2014年07月31日

[東京新聞] 最低賃金改定 貧困から抜け出す額に (2014年07月31日)

二〇一四年度の最低賃金の引き上げ幅は、昨年度に続き高水準になった。だが、働いても貧困から抜け出せない人たちの生活向上にはほど遠い。非正規雇用が増える今、さらなる底上げが必要だ。

最低賃金は企業が払う最低限の賃金水準で、下回る賃金は違法となる。非正規で働く人たちの賃金額の目安にもなっている。

労使が入る国の中央最低賃金審議会が毎年、改定幅の目安を示す。これを受け地方の審議会が地域ごとの金額を決める。改定は非正規労働者の“春闘”といえる。

本年度の目安は全国平均で時給七百八十円、昨年度より十六円増えた。二桁増は三年連続で昨年度よりさらに一円上乗せした。

改定の目安となる賃金、物価、企業利益はいずれも上昇した。正社員の春闘では大手企業の賃上げ率は十五年ぶりに2%を超えた。引き上げは当然だ。今改定も約2%のアップになる。

だが、消費者物価指数は前年比3%超の上昇が続く。消費税も増税された。最低でも物価上昇分の上乗せはすべきだった。

働いて手にする賃金が、生活保護の給付を下回る逆転現象も課題だったが、逆転している五都道県はやっと解消する。

ただ、政府は四年前に閣議決定した成長戦略で「早期に全国最低八百円、二〇年までに全国平均千円」の実現を掲げている。達成にはほど遠い改定に終わった。

最低賃金で働く人は、以前は学生のアルバイトや主婦のパートなど生活費の一部を得ることが目的だった。今は労働者の約四割が非正規雇用だ。この賃金で家計を支える人も少なくない。

労働者から「時給千円以上」を求めた訴訟も起こされている。関係者からは「文化的な生活を営むには千五百円は必要」との声も聞く。政府はまず目標の「全国最低八百円」を早く実現すべきだ。

アベノミクスは中小企業にまで波及しておらず賃上げは経営を圧迫するとの懸念は分かるが、働く人の生活があってはじめて消費が拡大する。企業側の努力こそ全体の底上げにつながる。

安倍政権は「女性の活躍」推進を掲げる。企業などで働く女性の55%は非正規なのに、雇用対策にその視点が欠けていないか。正社員への転換促進や、厚生年金と健康保険加入拡大など雇用に安心を与える対策に本腰を入れないと肝心の労働力が先細るだけだ。

貧困の放置は許されない。
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[産経新聞] 最低賃金 地方にも好循環の恩恵を (2014年07月31日)

企業が従業員に支払う賃金の下限である最低賃金が、2年続けて引き上げられる。全国平均の目安となる時給は16円上がって780円となる。

「経済の好循環」を実現するには個人消費の活性化が不可欠だ。最低賃金の大幅増額はそれに必要な所得増につながるものであり歓迎したい。

大都市部では外食産業などを中心に人手不足が深刻化し、すでに賃金水準が最低賃金を上回っている。だが、地方の中小・零細企業は、厳しい経営環境に置かれていることも忘れてはならない。

都市部に多い大手企業だけでなく、地方経済を支える企業が雇用を拡大し、継続的に賃上げできるような経営基盤が確保されなければならない。政府は最低賃金引き上げを機に、中小企業の経営支援にも注力してもらいたい。

地方の中小・零細企業の経営状況は依然厳しい。下請けの中には円安などによる材料費の高騰を価格転嫁できていない企業も多い。最低賃金を上げたことで苦境に陥り、雇用が失われてしまっては本末転倒である。

政府は地方の中小企業などによる成長市場の開拓に向け、輸出や新規事業進出を支援してほしい。政策金融機関を通じた融資や地方自治体と政府による政策連携などは検討に値しよう。

正社員だけでなく非正規社員や外国人労働者にも適用される最低賃金は、都道府県ごとに賃金水準などを勘案して決定される。

その目安を議論してきた中央最低賃金審議会が、平均時給を16円引き上げることを決めた。昨年度の15円を上回り、この20年で2番目に高い伸びになるという。

2年連続の大幅な引き上げは、脱デフレを掲げる安倍晋三政権の強い働きかけを反映したものである。この4月からの消費税増税などで足元の消費者物価は上昇しており、このままでは実質的な所得減につながりかねないという事情も背景となっている。

今回の引き上げにより、最低賃金で働く人の手取り収入が生活保護の受給額を下回るという「逆転現象」は、5つの都道県すべてで解消されるという。

勤労意欲をそがないためにも、そうしたひずみは是正されるべきだ。それには最低賃金の引き上げだけでなく、生活保護の効率化にも引き続き取り組んでいくことが肝要である。
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[産経新聞] 中国の権力闘争 対外強硬策は願い下げだ (2014年07月31日)

中国の習近平国家主席にとり最大の政敵とされた周永康・前党政治局常務委員が、汚職の罪に問われることになった。

周氏失脚劇は、汚職腐敗追放という名分の下、政敵を追い落とした権力闘争の色彩も濃い。これにより習主席への権力集中が進み、その対外強硬路線がさらに強化されることが案じられてならない。

周氏は石油利権と治安機関を一手に支配し、巨万の富を不正に蓄えていたという。背後には江沢民元国家主席ら党内長老までが控え、習指導部もこれまで容易に手が出せなかったとされる。

汚職と腐敗は、高度成長が長期に続く過程で中国国内に蔓延(まんえん)し、その一掃は、習政権が唱えるまでもなく最大課題のひとつだ。周氏のような大物を摘発することは、その意味でも効果的だろう。

問題は、法治が確立せず政治の透明性も欠いた密室の中で公正さや公平さとほど遠い、恣意(しい)的な犯罪追及が行われていることだ。実際、主席を支える古参党幹部の子弟グループ太子党に司直の手が伸びるとは誰も思っていない。

