2014年05月31日

[東京新聞] エジプト大統領 民衆をよくおそれよ (2014年05月31日)

エジプト国民が新大統領に軍出身のシシ前国防相を選んだのは、今は何より安定が必要だという思いの表れにちがいない。しかし、ムバラク旧体制の再来を望むものではむろんないはずだ。

エジプトでは一九五二年の国王追放後、ナセル、サダト、そしてムバラク氏という軍人大統領が続けて長期の統治を続け、アラブでの誇りと一応の安定を得てきた。

街路のポスターに「シシはナセルの再来だ」という文句が記されたのは、軍政支持派の宣伝には違いないが、普通の民衆に受け入れられやすいからだ。

しかし、そうだからといって、これからのシシ体制に敵がないわけではない。

第一にクーデターで、政権を奪い取ったムスリム同胞団である。徹底した弾圧はこれからも続くだろう。

同胞団との闘争の歴史は長く、ナセルは暗殺未遂に遭い、サダトは過激派に射殺され、ムバラク元大統領はアラブの春の中で葬られた。シシ氏の暗殺計画はすでにあったといわれる。

もう一つの心配は、シシ氏が四月六日運動など若者の民主化勢力の抑圧を続けていることだ。彼らは、エジプトの未来に必要な存在だ。民主化勢力は欧米勢力の回し者だ、というような錯誤を広めてはなるまい。政敵に耳を傾けてこそ、持続的安定は得られる。

シシ氏はテレビインタビューで経済発展を訴えている。

慢性的な電力不足解消のため、各戸の古い電球を省エネ型の電球に換える、一軒一軒に役人を派遣し取り換える…と述べた。

各人が国造りに協力してほしいという主張の表現だが、国民がそう動いてくれるかは、政治手腕による。

たとえば、新閣僚にどんな人物を登用するか。ムバラク時代の腐敗、汚職に悪評の立った人物は選べまい。国民はまず政治の清廉を望んでいる。

シシ氏は毎朝五時には起床し、過食やぜいたくを嫌うと報じられている。カイロの家具・貝細工職人の息子である。

庶民なら庶民を理解した政治を行ってほしい。

それには民衆をおそれる気持ちが欠かせない。アラブの春を経験した民衆は、政治を見る目も養っているだろう。

国内の安定は、外交の安定につながる。それはアラブ地域の安定にもつながる。日本を含め、世界が目を離せない国である。
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[東京新聞] 残業代ゼロ案 アリの一穴が狙いでは (2014年05月31日)

政府が成長戦略への明記を決めた労働時間の規制緩和は、本当に専門職などに限定されるのか。派遣労働がそうであったように、結局はなし崩し的に働く人の多くに広がる懸念を禁じ得ない。

働く人にとって最も大切な労働時間の制度変更を、労働界の代表が入っていない産業競争力会議で決めてしまう。いわば「働かせる側の論理だけ」という乱暴極まりない手法である。成果によって報酬が決まる新たな労働時間制度はあっさり導入が固まった。

具体的な制度は今後、厚生労働省の労働政策審議会で詰めることになるとはいえ、早くも対象を「高度な専門職」などと限定する案に対し、財界や経済閣僚から「一握りでは効果がない」と異論が出ている。人件費削減のために一般社員などへ、できるだけ対象を広げようとの思惑が透けて見えるようである。

少子高齢化の進展で生産年齢人口(十五〜六十四歳)が減り、一人当たりの生産性向上が課題となるのは否定しない。効率的な働き方、長時間労働の是正が実現するのであれば歓迎する。しかし、この労働時間規制の適用除外とするホワイトカラー・エグゼンプションは、第一次安倍政権の二〇〇七年に世論の猛反対で頓挫したように、残業代ゼロのいわゆるサービス残業を合法化し、長時間労働を常態化させかねないものだ。

労働時間でなく成果で評価されるようになれば、従業員は成果が出るまで働き続けなければならない。企業は労働時間を気にしなくてよいから従業員が疲弊していようが成果を求め続ける。毎年百件以上の過労死が社会問題化する中、時代に逆行し、そればかりか残業の概念がなくなれば過労死の労災認定そのものが困難になる。

首相は「希望しない人には適用しない」「働き方の選択によって賃金が減らないようにする」と明言したが、従業員の立場が会社に対して極端に弱いことすら理解していないのか。首相の言うことが通用するなら、これほどまでに過労死も過重労働も起きていないに違いない。ブラック企業すら存在しないであろう。

働く人を守る労働法制が首相や財界の意向で都合よく変更されてよいはずがない。限定論や美辞に惑わされ、なし崩し的に広まりかねない。派遣労働が典型だ。「働き方の多様化」「柔軟な労働形態」などの名目で緩和され、今や働き手の四割近くが非正規雇用だ。同じ轍(てつ)を踏んではならない。
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[産経新聞] ブノワ賞の快挙 若者こそ「世界」をめざせ  (2014年05月31日)

スウェーデン王立バレエ団の第1ソリスト、木田真理子さん(30)が、世界で最も権威あるバレエ賞の一つ、ブノワ賞の最優秀女性ダンサー賞を受賞した。日本人初の快挙である。

若手ダンサーの登竜門として知られるローザンヌ国際バレエコンクール(スイス)に対し、ブノワ賞は第一線で活躍するプロを対象としている。「バレエ界のアカデミー賞」ともいわれ、ノミネートされた候補の中から、1年で最も活躍したダンサーや振付家などに与えられる点に特徴がある。

100年に1人のダンサーとたたえられるシルヴィ・ギエムさんや、振付家の巨匠モーリス・ベジャールさんも受賞している。木田さんの実力が評価され、日本のバレエの水準の高さも世界に認められたものと受け止めたい。

木田さんは大阪府出身で、4歳からバレエを始め、16歳でローザンヌの優秀賞に輝いた。米サンフランシスコのバレエ学校などで経験を積み、2年前からスウェーデンを本拠にしている。

世界的なダンサーには、代表作というものがある。今回の受賞では、昨年新たに演出された「ジュリエットとロミオ」のジュリエット役が高く評価された。世界的振付家、マッツ・エックさんの手になる作品で、木田さんの卓越した表現力が生かされたかたちだ。

木田さんは産経新聞の電話取材に「巡り合ったチャンスを逃したくなかった」と述べている。ジュリエットという当たり役を得たのも、才能と努力に加え、海外を渡り歩いたチャレンジ精神のたまものだろう。

