2013年08月31日

[産経新聞] 対馬の森競売 国土保全の法整備を急げ (2013/08/31)

長崎県対馬市の広大な森林地が競売にかけられていた問題は、市が森林を購入することで債権者と合意し、競売の中止に至った。

絶滅危惧種の「ツシマヤマネコ」が唯一生息する森林として知られるが、深刻なのは国境近くの重要な離島において、大規模な土地が近隣諸国など外国勢力の手に渡りかねない懸念があったことである。

そうした事態を回避した市の対応は評価できる。この問題は離島や海岸、水源地、森林など、国土をいかに守っていくかという課題を政府に提起したといえる。

同様の事態は今後も各地で起こり得る。国土の保全に向け、法規制など抜本的な処方箋をまとめることが急務である。

私有財産である土地の取引は原則自由だが、国防や公益を阻害する恐れがある場合に歯止めをかけるのは当然、必要なことだ。

これまでにも、北海道の自衛隊施設近くの広い土地などを、外国資本が所有していた例が表面化した。水源地のある森林などが、外国資本に相次ぎ買収されたことも判明している。林野庁によると、平成23年末までに全国で49件、計760ヘクタールの森林が外資に買収された。転売の末、所有者不明の土地も多い。

森林所有者に届け出を義務づける森林法改正を行ったが

国は昨年4月、森林所有者に届け出を義務づける森林法改正を行ったが、取引自体を止められるものではない。水源周辺を公有地化したり、独自の条例によって規制を強化したりする自治体の動きも広がっている。国と自治体との情報共有や連携が重要だ。

日本が米国などと異なるのは、世界貿易機関(WTO)に加盟するさい、土地取引に例外や条件を設けなかったことだ。このため、外資を対象とした規制はWTO規定に抵触しかねず、法規制を難しくしている面がある。

だが、国防に支障を来すような取引は、外資か否かを問わず認めない法規制なら整備できるだろう。生態系の保全など自然保護を理由とした土地の利用規制などは諸外国にもみられる。政府は検討を急いでほしい。

超党派議員らは「水循環基本法案」をまとめている。水資源を「国民共有の財産」として守る責務を国や自治体に求める内容だ。通常国会では廃案となったが、水源保全への第一歩として早期成立を図るべきだ。
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[東京新聞] 概算要求の膨張 古い自民党に逆戻りか (2013年8月31日)

二〇一四年度予算に対する各省庁の概算要求は、一般会計の要求総額が過去最大の九十九兆円台に膨張した。自民党が政権復帰して初の本格的な予算編成だが族議員の跋扈(ばっこ)する古い自民に逆戻りか。

消費税増税の判断前で税収が見通せないため、不確定要素が残る概算要求ではある。しかし、国民に財政再建が必要だと増税を突き付けながら、同時に大盤振る舞いの予算を組もうというのは到底理解することができない。ここまで財政を悪化させた張本人は、長期にわたって政権にいた自民党ではなかったのか。

今回、政府が決めた概算要求基準では、公共事業や防衛費など一般的な政策予算(裁量的経費)は本年度(一三・二兆円)より10%削減を求めた。代わりに「優先課題推進枠」という特別枠を設け、成長戦略や防災、地域活性化などの名目であれば、どんな予算要求でも受け付けるようにした。事実上の「何でもあり」である。

国土交通省はこの枠を目いっぱい使い、道路整備や新幹線、治水などすべての項目で、本年度をそれぞれ17%上回る上限額まで要求した。これではメリハリも工夫もない、単なる「一律増額要求」である。

公共事業の中では、土地改良のための農業農村整備事業も膨張し、「建設族」に負けじと「農林族」も予算に群がった。旧来の族議員政治に逆戻りしたといわれても仕方あるまい。

二〇〇〇年代以降、公共事業費は削減傾向が続いてきたが、安倍政権発足に伴って大幅増に転じている。大胆な金融緩和と機動的な財政出動というポリシーミックス(金融・財政政策の組み合わせ)で景気浮揚を図るアベノミクスは常識的な経済政策であり、一時的な公共事業の拡大はやむを得ない面はある。

だとしても、度を越したバラマキや、費用対効果の低い事業など「何でもあり」の余裕はないのである。財政規律を失ったと市場に判断されれば、金利高騰というアベノミクスが最も恐れる事態に陥りかねない。

国土強靱(きょうじん)を掲げて国政選挙で勝利したとはいえ、国民は古い自民の復活を期待したわけではない。かつて自分たちが財政赤字の山を築いたことを忘れてもらっては困る。それは財務省とて同類である。増税ばかりに頼るのではなく、膨張した概算要求を切り込み、歳出削減で財政再建を実現するぐらいの気概を示してほしい。
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[産経新聞] 概算要求 野放図な分捕り許されぬ (2013/08/31)

