍(てつ)を踏むのでは、と心配になる。

今後の査定作業には、徹底した要求の絞り込みを求めたい。社会保障を含めて聖域を設けず、政策効果や優先順位を厳格に見極めることが肝要である。

何よりも重要なのは、経済再生と財政健全化の両立を果たす安倍晋三首相の覚悟と指導力だ。

来春の統一地方選をにらみ、予算獲得を競う政治からの圧力は確実に高まるだろう。これが省益を優先する官僚の思惑と結びつき、いたずらに予算を膨らませる愚は避けねばならない。歯止めをかけるのは首相の責務である。

要求総額が膨らんだのは、7月末に決まった概算要求基準で歳出総額の上限を決めなかったためである。基準では、成長戦略や地方創生につながる事業を既存経費に上乗せできる4兆円規模の特別枠を設けた。ここに各省庁は目いっぱいの要求を出してきた。

足元の経済は消費税増税後の消費回復が遅れ気味で、少し前までの勢いはない。再び景気に力強さを取り戻すためにも、特別枠を有効活用することは大切だ。

だが中身をみると、省庁ごとに似たような事業を要求する重複が目立つ。「成長」「地方」という名目で旧来型の経費をもぐりこませることに意味はない。省庁間で調整し、真に必要な事業に重点配分してほしい。

年末には消費税率を10%に上げるかどうかの判断が控える。気がかりなのは増税による税収増を見越し、財政規律が緩むことだ。

27年度は、国と地方の基礎的財政収支の赤字を22年度から半減させる目標年度でもある。今のところ達成が見込まれているが、楽観は禁物だ。32年度の黒字化目標は、まったく実現が見通せていない。これまで以上に、財政への目配りが必要となる。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 盲導犬刺傷 卑劣な犯行に怒り覚える (2014年08月31日)

世の中に腹立たしいことは数多くあるが、これほど不快な気持ちにさせる事件も珍しい。

さいたま市に住む全盲の男性が連れていたラブラドルレトリバーの盲導犬「オスカー」が7月下旬、何者かに刺されて、けがをした。

男性は「痛かったろうに」とオスカーをなでながら、「オスカーは私の体の一部。私が刺されたのと同じことだ」と憤っている。

盲導犬は、パートナーに危険を伝える際などを除き、むやみにほえないよう訓練されている。視力のないパートナーがパニックに陥らないようにするためだ。

鳴き声をあげることなく、傷の痛みに耐えたオスカーの健気(けなげ)さに比して、人間であるはずの「何者か」が犯した非道ぶりにはあきれるばかりだ。

診察した獣医師によれば、オスカーは腰の付近を刺された。凶器はフォークが使われたとみられ、深さは約2センチに達していた。着用していた犬用の服に穴はなく、めくり上げて刺したらしい。

全盲の男性は通勤途中、オスカーが刺されたことには気づかなかった。職場に到着し、同僚の指摘で分かった。

パートナーは見えない。盲導犬はほえない。それを知って刺したとすれば、これを卑劣な犯行といわずに何というか。

凶器で刺すといった行為に至らないまでも、たばこの火を押しつけたり、スプレーで落書きしたりの被害例もあるという。盲導犬だけではない。目の不自由な人が頼りとする白い杖(つえ)を蹴ったり奪ったりの、許し難い事例も聞く。

オスカー刺傷の件で警察は、器物損壊容疑で捜査を進めている。被害者感情を考慮し、動物の虐待などを防止するために設けられた動物愛護法より量刑が重い器物損壊容疑を選択したとされる。

だが盲導犬は、「器物」だろうか。パートナーにとっては自らの目であり、体の一部であり、相棒であり、家族のようなものでもあるのだろう。

量刑が犯行にふさわしくないとして器物損壊を選択したのなら、それは量刑に問題があるからではないか。動物愛護法における「愛護動物」の定義でも、盲導犬、ペット、家畜の区別はない。

法律が実生活の感覚とずれているなら、法を整備する必要もあるのではないか。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 社説:政務活動費の闇 使い切り体質の根絶を (2014年08月31日)

前兵庫県議の常軌を逸した支出に端を発した政務活動費問題の波紋が広がっている。兵庫県議会をはじめ多くの地方議会で不自然な使い方が次々と発覚しており、制度への不信は強まる一方だ。

事前に支給し、使い切らなければ返還する方法が不適正支給の温床となっていることは明らかだ。領収書添付などによる使い道の厳格化はもちろん、前払い方式の見直しに踏み込むべきだ。さもないと制度への住民の理解は得られまい。

政務活動費は政策の調査研究や陳情・要請活動などのため、報酬以外に地方議員に支給される公費だ。支給の有無や金額、支出項目の設定は自治体に委ねられるが、全都道府県議会で支給されている。まとまった額を前払いし、使い切らなければ返納する方式が原則となっている。

使い道の具体的説明ができず辞職に追い込まれた野々村竜太郎前兵庫県議のケースが注目を浴びたほかにも別の兵庫県議による政務調査費(現政務活動費)の領収書コピーの使い回しが指摘され、他県の県議では白紙の領収書に自身の事務職員が記入していたなどの問題が相次いで発覚している。

北海道では自民、民主両会派が「調査業務委託費」として各党道連などに支出した政務調査費約7400万円のうち半額は不適正として返還を命じる住民訴訟判決を札幌地裁が下した。とても「必要経費」と地方議会が胸を張れるような状況ではあるまい。

不必要な支出を封じるためには使途の厳格なチェックが欠かせない。ほとんどの都道府県議会は「1円以上の領収書添付」をうたいながら、例外扱いも認めている。一方、鳥取県議会は領収書や支払証明書の提出を例外なく求めており、政務活動費を使い切らず返還した総額は年々増額している。2013年度の返納率も約25%と比較的高い。第三者機関による事後チェックや使途の透明化で不適正支出を抑えるべきだ。