今年2月には、ローザンヌで当時高校2年の二山治雄さんが1位を獲得したのに加え、2位と6位も日本人が占めるなど、層の厚さを示すことになった。

木田さんの栄冠は半面で、日本には欧米のように歴史のあるバレエ団がなく、公演数も海外に比べてはるかに少ない現状を浮き彫りにしたともいえる。プロとしての活躍の場が乏しい国内環境が変わり、バレエ文化がより根付く契機となることも期待したい。

バレエにとどまらず、芸術やスポーツなどの分野での世界への挑戦は、いまや当たり前の時代となった。「内向き」といわれがちな現代の若者だが、木田さんらの活躍は心強く、頼もしい。若者こそ世界を目指してもらいたい。
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[産経新聞] 維新の会分裂 改憲路線の維持期待する (2014年05月31日)

政界を変える起爆剤となる期待も背負って登場した日本維新の会が、衆院選から2年を待たずに分裂した。

新たな「第三極」が注目されたのは、自民党とともに憲法改正を志向する立場を掲げたことからでもあった。

だが、その憲法観がきっかけで橋下徹、石原慎太郎両共同代表がたもとを分かつ結果となったのは残念だ。

それでも、日本の立て直しに何が必要かという両氏の認識に変わりはないはずだ。今後とも率先して憲法改正を政治課題に位置付ける路線を維持してもらいたい。

分裂の背景にあったのは、橋下氏が今夏までに実現しようとしている結いの党との合流問題だ。

共通政策作りにあたり、石原氏の強い持論でもある「自主憲法制定」の文言を盛り込むことに、結いの江田憲司代表は反対した。

維新内でも、橋下氏に近い議員らの間には「自主憲法」に固執する必要はないとの判断が広がっていたようだ。

石原氏は29日の会見で「憲法をなんとしても直すことに政治生命を賭してきた」として、結いとの合流には反対で、橋下氏に「分党」を申し出たと説明した。

また、憲法とともに集団的自衛権の行使容認についても「江田氏の見解との間には大きな齟齬(そご)がある」と語り、「野党が団結する眼目は否定しないが、選択の方法が違う」と指摘した。

これについては、橋下氏自身にも明確にしてもらいたい。橋下氏は憲法解釈を変更して集団的自衛権を限定的に容認する考えを示しているが、江田氏は「対米追従などの観念論で解釈改憲を認めるべきではない」と慎重だ。

結いとの合流には、野党第一党に躍り出たいというもくろみもあるのだろう。だが、共通政策作りで安全保障政策の根幹での食い違いを残してはならない。

維新内部にも、原発エネルギー政策をめぐる溝があった。橋下氏は2030年代の原発ゼロを捨てていないと主張し、石原氏は原発輸出反対の党方針に反対した。両氏が東西に分かれ、党内で意思疎通を欠いていた問題も大きい。

他の野党には、維新の分裂が野党再編につながるとの見方も出ている。だが、民主党が党内の亀裂を恐れて政策論議を先送りし、政権与党でありながら大分裂したことを忘れてはいまい。
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[毎日新聞] 社説:組み体操の事故 高さを競うのは危険だ (2014年05月31日)

全国各地の学校で運動会や体育祭のシーズンを迎えている。数ある種目の中でも大勢の子どもたちが協力して作り上げる組み体操は見栄えがすることもあって保護者らの人気は高い。達成感や連帯感、一体感を育むのに役立つとして教育的な意義を強調する学校関係者も多い。

だが、最近ある数字が明らかになり、インターネット上で組み体操の是非を巡って活発な議論が交わされている。学校管理下の事故に詳しい名古屋大大学院の内田良・准教授(教育社会学)によると小学校で2012年度に発生した負傷事故のうち組み体操は約6500件で、跳び箱(約1万5000件)、バスケットボール(約1万1000件)に次いで3番目に多いことが分かった。

児童生徒らの災害共済給付事業を行っている日本スポーツ振興センターの統計を基にまとめた。けがの多さに加え前年度からの事故増加率はワースト1で、しかも重大事故につながりやすい頭部などを負傷する割合が高いことも明らかになった。

過去には「人間ピラミッド」と呼ばれる組み体操の下敷きになった小学生が死亡している。約20年前、福岡の県立高校生が全身まひになった事故の裁判で判決は「人間ピラミッドは一概に安全なスポーツとは断じ難い」と危険性を指摘し、県に賠償を命じた。こうした事故情報が全国で共有されているのだろうか。

今月9日、熊本県の菊陽中学で2、3年の男子生徒約140人で10段のピラミッドを作る練習中に一部が崩れ、1人の生徒が腰の骨を折る大けがをした。体育館にけが防止のためのマットを敷き、教諭8人が指導する中での事故だった。

4年前、兵庫県内の中学が高さ7メートルに達する10段のピラミッドを完成させたことが報道され、話題になった。その様子が公開されたネットの動画サイトには多くのアクセスがあった。2年前には別の中学が10段を完成させている。菊陽中は一昨年までは7段だったが、昨年から10段に増やしていたという。

子どもたちの発達段階や個人の能力に応じて段階的な指導を行うべきにもかかわらず、100人以上を動員して高さを競い合う傾向が強まっているとしたら心配だ。

さまざまなリスクを指摘した内田氏の提言に対し「けがを恐れていたら何もできない」と反発や批判も多く寄せられている。だが、人間ピラミッドは土台が安定せずバランスを崩した時につかめるものがないことから目をそらしてはいけない。

今週末以降、運動会などで予定している学校は子どもたちの側に立って、より一層の安全配慮をしてほしい。事故が起きてからでは遅い。

2014年05月31日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:拉致再調査 機会を最大限いかせ (2014年05月31日)

北朝鮮が拉致被害者の再調査を約束し、日本が北朝鮮への制裁を一部解除することで、両政府が合意した。調査の実効性をどう確保し、検証するかなど課題は多いが、双方ともこの機会を最大限にいかし、拉致問題の解決につなげてほしい。

合意によると、北朝鮮は特別調査委員会を発足させ、拉致被害者や特定失踪者だけでなく、行方不明者、日本人妻など全ての日本人を対象に包括的で全面的な調査を行う。

これに対して日本は人的往来の規制、送金報告や現金持ち出しの届け出義務、人道目的の北朝鮮籍船舶の入港禁止を解除する。

北朝鮮は2008年にも再調査に合意したが、当時の福田康夫首相の退陣により、調査開始を一方的に見送った経緯がある。今回はその時の合意が基本だが、日朝双方とも一歩、踏み込んでいる。調査の対象が広がり、船舶入港禁止などの制裁解除が盛り込まれ、日朝平壌宣言に基づく国交正常化の意思が強調された。

