2014年06月30日

[東京新聞] 燃料電池車 世界市場へ日本の力を (2014年06月30日)

燃料電池自動車(FCV)が世界に先駆けて国内で市販される。日本メーカーは伝統の技術力を生かし、国とも連携しつつ、エネルギーの有効利用につながる究極のエコカーを追求してほしい。

トヨタ自動車は先日、FCVを年内にも七百万円程度で発売する計画を発表した。時期や価格が明らかになり、これまで遠い未来の車とみられていたFCVが、ぐっと身近な存在になった。

環境に優しい車の開発には、世界の自動車メーカーが取り組んでいる。トヨタは「プリウス」を筆頭にハイブリッド車(HV)でエコカー市場をリードしているが、将来はFCVを軸に展開する方向に舵(かじ)を切ったといえる。ホンダも来年のFCV発売を目指し、日産自動車も三年後には欧米メーカーとの共同開発車を市販予定だ。

トヨタの発表で異例だったのは資源エネルギー庁の担当室長が同席していたことだ。安倍政権が新しい成長戦略で示したように、水素を燃料とするFCVの普及を通じ、水素エネルギーの活用を目指す姿勢が表れている。FCVの推進は、国策でもある。

資源の少ない日本では新しいエネルギーの実用化が急務だ。福島第一原発の事故後、原発を再稼働して電気をたくさん使うことは難しい。水素は現在、都市ガスなどから生成するが、下水汚泥からも取り出せるし、水の電気分解でもつくれる。太陽光発電や風力発電の電力で水を分解すれば、再生可能エネルギーによる「完全なエコカー」の実現も見えてくる。

普及にとって大切なのは、消費者に理解を深めてもらうことだ。安全性や経済性、使い勝手は利用者の重大な関心事である。

水素爆発という言葉から危険なイメージを抱く人も多く、メーカーは車に積む水素タンクの安全性能を説明し、安心してもらう努力をしてほしい。車両価格は、普及して量産できればさらに下がる。国の補助制度も購入、利用の各段階で十分に検討してもらいたい。

電気自動車(EV)は充電に何時間もかかることが普及の障害になっている。FCVの水素充てんは三分で終わる代わりに、現状ではステーションが圧倒的に足りない。時間はかかるが、少しずつ増やしていくしかない。

水素を活用する社会は、日本が理想とする姿だろう。環境を整えた上で技術立国の強みを発揮し、FCVを新たな切り札として世界市場に挑んでほしい。
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[産経新聞] 衆院の第三者機関 改憲視野に幅広い議論を (2014年06月30日)

選挙制度改革を有識者らが議論する衆院の第三者機関が設置され、伊吹文明議長による人選を経て今夏にも始動する。

安倍晋三首相が設置を提起したのは昨年の参院選前だ。すでに1年が経過している。よりよい制度に向け、第三者機関の活発な議論を期待したいが、このスピード感のなさを考えると、答申を得て本当に改革が実現するのか疑問だ。

民主主義の土俵づくりを自分たちで決めきれず、第三者に委ねたのだから、答申が出たら尊重するのは当然である。

総務省が公表した1月1日現在の人口調査から、衆参両院の「一票の格差」はさらに拡大していることが判明した。司法から「違憲状態」などの警告を突き付けられる慢性状況から抜け出すには、一部選挙区の定数是正を繰り返す弥縫(びほう)策とは異なる解決方法を見いださなければならない。

伊吹議長は1年程度の議論を想定しているようだ。最大の焦点は選挙制度の抜本改革だが、次期総選挙から新制度を導入するのであれば、立法作業や周知期間も考慮すると時間はあまりない。

現行の小選挙区比例代表並立制の長所は何で、改善すべき課題は何か。新たな制度を導入するならどのようなものが現実的か。論点を絞るべきだ。利害が対立して集約できなかった与野党協議のように、さまざまな案を並べるだけの答申では意味がない。

定数削減を選挙制度改革と切り離して検討を求めたのは妥当だ。与野党協議では両方の議論が錯綜(さくそう)して成果を出せず、「身を切る改革」は放置された。

本来なら有権者と約束した「身の切り方」についてまで第三者の教えを請うのは恥ずべきことだ。抜本改革の前に決着をつけねばならない。第1次答申で案が示されれば先行実施する必要がある。

衆参両院の選挙制度のあり方については、「現行憲法の下で」という前提に縛られず、幅広く議論してほしい。両院の役割を考えることは、国の形にかかわる憲法問題そのものといえる。間接選挙の導入など、選択肢を広げる意味でも、憲法改正を視野に入れた検討を加えてほしい。人口減少や過疎化の進行を見すえた議論も重要である。

これらは参院側も加わり議論すべき課題だ。両院間の協議の枠組みづくりは国会の仕事だ。
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[東京新聞] 「本能寺」新史料 だから歴史は面白い (2014年06月30日)

明智光秀はなぜ、織田信長を討ったのか。大きな謎とされる「本能寺の変」の動機の解明につながりそうな内容という。四百年以上の時を経て見つかった新史料が、歴史への関心をかき立てる。

光秀が本能寺の変を起こしたのは、天正十(一五八二)年六月二日。その動機については、信長の横暴な仕打ちに耐えられなくなったという怨恨(えんこん)説、信長に取って代わろうとしたという野望説、イエズス会などが背後で操ったとする黒幕説など諸説入り乱れている。

今回見つかった新史料は、そのうちの四国説を裏付ける内容だ。

信長は当初、土佐(高知)の長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)の四国統一を容認していたが、その後、阿波(徳島)の半分と土佐しか統治を認めないと政策を変更した。元親との交渉役を任されていた光秀は面目をつぶされ、信長が準備していた四国攻めを阻止するために反旗を翻した、とする説である。

新史料は、変の直前、同年五月二十一日付で元親が光秀の重臣である斎藤利三に宛てた手紙。その内容から、武力衝突回避のため、元親が信長に従う姿勢に転じたことが初めて確認できたという。

同年一月十一日に利三が元親の義父石谷(いしがい)光政に宛てた手紙も。信長の政策変更に納得しない元親が軽はずみな行動に出ないよう、光政に依頼したものだった。

これらの手紙は「石谷家文書」という全三巻、計四十七点の古文書群に含まれていた。石谷家は、室町幕府の奉公衆(将軍の側近)で、現在の岐阜市石谷に本拠地があった一族である。