だが「使い切り」を絶やすにはやはり事前支給自体を改めるしかあるまい。兵庫県議会では今回の反省を踏まえて政務活動費を会派に事前給付し、議員個人には会派から後払いする方式に変更するという。すでに宮城県で採用している方法だが、会派がどこまでチェック機能を果たせるかという問題は残る。

東京都議で月額60万円、兵庫県議で月額50万円にのぼるような経費が本当に必要なのかは疑問である。全額後払いに転換しても、別に重大な不都合が生じるわけではあるまい。このまま放置すると地方議会の存在意義まで問われかねない。危機感を地方議員は共有すべきだ。

2014年08月31日 02時30分
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 社説:防衛装備庁創設 不正防止の徹底を図れ (2014年08月31日)

防衛省は、装備品の研究開発から購入までを一元的に行う「防衛装備庁」を来年夏にも創設することを、2015年度予算の概算要求に盛り込んだ。装備庁には調達の効率化が期待されるが、武器輸出のなし崩し的な拡大を後押しする懸念や、不正をどう防ぐかなど課題も多い。

装備庁は、防衛省の外局として、事務次官級の長官をトップに1800人規模の組織となる見通しだ。

これまで装備品の調達は、陸海空の自衛隊がそれぞれ購入計画を立て、防衛相直轄の装備施設本部が企業と契約する仕組みで、縦割りの弊害が指摘されてきた。

装備庁は、3自衛隊ごとに分かれている調達部門と、防衛省の内部部局である経理装備局の一部を統合するほか、装備施設本部と技術研究本部を廃止して集約する。

装備庁の狙いは主に二つある。

一つは縦割りを解消することにより、調達の効率化を図ることだ。

防衛省は3自衛隊の統合運用を進めているが、各自衛隊の装備がバラバラなことが統合運用の妨げになっている面がある。陸海空が同じ装備品を購入したうえで、各隊ごとに使いやすいよう改良すれば足りるものを、それぞれ異なる装備品を購入して割高になっていることも多い。購入が一元化されれば、調達コストの削減にもつながると考えられる。

もう一つは、政府が「武器輸出三原則」を見直し、一定の要件を満たせば武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」を閣議決定したのを受け、防衛産業による装備品の国際共同開発や輸出を支援することだ。

防衛装備移転三原則は、国家安全保障会議(NSC)の審査で日本の安全保障に資するなどと判断されれば、武器輸出が認められる仕組みで、政府の裁量の余地が大きい。

輸出可否の判断はNSCが行うが、装備庁は対外交渉窓口になるとともに知恵袋的な役割を果たすものとみられる。なし崩し的に武器輸出を拡大したり、国際紛争を助長したりすることがないよう求める。

また装備庁は年間2兆円といわれる予算の権限を握るため、業者との癒着をどう防ぐかも課題だ。

防衛省では過去、不祥事が頻発し、官製談合事件の影響で07年には防衛施設庁が廃止された経緯もある。

防衛省は、装備庁の内部に約20人体制の監察・評価官制度を設け、すでにある防衛省の防衛監察本部と二重にチェックするというが、これで十分だろうか。不正防止策を徹底してもらいたい。

防衛省は来年の通常国会に関連法案を提出する予定だが、国会は装備庁が抱えるさまざまな課題について、秋からでも早速議論すべきだ。

2014年08月31日 02時40分
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 政治の基本インフラを整えよう (2014年08月31日)

永田町に再び政治の季節が巡ってきた。内閣改造のニュースが紙面をにぎわす。9月には新しい野党の旗揚げも予定される。どうすれば政治をよくできるのか。この機会に、政治の人材や資金のあり方について考えてみたい。

改造内閣では大臣補佐官が新設される。すでにある首相補佐官と同じく、得意分野を持つ国会議員や有識者が閣僚の助言役を務める仕組みだ。行政における政治主導を強める狙いがある。

大幅に増えた若手議員

改革の趣旨はもっともだが、すでに副大臣や政務官がいるではないか、と思う向きもあろう。役所に乗り込む政治家の頭数を増やしても、力不足な面々ばかりでは頼りにならない。

最近の国会議員はどうも存在感に乏しいという声をよく聞く。政策は詳しいが、個性が感じられないなどの批判が多い。一つには、国政の現場に不慣れな若手の数が大幅に増えたからだろう。

2012年の衆院選で初当選した自民党議員は119人。294人の所属議員の4割を占める。半世紀前の1963年の衆院選で当選した自民党議員に占める1年生は11%にすぎなかった。

省庁に人脈を築き、党内に仲間をつくり、国会運営のこつを知らなければ、政治力を発揮することはできない。だが、これほど新人が多いと、周囲のふりを見習っていれば自然に政治の作法が身につくとはなるまい。素人集団になった国会議員をむやみに小粒呼ばわりするよりも、どうすればよくなるのかを考える方が有益だ。

小選挙区制が導入されて20年がたち、選挙ごとに与野党の議席が大きく変動する。民意を集約する小選挙区制の機能は評価すべきだが、その結果生まれた老壮青のバランスのゆがみは政党が意図してただす必要がある。

かつての国会議員は中小企業の経営者のような、酸いも甘いもかみ分けた独立独歩の人が多かった。最近は政官業の癒着への批判を意識し、与野党ともそつのない秀才タイプを擁立する例が目立つ。資金力に乏しく、落選して収入を絶たれると簡単に政治の道をあきらめる。

それで新人公募を繰り返していてはいつまでもベテランに育っていかない。政党が落選候補を資金援助すればよいのだが、政党助成金は議員数に大きく左右されるので、負けた政党ほど資金難だ。

政党助成金の分配を得票比率だけで決めるようにすれば、政党の財政は少し安定するようになる。公示直前に急に新人が名乗りを上げ、投票日がすぎるとどこかに消えてしまうというむなしい選挙が減るのではないだろうか。

