2013年11月30日

[東京新聞] 「心」の教育 個性が窒息してしまう (2013年11月30日)

子どもの内心の教育にまつわる文部科学省の動きが目まぐるしい。道徳の教科化であり、教科書検定基準の強化である。多様な個性や生き方の根っこに影響を与えかねない。慎重な論議を求める。

第一次安倍晋三政権の時代から、道徳教育の強化は異論を挟みにくいいじめ対策にからめて主張されてきた。九月に施行されたいじめ防止対策推進法はすでにその充実を学校に義務づけている。

そんな流れの中で先ごろ、文科省の有識者会議は小中学校の「道徳の時間」を正式教科に格上げするべきだとの考えを示した。検定教科書を使い、子どもの成長ぶりを評価する。二〇一五年度の導入を目指すという。

いじめを防ぐには、物事の善悪を見きわめる力や規範意識が欠かせない。だが、道徳とはさらに幅広く人格や価値観の形成といった内面に深くかかわる領域だ。

学校生活に限らず、地域や家庭でのさまざまな体験や人間関係を踏み台に、子どもが手探りで心の肥やしとしていくものだろう。

先生が教科書に載った偉人伝や格言を基に“正しい人物像”を説き、子どもの取り組みの成果をチェックする。そんな教育を過度に推し進めれば、特定の思想や信条、人生観を植えつけて危うい。

併せて心配なのは、文科省が進める小中高校の教科書検定基準の見直しだ。政府見解を紹介したり、諸説をバランスよく取り上げたりする決まりとし、来春の中学教科書検定から適用するという。

南京事件や従軍慰安婦などについての歴史認識や、竹島や尖閣諸島といった領土を扱う社会科分野を想定しているようだ。いまの教科書の多くを自虐的と非難する保守勢力の強い意向が働いている。

しかし、それでは時の政権が教科書の中身に介入する道を開きかねず、執筆者や編集者への萎縮効果は計り知れない。論争のある事象の記述を避けたり、政府の立場におもねった見方が強調されたりするおそれは否めない。

最も憂慮されるのは、教育基本法の目標に照らして「重大な欠陥」があれば不合格にするという基準だ。目標には道徳心をはじめ公共の精神、愛国心といった国家や社会を支えるべき内心のありようが掲げられている。

その曖昧さゆえ、運用次第では政権の目指す“正しい国家像”にそぐわない教科書は失格となる事態もあり得る。明治天皇の教育勅語が軍国主義の支柱にされた過去の教訓を忘れず、警戒したい。
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[東京新聞] 温暖化対策 日本よ、責任を果たせ (2013年11月30日)

気候変動枠組み条約ワルシャワ会議(COP19)は、すべての国が参加する温室効果ガスの削減ルールを作ることに合意した。だが日本が示した低い削減目標は、世界をがっかりさせたままである。

先進国により重い責任を求める途上国、途上国にも応分の義務を課したい先進国。両者を隔てる溝はいまだに深く、そして暗い。

昨年のカタール会議(COP18)で二〇二〇年までの延長が決まった京都議定書では、先進国だけが温室効果ガスの削減義務を負う。しかし削減義務のない中国が今や世界一の排出国だし、インドは第三位。一昨年の南アフリカ・ダーバン会議(COP17)は、一五年までに、途上国を含むすべての国が削減に参加する新たなルールを作ることで合意した。

一五年のパリ会議(COP21)に向けて可能な限り交渉を進展させるのが、ワルシャワの課題だったと言っていい。

COP19では、一五年に決める二〇年以降の新しいルールについて、京都議定書のように、削減義務を各国に割り振るやり方ではなく、各国が自主的に削減目標を提示して、全体でそれを評価、検証しながら、削減を進める方式への転換を決めた。京都議定書から早々と離脱した米国提案の国別決定目標方式に基づくものだ。

次のルールにすべての国が参加する、という合意はできた。だが、参加の仕方はあいまいなままである。途上国側の強い反発で、すべての国が目標や義務を持つのではなく、削減に「貢献」するという表現にとどまった。

自主的な削減活動にも、実効面での不安は残る。メキシコ・カンクン会議(COP16)の合意に基づいて、先進国は二〇年までの削減目標を提示している。しかし、全部足しても、温暖化の被害を食い止めるには、八十億から百三十億トン不足する。米国の年間排出量に近い量である。

地球と人類の危機回避のために埋めなければならない溝は、南北問題だけではない。

日本は、途上国が気候変動の「損失と被害」に対し、三年間で一兆六千億円の支援を表明した。しかし、追随する声はない。

来年恐らく会議の動きは加速する。日本が発言力を強めるには、原発停止を口実にするのはやめて、技術大国にふさわしい、野心的かつ責任ある削減目標を世界に提示するしかない。南北ともに、それに異存はないはずだ。
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[産経新聞] 高速道路の割引 効果見て継続は限定的に (2013年11月30日)

高速道路の通行料金割引が来年度から大幅に縮小されるが、一部の割引は国費を使って継続するという。

政府は来年4月の消費税増税に伴う景気対策と位置付けている。激変緩和のため、やむを得ない面もあろう。だが、高速道路料金はあくまでも利用者負担が原則だ。

国費投入による割引は、その効果を見極め、限定的なものにとどめるべきである。

高速料金の割引は、リーマン・ショック後の景気対策として導入され、年4千億円の国費と高速道路3社の負担分5千億円がその費用に投入されてきた。すでに3兆円の国費がつぎ込まれてきたが、今年度末で財源が切れる。

トラック業界などは、消費税増税に対応した景気対策として割引の継続を求めており、政府も補正予算で割引を補助する財源を確保しようとしている。

景気の落ち込みを防ぐために必要なものもあるだろうが、単年度限りで対象地域や時間帯を限るなど、効率的な補助にすべきだ。リーマン後のような「何でもあり」を繰り返してはならない。

自動料金収受システム(ETC)を搭載した普通車の場合、現在は地方で平日昼間と平日夜間・早朝の3割引きを導入している。東日本、中日本、西日本の道路3社案はこれを廃止し、大都市近郊の休日の日中割引などもなくすとしている。

「休日上限1千円」の大幅な割引は廃止されたが、いまだに多くの時間帯で複雑な割引制度が残っている。国土交通省の調査では、平日の割引効果は限定的との結論が出ている。割引の縮小は当然である。