そもそも、共産党一党独裁によって党幹部に権力と、改革開放政策で生み出された富とが集中している政治体制こそ、汚職腐敗の最大の温床である。

中国の指導者が、その根絶を真に目指すのであれば、経済だけでなく政治の自由化、民主化にも踏み出すべきだろう。

その意図も覚悟もないまま、今回の権力闘争勝利で習主席の政権基盤が固まったとしたら、どうなるか。日本などにとって最悪の事態は、その強大な権力の下で、東シナ海や南シナ海での強引な海洋権益拡大に代表される対外強硬姿勢が今以上に強まり、地域が不安定化しかねないことだ。

日本として地域として、到底受け入れ難い状況である。

習指導部の強硬姿勢は当然、国内にも及ぶ。少数民族ウイグル族に対する弾圧が続く新疆ウイグル自治区では、それへの抵抗とみられる流血事件がまた起きた。「一国二制度」が約束されたはずの香港ですら、普通選挙を求める市民の声が押しつぶされつつある。

権力の集中が、さらなる腐敗と貧富の格差を生むことが案じられる。その結果、国内の不満をそらす「目眩(くら)まし」として、また対外強硬路線が強まることを警戒しなければならない。
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[東京新聞] 回らない核のサイクル(4) 大きすぎる万一の危険 (2014年07月31日)

六ケ所再処理工場の約二十キロ南に、軍民共用の三沢空港がある。「北の槍(やり)」との異名を持つ米国空軍が駐留し、F16戦闘機が実戦配備され、大陸へのにらみをきかせている。航空自衛隊や民間航空を合わせた離着陸は、年間四万回以上という。

二〇〇七年には、その三沢基地からF16がイラク戦争に出動し、その一部がアフガニスタン東部で反政府武装勢力タリバンの拠点を攻撃した。

そうなると気がかりなのが、核燃料サイクル施設の航空事故対策、そしてテロ対策だ。

再処理工場の上空は飛行禁止区域になってはいる。それでも、戦闘機の墜落事故対策は福島第一原発事故以前から、安全評価の対象にされてきた。

米国の構造物研究機関で、本物のF16を滑走させてコンクリート壁に衝突させる実験を繰り返し、主要建屋の天井や壁の厚さは一・五メートルと、原発よりも厚くした。

しかし、実験では爆弾を積んでいたわけではなく、墜落事故への効果も定かでない。

テロへの備えは、どうか。

日本原燃は特別に武装した警備員の配備について「いるともいないとも言えません」(広報部)。

仏のラアーグの再処理工場は対空ミサイルを備えている。一九七五年、英国原子力公社の再処理施設は、軽機関銃などで武装していることが明らかになった。

その後の公聴会で市民団体などから、「このままでは、核の管理機関に強力な権限が与えられ、市民生活にさまざまな制限が課される『プルトニウム社会』の到来は避けられない」との声が強まった。

保安対策の強化などにより、六ケ所再処理工場の建設費は二兆円超と、当初の三倍に膨らんだ。原子力規制委は稼働の条件に、航空機の墜落やテロ対策のさらなる強化を求めている。そこにプルトニウムがある以上、対策に限りはないようだし、核拡散の恐れはつきまとう。 (論説委員・飯尾歩)
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[毎日新聞] 社説:中国指導部汚職 虎退治より難しい改革 (2014年07月31日)

中国共産党は、胡錦濤(こ・きんとう)前政権で最高指導部である政治局常務委員会のメンバーだった周永康(しゅう・えいこう)・前中央政法委員会書記(71)を「重大な規律違反」で立件・調査すると決定した。大規模な汚職に関連した疑いとみられ、腐敗が上層部にまで広がっている実態が浮き彫りになった。

中国では党の決定が司法の上位にある。刑事事件については今後、検察当局の捜査が進む見通しだが、立件の発表自体が有罪宣告に等しい。10月に開かれる中国共産党の第18期中央委員会第4回総会(4中全会)で党籍剥奪などの処分が決まる可能性が高い。

中国国内では「聖域」とされてきた常務委員経験者の汚職摘発に踏み切ったことを歓迎する声が多いようだが、権力の監督システムの欠如など腐敗には構造的要因がある。再発防止には政治改革や司法改革が不可欠だ。

習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は2012年秋の総書記就任後、「虎(大物)もハエ(小物)も一網打尽にせよ」と指示し、反腐敗キャンペーンを進めてきた。次官級以上の高官だけで30人以上が摘発され、先月末には政治局委員も務めた徐才厚(じょ・さいこう)・前中央軍事委員会副主席が党籍を剥奪された。

周氏についても家族や側近、関係のある実業家らが相次いで調べを受け、捜査対象であることは公然の秘密だった。しかし、周氏は石油業界出身で江沢民(こう・たくみん)元国家主席を後ろ盾に四川省や公安省トップを歴任し、治安対策にも力をふるった大物だ。立件には慎重論があったとされる。

周氏に関連して押収された資産は総額900億人民元(約1兆4400億円)に達するともいわれる。収賄などで無期懲役判決が確定した薄熙来(はく・きらい)・元重慶市党委書記と共に政変を企てた疑いも持たれており、江氏ら長老もかばいきれなかったのではないか。

慣例を破って「聖域」にメスを入れたことで習主席の権力基盤が強化されることは確かだ。だが、成長の鈍化や経済格差拡大を背景に共産党幹部や政府高官の腐敗に対する国民の不満はかつてないほど高まっている。周氏の立件にとりあえず留飲を下げる国民も少なくはないだろうが、構造的要因が解消されない限り、根本的な解決にはつながらない。

「人治の国」といわれて久しい中国だが、10月の4中全会では「法治」が主要議題に設定された。周氏の処分と合わせ、不正防止のための制度改革を進めようという意欲はあるのだろう。共産党体制の維持を前提に国民を納得させるだけの改革が打ち出せるのか。習政権にとっては虎退治以上に困難な課題が待っているともいえそうだ。

2014年07月31日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:最低賃金 地域間格差を是正せよ (2014年07月31日)

