2014年02月28日

[産経新聞] 社会保障改革 支給開始年齢の検討急げ (2014年02月28日)

社会保障制度改革は、昨年末に成立した改革プログラム法によって、当面の手順が決められている。だが、社会保障・税一体改革で積み残された課題は少なくない。中長期のテーマも含め、政府は早期に具体的検討に着手する必要がある。

関係閣僚による「社会保障制度改革推進本部」(本部長・安倍晋三首相)の初会合で、首相は「受益と負担の均衡の取れた制度としていくには、不断の改革が必要だ」と述べた。

団塊世代が75歳以上となる平成37年度の社会保障給付費は、24年度の109・5兆円を大きく上回る約149兆円に及ぶと推計されている。社会保障制度を維持するには、負担増やサービスのカットなど痛みを伴う改革から逃げるわけにはいかない。

しかし、第1弾ともいえる70?74歳の医療費窓口負担の引き上げでも、対象を「新たに70歳になる人」に絞り込むなど、政府与党には切り込み不足の姿勢が見られる。国民の理解を得て、さらに改革を推し進めねばならない。

厚生労働省は現行40年となっている国民年金保険料の納付期間の5年延長案を与党に提示した。だが、検討を急がなければならないのは、65歳に向けて段階的に移行中の年金支給開始年齢を、さらに引き上げることである。

国民の人生設計の混乱を避けるため、引き上げには何年もの期間を要するからだ。高齢者の雇用確保策もセットで考えなければならない。社会の高齢化スピードに追いつけるよう、直ちに議論に着手する必要がある。

単年度の年金給付総額が圧縮されて積立金の取り崩しペースが緩やかになれば、将来的な給付水準の低下抑制につながる効果も期待できる。日本ほど高齢化が進まない米国や英国、ドイツでさえ、67?68歳へと移行する。

社会保障国民会議の報告書も「検討作業については速やかに開始しておく必要がある」としている。避けられない課題として明確に位置付けねばならない。

引き上げ以外にも、大都市部では高齢者向け施設や住宅が不足する。保育の受け皿の整備は十分な予算の確保なしに実現しない。

首相は「26年度を改革の一歩とすべく、本部を司令塔として取り組む」とも述べた。改革の歩みが停滞することがないよう、強力なリーダーシップを求めたい。
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[産経新聞] ビットコイン 利便性消さぬルール化を (2014年02月28日)

インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」の信用不安が世界中に広がっている。東京にある世界最大級の取引所「マウントゴックス」が取引を全面停止した影響で、取引価格が急落しているからだ。

もとより、国家が信用を与える一般の通貨とは異なるものだと認識すべきだが、国境をまたいで瞬時に送金できる利便性などが注目されている。一方、最近は投機の対象として、各国政府や通貨当局が警戒を強めている。日本政府も早急に実態を把握する必要がある。

ただ、こうした仮想通貨は、国際取引が個人レベルに拡大するなかで、今後も手軽な決済手段として広がる可能性が高い。ネット通販による海外からのブランド品や書籍の購入は好例だ。

問題点をあぶり出し、必要に応じて規制するルール作りは当然だが、新たなサービスとして将来の芽を摘んではなるまい。利用を円滑にするためのバランスがとれた目配りがほしい。

ビットコインは2009年に誕生した。最大のメリットは海外送金の手数料がほとんどかからないことだ。日常使っているパソコンやスマホで簡単に利用できる。

銀行送金では、まず窓口に出向き、現地通貨に換える為替手数料に加え、数千円程度の送金手数料を支払わなければならない。

クレジットカードだと、店側は数%の手数料をカード会社に払うが、ビットコインだと1%以下で済む。取扱店は今後、海外を中心に急速に広がる可能性がある。

銀行やカード会社の高い手数料には、もともと利用者側の不満が強かった。仮想通貨の利用が広がっていけば、硬直化した金融サービスの現状に風穴を開けるきっかけにもなる。

そのためにも安全性の確保は最優先課題だ。ビットコインはネット上のプログラムで厳重に管理され、発行量なども高度な暗号技術で守られているというが、ネットの世界に絶対安全はないことを利用者側も銘記すべきだ。

匿名性を武器に麻薬など違法取引や犯罪資金の洗浄に悪用されている疑念も消えない。仮想通貨を広く定着させるには、犯罪行為に関しては利用者を特定できる仕組みも検討すべきだ。同時に、今後のルール作りでは、取り締まりにとどまらず、開発者や利用者の視点を取り込んだ議論が必要だ。
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[東京新聞] 首相の「解釈改憲」 立憲主義を破壊する (2014年02月28日)

安倍晋三首相は「解釈改憲」をし、閣議決定すると述べた。集団的自衛権の行使容認のためだ。政権が自由に解釈を改変するなら、憲法の破壊に等しい。

フランスの哲学者モンテスキュー(一六八九〜一七五五年)は、名高い「法の精神」の中で、こう記している。

「権力をもつ者がすべてそれを濫用しがちだということは、永遠の経験の示すところである」

権力とはそのような性質を持つため、非行をさせないようにあらかじめ憲法という「鎖」で縛っておく必要がある。それを「立憲主義」という。


◆国家権力の制限が目的
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政治も憲法が定める範囲内で行われなければならない。先進国の憲法は、どこも立憲主義の原則を採っている。

安倍首相はこの原則について、「王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方だ」と述べ続けている。明らかに近代立憲主義を無視している。

若手弁護士がバレンタインデーにチョコレートと故・芦部信喜東大名誉教授の「憲法」(岩波書店)を首相に郵送した。憲法学の教科書は「近代立憲主義憲法は、個人の権利・自由を確保するために国家権力を制限することを目的とする」と書いている。

とくに集団的自衛権の行使容認に踏み切る憲法解釈の首相発言が要注意だ。日本と密接な外国への武力攻撃を、日本が直接攻撃されていないのに、実力で阻止する権利のことだ。だが、平和主義を持つ憲法九条がこれを阻んできた。首相はこう語った。

「最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける。審判を受けるのは法制局長官ではない、私だ」「(解釈改憲を)閣議決定し、国会で議論する」


◆自ら「鎖」を解くのか
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仮に首相が何でも決められる責任者だと考えているなら、著しい議会軽視である。しかも、閣議決定は強い拘束力を持つ。