今後は、経営努力で割引の財源を捻出すべきだ。旧道路公団を民営化した道路会社の効率化をさらに促し、独自に財源を生み出す姿勢を求めたい。

高速道路をめぐっては、今後の大規模修繕などの費用に充てるため、建設費用の返済期間が延長される。2050年までに債務を完済して通行料を無料化するとしていたのが、さらに10?15年は料金を取り続ける方向となった。

こうした方針転換や複雑な料金の仕組みについて、利用者の理解を得られるような説明も欠かせない。目先の景気対策と人気取りで、料金体系をゆがめることは容認されないだろう。
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[産経新聞] NHK番組訴訟 徹底検証し公正な放送を (2013年11月30日)

日本の台湾統治を取り上げたNHKの番組をめぐる訴訟の控訴審判決で、東京高裁は台湾先住民族の女性の名誉が傷つけられたことを認め、NHKに賠償支払いを命じた。取材や番組内容に問題があったことを厳しく指摘した判決である。

NHKは公共放送として公正さが一層求められる。判決を機に改めて取材や放送内容を徹底検証してほしい。

問題となった番組は平成21年に放映されたNHKスペシャル「アジアの“一等国”」だ。台湾には日本統治時代の深い傷が残っているなどとした内容に対し、「日本の悪い面だけ取り上げ一面的」などの批判が相次いでいた。

原告は取材を受けた台湾人らのほか、「偏向した番組で知る権利を侵害された」として日本の視聴者らも加わった。1審では訴えが認められなかった。

控訴審判決は、日英博覧会(1910年)に参加した台湾の先住民族パイワン族を「人間動物園」との表現で取り上げた内容について、パイワン族の父親を持つ女性の名誉を傷つけたと認定した。「人間動物園」は一部学者の造語で「人種差別的な意味合いに全く配慮せず、日英博覧会に誇りを持って出向いたパイワン族の人たちを侮辱した」と指摘した。

原告の女性は「展示された青年」の娘として取り上げられることを知らずに取材を受けた。判決はディレクターの説明が「極めて不十分」だったとした。番組編集は放送事業者の自律的判断に委ねられるとの原則を挙げながらも、問題があったことを厳しく指摘している。

他の原告への賠償は認めなかったが、「日本に対して好意的な台湾の人たちに不快な気持ちを生じさせ、報道として問題がないわけではない」とも判じた。放送法は「意見が対立する問題は多くの角度から論点を明らかにする」と定めている。造語や都合のいいコメントだけを使い、歴史をゆがめることがあってはならない。

番組放送後のNHK経営委員会で、番組で使われた用語について「歴史的事実がない」と一部委員が提起したが、「個別番組に干渉すべきでない」として真摯(しんし)に議論されなかった。経営委員が公正な放送に責任を持つのは当然だ。委員が一新されたのを機会に十分目配りしてもらいたい。チェック機能を失っては信頼を失う。
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[毎日新聞] 温暖化会議合意 実効性に懸念残した (2013年11月30日)

ポーランドで開かれていた気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)は、会期を1日延長する難産の末、合意にこぎ着けた。

焦点だった2020年以降の温室効果ガス排出削減の新枠組み作りについては、各国が自主的に目標を決め、早ければ15年3月末までに国連に提出することになった。15年末の新枠組み採択を目指し、国際社会が歩みを進めたことは評価できる。

京都議定書は先進国にだけ排出削減を義務付けていた。今回の合意により、新枠組みは、途上国も含めたすべての国が自主目標を掲げ、それが十分かどうかを多国間で検証する方式になる見込みだ。

COP19でも、フィリピンを襲った台風30号が地球温暖化との絡みで関心を集めたように、温暖化対策に猶予はない。各国は交渉の促進に力を尽くしてもらいたい。

自主目標方式は京都議定書から離脱した米国が提案し、日本や欧州連合(EU)が賛同していた。

世界の温室効果ガスの排出量は、途上国が先進国を上回る。中国やインドなど新興国と米国が参加しなければ、温暖化対策は成り立たない。

京都議定書のように交渉で削減目標を決めるより、自主目標の方が各国を巻き込みやすい。新方式への移行はやむを得ない選択だ。

ただし、各国の自主性に任せるだけでは削減目標が甘くなり、世界の気温上昇を2度未満に抑える国際合意の達成も危うくなる。中国やインドは目標提出に最後まで抵抗し、合意文書案の削減を「約束」するとの言葉は「貢献」という緩やかな表現に変わった。対策の実効性に懸念を残す結果で、多国間の検証制度がうまく働く仕組み作りが不可欠だ。

各国の20年までの削減目標の引き上げと先進国から途上国への資金支援も会議の焦点だった。大きな進展はみられず、交渉紛糾の火種となる恐れがある。独自の対策が難しい最貧国などに対する先進国の支援拡大が求められるだろう。

日本は、20年までに「1990年比で25%削減する」との目標を「05年比で3・8%削減」に引き下げることを表明した。稼働原発をゼロと仮定した暫定値だったが、先進国からも批判を浴び、新興国が居直る口実になったとも言われた。3年間で1兆6000億円の途上国支援も打ち出したが、批判はかわせなかった。

政府は「50年に8割削減」という長期目標自体は維持している。15年には新枠組みによる削減目標を提出しなければならない。原発頼みを脱し、長期目標の実現につながる温暖化対策の道筋を描かなければ、各国の利害が絡む国際交渉の舞台で、日本の存在感は薄れるばかりだ。
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[毎日新聞] 学力テスト成績 学校別の公表は無用だ (2013年11月30日)

学力向上のためのテストが、学校ランク付けの手段にすり替わりはしないか。文部科学省は、これまで学校が個別の自主判断で出す例以外は禁じてきた全国学力テストの学校別成績公表を、市区町村教育委員会の判断によってできると認めた。来年度のテストから実施される。

一律ではなく、教委が学校と話し合ったうえでとされているが、最終決定権は教委にある。

2007年度に始まった現行テストは小学6年生、中学3年生を対象に国語、算数(数学)の2教科について行われる。民主党政権下で抽出方式も採用されたが、現政権は全員参加方式を続けるとしている。