パートなど非正規雇用の人々に大きな影響を与える最低賃金について、厚生労働省の中央最低賃金審議会小委員会は16円の引き上げを決めた。昨年実績の14円を上回り全国平均で時給780円(目安額)となった。今後は各地の審議会で議論され、10月には都道府県ごとの新たな金額が決まる。正社員との格差だけでなく、年々広がっている地域間格差の是正に取り組むべきだ。

非正規雇用の人は今や雇用労働者全体の4割近くを占める。消費の拡大や少子化の改善には若年層を中心とした非正規雇用の待遇改善が不可欠だ。以前は最低賃金が生活保護の基準を下回る自治体が多数あり、2007年の最低賃金法改正で改善が図られてきた。北海道や東京など5都道県でまだ生活保護を下回っているが、今回の引き上げでようやく逆転現象が解消されそうだ。

2年連続で2桁の引き上げではある。だが、消費増税や物価高で働く人の生活は圧迫されている。今春闘では大手企業を中心に大幅賃上げが実現し、非正規雇用との格差も広がっている。安倍晋三首相や各閣僚は春闘ではこぞって賃上げに言及したが、本来は労使間に委ねられるべきだとの批判も強い。一方、最低賃金の改善こそ政府がやるべき仕事であり、政治がリーダーシップを発揮する場面である。田村憲久厚労相は「昨年並みか、それより良い成果が出れば」と語っていたが、安倍首相からは春闘で見せたような意欲は感じられなかった。

経営者側は「中小企業は経営が改善していない」と反発するが、日本の賃金格差は先進諸国の中でも大きい。経済協力開発機構(OECD)の12年時点での統計によると、フルタイムで働く社員の賃金の平均(中央値)を100とした場合、日本の最低賃金は38しかなく、フランス62、オーストラリア53、英国47に比べ格差が著しいことを示している。10年前は日本より低水準だった韓国は改善に取り組み12年では42になった。日本と同じ38で先進国最低レベルの米国は今年になってオバマ大統領が連邦政府の最低賃金を大幅に引き上げる方針を打ち出し、各州にも波及して改善が図られているという。

地域間格差も大きい。鳥取や沖縄など最低額の9県は東京より時給で205円低いが、今回示された目安額ではさらに差が広がる。安倍政権は人口減少を食い止め「地方創生」を重要課題として掲げるが、まずは賃金格差の改善に取り組むべきだ。これまで地方の中小企業で働く非正規雇用の人々の声が反映されてきたとは言い難い。地方審議会は働く人が地方から流出しないような賃金水準を目指すべきだ。

2014年07月31日 02時32分
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[読売新聞] 最低賃金上げ 中小企業への目配りも大切だ (2014年07月31日)

消費を下支えし、デフレを脱却するには、賃金の底上げが重要だ。

厚生労働省の中央最低賃金審議会が、今年度の最低賃金(時給)の引き上げ幅を全国平均で16円とする目安を決めた。

2年連続で2桁の大幅アップとなり、最低賃金は平均780円に上昇する見込みだ。この目安を参考に、各都道府県の審議会が地域の実情を踏まえて金額を決め、10月ごろに改定される。

最低賃金を巡っては、生活保護の給付水準を下回る「逆転現象」が、労働意欲を損なうとして問題視されてきた。現在も5都道県で生じている。

今回の引き上げで、それがすべて解消される見通しとなったことは、評価できよう。

最低賃金でフルタイム働いた場合の月収は、平均で2500円程度増える。非正規労働者の増加で、一家の担い手が最低賃金ぎりぎりで働くケースも多い。引き上げの意義は小さくない。

日本の最低賃金が、先進国の中で低い水準にあるのも事実だ。

景気の回復傾向を受け、今春闘で大企業を中心に賃上げが相次いだ。しかし、物価上昇に消費増税の影響も加わり、家計の実質的な収入は目減りしている。

非正規労働者や、中小・零細企業では、賃上げの動きは鈍い。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」の恩恵が及んでいないとの不満も強まっている。

今回の大幅アップは、デフレ脱却を軌道に乗せたい政権の強い意向を反映したものと言えよう。田村厚労相は「昨年並みか、それより良い成果」を求めていた。

若年層に低賃金の非正規雇用が増え、結婚や子育てをあきらめる人も目立つ。少子化を加速させる大きな要因となっている。最低賃金の引き上げは、人口減対策の観点からも重要である。

非正規労働者などにも賃上げが波及するよう、官民を挙げた取り組みが求められる。

心配なのは、最低賃金の引き上げが、中小・零細企業の経営を圧迫しないかという点だ。多くの企業が、円安による原材料価格や燃料費の高騰に直面し、厳しい経営状況にある。

賃金の引き上げを求めるだけでは、さらなる業績の悪化を招きかねない。従業員の解雇など弊害が拡大する恐れもある。

政府は、中小企業の実情に目配りし、成長分野への進出を後押しするなど、効果的な支援策に取り組むべきだろう。
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[読売新聞] 周永康氏摘発 腐敗蔓延の陰で続く権力闘争 (2014年07月31日)

中国の最高指導部メンバーの不正に、調査のメスが入る。極めて異例の事態である。

中国共産党が、2012年秋まで党政治局常務委員を務め、党内序列9位だった周永康・前党中央政法委員会書記について、「重大な規律違反」があったとして、調査、立件することを決めた。

具体的な容疑は明らかにしていないが、昨年来、周氏の側近や元部下らが汚職容疑で相次いで摘発されている。周氏自身も、汚職に関与したとの見方が強く、既に軟禁状態にあるという。

巨大な党組織の頂点に立つ政治局常務委員は、現在、習近平総書記以下、7人しかいない。周氏の在任中も9人だった。

このごく一握りのトップ層に関しては、党の分裂回避や威信維持の観点から、不正は摘発しないとの不文律があったとされる。

だが、腐敗の蔓延(まんえん)は今、国民の不満・不信の源であり、党の生き残りにも関わる重大問題だ。「ハエもトラもたたく」と腐敗一掃を宣言した習氏は、タブーに手を付けざるを得なかったのだろう。