憲法という「鎖」で縛られている権力が、自ら縛りを解いて憲法解釈を変更するのか。しかも、選挙で国民の審判を仰げば、済むのか…。こんな論法がまかり通れば、時々の政権の考え方次第で、自由に憲法解釈を変えることができることになる。権力の乱用を防ぐ憲法を一般の法律と同じだと誤解している。やはり立憲主義の無視なのか。

憲法九条で許される自衛権は、自国を守るための必要最小限の範囲である。「集団的自衛権はこの範囲を超える」と、従来の政府は一貫した立場だった。

かつ、歴代の自民党内閣は解釈改憲という手法も否定してきた。集団的自衛権の憲法解釈を変更することに「自由にこれを変更するということができるような性質のものではない」(一九九六年)。「仮に集団的自衛権の行使を憲法上認めたいという考え方であれば、憲法改正という手段を当然とらざるを得ない」(八三年)などの政府答弁が裏付けている。

元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は講演で「六十年間、風雪に耐え、磨き上げられてきた相当に厳しい解釈だ」と述べている。

集団的自衛権行使を認めると、海外で自衛隊が武力を行使できることになる。実質的に憲法九条は空文化し、憲法改正と同じ意味を持ってしまう。

阪田氏は解釈改憲の手法を「大変不当だ。法治国家の大原則に違反する」とも語っている。「そんなことが許されるなら立法府はいらない」「一内閣のよくわからない理屈で解釈変更するのは、法治国家の根幹にかかわる」という厳しい批判だ。

政権によって自由に憲法の読み方が変わるというのでは、最高法規が不安定になるではないか。解釈改憲は、憲法の枠を超越する、あざとい手段といえる。

「選挙で審判を受ける」という論理も飛躍している。選挙公約には、国民生活などにかかわる“フルコース”の政策メニューが掲げられる。

選挙で勝ったからといって、解釈改憲という重大問題について、首相にフリーハンドを与えるわけではない。

そもそも憲法九九条には「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ(う)」と定められている。首相は本来、現行憲法を尊重し、守らねばならない立場である。


◆多数者支配を許すな
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“芦部憲法”はこうも書く。

<民主主義は、単に多数者支配の政治を意味せず、実をともなった立憲民主主義でなければならないのである>

多数者支配の政治が何でも勝手に決めてしまうならば、もはや非民主主義的である。
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[毎日新聞] 社説:視点「アンネの日記」 日本は反ユダヤにあらず (2014年02月28日)

ユダヤ人の少女アンネ・フランクが隠れ家でつづった「アンネの日記」は、ナチスによるユダヤ人迫害を後世に伝える有名な本である。ところが1月以降、東京都内や横浜市の図書館を中心に「アンネの日記」や関連本が破られる事件が発覚し、日本の「右傾化」と関連づける海外の論調も出始めた。

共同電によると、26日付の中国人民解放軍機関紙、解放軍報は「日本のサイトで『アンネの日記は(事実ではなく)小説だ』とする言論が大量に見いだされる」として歴史否定の動きがあると批判。日記を破いても「記憶を消すことはできない」と指摘した。韓国メディアは、日本にはヒトラーに追随する勢力が少なくないと報じ、在日韓国人などへのヘイトスピーチに象徴される「病的な右傾化現象」との関連に注目している。

推測は自由だが、犯人像も動機もヤブの中なのに、ここまで言うのはいかがなものか。他国の歴史認識をうんぬんするなら、正確な史実を押さえておくべきである。日本は確かにナチスドイツと同盟関係にあったが、ナチスの再三の要求にもかかわらずユダヤ人迫害に同調することはなかったからだ。

たとえば1938年、首相と陸軍・海軍大臣などで構成する五相会議が決めた猶太(ゆだや)人対策要綱は、ユダヤ人迫害は「日本が多年主張してきた人種平等の精神に合致しない」として公正に扱う方針を打ち出した。その背景にはユダヤ難民を受け入れて対米関係改善を狙う思惑(河豚(ふぐ)計画)や、世界を一つの家と見る「八紘(はっこう)一宇」の思想もあっただろうが、「戦前の日本とナチスは違います」(ヘブライ大のベン・アミー・シロニー名誉教授)というのが常識だ。

ユダヤ人に「命のビザ」を発給した杉原千畝(ちうね)、そのビザで日本に来たユダヤ人の滞在延長を助けた小辻節三(せつぞう)など、ユダヤ人が恩人と仰ぐ日本人も少なくない。杉原の関連本も破られたそうだが、日本の歴史に反ユダヤ主義を見るのは難しい。仮に今日の日本が「右傾化」し軍国主義が復活しつつあるとの前提に立っても、だから「アンネの日記」を破る者が出るのだという立論は乱暴である。

他方、大虐殺を体験したユダヤ人には気の毒だ。在日イスラエル大使館は被害にあった図書館に「アンネの日記」などを寄贈した。米国のユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」も強い懸念と怒りを表明した。犯人は日本人なのか、組織的な犯行なのかどうかも不明だが、根の深い事件ではないよう祈りたい。(論説委員・布施広)

2014年02月28日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:大川小の悲劇 重い教訓として備えよ (2014年02月28日)

ラク戦争が始まる直前の2003年3月19日、グレッグ・ダイクさんは当時のブレア英首相から手紙をもらった。イギリスの公共放送BBCで社長をしていた時だ。

イラク関連報道が英政府に批判的過ぎる、という非難だった。ダイクさんは返事を書く。「放送の中心的役割の一つは、時の政権を疑い、政権がいじめてきたら、立ち向かうことである」

首相官邸の圧力は続いた。最悪になったのは、BBCラジオが、イラクの大量破壊兵器疑惑は政府による誇張だった、と伝えてから。情報源探しが始まり、情報源とされた科学者が自殺。そのてん末を検証した調査委員会が「BBCは根拠なき政府非難をした」と結論づけ、官邸の意に沿ったBBC経営委員会がダイクさんをクビにした。

BBCは自分が関係したこの一部始終をつぶさに報道した。調査委員会の公聴会もそうだし、解任されたダイクさんがBBCで社員向けに演説し、大勢に惜しまれながら局を去る場面も中継した。