来年度予算の概算要求が締め切られ、要求総額は99兆円を上回り過去最大となった。東日本大震災の復興費を加えると、実質で100兆円を超える規模だ。

日本経済の再生には、財政再建も大きな課題である。国の財政は各省庁の予算獲得合戦を許す状況ではないことを忘れてもらっては困る。

安倍晋三首相はこれから行う要求の絞り込み作業を通じて、財政規律の確保に向けた覚悟を示さなければならない。

要求総額が膨らんだのは、既存の経費に上乗せできる「優先課題推進枠」が設けられ、成長戦略向けなどを名目に3・5兆円に上る各省庁の要求が殺到したことが原因だ。

消費税増税の実施の判断がまだ行われておらず、税収見通しが立てられないことを理由に歳出上限を決めなかったのも、要求増につながった。

今月初めに決定した概算要求基準は、公共事業や教育など裁量的な経費を一律で10%減らすとした。一方、推進枠は削減した後の額の3割相当を要求できる仕組みだ。各省庁はこぞって上限までの予算を要求した。

推進枠は、成長戦略や防災などの優先課題に予算を重点配分するのが目的だ。道路や整備新幹線などの公共事業に加え、科学技術振興費やODA(政府開発援助)など主要な歳出項目で強気の要求が並んでいる。だが、真に「重点化」を図ったのか、首をかしげたくなるものも少なくない。

医療や年金などの社会保障費も増え続け、高齢化に伴う自然増分を盛り込んだ結果、初めて30兆円を突破した。効率化や抑制への具体策はどこへ行ったのか。

地方交付税の切り込みも大きな課題だ。総務省は特別会計を含め16兆7600億円を要求した。今年度比3千億円減だが、地方は景気回復に伴う税収増が見込める。さらに削減を検討すべきだ。

消費税増税をにらみ、自民、公明両党は国土強靱(きょうじん)化などで歳出増圧力を高めているが、消費税は社会保障財源に充てられる。公共事業など他の歳出を増やす余裕を生み出すものではないはずだ。

一方で、中国が奪取を図る尖閣諸島を守るため海上保安庁や防衛省の必要な予算、人員を確保せねばならない。効率化と同時に優先順位の明確化が問われている。
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[東京新聞] マタハラ 母になる人応援しよう (2013年8月31日)

耳慣れない言葉「マタハラ」。妊娠や出産をきっかけに職場で解雇や契約の打ち切りなど不当な扱いを受けることで、もちろん違法だ。職場全体にもいい影響を与えない。母になる人を応援しよう。

「マタニティー・ハラスメント(マタハラ)」は、「セクハラ」や「パワハラ」に比べればまだよく知られていないが、連合が五月に行った調査に被害の実態が表れている。

妊娠をした女性の25・6%が妊娠中や職場復帰後に「迷惑だ」などと心無い言葉を言われたり、解雇や契約の打ち切り、残業や重労働を強いられたりしていた。

ある女性は、切迫早産のため二週間休むよう医師に指示されたことを社長に伝えると、「休みがちになるのは迷惑だ」と言われた。育児休業を取りたかったが、会社に規定がなかったという。

妊娠や出産を理由にした不当な扱いは男女雇用均等法で禁じられている。育児休業制度も働く人の権利としてある。それでも法が守られず、被害が絶えないのは、経営者をはじめ、職場に妊娠や出産への理解がないためだ。

子どもを産んで働き続けたくても仕事を支えてくれる同僚がいない。退職に追い込まれたくないと、激務をこなしたことが原因とみられる流産や死産が増えているという産科医の指摘もある。事態は深刻だ。

不安定な非正規雇用が増えた現在、その割合が男性よりも高い女性の場合は、職場でまず妊娠したことを相談できる上司もいないなど、より無理を強いられがちになっている。

女性が働くのは当たり前になったのに、第一子出産をきっかけに退職している人が六割にも上る。いろいろ理由はあるだろうが、望まない退職を強いられていることも一因とみるべきだろう。

かつて企業が負担していた育児休業中の社会保険料は申請によって免除されている。休業中に給料の五割が支払われる給付金も国が負担する。「育休を取らせるぐらいなら辞めさせよう」と追い出しにかかるのは間違っている。制度を知り、生かすべきだ。

働く女性が妊娠をきちんと伝えられるかどうか。女性を支えるほかの社員に配慮があるかどうか。妊娠や出産に限らず、人生には介護や病気、家庭の事情などさまざまな局面で休暇が必要になる。支え合うのは男も女も同じ。そんな職場文化を育んでいきたい。
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[毎日新聞] 社説:英が攻撃断念 シリア泥沼化を恐れた (2013年08月31日)

前途の多難さを暗示する出来事だろうか。米国が検討するシリア攻撃に英国は参加しない見通しとなった。アサド政権側の軍事拠点攻撃を許可してほしいとする英政府の動議を、英下院が反対多数で否決したのだ。武力行使で米英が別行動を取るのは歴史的にも異例である。世界に驚きが走ったのも無理はない。

英政府はこれまで米オバマ政権とともに、アサド政権が化学兵器を使ったと非難し、国連安保理ではシリア攻撃を容認する決議案を提示していた。米国と二人三脚で軍事介入の布石を打ってきた英国の脱落は、オバマ政権にとって痛手だろう。