文科省がテスト実施要領で学校別成績(正答率)の公表を認めなかったのは、1960年代に廃止された旧学力テストで学校や地域間の競争が過熱し、対策補習や不正行為などで混乱した苦い歴史があるからだ。

学力の実態を探るはずのテストが、競争のために取り繕いやごまかしを誘う皮肉な構図になった。

今回、文科省は首長らの要望や「説明責任」などを理由に“解禁”に踏み切ったが、かつての混乱を招かぬという確証はどこにもない。そもそも、判断を教委にゆだねること自体、責任の丸投げではないか。

学校が板挟みになって苦悩する事態が今から懸念される。

またテスト本来の目的に照らしても、学校別成績公表は無用だ。子供たちの得手不得手の傾向や特徴をつかみ、個別の指導に生かすという趣旨からいえば、結果分析をどう指導に反映させ、先に向かって改善していくかが最も肝要だ。学校別数値の差異に一喜一憂することではない。

今回の改定でも文科省は、学校名と正答率だけの公表を認めず、結果の分析や改善策とともに示すよう求めている。正答率で学校を順位付けすることも禁じている。しかし、数値が出れば順位一覧表はできる。

むしろ正答率などより、結果に見る学力傾向と今後の指導計画を保護者や地域に説いた方がずっと理にかなう。そこを主眼とすべきだ。

また、傾向と課題を的確に掌握するには抽出調査で十分と専門家は指摘する。抽出なら学校間の成績競争はない。結果から子供たち全体の改善指導を工夫し、追跡調査で成果を検証していく。その方が、学校の成績順位よりはるかに重要だろう。

教委は、最終決定権者であることで実施を押し通すのではなく、学校や父母とも十分に話し合い、現場の意見をくみとってほしい。

文科省が実施要領に明記するように、テストの結果は「学力の特定の一部分」に過ぎない。決して学校を格づけするものではない。
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[読売新聞] 猪瀬氏の5000万 「借用証」でも疑念は消えない (2013年11月30日)

巨額の借入金の趣旨は何だったのか。最初の釈明記者会見から1週間が過ぎても、疑念は一向に消えない。

強制捜査を受けた医療グループ「徳洲会」側から5000万円を受け取っていた東京都の猪瀬直樹知事が、都議会の所信表明で改めて「個人の借り入れだった」と強調した。

これまでの釈明の域を出ない内容に、議場から激しいヤジが飛んだ。各会派が「説明不足だ」と反発したのはもっともだ。

猪瀬氏は26日の記者会見で、現金授受の際に記入したとする「借用証」を公開した。貸金庫に保管していたという。

貸し手の徳田毅衆院議員の名前と日付が印字されているほかは、金額と知事の署名があるだけだ。返済時期や利子の記載もない。

これが本物であるとしても、借用証だけでは、「選挙運動のためではない」という猪瀬氏の主張が証明されたとは言えまい。

猪瀬氏は現金受領の6日前に徳田議員と会食し、その際、選挙には金がかかることが話題に上ったという。徳田議員が「お金がないなら、いつでも貸します」と語ったことも、猪瀬氏は記者会見で明らかにしている。

このやり取りを踏まえれば、選挙のために現金が提供されたと考えるのが自然だろう。

公職選挙法は、選挙運動に関する収入と支出を選挙運動費用収支報告書に記載するよう、候補者の出納責任者に義務づけている。出納責任者に虚偽記載の認識がなければ、違法行為にはならない。

猪瀬氏の報告書に5000万円の記載はなかった。猪瀬氏が出納責任者に現金受領を伝えていなかったと強調するのは、公選法の規定を意識してのことだろう。

疑念は払拭されていない。猪瀬氏は説明を尽くす必要がある。

知事は現金受領の際、徳洲会グループの病院と介護老人保健施設が都内にあることを「知らなかった」とも述べている。

グループには、過去5年間に都から約8億5000万円の補助金などが出ている。2007年から副知事の要職にあった人物として無責任のそしりは免れまい。

都の一般職員が、職務上の利害関係がある業者から借金をすれば、懲戒処分の対象になる。都政全般に職務権限が及ぶ知事や副知事が、一般職員以上に襟を正さねばならないのは当然である。

都議会では来週、代表質問と一般質問が予定される。真相究明に向け、各会派の役割も重い。
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[読売新聞] 防空識別圏 中国は孤立を深めるだけだ (2013年11月30日)

沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に、防空識別圏を一方的に設定した中国に、世界各国から非難が集中している。

中国の国際ルールを無視した振る舞いに、とりわけ反発したのは米国である。中国にとっては誤算だったのではないか。

米国は26日、日本の防空識別圏と重なる中国識別圏内で、事前通報なしに核兵器も搭載可能なB52戦略爆撃機2機を飛行させた。

日本の防空識別圏は、第2次大戦後に米軍が設定したものを、1969年に継承した。米国は、中国がアジアの戦後秩序に挑戦していると見て、現状変更を許さないという決意を示したのだろう。

これに対し、中国は緊急発進(スクランブル)は行わず、「監視していた」と後で発表した。

日本、韓国、台湾の識別圏は重複しないよう、境界を接して定められているが、中国は、事前協議なしに、日韓台の識別圏に重なる形で設定した。どの国も、中国の識別圏を認めないのは当然だ。

その後、自衛隊機や韓国軍機も識別圏の重なる空域で飛行した。日本の航空各社は、国交省からの要請を受け、中国に飛行計画を提出せずに、運航を続けている。

中国の外交的孤立は、今や決定的になりつつある。日米韓以外の、フィリピンやオーストラリア、欧州連合(EU)も「不安定化を招く」などと中国を批判した。

中国空軍は、識別圏内で戦闘機などによるパトロールを「常態化」させたとしている。だが、本土から遠く離れた識別圏で、全ての航空機の動静を把握する能力を中国が有しているのか疑問だ。

偶発的な軍事衝突が起きかねず、危険な状態といえる。日米は連携して、周辺空域での警戒監視活動を強化する必要がある。

一方で、中国は、識別圏が重なった空域について「共同で飛行の安全を維持すべきだ」と述べ、日本などに協議を提案した。

協議を通じて、尖閣諸島の領有権問題の存在を日本に認めさせようとの意図があるのだろう。日本政府が、「中国の識別圏を前提とした協議は受け入れられない」と一蹴したのは妥当だ。