時にスキャンダルもあるけれど、国民の信頼度は新聞も含めた英メディアでダントツ。「BBCは誇り」なんて歌もある。「僕らはただの視聴者じゃない。BBCは僕らのもの」だって。

厚い支持の裏には、BBCのDNAがありそう。それはBBCニュース元幹部が1970年代に残し、ダイクさんが信条とする言葉に表れている。「放送ほど、自由の対価として不断の警戒が求められるものはない。政治からの圧力に絶え間ない抵抗が必要なのだ。政党と放送局の目的が違う以上、圧力は不可避なのだから」。不屈の心。

うらやましい。だけど、そのDNAの源や守り手は国民。ひとごとではない。

2014年02月28日 02時35分
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[読売新聞] 個人賠償請求 訴え受理なら日中関係損なう (2014年02月28日)

日中関係の大原則をゆるがせにしかねない。習近平政権は将来を見据えた判断をすべきだ。

戦時中に中国から強制連行され、過酷な労働を強いられたとする中国人の元労働者らが、日本企業2社を相手取り、謝罪と損害賠償を求める訴状を北京の裁判所に提出した。

これに対し、菅官房長官は「日中間の請求権問題は、個人の請求権問題を含め、存在していない」と日本政府の立場を強調した。

中国政府は、1972年の国交正常化時の日中共同声明で、日本に対する戦争被害の賠償請求を放棄する、と宣言している。

日本では、中国人による個人賠償請求訴訟があったが、最高裁は2007年、「日中共同声明により、中国人個人は戦争被害について、裁判上の賠償請求はできなくなった」として訴えを棄却した。適切な判断だったと言える。

問題は、今回の訴えを、共産党政権の指導下にある裁判所が受理するかどうかだ。受理されれば、中国では、日本企業に対する初めての強制連行訴訟となる。

中国政府は、日中共同声明には個人の賠償請求権は含まれないという立場を取っている。しかし、実際には、裁判所は今までそのような訴えを受理しなかった。

巨額の円借款などで経済発展を支えた日本との関係維持を重視したからだろう。

ひとたび歴史を巡る国内での法廷闘争を容認すれば、大規模な反日デモや、政権の対応を「弱腰」とする批判を誘発しかねないとの警戒感もあったに違いない。

ただ、現在の状況はこれまでと異なる。日中間では首脳同士が会談さえできない。習政権は、安倍首相による昨年末の靖国神社参拝を機に、歴史問題で日本を攻撃する反日宣伝を一層強めている。

習政権が従来の方針を転換し、裁判所が訴えを受理すれば、関係の悪化はより深刻となろう。

そうなれば、どれだけの個人が被害を訴え出るのか、予測もつかない。中国は、強制連行された人は約4万人に上るとしている。

中国リスクの高まりが懸念され、日中間の貿易や投資、観光などが冷え込む可能性もある。

日本にとって、韓国で元徴用工が日本企業に損害賠償を求めている裁判と、中国の強制連行訴訟は、基本的に似た構図と言えよう。

日本政府は、訴えられた企業を支援すべきだ。中韓及び国際社会に対しては、法的に解決済みの問題を蒸し返すことの不当性を強く訴えていかねばならない。
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[読売新聞] 教育委員会改革 責任の明確化で機能強化図れ (2014年02月28日)

教育現場の諸問題に、適切に対処できる体制の構築に向けて、一層議論を深めてもらいたい。

自民党が教育委員会制度の改革案をまとめ、公明党との協議を進めている。政府は与党協議の結果を踏まえ、今国会に地方教育行政法の改正案を提出する方針だ。

自民党案のポイントは、地方教育行政の最終権限を教委に残して、政治的中立性を確保しつつ、自治体の首長の意向を従来より反映しやすくしたことにある。

具体的には、教委を代表する教育委員長と実務を統括する教育長を統合し、首長に任免権を与えた。教育委員長と教育長が併存し、責任の所在が不明確な現状を是正する方向性は妥当である。

現行制度は、地方の有識者ら教育委員が合議で意思決定する仕組みになっている。教育長以外の委員は非常勤で、形骸化が指摘されてきた。改革は急務だ。

中央教育審議会は昨年12月、地方教育行政の最終権限を教委から首長に移す答申をまとめた。

中教審の改革案では、首長が特定の立場に偏って影響力を行使しようとした場合、歯止めがきかなくなる恐れがあった。

自民党案のように教委に最終権限を残せば、首長の暴走を防ぐ上で一定の効果が期待できよう。

一方で、自民党案は、予算の執行権を握る首長が主宰する「総合教育施策会議」を新設し、重要施策を策定することも提言した。

首長の指導力を発揮できる場を確保する意味合いがあるが、大切なのは、首長と教委の権限の均衡を保ちながら、地方教育行政をしっかり機能させることである。

自民党案では、総合教育施策会議は、公立学校の設置や廃止、教職員の定数などを協議し、教委は教職員人事や使用教科書を決めることを想定している。

だが、両者の関係は今ひとつ分かりにくい。自治体が役割分担を明確にして運用しないと、かえって教育現場に混乱が生じ、円滑な教育行政の遂行の障害となる。

自民党案には、児童・生徒の自殺など重大事案が発生した際、首長が教委に対して適切な措置を要求できることも盛り込まれた。大津市のいじめ自殺事件で、迅速な対応がとれない教委の危機管理能力の欠如が露呈したからだ。

教委事務局には教師出身者が多い。学校関係者に対する身内意識から、厳しい姿勢で原因調査に臨めないとの批判が根強くある。制度改革では、こうした体質を改める視点も重要だ。
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[朝日新聞] 朝鮮半島統一―信頼の小石を積もう (2014年02月28日)

北朝鮮南東部にある金剛山は朝鮮半島の人たちが、思いこがれる美しい山だ。

その名峰は、今月25日までの6日間、涙に暮れた。

南北に暮らす離散家族が六十数年ぶりに再会した。約700人がわずかな時を分かち、またも別離の悲しみを抱えてそれぞれの「国」にもどった。

高齢化が進んでおり、救急車で軍事境界線を越えたお年寄りもいた。再会を申請した人のうち韓国側だけでも年に約3800人が亡くなっている。

政治が対立を続ける限り、この悲劇は終わらない。

3年4カ月ぶりに実現した再会事業を機に、韓国と北朝鮮は民族の和解と地域の安定に向けた本格対話を進めてほしい。

韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は今年に入り、「統一はビッグチャンスだ」と繰り返している。統一は朝鮮半島の新たな成長動力を生み、韓国や周辺国にとって好機になるとの趣旨だという。