特大の「トラ」の摘発には、腐敗撲滅に向けた断固たる姿勢を国民にアピールする狙いがある。10月の党中央委員会総会でも、反腐敗が主要議題となる見通しだ。

中国での腐敗摘発は、党内抗争とも密接に結びついている。

周氏は、豊かな資金力を誇る石油業界「石油閥」の中心的存在である。政法委書記として公安や司法部門の実権も握っていた。

江沢民・元総書記や江氏側近の曽慶紅・元常務委員らが後ろ盾とされる。昨年、収賄罪で無期懲役が確定した薄煕来・元党政治局員とも近かったと見られている。

習氏は現在、治安対策や経済改革の指導組織のトップに相次いで就任するなど、自身への権限集中を急いでいる。

周氏を摘発し、その背後にいる石油閥など既得権益層や江氏の影響力を排除することは、習氏が権力基盤を固める一環と言えよう。ただ、これで習政権が盤石になると見るのは早計だ。

周氏摘発は一時的に民衆に歓迎されるとしても、根深い党の腐敗体質に変わりはない。習氏の強引な手法に対する党内の反発が強まる恐れもある。中国の社会と政治の安定は、なお遠い。

内政が不安定化すれば、習氏は国民の愛国心に訴えるため、独善的な対外姿勢を強めかねない。日本は、腐敗摘発の陰で続く権力闘争を注視する必要がある。
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[朝日新聞] 中国汚職摘発―真の法治をめざすなら (2014年07月31日)

中国共産党の政治局常務委員とは、13億人の大国を仕切る最高指導部メンバーである。

胡錦濤・前政権に9人いたうちの一人だった周永康氏(71)が「重大な規律違反」を問われることになった。

大規模な汚職があったとされ、改革開放以降では最高位の摘発となる。はびこる腐敗をただすことは正しい方向だ。

ただし、異例の大物立件の本質は、習近平(シーチンピン)・現政権が仕掛ける権力闘争であることを見落としてはなるまい。

周氏は国有石油企業の出身。石油ビジネスに絡む不正資金をてこに、利益で結ぶネットワークを築いたとみられている。

一枚岩にみえる中国指導部だが、党と国家の中枢は多元的で、各部門が利益集団化しがちだ。最近、そこにメスを入れるケースが相次いでいる。

トップが汚職で捕まった鉄道省は、習政権発足時に三分割した。軍の元最高幹部の徐才厚氏は収賄の疑いで党籍を奪った。そして今は「石油グループ」に切り込もうとしている。

周氏は江沢民・元国家主席とつながりが深かったといわれる。党内の抵抗は強かったに違いない。

関係者の拘束は、一昨年に周氏が常務委員を退いた直後から始まった。同時に習政権は反腐敗の旗のもと、「地位の高い者も例外扱いしない」と強調し、世論の地ならしをした。

実に周到な準備で一歩ずつ追い詰めた末の立件である。これで習氏の政権基盤は固まったとみるべきだろう。

党中央委の昨年の総会は司法改革を唱え、次の10月の総会の主な議題も「法治」とされる。

ただ、この立件が法治に資するかといえば、根本的な疑問がぬぐえない。

今回の決定を下したのは、党中央であり、司法ではない。党の調べで違反ありと認定すれば党籍を?奪(はくだつ)し、そこではじめて司法手続きに移る。党は司法に優越し、党中央は常に間違えないという前提がある。

汚職をなくして公正な社会を築くという目標はいいが、それが一党支配をより強固にするための権力者の道具でしかないなら、おのずから限界がある。

法治といえば、国民の諸権利を明記した憲法が、いまの中国にはある。しかし、「憲政の実現」を訴える弁護士や学者を次々と弾圧している現状は、法治にほど遠い。

真に必要なのは党の指導者をもチェックできる「法の支配」だ。それこそが反腐敗の王道ではないのか。
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[朝日新聞] 最低賃金―まずは「目安超え」を (2014年07月31日)

最低賃金の引き上げを厚生労働省の審議会が答申した。全国平均で16円。2桁は2年連続になる。今の最低賃金(全国平均)は764円なので、実施されれば780円になる。

最低賃金は、国が定める1時間あたり賃金の最低基準だ。原則として、すべての労働者に適用され、時給がこの額を下回ると法律違反になる。

16円は、時給だけで決めるようになった2002年以降、最も高い。いまは「経済状況に応じて都道府県をAからDの4ランクに分け、それぞれの引き上げ目安額を示す」という決め方だ。16円はその加重平均。つまり、東京都や愛知県など、労働人口が多くて企業にも比較的余裕のある大都市部の引き上げ目安額が高め(19円)だったことを反映した結果になっている。

「16円は高い引き上げ」と言っても、その裏側で、大都市と地方の最低賃金格差は拡大する。答申通りに引き上げが実施された場合、最高の東京都(869円+19円)とDランクに属する最も低い県(664円+13円)の差額は211円と、現行より6円分、広がってしまう。

「上に厚く、下に薄く」が経済状況に応じたものだとしても、この方式を続ければ格差は広がるばかりだ。来年夏にかけて、最低賃金の決め方は見直されることになっている。この機に、格差の是正策を正面から議論してほしい。

働き手から見ると、最低賃金の水準はまだ低い。最低の県で1日8時間働いた場合の月給は約11万円。これで生活を維持するのに十分な水準と言えるだろうか。最低賃金で働く人はパートタイムなどの非正規労働の人が多いから、実際の手取り額はもっと低くなってしまう。

一方で物価は上がっている。4月には消費税率が8%に引き上げられ、最近の消費者物価指数は3%以上の上昇が続く。

答申を受けて、これから都道府県ごとに経営者と労働者の代表、有識者が話し合い、10月までには新しい最低賃金が決まる。最近は、過半数の都道府県で目安を上回る額に決まっている。今年もまずは「目安超え」をめざしてほしい。