「特別な関係」とされる米英は、リビア攻撃(2011年)、イラク戦争(03年)、アフガニスタン攻撃(01年)、ユーゴスラビア空爆(1999年)、イラクとの湾岸戦争(91年)など主要な軍事行動で共闘してきた。だが、英下院は今回、化学兵器問題で国連調査団がまだ結論を出しておらず、安保理の協議も不十分として攻撃を認めなかった。

そんな英議会の空気も、国連調査団の結論いかんでは変わるかもしれない。だが、米主導の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の中でカナダやイタリアも不参加を表明したのは、化学兵器をめぐる問題だけでなく、軍事介入でシリア情勢はさらに泥沼化しないか、アサド政権を倒しても欧米にとって好ましい後継政権ができるのかという、もっともな疑問を見据えているからだろう。

それ以前に、アフガンでの長い軍事作戦でNATO加盟国は疲れている。特にアフリカ・マリなどに軍事介入したフランスは新たな戦線を抱えたくあるまい。米国自身、巡航ミサイルなどで軍事拠点を破壊するのはともかく、地上軍派遣を必要とする事態を招きたくはないはずだ。

しかも安保理はロシアや中国の反対で容認決議採択の見通しが立たず、英国に続いて米議会が攻撃に反対する可能性もある。米国は「大量破壊兵器の脅威」を大義名分として英軍とともにイラクに侵攻したが、同種の兵器を発見できなかった。そのイラク戦争の苦い教訓が今、立ちふさがっている。

この際、オバマ大統領はもう一度、政治解決の方策を考えてはどうか。化学兵器を使った国を放置すれば、中東の同盟国イスラエルの安全にかかわるという判断もあろう。化学兵器は北朝鮮にもある。菅義偉官房長官が「日本にとって無関係ではない」と言うのは、その通りである。

だが、軍事行動を殊更急ぐ必要はないはずだ。攻撃後のシリアで何が起きるのか。オバマ大統領は、攻撃に伴うプラスとマイナスを慎重に見極めて結論を出してほしい。
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[毎日新聞] 社説:防衛費 議論置き去りが心配だ (2013年08月31日)

国民的な議論や日米の役割分担の検討が不十分なまま、南西諸島などの防衛強化を目指して国防の根幹に関わる政策が、既成事実のように積み重なっていく。防衛省がまとめた来年度防衛予算の概算要求を見ると、そんな懸念を抱かざるを得ない。

概算要求の総額は4兆8928億円で、前年度予算額に比べて2.9%増となった。概算要求の基礎となったのは、先月の「防衛計画の大綱」(防衛大綱)の中間報告だ。

中間報告のうち敵基地攻撃能力の関連予算要求は見送られたが、沖縄県・尖閣諸島など離島防衛強化のための水陸両用機能については、両用作戦専門の部隊の準備隊を陸上自衛隊に新設することや、水陸両用車2両を約13億円で購入することなどが盛り込まれた。機動展開能力の向上については、米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイを2015年度から自衛隊に導入するための調査費1億円が計上された。このほか警戒監視能力の強化や、弾道ミサイル攻撃への対応、サイバー攻撃への対応など新規事業が目白押しだ。

安全保障環境を考えれば、南西諸島防衛を強化し、必要な装備を整えるのは妥当な政策判断だ。

しかし、安倍政権になって見直しに着手した防衛大綱は、年末の策定に向けてようやく中間報告がまとまった段階で、集団的自衛権の行使容認や、日米防衛協力の指針(ガイドライン)を巡る議論もこれから本格化する。いわば安全保障政策の基本方針が定まっていない状態で、既成事実を積み重ねるように予算要求が行われているようにみえる。

例えば水陸両用機能は、大綱の中間報告では海兵隊的機能と併記された。「誤解されやすい」(防衛省幹部)として、今回の概算要求の資料から海兵隊的機能の表現は消えたが、いずれにしても、軍事行動の際の「殴り込み部隊」として知られる米海兵隊のような機能が自衛隊に本当に必要なのかどうかは、相当な議論が必要になるだろう。将来、集団的自衛権の行使容認と結びついて運用されるようなら、見過ごすわけにいかない。

1機100億円とされるオスプレイの導入も費用対効果など慎重な見極めが必要だ。米軍普天間飛行場への配備に沖縄県民が反発していることから、自衛隊が導入すれば県民が反対しにくくなるといった政権の政治的思惑もささやかれている。

また麻生太郎副総理兼財務相が、先日の講演で「尖閣を守る意思を明確に伝える」として防衛費増強を明言したように、防衛費の増額ありきの空気が政権を覆っている。政府には、無駄削減にくれぐれも注意を払うよう強く求めておきたい。
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[読売新聞] 消費税率 「来春の8%」は見送るべきだ(8月31日付・読売社説) (2013年8月31日)

◆デフレからの脱却を最優先に

日本経済の最重要課題は、デフレからの脱却である。消費税率引き上げで、ようやく上向いてきた景気を腰折れさせてしまえば元も子もない。

政府は、2014年4月に予定される消費税率の8%への引き上げは見送るべきだ。景気の本格回復を実現したうえで、15年10月に5%から10%へ引き上げることが現実的な選択と言えよう。