本能寺の変に関する史料は、信長の伝記「信長公記(しんちょうこうき)」のほか、公家の日記である「兼見卿記(かねみきょうき)」「言経(ときつね)卿記」などが知られている。

今回の石谷家文書は、第三者による間接的な記録ではなく、四国攻め問題の当事者である元親や利三のやりとりそのものであり、史料的価値は高い。

もちろん、今回の新史料だけで本能寺の変の謎解きが決着するわけではないが、直接記録に基づいて、より説得力のある議論が展開されることになろう。

石谷家文書は、林原美術館(岡山市)が所蔵する実業家林原一郎氏(故人)のコレクションを調査していた学芸員が見つけたが、入手の経緯などは不明という。

歴史の謎に迫る史料は、ほかにもまだ、国内のあちこちに埋もれているはずである。眠れるお宝をもっと掘り起こしたい。
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[産経新聞] 北のミサイル発射 協議直前の暴挙は許せぬ (2014年06月30日)

これが、日本人拉致問題の重大な節目の日朝協議を2日後に控えた国が取る行動なのか。

北朝鮮が短距離弾道ミサイル、スカッドの一種とみられるミサイルを日本海に向けて連射した。約500キロ飛行し洋上に着弾したとされる。

国連安保理決議に違反した危険極まりない暴挙であり、到底容認できない。

岸田文雄外相は、北京での日朝局長級協議の7月1日開催に変更はないとしたうえで「この問題を取り上げる」と言明した。

協議の本題はむろん、拉致問題だとはいえ、軍事挑発は許さないという国際社会の厳しい警告を北朝鮮側に突き付けてほしい。

北は26日にも、日本海に向けて「戦術誘導弾」と称する短距離ミサイル3発を発射した。2012年暮れに発射した長距離弾道ミサイルは、射程1万キロ以上で米西海岸に到達可能とされた。

北のミサイル技術・能力は向上しているとみるべきだ。政府は米韓両国と連携して情報収集・分析を急ぎ、北のミサイルへの警戒を一層強める必要がある。

政府は今回の日朝協議で、日本人拉致被害者らの再調査を行う北の特別調査委員会の構成や権限などが妥当ならば、日本独自の対北制裁の一部を解除する方針だ。

だが、日本が単独で北に科している制裁も、北の核・ミサイル開発の阻止を目指す安保理制裁を強化する目的で実施してきた。この点を忘れてはならない。

拉致問題は、国家主権が侵害された重大事である。被害者家族も高齢化し、その解決は一刻の猶予もならない状況だ。

しかし、制裁解除を判断するに当たっては、協議直前の弾道ミサイル発射も踏まえ、慎重の上にも慎重を期してもらいたい。

7月3、4の両日には、中国の習近平国家主席が韓国を訪れ、朴槿恵大統領と会談する外交日程も予定されている。ミサイル発射は、中韓接近に対する牽制(けんせい)を込めたものという見方も強い。

北は3月下旬、日米韓首脳会談に合わせ、日本のほぼ全域を射程に収める中距離弾道ミサイル、ノドンを2発発射している。この軍事挑発にも、日米韓などを牽制する意図があったようだ。

こうした挑発は自らの孤立を深め、経済的苦境を深めるだけである。日朝協議では、それを北に理解させなければならない。
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[毎日新聞] 社説:浪江町原発賠償 東電は和解受け入れを (2014年06月30日)

福島県浪江町の町民約1万5000人が、福島第1原発事故による慰謝料増額を求めていた問題で、仲介する政府の原子力損害賠償紛争解決センターが示した和解案の受諾を東京電力が拒否した。

簡便な手続きで未曽有の被害を受けた人の早期救済を図る目的で、原発ADRと呼ばれるセンターは開設された。また東電は、ADRの和解案の尊重を表明している。そうした経緯に照らせば、拒否は理解し難い。仲介が打ち切られれば、解決は訴訟しかない。避難生活による町民の苦しみはさらに増す。東電は考えを改め、和解案を受け入れるべきだ。

浪江町は、事故直後に全町避難を強いられ、町民は古里から引き離された。家族離ればなれの人も多い。

一方、原発事故被害者への賠償指針を作る政府の原子力損害賠償紛争審査会が決めた精神的賠償額(月10万円)は、交通事故による自賠責保険の基準を参考に算出したものだ。帰還や生活再建のめどが立たない被害者の実情からかけ離れているとの共通した思いが町民にはある。

ADRは、裁判官や弁護士ら法律家が仲介委員として被害者、東電双方から意見を聞き、賠償問題の解決を図る。審査会の示した賠償指針に基づいたうえで、個別の事情をくんで仲介案をまとめる。これまで1万件超の申し立てを受理してきた。

集団申し立ての背景には、個別事情の主張・立証に膨大な時間がかかることが挙げられる。そこで町民が共通して受けた苦しみを約1万人の町民アンケートなどから分析し、報告書としてADRに提出した。

一方、ADRの仲介委員は現地調査したうえで、交通事故はけがが治ることでストレスが軽減されるのに対し、原発事故は長期避難でストレスが増す点も考慮し、月15万円に増額する和解案を示した。ADRは個別の和解内容を公表していないが、代理人経験のある弁護士によると、5万円程度の増額をする例は決して珍しくないという。

東電は「個別事情を考慮することなく、浪江町民であることをもって一律増額を認めた」と、和解案を批判した。だが、和解案は町民の共通する被害を評価したものだ。東電の指摘では、集団申し立て自体が認められないようにも受け取れる。

浪江町の和解案提示を受け、周辺自治体からも同様の一律賠償を求める声が起きている。指針を出した後、審査会は休眠状態だ。避難が長期化する中、指針の額の引き上げを求める意見も出ているが、理解できる。なぜ人生設計の見通しすら立てられない被災者が多いのか。国は生活実態を調べてほしい。被害の実態に合った早期の賠償が欠かせない。

2014年06月30日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:女性の活躍促進 目標は飾りじゃない (2014年06月30日)

「一丁目一番地」と呼ぶには、あまりにも迫力不足ではないか。

安倍政権が閣議決定した今年の成長戦略における女性の活躍促進策である。女性の活用を前面に打ち出してはいるが、スケールもスピード感も伴っていない。とても「20(にいまる)30(さんまる)」と呼ばれる国家的目標を本気で達成しようとしているふうには見えない。