日本は、米国などと、中国に識別圏の撤回を粘り強く働きかけていくことが求められよう。

バイデン米副大統領は2日から日中韓3か国を訪問する。日本政府と調整の上、中国指導部に対して、識別圏に関する懸念を直接伝えるとみられる。

中国の国際常識を逸脱した行動をこれ以上認めてはならない。
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[朝日新聞] 橋下市長2年―空費できる時間はない (2013年11月30日)

大阪維新の会を率いる橋下徹氏が大阪市長の座を奪ったダブル選から27日で2年たった。

折り返し点を前に、朝日新聞の世論調査では支持率が過去最低の49%に下がった。「まだ半分も支持してくれている」と橋下氏は言ったが、勢いの衰えは明らかだ。

大阪府市を分割・再編する大阪都構想も、反対が賛成を初めて上回った。橋下氏が目標としてきた15年春の実現は困難との見方が強まってきている。

橋下氏は市長就任当初、「(1期で)賞味期限切れ」と語っていた。予想より早いと評するのは簡単だが、大阪の現況はあまりに厳しく、だからなお多くの人が橋下氏に期待をつないでいる。残る任期を、停滞や混乱で終わらせてはならない。

08年に大阪府知事になって以降、橋下氏が大阪が抱える諸課題に向き合い、問題のありかを明らかにしてきたのは確かだ。

ただ、橋下氏が問題に対して出してきた「答え」はあまりに単純で強引に過ぎた。

多くの問題を二項対立の構図でとらえ、択一を迫るのが橋下流だった。大阪低迷の要因を府市の二重行政とみなし、再編で根こそぎ変えようとする大阪都構想がその典型と言える。

公務員や教員の世界に風穴を開けるとして、民間公募で多くの幹部職員や校長を採用したが、不祥事続き。府内を一つの水道に統合する構想も、利点を十分示せないまま頓挫した。

政策がまったく違う石原慎太郎氏らと合流し、維新の国政進出を急いだことも、地元の不信を招いたと言えよう。

世論調査では6割超の府民が、橋下氏は「大阪の課題に重点を置くべきだ」と望む。日本維新の会共同代表も辞し、大阪での本務に専念してはどうか。

市内の多くの区で少子高齢化がハイペースで進み、生活保護受給者も全国一多い。そういう最重要課題は橋下改革の下でも、ほぼ積み残されたままだ。

都構想が実現しても大阪の立て直しに必要な財源が生み出せるわけではない。「15年春の都移行」といった目標ありきの政治手法に走るのではなく、大阪の未来像とそれを実現する工程表をていねいにつくりあげていく必要がある。

橋下人気の退潮で、市議会では政争激化の兆しがある。だが各党も党利党略で足を引っ張るだけでは市民に見放される。

大阪の未来を案じた橋下氏の問題提起も踏まえて、課題解決に向けた具体的な方策を、総力で練っていくべきだ。大阪に、時間を空費する余裕はない。
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[朝日新聞] 学力調査公表―序列化解禁ではない (2013年11月30日)

副作用の強い薬を使うなら、使用上の注意を徹底すべきだ。

全国学力調査の学校成績を公表するかどうかは、各校の判断に任されてきた。これを来年度から、市区町村の教育委員会の判断で公表できるようにする。文部科学省がそう決めた。

これは「学校ランキング」の解禁ではない。文科省はそう強調する。自ら決めた以上は自治体任せにせず、運用に目を光らせる責任がある。

これまでも、フライングをする自治体はあった。たとえば今年、静岡県は上位校の校長名を一覧にして公表した。

新ルールは、そうしたやり方にお墨付きを与えるものではない。むしろクギを刺す内容だ。

《学校の序列化や過度な競争を防ぐため、各校の平均点の一覧表や、順位をつけた公表はしない。点数だけでなく、結果の分析と改善策も示すこと》

公表するときは、学校と事前に相談することも求めている。学校の意向を無視した強引な公表は許されまい。

文科省の事前アンケートで、ルール改正に賛成が多数を占めたのは都道府県の知事だけだ。市町村の長や教委、学校は反対が圧倒的。保護者も賛否が割れ、反対がやや上回った。

学校や家庭の心配が根強いのに、なぜ「来年から」と急ぐのか、疑問が残る。各教委は、学校だけでなく保護者の意向も確かめて慎重に判断すべきだ。

公教育には、どの街のどの学校に通っても力がつくようにする使命がある。親や納税者への説明責任がある。だから情報公開が必要だと文科省はいう。

ならば、大切なのは情報を格差是正に役立てることだ。自治体は下位校の先生や予算を手厚くするなど改善の手を打ち、次からのテストで効果を確かめて市民に説明してほしい。

調査結果には日々の生活と学力の関係の分析データも含まれている。図書館に通う、ニュースに関心を持つなど、お金をかけずに学力を伸ばせることを説明すれば保護者の役に立つ。

成績が伸びた学校の授業実践例など、校名の必要な情報もあろう。だが、校名なしでも出せる情報は多いはずだ。まずそこから公開に取り組むべきだ。

昭和30年代の全国学力テストでは、成績のいい学校への越境入学が問題になった。今は、学区を越えて小中学校を選べる市区町村が15%もある。学校格差を広げるリスクは高い。

大学入試では「1点刻みの競争を改める」方向が打ち出されている。まして義務教育はなおさらだろう。
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2013年11月29日

[東京新聞] 参院選は「違憲・無効」 史上初の英断を尊べ (2013年11月29日)

参院選の「違憲・無効」の判決は史上初だ。広島高裁岡山支部は限りなき一票の平等を求めた。この英断を尊び、国会は速やかに抜本改革を図るべきだ。

この判決が秀逸なのは、国民主権の原理や、代表民主制などについて、正確かつ常識に沿って適用した点に表れている。

日本国憲法は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し…」で始まる。

その文言を引用しつつ、「国民主権を実質的に保障するためには、国民の多数意見と国会の多数意見が可能な限り一致することが望まれる」と述べた。これが憲法が求める平等な一票の姿である。


◆「35%で過半数」の矛盾
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国会は国権の最高機関であるが、国会議員を選んでいるのは、われわれ国民である。国民の多数意見が、国会議員の多数意見と食い違ってしまっては、主権者の意見が国政に正しく反映されないではないか。