並行して政治献金のあり方も見直したい。今年は不明朗な借り入れをしていた政党党首が辞任するという出来事があった。いつ返すかが未定のカネを「ヤミ献金ではない」と言い張るのは、違法でないとしても脱法行為だ。

献金なのか借り入れなのか。党の資金なのか個人の資金なのか。政治資金規正法の抜け穴はしっかりふさがねばならない。

経団連が企業の政治献金への関与を復活させる方針だ。経済政策への発言力を高めたいというのは経済界として当然の要求だ。

ただ、かつての献金取りまとめやあっせんが「企業ぐるみ選挙」などの批判を生み、中止になった経緯は振り返っておきたい。再開に際しては後ろ指をさされないように注意を払ってもらいたい。

高支持率にも落とし穴

衆院が選挙制度を検討するために設けた第三者機関が近く初会合を開く。待ったなしの課題である1票の格差の是正策づくりが最優先だが、せっかく有識者が集うのだから、これら中長期的な政治課題でも幅広くアイデアを出してもらうのは有意義ではなかろうか。

安倍内閣は発足から1年8カ月を経て、なお高い支持率を維持する。ただ、その中には「民主党政権よりまし」「首相がころころ代わるのは恥ずかしい」という消極的な支持も含まれていることを忘れてもらっては困る。

日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査の政党支持率をみると、自民党が圧倒的に優勢なようで、第1党は「支持政党なし」だ。この塊が急進的な政治勢力にあおられて暴走し、落とし穴にはまる可能性だってある。

政治の真の安定をもたらすには民主主義の基本的なインフラを整え、有権者の政治への信頼を失わせないことだ。政治の現状に文句ばかり言うのではなく、すぐれた政治家をみなで育てる心構えがあってよい。
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 福島・吉田調書 「撤退」も命令違反もなかった (2014年08月31日)

東京電力福島第一原子力発電所事故を巡る「吉田調書」の全容が明らかになった。

政府の事故調査・検証委員会が、吉田昌郎元所長から生前に聴取した証言の記録である。

事実関係のほとんどは、政府事故調の報告書に反映されている。とはいえ、事故対応に当たった作業員の苦労や、吉田氏の心情を生々しく伝える貴重な資料だ。

津波により、原発冷却に必要な電源が失われた。原子炉に注水し、圧力も抜かねばならなかった。

事態が切迫する中、当時の菅首相ら官邸サイドや、東電本店から、注水作業などを催促する指示が矢継ぎ早に来た。

「効果的なレスキュー(支援)が何もないという、ものすごい恨みつらみが残っている」と、吉田氏は不満を口にしている。

現場の状況を踏まえぬ菅氏らの過剰介入が、作業を遅らせ、士気を損なった。重い教訓である。

菅氏が、東電の「全面撤退」を阻止したと主張している点についても、吉田氏は「誰が撤退なんて話をしているんだと言いたいぐらいだ」と反発し、「現場は逃げていない」とも述べている。

吉田調書を入手したとする朝日新聞は、5月20日付朝刊で、作業員が吉田所長の命令に反し、第二原発に撤退したと報じている。

だが、調書を読む限り、吉田氏は、部下が指示に違反したとは認識していない。

吉田氏は、「2F(第二原発)に行けとは言っていない」が、指示が伝わる過程で解釈が変わったと説明している。

その上で、作業に必要な要員以外は「2Fに行った方がはるかに正しい」と、退避を選択した部下の判断を評価した。現場は、放射線量が高く危険な状況だった。

退避の経緯は、政府事故調の報告書にも詳述されている。朝日新聞の報道内容は解せない。

吉田氏は「文脈等をふまえなくては誤解を生む」と、調書の非公開を求めていた。しかし、朝日新聞の報道などを受け、証言は独り歩きを始めている。政府は「かえって本人の遺志に反する」として、近く公開する方針だ。

作業員の奮闘は海外でも称賛されてきた。だが、朝日新聞の「撤退」報道に基づき、米紙が「作業員が命令に反して逃げた」と報じるなど誤解が広がっている。

吉田氏は、危険を顧みぬ作業員の事故対応に、「本当に感動した」と語っている。彼らの名誉のためにも公開は妥当な措置である。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] STAP検証 実験を続ける意味があるのか (2014年08月31日)

STAP細胞の存在は限りなく疑わしくなったと言えよう。

理化学研究所は、STAP細胞の検証実験で、存在の兆候すらつかめないとする中間報告を発表した。

小保方晴子ユニットリーダーが主著者となった論文の記載通り、マウスの脾臓(ひぞう)の細胞を弱酸性の溶液に浸して刺激を与え、多能性を持たせようとしたが、22回の実験は、いずれも失敗した。

刺激の方法などを変え、来年3月まで実験を続けるという。論文とは異なる手法も試す。

これとは別に、小保方氏にも、11月末まで実験させる。

理研は、細胞の有無に決着をつけ、国民への説明責任を果たすと強調している。

疑問の多い判断である。検証実験は4月に始まったが、7月に論文が撤回され、研究は白紙に戻った。STAP細胞は、科学的に「存在しない」状況になった。

こうした中で、公金を投じて検証実験を続ける意味はあるのか。理研が実施しているのは、「悪魔の証明」と呼ばれる不存在の証明実験とも言えるだろう。

例えば、雪男を捕らえれば、その存在を証明できる。だが、存在しないことを証明するには、世界中をしらみ潰しに探す必要がある。日本分子生物学会が、実験凍結を求めたのは、もっともだ。

STAP論文の不正で、理研の信頼は、大きく傷ついた。理研が今、取り組むべきは、研究不正を防ぐ対策の徹底である。

理研は、外部有識者による改革委員会の提言を基に、組織改革の行動計画をまとめた。STAP研究の舞台となった発生・再生科学総合研究センターの規模を半分に縮小し、体制を一新する。

STAP細胞の疑惑が2月に浮上して以降、センターの研究活動に悪影響が及んでいる。STAP細胞論文の主要著者である笹井芳樹副センター長の自殺という痛ましい出来事もあった。