日朝双方の意欲の表れだろう。安倍晋三首相が言うように「全面解決へ向けて第一歩」となるよう期待したい。だが、交渉は簡単ではない。

北朝鮮は04年にも再調査に応じたが、横田めぐみさんの遺骨として提出した骨が日本側のDNA鑑定で別人のものと判明したことがある。調査に対する日本側の不信感は強い。

合意では調査開始した時点で、日本は独自制裁を一部解除する。調査が進まなかったり、いいかげんなものに終わったりして、制裁解除が食い逃げされる懸念は否定できない。

北朝鮮に正確で迅速な調査をさせ、検証できるようにする必要がある。日本側は調査状況について随時、通報を受け、調査結果を直接確認できる仕組みを確保するという。

また進展があった場合でも、どういう結果が得られれば拉致問題の解決とみなすかという判断は難しい。

調査対象が全ての日本人に広がったのは、北朝鮮が全面的解決への意思を示したようにも見えるが、逆に十分な調査をせず何人かの日本人の帰国で終結させてはならない。

安倍首相も北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記も、日朝関係を打開したい事情を抱えている。首相は拉致問題を政権の最重要課題に掲げて成果を求め、金第1書記は国内経済の疲弊や国際的孤立から脱するため日本との関係を突破口にする狙いとみられる。

首相が前のめりになるあまり性急にことを運べば、北朝鮮に足元を見られかねない。一方で、拉致被害者家族の高齢化が進み、被害者の早期帰国が待たれる。北朝鮮の核・ミサイル開発に厳しく対処する国際社会との連携も忘れずに、焦らず着実に成果をあげてほしい。

2014年05月31日 02時31分
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[読売新聞] 内閣人事局発足 官僚機構を活性化できるか (2014年05月31日)

戦略的な人事を通じて官僚機構を活性化し、重要政策を推進できるかどうかが問われる。

中央省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局が発足した。4月成立の国家公務員制度改革関連法に基づくもので、総務省からの出向者を中心に約170人の体制だ。

幹部人事は従来、各府省が局長級以上の人事案を作り、首相官邸の承認を得ていた。今後は、内閣人事局が部長・審議官級を含む約600ポストの候補者を選抜したうえ、各閣僚が首相・官房長官と協議して人事を最終決定する。

初代局長は自民党衆院議員の加藤勝信官房副長官が兼ねる。政治主導人事を強める狙いだろう。

政府は、情実を排し、能力・実績主義に基づき、公正かつ適材適所の人事を行うことが大切だ。

新制度の試金石となるのが、今夏の幹部人事である。

府省間の人事交流を活発化し、縦割り行政を是正するとともに、民間企業の人材を積極活用し、官僚の意識改革を促したい。

重要政策を担当する部署に、府省の垣根を越えて優秀な官僚を集め、政府の政策遂行力を高めなければならない。

女性の活用も焦点となる。

安倍内閣は、女性の潜在力を重視し、昨年以降、各府省幹部に積極的に起用している。内閣人事局の担当審議官にも、厚生労働省の女性官僚を充てた。

幹部に占める女性の割合を今の3%から2020年までに30%に引き上げる方針も掲げる。実現には仕事と子育てを両立できる環境整備が欠かせない。国家公務員制度担当の稲田行政改革相は、女性の視点で改革を進めてほしい。

内閣人事局は、将来の幹部候補の若手官僚を育成する政府全体の計画を策定する。任用、採用試験、研修の事務など、従来の人事院の機能の一部も担う。

中央省庁の幹部には、社会や国際情勢の変化に機敏に対応し、省益より国益を優先することが求められる。中長期的に人材を育成していく必要がある。

政府は、内閣人事局が適格性を審査して幹部候補者の名簿を作る際、民間人の登用については第三者の意見を聞く仕組みを政令で定めた。人事の公正性を確保するには妥当だろう。

給与ランク別の定員である「級別定数」の決定権限は人事院から内閣人事局に移管されたが、人事院も一定の関与を続けることが認められている。二重行政にならないよう、調整してもらいたい。
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[読売新聞] 拉致再調査 北朝鮮は誠実に約束を果たせ (2014年05月31日)

北朝鮮が拉致被害者の安否などについて全面的な再調査を約束した。この機会を逃さず、長年の懸案の解決につなげなければなるまい。

26?28日の日朝協議に基づく合意文書は、再調査について「包括的かつ全面的に実施する」と明記した。未帰国の拉致被害者12人に加え、拉致の疑いのある特定失踪者約470人も対象に含めた。

北朝鮮が、国内の全機関を調査できる権限を持つ「特別調査委員会」を設置し、調査状況を日本側に随時報告する。「日本人の生存者が発見された場合、日本側に伝え、帰国させる」としている。

安倍首相は「拉致被害者救出の交渉の扉を開くことができた」と強調した。北朝鮮が「拉致問題は解決済み」とする従来の主張を撤回したのは、日本から経済支援などを引き出す思惑からだろう。

菅官房長官は、再調査について1年以内にも結果を公表するよう求める考えを示している。

ただ、北朝鮮は横田めぐみさんの「遺骨」を返還し、日本側の鑑定で別人のものと判明した前例がある。こうした不誠実な対応を許さぬよう、外務省や警察当局が協力し、北朝鮮の調査状況を監視して注文を付けることが重要だ。

再調査の開始時に、日本側は北朝鮮に対する独自制裁を一部解除する。北朝鮮籍船舶の日本への入港禁止措置などが対象だ。さらに「適切な時期」に北朝鮮への人道支援を検討するとしている。

再調査だけで、制裁の一部を解除することに、日本国内では疑問の声もある。だが、制裁解除の約束なしでは北朝鮮の譲歩を引き出すのが難しかったのも事実だ。

政府は、具体的な進展を見極めつつ、慎重かつ段階的に制裁を緩める必要がある。人道支援は、重大な成果を前提とすべきだ。

北朝鮮は、朝鮮総連中央本部の土地・建物の競売に懸念を示し、善処を求めていた。だが、この問題は、朝鮮総連が巨額融資を返済しなかったことが原因だ。政府が応じなかったのは当然である。