有権者の一票の価値にゆがみが生じると、当然ながら、国民の多数意見が国会議員の多数意見にならない。判決はまっとうな視点に立っている。

今年七月の参院選は、最大格差が四・七七倍もあった。つまり、ある人が「一票」を持っているのに、ある人は「〇・二一票」しか持たない。この矛盾した状態について、判決は別の表現方法で、うまく言い当てている。

まず、最も議員一人当たりの有権者数が少ない選挙区から、順番に選挙区を並べてみる。そして、議員の数が過半数に達するまで、有権者数を足し算する。

そうすると、有権者数の合計は約三千六百十二万人になる。それを全国の有権者数で割り算をするのだ。その結果、たった約35%の有権者で、過半数の議員を選んでいることがわかる。


◆頓挫したブロック制論
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「全有権者数の三分の一強の投票で、選挙区選出議員の過半数を選出できるのであって、(中略)投票価値の不平等さははなはだ顕著である」

小学生レベルの算数の世界だ。深刻なずれを生む選挙制度が、まかり通ってきた方がおかしい。

国民主権や代表民主制、法の下の平等という憲法原理を用い、「選挙権に関しては、国民はすべて政治的価値において平等」「徹底した平等化を志向するものである」とも言った。根源的で良心的な考え方だと評価したい。

しばしば、人口比例で議員の配分を決めると、「都会が有利になる」などと言われる。だが、今回の参院選で最も不利益をこうむったのは、最北の地・北海道の有権者なのだ。次は兵庫である。そもそも、都会が有利になるのではなく、平等になるだけだ。

長く参院では、約五倍もの格差が漫然と放置されてきた。二〇〇九年の最高裁は「合憲」としつつも、「定数を振り替えるだけでは格差の縮小は困難」と抜本改正を求めた。

その翌年に西岡武夫議長は、都道府県単位の選挙区を廃止し、比例代表を全国九ブロックに分割する試案をまとめた。この場合だと、最大格差は一・一五倍まで縮まる。大選挙区にすると、一・一三倍になるとの試算もあった。

ブロックを十一にする大選挙区の案も出たりして、抜本改革に向かうかに見えた。だが、西岡氏が一一年に死去すると、この機運は一気にしぼんで消えた。国会は怠慢を決め込んだのだ。

一〇年の参院選訴訟を審査した昨年の最高裁判決では、「違憲状態」としたうえで、「都道府県単位の選挙区を設定する現行方式を改めるなど立法措置を講ずる必要がある」と、さらに踏み込んだ表現にした。

それでも、国会は「四増四減」という小手先の直しに安住し、今夏の選挙に至ったのだ。〇九年の大法廷判決から、実に約三年九カ月もの期間があった。この経緯を眺めるだけでも、立法府の慢性化したサボタージュは明らかだ。

昨年の最高裁では、複数の裁判官が現行法の枠組みを続ければ「選挙無効にする」と言及したから、岡山判決が突出しているのではない。むしろ、「現行方式を改めよ」とする“憲法の番人”の指摘に忠実だったといえる。

今回の訴訟の特徴は、全国四十七すべての選挙区での無効を求めている点だ。一つの選挙区だけ無効が出た場合、その議員が不在のまま是正が行われる。


◆「事情判決」を封印する
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その不公平がないように、あえて全国提訴したわけだ。違憲でも選挙は有効とする「事情判決の法理」を封じる狙いもある。

高裁レベルの判決が終了すれば、最高裁はいよいよ決断が迫られる。「国民の多数決と国会議員の多数決の一致」−。当たり前の答えが出るのを期待する。
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[産経新聞] 参院選無効判決 大改革で存在意義を示せ (2013年11月29日)

「一票の格差」が最大4・77倍だった7月の参院選をめぐる判決で、広島高裁岡山支部は定数配分規定を違憲と判断し、岡山選挙区の選挙を無効とした。

参院選の無効判決は初めてで、司法に怠慢を指摘された国会には抜本的な選挙制度の見直しを行う責務がある。この際、「衆議院のカーボンコピー」とも揶揄(やゆ)される院のあり方を含め、大改革に乗り出すべきだ。

これは全国14の高裁・支部に起こされた一連の訴訟で最初の判決だ。今後も厳しい判断が続くと予想される。

昨年12月の衆院選をめぐっても16の高裁・支部で判決があり、選挙無効2件を含む14件が違憲と判断された。上告審で最高裁は判断を「違憲状態」にとどめたが、3人の裁判官は「違憲」の立場で反対意見を述べた。

司法が衆参両院に次々と最後通告を突きつけるありさまは、国の異常事態といってもいい。

格差が最大5・00倍だった平成22年参院選について「違憲状態」と判断した昨年10月の最高裁判決は、「都道府県単位の選挙区設定を改めるなどし、速やかに不平等を解消する必要がある」と指摘していた。

だが、国会は選挙区の議席配分を「4増4減」とする微修正のみで7月の選挙に臨んだ。抜本的な見直しは「次回28年選挙に向け結論を得る」と付則で規定するにとどめた。

その後の論議も活発とはいえず、結論を先送りした付則について、岡山支部が「見通しは、はなはだ不透明」と疑ったのも当然といえるだろう。

自らの身分にかかわる事柄のため、小手先の見直ししかできないなら、第三者機関にその任を託すしかないのではないか。

4月に産経新聞が公表した「国民の憲法」要綱は、参院選挙制度の抜本改革を提言した。現憲法は衆参の国会議員を国民が直接選挙するよう定めているが、要綱は参院議員に限り「直接選挙および間接選挙」で選出するとした。

衆院の権能を強めた上で、参院には「良識の府」の役割発揮を期待し、外交・安全保障などの国家的課題に取り組むほか、地方の意見を国政に反映させる人材を選ぶなどの考えからだ。

未来に向けた大改革の参考にしてほしい。
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[産経新聞] 戦時徴用と司法裁 政府の提訴検討は当然だ (2013年11月29日)

韓国の戦時徴用訴訟で日本企業への賠償命令が相次いでいることを受け、日本政府は国際司法裁判所(ICJ)への提訴など法的対応を検討している。

日韓両国の協定に反して個人請求権を認めた賠償命令は国家間の約束を反故(ほご)にするもので、国際法上認められないのは明らかだ。違法性を明確に訴える対応は当然で支持したい。