幸い、企業側の心理は変わりつつある。労働組合の中央組織である連合の集計によると、今年の春闘では、15年ぶりに2%を超える賃上げを達成した。

最低賃金は、春闘の成果が及ばない労働者にも影響する。経済が上向いて人手不足感が強まり、都市部を中心に時給が上がるいまは、最低賃金引き上げの好機でもある。
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2014年07月30日

[東京新聞] 秘密保護法 官僚に都合いい基準だ (2014年07月30日)

特定秘密保護法について政府が意見公募中だ。その運用基準の素案は、官僚に都合よくできている。秘密指定や解除などが曖昧な点は変わりがなく、国民の「知る権利」への侵害を強く懸念する。

ルールを守らせるには、守らなかったとき、ペナルティーを科すことだ。秘密保護法は官僚が恣意(しい)的に秘密の指定を行う恐れが指摘されてきた。だからこそ、官僚に対するペナルティーの視点は欠かせない。だが、残念ながら、運用基準の素案には、その仕組みがない。最大の欠陥といえる。

防衛や外交、特定有害(スパイ)活動、テロ活動の四分野で、法は別表で二十三項目を秘密事項と定めた。今回の素案は、全部で五十五の項目を並べた。数だけに着目すると、あたかも具体的に明示しているような錯覚に陥る。

ごまかしではないか。例えば、防衛分野の事項の中で、唐突に「米軍の運用」という言葉が素案に登場する。これは秘密保護法にない言葉だ。なぜ法にない概念が素案に盛り込まれるのか。特定秘密の範囲が拡大する恐れがある。

外交分野でも曖昧用語が交じる。「国際社会の平和と安全の確保」などという漠然とした言葉が出てくるのだ。特定有害活動という概念も依然、抽象的である。あやふやな言葉が闊歩(かっぽ)している限り、どのようにでも解釈できよう。

秘密の解除も、官僚のさじ加減になる可能性がある。指定期間が三十年超だと歴史公文書は国立公文書館に移管される。三十年以下だと、首相の同意で廃棄することもできる。このような基準では、仮に官僚がオープンにしたくないと考えれば、あえて三十年以下の指定期間にし、廃棄してしまうことも可能になってしまう。

そもそも「歴史公文書」という言葉も曖昧で、その判断さえ恣意性を帯びる。すべての特定秘密は指定期間を過ぎたら、公文書館に移管し、公開すべきである。

「法を拡張して解釈してはならず、必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って指定する」−。これが基本的な考え方だという。だが、訓示規定にすぎない。ペナルティーのない世界では、違法不当な指定もまかり通る余地がある。

訓示規定を官僚が忠実に順守すると考えるのは楽観的だ。

チェック機関を政府内部につくっても、信頼はされない。そもそも欠陥法なのだから、基準で取り繕うとするにも無理がある。法の廃止を求め続けたい。
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[東京新聞] 回らない核のサイクル(3) 「青い森」に広がる不安 (2014年07月30日)

核燃料サイクルは本当に回らないのではないか…。六ケ所村のある青森県に不安が広がっている。

日本原燃が六ケ所村で進める核燃料サイクルのうち、要の再処理工場、MOX燃料工場は完成の前に福島で原発事故が起きた。状況は一変した。

「地元のためだけではない。エネルギー資源のない日本に使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは必要だ。だから長い年月と先人の労苦で立地してきた」と県関係者は変わらぬ決意を語るが、不安は隠せない。

そのひとつが高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題だ。

六ケ所村では、フランスなどに使用済み核燃料の再処理を委託して出た核のごみ「高レベル放射性廃棄物」を三十〜五十年保管する貯蔵施設がすでに稼働している。むつ市には再処理までの間、使用済み核燃料五千トンを備蓄する施設が建設中だ。

いずれも核のごみを地層深く埋める最終処分場の建設地が決まるまでの中間貯蔵施設と位置付けられる。

現在、国内の原子力発電所などに保管され、再処理を待つ使用済み核燃料は一万七千トンにのぼる。最終処分の候補地は原子力発電環境整備機構(NUMO)が公募してきたが進んでいない。サイクルの中核、高速増殖原型炉「もんじゅ」もトラブルで停止している。サイクルが行き詰まれば、なし崩し的に青森県が最終処分を受け入れさせられるのではないか。

豊かな自然を「青い森」として売り出し、観光にも力を入れる青森県は「最終処分は絶対に受け入れられない。これは県民との約束だ。もし核燃料サイクルが回らないなら、現在貯蔵している高レベル廃棄物も撤去を求める」と断言する。

そうなれば六ケ所村に中間貯蔵されている核のごみさえ行き場を失って宙に浮く。リサイクルどころではない事態が今、直面している現実だ。 (論説委員・安田英昭)
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[産経新聞] 次期指導要領 国の良さを学べる内容に (2014年07月30日)

小中高校などの次期学習指導要領について検討が始まる。次代を担う子供たちに何が必要か議論を深めてもらいたい。

学習指導要領は教科内容や授業時間の基準を定めたもので、ほぼ10年ごとに全面改定されてきた。指導要領改定で教科書も一新される。

文部科学省は次期指導要領について、東京五輪が開催される平成32(2020)年の実施を目指す。今秋から中央教育審議会で検討が始まる予定だ。

いまのところ高校では日本史の必修化のほか、規範意識や社会制度などを学ぶ新科目「公共」の導入が検討されそうだ。小中学校での英語教育強化についても話し合われる。

重視したいのは、自分の国の歴史や文化についてしっかり学ぶ教育だ。国際化のなかでこそ、日本の伝統文化などに理解を深め、発信できる人材育成が求められている。自分の国の良さを知らず誇りが持てなければ、他の国や地域について知ろうとする気持ちも起きず尊敬の念も生まれない。