北朝鮮が日本との関係改善に動いたのは、国際的な孤立を打開する狙いもある。中国との関係は冷え込み、米国や韓国との協議も最近は途絶えている。

大切なのは、日本が北朝鮮包囲網の足並みを乱さないことだ。米韓両国と緊密に情報共有し、協調体制を維持せねばならない。

北朝鮮は核やミサイルで軍事的挑発を続けている。日本は、拉致と核・ミサイル問題を包括的に解決する方針を堅持すべきだ。
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[朝日新聞] 憲法と国民―決定権は私たちにある (2014年05月31日)

集団的自衛権にからんで憲法論議が盛んになるなか、憲法改正手続きを定めた国民投票法の改正案が、いまの国会で成立する見通しだ。

これまではっきりしていなかった投票権年齢を20歳とし、4年後に18歳に引き下げる。成人年齢の引き下げをはじめ先送りされた論点も多いが、これで国会が憲法改正案を国民に問うための法的手続きがととのうことになる。

日本国憲法が施行されて67年。いわゆる改憲派と護憲派を軸になされてきた論争は、これまでとは違った局面に入っていかざるを得ない。

ただちに衆参両院で3分の2の賛成を得て条文ごとの改憲案が発議され、国民投票にかけられる状況にはない。だとしても、改憲は現実にあり得るという緊張感のなかで、双方が主張を展開することを迫られる。

憲法が戦後日本の発展に果たしてきた役割は極めて大きい。国民主権や基本的人権の尊重、平和主義の原理は、社会を支える基本構造として機能してきた。今後とも堅持していくべき価値である。

一方、103条のすべてに指一本触れてはならぬと考える必要はない。

ねじれ国会であらわになった衆参両院の関係をどう見直すか。政府と自治体の役割分担はどうあるべきか。議論の余地は大いにある。

安倍首相は改憲手続きを定めた96条改正や9条の解釈変更を唱える。それは「全面改正せよ」「一切認められない」という二元論的な対立のすき間をついて出てきた「からめ手」だ。認めることはできない。

集団的自衛権をめぐる今週の衆参両院の審議で、安倍首相は憲法解釈を変え、自衛隊による米艦防護やペルシャ湾での機雷除去に道を開くことに強い意欲を示した。

首相は答弁で「国民の命や平和な暮らしを守る」と繰り返し強調した。熱意はわかったが、だったらなおさら、なぜそのための憲法改正案を国民に問おうとしないのだろうか。

立憲政治の原則を、もう一度確認したい。

私たちは選挙で信認した政権に、法の制定や改廃、その適切な執行を託している。だが、憲法に関しては白紙委任をしているわけではない。

憲法についての最終決定権者は国民であり、それを担保するのが国民投票だ。それをないがしろにするのは、どんなに多数の支持を得た政権であっても、許されることではない。
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[朝日新聞] 防潮堤の建設―住民まじえて丁寧に (2014年05月31日)

津波から住民の命や財産をどう守るか。東日本大震災の被災地だけでなく、海に面した全ての自治体が抱える課題だ。

とりわけ頭を悩ますのは、整備する防潮堤の高さだろう。高いほど津波が防げる半面、自然環境や景観は損なわれ、漁業や観光にも響く。

被災地では防潮堤の再建が進んでいるが、宮城県内など一部地域で住民から「高すぎる防潮堤」への異議申し立てが続く。事業主体が代替案を工夫して当初計画より低く抑えたり、震災前と同じ高さにとどめたりした例も出ている。

こうした津波被災地の現状から、各地の自治体は何をくみ取るべきか。

防潮堤などの「ハード」に頼りすぎず、避難の計画作りや訓練といった「ソフト」を重視する。住民をまじえて丁寧に合意形成をはかる。この2点に特に気を配って欲しい。

大震災直後の11年夏から秋にかけて、政府の中央防災会議の専門調査会が、防潮堤の高さに関する指針を決めた。

明治・昭和三陸地震津波など、数十年から百数十年に1度起きる津波(L1津波)に対しては、防潮堤などの施設で住民の命と財産を守る。

さらに発生頻度が低い東日本大震災級の巨大津波(L2津波)には、ハードとソフトの総合対策で対応する。

ざっとそんな内容だ。

自治体はこの方針に沿い、過去の津波の記録やシミュレーション結果に基づいて堤の高さを決める。ただ、「だから高さは変えられない」というかたくなな姿勢では、反発を招き防災対策がかえって遅れかねない。

専門調査会は「環境保全、周辺景観との調和、経済性、公衆の利用などを総合的に考慮する」とも強調している。柔軟に考える必要があることを、国は自治体に改めて説明すべきだ。

貴重な資源である「海」との向き合い方の変遷は、海岸法の歴史に表れている。

「海岸の(災害からの)防護」を目的としてできたこの法律は、90年代末の改正で「環境保全」や「適正な利用」といった視点が加わった。今国会で審議中の改正案には、植樹を「緑の防潮堤」と位置づけ、清掃や動植物保護などを手がけるNPOを海岸協力団体に指定する制度が盛り込まれている。

防災と環境維持を両立させる。行政と住民の連携を深め、「自分たちの海岸」として保護・活用していく。

そうした観点を大切に、防潮堤問題に取り組みたい。
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2014年05月30日

[東京新聞] 拉致全面調査 今度こそ確実な進展を (2014年05月30日)

北朝鮮が日本人拉致被害者と、拉致の疑いが否定できない不明者について全面的に調査すると約束した。政府は北朝鮮に正確な調査を強く促し、一人でも多くの安否確認と帰国実現につなげたい。

日朝の局長級協議がスウェーデンで行われ、北朝鮮側は拉致被害者らについての特別調査委員会を設けると約束した。再調査の合意は六年ぶりだが、金正恩体制になってからは初めて。

日本政府の説明によると、特別調査委は三週間をめどに発足し、北朝鮮は調査内容について逐次、日本側に伝える。拉致解決に向け一歩前進と受け止めたい。

日本側は見返りとして、調査開始が確認できたら、日朝間の人的往来、送金など、日本が独自に科している制裁の解除または緩和を行う。

北朝鮮も国営・朝鮮中央通信で合意内容を報じた。

安倍晋三首相は「任期中の拉致問題解決」を表明し、今年三月、日朝政府間協議を再開した。水面下の交渉も進め、モンゴルで、拉致被害者、横田めぐみさんの両親と、めぐみさんの娘キム・ウンギョンさんとの対面が実現した。