センターはこれまで、再生医療研究の主要拠点としての役割を担ってきた。今後も、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜細胞を移植する世界初の臨床研究が予定されている。

組織のスリム化により、人事などの透明性を向上させ、科学者が研究に集中できる環境を築いてもらいたい。

理研本部は、ガバナンス(組織統治)強化のため、経営戦略会議の新設を決めたが、人選はこれからだ。外部の目を生かし、危機管理能力を高めねばならない。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 長期金利低下―市場のひずみに警戒を (2014年08月31日)

日本でも米国でも欧州でも、低かった長期金利がここにきてさらに下がる傾向にある。

今回の起点は欧州だ。14日に発表された4?6月期の経済成長率はユーロ圏全体でゼロ。最大の経済規模を持つドイツは5四半期ぶりのマイナス成長で、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は「必要なあらゆる手段をとる」と述べた。

すでにマイナス金利を導入しているECBがさらに利下げをするか、大量の国債を買う量的緩和に踏み切るのではないか。そんな見方から、欧州の市場では国債が買われ、国債価格が上昇して長期金利は低下。指標である10年物国債の利回りがドイツでは初めて1%を割った。

日米にも波及し、10年物国債の利回りが米国では2・3%程度と1年2カ月ぶり、日本では0・5%程度と1年4カ月ぶりの低水準だ。

長期金利が下がれば、住宅ローンの金利や、企業の資金調達コストが下がる。国の借金の利払い負担も減る。しかし、喜んでばかりもいられない。今の市場はひずみが大きいからだ。

長期金利は理屈のうえでは、今後の物価上昇率や経済成長率の見通し、財政悪化のリスクなどを反映して決まる。経済が成長して物価が上がれば金利は上がりやすいし、財政悪化も金利上昇の要因となる。現在の日本では、財政要因を除いても、長期金利は1%以上あるのが自然だという見方が強い。

それが0・5%程度にとどまっているのは、日銀が「異次元」の金融緩和で抑え込んでいるからだ。財務省が年間に発行する国債の7割に相当する分を日銀が買っており、国債市場では国債が不足して価格は上昇、利回りは下がりがちだ。日銀がもつ国債の残高は3月末で201兆円。国債全体の2割を超え、保険会社を抜いて最大の保有者になっている。

長期金利の水準が経済の実体とかけ離れ続ければ、適正な水準に戻そうとするマグマが市場にたまる。一方で、日銀の存在があまりに巨大で、政策を変えようとすれば国債暴落など極端な動きを招きかねない。

日銀は、2%の物価上昇率という目標に届いておらず、異次元緩和の「出口」を語るのは時期尚早という立場だ。しかし、沈黙を続ければ市場のマグマはたまる一方だ。慎重を期すことは当然の前提としても、日銀は、異次元緩和をどう終えるつもりなのか、先々の考え方について、市場との対話をそろそろ始めてはどうだろう。

沈黙にもリスクは伴う。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 海の幸の保護―多様な手段で効果的に (2014年08月31日)

保護が必要な魚は、国際問題になっているクロマグロやニホンウナギだけではない。

水産庁はこの秋、太平洋でのマサバ漁で、個々の漁業者に漁獲量を割り当てる「個別割り当て」制度を試験的に始める。

日本では、マサバを含む7魚種について、年間漁獲量の上限を設ける「漁獲可能量」制度を実施してきた。資源を守る観点から許される漁獲量を科学的に推計し、決める。

ただ、総枠だけでは「早く取った者勝ち」になりやすい。漁業者の不満を抑え、市況をにらみながら計画的な操業を促すのが、個別割り当ての狙いだ。

漁業関係者には、役所がかかわる公的管理の強化への反発が根強い。地域や漁協ごとに自主的に操業を規制し、魚を守ってきた例が少なくないからだ。規制がどんどん強化されると減船や廃業に追い込まれかねない、との不安も背景にある。

実際、日本型の自主管理について、「合意があるからこそ守られる」「担当職員が必要な公的管理より安上がり」といった利点が指摘されている。とはいえ、漁協中心の管理では、ときどきの豊漁・不漁で漁獲上限が決められるなど、科学的な根拠を欠きがちなのも事実だ。

自主規制と公的管理をうまく組み合わせ、効率的に水産資源を守る視点が重要だろう。

まずは、マサバの個別割り当てを通じてその利点と問題点を見極めたい。その上で、日本海北部でのスケトウダラ漁や、関係府県が20に及ぶトラフグ漁など、マサバと同様に保護の強化が必要な魚種でどんな対策をとるか、早急に検討すべきだ。

限られた「海の幸」を保護しつつ食べ、漁業者も安定した所得を得るために、漁獲量の制限は必要な対策のごく一部にすぎないことも忘れてはなるまい。

藻場の整備など魚が住みやすい環境を整える。さまざまな分野の知見を生かして養殖を強化する。漁業者は魚を取るだけでなく、消費者が手軽に食べられるよう加工し、販売まで手がける「6次産業化」によって所得を増やす。課題は山積みだ。

太平洋でのクロマグロ漁では、最大の消費国であるわが国が30キロ未満の未成魚の漁獲量をかつての半分に減らすことを決め、9月の国際会議で同様の対策を呼びかける。「絶滅危惧種」に指定されたニホンウナギは将来、国際的な商取引が禁止されかねない状況だ。

後手に回ると対策は大がかりになり、手遅れになる恐れも高まる。食卓を守るためにも早め早めに動くことが大切だ。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月30日

[東京新聞] 「ヘイト」規制 国会デモにも広げる愚 (2014年08月30日)

政権批判は耳が痛くても、民の声に耳を傾けることこそ政治家の仕事ではないのか。人種差別的な「ヘイトスピーチ」規制に便乗した国会周辺のデモ活動への規制強化は、民主主義を危うくする。