消費増税を巡って、有識者らから幅広く意見を聴く政府の集中点検会合が開かれている。

◆成長と財政再建両立を

安倍首相が今秋の決断へ、「最終的に私の責任で決める。会合の結果報告を受け、様々な経済指標を踏まえて適切に判断したい」と述べているのは妥当だ。

日本は、15年間もデフレが継続し、巨額の財政赤字を抱える。景気低迷がさらに長期化すれば国力の低下が進みかねない。

デフレを克服し、経済成長と財政再建の両立をいかに図るか。日本に求められているのは、この難題に取り組む方策である。

読売新聞は年々増える社会保障費の財源を確保し、中期的に財政健全化を図るべきだとの立場から、消費増税の必要性を主張してきた。考えは変わらない。

有識者らの多くは、来春に予定通り引き上げるよう主張したが、問題は、来春が増税するのに適切な時期かどうかだ。

今年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で2・6%増にとどまった。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果が見え始めてきたものの、民需主導の自律的回復というにはほど遠い。

懸念されるのは、成長に伴って賃金が上昇し、雇用も拡大するというアベノミクスの好循環が実現していないことだ。

来年4月は、春闘による賃上げや新卒採用の拡大などが見込まれる重要な時期である。好循環への動きに冷水を浴びせたくない。

もちろん、消費増税だけで財政は再建できない。増税で景気が失速すれば、法人税や所得税などの税収も期待したほどは増えない恐れがある。それではかえって財政健全化が遠のくだろう。

政府は今秋、成長戦略として投資減税などの追加策を打ち出す方針だが、そうした政策効果が表れるまでには時間がかかる。

◆15年の10%を目指せ

8%への引き上げに固執した結果、景気が落ち込み、10%への引き上げを実現できなくなれば、本末転倒である。

他方、消費増税を先送りした場合には、日本国債の信認が損なわれ、長期金利が上昇すると懸念する声が出ている。

重要なのは、不安を払拭する政府の強いメッセージである。8%見送りはデフレ脱却を最優先した結果であり、財政再建の決意はいささかも揺るがないと表明し、内外の理解を求めてもらいたい。

増税先送りに伴う消費税収分をカバーする財政資金の確保も課題になる。まず緊急性の低い歳出は削減し、併せて、あらゆる政策を検討する必要がある。

利子が付かない代わりに、国債の額面分に相続税を課さない無利子非課税国債を発行し、家計に眠る貯蓄を有効活用することは政策メニューの一つだ。

広く集めた資金を社会保障や防災・減災対策などに重点配分することが考えられる。

◆軽減税率を新聞にも

15年10月に消費税率を10%に引き上げる際は、国民負担の軽減が不可欠だ。税率を低く抑える軽減税率を導入し、コメ、みそなどの食料品や、民主主義を支える公共財である新聞を対象とし、5%の税率を維持すべきだ。

消費税率を1%ずつ段階的に引き上げる案では、中小企業などの事務負担が増大し、価格転嫁しにくくなるため、賛成できない。

消費増税の判断にあたっては、世界経済への警戒も怠れない。

シリア情勢が緊迫化し、米国による軍事行動が取り沙汰される。すでに原油価格が高騰し、円高・株安傾向も続いている。原発再稼働の見通しが立たない中、燃料高に伴い、電気料金のさらなる値上げも予想されよう。

米国が異例の量的緩和策を縮小する「出口戦略」や、中国の金融リスクも波乱要因と言える。

1997年4月に消費税率を3%から5%に引き上げた際、深刻な金融不安に加え、アジア通貨危機が重なり、景気が急減速したことが苦い教訓である。

内外情勢を十分に見極め、日本再生のチャンスを逃さない決断が政府に求められている。
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[朝日社説] 予算編成―しまりのなさに驚く (2013年8月31日)

来年度の予算編成で、各省庁が財務省に概算要求を出した。

一般会計の総額は過去最大の99・2兆円で、今年度予算を7兆円近く上回る。省庁ごと、分野ごとでも軒並み増額だ。

査定はこれからだが、財政再建などどこ吹く風と言わんばかりのしまりのなさに、あきれるほかない。

景気の回復基調を受けて税収は増加が見込まれ、来春には消費増税も想定される。

一方、安倍政権はデフレ脱却へ「機動的な財政運営」を掲げる。先の参院選で業界団体の支援を受けた与党からは「予算を増やせ」の声がかまびすしい。古い自民党そのままだ。

「入り」が増え、「出」には追い風が吹く。要求しなければ予算はつかないから、とにかく目いっぱい要求する。

そんなゆるみきった構図の象徴が「特別枠」だろう。

省庁の縦割りを超えて予算を重点配分するのが建前だが、防災や経済成長、地域活性化など実態は何でもありだ。

国土交通省や農林水産省が特別枠をフルに使い、公共事業費の要求額を今年度予算より2割近く増やすなど、すっかり「別ポケット」になっている。

財政難への危機感がないのだろうか。

「入り」と「出」の現状を、今年度の一般会計で改めて確認したい。

全体で92・6兆円に及ぶ歳出の半分近くは、借金(国債)でまかなっている。消費税収は社会保障にあてることになっているが、社会保障費が29兆円を超えるのに対し、国の消費税収は11兆円に満たない。