金正恩第一書記は核、ミサイル開発を続け、米国や中国、韓国との関係改善が行き詰まっている。日本とは拉致問題の協議に応じることで、制裁を緩和させ、経済を好転させたい狙いがあった。

北朝鮮側は一昨年から、太平洋戦争終戦前後の混乱期に北朝鮮領内で死亡した日本人の遺骨収集と、遺族の墓参を受け入れている。人道的見地からこの事業も進める見通しだ。

日本政府が認定した拉致被害者十七人のうち安否が確認できないのは十二人で、拉致が否定できない不明者はこれより多い。被害者の父母や兄姉は高齢化している。

だが、北朝鮮が拉致被害者の安否確認や引き渡しに容易に応じる保証はない。むしろ納得できる調査をしないまま、制裁解除の拡大や国交正常化交渉の再開を求める可能性がある。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部ビルの競売問題もくすぶっている。日本政府は粘り強い交渉を求められる。

もし北朝鮮が四度目の核実験や長距離弾道ミサイル発射を強行すれば、日朝交渉を続けるのは難しくなる。安倍政権は関係国に拉致問題への取り組みを伝えながら、核、ミサイル開発を止めるよう、特に米国、韓国との連携を強めるべきだ。
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[東京新聞] 維新の会分裂 憲法観が違うのなら (2014年05月30日)

当然の帰結と言うべきだろう。日本維新の会の「分党」が決まった。政党は理念・政策の一致が基本だが、結党当初から憲法観や原発など基本政策の違いが指摘されていた。分裂も致し方あるまい。

直接のきっかけは、日本維新の会と結いの党との合流をめぐる石原慎太郎、橋下徹両共同代表間の対立のようだ。両党の共通政策案に「自主憲法制定」を盛り込むよう求め、拒否された石原氏が、橋下氏に分党を申し入れた。

日本維新の会は、大阪府知事を務めていた橋下氏らが結成した地域政党「大阪維新の会」を発展させる形で二〇一二年九月に結成された。同年十一月には石原氏らが率いる太陽の党と合流し、直後の十二月の衆院選では五十四議席を獲得する躍進を果たした。

合流から約一年半での分裂だ。しかし、結党当初から基本政策の違いは顕在化していた。最たるは原発・エネルギー政策である。

大阪市長に転じていた橋下氏は「脱原発」を目指していたが、石原氏はこれに反対し、衆院選公約は結局「既存原発は三〇年代までにフェードアウトする(次第に消える)」との表現にとどまった。

憲法をめぐっても「連合国軍総司令部(GHQ)の押し付け」と考える現憲法を破棄し、新たな自主憲法制定を目指す石原氏らと、大阪都構想に代表される統治機構改革に憲法改正の主眼がある橋下氏らとの隔たりは大きかった。

両共同代表を結び付けたのは、中央官僚による支配打破という共通の思いだったが、理念・政策の違いに目をつぶった、選挙を勝ち抜くための合流は、当初から無理があったと考えざるを得ない。

日本維新の会の分裂は、来年の統一地方選や、衆院選との同日選の可能性も指摘される一六年の参院選に向けて、野党再編のきっかけとなるだろう。

その際、留意すべきは理念・政策の一致である。特に、憲法や安全保障、原発・エネルギーなどの基本政策は重要だ。ある程度、考え方に幅があるのはやむを得ないが、同じ方向を目指さなければ、混乱のもととなる。

昨年成立した特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認をめぐる議論を見ると、野党がバラバラのままでは一強支配を強める自民党に対抗するのは容易でない。

野党各党は粘り強く話し合いを重ねて、有権者に政権の選択肢を示してほしい。それは今、野党に課せられた責任でもある。
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[産経新聞] 拉致再調査 全員の帰国だけが解決だ 結果見ぬ制裁解除を危惧する (2014年05月30日)

安倍晋三首相は、北朝鮮による拉致被害者の安否についての再調査に関し、北朝鮮側が「拉致被害者と拉致の疑いが排除されない行方不明者を含め、すべての日本人の包括的な全面調査を行うことを約束した」と述べ、「全面解決へ向けて第一歩となることを期待する」と話した。

北朝鮮も国営朝鮮中央通信を通じ、同様の発表を行った。北朝鮮は特別調査委員会を設置し、調査をスタートさせる。

これに伴い、日本政府は北朝鮮に対する制裁を一部解除し、「適切な時期に人道支援の実施も検討する」と発表した。

いうまでもなく、拉致事件の解決は、全被害者の帰国である。拉致被害者についての全面再調査の約束は一定の前進ではあるが、あくまで再スタートの地点に立ったにすぎない。

そもそも再調査の約束は、6年前に日朝間でなされたものである。一方的に約束を破り、放置してきたのは北朝鮮の側だ。この程度の合意で制裁を一部解除するのは時期尚早である。

これまでの交渉で、何度も裏切られてきた経緯を忘れてはいけない。再調査に日本側は加わらず、期限も設けられていない。制裁解除は、あくまで再調査の結果に対して行われるべきものである。

≪各国との連携も考慮を≫

北の核、ミサイル開発に対し、国際社会と連帯して圧力をかけてきたことも忘れてはならない。

菅義偉官房長官は、北朝鮮側の調査が開始された時点で、人的往来の規制措置、送金に関する措置、人道目的の北朝鮮籍船舶の入港規制措置を解除すると発表した。これらはいずれも、北朝鮮側が求めていたものだ。

再調査の結果が何ら分からない時点での制裁解除が、かえって北朝鮮側に足元をみられることにつながらないか、危惧も大きい。

日朝両政府は3月、安倍政権下で初めての公式協議を約1年4カ月ぶりに再開させた。今月26日から28日にかけては、スウェーデンで開いた局長級会合で、拉致問題を継続協議とすることを確認していた。北朝鮮にとっては、経済的困窮に加え、拉致という非人道的行為に国際圧力が強まる中で行われた交渉の再開だった。

ところが協議で北朝鮮側は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部ビルの売却問題を持ち出し、懸念を表明したという。協議後に宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使は「必ず解決しなければならない問題だ」と話した。

法律に従って処理が進められている問題を持ち出すこと自体、おかしかった。政府は司法に介入できないという当然の立場を説明したが、北朝鮮側はこれを理解しなかったという。