国会周辺のデモに対する規制強化を検討し始めたのは自民党のプロジェクトチーム(PT)だ。

もともと、ヘイトスピーチ(憎悪表現)への対応を検討するために置かれたが、高市早苗政調会長は二十八日の初会合で、国会周辺の大音量のデモや街頭宣伝活動についても「仕事にならない」として、規制強化を検討するよう求めたのだ。

国会周辺では毎週金曜日、複数の市民グループによる「首都圏反原発連合」が活動している。原発再稼働や特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認などへの反対を訴えてきた。

政権側には耳障りだろうが、デモは有権者にとって意思表示の重要な手段だ。集会、結社や言論、出版などの表現の自由は憲法で認められた国民の権利でもある。侵すことは断じて許されない。

そもそも国会周辺のデモは「国会議事堂・外国公館等周辺地域の静穏保持法」や東京都の条例で規制されている。厳重な警備の中でも行われているのは、法律や条例に違反していないからだろう。

実際、警察庁も自民党に対し、静穏保持法による摘発は年間一件程度と説明した、という。

そのデモ活動と、国連人権規約委員会が日本政府に差別をあおる全ての宣伝活動の禁止を勧告したヘイトスピーチとを同列で議論することが認められるはずがない。

ヘイトスピーチの放置は許されないが、法規制には慎重であるべきだ。治安維持を名目に、表現の自由など人権が著しく蹂躙(じゅうりん)された歴史的経緯があるからだ。

自民党の石破茂幹事長はかつて国会周辺でのデモ活動をテロ行為と同一視する発言をして陳謝した経緯がある。同党の憲法改正草案には表現の自由よりも公益や公の秩序を優先する規定まである。

表現の自由に枠をはめたいというのが自民党の本音なのだろう。在日外国人の人権を守るという理由で、政権批判まで封じ込めようとしているのなら、悪乗りがすぎる。

差別的な言論や表現をなくし、在日外国人らの人権を守り抜くために、品位ある国民としての英知を集めたい。指導者たる者が国家や民族間の対立をあおる言動を慎むべきことは、言うまでもない。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[東京新聞] 概算要求101兆円 財政再建の意思あるか (2014年08月30日)

二〇一五年度政府予算の各省庁の概算要求は、一般会計の総額が初めて百兆円を突破、過去最大の膨張ぶりである。財政危機を叫び、国民に大増税を強行しながら、この財政規律の欠如は何なのか。

国と地方を合わせた借金が目まいを起こすような一千兆円超に積み上がる中、財政を立て直すには増税や経済成長による税収増ばかりでなく、予算の徹底した見直しが欠かせないはずだ。しかし、要求段階で前年度よりも二兆五千億円増の約百一兆七千億円に達する水膨れ予算からは、危機感も当事者意識も感じられない。

消費税増税や景気回復によって税収は大幅増の見込みだ。それでもこんな予算では、おそらく歳出の約四割を新たな借金に頼る構造は変わるまい。

緩みきった予算の大きな原因は、成長戦略の推進や来春の統一地方選をにらんで設けた約四兆円もの巨額の「特別枠」の存在にある。予算獲得の最大化こそ省益と信じる官僚は、特別枠があれば目いっぱい要求するのが常だ。予想通り各省庁からは、地方創生や成長戦略の看板を借りた旧来型の事業がめじろ押しである。

例えば、国土交通省は成長戦略の核である人口減対策と地方創生に引っかけ、行政や商業施設を市街地に集めるコンパクトシティー推進として、県境を越えたコンパクトシティー同士を結ぶ道路整備を目玉に挙げた。二千七百億円強もの要求だが、旧来のインフラ整備とどう違うのか判然としない。

財務省は、来年十月からの消費税再増税が決まっていないため、歳出上限の目安を示さなかった。だからといって歳出抑制の手を緩めていいはずはないが、官僚の習性から上限がなければ横にらみで要求を膨らませるのである。

結局、財務官僚の本音は財政再建よりも増税自体が目的であるとみられても仕方あるまい。増税で予算規模が膨らめば、予算付けをめぐる権限が増すからである。それは要求官庁や、その応援団である族議員の利害とも一致する。

災害の多発を受け、国土強靱(きょうじん)化を掲げる自公政権には追い風が吹く。国交省が要求した公共事業費は前年度比16%増の約六兆円である。国民生活を守るための防災・減災の必要性に異論はないが、「十年間で二百兆円」と先に数字ありきの無軌道な進め方は大いに疑問だ。

消費税再増税の是非が問われる中で、こんな節操のない膨張予算は納税者への背信行為である。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 露の隣国侵入 各国結束し暴挙阻止せよ (2014年08月30日)

ロシア軍がウクライナ東部に侵入し、同国からの分離独立などを求めて政府軍の鎮圧作戦に抵抗する親露武装勢力に対し支援に乗り出した。

本格的な軍事侵攻の前段ともなりかねない重大な危機である。米欧などが一致してロシアのプーチン政権に圧力をかけ、この暴挙を何としても退けなければならない。

北大西洋条約機構(NATO)が公開した衛星写真によると、ロシアは親露勢力に防空システム、砲、戦車など大量の高性能兵器を提供し、兵力1千人もウクライナ国内に投入している。

その結果、政府軍の力で進展していた親露勢力の平定も阻まれているほか、親露勢力による新たな拠点制圧も起きている。

オバマ米大統領は記者会見で、「ウクライナ東部の暴力の責めはロシアにある」と非難し、さらなる対露制裁発動を示唆した。

米欧の危機感が示された国連安全保障理事会の緊急会合で、ロシアの国連大使が鎮圧には米国が手を貸しているとほのめかし、「主権国家への内政干渉をやめよ」と発言したのには耳を疑う。