税率を今の5%から10%に上げても足りず、しかも社会保障費は高齢化で毎年1兆円程度増えていく。

消費税を除く所得税、法人税などの税収と、公共事業費など社会保障以外の政策経費を比べても、9兆円近い赤字だ。

財政再建への出発点である「基礎的財政収支の黒字化」とは、こうした政策にかかわる不足分をゼロにすることだ。これ以外にも、過去に発行した国債の元利払い費(国債費、今年度は22兆円余)があることも忘れてはなるまい。

財政の立て直しは、一朝一夕には達成できない。

国の成長率を底上げして税収を増やす▼必要な増税策を実行する▼できるだけ少ない予算で効果をあげて歳出を抑えていく――この三つについて、不断の努力が欠かせない。

このままの甘い姿勢では、いまに厳しいしっぺ返しが来る。
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[朝日社説] 卵子の保存―利便を追う前に知識を (2013年8月31日)

とうぶんバリバリ仕事をしたいが、将来は妊娠・出産を考えたい。そんなキャリア志向の独身女性にも、選択肢が広がりそうだ。

日本生殖医学会が先週、健康な独身女性にも卵子の凍結保存を認める指針案をまとめた。年内にも最終決定する。

だが、卵子保存に限らず生殖技術には限界も多い。利便性ばかりに目がいくと後悔しかねないことを知っておきたい。

女性も男性も、自分たちのからだについて正しい知識を持つことが何より重要だ。

夫婦間の不妊治療では、体外受精で余った受精卵を凍結保存する手法が普及している。

また、がんの治療などで卵子に障害の起きる恐れがある独身女性では、未受精の卵子の凍結保存が試みられている。

さらに海外では健康な独身女性の卵子保存が広まっているが、今は国内でもサービスを提供する医療機関が出てきた。

生殖医学会は、独身女性の意思による保存が、十分な説明のないまま水面下で広まることを心配して指針案をつくった。

採取は40歳未満、保存卵子の使用は45歳未満とする▼本人が死亡したり生殖可能年齢を過ぎたりしたら卵子は廃棄する▼口頭と文書で十分に説明して同意を得る――などの内容だ。

若いうちに卵子を残しておくことで、出産時期をずっと容易にコントロールできる可能性がある。加齢に伴って卵子の質が落ちて妊娠率が下がる「卵子の老化」を避けられるからだ。

だが、採卵の際は痛みや出血が起き、卵巣が腫れることもある。保管中の事故や取り違えのリスクもゼロではなく、費用もかさむ。なにより、受精卵に比べると卵子の方が保存は難しいとされ、妊娠・出産が保証されるわけではない。

卵子だけ若くても、子宮などの老化や、パートナーの加齢が精子に及ぼす影響で流産しやすくなるという研究報告もある。

そうした基礎知識は、男女問わず常識としたい。学校教育の中でも、一度は学ぶようにしてはどうだろうか。

卵子の保存は、仕事や婚期の選択など社会的な制約に合わせて、自然のサイクルを調整しようとする試みともいえる。

本来は、自然のサイクルを大事にして、社会の側が対応するのが望ましい姿であろう。

自然妊娠率・出産率が高い20代から30代前半の女性が、出産と育児でキャリアを中断しても復帰しやすい社会に変えていくことが、より本質的で優先される課題といえよう。
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2013年08月30日

[東京新聞] オバマ記念演説 キング牧師が問うもの (2013年8月30日)

「私には夢がある」−黒人差別の撤廃を訴えたキング牧師の演説から五十年、オバマ米大統領が記念演説を行った。米国による武力行使が議論される中、語られなかった点にも注意を向けたい。

オバマ大統領がキング牧師を敬愛していることはよく知られる。二期目就任式では牧師愛用の聖書に手を置いて宣誓したほどだ。

記念演説では、公民権運動が「市議会を、州議会を、連邦議会を、そしてついにはホワイトハウスをも変えた」とたたえ、「進歩は何人の黒人が億万長者の仲間入りをしたかではなく、勤勉に働く者全てを中間層に仲間入りさせることができる国であるか否かによって測られるべきだ」との持論も展開した。

その上で「多数を占める勤労者が公平な機会を得られる経済体制こそが課題だ」として一層の運動推進の必要性を強調した。

米社会では差別解消に逆行するかのような社会問題が相次いで報道されている。南部諸州を対象に選挙の公平な投票条件の監視権限を連邦政府に与えていた投票権法の一部を違憲であるとした最高裁判決は今後も尾を引きそうだ。

また、フロリダ州で十七歳の黒人少年が射殺された事件で、ヒスパニック系男性被告が白人多数の陪審員評決により無罪とされた裁判では各地で抗議行動が拡大。オバマ大統領が異例の会見を開き「三十五年前だったら、私もその少年だったかもしれない」と述べ、沈静化に一役買った。