≪無法な要求に応じるな≫

総連中央本部は北朝鮮の大使館としての機能を持ち、さまざまな対日工作にかかわってきたとされる。破綻した在日朝鮮人系の信用組合の不正融資事件にからみ、総連に対し約627億円の債権を持つ整理回収機構が総連本部の土地建物の強制競売を申し立て、東京高裁が高松市の不動産関連会社への売却を許可した。

総連側は不服として最高裁に特別抗告したが、法により解決される問題だ。立ち退きを求められたら従うのが法治国家としてのルールだ。外交の舞台で法を曲げるようなことがあってはならない。

再調査の開始に伴う制裁解除などの合意条件にも、総連中央本部の問題は含まれていないという。当然だろう。こうした原則は今後も堅持しなくてはならない。

朝鮮中央通信と平壌放送は日本側との合意について、「わが方は日本人の遺骨および墓地と残留日本人、日本人配偶者、拉致被害者および行方不明者を含むすべての日本人に対する包括的な調査を全面的に同時並行して行うこととした」と表明した。

「遺骨」や「墓地」を前面に出したこうした文言を聞くと、過去に飲まされた煮え湯の記憶がよみがえる。北朝鮮は調査の結果として、拉致被害者の横田めぐみさんや松木薫さんの「遺骨」を出してきたが、日本側の鑑定で偽物と判明した。

安倍首相は「全ての拉致被害者の家族が自身の手でお子さんを抱きしめる日がやってくるまで、私たちの使命は終わらない」とも話した。この言葉を、すべての関係者が忘れてはならない。
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[毎日新聞] 社説:視点・集団的自衛権 悩める韓国=中島哲夫 (2014年05月30日)

◇現実と歴史のはざまで

安倍政権による集団的自衛権行使容認の動きは韓国にとっても当然、重大関心事である。

韓国メディアの報道は「総理が思いのままに憲法解釈を変える日本は民主国家なのか」「戦争ができる国に生まれ変わる」(朝鮮日報)といった厳しい批判ないし警戒の論調が目立つ。

一方、韓国外務省は安倍晋三首相が記者会見した5月15日に論評を出し、日本の安保防衛論議につき「平和憲法精神堅持、透明性維持、地域の安定と平和維持に寄与する方向で」と注文を付けた。朝鮮半島の安保と韓国の国益に影響を与える事項は韓国の要請か同意がない限り決して容認できず、日本は過去の歴史に起因する周辺国の疑念と憂慮を払拭(ふっしょく)していかねばならないとも言及した。一見、「断固反対か」とも思えてしまう。

だが注目すべきは韓国政府が公式には反対とも賛成とも明言していない点だ。あまりに複雑で悩ましい現実があり、態度を鮮明にしかねるのである。

例えば韓国は米国との間で集団的自衛権を行使できる立場にある。北朝鮮との厳しい緊張・対立関係にある韓国の安保環境は生易しいものではない。

同時に、今や中国との貿易から国家発展の最も力強い原動力を得ている韓国は、圧倒的多数の国民が中国を敵に回す選択肢などとんでもないと考えている。それが韓国人の本音だろう。

すると万一「何らかの事情で日米中がからむ軍事衝突が起き、米国が韓国にも集団的自衛権の行使を要請した」といった状況が発生すれば、韓国にとって実に悩ましいことになる。韓国政府は米国が日本の集団的自衛権行使に反対していないので厳しい安倍政権批判を控え、賛否も明言できないのだろう。

一方、韓国には日本であまり知られていない学者たちの、メディアや国民感情とは異質の戦略観と対日認識が存在する。

ある軍事研究者によると、少なからぬ学者たちが「日本は周辺国家との歴史問題に関する和解が十分でないため摩擦があるが、正常な国家へと向かう過程にある。外部からの攻撃に対する防御は当然の権利だ」と認識しているという。

韓国では若者も含めて日本を「戦犯国家」と呼ぶ人も少なくないことを考えれば、この学者たちの姿勢には前向きの意味があるように思えなくもない。

しかし、こうした認識は朝鮮半島有事の際に、日本の想定を超えた、より直接的な軍事支援要請につながる可能性もある。これはこれで、日本にとって極めて悩ましい話にならざるをえないだろう。(論説委員)

2014年05月30日 02時15分
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[毎日新聞] 社説:維新の会分党へ 再編より反省が先だ (2014年05月30日)

実態は自壊である。衆院で野党第2党の日本維新の会の石原慎太郎、橋下徹両共同代表が分党で合意した。石原氏が結いの党との合流に憲法観の違いなどから反対したことで方向性の違いが決定的となり、維新の会は分裂する。

石原、橋下両氏という東西の二枚看板で現在の姿となった同党だが、憲法観や原発政策が異なり、体質も違う旧太陽の党と旧維新の会が合体した矛盾が結局、露呈したと言える。理念なき野党再編に走るような愚を繰り返してはならない。

石原氏は記者会見で「憲法を直したい。結いの党との合体は合点がいかない」と強調した。石原氏は結いの党との共通政策に「自主憲法制定」を盛りこむよう求めたが、江田憲司代表は拒否したという。

江田氏によると橋下氏は「自主憲法など大した問題ではない」と折り合いをつけようとしたとされる。だが、その認識は誤っている。

自主憲法制定を掲げるかどうかは現憲法下の戦後政治を肯定的に評価するか、さらに憲法論議をいわゆる「押しつけ論」に立脚して展開するかを決定づけるものだ。政治の根幹にかかわる部分で相いれない以上、分裂はむしろ当然だ。

衆院選を控えた1年半前、理念や政策に違いを抱えたまま構造改革路線の旧維新の会とタカ派色の濃い旧太陽の党は合流した。当時「憲法破棄」を唱える石原氏に橋下氏は強く反論していたものだ。方向性の違う双頭体制が機能しなかった反省が足りないのではないか。

維新の会迷走の大きな要因は橋下氏の言動にもある。従軍慰安婦問題をめぐる発言が混乱を呼び、肝心の大阪都構想は失速状態で、出直し大阪市長選も空回りに終わった。いわゆる第三極勢ではみんなの党も分裂したうえ、渡辺喜美前代表は「政治とカネ」の問題で党首を退いた。与党との対立軸を示せず、野党として十分機能しなかった責任は重い。