25日に就任1年を迎えた朴氏は、大統領直属の「統一準備委員会」を設けるとも表明した。

北朝鮮は韓国経済にのみ込まれる「吸収統一」を、韓国は北朝鮮の武力による「赤化統一」を絶対に受け入れられない。そのため「統一」という言葉自体が敏感に扱われてきた。

朴政権は最近、金正恩(キムジョンウン)体制の急変事態も想定し、米国との協議を進めている。一方の北朝鮮は自主統一を唱え、米国など外部勢力の排除を呼びかける。

同じ言葉を使っても、双方が描く絵はかけ離れている。

相互不信の岩盤は厚いが、それでも少しずつ南北を結ぶ風穴をうがつような和解の作業を不断に続けるしかない。

00年に実現した初の南北首脳会談では、それぞれの統一構想に接点があることを確認した。

今回の離散家族の再会事業を決めた高官協議では、相手を誹謗(ひぼう)中傷しないことや話し合いの継続を確認した。

微々たる進展ではあるが、南北間の緊張緩和は、日米など周辺国の安全保障にも役立つ。

朴政権は、すべての南北事業を滞らせた李明博(イミョンバク)・前政権の轍(てつ)を踏んではならない。

もちろん統一構想を進めるうえで、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決は必須条件である。

北朝鮮に対し譲れない原則は貫きつつも、対話の窓は広げる硬軟両様の知恵が求められる。

再会事業のさなかも、朝鮮半島西側の黄海では米韓合同軍事演習をめぐって緊張が続いた。

一進一退のやりとりの中から信頼の小石を積み上げる。それ以外に南北和解の道はない。
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[朝日新聞] 表現の自由―「あいつが悪い」のか? (2014年02月28日)

社会がしぼんでいる。

憲法が悪い。ネトウヨが悪い。中韓が悪い。そうやって次々と「あいつが悪い(自分は悪くない)」で物事を単純化して批判すると、スッキリする。しかしみんながスッキリしていても、誰もが生きやすい、豊かな社会は成り立たない。批判を恐れ、人々は萎縮するばかりだ。

「表現の自由」をめぐる現状を例に、考えてみたい。

NHK経営委員という公人が、都知事選の応援演説で他候補を「人間のくず」とののしっても、「表現の自由だ」として許される。

一方、東京都美術館は今月、展示されていた作品の一部、「現政権の右傾化を阻止」などと書かれた紙を撤去させた。

昨年7月の参院選前には、東京都千代田区立の図書館で開催が決まっていた映画「選挙」の上映会が、内容に懸念があるとして中止されそうになった。

いずれも苦情があったわけではない。館の自己規制だ。

美術館や図書館といった公共施設は、表現の自由が最も守られる場所であらねばならない。

多様な価値観を擁護し、新たな価値観を創出するという社会的使命を忘れ、安易な自己規制に走る。それがどれだけ社会を萎縮させるか、自覚すべきだ。

その上でもう一歩分け入ってみる。そもそも、このような「べき」論を支える社会的基盤が弱っているのではないか。

「官僚たたき」や行政の無駄に対する批判の中で、03年に新制度が導入され、公共施設の運営が民間に委託されるようになった。例に挙げた2館も、公益財団法人や企業が自治体から運営を請け負っている。

各施設でサービス向上、集客増などの成果があがる一方、運営に関わる人からはこんな声も漏れる。

「外部からクレームがつくと、自治体から契約を切られるかもしれないという不安がある。表現の自由を守るために踏ん張れと言われても、厳しい」

「効率」や「利益」が優先された結果、数字には還元されない「表現の自由」のような公共的価値は脇に置かれる構造が生まれてしまっている。

さあ、どうしよう。

まずは私たち一人ひとりが「あいつが悪い」から抜け出すことだろう。社会の豊かさとは何か、自分の問題として引き受け、しぼんだ社会に少しずつ息を吹き込んでいくしかない。面倒だしスッキリもしない。でも、誰かのせいにしているだけでは社会の萎縮と自粛が進み、息苦しさは増す。
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2014年02月27日

[東京新聞] TPP先送り 国益は何か再考の機会 (2014年02月27日)

環太平洋連携協定(TPP)交渉は閣僚会合で合意できず、日米の関税交渉不調に焦点が当たった。だが、TPPの本質は国の根幹まで変えかねない広範な交渉だ。国益は何か再整理すべきだ。

日米など十二カ国が参加するTPP交渉は、昨年末の決着先送りに続き、またも大筋合意に至らなかった。二大経済大国である日米が関税分野で折り合えなかった影響は確かに大きいが、米国は新興国との間でも知的財産分野などで対立が解けなかった。全体を見渡せば、企業や業界団体の圧力を背負う米国の硬直的な交渉姿勢が不調の主因といえるだろう。

米国は今秋に中間選挙を控えていること、さらにオバマ政権は米議会から大統領貿易促進権限(TPA)を得られていないことで交渉国から譲歩を勝ち取らなければならない状況だったのである。

そもそもTPPは、二〇〇六年にシンガポールやニュージーランドなど四カ国による発足当初は「小国同士の戦略的提携により市場での存在感を高めること」が狙いだった。一〇年に米国が参加して大きく変質し、貿易・投資の自由かつ公正な競争市場づくりという名目の下、米国主導で二十一分野にわたる広範な交渉になった。

NAFTA(北米自由貿易協定)をテコに米国がカナダやメキシコで経済権益を強大化したように、TPPも環太平洋地域で米国が利益を享受するために対象国の制度や法律まで作り変えるのではないかとの懸念が強い。今回、米国はまさに自国流のルール押しつけに終始し、交渉相手国の国内事情への配慮を欠いた。

例えば、マレーシアは安価な後発薬(ジェネリック医薬品)に道を開く薬の特許期限短縮を求めたが、企業の利益にこだわる米国は譲歩しなかった。問題は命か経済かの選択である。TPPは環境など国民の安心、安全に関わる多岐の分野を扱うが、交渉妥結まで秘密を強いるために国民には伏せられたままである。

さらにISDS条項といって投資家が規制などで不利益を被った場合に対象国に賠償を求めることができる制度まで含まれている。

日本政府はTPP参加で実質国内総生産(GDP)が0・66%、三・二兆円底上げされると試算、成長戦略の柱と位置付け早期妥結を目指している。だが、その経済効果と引き換えに失うものが何か、本当に「国益」にかなうのか、この機会に再考してほしい。
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[産経新聞] 「アンネ」書籍破損 許されない愚かな行為だ (2014年02月27日)

東京都内などの図書館で「アンネの日記」や関連本が破損される被害が相次いでいる。

文化を育み伝え、言論活動を支える書籍を損ない、自由な読書を妨げる愚かな行為だ。誰がどんな理由でやったにせよ、許せない。

破られた本は、1月下旬から東京都杉並区や中野区などを中心に確認され、横浜市でも見つかった。被害は約40の図書館で300冊を超える。

特定の本をねらう執拗(しつよう)なもので、警察は器物損壊事件として異例の捜査本部を置いて捜査している。再発防止のためにも早期の解決を望みたい。

日本図書館協会は「貴重な図書館の蔵書を破損させることは、市民の読書活動を阻害するもので極めて遺憾」と声明を出した。破損本の中には絶版で図書館などでしか読めないものもある。

本を閉架書庫にしまうなど図書館は対応に追われ、本が自由にみられない影響も出ている。

「アンネの日記」は、ナチスの迫害からアムステルダムに逃れ、隠れ家で暮らしたユダヤ人少女、アンネ・フランクがつづった日記だ。日本でも子供の頃から読み親しんだ人が多いだろう。

書籍破損の被害が同書やユダヤ人迫害を扱った本などに集中していることから、海外でも報じられ注目されている。

ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は「衝撃と深い懸念」を表明した。イスラエル大使館から被害にあった図書館に本が寄贈されるなどの動きもでている。

本を破った者の意図がどうあれ、多くの人の心を傷つけている事実を軽くみてはならない。欧米ではとりわけ、今回の行為は反ユダヤ主義的なものではないかともみられ、日本のイメージを損ないかねない問題だ。

図書館をめぐっては、千葉県船橋市の市立図書館で平成14年に、保守系の評論家らの著書が廃棄される問題が発覚した。その著者らが訴えた裁判の判決で最高裁は、公共の図書館の役割について「独断的な評価や個人的な好みにとらわれず、公正に図書を扱う義務がある」としている。

さまざまな考え方の本や資料が広く公開される図書館の役割は大きい。本を守ることは伸び伸びとした自由な言論につながる。これを妨げてはならない。
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[東京新聞] 大川小被災検証 遺族の願いに応えたか (2014年02月27日)

東日本大震災の津波で多くの犠牲者が出た宮城県石巻市立大川小学校の外部検証委員会が避難の遅れが被災の主因とする最終報告をまとめた。だが遅れの“謎”は未解明。踏み込み不足は否めない。

大川小は河口から約四キロ上流にあり、津波の予想浸水域からは外れ、むしろ近隣の避難所に指定されていた。

だが津波は川をさかのぼって襲い、全校児童百八人のうち七十四人と教職員十人の計八十四人が死亡、行方不明になった。学校で被災し、助かったのは児童四人と教師一人だけだった。

検証委の最終報告書は▽避難開始の決定が遅れたこと▽津波を免れた(学校の)裏山ではなく、危険な河川堤防近くを避難先に選んだこと−が、被災の直接の要因と結論づけた。

遺族は、そうしたことは、すでに知っていた。地震発生から避難を始めるまでの約五十分間、裏山がすぐ近くにあるのに、児童らは校庭にとどまっていたという。

「なぜか」

遺族が求め続けていたのは、その“空白の五十分間”の真相解明に尽きる。核心が解き明かされない限り、最終報告書として納得して受け入れられるはずもない。

そもそも被災後の市教委のずさんな対応が、遺族との間に溝をつくり、検証を遅らせてきた。

唯一の生還教諭の報告メールが削除されていたり、聞き取り証言の記録メモが廃棄されていたり。それらをしぶしぶ認めた市教委の説明そのものが二転三転した。

たまりかねた文部科学省などの主導で、震災から約二年後に検証委が動き始めたのが実情だ。この市教委の体質は、大津市のいじめ自殺の問題を連想させる。

最終報告書で検証委は遺族の要望に応え、被災後の市教委などの対応に言及し「遺族に不信感を抱かせた」と指摘。さらに検証委立ち上げの遅れで「調査に一定程度の限界があったことは否めない」とも認めざるを得なかった。

防災教育の充実など二十四項目の提言を示したが結局、大川小被災の真相には迫り切れぬまま。一部遺族は提訴も辞さないようだが、本来は前例のない惨事の検証を今後の学校防災に生かし、遺族たち自らが前を向いて進みたいとの願いがあったはずだ。

何が生死を分けたのか−。先の大震災では、そんなきわどい被災例は多い。三月一日に市に手渡される予定の最終報告書。受け取った市の姿勢こそが問われる。
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[産経新聞] 中国の賠償訴訟 政府が日本企業を支えよ (2014年02月27日)

韓国に続き中国でも、戦時中の過酷な労働を理由に日本企業提訴の動きが再燃した。戦時賠償問題は、昭和47(1972)年の日中共同声明に基づき決着済みだ。政府は、中国側の勝手な都合で日本企業が不当な扱いを受けないよう、全面的に支援してほしい。

さきの大戦で、日本に「強制連行」されて過酷な労働を強いられたとして、中国人元労働者や遺族計37人が、三菱マテリアルなど2社を相手取り、謝罪と損害賠償訴訟を求める訴えを北京市内の裁判所に起こした。

原告団は、1人当たり100万元(約1700万円)を支払うよう求めているという。

菅義偉官房長官は会見で、戦時賠償は個人の請求権問題も含め、「日中共同声明において存在しない」と述べた。当然である。賠償を請求するなら、自国の政府を相手に行うのが筋である。

中国人元労働者の賠償請求訴訟は、過去にも日本の裁判所に起こされた。しかし、最高裁は平成19年、日中共同声明について、個人の損害賠償などを含め戦時に生じたすべての賠償を放棄することを定めていると明確に判示し、原告の敗訴を確定させた。

中国の裁判所への提訴は過去にもあったが受理されなかった。今回は反日攻勢さなかの提訴だ。尖閣諸島への挑発や国際社会での反日宣伝に飽きたらぬ、新たな揺さぶりの可能性もあり、注意深く見守る必要があろう。

中国は近く、抗日勝利、南京虐殺追悼という国家記念日も制定する。日本の戦争責任を国際社会に訴える狙いが見える。

賠償訴訟の原告団には習近平国家主席に近い学者らも含まれる。中国で司法機関は形式的には独立しているものの、実質的には共産党の指導下にある。受理されれば党中央が賠償請求を容認したことを意味する。

韓国では昨年、徴用工の賠償訴訟で日本企業が敗訴する不当な判決が出た。法的に解決済みの問題が蒸し返され、中韓両国で賠償請求が際限なく広がりかねない。

日本政府はこの問題を企業側に任せず、訴訟が両国間の約束に反することを中国政府に強く働きかけるなど、責任を持って対応しなくてはならない。今回の訴訟の動きは、日中共同声明の精神を踏みにじり、日中関係を悪化させるものだと強く訴えるべきだ。
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[毎日新聞] 社説:武器輸出三原則 歯止めなき拡大を懸念 (2014年02月27日)

安倍政権が検討している新たな武器輸出三原則の原案が明らかになった。歯止めがかからないまま、なし崩し的に武器輸出が拡大するのではないかとの懸念をぬぐえない。

現行の三原則は、1967年に佐藤内閣が「共産圏」「国連決議による武器禁輸国」「国際紛争の当事国やそのおそれのある国」への武器輸出を禁じ、76年に三木内閣が他の国にも輸出を「慎む」として全面禁輸に拡大した。83年に中曽根内閣が米国向けの武器技術供与を例外にして以来、21件の例外化を重ねてきた。

新原則は、現行の三原則のうち「国連禁輸国」は維持するが、「共産圏」「国際紛争当事国」への禁輸項目は削除する。そのうえで、一定の要件を満たせば輸出を認める方式に転換する。重要案件は国家安全保障会議(NSC)で審査する。

見直しの背景には、高価で先端技術を要する武器は国際共同開発・生産が主流になっており、参加により調達コストを減らしたり、防衛産業強化につなげたりする狙いがある。

新たな三原則は、(1)国際的な平和や安全の維持を妨げることが明らかな場合は輸出しない(2)輸出を認める場合を限定し、厳格審査する(3)目的外使用や第三国移転について適正管理が確保される場合に限定する。

新原則で「国際紛争当事国」への禁輸を削除したのは、周辺国との武力衝突が懸念されるイスラエルに対し、国際共同生産で日本製部品を組み込んだ戦闘機F35が供与されるようなケースを念頭に置いたためだ。

しかし国際紛争の助長回避は、武器輸出三原則の基本理念だ。削除が妥当かどうか、国外に与えるメッセージも含めて慎重に検討すべきだ。

また新たな三原則のうち「輸出を認める場合」は、拡大解釈の余地が大きい。政府案によれば、例えば日本の安全保障に資する場合で、安全保障・防衛協力の強化になると判断されれば、国際共同開発・生産以外でも武器輸出が可能になる。

しかも目的外使用や第三国移転は、原則として日本政府の事前同意を相手国に義務づけているが、約束が守られるか日本側がチェックする仕組みはない。輸出した武器が紛争に使われ、日本への反感を生んだり、日本の安全保障に不利益をもたらしたりする可能性も否定できない。

これまでは例外化のたびに官房長官談話が出され、輸出内容が公表されたが、新原則のもとでは輸出可否の決定は非公表となりかねない。透明化の仕組みが必要だ。

安倍政権は、集団的自衛権の議論が本格化する前の3月中に新原則を閣議決定する方針だ。スケジュールありきではなく、国民の納得が得られるような議論が欠かせない。

2014年02月27日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:通常国会 まるで「超1強」状態だ (2014年02月27日)

通常国会の様相が次第にはっきりしてきた。与党は強気の国会運営で2014年度予算案を近く衆院で通過させる構えだ。

さきの臨時国会で出現した自民党「1強」構図だが、野党のいわゆる第三極勢の安倍晋三首相への接近で今国会はそれに拍車がかかりつつある。外交・安全保障や歴史認識問題など安倍内閣の姿勢が問われる論点は多い。日程消化を急がず、今こそ徹底論戦が必要な局面だ。

予算案について与党は実質審議14日で通過させるようなスピード審議を目指し、これには野党側も結束して反対した。だが、すでに採決の前提とされる中央公聴会の審査を終えるなど、与党ペースは色濃い。

衆参ねじれは解消し、衆院では与党だけで3分の2を確保する圧倒的優位だ。予算案への対応と別に、いわゆる第三極勢が焦点の外交・安全保障に関わる問題で首相と協調している点が論戦全体に影響している。

たとえば日本維新の会の石原慎太郎共同代表は予算委員会で首相の靖国神社参拝を支持、「東京裁判」批判にも同調するよう首相に迫ってみせた。山田宏衆院議員が従軍慰安婦問題の「河野談話」の根拠となった元慰安婦への聞き取り調査の検証を求めて行った質疑には、首相から感謝の意が伝えられたのだという。

みんなの党も負けてはいない。渡辺喜美代表はさきの党大会で「みんなの党は保守の政党だ」と宣言、首相が意欲を示す集団的自衛権行使を認める解釈改憲に協力する姿勢を鮮明にした。行使容認に慎重な公明党に野党側から圧力がかかるのだから首相には願ったりの構図だろう。

国会で議論を尽くすべき課題は歴史認識問題など切迫度を増している。解釈改憲をめぐる質問に首相は「最高の責任者は私だ。私たちは選挙で国民から審判を受ける」と答弁し、与党にも批判を広げた。選挙に勝てば憲法解釈も思い通りに変えられると取られかねない発言だけに、首相の憲法観が問われている。

NHKの籾井勝人会長の発言問題もなお深刻だ。批判を呼んだ就任会見について「大変な失言をしたのでしょうか」と経営委員会で語ったり、理事全員にあらかじめ日付抜きで辞表を出させたりした行為が新たに判明した。公共放送トップとして、適格性への疑問は深まるばかりだ。

そんな状況をよそにいたずらに駆け足の国会運営を与党が図るのであれば、数のおごりである。論戦の中身をアピールできない野党第1党、民主党の責任も当然ながら大きい。とりわけ集団的自衛権行使の見解を早急に集約すべきだ。さもないと「超1強」に立ち向かう迫力などとても得られないはずだ。

2014年02月27日 02時30分
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[読売新聞] 福島原発汚染水 管理は限界に近づいている (2014年02月27日)

東京電力福島第一原子力発電所で、110トンの汚染水漏れが起きた。

昨年8月に300トンもの漏出が発生したにもかかわらず、今回も東電の対応には初歩的ミスがあった。防止策が急務である。

漏出は、4号機の山側にあるタンクで起き、放射性ストロンチウムを含む高濃度の汚染水が漏れ出た。海洋汚染の心配はないが、土壌などが汚染されたという。

まずは、汚染水の回収や土壌の除染を進めねばならない。

原因は、満杯に近いタンクに汚染水が流れ込んだことだ。このタンクにつながる配管の弁が開いていたため、別のタンクに貯(た)めるはずの汚染水が入り、あふれた。

なぜ弁が開いていたのか、徹底究明を求めたい。

漏出したタンクの水位が高いことを示す警報は表示されていた。だが、現場では計器の異常と判断し、対応を怠った。

昨夏の汚染水漏れの後、東電はタンクに水位計を付け、巡回点検を強化していた。再発防止策が機能しなかったのは問題である。

現場の放射線量は依然として高い。厳しい作業環境の中で、汚染水を貯めるタンクが増えすぎて、管理は限界に近づいているという側面もあるのではないか。

福島第一原発では、炉心を冷やす冷却水や、建屋に流れ込む地下水が元になって、毎日400トンの汚染水が発生している。敷地内の貯水タンクは、すでに約1000基に達しており、タンクの設置に追われている状況だ。

どのタンクも満杯に近く、日常的に警報が出ているという。タンクの総容量を倍増する計画だが、遠からず設置場所はなくなる。

地下水は海洋に放出し、建屋への流入量を減らす対策が必要だ。地盤を凍らせて流入を防ぐ凍土壁の開発も急ぎたい。大がかりな事業だけに、政府が主体的に取り組むことが大切である。

さらに汚染水も、浄化して海に流せば貯蔵のトラブル軽減につながる。政府と東電は、粘り強く地元の理解を得ねばならない。

4号機では、燃料貯蔵プールの冷却が停電により4時間半止まるミスも起きた。近くで道路を掘削中に電源ケーブルを誤って損傷したという。プールには1000体以上の燃料が保管中だ。重要な冷却用電源の管理に不安が残る。

汚染水の浄化装置も26日、トラブルにより停止した。

廃炉への長い道のりを乗り切るには、政府と東電が安全対策を総点検することが重要である。
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[読売新聞] TPP交渉不調 日米が協力して漂流させるな (2014年02月27日)

日本と米国の対立が障害となり、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は再び、大筋合意を見送った。

このまま交渉を漂流させてはならない。主導すべき日米両国が交渉を早急に立て直すべきである。

日米を始め、豪州など12か国が参加したシンガポールでのTPP閣僚会合が終了した。

昨年12月の仕切り直しだったのに、2度目の物別れだ。妥結目標を示さず、次回日程も決まっていない。期待外れの結果である。

TPPは、アジア太平洋地域で新たな自由貿易ルールを作り、21世紀型の経済連携で世界をリードすることが狙いだ。しかし、交渉の勢いが弱まれば、膠着(こうちゃく)状態を打開するのは難しくなるだろう。

大筋合意を断念した主因は、関税撤廃を巡る日米の対立だ。

自民党がコメ、麦など農産品5項目を関税撤廃の聖域として主張している問題で、米国はあくまで関税撤廃を求めて強硬だった。日本は5項目のうち、牛肉や豚肉の関税引き下げを打診し、妥協点を探ったが、溝は深かった。

日本が米国に要求した自動車や自動車部品の関税撤廃問題でも、対立は解けなかった。

経済大国の日米がTPP交渉で互いに原則論に終始し、柔軟性を示さなければ活路は開けない。ともに大局的見地を欠いていた点は反省すべきだ。

日米協議を注視していた豪州やマレーシアなど新興国も消極的になった。米国と新興国の主張にも開きがあった。交渉全体の足を引っ張った日米の責任は大きい。

今後の焦点は、TPP交渉をどう立て直すかである。

12か国は中国・青島で5月に開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合の際に次回会合を開く考えとみられる。

TPP交渉打開に向けて重要になるのが、4月下旬に来日するオバマ米大統領と安倍首相との日米首脳会談である。TPPが主要議題にならざるを得ない。

米国では、11月の議会中間選挙を控え、保護貿易主義圧力が高まっている。このため、米国が譲歩しにくい展開も懸念される。

大統領は雇用や輸出拡大のためTPP妥結を最優先課題に掲げてきた。国内調整と交渉進展で指導力を発揮してもらいたい。

TPPを成長戦略の柱に据える安倍首相の姿勢も問われる。市場開放に備え、農業分野の競争力を強化しながら、米国との接点を見いだす先頭に立つ必要がある。
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[朝日新聞] エネルギー政策―これが「計画」なのか (2014年02月27日)

安倍政権が新しいエネルギー基本計画の政府案を決めた。

昨年末の原案から少し手直しがあったものの、焦点の原発については依存度を「可能な限り低減させる」としながら、何の手立ても示していない。

これではとても「基本計画」とは言えない。

原発による発電の比率は、原子力規制委員会の審査状況が見通せないため、具体的な数字が盛り込めないという。

私たちは社説で原発ゼロを目指すべきだと主張してきた。安倍政権は原発維持の立場だが、「減らす」というからには、数字が出せなくても、その手順を示すのは最低の条件である。

ところが、政府案は「規制委の判断を尊重し、再稼働を進める」というだけだ。

福島第一原発の事故が起き、規制が強化された。おのずから動かせる原発の数は減る。それ以上のことは何もしないなら、ただの現状追認でしかない。

使用済み核燃料を全量再処理する核燃料サイクル事業も、行き詰まりを直視せず、相変わらず「推進」とうたっている。

詰める点はほかにもある。

老朽化した原発を円滑に閉めさせるため、政府は何をするのか▼30キロ圏内の自治体に義務づけた防災計画を再稼働の判断にどう位置づけるのか▼使用済み核燃料棒の保管場所を確保できる見通しがたたない原発は、その段階で運転を止めさせるべきではないか……。

電力市場の活性化も原発と密接に関連する。

電力会社は原発の再稼働をにらみ、老朽化して燃料効率の悪い火力発電の建て替えに動こうとしない。政府が原発以外への電源へシフトさせる策を示さなければ、代替電源の開発は進まない。化石燃料費の圧縮にもつながらない。

原発への回帰は、再生可能エネルギー事業者など新電力にとっても投資意欲を失わせる。当面のコスト競争では既存の原発が有利だからだ。政府が原発の低減に強い意志がないと見れば、リスクをとって新規参入したり、新技術を開発したりしようという企業は出てこない。

原発は政府の支援がなければ成り立たない電源だ。事故の反省をもとにエネルギー計画を立てる以上、まず政府自身が原発に偏ってきた政策を改めるべきだ。そうしない限り、政権が進めようと意気込む電力改革も挫折する可能性が高い。

政府案はこれから、自民、公明両党のワーキングチームで議論するという。国民がしっかり見ていることをお忘れなく。
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[朝日新聞] TPP交渉―日米の責任は大きい (2014年02月27日)

環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐるシンガポールでの閣僚交渉は、合意に達することができなかった。次回の閣僚会合も未定だ。

参加12カ国のうち経済規模でず抜けている米国と日本が、関税分野で折り合えなかったことが主因である。

両国の責任は大きい。4月にはオバマ米大統領の訪日も控える。ただちに二国間交渉を再開し、打開策を見つけてほしい。

まずは、米国である。

牛・豚肉やコメなど日本が高い関税で守っている「重要5項目」について、米国は一律に関税ゼロを求める姿勢を崩さなかったようだ。

TPPは関税撤廃を原則に掲げ、高い水準の自由化を目指している。米国の方針はこれに沿ったものではあるが、かたくなな対応では交渉は進まない。しかも、豪州との自由貿易協定では砂糖などを「聖域」として保護しており、TPPでも同様の考えとされる。

米国では、通商分野での議会の権限について、政府がまとめた協定を一括して認めるか否かに限る貿易促進権限法が失効している。今秋の中間選挙を控えて議会は個別業界の利害に神経質になっており、政府は議会の意向を気にしてことさら強硬になっているようだ。

ただ、これは米国が自ら解決すべき問題であり、国内事情を交渉に持ちこむのは筋違いだ。米国は、新興国との間で対立していた国有企業や知的財産権をめぐるルール作りでは、一定の譲歩をした。こうした柔軟性を関税分野でも期待したい。

日本にも、問題は多い。

全品目のうち関税を撤廃する品目の割合である自由化率で、日本の提案は米国を含む他の国より大きく見劣りしている。重要5項目は細かく分けると586品目あるが、この4割は輸入実績がない。品目ごとに関税を下げたり撤廃したりする余地は十分あるはずだ。

甘利TPP相は、日本の事情は理解されたとしつつ、「何もしなくていい、という理解ではない」と強調した。当然だ。

重要5項目は、衆参両院の委員会が決議で示したとはいえ、貿易の実態を反映していないことを踏まえねばならない。

アジア太平洋は今後、高い成長が期待できる地域だ。そこに新たな貿易・投資ルールを打ち出し、地域の活力を取り込むことが欠かせない点は、日米両国に共通する。

TPPの目的は何か。両国政府は改めて確認し、粘り強く交渉する必要がある。
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2014年02月26日

[東京新聞] 車で歩道突入 なぜ「無差別」なのか (2014年02月26日)

また「誰でもよかった」である。名古屋駅近くの繁華街で起きた乗用車の歩道突入。無差別殺傷を狙う理不尽な事件がなぜ、こうも続くのだろう。未然に防ぐ手だてはあるのだろうか。

日曜日の昼、狙われたのは繁華街の歩行者。

二〇〇八年六月、東京・秋葉原でトラックが歩行者天国に突っ込むなどした無差別殺傷事件もそうだった。逮捕された容疑者の「誰でもよかった」という供述も同じだ。偶然なのだろうか。

名古屋の事件で逮捕された三十歳の容疑者は、大学卒業後、アルバイトをしていた時期もあるが長続きせず、最近は無職。昨年からは一人暮らしで「家族と折り合いが悪かった」と供述している。

動機については「理由は一つや二つではない」「簡単には説明できない」と話しているという。

なぜ、無差別に殺そうとしたのか。背景はまだ判然としないが、これまでに明らかになった状況からは、過去の無差別殺傷事件との共通点も浮かんでくる。

いかなる理由があろうと正当化される話ではないが、その理由を調べた研究がある。

法務省・法務総合研究所が昨年「無差別殺傷事犯に関する研究」と題する報告書をまとめている。死亡者がなかった事案も含め、一〇年までの十年間に判決が確定した五十二件の分析である。

浮かび上がった傾向は(1)多くは男性(2)年齢層は一般的な殺人事犯者に比べて低い(3)交友関係、異性関係、家族関係が希薄、険悪(4)就労状況が不安定−など。報告書は「全般的に、社会的に孤立して困窮型の生活を送っていた者が多い」としている。

さらに「精神障害等の診断を受けた者が多いが、治療を受けていた者は少ない」とも指摘する。

もちろん、こうした特徴に該当しても犯罪とは無縁の生活を送る人がほとんどであり、その点は気を付けなくてはならない。その上で、分析が示す意味を考えたい。

報告書も指摘するように、社会的孤立が共通項であるならば、何よりも求められるのは、社会における「居場所」と「出番」をつくることだろう。

今の日本社会は、孤立しそうな人に、きちんと目を向けているだろうか。精神障害があっても、偏見や差別を恐れて治療に行くことに二の足を踏ませるような雰囲気をつくってはいないだろうか。

社会のせいとは断じて言わせないが、社会の側も考えてみたい。
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