歴史教育では、日本をことさら批判的に描く自虐史観が抜けない。近現代史を中心に多様な歴史の見方を育てる指導内容についても改善と工夫を求めたい。

これまでの教育では子供たちの個性の重視に目が行きすぎ、ルールを守り、他人を思いやることなど「公」について学ぶことがおろそかにされていなかったか。

ネット空間をさまざまな情報が飛び交い、いじめや非行など子供をめぐる事件が絶えず、正義や勇気を育むことは欠かせない。だが徳育を「価値観の押しつけ」などと批判する風潮がいまだにある。小中学校の道徳の教科化とともに、高校で「公共」を導入し、生徒が学び考える機会は重要だ。

いくら勉強しても会話力がつかない日本の英語教育の見直しも必要だ。ただ何を話すか、国語力をしっかり鍛えたうえで目的を持って学ぶことが欠かせない。
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[産経新聞] 地方創生本部 日本を作り直す発想持て (2014年07月30日)

いま求められている地方対策は一時的な景気浮揚策ではなく、人口減少や高齢社会に対応できる社会への作り替えだ。

安倍晋三政権が、地方の人口減少対策や経済活性化に本格的に取り組み始めた。首相を本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」を9月にも創設し、秋の臨時国会に地域支援のための関連法案を提出する。その準備室がこのほど発足した。

地方の「消滅」を許せば、日本の国力そのものが衰退する。数十年先まで見越して、「日本を一から作り直す」との気概と展望を持った構想を練る必要がある。

総務省は「地方中枢拠点都市」、国土交通省は「高次地方都市連合」といった構想を打ち出しているが、政府内で統一性を欠くのでは地方の混乱は避けられまい。創生本部には、縦割り行政の弊害を排し、がんじがらめの規制を打破する突破力とスピード感ある対応を期待したい。

主役になるべき地方の自覚も一層問われる。予算配分を口をあけて待っているような受け身でなく、地域が持つ強みや特長を積極的に掘り起こし、新たな産業振興につなげてもらいたい。

創生本部が一番に取り組むべきは雇用の創出だ。地元企業の活性化支援はもちろん、若者の起業や就農の促進、大企業が地方展開しやすい環境を整える政策が急がれる。また、都市に住む若者の移住を促すため、住宅や就業情報の発信サポートも重要となろう。

人口減少や高齢化が簡単には止まらない現実も踏まえ、生活基盤の集約化や近隣自治体の行政サービスの連携、情報通信技術の活用といった若者らを引き寄せる街づくりの工夫が求められる。

与党からは来春の統一地方選をにらみ、公共工事の増額など旧来型の経済対策を求める声が出ている。だが一口に「地方」といっても、県庁所在地のような拠点となる都市と過疎エリアとでは置かれた状況は異なる。各自治体の予算をまんべんなく増額し、政策効果がはっきりしない事業が膨らむようなことになってはならない。
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[毎日新聞] 社説:農業コンクール 成長産業への道筋示す (2014年07月30日)

優れた農業経営者を表彰する第63回全国農業コンクール(毎日新聞社、大分県主催)全国大会が大分市で開かれ、全国から選ばれた20組が創意あふれる取り組みを発表した。

農業の競争力強化は、待ったなしの課題である。今回紹介されたさまざまな経営手法は、それぞれの地域で経営改善に取り組む多くの農業生産者のヒントになり、農業活性化に役立つはずだ。

政府は10年間で農業・農村所得を倍増するという目標を掲げている。そのために、農産物をそのまま出荷する1次産業にとどまらず、総菜などに加工し(2次産業)、販売する(3次産業)ところまでまとめて取り組む6次産業化を促している。

今回の発表者の大半は既に6次産業化を実践し、業績を伸ばし続けていた。特に付加価値を高める2次、3次産業の分野では女性の視点を製品開発や販路拡大に生かしている事例が目を引いた。

農家の女性16人で営む有限会社「夢咲茶屋」は直売所兼レストランで手作りの郷土料理を提供するほか、独自の農産物認証制度を設けて安心感を高め、学校給食や地元飲食店へも食材の販路を広げている。

20組のうち個人・家族経営は5組にとどまり、株式会社にまで発展させた経営が5組あった。株式会社化して信用力が高まれば、金融機関から融資を受けたり、若者を雇用したりする際に有利になる。有限会社を含め、法人化によって規模を拡大し、収益力向上を図るという経営が広がりつつあるようだ。

過酷な環境を克服し、成長産業に育て上げた取り組みも参考になる。グランプリの「毎日農業大賞」に選ばれた青森県六ケ所村の有限会社「大森カウステーション」の酪農がその好例だ。下北半島の太平洋岸に位置する六ケ所村は、夏の間「やませ」に悩まされる。冷たく湿った北東の風は「冷害風」とも呼ばれる。同社周辺には風力発電用の風車が林立する。

同社の大森敏雄社長(65)は乳牛にストレスを感じさせないよう牛舎を工夫し、乳が張った牛から自動搾乳する「搾乳ロボット」も導入した。さらに堆肥(たいひ)を作って飼料用トウモロコシを栽培、飼料を自給するための株式会社を設立し地域循環型農業を確立した。42年前、20頭で始めた経営は9年前の有限会社化を機に飛躍的に拡大し、今では400頭を超える。

農業は全国的に衰退している。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などの自由貿易協定が、さらなる逆風になるとの悲観論もある。しかし今回の発表者は、創意工夫と努力で農業を成長産業に変えていく道筋を示してくれた。

2014年07月30日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:衆院選挙改革 調査会は結論を急げ (2014年07月30日)

衆院の選挙制度改革を検討する第三者機関のメンバーが決まった。検討するテーマは幅広い。だが、まず喫緊の課題である小選挙区の「1票の格差」是正と定数削減を優先させて早急に結論を出すべきである。与えられた時間は長くはないからだ。