差別の歴史を抱えつつ前進する米国の姿は、同様の課題を持つ国際社会の一つの規範をなすものだろう。一方で、国際社会の重要関心事でありながら演説では語られなかったものもある。

集会には、キング牧師と運動を共にした活動家ジョン・ルイス下院議員も参加した。ルイス議員は、サイバー監視の実態を暴露するスノーデン元米中央情報局(CIA)職員の行為を、キング牧師が貫いた「不服従、非暴力運動に相当する」と英紙で述べている。オバマ大統領はこの問題に正面から答えているだろうか。

また、集会には、歴代民主党大統領が参列したが、共和党大統領は一人も参加しなかった。対テロ戦略の前提をなす「イスラム対話」や「国家の融和」は、オバマ大統領が掲げる政治家としての原点のはずだ。初の黒人大統領として数々の名演説に見合う世界を実現する礎石は築けたか。キング牧師が問うているようだ。
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[東京新聞] 地方選と投票率 政治参加の自覚持とう (2013年8月30日)

地方選の投票率が低下傾向にある。「相乗り」で有権者から選択肢を奪う政党側の責任は重いが、棄権も無責任だ。暮らしをよくするには、政治参加の自覚を持ち、まず投票に行ってこそ、では。

29・05%。人気テレビドラマの視聴率ではない。先の日曜日に行われた横浜市長選の投票率だ。有権者の七割以上が棄権した。政令指定都市の市長選では十番目に低い二〇〇五年の名古屋市長選(27・50%)に迫る。

低投票率の大きな理由は、各政党による「相乗り」だろう。

前回の横浜市長選は、民主党推薦の新人だった林文子現市長と自民、公明両党が支援する新人、共産党公認の新人三候補による激戦となり、投票率は68・76%。有権者の七割近くが投票した。

ところが今回は一転、林氏に自公両党が相乗りし、投票率は前回より40ポイント近くも下落した。

相乗りで投票率が低くなるのは横浜に限らず、全国的な傾向だ。

例えば名古屋市長選。投票率が低かった〇五年は共産党を除く各党が当時の現職に相乗りしたが、その後三回の市長選はいずれも河村たかし現市長と各党擁立候補との戦いとなり、投票率は最も低い今年でも39・35%だった。

あえて対立候補を立てて負けるより、勝ちそうな候補を支援した方が、その後の行政に影響力を残せる。相乗りを望む政党側にはこんな思惑があるに違いない。

円滑な議会運営を望む候補者側も、多くの政党の支持を得た方が得策なのだろう。それは政党や候補者側の事情にすぎない。

相乗りの究極の形が、誰も対立候補が立たない無投票選挙だ。

今年、山形、秋田の知事選では現職再選が無投票で決まった。それが「善政」の結果だとしても、有権者から選択肢や選挙の機会を奪うのは、政党としての責任放棄であり、民主主義を危うくする。

どんなに優れた指導者も、激しい競争にさらされ、有権者の厳しいチェックを受けなければ、いずれは惰性に流され、腐敗する。

有権者側には棄権が最善の道だろうか。相乗りで選択肢が乏しければ、投票所に赴く気はうせるが、棄権は白紙委任と受け取られ、為政者の思うつぼだ。

意中の候補がいなくても、公約を比較してよりましな方に投票する。機をとらえて政治に対して声を出す。そうした政治参加が民主主義を強くする。国政でも地方自治でも、有権者が目を離せば、政治は堕落しかねない。
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[産経新聞] シリアの化学兵器 責められるべきは政権だ (2013/08/30)

シリアのアサド政権が化学兵器を使い子供を含む住民多数を殺傷したとして、米英などが軍事介入に踏み切る構えだ。

化学兵器など大量破壊兵器の使用を許せば、世界の安全保障秩序は揺らいでしまう。そうした事態を断つという国際社会の意思を示すためにも、懲罰的な武力行使は選択肢であってしかるべきだろう。

化学兵器による大規模攻撃は21日に首都ダマスカス郊外で起きたとされる。反体制派は政権側が攻撃したと非難、政権側は反体制派の仕業だと反論している。

オバマ米大統領は米テレビとの会見で、「シリア政府が実施したと結論付けた」と断言した。

イラク戦争では、開戦の主たる根拠とされた大量破壊兵器が存在しなかったと後に判明した。二の舞いを避ける意味でも、米政府はシリア政府が実行したとの証拠をできるだけ開示してほしい。

化学兵器による大規模攻撃は、イラクのフセイン政権が1988年にクルド人反乱鎮圧のため行い数千人を殺害して以来となる。

核、生物兵器を含む大量破壊兵器は使ってはならないというのが国際的な規範である。使用例が重ねられれば、その規範に支えられた国際秩序はぐらついてくる。

オバマ氏が、シリア内戦で化学兵器使用を「越えてはならない一線」としてきたのもそのためだ。ここで断固たる対応を取らなければ、核開発国に足元を見られるなど米指導力は損なわれよう。