韓国最高裁が昨年5月に個人請求権を認める判断を示してから、今年7月に差し戻し審でソウル高裁が新日鉄住金(旧日本製鉄)に賠償支払いを命じるなど2件の賠償命令がでた。新たに起こされた訴訟でも、光州地裁が三菱重工に賠償を命じた。

しかし、韓国最高裁の判断自体が、戦時賠償について個人補償を含めて「解決済み」と明記した日韓両国の協定に反する。不当な賠償命令に応じるいわれはない。

日本側はすでに、賠償命令が確定した場合、韓国政府に対して日韓協定に基づいた対応を求めるとともに、応じなければ「重大な国際法違反」として、ICJへの提訴を検討する考えを韓国側に明確に伝えている。

この問題は訴訟対象となった企業だけにとどまらない。同様の訴訟がさらに続くことも予想されるためだ。日本側は足並みをそろえ、根拠のない要求には拒否を貫いていかなくてはならない。

昭和40年の日韓国交正常化に伴う日韓請求権・経済協力協定に基づいて、日本は無償供与3億ドルと政府借款2億ドルの経済協力などを約束した。両国とその国民(法人を含む)の請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記された。

韓国はこの5億ドルをインフラ整備などに充てることで、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を果たした。韓国政府には、こうした経緯を国民にはっきりと説明して解決する責任がある。

賠償命令が確定すれば、日本企業の韓国での保有資産が差し押さえられる恐れがある。経団連など経済3団体と日韓経済協会は共同声明を出し、早期解決を求めている。同種の訴訟多発を放置すれば日本企業の投資など経済関係を損なうことを憂慮したものだ。

韓国政府が「司法の独立」を言い訳に傍観するのは責任ある対応ではない。国際法を順守せずに信用を損なうのは韓国である。
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[毎日新聞] 秘密保護法案 参院審議を問う テロの定義 (2013年11月29日)

◇あいまいで乱暴すぎる

国際的にも解釈の分かれる重要な論点が、ほとんど議論のないまま素通りされていることに驚く。

特定秘密保護法案のテロリズムに関する定義である。「反政府組織はテロリストか」。国際社会では、そういった解決困難なテロの定義をめぐり、今も議論が続く。日本も国際協調しつつ、テロ対策に向き合うべきだ。だが、テロを定義した法律は現在、国内にない。法案は12条でテロを定義した。全文を紹介する。

「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要し、又(また)は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう」だ。

テロ活動の防止は、防衛、外交、スパイ活動の防止と並ぶ特定秘密の対象で、法案の核心部分だ。本来、法案の前段でしっかり定義すべきだが、なぜか半ばの章に条文を忍ばせている。それはおくとしても、規定のあいまいさが問題だ。

二つの「又は」で分けられた文章を分解すると、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」「社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷」「重要な施設その他の物を破壊するための活動」の三つがテロに当たると読める。衆院国家安全保障特別委員会で、民主党議員が指摘し、最初の主義主張の強要をテロとすることは拡大解釈だと疑問を投げかけた。

これに対する森雅子特定秘密保護法案担当相の答弁は、「目的が二つ挙げてある」というものだった。つまり、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し」「又は社会に不安若しくは恐怖を与える」がともに「目的で」にかかるというのだ。

ならば、そう分かるように条文を書き改めるべきだ。法律は、条文が全てだ。読み方によって解釈が分かれる余地を残せば、恣意(しい)的な運用を招く。だが、委員会では、それ以上の追及はなかった。

たとえ森担当相の答弁に沿っても、テロの範囲は相当広い。「主義主張を強要する目的で物を破壊するための活動」はテロなのか。「ための」があることで、準備段階も対象になる。原発反対や基地反対の市民運動などが施設のゲートなどで当局とぶつかり合う場合はどうか。

もちろん、この定義に従い、すぐに具体的な摘発が行われるわけではない。だが、こんな乱暴な定義では、特定秘密の対象が広がりかねない。参院の拙速審議は許されない。
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[毎日新聞] 初の参院選無効 司法が発した強い警告 (2013年11月29日)

選挙区定数を「4増4減」して実施された7月の参院選について、広島高裁岡山支部は「違憲・選挙無効」の判決を言い渡した。

判決は、現行制度そのものを改革しない限り、憲法が要請する投票価値の平等の実現はありえないと指摘した。1票の著しい格差を放置することに比べ、無効とすることの弊害が大きいとは言えないとも述べた。国会の怠慢への強い警告だ。

無効判断は参院選で初めてだが、2010年参院選を違憲状態とした最高裁判決では「13年選挙が現行法の枠組みで実施されるなら無効とすべきだ」と警鐘を鳴らす裁判官もいた。最大格差が5・00倍から4・77倍に縮小したとはいえ、小手先の対応は通用しない。年内に全国各地の高裁で同種訴訟の判決があるが、厳しい判断が続いてもおかしくない。

参院選で格差を生む最大の要因は、選挙区が都道府県単位になっていることだ。半数改選のため、各選挙区に最低2議席を割り振らねばならず、人口の少ない選挙区では定数を減らそうにも限界がある。あらかじめ選挙区に1議席を割り振る衆院の「1人別枠方式」と併せて、国会は制度見直しを迫られている。

国政選挙のたびに違憲か違憲状態と指摘される状況なのに、国会の動きは鈍い。「違憲の府」から脱するために猶予はないはずだ。

参院では、16年選挙に向けて制度を抜本的に見直し、来年中に改革案をとりまとめる予定だ。都道府県選挙区の見直しに踏み込まざるを得ない。地域ブロックを選挙区とすることも一つの案となろう。

だが、判決は、そういう国会の動きにも手厳しい。07年参院選の最高裁判決(09年9月)が制度見直しの検討を求めて以降、一部の手直しにとどまったとして、「16年選挙に向け、抜本的見直しをした法案が成立する見通しは甚だ不透明といわざるを得ない」と言及した。疑念というより、司法が国会の改革姿勢に強い不信感を表したものと言える。

7月の参院選で衆参両院の与野党ねじれ状態が解消され、「再考の府」としての参院の存在意義が問われている。2院制を有効に機能させるには、議員の選出方法と役割が異なることが必要だ。任期が長く解散もない参院には、長期的、多面的な視点から民意を反映することで安定した国政を継続する役割もある。