ウクライナ政府軍の作戦は、民間人の犠牲をもっと抑える必要があるにせよ、治安確保と政情安定化への主権の行使である。

同国南部クリミア武力併合で、今また東部侵入で、その主権と領土を侵犯しているのはロシアにほかならない。しかも、両国首脳間で停戦問題を話し合った直後の軍事侵入だ。背信行為に等しい。

主権尊重と領土保全は戦後国際秩序の根幹を成す。それを侵すことを断じて許してはならない。

それには、ウクライナ情勢への対応も協議される来週のNATO首脳会議で、断固たる措置が取られなくてはならない。

ひとつは対露制裁を一段と強化することだ。ウクライナ危機で身をすくめるバルト三国など旧ソ連・東欧圏の加盟国に、NATOの軍事力をより厚めに展開し、現地の抑止力を高めることも検討されるべきだ。ウクライナでのロシアの行動の牽制(けんせい)にもつながる。

日本は、対露制裁への意趣返しとみられる北方領土での軍事演習をロシアに強行され、特定の日本人の入国制限という明確な報復措置も取られている。

事ここに至っては、プーチン氏の今秋来日を見合わせ、米欧との結束を強めるほかあるまい。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] デング熱 流行国支援が対策助ける (2014年08月30日)

海外渡航歴がない男女3人のデング熱発症例を厚生労働省が発表した。東南アジアなど主に熱帯、亜熱帯地域で流行するウイルス感染症で、国内感染の報告は昭和20年以来だという。

デング熱の病原ウイルスはネッタイシマカやヒトスジシマカを媒介して人に感染する。人から人へ直接、感染することはない。

3?7日間の潜伏期間を経て高熱や発疹、頭痛などの症状が出るが、熱を下げ、脱水症状を防ぐといった対症療法で回復することが多い。重症化することは比較的、少ないという。

厚労省によると、国内では東南アジアなどで感染し、帰国後に発症する人が年間200人前後報告されている。今回の国内感染事例は、国外で感染した人が蚊に刺され、その血液を吸った蚊から感染したケースとみられている。

国内感染を地球温暖化と結びつける指摘もあるが、必ずしもそうとはいえない。ネッタイシマカはともかく、ヒトスジシマカなら国内に広く分布する。むしろビジネスや観光で東南アジアなどの流行地域との人の往来が多くなっていることの影響が大きいだろう。

デング熱は世界で年間1億人前後が発症する感染症だが、日本で感染が判明する例は少ない。昨年夏には逆に、日本を旅行したドイツ人女性が帰国後に発症し、日本での感染の可能性も否定できないとの結論になった。

このため、厚労省は各自治体に対しデング熱情報を提供し、国内感染に対する注意喚起を行っていた。情報があれば、高熱などの患者を診たときに、海外渡航経験がない患者でもデング熱の可能性を一応、疑うことができる。

注意喚起により、患者に適切な治療を提供し、周囲への感染を防ぐきっかけにもなる。感染症例の把握はその意味で重要だ。

日本は第二次大戦中に国内で流行を経験しているが、その後は感染を抑えてきた。今後も散発的な感染事例は把握されるだろうが、国内で直ちに流行が拡大するような可能性は小さいという。

病原体を媒介する蚊の繁殖を抑え、保健基盤を整えることで感染症の流行を克服する。その戦後の経験を生かし、流行国の対策を支援できれば、散発的な国内感染を防ぐことにもなる。今回の経験は、それを再認識する機会として生かしたい。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 社説:概算要求101兆円 「水膨れ」にあきれ返る (2014年08月30日)

各省庁が2015年度予算の概算要求を財務省に提出した。一般会計予算の要求総額は14年度の要求額約99兆円を大きく上回り、過去最大の101兆円台となった。政府は成長戦略や骨太の方針、地方創生といった重点政策を実現するため、概算要求基準で4兆円の特別枠を設けた。この枠で定められた各省庁の上限まで要求を膨らませたことが大きい。

「予算編成の過程で厳しく削ればいい」と見過ごすことはできない。昨年、政府は14年度当初予算と並行し、経済対策として13年度補正予算を編成した。両方を合わせた歳出規模は101兆円超に膨らんだ。今年も同じ流れが見え隠れする。

国の借金が1000兆円を超え、財政が危機的状況だから国民は消費増税の負担を受け入れたのだ。その中で予算要求を抑えず、これだけ水膨れさせるとは、政治家と官僚は国民の信頼にまったく反している。

省庁の要求額を14年度当初予算と比べると、国土交通省が16%増、農林水産省が14%増、文部科学省が10%増と軒並み大幅増だ。

昨年は要求項目に「成長戦略の具体化」「防災・減災」「国土強靱(きょうじん)化」の文言が並んでいた。今回はこれに「地方創生」「人口減少の克服」という言葉が加わった。

国交省は、公共事業関係費で約6兆円を要求した。道路、港湾、市街地などさまざまな社会資本の整備に充てる「社会資本整備総合交付金」は17%増の約1兆円を求めた。「若者が元気に働き、子どもを育て、次世代へ豊かな暮らしをつないでいく地方創生の取り組みをインフラ整備の面から支える」と説明する。

だが、公共事業の増額が本当に地方活性化や人口減対策になるのか大いに疑問がある。しかも、人件費や資材価格が上昇し、建設費は高騰を続けている。これ以上公共事業を積み増すと、民間事業の足を一段と引っ張りかねない。

要求の大幅増は安全保障や外交にも及ぶ。政権が力を入れる防衛予算の要求額は過去最高の5兆545億円となった。骨太の方針で戦略的外交の推進がうたわれたことに沿い、外務省は在外公館15カ所の新設や海外主要都市での情報・広報戦略拠点新設を求めた。

こうした要求の羅列を見ると、「選択と集中」や「メリハリ」といった予算編成の基本が感じられない。財政の危機的状況というのはただの方便なのか。

政府は予算編成で「経済再生と財政健全化の両立」を掲げるが、財政健全化が置き去りにされている。政府が本気で歳出抑制に取り組み、財政健全化に向き合う姿勢を見せてもらわないと、消費増税の負担を背負う国民は納得できない。