分党が橋下氏らの勢力と結いの党の合流を加速させる可能性はある。だが、理念と政策軸を打ち出さない限り、生き残り目当ての離合集散という印象はぬぐえまい。

石原氏は結いの党との合流に反対した理由に集団的自衛権問題もあげた。安倍晋三首相が目指す憲法解釈の変更を橋下氏は支持するが、江田氏は慎重姿勢だ。安全保障、歴史認識など根幹に関わる部分で一定の共通認識に立たなければ「なぜ再編か」の説得力を欠く。橋下氏が首長として国会議員団と調整し続ける課題も残されたままだ。

第三極勢は衆院で約70議席を持ち、民主党を上回る。反省なき再編は危うい。巨大与党を監視する責任をもっと自覚すべきだ。

2014年05月30日 02時32分
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[朝日新聞] 拉致再調査―今度こそ真の救済を (2014年05月30日)

日本人拉致問題について、北朝鮮が再調査を約束した。

スウェーデンで開かれた外務省局長級協議で日朝両政府が合意し、きのう安倍首相らが発表した。北朝鮮は再調査のための特別委員会をつくり、それに応じ日本は北朝鮮に対する独自の制裁を解除していく。

これまで日朝協議が開かれても、「拉致問題は解決済み」と繰り返してきた北朝鮮だ。「すべての日本人に関する包括的な調査」へと態度を変えさせたことの意味は大きい。

この合意を、長年苦しめられてきた被害者とその家族にとって真の救済となるような結果に結びつけたい。

「全面解決へ向けて、第一歩となることを期待している」と安倍首相が語った。この機会を逃してはならない。

もっとも、合意文書をみる限り、実際にはこれからも日朝間では激しい駆け引きが繰り広げられそうだ。

北朝鮮は08年、再調査を約束し、今回のように委員会を立ち上げて対応すると表明した。だが、日本の政権交代を理由に、突然、委員会の設置をとりやめると一方的に通告してきた経緯がある。

政府間での合意とはいえ、今回も疑念がぬぐえないのはそのためだ。日本政府は北朝鮮側から適宜、調査の報告を受けるとしているが、経過を慎重に見極めながら、細かく注文をつける必要がある。

それでも、今回の合意は、08年のときよりも幅広い内容になっている。

終戦前後に北朝鮮で死亡した日本人の遺骨問題や、北朝鮮国内に住むいわゆる日本人妻の帰国問題にも言及している。これに対し、日本側は北朝鮮が強く望む船舶の入港禁止措置の解除などにも踏み込んでいる。

北朝鮮は金正恩(キムジョンウン)・新体制が発足して以降、核・ミサイル開発といった強硬路線を続ける一方、国民に約束した経済回復はまったく進んでいないという事情がある。

日本政府には、北朝鮮の内部事情を探りつつ、硬軟両面でのしたたかな外交が求められる。制裁緩和を活用し、北朝鮮が誠実に対応せざるをえないような状況をつくる工夫が要る。

日朝首脳が初めて会談し、日朝平壌宣言を発表したのは12年も前のことになった。

平壌宣言は国交正常化をうたい、隣国同士のあるべき姿を網羅的に示している。関係が悪化し続けた歳月を補う作業は困難を伴うが、時間を浪費する余裕はない。
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[読売新聞] 維新の会分裂 野党再編は政策本位で進めよ (2014年05月30日)

第3極勢力の中核だった日本維新の会が分裂する。野党再編の進め方や基本政策で足並みが乱れてきた以上、当然の帰結と言えよう。

維新の会の石原慎太郎、橋下徹両共同代表が会談し、維新の会を「分党」することで一致した。石原、橋下両氏を中心に、それぞれ新たな政党を作ると見られる。

分裂の引き金は、橋下氏が主導する結いの党との合流問題だ。

石原氏は、結いとの政策合意に「自主憲法制定」の明記を求めたが、結いの江田代表は、幅広い野党結集の妨げとなると反対した。協議は行き詰まっていた。

石原氏は記者会見で、憲法や集団的自衛権の扱いに関し、結いと「大きな齟齬(そご)を感じた」と語った。橋下氏が結いとの合流を優先したため、分裂はやむを得ない。

維新の会は2012年9月、橋下氏らが結成し、その後、石原氏率いる旧太陽の党が合流した。両氏を二枚看板に12年12月の衆院選では躍進したが、昨年の参院選は振るわなかった。

石原氏は原発を推進する立場なのに対し、橋下氏らは「原発ゼロ」を持論としている。党内では、エネルギー政策などを巡る「東西対立」が絶えなかった。

今回の分裂は、政策の違いに目をつむり、選挙戦術を優先して合流したツケが回ったと言える。

今後は、野党再編が加速しよう。橋下、江田両氏は7月にも新党を作り、来春の統一地方選に向けた準備を急ぎたいとしている。

橋下氏は、自民党に対抗するため、野党結集の必要性を強調する。民主党やみんなの党の一部にも新党参加を呼び掛ける構えだ。

民主党も、傍観してはいられまい。党内では、海江田代表は指導力に欠けるとして、辞任を求める声が出ている。維新の分裂が、民主党内の反執行部の動きを後押しする可能性もある。

一方、石原氏は、将来の自民党との連携を視野に、憲法改正の実現を目指す意向だ。安全保障の考え方が近いみんなの党との協力も模索すると見られる。

肝心なのは、野党再編を進める際に、政治理念や政策を共有することだ。維新の会は分裂後も、合致する政策については政権と協力する「責任野党」の立場を忘れるべきではあるまい。

昨夏の参院選以降、自民党だけが突出した「1強多弱」の状況が続く。野党は存在感を示せていない。政府・与党の政策の問題点を指摘し、政治に緊張感を持たせる役割を果たさねばならない。
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[朝日新聞] 南シナ海対立―憂慮される中国の行動 (2014年05月30日)

中国の国有企業が南シナ海の西沙(パラセル)諸島近くで、石油の掘削を始めてから間もなく1カ月になる。

中国側は作業をやめる気配を見せず、公船を多数投じてベトナムを威嚇している。

力ずくのやり方に国際的に非難が高まるのは当然だろう。中国は責任ある大国にふさわしい振る舞いを考えるべきだ。

中国側が掘削開始をベトナムに通告したのは5月3日だった。その後、両国の船舶の衝突やにらみ合いが続いている。

掘削は場所を移して第2段階の作業に入り、8月中旬まで続けるという。西沙を実効支配する中国としては「近海」だから問題はないと主張するが、「自国の排他的経済水域内」とするベトナムは納得できまい。