1票の格差是正を急がねばならない与野党にとって、中長期的に参院の役割をどう考えていくのかも重い課題だ。私たちは、参院を「地方代表の府」とすることも一つの選択肢と指摘してきた。衆院との機能分担のあり方について、政党は議論を深めるべきだろう。
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[朝日新聞] 減反「廃止」―これで改革が進むのか (2013年11月29日)

政府は「画期的な政策転換」と胸を張る。

しかし、中身を見ると、抜本改革とは言いがたい。競争力はつかず、補助金ばかりが膨らむ恐れすらある。

コメの生産調整(減反)の見直しのことだ。

現在は、主食用のコメの年間消費見通しを政府がまとめ、都道府県を通じて各農家に生産量を割り当てている。減反に加わらなくても罰則はないが、参加すれば10アールあたり1・5万円のコメ交付金がもらえるため、多くの農家が参加している。

政府は「5年後をめどに生産数量の配分に頼らずにやっていく」とし、1970年に始まった減反を廃止する方向性は打ち出した。コメ交付金も、来年度は半額に減らし、5年後に廃止するという。

減反と高い関税で米価を下支えしてきたことが、消費者のコメ離れに拍車をかけた。じり貧に歯止めをかけるには、減反廃止、関税引き下げへとかじを切り、中核的な農家に絞って所得補償をする仕組みに改めていくしかない。私たちは社説でそう主張してきた。

その第一歩は、「消費見通しに合わせて生産を抑える」という従来の発想から抜け出すことだろう。では、農林水産省は路線を転換したのか。答えは「ノー」である。

農水省は、引き続き需給見通しをまとめ、都道府県ごとの販売・在庫状況や価格情報も加えて農家に提供する。同時に、主食用米からの転作支援を手厚くする。具体的には、飼料用米への補助金を現在の10アールあたり8万円から最大で10・5万円に引き上げる。

転作で、伸び悩みが目立つ麦や大豆より飼料用米に力を入れるのはわかる。水田にもっとも適しているのはコメ作りだし、需要も見込めるからだ。

ただ、手厚い補助金に誘われて飼料用米を作る農家が相次げば、減反廃止で目指す「農家自らの判断による作付け」は骨抜きになる。零細農家が残り続けて、経営規模の拡大も滞りかねない。肝心の主食用米にみがきをかける取り組みがおろそかになることも心配だ。

農水省はコメ交付金の削減で浮いた財源を使いつつ、新たな補助金も設けることで、「これまでより農家の所得は増える」とPRするのに忙しい。

農家の平均年齢は66歳を超え、耕作放棄地は増える一方。日本農業の中核であるコメ作りは崩壊しかねない――。農水省はそう訴えてきたはずだ。

危機感はどこへ行ったのか。
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[読売新聞] 自民県連転換 辺野古移設へ環境整備を急げ (2013年11月29日)

長年の懸案である米軍普天間飛行場の移設問題を解決するうえで、重要な一歩と言える。

自民党の沖縄県議団が従来の「県外移設」の方針を転換し、名護市辺野古への移設を容認することを決めた。沖縄県連所属の国会議員5人も辺野古移設を容認しており、県連は近くこの方針を正式決定する。

沖縄県の仲井真弘多知事は12月中にも、政府が申請した辺野古移設に伴う公有水面埋め立てについて、可否を判断する予定だ。

仮に辺野古移設が頓挫すれば、住宅地にある普天間飛行場の危険な現状が長期間、固定化する公算が大きい。県連の方針転換の背景には、この最悪の状況は避けたいという現実的な判断がある。

知事与党の自民党県連が辺野古移設容認に転じたことは、知事の前向きな決断を後押ししよう。

政府・与党は、「県外移設」を唱える公明党県本部の翻意を促すなど、地元関係者の理解を広げる努力を続けねばなるまい。

移設先である名護市の稲嶺進市長は、環境保全策が不十分などとして、埋め立てに反対する意見書を沖縄県に提出した。

来年1月の名護市長選には、稲嶺市長と、辺野古移設を容認する2氏が出馬表明している。過去4回の市長選と同様、移設の是非が最大の争点となる見通しだ。

日本の安全保障が一地方選の結果に左右される事態は本来、あってはならない。地元の民意は十分勘案すべき要素であっても、安保政策は、政府が総合判断し、責任を持つべきものだからだ。

市長に移設を拒否する権限はないが、移設を円滑に進めるには無論、市長が容認している方が望ましい。自民党は、容認派の2人の一本化を急ぐべきだろう。

政府も、仲井真知事が市長選前に埋め立てを承認できる環境整備に全力を挙げる必要がある。

重要なのは、沖縄県の米軍基地負担の軽減を加速することだ。

日米両政府は近く、米軍の訓練海域における漁船操業の一部を解禁する。新型輸送機オスプレイの訓練の県外移転も、着実に拡大することが大切である。

普天間飛行場の移設が動き出せば、在沖縄海兵隊のグアム移転や米軍施設返還にも弾みがつく。

沖縄振興にも力を入れたい。

内閣府は来年度予算で、今年度より13%も多い3408億円を要求している。国家戦略特区の創設や基地跡地の有効活用など、より効果的な地域活性化策となるよう大いに知恵を絞るべきだ。
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[朝日新聞] 選挙無効判決―当然の責務を果たせ (2013年11月29日)