2014年08月30日 02時32分
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 社説:民法の抜本改正 消費者保護の姿勢貫け (2014年08月30日)

個人や企業の取引などを規律する民法の契約・債権分野が、約120年ぶりに抜本改正される。

法制審議会(法相の諮問機関)が来年の通常国会に上程を目指す改正法案の要綱案をまとめた。消費者の利益を保護しようとする方向性は評価できるが、生煮えの規定も残る。来年2月の最終答申に向け、よりきめの細かい検討を求めたい。

明治時代に定めた内容を現代社会に合わせるとともに、一般国民にとって分かりやすくするのが改正の目的だ。民法は抽象的な条文が多く、裁判例の積み重ねが実質的なルールになっている面がある。分かりやすく改める必要性は大きい。

要綱案は、借家人に不利に運用されがちな敷金についてルールを明確に示すなど消費者保護の色彩が強い。契約する当事者は対等であるべきだが、一方が優位な力関係にあることが少なくない。民間取引の基本ルールである民法で弱者保護の姿勢を示したことを評価したい。

もっとも、影響が大きい改正だけにさまざまな業界の利害が対立し、要綱案のとりまとめには5年かかった。難産を裏付けるようにすっきりしない規定も残る。

例えば個人保証の問題だ。事業主の家族や知人が連帯保証人になり、巨額の借金の返済を迫られて破綻するという悲惨な実例が少なくない。そうした事態を防ぐため、要綱案は中小企業や個人事業者が金融機関から融資を受ける際、第三者による個人保証を原則として無効とした。

しかし例外として、保証契約に先立って公正証書で保証人になる意思を示せば有効とした。配偶者による保証も認めた。全面禁止すると企業金融が困難になるという金融界や経済団体の主張を受け入れた格好だ。

事業主らの依頼を断れず、保証人になる知人や親族も少なくないだろう。公正証書を作るというハードルがどれほどの抑止力を持つか。そもそも第三者にまで保証させるという金融手法からは脱却すべきだ。個人保証禁止の実効性を高めるため、もう一段の工夫を求めたい。

銀行取引やネット取引などで企業側が契約条件を示す「約款」を巡っては、決着が先送りされた。法務省の原案は法的拘束力を持たせるための要件や不当な条項を無効とすることなどを盛り込んでいたが、経済団体が強く反対したためだという。

膨大な条件を羅列している約款を読んで納得したはずという前提では、消費者が思わぬ不利益を被るおそれがある。消費者保護の精神に沿った決着を求める。

日常生活に密接に関わる法律だけに、一般の国民にとって使い勝手のいい内容に仕上げてほしい。

2014年08月30日 02時30分
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 地方創生でバラマキは慎め (2014年08月30日)

2015年度予算に向けた各省庁の概算要求が出そろった。総額は101兆円台に達し、過去最大となった。

日本の財政状態は先進国で最悪だ。財務省は不要不急の事業がないかを厳しく精査し、思い切って歳出を抑制すべきだ。

まず問われるのは、最大の政策経費である社会保障費の伸びを抑えられるかどうかだ。厚生労働省の概算要求は31兆円あまり。高齢者の増加にともなう自然増が8000億円を超え、要求額は過去最大となった。

消費税率を予定通り来年10月に10%に引き上げる場合、厚労省は今回の要求額とは別に、医療、介護、子育て支援などの追加費用を要求するという。

社会保障と税の一体改革ですでに決まっている政策が多いとはいえ、社会保障費全体の伸びに歯止めをかけなければ、財政再建はさらに遠のいてしまう。

価格の安い後発医薬品を拡大したり、医薬品の公定価格である薬価を毎年改定したりするなど、歳出の抑制につながる手立てはすべて講じるべきだ。介護報酬の安易な大盤振る舞いも論外だ。

成長戦略を後押しするための「優先課題推進枠」では、「地方」や「地域」の冠をつけた地方創生関連の要求が目につく。

たとえば、国土交通省は「道路ネットワークによる地域・拠点間の連携確保」、総務省は「地域の元気創造プラン」、厚労省は「地域しごと創生プラン」といった予算を要求した。

だが、従来型の公共事業や補助金の要求が、看板だけかえて紛れ込んでいるようにみえる。テレワークの推進など各省庁の要求の重複も目立つ。費用対効果の高い事業に重点配分しないと、単なるバラマキに終わりかねない。

人手不足という供給制約に直面する地方に、予算で一時的に需要をつくっても効果はすぐにはげ落ちるだろう。真の地方創生につながるか、個々の要求を入念に査定することが欠かせない。
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 民法の大改正を機に消費者も自立を (2014年08月30日)

民法のうち個人や企業の取引規則を包括的に定めている債権法について、法制審議会(法相の諮問機関)が改正原案をまとめた。1896年(明治29年)の制定から初の抜本改正となる。

約200項目に及ぶ大改正は、契約のルールを社会の変化に沿ったものにし、消費活動が円滑に行われるようにすることを目指している。消費社会の成熟へ新民法を十分に生かしたい。

改正原案では、支払いの遅れた債務の返済などに使われる法定利率を年5%から年3%に下げ、さらに定期的に見直す。一般の金利が市場実勢で変わるようになって久しい。社会の変化に合わせた法の現代化という意味では当然の改正で、遅すぎるくらいだ。

お金の支払いに関する時効の見直しも、現代化の観点で違和感はない。現在は飲食代は1年、弁護士費用は2年といった具合に消滅期限が異なっているが、これを一律5年にする。個別の消滅時効は職業が多様化している現実にうまく対応できず、そもそも合理性を見いだしにくい。