現場からは緊迫した様子が報じられている。強硬なのはどちらか、主張は食い違うが、巡視船は中国のほうがはるかに大きく、装備が整い、数も多い。中国軍の艦船の動きも伝えられる。事態を悪化させている責任の所在は、中国側のほうが重いのは明らかだ。

安倍首相や菅官房長官は相次いで憂慮を示した。これに対し中国外務省の報道官は「事実を顧みず、火事場泥棒を狙い、下心のあるもの」と反論した。

日中間に多くの外交問題があるにしても、中国政府を対外的に代表する発言としては乱暴にすぎる。アジアの緊張を高めないよう、隣国の日本政府が意思表示するのはもっともだ。

さらに気になるのは、劉振民外務次官による発言だ。報道によれば、「南シナ海は中国の海上生命線で、中国にとっての重要性は他国をはるかに上回る」と述べている。

南シナ海の安全と航行の自由は、どの国にも等しく大切だ。自国だけに優先権があるかのような主張は説得力をもたない。

中国はこれまで、南シナ海問題では強く出たり、周囲との融和を探ってみたり、態度が揺れてきた。いまの習近平(シーチンピン)政権内にも対外強硬派と協調派があり、前者の発言力が徐々に増しているようにみえる。

中国政府は昨秋、周辺国との外交を話し合う会議で「善隣友好、互恵協力」を打ち出した。それ以前には、東南アジア諸国連合(ASEAN)との間で南シナ海の行動規範づくりにも合意している。

そうした平和共存をめざす基本姿勢に立ち返るべきだ。それがひいては、中国の国益にもかなう。威圧で主張を押し通そうとする姿は、どの国からも尊敬されない。
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[読売新聞] 法科大学院離れ 養成機能の立て直しが急務だ (2014年05月30日)

法科大学院離れに歯止めがかからない。

今春の志願者は過去最低の1万1450人にとどまり、ピークだった2004年の6分の1にまで減っている。

司法制度改革の目玉である法科大学院制度を維持するのなら、立て直しが急務である。

対照的に、志願者が増えているのが、法科大学院を経ずに司法試験の受験資格を得られる予備試験だ。今年の志願者は1万2622人となり、初めて法科大学院志願者を上回った。

予備試験経由で司法試験に合格するのは年100人超で、約2000人の合格者全体から見れば少数派だ。だが、このまま、予備試験ルートが肥大化すれば、法科大学院を中核とする法曹養成制度が揺らぎかねない。

予備試験は本来、経済的事情で法科大学院に通えない人にも、司法試験に挑戦する道を開くための「例外的制度」だ。

ところが、最近は、法科大学院で学ぶ時間と費用を節約するための「近道」として、予備試験を利用するケースが目立つ。法科大学院に在籍しながら、予備試験を受ける学生も多い。

現状が予備試験の趣旨に反しているのは明らかだ。

こうした状況を生み出した最大の原因は、法科大学院が自らに課せられた養成機能をきちんと果たしていないことにある。

昨年の司法試験における法科大学院修了生の合格率は26%で、低水準のままだ。2?3年の歳月をかけ、年間80万?150万円の学費を払っても、司法試験に合格する確率が低いのなら、学生が敬遠するのは無理もない。

04年にスタートした法科大学院は、即戦力の法律家を育てるのが目的だ。実務重視のカリキュラムが組まれ、司法試験の受験対策は基本的に行わない。その結果として、合格率が低迷し、理念倒れに陥っていると言えよう。

実務能力の養成はもちろん必要だが、まずは、司法試験を突破できるような実力を学生に身に付けさせることが大切だ。カリキュラムの見直しが不可欠である。

当初、74校が乱立した法科大学院の淘汰(とうた)も進めねばならない。

文部科学省は、司法試験合格率などに応じて、法科大学院をランク分けし、補助金を傾斜配分する方針だ。撤退や統廃合を迫られる大学院が増えるだろう。

重要なのは、法科大学院のレベルを向上させ、優秀な人材が集まる養成機関にすることだ。
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2014年05月29日

[東京新聞] 名張・再審認めず “門前払い”でよいのか (2014年05月29日)

弁護団が「存命中、最後になるかもしれない」として臨んだ名張毒ぶどう酒事件の第八次再審請求を、名古屋高裁はわずか半年で退けた。手続き論での棄却は、司法への信頼を損ねはしないか。

一九六一年に三重県名張市で女性五人が死亡した名張毒ぶどう酒事件をめぐり、裁判所の判断は二転三転してきた。六四年の一審・津地裁判決は無罪。二審の逆転死刑判決が七二年に最高裁で確定した後も、第七次再審請求で名古屋高裁が二〇〇五年にいったん再審開始決定を出している。

こうした経過を見ただけでも、奥西勝死刑囚(88)を犯人と確信することは難しい事件である。本人の健康状態も、一時は危篤に陥るなど厳しい状況が続いている。

今回の決定について、名古屋高裁は「請求人(奥西死刑囚)と面会するなどして確かめた加齢や健康状態の悪化の程度を踏まえ、判断を早期に示した」としている。

速やかな審理ではあろうが、果たして、死刑を維持するに十分な審理と言えるのだろうか。

棄却理由は「本件請求は、第七次請求で提出したのと同一の証拠関係に基づき、同一の主張をするものであるから許されない」というものだ。中身に入らず、手続き論で訴えを退けた格好である。

弁護側は、毒物鑑定の再現実験を行い、六月に新証拠として提出するとしていたが、裁判所は「そもそも再審請求の要件を欠いている」として取り合わなかった。

今年三月に静岡地裁が再審開始を決定した袴田事件では、再審請求審の過程で、それまで検察側が提出していなかった約六百点の証拠が開示され、冤罪(えんざい)の疑いが深まる大きな要因となった。

毒ぶどう酒事件でも、検察側には多数の証拠が残っているとみられており、弁護側は四月、実況見分のネガや供述調書、ぶどう酒瓶の指紋など未提出証拠の開示命令を出すよう裁判所に申し立てた。

しかし、早々の棄却決定で、未提出証拠が日の目を見ることはなかった。

再審はあくまでも非常救済制度であり、裁判所や検察庁の立場で考えれば、簡単に認めれば三審制の司法制度が崩壊する、ということになろう。しかし、市民の良識を判決に反映させようという裁判員時代の今、制度の安定を優先して疑問点に目をつぶったともとられかねない“門前払い”でよかったのか。

二転三転した死刑判決を死守することが正義とは言えまい。
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