実際、米英は、アサド政権に化学兵器を使わせない目的で軍司令部などを巡航ミサイルでたたく限定的介入を計画している。

問題は、軍事介入には本来、国連安保理の武力行使容認決議が必要であり、シリアの後ろ盾ロシアとそれに同調する中国が決議採択に反対していることだ。遺憾というほかないが、採択への外交努力はぎりぎりまで必要だろう。

決議が得られなければ、「有志国による介入」しかない。コソボ紛争では99年に「人道上の危機」を根拠に北大西洋条約機構(NATO)が決議抜きで介入した。

安倍晋三首相も化学兵器使用の可能性が高いとし、「責任は人道状況の悪化を顧みないアサド政権にある」と述べた。

シリア内戦の死者は10万人を超す。限定介入した場合、次に内戦終結への足がかりも模索しなければならない。
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[産経新聞] 振り込め詐欺 家族の声を頻繁に聞こう (2013/08/30)

振り込め詐欺など特殊詐欺の被害が後を絶たない。典型的な手口である肉親を装って現金をだまし取る被害を防ぐため、まず日頃から、両親や祖父母に、子供や孫に、肉声を聞かせることから始めよう。

警察庁によると、今年上半期(1?6月)の特殊詐欺による被害総額は約211億7千万円、認知件数は5388件に上る。過去最悪だった昨年1年間の約364億4千万円を大きく上回るペースだ。

犯行手口の凶悪化や、少年の加担急増といった傾向も顕著だ。今年上半期の振り込め詐欺事件では、摘発総数の3割以上を暴力団員が占めていた。

当初、「オレオレ詐欺」と呼ばれたのは、息子などを装って「オレだよ」と電話で窮地を訴える手口が目立ったからだった。親や祖父母の心配を逆手に指定口座に現金を振り込ませたものだ。

有料サイトの利用料を名目とする架空請求詐欺や、融資名目の融資保証金詐欺など、高齢者の懐を狙う手口は多様化しているが、それでも、肉親を装う従来型手口による被害は増加傾向にある。

警視庁は今年、「振り込め詐欺」の新たな名称を募集し、最優秀作品に「母さん助けて詐欺」を選んだ。優秀作品には「ニセ電話詐欺」「親心利用詐欺」もあった。まさに、親心につけ込む卑劣な手口を指したものだ。

だが、日頃から親子や祖父母と子や孫の間で、意思の疎通が図られていれば、防げたケースも多くあったはずだ。

話題は何でもいい。疎遠になっている肉親がいるならば、まず電話をかけてみよう。残暑見舞いでもいい。防災の日を前に、地震対策の確認でもいい。ただの近況報告でもいい。

その際に、振り込め詐欺被害についても話し合っておこう。不審な要求にどう対処するか。必ず互いが確認を取り合うことができるようにしておくことも大切だ。

警察庁によれば、平成24年の特殊詐欺全体における被害者は、60歳以上が約8割を占めていた。

同庁の意識調査で振り込め詐欺の被害に遭った高齢者に質問したところ、自身が被害に遭う可能性について「全くない」「ほとんどない」と考えていた人は8割以上に上った。

誰もが、被害者になる可能性があるのだ。
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[毎日新聞] 社説:若者と年金 金ない人も加入できる (2013年08月30日)

国民年金保険料を払わない人が多い。納付率は約6割にとどまり、個人や世帯主が納付義務者となっている国民健康保険料(89%)や申告所得税(97%)より格段に低い。お金がなくて保険料を払えないだけでなく、「将来年金がもらえないのではないか」と思う若者も多いだろう。人生は不確実なものだ。遠い老後のことだけでなく、病気や事故で重い障害を負った時のためにも年金に入っておいた方がいい。申請手続きをすれば保険料を払えなくても加入できることを知ってほしい。

すべての国民は20歳から年金保険料の納付が義務づけられている。ただ、学生には在学中に納付が猶予される特例があり、低所得者にも保険料免除・納付猶予の制度がある。

この制度を知らず、あるいは手続きが面倒なために申請せずに未納となっている人が多い。政府は納付率を上げるため、本人から申請がなくても日本年金機構が職権で保険料を免除することを検討している。税金は滞納すると必ず督促が行われ延滞金も徴収されるが、国民年金はほとんど督促がされず、そのために延滞金も発生しない。保険料を払わなければ給付もないという「自主納付」が原則の制度なのだ。わざわざ職権で免除手続きをしてあげることには異論もある。

しかし、学校教育で年金のことなどほとんど教えられず、旧社会保険庁の不祥事を嫌というほど見せられ、国会やメディアでも「年金はすでに破綻している」と批判が繰り返されたのでは若い世代が不信感を抱いたとしてもおかしくない。

老後に備えて個人で預貯金し資金運用をするのならそれでもいいが、AIJ事件の惨状を思い出すべきだ。基礎年金の半分は税金が投入されており、個人でお金をためるより有利であることは間違いない。逆に、年金未加入の人も税金は払うわけで、払った税金は他人の年金に回る。一生懸命お金をためてもインフレになれば目減りは避けられない。どれだけ長生きするかは誰にもわからず、いくら貯蓄があれば安心できるのかもわからないのだ。