社会のあらゆる分野で、指導的地位に女性が占める割合を2020年までに30%以上にする、というのが、この「20・30」だ。目標が掲げられて11年がたつ。期限まであと5年あまりしかない。

ところが現実は、目標と大きくかけ離れたままだ。企業における女性管理職の割合は7.5%(昨年6月時点)、中央省庁にいたっては3%(10月時点)に過ぎない。

これに対し政府が何をしようとしているかだが、「学童保育の受け皿を確保する」「有価証券報告書に女性役員の比率を記載するよう義務づける」といったものである。どれも実現すれば前進に違いないが、「20・30」達成に本気なら、この程度の対策にとどまらないはずだ。「女性の活躍を加速化するための新法」を作るそうだが、結論は「今年度中」という。集団的自衛権行使に向けた議論の速さとは好対照である。

安倍政権の女性政策で欠けているのは、男性の家事・育児を当たり前の現象にしようという視点だ。女性が育児も仕事もできるようにしてあげる、ではなく、男女とも仕事と子育てをする社会、という発想でなければ、女性の活躍は持続できない。

例えば、育児休業給付だ。今年4月、育児休業開始前賃金の50%だった給付金が180日間に限り67%へ引き上げられたが、不十分だ。共働き夫婦の賃金は、通常夫の方が高いため、経済的理由から妻だけが育児休業を取ることになりかねない。

長時間労働も速やかに解決すべきだ。霞が関の女性官僚が、政府に長時間労働の解消を提言した。深夜どころか朝まで及ぶ勤務が常態化した職場は、母である女性官僚だけでなく男性官僚や、民間企業で働く彼らの妻にも異常な負担を強いる。提言を一部の女性の甘えと片づけるようなことは絶対あってはならない。

採用段階では、官も民も女性の起用がかなり進んだ。その彼女たちが幹部になる道をあきらめてしまうというのは国家の大損失である。

成長戦略の改定版を毎年作ってみたところで、意識変革は起きない。政府や与党が大胆な行動で覚悟を示す時だ。選挙の候補者の半数を女性にする。男性国家公務員の育児休業を、例えば「最低8週間」と義務づける。できることは多い。

2014年06月30日 02時31分
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[朝日新聞] 外国人労働者―継ぎはぎ政策は限界だ (2014年06月30日)

安倍政権が「成長戦略」のひとつとして、事実上の外国人労働力の活用強化を決めた。

「日本で働きながら技能を身に着け、本国に戻って活躍してもらう」とうたう技能実習制度の拡充が柱だ。最長3年の期間を5年に延ばし、対象も今の68職種に介護、林業などを加える方向だ。「諸外国の要望も踏まえて」と言うが、人手不足対策であるのは明白だ。

特に人手が足りない建設業では先に、「特定活動」ビザを合わせて5?6年に延ばす応急措置を決めた。これを造船業にも適用する。両業界には塗装など共通する作業が多く、人集めで不利になると見た造船業界が要望したという。

あまりに場当たり的な、継ぎはぎ対応にあきれるばかりだ。

技能実習制度では低賃金や残業代の不払い、違法な労働、暴行など問題が山積みだ。米国務省の報告書でも「強制労働の事例がある」と指摘された。政府は監視を強化し、期間の延長は優良な受け入れ先に限ると説明するが、問題の解消が先だ。

政権は一方で「移民は受け入れない」と繰り返す。

移民に関する確立した定義はないものの、かつて国連が「通常の居住地以外の国に移り、少なくとも12カ月間住む人」と示したことがあり、今もしばしば引用される。

これに照らせば、技能実習生も「移民」だ。実習生なしには成り立たない業界や地域も少なくない。現在、約15万人。目の前の現実の課題として、外国人と暮らし、ともに働く社会を目指すべきだ。

新しい問題ではない。地域では、ブラジルを中心とする日系人に関して、多くの課題を抱えつつも「共生」に向けた取り組みが続いている。

バブル経済期の人手不足を背景に急増した日系人は、08年のリーマン・ショックで急減したが、ブラジル国籍者だけでなお20万人近くが暮らす。定住者ビザを出してきたのに、失職を理由にお金を渡して帰国を促したことが厳しく批判された。

政府が3月に改定した定住推進策は「地域社会の一員として受け入れる」ことを強調する。日本語教育の充実をはじめ、自治体や自治会、NPOと連携した多様な取り組みの必要性を指摘している。

推進策も言う通り、これらは日系人だけでなく、日本で暮らす全ての外国人にあてはまる。

移民か、そうでないか。労働者か、技能実習か。身勝手な言葉の使い分けはやめて、現実を直視すべきだ。
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[朝日新聞] 国際カルテル―摘発強化は世界の流れ (2014年06月30日)

日本企業が価格カルテルで海外の当局や裁判所から多額の制裁金や罰金を命じられる事例があとを絶たない。

目立つのは、自動車部品や自動車の海上輸送サービスでの摘発だ。ビジネスが国際化しても順法意識は「ガラパゴス」のまま、というお寒い構造が日本最強の産業で露呈している。

米国では企業だけでなく個人の刑事責任も厳しく問われ、米国の刑務所に収監される日本人も相次ぐ。

「これも仕事の内」という忠誠心や出世への野心からとはいえ、ライバル企業と価格の相談をしたら、外国の刑務所に長ければ2年も入れられる――日本のサラリーマンには由々しき時代ではある。

摘発が急増しているのは、海外の独占禁止法当局が自国や域内の企業にとって競争上、不利にならないよう、外国企業の不正追及を強化しているためだ。

通商戦略でも、世界貿易機関(WTO)協定や自由貿易協定(FTA)で競争政策を重視している。これが新興国での独禁法の整備につながり、日本などの企業が欧米以外でも摘発される例が増えている。

真っ先に不正を通報した企業を免責する制度や、他の不正を明かせば制裁を減免する仕組みが威力を発揮している。

罰金や課徴金・制裁金を払っても一件落着ではない。責任ある役員に穴埋めさせる株主代表訴訟が起こされる可能性が高いからだ。最近も、住友電工の元経営陣が5億2千万円で和解した。海外では顧客に当たる組み立てメーカーや消費者が民事訴訟を起こす恐れもある。