今回の改正作業は法の現代化とともに、金銭や物のやりとりにかかわる個人の保護も強く意識している。代表的なのは連帯保証に関する規定だ。

企業が融資を受ける際、経営者の家族などが気軽に連帯保証人になり、多額の債務を負ってしまうことがある。こうした事態を防ぐため改正案は、家族などが保証人を引き受けるにあたっては公証人が立ち会って自発的な意思を確認することとした。

保護の強化に個人の側が安心したのでは、効果は相殺される。むしろ法律の改正を、融資の仕組みを学ぶなど自助努力を強めていくきっかけにしたい。

ネット上の売買などでよく使われる約款に関しては、買い手が著しく不利になる項目は無効とするといった改正案が検討された。これに対し経済界から適用範囲の不明確さを指摘する声も出たため、法制審は結論を先送りした。来年2月の答申にむけ、改めて細部を詰める運びだ。

ひとを欺くような複雑な約款が排除されれば、消費者の保護に役立つ。加えて、約款を丁寧に読んで自らトラブルを回避できるような賢い消費者が増えれば、ネット取引のいっそうの拡大につながる。民法の改正は改めて、消費者に自立を促している。
posted by (-@∀@) at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] ウクライナ情勢 ロシアは侵入を直ちにやめよ (2014年08月30日)

ロシア軍の兵士1000人以上が、ウクライナ領内に侵入していたことが判明した。

クリミア半島編入に続く露骨な介入である。隣国の主権を踏みにじる暴挙は、断じて容認できない。

北大西洋条約機構(NATO)は、侵入の「動かぬ証拠」として、ウクライナ領内を移動する露軍の自走砲の隊列をとらえた衛星写真を公開した。撮影日は、今月21日だとしている。

国連安全保障理事会が緊急会合を開き、欧米各国の代表がロシアを一斉に批判した。米国のパワー大使は会合で「ロシアはウソばかりついてきた」と指摘した。

オバマ米大統領が、「暴力の責任はロシアにある」と強調し、制裁強化を示唆したのは当然だ。菅官房長官も、「G7(先進7か国)で連携しながら適切に対応していきたい」と述べた。

それでもロシアは、ウクライナ侵入の情報について「でたらめだ」などと否定し続けている。

国際社会は協調してロシアに圧力をかけ、ウクライナへの不当な介入をやめさせる必要がある。

ロシアは、ウクライナ東部で親ロシア派武装集団に加勢しているロシア人は、軍に属さない「義勇兵」だと説明してきた。

ところが、ロシア軍の兵士が2週間以上前から戦闘に加担していたことも明らかになった。

ロシアの人権委員会のメンバーは、ウクライナ東部ドネツク州で13日、100人以上のロシア兵がウクライナ軍の攻撃で死亡したと証言した。弾薬運搬中のトラックの車列が攻撃されたという。

ロシア軍がウクライナで大規模に活動していたことになる。ウクライナ東部の戦闘は「ウクライナ内部の危機だ」とするプーチン大統領の主張と、真っ向から矛盾する事実と言える。

プーチン氏は26日、ウクライナのポロシェンコ大統領と会談し、「いかなる協力についても話し合う」と述べた。笑顔で握手を交わす裏で、着々と軍事介入を進める。そんな“二枚舌外交”が長く通用するわけもない。

ロシア大統領府直属の人権委から話が漏れたのも、情報統制がとれなくなってきた表れだろう。

欧州連合(EU)は30日の首脳会議で、ロシアに対する追加の経済制裁を協議する方針だ。

天然ガスをはじめエネルギーをロシアに依存する欧州が弱腰の姿勢を見せれば、ロシアをますます増長させよう。毅然(きぜん)とした対応が求められる。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 予算の編成―「地方創生」に要る視点 (2014年08月30日)

来年度の国の予算編成で省庁の概算要求が出そろった。

総額が初めて100兆円を超えた。今後、今年度の補正予算が検討される可能性をにらんで最大限要求しておく。そんな姿勢がありありだ。

政権が重視するテーマに各省庁が殺到するのも相変わらず。今回は「地方創生」で顕著だ。

街の中心部に施設を集めるコンパクトシティーの推進や、都市間・拠点間を結ぶ道路などのネットワーク整備(国土交通省)。中心都市と近隣市町村、集落間の連携促進や地域密着型企業の立ち上げ支援(総務省)。中心市街地の再興を核とするコンパクトシティー事業や地域発ベンチャー企業の創出(経済産業省)……。

「看板の掛け替え」を含め、似たような施策が乱立する。

少子高齢化が加速し、東京など大都市圏への人口集中も止まらない中で、地方の街をどう維持し、活性化していくかは大きな課題だ。しかし、国主導で予算をばらまいても効果は乏しく、財政を悪化させるだけだ。

発想を根本的に転換することが必要ではないか。

例えば、コンパクトシティーの整備と言っても、?住まいの移転と集約?地場産業の再編・振興?医療や福祉、教育施設の再配置?道路や上下水道などのインフラの更新・縮小と、あらゆる分野にまたがる。自治体が住民と徹底的に議論し、納得を得ながら進めていくしかない、息の長い取り組みである。

国が補助金・交付金のメニューをてんこ盛りに並べ、そこから自治体が選ぶ仕組みでは、「お金をたくさんもらえる施策」へと傾き、短期志向になるのも無理はない。支給には省庁が細かい条件をつけており、自治体が求める支援とズレが生じがちでもある。

国と地方が財政の厳しさを共有し、「ハード(施設)よりもソフト対策」の基本を確認したうえで、まずは各自治体が対策を突き詰める。国は、自由に使える予算でそれを後押しする。そんな仕組みに切り替えていくべきではないか。

国にも「縦割り」への反省はあるようだ。自治体などに公募して全国から地域活性化への取り組みを30余り選び、省庁横断のチームで支援を始めた。

せっかくの試みが、補助金申請手続きのわずらわしさを減らすのにとどまっては意味がない。国と地方の関係を見直す機会にできるかどうか。

「地方創生」は国のあり方も問うことを自覚し、予算編成や制度改正を進めてほしい。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする