2014年01月31日

[産経新聞] STAP細胞 広い視野で独創支えたい (2014年01月31日)

日本の女性研究者の独創が、生命科学の常識を覆した。

理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームが作製した新しい万能細胞(STAP細胞)だ。

研究ユニットリーダーの小保方(おぼかた)晴子さんは、まだ30歳という若さで、3年前に博士号を取得したばかりである。

小保方さんらは、マウスの体の細胞を弱酸性の溶液に浸すと、どんな細胞にも分化できる「多能性」を持つようになることを実証した。

マウスやヒトの体細胞に、特定の遺伝子を導入して多能性を持たせた人工多能性幹細胞(iPS細胞)に比べ、簡単で作製効率も高いという。

今後は、ヒトのSTAP細胞が作れるかどうかが、最大の焦点となる。iPS、STAPと続けざまに画期的な成果を生んだことを日本の強みとし、激しい国際競争を勝ち抜いてもらいたい。

一方で、再生医療への応用といった短期的な成果だけにとらわれず、日本の独創をさらに大きく育てる長期的な視野も必要だ。

小保方さんも「数十年後とか100年後の人類社会への貢献を意識して、今後の研究を進めたい」と語っている。

分化が進んだ体細胞が、受精卵のような多能性を獲得する「初期化」のメカニズムは解明されていない。iPSとSTAPの共通点や違いを比較・検証することで「初期化」の理解は格段に深まるだろう。こうした基礎研究はすぐに役立つわけではないが、100年後の生命科学や医療を支える人類共通の財産になる。

今回の成果では、小保方さんをサポートした理研の「チーム力」も大いにたたえたい。

研究チームには、世界で初めてクローンマウスを誕生させた若山照彦・山梨大教授や幹細胞研究で知られる理研副センター長の笹井芳樹さんらがいて、当初は「誰も信じてくれなかった」という小保方さんの独創を支え、育てた。

女性や若者の力を最大限に生かすという観点からも、理研チームから学ぶべき点は多いのではないだろうか。

日本の科学技術政策は近年、短期的な成果が重視される傾向が強まっているが、若者の独創を育てるためには、研究の多様性を支える広い視野も求められよう。
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[東京新聞] STAP細胞 めげない情熱が生んだ (2014年01月31日)

再生医療の未来を明るくする研究成果だ。「STAP細胞」開発の成果を生んだのは日本の若い女性研究者である。生命科学の常識を覆す柔軟な発想とめげない研究姿勢が大発見につながった。

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダー(30)が開発した万能細胞「STAP細胞」の作り方は単純だ。

体細胞を弱い酸性の溶液に約三十分浸し培養するだけ。その刺激で筋肉や血液など多様な体細胞に分化する前の状態である万能細胞に戻る。

万能細胞は再生医療や創薬などに役立つと期待されている。

常識破りなのは、体細胞は分化すると逆戻りは起きないとされている点を覆したことだ。

京都大の山中伸弥教授が開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)は遺伝子を使って人工的に万能細胞を作る。小保方さんは、STAP細胞は細胞自身が逆戻りすることを見つけた。

関連論文の掲載を求めた英科学誌ネイチャーに信用されず、論文を突き返されていたことからも発想の独創性が分かる。

「誰も信じてくれなかったことが何より大変だった」状況のなかで、得られたデータを信じ柔軟な発想であきらめずに研究に取り組んだ姿勢が浮かぶ。

小保方さんの研究室に五人ほどいるスタッフも女性だ。実験室の壁紙をピンクにしムーミンのグッズがあふれ、おしゃれも楽しむ姿は、男性中心の研究現場の常識も覆したようにみえる。

政府は二〇二〇年までに社会の指導的立場に立つ人材の30%を女性にする目標を掲げるが、日本では理系の女性が活躍する場もなかなか広がらない。今回の研究成果は女性の活躍の場を広げるきっかけにもなる。

政府は生命科学の発展を重視してきた。安倍政権も再生医療の研究開発に力を入れている。理研もその拠点だ。今回の研究は第一人者の研究者が支援した。成果にはこうした後押しもあったろう。

応用研究など目先の成長ばかりに目を向けるべきではない。手薄といわれる基礎研究の充実が欠かせない。

STAP細胞は限定された成果だ。ヒトに応用するには確認すべき課題は多い。「百年後の社会への貢献を意識して研究したい」と小保方さんは見据える。政府はこれに応えるよう息の長い支援を続けるべきだ。
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[東京新聞] 厳戒ソチ五輪 プーチン氏の「正念場」 (2014年01月31日)

ソチ冬季五輪の開幕が一週間後に迫った。テロ発生の懸念があり空前の厳戒態勢がとられる。プーチン政権は国際的連携を強化し安全確保を万全にするべきだ。

ロシアでの五輪は、ソ連時代の一九八〇年に行われたモスクワ夏季五輪以来、三十四年ぶりだ。アフガン侵攻で、日本を含む西側諸国がモスクワ五輪をボイコットしたことから、完全な形の五輪が実現するのは初めてである。

ソチはロシアの「アキレス腱(けん)」といわれる北カフカス地域の西端にある。スキー競技会場のあるクラスナヤ・ポリャーナは十九世紀、ロシア帝国によるカフカス征服戦争で山岳民族チェルケス人が多数殺害された怨念の現場だ。プーチン政権が過酷な軍事作戦で独立派を制圧したチェチェン共和国からもさほど遠くない。独立派はイスラム過激主義の影響が色濃いテロ組織に変質し、ダゲスタン共和国など各地に拡散しテロを続ける。

テロの温床となる貧困地域を豊かなリゾート地域に変貌させ治安の安定につなげる。そんなもくろみとは裏腹に開催費用は五輪史上最大の五百億ドル(五兆円)と不可解なまでに膨れ上がり、莫大(ばくだい)な汚職疑惑が指摘される。

国際テロ組織アルカイダとの関係も指摘されるイスラム武装勢力勢は五輪テロを予告し、昨年十二月末、南部ボルゴグラードでは連続自爆テロが起きた。

プーチン政権はロンドン五輪をはるかに上回る四万人近い治安要員をソチに投入、空前の物量作戦でテロを封じ込める構えで「閉鎖都市」さながらの状況だ。警戒すべきなのはソチ以外の地域で治安は手薄になりテロの危険性は高まっていることだ。ただテロ対策の名目で各国報道陣の電話やインターネットが監視されているのはいきすぎた検閲である。五輪はロシアと欧米の根深い対立の舞台にもなった。同性愛宣伝規制法などプーチン政権の人権政策を批判し、オバマ米大統領やオランド仏大統領など欧米の主要指導者は軒並み参加を見送った。

ロシアはテロを阻止する重い責務を負っている。治安機関はアフガンなどでの自爆テロ対策が進んでいる米国の直接支援を受け入れるべきだ。ソ連崩壊後の混迷から大国復活を実現したと自負するプーチン氏は、五輪の成功でロシアの歴史に名声を刻みたいだろう。野心の実現は五輪を安全に開催できるかにかかっている。
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[産経新聞] 派遣労働見直し 待遇改善も念頭に進めよ (2014年01月31日)

厚生労働省の審議会が労働者派遣制度の見直し案を決めた。最長3年としている企業の派遣受け入れ期間の上限を撤廃することなどが柱だ。

限定的だった派遣労働の職場を広げるという意味では一定の評価はできるが、派遣社員の待遇改善などでは解決すべき課題を残したといえる。

人材派遣会社も責任ある対応が求められている。見直し案が厳しい許可制を導入することも盛り込んだのは当然だ。今後は派遣先との交渉に当たっては、給与や勤務時間などにとどまらず、派遣社員の職歴評価につながる仕組みづくりなども検討されるべきだ。

乱立気味の派遣会社を厳しい許可制に一本化し、健全な財務基盤を維持するよう義務づけるとしたのは妥当だ。3年の期間を終えた派遣社員に新たな派遣先の紹介も求めている。派遣会社が果たすべき責任と役割は重い。

時代の変化に合わせて働き方を多様化することは、雇用機会を増やすことにもつながる。

現在の労働者派遣法では、通訳や秘書など「専門26業務」は働く期間の制限はないが、それ以外は3年を上限としている。派遣労働は、正規雇用を補完するものと位置づけられてきたからだ。派遣社員の側には職域を制限する要因だとして不満も強かった。

見直し案ではこうした業務区分を撤廃し、どんな仕事でも1人の派遣社員が同じ派遣先で働ける期間を最長3年に統一する。

今回の見直しで、派遣社員を受け入れる企業は、人を代えれば同じ仕事をずっと派遣社員に委ねることが可能になる。派遣社員にとっても働き方の選択肢の拡大につなげやすい。

ただ、派遣対象業務の拡大が、いたずらに正社員の仕事を奪うことがあってはならない。労働組合側の懸念にも配慮し、3年ごとに人を代える際は労使で協議する場を設けるとした。話し合いが難航した場合の基準を事前に決めておくことも検討すべきだろう。

リーマン・ショック後の「派遣切り」への批判の高まりから、企業に派遣敬遠の動きが広がったこともあって、派遣社員はピーク時より3割以上減った。

だが、子育てを終えた女性や退職高齢者など、働く側にも派遣労働を希望する人は多い。雇用機会を確保するためにも上手な派遣活用を進めたい。
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[毎日新聞] 社説:STAP細胞 驚きの成果を育てよう (2014年01月31日)

まさに驚きの発見である。普通の体細胞を弱い酸性の液につけるだけで、受精卵のような性質を持つ「万能細胞」を作ることに日米の研究チームが成功した。細い管に通すといった物理的刺激でも万能細胞になるという。

今はまだ、マウスの細胞での成果だが、ヒトの細胞で同じことが確かめられれば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を超える利用価値が生まれるかもしれない。生命の仕組みの解明にも大きく貢献する。この成果を大事に大きく育てていきたい。

体細胞を受精卵のような状態に「初期化」する技術には、クローン羊を作った体細胞クローン技術や、遺伝子導入などを利用するiPS細胞がある。どのような細胞にも変化できる性質は受精卵から作る胚性幹細胞(ES細胞)にもある。

今回、「STAP=刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得=細胞」と名付けられた新万能細胞の特徴は、作製が「簡単で、早く、効率的」であることだ。しかも、ES細胞やiPS細胞が抱えるがん化のリスクも低いと考えられる。研究がうまく進めば、一人一人の万能細胞が簡単に作れる可能性もある。期待が高まるのは当然だ。

それにしても、なぜ、こんな簡単な方法で体細胞が初期化されるのか。一方でなぜ生体内では簡単に初期化が起きないのか。STAP細胞の初期化メカニズムを解明することで、哺乳類の体にもともと備わった細胞の修復機構や、がん化抑制の機構が解明できるかもしれない。生命現象の謎解きだけでなく、新たな医療につながることも期待される。

今回、米国での研究で発見のきっかけをつかみ、中心となって実験を進めた小保方(おぼかた)晴子さんによると、初めは成果を信じてもらえず、投稿論文は何度も却下された。これが裏付けのある研究に育ったのは、本人の努力に加え、万能性を裏づける実験にその分野の第一人者である日本人研究者が協力するなど周囲の支援があったからだ。再生医療研究の裾野を広げる努力が実ったといってもいいだろう。

小保方さんの米国の指導教官も、誰も信じないような結果を信じて実験に投資した。日本政府は実用化という研究の出口を重視する傾向があるが、iPS細胞もSTAP細胞も、トップダウンの「出口志向」からは生まれないことを忘れないようにしたい。

30歳の女性が研究を主導したことも注目を集めている。日本の研究環境は若手や女性が成果を上げやすいとは言い難い。科学分野に進む女性が少ないという課題もある。小保方さんがひとつのモデルとなり科学者になりたい女性や若手研究者を後押しすることにもつながってほしい。

2014年01月31日 02時32分
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[毎日新聞] 社説:派遣制度見直し 均衡処遇を保障せよ (2014年01月31日)

労働者派遣制度の見直しを検討してきた厚生労働省の審議会が規制を緩和する内容の報告書をまとめた。企業はすべての業務で派遣を無期限に使えるようになるが、労働者にとっては派遣が固定する恐れもある。政府は今国会に改正法案を提出し、来春に施行する意向だ。雇用の流動性を高めることは大事だが、派遣社員の待遇改善がなければ不安が広がるだけだ。十分に審議してほしい。

現在は通訳など専門26業務は無期限だが、それ以外の仕事の派遣は3年間に限られている。見直し案では26業務の区分けを廃止し、どの仕事も派遣を3年間に限定する。ただ、派遣先企業は労働組合の意見を聞いた上で人を入れ替えれば無期限に派遣を使うことができるようになる。

労働者派遣法が1985年に制定された当初、派遣は専門業務に限って認められる「例外的な雇用」と規定された。小泉政権時代に一般の仕事にも解禁され、製造業などに派遣労働が広がって格差の拡大が社会問題となった。今回の見直しをめぐる議論では、派遣労働を「例外的な雇用」から恒常化することになるとして批判が根強かった。

このため、労働組合や従業員代表の意見を聞くことを企業に義務づけたほか、人材派遣会社は3年働いた派遣労働者に次の仕事を見つける義務を負うこと、悪質な業者を排除するため人材派遣会社はすべて国の許可制にすることが報告書に盛り込まれた。また、待遇面でも派遣先社員とバランスを考えた均衡処遇を推進するとした。

かつて65歳までの継続雇用を実現するために高年齢者雇用安定法改正が行われた際、多くの企業が労使の合意があれば再雇用する人の基準を自由に設定できる制度を導入した。その結果、労働者の選別が行われ、希望通り65歳まで働ける人が限定的だったことがある。自社の正社員の待遇維持にきゅうきゅうとしている労組に派遣労働者を守る余裕がどのくらいあるだろうか。

正社員の解雇規制が強い現状では、企業は人件費の安い非正規雇用を増やそうとするだろう。派遣労働者の正社員化を義務づければ、請負や業務委託など別形態の非正規が増えていく。そして、若年層が低賃金で不安定な非正規雇用から抜け出せない実態が変わらなければ、結婚や出産ができず少子化が進んで社会が地盤沈下していく。

やはり、正社員も含めた雇用労働者全体の改革の中で、派遣など非正規で働く若年層の待遇改善を進めなければならない。派遣の恒常化を認めるのであれば、少なくとも派遣先社員との均衡処遇を法的に担保することが必要ではないか。

2014年01月31日 02時30分
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[読売新聞] 新興国通貨安 FRBは「出口戦略」を慎重に (2014年01月31日)

新興国通貨が軒並み急落し、世界同時株安の様相を呈している。

発端は米国の量的緩和策の縮小である。副作用の拡大を防ぎ、市場安定を図ることが求められよう。

米連邦準備制度理事会(FRB)が、金融危機後に導入した量的緩和策第3弾(QE3)をさらに縮小することを決めた。米国債などの毎月の購入規模を100億ドル減らし、2月から650億ドル(約6・7兆円)とする。

昨年12月、QE3の「出口戦略」に踏み出して以来、購入規模の減額決定は2か月連続である。

FRBは声明で、「経済活動は上向いてきた。失業率が低下し、個人消費と企業投資の勢いが増した」と指摘した。

景気回復の動きに自信を深めたFRBは、もう一歩踏み出すことが妥当と判断したのだろう。

声明は、今後について、一定のペースで規模縮小を進める方針を改めて明らかにした。年内にもQE3の終了が見込まれる。

ただ、懸念されるのは、新興国にあふれていた「緩和マネー」が、QE3縮小とともに引き揚げられて米国などに逆流し、新興国通貨が売られていることだ。

先週、アルゼンチン通貨ペソが急落した。それが連鎖し、トルコ、ブラジル、インド、インドネシアなどの通貨も下落している。

自国通貨を防衛しようと、トルコとインドの中央銀行が政策金利を引き上げ、投資マネーの引き留めを狙ったのに続き、南アフリカも約5年半ぶりに利上げした。

こうした緊急策によって、ひとまず通貨安は一服した模様だが、新興国通貨が売られやすい状況は続いており、楽観は禁物だ。

金融危機後、成長著しい新興国は世界経済を牽引(けんいん)してきた。だが、最近は景気が減速し、物価高や経常赤字にも苦しむアルゼンチンなどへの警戒感は強い。市場に狙い撃ちされている面が否めない。

新興国が通貨防衛のために利上げすれば、かえって景気を冷やすというジレンマも抱える。

ニューヨークや東京、アジアなどの株価下落が止まらないのも、新興国経済への不安感が市場を揺るがしているからだろう。

今後の焦点は、FRBが出口戦略を進めるペースだ。バーナンキ議長の後任として1日に就任するイエレン新議長の責任は重い。

出口戦略は、急ピッチな緩和縮小で世界の株式・為替市場の混乱を招かないよう、慎重な舵(かじ)取りが欠かせない。「市場との対話」を工夫してもらいたい
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[読売新聞] 都知事選討論会 公約の実現性を競うべきだ (2014年01月31日)

公約実現への道筋を、各候補がどこまで具体的に考えているか。それを知るうえで、一定の意義はあったと言えよう。

東京都知事選に立候補している元厚生労働相の舛添要一氏、元首相の細川護熙氏、前日本弁護士連合会長の宇都宮健児氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏の4人が、日本テレビの報道番組に出演した。

今回、ようやく主要候補が一堂に会した。細川氏が告示前から討論会出席を断ってきたためでもあるが、候補者同士が都の将来像を議論することは、有権者に判断材料を提供しよう。

原子力発電所問題について、舛添氏は「消費地、供給地の全部合わせて国の政策」としながらも、都の再生可能エネルギーの割合を高めると語った。田母神氏は「原発の安全を確保しながらの電力供給は可能だ」と指摘した。

いずれも現実的な考え方だ。

原発の即時ゼロを掲げる細川氏と宇都宮氏は、その実現のために東京電力の株主としての影響力を行使すると強調した。

だが、東電の発行済み株式総数に占める都の所有分は、1・2%に過ぎない。それなのに原発の存廃を左右できるかのように主張するのは疑問である。

細川氏は、原発以外は誰が知事になっても変わらないとして、原発を最大の争点に位置づけた。

しかし、肝心の代替エネルギーの確保策に関しては、旧都立大などが前身の首都大学東京を挙げ、「そういうところで対策を考えていただきたい」と丸投げした。

これでは無責任に過ぎる。

2020年東京五輪・パラリンピックについては、舛添氏が「史上最高の大会にする」と訴え、交通網の整備や治安対策の充実を約束した。細川氏と宇都宮氏は、現在の計画案の過大な部分は見直すべきだと主張した。

新国立競技場の収容人数など、招致段階で国際オリンピック委員会(IOC)に示された計画案の根幹部分の大幅変更は認められまい。新しい知事に求められるのは、計画案を前提としつつ、無駄があれば改善する姿勢だろう。

討論では、待機児童の解消策について、都が保有する遊休地活用といったアイデアが出された。

ただ、急速に進む高齢化への対応や、首都直下地震対策などの重要課題で、踏み込んだ見解は示されなかった。各候補の具体策をもっと聞きたい。

2月9日の投票日に向け、さらに論議を深めてもらいたい。
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[朝日新聞] 論戦スタート―「責任野党」って何だ (2014年01月31日)

「政策の実現をめざす『責任野党』とは、柔軟かつ真摯(しんし)に政策協議を行っていく」

安倍首相のこんな呼びかけにどう答えるか。きのう終わった衆参両院での代表質問では、野党の対応は割れた。

民主党や共産党などは対決姿勢を鮮明にした。これに対し、首相が視野に入れているみんなの党は政策協議に前のめり。日本維新の会は半歩身をひいていた。一方、みんなの党とたもとを分かった結いの党は、政界再編を訴えつつも、政権とは距離を置いた。

首相が野党との協議を呼びかけたのは、この春以降進めようとしている集団的自衛権の行使容認や憲法改正をにらみ、協力できる勢力を少しでも多く確保しておきたいからだ。これらの政策に慎重な公明党への牽制(けんせい)になるとの計算もあるようだ。

しかし、自民党が衆参両院で圧倒的勢力を占めるいま、そこに安易にすり寄っていくのが野党に求められる姿勢だろうか。

「政策実現のために協議する」という首相の言葉自体を否定するつもりはない。ただ、思い浮かぶのは昨年の特定秘密保護法案のずさんな修正協議だ。

与党は審議の終盤になって、政府案にはなかったチェック機関の新設を乱発したあげく、採決は強行。このため、参院では最終的には与党だけの賛成で成立した。

結局、あのドタバタは、よい法案にするための「真摯な協議」というよりは、与党が一部の野党を巻き込むための大義名分づくりという意味しかなかったのではないか。

政府提出法案の審議が中心の議院内閣制のもとでの野党の役割は、政策の選択肢を有権者に示すことだ。

そのうえで論戦を通じて問題点を浮かび上がらせ、対案を提出したり、政府案を修正させたりする。

衆参のねじれが消え、数を頼んだ抵抗手段が封じられたいまこそ、野党の政策立案の力が問われる。

いまの野党のほとんどは、政権を担当した経験がある。決して無理な注文ではあるまい。

代表質問で民主党の海江田代表は、首相の靖国神社参拝や公共事業の大盤振る舞いなどを取り上げ、政権運営を強く批判した。しかし、問題追及の域を抜け切れず、政策の選択肢を示すにはいたらなかった。

まずは反対ありきのかたくなな姿勢、そして無定見なすり寄りや離合集散は排し、政策で勝負する。そんな責任野党こそ求めたい。
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[朝日新聞] 新万能細胞―常識を突破する若い力 (2014年01月31日)

輝かしい新星が現れた。

理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダー(30)らのグループが、まったく新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の作製に成功した。

筋肉や神経など、さまざまな細胞に変化できるのが万能細胞だ。万能性があるのは、生命の初期である受精卵など、特殊な細胞に限られるというのが生物学の常識だった。

だが近年、万能細胞を人の手で生み出す研究が進み、すでに、受精卵を壊してつくるES細胞、山中伸弥・京都大教授らが遺伝子を導入する方法で開発したiPS細胞がある。

STAP細胞の大きな特徴は、弱酸性の液体に浸すなど細胞を外から刺激することで、ずっと簡単につくれるところだ。

一昨年英科学誌ネイチャーに論文を投稿した当初は突き返された。だが追加の証拠をそろえ、掲載にこぎ着けた。最初に拒絶した専門家は「何百年にもわたる細胞生物学の歴史を愚弄(ぐろう)している」と激しい意見を付けてきた。これはいまや最大級の賛辞と読まれるべきだろう。

まさに教科書を書き換えるような大発見である。

博士号をとってわずか3年。若い小保方さんの研究過程は、決して順風満帆ではなかった。

「誰も信じてくれない中で、説得できるデータをとるのは難しかった」「泣き明かした夜も数知れないですが、今日一日、明日一日だけ頑張ろうと思ってやっていた」と振り返る。

化学畑の出身で、生物学の既成概念にとらわれず、自らの実験データを信じた。一人また一人と周囲の研究者を味方につけ、数々の壁を乗り越えた。

変わってきたとはいえ女性の働きづらさが指摘される日本で、これほど信念に満ちた研究成果を上げた小保方さん、そして彼女を支えた共同研究者のみなさんはすばらしい。

「21世紀は生命科学の時代」といわれ、日本政府も力を入れる。小保方さんの属する理研の発生・再生科学総合研究センターは00年に神戸市にできた。基礎研究から治療への応用まで、再生医学を総合的に進める態勢づくりが結実したようだ。

特大ホームランを放った小保方さんに限らず、きっと同じように「もう一日だけ」と頑張っている研究者がたくさんいるだろう。そう考えると、日本の科学への希望も膨らむ。

教科書を学ぶ学習を卒業し、教科書を書き換える研究の道に進む。強い信念と柔らかな発想に満ちた若い世代の飛躍を、もっともっと応援したい。
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2014年01月30日

[東京新聞] 核のごみ処理 注目したい学術会議案 (2014年01月30日)

長期間、強い放射線を出す使用済み核燃料、核のごみの処分について、日本学術会議が具体的な検討を開始した。最終処分を考える前に、まず暫定保管をどうするか。私たち自身の問題でもある。

使用済み核燃料から再利用できるウランとプルトニウムを抽出する。それが再処理。搾りかすの液体をガラスで固め、金属製の容器に入れて、地中深くに埋める−。

政府は再処理、再利用が前提の核燃料サイクル計画破綻後も、地層処分の方針を変えてはいない。

科学者の立場から役割を担う日本学術会議は一昨年九月、独自に「暫定保管」を提案し、私たちも支持している。

核のごみを数十年から数百年、処分ではなく、いつでも取り出せるように保管しながら、並行して安全に処分できる新技術、方法を探す。技術が確立するまでは、核のごみを増やさない「総量管理」の必要性も唱えている。

人体に影響のないレベルになるまでに十万年。そんな先まで地中の変化を予測できないという、科学者の良心に基づく提言だ。

ドイツの地層処分候補地だったゴアレーベンでは、想定しない地下水脈が見つかって、白紙撤回を決めたばかりだ。火山も水脈も多い日本で適地は見つけがたい。

処分場候補地の選定は、全国の電力会社などで組織する原子力発電環境整備機構(NUMO)が、自治体から立候補を募る公募方式を採ってきた。開始から十一年。最大二十億円の交付金が出るにもかかわらず、進展がない。

政府は昨年末、国が複数の適地を選び、直接自治体に受け入れを求める積極関与を表明した。

福島事故の処理や補償が進まず、国、電力会社への不信がなくならない現状では、候補地の名前が挙がっただけで、大混乱を招くだろう。

だとすれば、現状では学術会議が言うように、最終処分の看板は掲げず、再処理せず、冷却装置付きの容器に入れるなどして厳重に暫定保管するしかない。だが、どんな方法か、コストは、場所は…。検討はこれからだ。

総量管理の観点からは、少なくとも最終処分の方法が決まるまで、原発の再稼働はすべきでない。だが、すでに出してしまった膨大な核のごみは無視できない。

学術会議は九月には、技術課題や合意形成についての見解をまとめるという。国民的議論のたたき台として国も注目すべきである。
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[東京新聞] オバマ演説 「内向きの米国」鮮明に (2014年01月30日)

オバマ米大統領の一般教書演説は、米国の内向き志向を一層鮮明にするものだった。秋の中間選挙に向け、国際社会は米国の指導力低下を前提にした秩序づくりを迫られよう。

元米中央情報局(CIA)職員による際限のない盗聴暴露、オバマケア(医療保険改革法)の致命的な躓(つまず)き−。一連の逆風で大統領の威信が傷つくなか、演説の主テーマが目に見える数少ない成果とされる景気回復に置かれたのは当然だったかもしれない。

「失業率は過去五年で最低になった。住宅市場は回復している。製造業部門は一九九〇年代以降初めて雇用を拡大している。ここ二十年で初めて、国産原油の生産量が輸入量を上回った。そしてほぼ十年ぶりに、世界の経済指導者は中国ではなく米国を最良の投資国に選んだ」

年初恒例の施政方針演説に託すオバマ氏のメッセージは過去五回概(おおむ)ね一貫している。アフガニスタンとイラク二つの戦争の終結と未曽有の金融危機克服を前提に中間層の重視、所得格差の是正など「公正な社会観」に基づく米国再生のシナリオだ。「再生はもう間近だ。それを信じてほしい」。締めくくりの一節が国民への最大の訴えだったのだろう。

「強い米国」「小さな政府」を掲げる共和党との価値観の激しい対立が昨年、政府機能一部停止という最悪の結果に繋(つな)がったことは記憶に新しい。演説でオバマ氏が出した答えは、議会を経ずに可能な大統領令による措置を積極的にとる考えだった。従来の国内融和、協調路線の放棄にも映ることには懸念が残る。

特に、国際的にも批判が高まる国家安全保障局(NSA)によるサイバー監視については、一部修正する方針を示しつつ「アルカイダなどテロの脅威は依然ある」として継続する判断を示した。行きすぎたサイバー監視については司法の場でも違憲性が払拭(ふっしょく)されていない。より慎重な判断があってしかるべきではなかったか。

公正社会の象徴とも位置付けられるオバマケアについても九百万人の新規加入があった、と自負してみせたが、高い理想を掲げつつ十分な技術的裏付けを欠いていたことへの不信感は残されたままだ。

中間選挙を意識して攻勢に転じた今回の訴えが有権者に伝わるか否か。まずは、昨年のような予算をめぐる政府機能停止を阻止できるかどうかの手腕が問われよう。
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[産経新聞] 一般教書演説 強い米国で世界に責任を (2014年01月30日)

オバマ米大統領は一般教書演説の大半を内政課題に割き、「格差是正」への意欲を示した。

外交に費やされた部分は予想以上に少なく、「新たな大国関係の構築」を呼びかける中国についても「もはや世界一の投資先ではない。それは、米国だ」と言及した程度だった。米国が世界とどう向き合うかという明確な指針をもっと聞きたかった。

昨年1年間で、オバマ政権が外交で最もエネルギーを費やしたのは中東だ。引き続き積極的な関与を続ける考えを示した。

好むと好まざるとにかかわらず、米国には特定の地域に限定しない「世界の警察官」の役割が求められる。今後も「唯一の超大国」の責任を果たしてほしい。

オバマ氏はアジア太平洋地域について、「この地域の同盟国を支え、より安全で繁栄した未来を創造する」と語った。しかし、オバマ政権が中東外交に腐心する間に、中国は東シナ海での一方的な防空識別圏設定などに動いた。

この地域で米軍がプレゼンスを保つことは、中国などに対する抑止力を維持、強化するために不可欠だ。財政難に伴う国防費の削減が続くなかでも、安全保障の軸足をアジアに移す政策に期待したい。日米同盟の強化など日本が果たすべき責任も大きい。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)締結も、地域の繁栄に重要だ。早期の合意に向け、指導力を発揮してほしい。

イラン核問題の解決に向けた合意は数少ない外交成果だが、先行きは予断を許さない。シリア情勢で化学兵器廃棄を強調したが、内戦終結の展望は描けていない。

特にシリアへの軍事介入を土壇場で回避した際、オバマ氏が「米国は世界の警察官ではない」と宣言したことは、国際社会に波紋を広げた。核・ミサイルの脅威が消えない北朝鮮への言及がなかったのも物足りない。アジア諸国の懸念を招いていないか。

強い米国であるためにも、内政課題の着実な前進が鍵だ。

11月の中間選挙をにらみ、「今年を行動の年にする」という。所得格差の是正や中間層への支援を目指すのは、社会的弱者の側に立ったリベラル色の強い政策実現こそ、少数派を代表する自らの使命との意気込みからだろう。道半ばの医療保険改革、移民制度改革への手腕も問われる。
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[産経新聞] NHK会長批判 発言封じ改革を妨げるな (2014年01月30日)

NHKの籾井(もみい)勝人会長の就任会見での発言を、中国、韓国のほか民主党などが批判している。

だが、批判の中心は、韓国の元慰安婦の賠償請求問題が解決済みであることなど、籾井氏が日本の立場に合致した見解を述べた点にある。

誤解を招きかねない発言が一部あったにせよ、揚げ足を取って意見を封じるような批判は問題である。NHKの課題である公正な放送への改革を妨げてはならない。

籾井氏の発言に関し、菅義偉官房長官は、元慰安婦の賠償請求問題が昭和40年の日韓両国の協定で解決済みであることを改めて指摘し、「政府見解も明確だ」と理解を示した。

籾井氏は尖閣諸島や竹島など日本固有の領土について「NHKの国際放送で明確に日本の立場を主張するのは当然だ」とも語った。これらの発言は民主党内閣も含め歴代内閣がとってきた見解を述べたものであり、「政権寄り」といった批判は当たらない。

NHKは国際放送機関として定めた国際番組基準の中で、重要政策や国際問題については日本の公式見解を正しく伝えることを明記している。国益に沿った情報発信を行うのは当然の姿だ。

だが、NHKは慰安婦問題を含め、歴史番組などで日本をことさら悪者に描く放送内容に視聴者の批判を受けてきた。外部から起用された籾井会長が指摘したのは、改革されるべき問題の本質ともいえ、目をそらしてはならない。

籾井氏は「慰安婦はどこの国にもあった」などと発言し、後で「個人的意見としても言うべきではなかった」と撤回した。公的な立場を忘れ、軽率さがあった点は否めない。とくに慰安婦は女性の尊厳にかかわるテーマである。丁寧に言葉を選んで説明する点には、今後とも留意すべきだ。

批判の多くは発言の一部をとらえて「暴言」と決めつけた。NHKの改革まで押さえこむ狙いならそれこそ公共放送への介入だ。

民主党の海江田万里代表が衆院代表質問で批判したのに対し、安倍晋三首相が「いかなる政治的圧力にも屈することなく中立、公正な放送を続けてほしい」と答えたのは妥当だ。過去には閣僚の歴史認識をめぐる発言に中韓が反発し、更迭される事態も繰り返された。中韓の顔色をみて自由な意見を封じることは国益を損なう。
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[毎日新聞] 社説:鳥獣被害対策 捕獲と利用の拡大で (2014年01月30日)

野生動物の保護を担う鳥獣保護法の改正を環境省が目指している。

各地で野生のシカやイノシシが急増し、農作物の食害や貴重な生態系への影響が広がっているからだ。こうした鳥獣については、従来の保護を前提とした個体数調整から、捕獲対策の強化を含めた積極的な管理へ転換するという。今通常国会に同法の改正案を提出する方針だ。

被害の深刻度を考えれば、政策転換はやむを得ない。併せて、捕獲した野生動物の食肉利用を促進し、地域振興にもつなげてもらいたい。

環境省の推計では、2011年度のニホンジカ(北海道を除く)の生息数は261万頭、イノシシは88万頭。農作物被害は毎年約200億円に上る。現状の捕獲率だと、シカは25年度に倍増すると予測された。

一方で、捕獲に携わる狩猟免許所持者はこの40年間で6割減り、約19万人となった。高齢化も進む。

中山間地の過疎化で、利用されない里山や耕作放棄地が増えた。森林伐採でエサとなる草場が増えた。地球温暖化で越冬しやすくなった。増加にはさまざまな要因が絡むが、いずれも人間の行動がもたらした結果であることを忘れてはなるまい。

環境省が検討中の改正案では、一定の技能があり、適切な安全管理もできると認められる捕獲専門の事業者を都道府県が認定する制度を創設し、効率的な捕獲の実施を図る。

全国的に被害が深刻化しているシカなどについては、国が全国の捕獲目標などを盛り込んだ指針を示すという。市町村が中心だった捕獲事業も、これらの鳥獣は必要に応じ都道府県や国が実施できるようにする。

こうした捕獲対策の強化は待ったなしだが、野生動物の保護管理に詳しい専門家を各地に配し、適切に実施されているかどうかを監督する必要がある。そのための人材育成や、野生動物の分布状況調査など科学的なデータの蓄積は急務だ。

野生動物に県境はない。環境省や農林水産省、都道府県が行政の縦割りをなくし、広域的な対策に連携してあたることも重要となる。

欧州では野生鳥獣の肉(ジビエ)は高級食材だが、日本では捕獲後に多くが廃棄されている。山から下ろして解体処理するには労力やコストがかかるし、販路の開拓も必要だ。

それでも、地域の特産品とするために、衛生管理を徹底し、ブランド化を進めるなどの取り組みが各地で少しずつ広がっている。カレーやハンバーガーの具材として提供する外食店も出てきた。国としても後押ししてもらいたい。

ジビエを食べることは、人間と野生動物との共存を考える良い機会ともなるはずだ。

2014年01月30日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:米一般教書 世界の安定へ「行動」を (2014年01月30日)

オバマ米大統領が年頭恒例の演説(一般教書)で、今年を「行動の年」にすると宣言した。連邦議会の与野党対立で政治が動かない現状を踏まえ、今後は大統領の権限で重要政策を遂行するという。当たり前とも思えるが、米国の内政だけでなく世界に難問が山積する折、オバマ大統領の「行動」に期待したい。

リーマン・ショック直後に発足したオバマ政権は経済を優先し、ブッシュ前政権が戦争を始めたアフガニスタンやイラクからの米軍撤収を懸案としてきた。今回の演説も内政に大半の時間が割かれたが、外交・国防に関してオバマ大統領は「真に必要でない限り、危険な派兵はしない」と語り、米国は「世界の警察官」ではないとの主張を再確認した。

もう米国だけに頼る時代ではないという考え方も分からないではない。だが、米国の影響下にあった地域で米国の存在感が弱まれば域内が不安定化するのは目に見えている。米国が身を引くにしても、安定を維持する措置が必要になるはずだ。

その一例が中東・北アフリカだろう。シリアをはじめ少なからぬ国々で続く騒乱、流血、テロは、別に米国のせいではない。だが、1980年代から米国の歴代政権が着々と影響力を築いてきた中東にあって、オバマ政権には不介入の姿勢が目立つことが、域内のテロ組織や過激派を勢いづかせていないか。そう考えてみることは必要だろう。

東アジアも同様だ。中国は尖閣諸島をめぐって日本の領海侵犯を繰り返し、防空識別圏を一方的に設定した。米国は当該空域にB52爆撃機を飛ばしてけん制した。中国が日本に軍事的圧力を強めている現状に、大統領が演説で触れなかったのは、残念というより不思議である。こうした姿勢が東アジアの安定に資するのかどうか。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に触れたくだりも含めて日本への言及はなかった。

米国は11月に中間選挙を控えている。今回の演説は最低賃金引き上げや所得格差是正、女性の権利拡大などを強調し、中間層の取り込みに力点を置いた。今はオバマ与党の民主党が多数を占める上院で共和党が逆転し、下院も制すれば、6年目に入ったオバマ大統領のレームダック(死に体)化は急速に進むという危機感がある。

だからこそ今年は行動が必要なのだ。「チェンジ」を旗印に登場し、ノーベル平和賞も受けたオバマ大統領が、このまま8年の任期を終えるようでは残念だ。大統領はイラン核問題の外交解決を力説したが、北朝鮮の核兵器の方が深刻だ。年内に米軍主導部隊が撤退するアフガン情勢も気になる。大統領は、世界の安定のためにこそ行動してほしい。

2014年01月30日 02時35分
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[読売新聞] NHK会長発言 中立・公正な報道で信頼築け (2014年01月30日)

中立で公正な報道や番組制作を続けることで、視聴者との信頼関係を築き、公共放送トップの責任を果たすべきだ。

NHKの籾井勝人会長の就任記者会見での発言が物議を醸している。

籾井氏は、いわゆる従軍慰安婦問題への見解を聞かれ、「今のモラルでは悪い」としつつ、ドイツやフランスを例示し、「戦争している所にはつきものだった」と指摘した。オランダになぜ今、売春街があるのか、と反問もした。

具体的な国名を挙げ、現在の公娼(こうしょう)や売春にまで言及したのは、適切さを欠いているだろう。

籾井氏は、執拗(しつよう)な質問に「個人的見解」を示したというが、軽率だったと言われても仕方ない。会長会見で、個人的見解を披瀝(ひれき)したことが混乱を招いた。

ただ、発言には、必ずしも強い非難に値しないものもある。

「韓国が、日本だけが強制連行したと言っているからややこしい。(補償問題は)日韓基本条約ですべて解決している、国際的には。なぜ蒸し返されるのか」と疑問を呈したくだりなどだ。

元慰安婦への補償問題は、1965年の日韓請求権協定で法的には解決している。日本側は「アジア女性基金」による「償い金」の救済事業という対応もとった。それでも、韓国側は一部を除いて受け取りを拒んだ経緯がある。

籾井氏は、海外向けに発信している国際放送について、「政府が右と言っていることを左と言うわけにはいかない」と語った。この発言も、政府の意向におもねるのか、という批判を招いている。

だが、税金も投入されている国際放送で政府見解を伝え、理解を求めるのは、むしろ当然だ。

菅官房長官は、籾井氏の一連の発言について「個人としてのものだ」と述べ、政府としては不問に付す考えを示した。

NHKの経営委員会も、「公共放送トップの立場を軽んじたと言わざるを得ない」として厳重注意にとどめ、進退は問わないことにした。なお信頼回復の余地があると判断したのだろう。

NHKは最近、原子力発電所の再稼働や米軍輸送機オスプレイの配備、特定秘密保護法などの報道をめぐって、政財界から偏向しているとの指摘を受けている。

籾井氏は「放送法に沿ってやれば、政府の言いなりになることはない」と語っている。

NHKは、視聴者の期待に応える番組作りを進め、放送の不偏不党を貫いてもらいたい。
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[読売新聞] オバマ氏演説 そっけなかった「アジア重視」 (2014年01月30日)

中間所得層への支援を優先課題に掲げ、雇用創出や所得格差是正の実現を約束した。11月の中間選挙に向け、低迷する支持率の回復を意識した演説と言えるだろう。

オバマ米大統領が、1年間の施政方針を示す一般教書演説を行って、今年を「行動の年」と位置づけた。固い決意がうかがえる。

オバマ氏は、下院を支配する共和党と激しく対立し、政府機能の一部停止という事態を招いた。内政、外交とも失点続きで、支持率が一時は、就任以来最低の水準にまで落ち込んだ。

中間選挙で、民主党が上下両院で少数党に転落すれば、政権のレームダック化は決定的だ。巻き返しへの戦略が問われている。

オバマ氏は演説で、金融危機後の経済再生の成果を強調した上で景気回復の恩恵を得ていない低所得者層に配慮し、最低賃金引き上げを提案した。環太平洋経済連携協定(TPP)に伴う雇用拡大や移民制度改革も表明した。

いずれも、民主党の支持基盤固めにつながる政策だ。

特に注目されるのは、議会で法案が可決されない場合、大統領令を発すると述べたことだ。最低賃金引き上げを共和党が拒んでも、連邦政府契約職員に限っては、大統領令で引き上げるという。

共和党との対立軸を鮮明にした形だが、共和党は早くも「議会軽視」と強く反発した。対立はかえって先鋭化する恐れがある。

選挙の年だけに、内政が重視され、外交・安全保障政策への言及は比較的少なかった。

アフガニスタンに駐留する米軍戦闘部隊が今年末に撤収し、テロとの戦いが「ようやく終わる」と強調した。撤収後もテロ対策には万全を期してもらいたい。

エネルギー問題では、「シェールガス革命」を念頭に、「エネルギー自給に近づいた」と述べた。これが、中東への米国の関心の減退につながっては困る。

アジア太平洋については「引き続き、重視し、同盟国を支え、より安全で繁栄した未来を形作っていく」と主張した。「アジア重視」政策の継続は言明したものの、そっけない表現にとどまった。

オバマ氏はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を2年続けて欠席した。「重視」をどう具体化していくのだろうか。

中国の台頭を受け、米国と、日本など同盟国との結束が今ほど必要なときはない。オバマ氏は今春のアジア歴訪で、指導力を一層発揮することが求められる。
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[朝日新聞] グローバル化と教育―共生の道開ける人材を (2014年01月30日)

グローバル化を見すえた教育に、大切なものは何だろう。

安倍政権と文部科学省にとっては、英語の勉強と並んで「日本人としてのアイデンティティーを育む」ことが柱であるらしい。今年に入って、次々と改革を打ち出している。

まず、教科書の検定基準などを改定した。政府の統一見解のある事柄はそれに基づく記述を入れることや、「愛国心」養成をもりこんだ改正教育基本法の目標に沿うことを求めた。

中学高校では、「尖閣諸島は固有の領土であり、解決すべき領有権問題は存在しないことについて理解を深めさせる」と、領土問題についての教科書の書き方や指導の指針を改めた。

さらに、高校での日本史の必修化も検討している。

それが本当に、多種多様な国際舞台で活躍する人材を育てることにつながるのだろうか。

海外との交流が増える時代に大切なのは、「己を知る」ことだけではなく、相手を知ることだろう。他者とのかかわりの中で自分をみる「相対化」の力こそが求められる。

■逆風への対抗策か

文科省の「教育振興基本計画」は、グローバル化の進展を「我が国の国際的な存在感の低下」につながる危機ととらえ、「一人一人が誇りと自信を取り戻す」ことを掲げている。

領有権問題や歴史認識をめぐり、中韓は国際社会へのアピールを強める。安倍首相の靖国神社参拝に米政府が「失望」を表明し、日中関係をめぐる発言は欧米メディアに脅威と受け取られた。あたかも、そんな向かい風に立ち向かう盾として「国民の物語」を求めるかのようだ。

「中国や韓国の学生たちと日本の学生たちが議論しても、議論にもならない。日本の学生たちは知らないから」。下村文科相はそう語っている。

だが、近隣との口論に勝つ人材づくりがグローバル化教育の目標ではあるまい。価値観の違う多様な人々と協働できる素養を育てるには、どうしたらいいのかが問われている。

■世界の中の日本学ぶ

求められるのは、日本と海外の双方向から現在と過去の世界と日本を見つめさせ、考えさせる教育ではないだろうか。

たとえば、尖閣の領有権をめぐる我が国政府の見解は事実として知っておくべきだろう。しかし、「領有権問題は存在しない」と公理のように教えるよりも、そもそも領土とは何か、なぜそれが国の摩擦をもたらすのか、考えさせる方が役立つ。

相手が自国の主張ばかり教えているから我々もと、政府の意地の張り合いを持ち込むようでは教育の視界を狭める。必要なのは、幅広い近現代史の文脈を踏まえたうえで、今の論点を俯瞰(ふかん)する思考ではないか。

日本史必修化論の背景にあるのは、高校で日本史を学ばずに卒業する生徒が3?4割ほどいるとみられることだ。しかし、では世界史の学習が十分かといえば、心もとない。

そもそも、1989年に高校の指導要領を改訂した際に世界史を必修にしたのは、小中学校の歴史教育が日本史中心で、高校で学ばないと世界史をほとんど知らないまま大人になってしまうからだ。

必修である今でさえ、世界史が敬遠される傾向はある。大学入試センター試験で、世界史を選ぶ受験生は日本史の半分ほどしかいない。

カリキュラムがきつい中で日本史を必修にしようとすれば、世界史を必修から外すことになりかねない。グローバル化対応のはずが世界史感覚のない人を増やしたのでは本末転倒だ。

それよりも、世界史と日本史を融合させ、近現代史を中心に世界の中の日本を学ばせることを検討すべきではないか。

いまも世界史、日本史には通史を学ぶB科目のほか、近現代史を中心に学ぶA科目がある。日本学術会議は、この世界史Aと日本史Aを統合した「歴史基礎」を新設し、必修とする案を一案として提唱している。

世界史と日本史を関連づけて教えることは、いまの指導要領でも強調されており、決して奇抜な提案ではない。

■互いを高める知恵を

教育誌「教職研修」1月号に載った劇作家・平田オリザさんのインタビューは示唆に富む。

日本が国を開くにあたって大切なのは、「わかりあえないということを出発点とする」ことだ、と指摘する。「わかりあえない者同士が、どうにかして共有できる部分を見つけ、そこを少しずつでも広げていくのがコミュニケーションなんです」

文化や民族、宗教、歴史と、人間には相違点があって当たり前だ。一方通行の自己主張では共感は得られないし、私たちは子どもたちを勝つために学ばせるのではない。

異なる国であれ民族であれ、共通点を見つけ、互いを高め合う共生の道を切り開く知恵を備えた人材こそを育みたい。
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2014年01月29日

[東京新聞] 大相撲・遠藤 全国ファンの楽しみだ (2014年01月29日)

大相撲初場所で石川県穴水町出身の遠藤(23)が、入門六場所で幕内十一勝を挙げ敢闘賞に輝いた。成績も立派だが、取り口がいい。学生相撲出身では輪島以来となる横綱を目指し、精進してほしい。

誰が名付けたか「土俵際の魔術師」。初場所でも粘りの逆転勝ちが目立った。俵に足がかかってから巧みに回り込む。最後まであきらめない。相手に隙を与えない厳しい攻めも見応え十分。連日、好角家をうならせた。白星の十一日間すべて、ファンが選ぶ「敢闘精神あふれる力士」ベスト3に選ばれた。

一八二センチ、一四五キロは幕内平均よりも下回る。しなるような体の柔らかさ、相撲センスが光る。巨漢力士を転がした一番は、まさに「柔よく剛を制す」。あるいは「若さよくベテランを制す」ともいうべきか。

小学一年のとき、父親に連れられて通い始めた相撲教室。先生が怖くて、基本の四股を徹底的にやった。足腰の粘りは、ここから来ている。両足が天井に向かい一直線に伸び、ぴたりと止まる。その美しさには目を見張る。

インタビューの受け答えも相撲同様に落ち着いている。技能賞を逃したことに「(敢闘賞と)二つ取るより、向上心を持ってやれるので」。新人離れした発言だ。大関琴奨菊に敗れて「(課題は)克服したときに言う」。頼もしい発言だ。有言実行を期待したい。

力士にはまず郷土の応援が励みになる。石川、また北陸の注目はひとしおだろう。

来場所は前頭筆頭あたりに躍進し、横綱、大関と連日対戦するだろう。思い切って挑み、未来の力士を夢見る少年たちも勇気づけてほしい。

角界は、元横綱の暴力沙汰や八百長問題など暗いニュースが続いた。何より日本出身の横綱がいないのが寂しい。漂う閉塞(へいそく)感を取り払うにも、遠藤は希望の星だ。

日本人横綱は一九九八年の三代目若乃花以来、誕生していない。綱とりの失敗を繰り返す稀勢の里はふがいない。代わって遠藤が、初場所を大いにおもしろくしてくれた。

まげが結えないざんばら髪はスピード出世を象徴する。雅山、豊山、長岡(朝潮)らに並ぶ速さだが、学生相撲出身で横綱まで上り詰めたのは輪島だけだ。焦らなくてもいい。

試練はまだまだあるだろう。乗り越えて、横綱をめざし成長していく道を見守りたい。
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