カルテルを「必要悪」とする言い分は到底、通用しない。根絶には、企業トップが断固たる態度を現場に示すべきだ。強い立場の買い手が無理な要求をして、売り手を不正に追い込んではいけない。

そのためにも、日本は厳罰化の世界的な流れにあわせ、課徴金の制裁的な上積みや罰金の高額化、関与者への刑事罰の強化を進める必要がある。

今後、米国が「有罪」と認定した役職者の引き渡しを日本に求めてくる可能性も取り沙汰される。ただ、米国の言うがままに対応するのでは、カルテルに対する国際的な事件処理をむしろ複雑にしてしまう。

各国の独禁当局は01年から国際的な協議の場を設けている。そこで厳罰化の水準をそろえたり、課徴金や制裁金を貿易相手国にきちんと分配する仕組みを調整したりしながら、国際カルテルの追放を進めてほしい。
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[読売新聞] 国際教員調査 時短は事務作業の見直しから (2014年06月30日)

日本の教員は勤務時間が長い。指導力への自信がない。この現状をどう改善していくべきか。

経済協力開発機構(OECD)の国際教員指導環境調査によると、日本の中学教員は1週間に平均53・9時間も勤務している。

対象となった33の国・地域で最も長く、全体の平均の1・4倍の長時間勤務を強いられている。

ところが授業時間は逆に短い。全体の平均が19・3時間だったのに対し、日本は17・7時間にとどまっている。

肝心の学習指導がおろそかになっていないか心配だ。仕事の効率化を進めるとともに、指導の充実を図る必要がある。

長時間勤務の大きな要因が、事務作業や部活動などの指導である。授業とその準備以外の仕事が全体の半分を超え、他国に比べて際立って長い。

日本の教員は日常的に、各種団体から届く調査への回答作成や、滞納給食費の徴収、保護者への対応など、さまざまな仕事に追われている。たまった仕事を片づけるため、早朝や休日に出勤するケースも多いという。

まずは、事務作業の見直しが急務だ。県と市町村の双方で実施していた調査を一本化したり、文書の書式を統一したりするだけで、作業量をかなり減らした例もあるという。参考にしてほしい。

メールによる情報交換やパソコンを使った情報の共有で、作業時間の短縮も可能だろう。事務職員をこれまで以上に活用することも検討してはどうか。

部活動についても、外部指導者の活用などで教員の負担軽減を図るべきだ。

生徒の指導に自信を持っている教員が、少数派だったことも気がかりである。

「生徒に勉強ができると自信を持たせる」ことができたとの回答は全体平均で8割を超えたのに、日本は2割弱にとどまった。

1970?80年代に大量採用されたベテラン教員が退職の時期を迎えている。主力となる若手教員の指導力をいかに高めていくかが大きな課題と言える。

多忙で研修に参加できないと訴える教員も多かった。教育委員会や学校は、勤務ダイヤなどの面で配慮してもらいたい。

日本の女性校長の割合は6%で調査対象国の中で最低だった。政府は2020年までに女性管理職の割合を30%とする目標を掲げている。教育現場での女性活用も進めねばならない。
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[読売新聞] 社会福祉法人 地域貢献で存在意義を示せ (2014年06月30日)

税制上の優遇措置などを受けながら、民間企業と同じ事業に安住している。社会福祉法人が、十分に役割を果たしていないとの批判が多い。

介護施設や保育所を運営する社会福祉法人の改革に向けて、厚生労働省の有識者検討会が報告書案をまとめた。事業を充実させる契機としたい。

社会福祉法人は、社会福祉法に基づく非営利の民間組織で、約2万の法人が存在する。行政による規制や指導監督が厳しい反面、法人税などの免除や施設整備の補助金を受けている。

1950年代から福祉サービスの中核となってきたが、近年は、同分野への企業やNPOなどの参入が進む。社会福祉法人を取り巻く環境は大きく変化している。

高齢化の進展や雇用の不安定化により、単身高齢者の見守りや引きこもりの若者の支援など、公的制度では対応しきれない課題も顕在化している。

だが、こうした新たな地域ニーズに対応する社会福祉法人は、一部に限られているのが実情だ。

報告書案が、地域貢献活動の義務化を求めたのは、もっともである。利益を追求する企業にはできない分野に取り組むことが、社会福祉法人の本分だろう。

社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームで、平均3億円もの利益を蓄えていることも問題視されている。

こうした資金を活用して福祉サービスを地域に提供しなければ、存在意義が問われるという報告書案の指摘は、うなずける。

地域貢献活動の効率的な実施には、法人の規模拡大や複数法人による共同事業の促進が必要だ。

大阪府では、複数の社会福祉法人が協力して資金を出し合い、生活困窮者に対する相談支援事業を展開している。生活資金や食料品などの援助も行う。他の地域の参考となろう。

2015年度から、介護保険サービスの一部が市町村の事業に移管される。生活困窮者自立支援法も施行され、市町村が相談や就労支援などを行う。

社会福祉法人は、これらの事業の主要な委託先になると期待されている。果たすべき役割は、ますます大きくなる。

一部の法人では、理事長による運営の「私物化」が問題となっている。信頼性の確保には、運営の透明性の向上が不可欠だ。財務諸表を公開している法人は半数にとどまる。報告書案が指摘したように、公開の義務化が急がれる。
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2014年06月29日

[産経新聞] パーソナルデータ 匿名性は利用の大前提だ (2014年06月29日)

プライバシーを守りつつ、個人の行動や状態に関する情報(パーソナルデータ)をビッグデータとしていかに利用、活用していくか。政府のIT総合戦略本部が新制度作りの大綱をまとめた。

早ければ来年の通常国会にも提出する個人情報保護法改正案などとして盛り込みたいという。

個人の商品購入履歴など膨大な情報の集合体を指すビッグデータの利活用は、成長戦略の柱のひとつでもある。だが、対応を誤れば深刻なプライバシーの侵害を多発させかねない。将来に禍根を残さぬよう、しっかりとしたルールづくりが求められる。

インターネットが社会の隅々まで浸透するにつれ、パーソナルデータは量的にはもちろん、内容も多様化の度を強めている。

ネットの閲覧記録やスマートフォンの位置情報は、いまや企業の販売促進には欠かせない。データを利用しやすくするルールづくりを求める声が経済界を中心に強まっていることは理解できる。