政治の怠慢に重い警告が突きつけられた。

ことし7月の参院選での一票の格差をめぐる最初の高裁判決である。格差は「違憲」、選挙は「無効」と断じた。

法の下の平等という立憲民主主義の根幹が問われているというのに、選挙制度の改革に向けた国会の動きは極めて鈍い。

そのため判決は、次の3年後の参院選に向けた是正の可能性についても「はなはだ不透明」と、厳しい見方を示した。

もっともな判決である。国会は、来年の最高裁の判断を待つことなく、当然の責務である格差の是正に腰を上げねばならない。

この夏の参院選の一票の格差は、衆院よりも大きい最大4・77倍。2010年の時の5倍からほとんど改善していない。

最高裁は昨年、その10年時点の参院選について「違憲状態」とし、抜本改革を促した。だが国会は定数の「4増4減」の数合わせでやり過ごした。

焦点は、都道府県単位の選挙区だ。各都道府県に最低二つの偶数議席を割り当てる現行制度では、格差をただすハードルはかなり高い。

最高裁はすでに09年時点の判決で、安直な選挙区間の定数ふりかえではなく、抜本的な制度改革を促していた。

きのうの判決は、それから今夏まで3年9カ月たっても改正法案の提出さえできなかった現実を重くみて、違憲とした。

そもそも当の参院がつくった改革協議会の委員会も8年前、現行制度を続ける限り、格差を1対4以内に抑えるのは難しい旨を報告していた。

制度の変更には時間がかかるという言い訳は通じない。

国会議員の選挙制度は、衆参それぞれの役割や権限と合わせて議論すべき問題である。

都道府県ごとの選挙区と比例代表の組み合わせという、衆参とも似通った制度でいいのか。都道府県より大きなブロック制や、比例区だけではどうか。改革するには、参院の存在理由を定義し、それを踏まえた選挙方法を設計する必要がある。

衆院の格差については、最高裁が先週、違憲や無効の高裁判決よりも甘く、「違憲状態」とする判決を出した。

それで国会内には安堵(あんど)が広がり、緊張感がうすれている。違憲状態とされて危機意識をもてない国会に自らをただす能力はあるのだろうか。

参院の格差をめぐっては、今後さらに年内に13の高裁・支部で判決が続く。司法には厳格な姿勢を貫いてもらいたい。
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[読売新聞] 参院1票の格差 選挙無効判決は乱暴に過ぎる (2013年11月29日)

国会の裁量権に踏み込んだ独りよがりの判決と言わざるを得ない。

「1票の格差」が最大4・77倍だった7月の参院選について、広島高裁岡山支部は「違憲」と判断し、岡山選挙区の結果を「無効」とする判決を言い渡した。

参院選を無効とした司法判断は初めてである。

岡山支部は、3月にも衆院選の「1票の格差」訴訟で「無効」判決を出している。同じ裁判長による今回の判決にも、政治や国会への理解不足が目立つ。

判決は、投票価値の平等を憲法上の「最も基本的な要請」と断じ、格差是正を最優先すべきだとの見解を示した。

しかし、昨年12月の衆院小選挙区選を「違憲状態」とした20日の最高裁判決は、「投票価値の平等は選挙制度を決める絶対の基準ではない」と指摘した。

選挙区選は行政区画を基にしており、地理的状況や交通事情にも配慮する必要性を認めたものだ。これは参院選にも当てはまる。

参院では、3年ごとに半数が改選されるため、各選挙区に最低2人を割り振らねばならない。参院特有の事情をどこまで考慮したのか、甚だ疑問だ。

さらに問題なのは「無効」判断である。再選挙のルールも明確でないのに選挙のやり直しを命じるのは、無責任ではないか。

判決は、47選挙区の全てが無効になり、議員が失職しても、比例代表の議員と非改選の議員がいるため、参院の活動には問題がない、という独自の認識も示した。

比例選が民意の反映を重視しているのに対し、選挙区選には、民意を集約して政治の安定を図るという重要な機能がある。選挙区選の機能を軽んじる今回の判決は、参院の民意をゆがめる極論だ。

国会は昨年11月、選挙区定数を「4増4減」する改正公職選挙法を成立させ、最大格差は3年前の5・00倍から縮小した。

今年9月に発足した参院の各派実務者による協議会は、2016年の次回参院選までの制度改革を目指し、検討を重ねている。

岡山支部は、こうした対応を一顧だにしなかった。国会の裁量権をあまりに軽視している。

ただ、国会の取り組みも十分ではない。抜本改革に向けた議論を加速せねばならない。

今回は、参院選後に提起された訴訟の最初の判決だった。被告の岡山県選挙管理委員会は上告する見通しだ。最高裁には現実的な判断が求められる。
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2013年11月28日

[東京新聞] 年金格差判決 ほころびを直す好機に (2013年11月28日)

遺族補償年金の受給資格に男女格差がある規定を違憲とする判決がでた。女性の進出が進む社会の変化を踏まえた判断だ。他の制度にも同様の規定がある。判決を格差是正の好機にしたい。

「化石みたいな法律」

訴訟を起こした男性の言葉が、この法律の実態を表している。

公立中学の教員だった妻を公務災害で亡くした男性は遺族補償年金の受給に夫の場合、年齢制限があり受給できないことを知った。

地方公務員災害補償法は、妻の死亡時に夫が五十五歳以上でないと受け取れない規定がある。妻にはない。この規定は法の下の平等に反し違憲だとして提訴した。

大阪地裁は「不合理な差別的な扱いで違憲、無効」と判断した。

法律は半世紀近く前にできた。当時は正社員の夫が働き、妻は専業主婦が一般的だった。「男性は仕事、女性は家庭」との性別分業意識も根強く、妻に配慮した規定は一定の合理性があったろう。

だが、社会情勢は変わった。今は働く女性が増えた。共働き世帯は専業主婦世帯を上回った。

一方、働く男性は非正規雇用が増えている。共働きで家計を支え合う夫婦は少なくないだろう。

妻を亡くした正社員の男性には、子育てを抱えていると残業などができずに退職し、残業はないが低賃金の非正規社員とならざるを得ない人もいる。男性も配偶者を亡くすと経済的影響を受ける。

規定は、働く妻が死亡した場合、家族に夫と同じように補償を残せない。自立して働く女性にとっても差別される面がある。

判決もこうした社会情勢の変化を踏まえている。当然の判断だ。

男女格差の規定は、民間の労災年金や厚生年金にもある。

月平均約八万七千円が支給される遺族厚生年金は今年二月時点の受給数が五百万件を超え規模が大きい。判決は同様の規定がある他制度の改善も迫るものだ。

保険料を納めず年金を受給できる第3号被保険者制度は主に専業主婦が対象だ。保険料を負担する共働き世帯や単身者、自営業の妻との公平性も検討課題だ。

母子家庭が対象の児童扶養手当は、父子家庭にも支給が始まった。来年四月からは、これまで不支給だった父子家庭に国民年金の遺族基礎年金が支給される。

政府は性別分業意識からくる格差の改善にやっと目を向けだした。幅広く制度を再点検しほころびを見つけ是正すべきだ。
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