伊吹文明衆院議長の諮問機関となる「衆議院選挙制度に関する調査会」は、(1)現行選挙制度の評価(2)議員定数削減(3)「1票の格差」是正(4)衆参の選挙制度のあり方??について9月から議論するという。委員は佐々木毅・元東大学長、平井伸治・鳥取県知事、山田孝男・毎日新聞特別編集委員ら15人が選ばれた。

気になるのは答申の期限を区切っていない点だ。伊吹議長は「1年以内」との認識だというが、スピード感が足りないのではないか。

中でも緊急を要するのは「1票の格差」問題だ。2012年末の衆院選での格差に対し、最高裁は昨秋「違憲状態」との判決を出した。衆院は小選挙区を「0増5減」する措置を決めてはいるが、その後、格差は再び拡大しており、それが小手先の措置だったのは明らかだ。

前回衆院選から1年半余が経過して、いつ衆院解散があってもおかしくない状況を迎えているが、ここで何も手をつけなければ「0増5減」のままでの選挙となる。国会=立法府が、司法から「違憲」または「違憲状態」と判断される異常事態は避けなければならない。答申後の法改正手続きや周知期間を考えれば答申は早ければ早いほどいい。

消費増税に伴い、自民、民主、公明3党が「自ら身を削る」と一昨年秋合意した定数の大幅削減もたなざらしだ。これも政治への信頼を取り戻すために急ぐべき課題である。

一方、現行の衆院の比例代表並立制にはさまざまな問題点が指摘されているのは事実だ。しかし並立制を根本的に変えるのかどうか、あるいはどんな制度が望ましいのかについては委員の中でも意見が分かれよう。参院も含め制度自体の改廃は本来、各党が案を出し合って国政選挙の争点とすべきテーマといっていい。やはり、これは中期的課題と位置づけ、当面、緊急課題を先行させるのが現実的だ。

与野党の利害が対立し、国会議員自らでは一向に結論が出せないから今回の調査会設置に至った経緯を忘れてはいけない。それを踏まえれば政党側は調査会の答申を尊重すべきだと改めて念を押しておきたい。仮に答申後も各党がもめて結論を出せないとすれば、調査会を時間稼ぎに使ったと見られても仕方あるまい。

また、調査会設置に反対した共産党と社民党の理解が得られるよう努めるのも議長らの役目だ。

2014年07月30日 02時35分
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[読売新聞] 軽減税率 家計と活字文化を支えたい (2014年07月30日)

消費増税が家計に過大な負担となり、景気を失速させてはならない。

2015年10月に消費税率を10%へ引き上げる場合には、食料品や新聞など必需品の税率を低く抑える軽減税率を導入すべきだ。

自民、公明両党の与党税制協議会は軽減税率への賛否に関し、各種業界など50近い団体からのヒアリングを進めている。

このうち日本新聞協会は、消費税率を10%に引き上げると同時に、新聞や書籍などに5%の軽減税率を適用するよう求めた。

その理由として、「新聞は単なる消費財ではなく、国民の知識の根幹をなす公的な財であり、低所得者や地方居住者も等しく購読できる環境を守る必要がある」などと説明した。

新聞は、広範なニュースや多様な意見を国民に提供する。活字文化の発展と民主主義社会の基盤を守る、重要な必需品と言える。

ヒアリングでは、消費者団体などからも、軽減税率の導入を支持する声が上がった。

全国消費者団体連絡会は、「景気は回復基調にあるというが、消費者の実感は厳しい」と指摘し、食料品に対する軽減税率など、負担軽減策の実施を要望した。

全国農業協同組合中央会も、農産品とその加工品も含め軽減税率の適用が望ましいとした。

一方、経団連や流通業界団体の多くが、企業の事務負担増などを理由に導入反対を表明した。

どの品目に軽減税率を適用するかの「線引き」が難しいうえに、複数の消費税率が混在すると、帳簿の作成や納税の手間が煩雑になると訴えた。

事務手続きが増すのは確かだが、欧州のほとんどの国では長年にわたり、日本の消費税にあたる付加価値税で、食料品や新聞に軽減税率を適用している。

海外の先行事例に学び、効率的な納税事務の在り方について、官民で知恵を絞ってもらいたい。

政府は今年4月に消費税率を5%から8%としたのにあわせて、低所得者への給付金支給を決めたが、1回限りの給付では消費下支えの効果は限られよう。

消費者の負担感を和らげ、消費低迷のリスクを抑えるには、買い物のたびに恩恵を実感できる軽減税率の方が効果的である。

財務省は「全ての飲食料品」の税率を1%軽減すると、消費税収は年6600億円減るとの試算を示している。社会保障の財源確保と家計負担のバランスを考え、対象品目を慎重に検討すべきだ。
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[読売新聞] 衆院選制度改革 有識者答申に拘束力が必要だ (2014年07月30日)

有識者に選挙制度改革の検討を委ねる以上、各党は、検討結果をそのまま受け入れることを約束すべきだろう。

伊吹衆院議長の諮問機関である衆院選挙制度調査会の委員が発表された。

大学教授や首長、報道関係者ら15人で、座長には佐々木毅・元東大学長が就任する見通しだ。9月上旬に初会合を開くという。

与野党は3月に有識者会議の設置で合意した。初会合まで半年も要するのは、あまりに遅い。今後の議論を加速する必要がある。

懸念されるのは、調査会の答申の扱いが明確でないことだ。

与野党は6月に、答申を「尊重する」ことで合意している。

ただ、自民党の石破幹事長は、答申について「自動的に法案にするとなると、議会の権能は何かとなる」と語った。答申の内容次第では、一部を修正する可能性を示唆したとも受け取れる発言だ。

与野党は、1年以上も議論しながら、改革策をまとめられなかった経緯を忘れてはなるまい。各党は、答申が拘束力を持つことを改めて確認しなければならない。

調査会は、「1票の格差」是正や定数削減、衆参両院の選挙制度のあり方を検討する。答申時期は、2016年12月までの衆院議員の任期を考慮して決めるという。

答申後の法案作成作業や審議、周知期間を考えれば、残された時間は長くない。調査会は、次期衆院選から適用する改革と、長期的に取り組む課題を仕分けして、議論することが大切である。