大綱はパーソナルデータについて、氏名や住所の削除など個人を特定できないように加工すれば、本人の同意がなくとも第三者へ提供したり、取得時の目的以外に利用したりできるとした。

パーソナルデータの利活用には、データを使われる側の理解が欠かせない。大綱が、データの匿名性の確保を大前提に法整備を急ぐとしたのは当然だ。

個人情報保護法の対象となるデータと、それ以外との線引きが曖昧になっていることも、トラブルの要因となってきた。

昨年夏、JR東日本がIC乗車券「スイカ」の利用履歴を他の企業に販売し、利用者から「事前承諾がなかった」と非難を浴びたのは、その典型例だ。

JR側は、提供データは個人を特定できない形にしており、個人情報保護法上の事前承認を取る必要はなかったと反論したが、現行法制のままでは、今後も同種のトラブルが相次ぐ可能性がある。

大綱は、情報の匿名化などについても、ルールづくりは民間の自主規制団体に委ね、その監視役として第三者機関の設立も盛り込んだ。透明性確保の上で当然だ。

ただ、いずれについても、具体的な制度設計はこれからだ。地球規模で情報が流通する時代であり、法整備では欧米との調整も必要だ。詰めるべき課題は多い。
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[産経新聞] ODA大綱見直し 実効ある支援の出発点に (2014年06月29日)

長年の懸案だった政府開発援助(ODA)のあり方が、大きく変わる見通しとなった。

外務省の有識者懇談会がODA大綱の見直しに関する報告書をまとめた。現大綱の「軍事的用途の回避」原則を緩和し、「民生目的、災害援助など非軍事目的」であれば他国の軍隊も支援できるように改正を勧めている。

日本を取り巻く国際環境が厳しさを増す中で、ODAにも戦略性が求められるようになっている。政府は時代の要請に応じた報告書の方向性を、年内に策定する新大綱に生かしてほしい。

「軍事的用途の回避」原則は非軍事面の支援まで妨げてきた。

例えば、各国の軍隊が担う災害救援任務への援助である。

大型台風など大規模自然災害の多発に伴い、どの軍隊もこの面の能力向上が急務となっている。だが、日本は従来、ODAで災害救援のノウハウや器材を提供しようにも、「他国の軍への支援」と見なされ、実現できなかった。

また、その国の経済発展や災害救援態勢の整備のため、港湾や飛行場の建設を手助けしようとしても、軍も滑走路を使うといった軍民共用の性格が少しでもあれば、対象から外されてきた。

「軍が関係しているがゆえに一律に排除すべきではなく、実質的意義に着目」するようにという報告書の指摘はもっともだ。

中国による海洋進出という現状変更圧力にさらされるベトナムやフィリピンに対しては、海上警察能力を向上させようと、ODAで巡視船の供与を約束している。

そのベトナムが昨年、巡視船を使用する海上警察を国防省から独立させた。日本のODA供与条件を満たさなかったからだ。

受け入れ国に負担を強いるODAでは意義も薄れよう。「軍事的用途の回避」に縛られすぎては変化に即応した援助は適(かな)わない。

ODA外交の今日的目標はこれらの国々を支え、法の支配などの価値観を普及させることに置かれるべきではないか。そうすることで、報告書が謳(うた)う「国際社会の平和、安定、繁栄の確保に積極的に貢献する」道が開けてくる。

一方で、日本が国際的に評価されてきた貧困削減や保健対策、気候変動など地球的規模の課題などへの取り組みも決しておろそかにしてはいけない。「戦略」と「民生」は両輪であるべきだ。
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[東京新聞] 週のはじめに考える ブラジルからの警告 (2014年06月29日)

ブラジルはサッカー世界大会とともに、もう一つ、大切なことを教えてくれたのかもしれない。税金の使途、貧富の格差という日本にも通じる問題です。

BRICs、頭文字で、ブラジル、ロシア、インド、中国を示す言葉が生まれたのは二〇〇一年でしたか。後に南アフリカ共和国が加わりますが、米国の投資銀行が、人口が多く、経済成長率の高い国を選び名付けたのでした。

成長はもちろんグローバリゼーション効果です。

安価な労働力が外資を招き、生産増加は輸出を生む。伴って天然ガスや鉄鉱石など地下資源は高値となり、外資はさらに流れ込む。そんな地球規模の経済循環でしょうか。


◆スタジアムより学校を
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それなのに目下のブラジルの混乱です。

不満を訴えるデモは、一年前から。地下鉄・バスの値上げ発表とインフレが発端でした。

プラカードは「必要なのはスタジアムでなく学校だ」とワールドカップ大会より教育の充実を訴えます。また税金は医療や福祉に振り向けよと唱えます。一時的な大会よりも永続的な社会共通資本を求めるのです。

それにしてもグローバリゼーションの恩恵は民衆にどれほど届くのか。ブラジルでは中流層はぐんと増えました。それはよいのですが、トリクルダウン、富裕層の繁栄からしたたり落ちるしずくに貧困層があずかるという話は、金持ちに都合よすぎはしないか。問いはつきません。

経済学というとむずかしそうですが、高校や大学で副読本としても読まれた「世界経済入門」(岩波新書)という本があります。一九八八年の初版以来、三版を重ねたロングセラー。


◆広がる格差と社会分裂
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著者の西川潤さんは経済学史、開発経済学を教え、現在、早稲田大学名誉教授。目下のグローバリゼーションの荒波を見かねたように、最近「新・世界経済入門」を出しました。

こう見ています。

(1)先進国でだぶついた膨大なマネーが国境を越え動いている。

(2)そこから米国発のサブプライムローン危機、リーマン・ショックなど「市場の失敗」を示す経済危機が起きた。

(3)金融機関や市場を救済する措置は動員されているが、いまや先進国の低い経済成長は国家債務を増やすことでかろうじて維持されている。

(4)そして世界的に環境の悪化が続き、貧富格差など社会分裂が拡大している。

目を引くのはやはり貧富格差、社会分裂という言葉です。

国の膨大な借金と合わせ、残念ながら日本も該当国でしょう。経済を市場と政治の共同作業とするのなら。その二つともがなかなかうまくゆきません。

もう一人、経済学者を紹介しましょう。

一九二八年生まれ、立派な白ひげを蓄えた文化勲章受章者の宇沢弘文さん。過去の著作を集めた本「経済学は人びとを幸福にできるか」(東洋経済新報社)の中でこんな体験を述べています。