喫緊の課題は格差是正だ。

最高裁は、格差が最大2・43倍だった12年衆院選小選挙区を「違憲状態」と判断している。

昨年成立した改正公職選挙法による小選挙区定数の「0増5減」により、いったん格差は2倍未満に抑えられたが、最近の試算では、再び2倍を超えている。

衆院選挙区画定審議会設置法は2倍未満を基本と定めており、さらなる是正策を講じるべきだ。

選挙制度改革では、多党化を避け、安定した政治を実現するという視点が欠かせない。そのためには、当面、現行の小選挙区比例代表並立制の大枠を維持しながら、格差是正を図るのが現実的な選択肢となるだろう。

与野党協議では、各党が競うように大幅な定数削減を主張した。消費増税に伴い、議員も身を切る姿勢をアピールしようとする発想は、大衆迎合と言えよう。

定数削減は、今回の選挙制度改革とは切り離すべきである。
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[朝日新聞] 子どもの貧困―ひとり親世帯を救おう (2014年07月30日)

事態を打開するため、まずは今そこにある貧困の解消に力を注いでほしい。

子どもの貧困率が、過去最悪の16・3%(2012年)に達した。子どもの6人に1人が、平均的な所得の半分を下回る世帯に暮らしている。

この数字は、先進国の中では最悪クラスだ。しかも、この30年近く、率の悪化に歯止めがかからずにいる。

政府は「子どもの貧困」対策の大綱づくりを進めている。そこに何を盛り込むか。

有識者による検討会の提言には多岐にわたる対策が並んだ。とくに、教育支援策が充実している。

教育は子どもに自立できる力をつける。親から子への貧困の連鎖を断つために大切だ。

ただ、今すでに貧困にあえぐ子を救うには、まず保護者の貧困を改善する必要がある。深刻なのは貧困率が5割に及ぶひとり親世帯、とくに母子家庭だ。

母子世帯の母の8割は働いているが、仕事による年収は平均で180万円にすぎない。生活保護を受けているのは1割ほどだ。働いても貧しさを抜け出せないところに根深さがある。

大きな要因は、不安定な非正規雇用が半数に及ぶことだ。たとえば、収入の低いシングルマザーを正規で雇い入れた企業には助成をする、といった思い切った手を打てないか。

根本的には、雇用の構造から生じている問題だ。非正規雇用を正規にかえていく努力をしなければ、貧困に苦しむ人はなくならない。非正規の待遇改善も必要だ。

検討会では「収入の低いひとり親家庭に支給される児童扶養手当を増額してほしい」との声が、当事者や支援者から上がった。優先順位は高いだろう。

貧困の根絶には息の長い取り組みが要る。それは貧困率に長年歯止めがかからなかったことからも明らかだ。大綱を作って終わりにしてはならない。

政策の効果を検証できるように、大綱には貧困率や進学率、就職率などを改善する数値目標を定めておくべきだ。

生活の苦しい家庭の子どもに学習や食事を支援する民間組織は各地にあり、効果をあげている。ただ、どこもメンバーの献身的な努力に支えられているのが実情で、運営は厳しい。

検討会では、こうした活動の支援にも使える官民基金の創設が提案された。わが子や孫だけでなく、よその子にも出来る範囲で手をさしのべる。社会で子どもを育てるために、そういう仕組みがあっていい。
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[朝日新聞] 高速道路―「賢く使う」の実行を (2014年07月30日)

とかく「造る」ことに傾きがちな意識が、ようやく変わりつつあるのだろうか。

国土交通省が高速道路を念頭に「賢く使う」と唱え始め、審議会で検討がスタートした。

渋滞の「名所」で、安全を前提に路肩をつぶして車線を増やす。料金を工夫して車の流れを制御し、渋滞を防ぐ。このあたりに狙いがあるようだが、「使う」を極める大切さは、わが国の厳しい状況からも明白だ。

高度成長期に整えた社会基盤が一斉に更新期を迎えつつある。財政難が深刻ななか、インフラでは新設から維持更新へとかじを切り、一部については「捨てる」発想が欠かせない。

「使う」ための検討を通じて、真に必要なインフラを絞り込む。そうした問題意識を忘れないでほしい。

国交省が「使う」ことを強調するのは、首都圏や近畿圏では、高速道路の整備が終盤に近づいてきたためだ。

首都圏では、都心環状線の外側を囲む中央環状線など「3環状」の工事の大半が、あと2年ほどで終わる。首都圏を通過するだけの車には、どの環状道路を通るか選択肢は広がる。

渋滞解消へのカギは料金だろう。建設時期の違いから路線ごとにぶつ切りの体系を一本化する。渋滞しやすい区間や時間帯は料金を高く、すいている区間や時間帯は安くして車を誘導する。ETC(自動料金収受システム)の普及で環境は整ってきた。具体化を急いでほしい。

一方、地方については、国交省は「道路網はまだ貧弱」と強調する。東日本大震災後は防災対策としてルートの二重化を掲げ、地方都市を支えるために市街地へ機能を集約しつつお互いに結ぶ「コンパクト+ネットワーク」を主張する。

防災や地方対策に名を借りたバラマキが許されないのは言うまでもない。一つひとつ、費用対効果も踏まえて必要性を吟味すべきだ。

高速道路では、05年の公団の民営化時に「50年までに債務を返して無料化する」と決めながら、大規模更新費を計算していなかったお粗末さで、65年までの有料化継続が決まった。更新が必要な路線は今後増えるだけに、無料化は難しいだろう。

学校や病院を除き、道路や下水道、空港など国交省が所管するインフラだけでも、維持更新費は20年後には最大で13年度の1・5倍、5・5兆円に膨らむとの試算もある。

「造る」から「保つ」「使う」、さらに「捨てる」へ。問われるのは発想と実行だ。
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