一つは、八三年、文化功労者に選ばれ昭和天皇に業績を説明した時のこと。すっかり上がってしまい支離滅裂になりかけたら、陛下はこうおっしゃったそうです。

「君! 君は経済、経済というけど、人間の心が大事だと言いたいのだね」

宇沢さんは経済の核心が言い当てられたと述懐しています。

もう一つは九〇年の夏、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世から世界中の司教に通達する回勅(かいちょく)の作成を手伝ってほしいと依頼された時のことです。

その百年前に発せられた回勅は「資本主義の弊害と社会主義の幻想」と述べて、資本主義の搾取の悪と社会主義の危うさを警告していました。

それを逆手にとるように、宇沢さんは「社会主義の弊害と資本主義の幻想」と助言したそうです。社会主義は独裁を生んだが、資本主義は人間や環境を守りきれているのか。お会いした法王は市場経済制度のあまりに速いペースを心配していたそうです。


◆人を幸せにする経済を
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回勅にならうわけではありませんが、経済また経済学は、それが本当に人を幸せにしているのかどうか、時々は見直す必要もありそうです。グローバリゼーションは世界の富を増やしたのに貧富の格差はなぜ生まれ、広がるのか。富の再分配の失敗、先見性のなさは政治の失敗にほかなりません。

米国では1%対99%という怒りの声が噴出しました。一握りの人間でなく、最大多数の人々の幸福を実現してこその経済です。

ブラジルから世界へ、また日本への問いかけです。
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[毎日新聞] 社説:再生エネ買い取り 普及と負担の調整図れ (2014年06月29日)

経済産業省が、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が固定価格で買い取る制度(FIT)の見直しに動き出した。

電気料金が上がって経済に悪影響を与える心配が強まってきたからだ。再生エネの拡大と利用者負担の抑制をどう調和させるのか。先を行く欧州各国でも試行錯誤が続く難題だが、脱原発を実現するためにも知恵を絞る必要がある。

制度見直しの議論は経産省の有識者会議で始まった。年末までに具体策をまとめる予定だ。

FITは、原発事故の反省から脱原発路線を打ち出した民主党政権が2012年7月に導入した。電力会社は太陽光、風力などの発電事業者から、政府が決めた価格で電気を買い取らなければならない。その費用は電気料金に上乗せされる。

平均的な家庭の上乗せ負担額は今年度、月225円と12年度の2・6倍に上がる。国民の負担は再生エネの比率が高まるほど重くなる。再生エネ先進国では既に深刻な問題になっている。平均家庭の負担が月2400円に達したドイツでは買い取り対象設備の縮小などを盛り込んだ関連法案の審議が進むが、再生エネ普及の足を引っ張る懸念は拭えない。

日本の制度では買い取り価格は毎年見直される。発電コストが技術の進展に伴って下がっていくためだ。しかし、政府の認定を受けた発電事業者は認定時点の価格を10?20年間維持できる。新規参入を促すための仕組みだが、認定だけ受けておき、コストが下がってから事業を始めて「ぬれ手であわ」の差益を稼ごうという悪質な商法も誘発している。

FIT導入から今年3月末までに認定を受けた事業者の発電能力(容量)は計6800万キロワットを超えた。制度導入前の稼働実績は約2000万キロワットだから大幅な増加だ。しかし、実際に発電を始めたのは認定容量の13%しかない。容量ベースで全体の9割強を占める太陽光(10キロワット以上)が、1割しか運転開始していないことが響いている。

経産省は太陽光の認定を受けながら事業を始めない悪質業者の認定取り消しを始めた。だが、「ぬれ手であわ」を許さないためには、より厳格な制度への手直しが必要だ。

認定が太陽光に偏っているのも問題だろう。有望と見られた風力や世界3位の資源量があるという地熱の申請はわずかしかない。天候で発電量が乱高下する風力は、広域利用することでリスクを分散する必要がある。地熱は環境保護や地域の温泉事業者らとの調整が欠かせない。

国民の理解を得ながら再生エネを拡大させるには「価格」で解決できない課題にも向き合う必要がある。

2014年06月29日 02時32分
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[毎日新聞] 社説:視点・集団的自衛権 司法の審査=小泉敬太 (2014年06月29日)

◇憲法判断をあなどるな

集団的自衛権に基づき自衛隊が派遣されるような事態を迎え訴訟が起こされれば、司法判断が出ることになる。安倍晋三首相は「政府が憲法を適正に解釈するのは当然」と強調するが、行使を可能にする解釈変更が憲法上「適正」かどうかを最終判断する権限(違憲審査権)は最高裁にある。その時、違憲判決が出ないとは言い切れない。

政府・与党には、三権の一角を占める司法の場で、いずれ事後チェックを受けることを見据えた慎重で冷静な論議が欠けているのではないか。

他国を守るための武力行使を認める集団的自衛権は、国際紛争解決のための武力行使の放棄や戦力の不保持、交戦権否定をうたった憲法9条に反するとの学説は憲法学者の間に根強い。

木村草太・首都大学東京准教授(憲法学)によると、国民の生命・自由を国が最大限尊重すると定めた憲法13条などを根拠に政府が従来認めてきた個別的自衛権と異なり、集団的自衛権は憲法に行使を認める根拠規定も手続きの規定もなく、想定されていないという。「政府解釈を変えても違憲は違憲。認めるには憲法改正が不可欠」と話す。

ドイツの憲法裁判所などと違い、日本では具体的な紛争が起きて初めて訴訟として裁判所に認められる。集団的自衛権の場合、自衛隊派遣命令などが出た時に差し止め請求が起こされたり、武力行使に伴い生命・財産などの被害を受けた当事者や家族から国家賠償訴訟が提起されたりすることが想定される。

今の裁判所に違憲判決を出せるはずがないと、政府・与党は高をくくってはいないか。

「憲法9条はわが国固有の自衛権を否定していない」と初判断した砂川事件最高裁判決(1959年)は、日米安保条約について「高度の政治性を有しており、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り、司法審査権の範囲外」との見解を示した。いわゆる「統治行為論」だ。

集団的自衛権をめぐる訴訟になれば初の憲法判断となる。最終的には15人の裁判官による最高裁大法廷で審理され、結論が示されるはずだ。もし「統治行為論」が再び持ち出され、審査の対象とされないようでは司法の消極姿勢が問われるだろう。

そして、違憲判決が出た場合の影響は計り知れない。自衛隊活動の正当性に疑念が深まり、賠償責任を負うなど政府が抱え込む訴訟リスクはあまりに大きいと、木村氏は警告する。

司法の憲法判断をあなどってはならない。政府・与党には、憲法学者らの意見に耳を傾ける謙虚さが足りない。(論説委員)

2014年06月29日 02時30分
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[読売新聞] 株主総会 外部の声を経営改革に生かせ (2014年06月29日)

外部の声を積極的に採り入れ、経営に生かしていくことが、企業価値の向上に欠かせない。

今年の株主総会シーズンが山場を越えた。

暴力団員らへの融資が問題となったみずほフィナンシャルグループや、業績回復のメドが立たないソニーなどの総会では、株主からの批判が相次ぎ、経営陣が謝罪や釈明に追われた。

株主総会は経営陣が直接、株主の声に耳を傾ける大切な機会である。年1回の総会にとどまらず、日常的に外部の声を採り入れようとする企業が増えてきた。

今年の株主総会では、新たに社外取締役を選任する企業が約250社にのぼり、社外取締役を置く東証1部の上場企業は全体の7割を超えた。

今月、成立した改正会社法で、社外取締役のいない企業に来春から理由の説明が義務付けられることも、導入を後押しした。

社外の目で経営を見直す企業の増加が、前例踏襲型の経営や低収益率など、日本企業の課題解決につながることに期待したい。

ただ、取引先などから「お飾り」のような社外取締役を迎えるだけでは、十分なチェック機能は果たせまい。独立性の高い立場から厳しい注文をつけてもらわないと、意味はない。

社内では見落とされている問題点を指摘できる視野の広さや見識を備えた人材を、しっかり選ぶことが、何より大切である。

会社の事情に疎い社外取締役への十分な情報提供も、実効性を上げるために欠かせない。

今年の株主総会は、敵対的な合併・買収(M&A)を阻止する買収防衛策への株主の賛否も、注目を集めた。

ゲーム大手のカプコンの総会では、会社側が買収防衛策の継続を提案したが否決された。

カプコンは外国の機関投資家の議決権が約45%を占めている。防衛策は経営陣の自己保身であり、株主の利益にはつながらないと考えた株主が多かったのだろう。

多様化する株主の理解を得るには、経営トップが一段と丁寧に説明する必要がある。

もちろん、「物言う株主」の主張が常に正しいとは限らない。

電力各社の株主総会では、脱原発を求める株主提案が出された。経営陣は、業績回復には原発の再稼働が欠かせないと説明し、提案は全て否決された。

株主と経営陣が建設的で緊張感のある対話を重ね、経営改革を進めることが求められる。
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[読売新聞] イラク流動化 無秩序の拡大を食い止めたい (2014年06月29日)

イラクの混乱が、国境を越えて急速に広がっている。中東全体の不安定化を避けるため、イラクと米国など関係国は、協力して事態の収拾を図らなければならない。

イスラム法に基づく新国家建設を標榜するスンニ派過激派組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」がイラク中・西部で都市や油田を制圧し、国境地帯からイラク軍部隊を排除した。

シリア国境付近では、シリアのアサド政権と対立するアル・カーイダ系テロ組織「ヌスラ戦線」が、ISISと共闘を始めた。二つの過激派が、国境が存在しないかのように両国を自由に行き来し、無秩序状態を作り出している。

危機感を抱いたシリア軍が、イラク国境地帯を空爆し、イラクがこれを歓迎した。シーア派とスンニ派の対立に根ざす両国の内戦の一体化と、複雑な対立の構図を印象づけるものだ。

こうした混乱に乗じるように、イラク北部の少数派クルド人が独自に油田管理や原油輸出を始めた。イラクの分裂につながりかねない、憂慮すべき動きだ。

ISISに、スンニ派の大国サウジアラビアなど湾岸諸国内から巨額の活動資金が流れているとされる点も問題だ。サウジがこの資金の流れを断つことが、混乱収拾への重要な一歩となろう。

ケリー米国務長官が中東・欧州訪問で、「イラクが国家存亡の危機に直面し、中東全体が脅威にさらされている」と警告したのは、当然である。地上部隊を投入する選択肢を排除した米国は、外交努力を加速させるべきだ。

米国は、穏健なシリア反体制派に対する資金援助を決めた。穏健派によるヌスラ戦線への牽制を通じて、ISISの力を殺ぐ狙いがあるのだろう。

同時に、米国の軍事顧問団の約180人がイラクでの任務を開始した。イラク軍の立て直しを図りつつ、ISISの組織や動向に関する情報を集め、将来の選択肢である「無人機による空爆」の目標も特定するという。

イラクの国家基盤が崩れる事態を防ぐため、米国は、イラクに影響力を持つ国や勢力の結集を目指しているが、実現可能なシナリオを描き切れていない。

ケリー長官はマリキ首相に、スンニ派やクルド人を含む挙国一致の内閣作りを改めて求めた。首相は国民融和を急ぐ必要がある。

日本政府はイラク避難民支援に約6億円の緊急援助を決めた。イラク安定に日本も協力したい。
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[朝日新聞] ODA見直し―危うい軍への支援解禁 (2014年06月29日)

政府の途上国援助の基本方針であるODA大綱。この見直しに向け、有識者懇談会が岸田外相に報告書を出した。

これまで大綱が禁じてきた軍への支援でも、災害救助など非軍事目的ならば認めてよいとの提言が含まれている。

今年で60年を迎える日本のODAは、報告書が指摘するように「平和国家として世界の平和と繁栄に貢献してきたわが国の最大の外交ツール」であり、各国から高く評価されてきた。

それが軍への支援に踏み出すとなれば、従来の方針からの大きな転換である。

武器輸出三原則の撤廃、そして集団的自衛権の行使容認に向けた動き。安倍政権は「積極的平和主義」の名のもと、戦後日本が堅持してきた「平和国家」としての外交政策を次々と変えようとしている。

今回のODA改革も、その文脈にある。性急に結論を出すのは危うい。

台風、地震、津波。ODAの対象となる東南アジアの国々は自然災害と隣り合わせだ。昨年11月、フィリピンで約1千万人が被災したというすさまじい台風被害は記憶に新しい。

これらの国々で災害救助に大きな役割を果たす軍に対し、日本がその目的を限って支援することの意味がないとは言えないだろう。

とはいえ、日本がいかに非軍事という線引きをしても、その線がいつまでも維持される保証はない。それに、他国からみれば、軍への支援は「軍事支援」にほかならない。

政府はフィリピンなどへの巡視船供与に続き、軍民共用港の整備も検討しているという。南シナ海への攻勢を強める中国への牽制(けんせい)が念頭にあるならば、「力には力」の悪循環を招きはしないか。

厳しい財政事情を反映して、政府全体のODA予算はピークだった97年からほぼ半減した。効率を高め、国民の理解を得られるような改革は大いに進めるべきだ。

だが、それが途上国の発展やそこに住む人たちの福祉の向上というODAの本質を損なうことになってはならない。

軍への支援解禁を含む今回の大綱見直しの動きには、現地でさまざまな支援活動に取り組む多くの非政府組織(NGO)が懸念を表明している。

政府は、年内の新大綱決定前にこうした団体とも意見交換する予定という。これを形式的に終わらせてはならない。

積極的平和主義の一方的な押しつけは、禍根を残すだけだ。
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[朝日新聞] エジプト―記者たちを解放せよ (2014年06月29日)

報道の自由は、民主主義社会を支える主柱のひとつである。その原則を顧みない国に、真の安定と発展はない。

中東の大国エジプトに暗雲が広がっている。言論弾圧にしか見えない報道関係者の拘束や投獄が続いているからだ。

衛星テレビ局アルジャジーラの記者3人に今月、懲役7?10年の判決が言い渡された。

昨年夏のクーデターのあと、カイロで激化した街頭デモなどを取材し、「内戦状態」と報じたことが問題視された。

勾留はすでに半年間に及ぶ。公判では、虚偽の報道やテロ組織支援などの罪に問われたが、確かな証拠は何も示されないまま有罪が宣告された。

オーストラリア人のピーター・グレスト記者についての「証拠」は、記者が以前にアフリカで撮った番組映像など、まるで無関係なものだった。

エジプト人のバヘル・ムハンマド記者には、「武器所持」の罪も加えられた。治安部隊が発砲したデモ現場から持ち帰った銃弾の空薬莢(やっきょう)ひとつが理由とされた。

およそまともな司法判断とは言えない。それを許しているのは、クーデターで実権をにぎった元軍総司令官、シーシ大統領が率いる強権政治である。

前政権を支えた「ムスリム同胞団」を抑えこもうとするあまり、その支援者のデモや当局の取り締まりを取材するメディアも許さない姿勢に傾いている。

国際組織「ジャーナリスト保護委員会」によると、クーデター以降、拘束された記者は65人以上。昨年1年間で職務中に殺害された記者は6人を数え、シリア、イラクに次いで多い。

どの国であれ、どんな政治状況や対立構図であれ、そこで働くジャーナリストの使命は当事者の現場を取材し、事実を世界に伝えることにある。

当局が治安維持の名目を掲げたとしても、記者の当然の仕事を犯罪扱いすることは国際社会から容認されるはずがない。

国連事務総長は判決について「深く懸念する」との声明を出し、多くの国々や人権団体が批判の声をあげている。

エジプト当局は、虚偽の報道によって誤った国のイメージが世界に広められたと記者たちを糾弾したが、全く的外れだ。

国の評判をおとしめているのは、報道を萎縮させようとする今の当局自身の偏狭さである。エジプトは本来、もっと寛容で懐の深い国であるはずだ。

シーシ政権と司法は一刻も早く記者たちを解放し、報道の自由を認めなくてはならない。
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2014年06月28日

[東京新聞] 自衛権の行使 海外で認めてはならぬ (2014年06月28日)

これでは歯止めにならない。「集団的自衛権の行使」を認める政府の新しい憲法解釈案である。公明党も軟化し、安倍内閣は来週、閣議決定する構えだが、海外での武力行使を認めてはならない。

集団的自衛権の行使容認に反対する国民や地方議会の声は結局、踏みにじられるのか。憲法改正を堂々と提起し、国民投票で判断を仰ぐのならまだしも、これまで政府自身が違憲としてきたことを、一内閣の判断で合憲とねじ曲げる異常さに気付かないのは、政権与党の面々だけである。

「解釈改憲」による行使容認に慎重だった公明党は、山口那津男代表が容認に転じ、週末には地方組織幹部を集めた会合を開く。支持者に近い立場の声をくみ取り、政府や自民党にぶつけるというよりは、説得が主眼なのだろう。

山口氏は、これまで十回開かれた与党協議を経て「二重三重の歯止めが利き、拡大解釈の恐れはないと思っている」と語っているが、果たしてそうだろうか。

政府の新解釈案は、憲法九条の下で「武力の行使」を認める三要件を示している。その本質は専守防衛を転換し、自衛隊の海外での武力行使を認めることである。

他国への攻撃でも自衛隊の武力行使が認められる「日本の存立が脅かされる」とはどんな事態か、必ずしも明確でない。

政府の判断次第というのでは、海外での武力行使に歯止めが利かなくなる恐れがある。政府が挙げた米艦防護など十五事例の妥当性も十分検討されたとは言い難い。

政府の対応は一貫性を欠いていた。多国籍軍支援を認める新しい基準として四条件を示したが、公明党の反発でわずか三日後に撤回し、別の条件に置き換えた。

安倍晋三首相は「武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない」と明言しながら、中東ペルシャ湾などを念頭に、武力行使に該当する機雷除去は行うと主張する。

この一貫性のなさは、対応が必要な切迫した事例がないまま集団的自衛権の行使を認め、自衛隊の海外での武力行使に道を開くという「結論ありき」で議論を強引に進めたからではないか。

戦争の多くは自衛名目の派兵で始まった。歴史の教訓をかみしめるべきだろう。一内閣の判断で専守防衛という戦後日本の根幹を変えていいのか。与党だけの密室協議や連立政権維持という政局的判断で、国を誤ってはならない。
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