国民年金だけでは足りないかもしれないが、25年間加入して受給権を得れば死ぬまで年金をもらえる。受給額を増やすこともできる。政府は疑念を抱かれないような年金運用に努め、正確な情報や知識の普及に繰り返し努めるべきだ。学校教育でも年金や社会保障を教えてほしい。

若年層の雇用を安定させ、非正規雇用労働者の厚生年金適用も拡大しないといけない。年金は老後の貧困を防止する大事な公的制度だ。未加入者は将来生活保護受給者となり、社会コスト増となる可能性がある。
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[毎日新聞] 社説:公共事業 「旧来型」復活許されぬ (2013年08月30日)

2014年度政府予算の各省庁の概算要求が今月末で締め切られる。安倍政権の経済政策、アベノミクスが進める成長戦略や防災を旗印に、道路やダム、土地改良のための農業農村整備事業といった公共事業費の要求額が膨らんでいる。高齢化に伴って社会保障費が1兆円近く増えることも加わって、一般会計の要求総額は過去最大規模になる見通しだ。

00年代から削減傾向が続いてきた公共事業費だが、安倍政権発足直後の12年度補正予算で大幅に上積みされ、13年度当初予算で増加に転じ、その流れが続いている。今回の概算要求では、重点施策に名を借りた「旧来型」の公共事業など、多岐にわたる分野で事業費拡大の動きが加速していることに強い危惧を抱く。

各省庁は今月初めに閣議了解された概算要求基準に従い要求する。来年4月の消費増税の最終判断が出ていないため税収見通しが示されず、全体の予算規模が示されていない。その中で各省庁には公共事業や教育、防衛などの政策に充てる裁量的経費を13年度当初予算より10%削減して要求するよう求めた。そのうえで、成長戦略や防災などに重点配分する特別枠を設け、各省庁が削減後の金額の30%分、総額約3兆6000億円まで要求できるようにした。

国土交通省が要求する公共事業費は、13年度当初予算より17%増になる。本来は減らすはずの公共事業を増やせるのは、特別枠をめいっぱい使い、「災害時の代替ルート」を名目とした道路整備、水害に備えるダムや堤防のかさ上げといった防災がらみの事業費を増やすためだ。

自民党は災害に強い国土づくりを7月の参院選で公約に掲げており、歳出圧力を強めている。特別枠いっぱいに膨らむ要求を見ると、重点化、効率化が図れているのか疑問だ。各省庁の要求を財務省が査定して年末に予算案を策定するが、きちんと絞り込めるのか心配になる。

とくに懸念されるのは、来年4月に消費税が8%に増税されることを当て込んで予算を拡大させる動きだ。消費増税法には景気条項と呼ばれる付則がある。消費増税が実現すれば「財政の機動的対応が可能になる」として、成長戦略や防災など経済成長に向けた施策を検討するとの規定だ。税と社会保障の一体改革に関する自民、公明、民主3党の合意を受けて法律に盛り込まれた。

今まさに、消費増税の是非をめぐり政府の集中点検会合が開かれている。そこでは増え続ける社会保障費の痛みをどう分かち合い、財政健全化への道筋をつけるかが議論されている。消費増税を求めておいて、一方で公共事業の大盤振る舞いでは国民の理解は得られない。
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[読売新聞] 悪ふざけ投稿 ネット交流に潜む危険な誘惑(8月30日付・読売社説) (2013年8月30日)

実に嘆かわしい事態である。若者が悪ふざけで撮った写真がツイッターなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿され、重大な問題を引き起こしている。

高知市のコンビニエンスストアでは、男性店員がアイスクリームの冷凍ケース内に身を横たえた姿を撮影し、投稿した。

本部には「店員の教育がなっていない」「衛生管理はできているのか」といった苦情が殺到した。この店はフランチャイズ契約を解除された。

冷凍庫の食材をくわえた店員の写真がツイッターに公開された大阪のラーメン店は、食材廃棄ばかりか、休業に追い込まれた。

店員の軽はずみな行為により、店や経営企業は信用低下というダメージを受けた。店員は解雇のみならず、店側から損害賠償を請求されてもおかしくはない。

刑事事件に発展したケースもある。北海道で駐車中のパトカーの屋根に乗った場面を投稿した19歳の少年2人が、器物損壊容疑で逮捕された。

悪質な行為を抑止するためには厳しい対処もやむを得まい。

一連の問題を引き起こした若者たちからは、ネット空間で他の人から注目されたいという自己顕示欲がうかがえる。北海道の少年は「パトカー荒らしてきたぜ」という書き込みをしていた。

SNSは友だちの輪を広げる道具だ。うまく利用すれば、多くの人と交流することができる。関心を引くために、自分をアピールしたいという若者もいるだろうが、問題はその手段だ。

自らの行為がもたらす結果に思いを及ぼすことができれば、一連の騒動は起きなかったはずだ。

なぜ、著しく常識を欠いた若者の行為が目立つのだろうか。

専門家の中には、ネットの世界に浸ると、正常な判断力を失いがちになるとの指摘がある。働いている最中でも、ネット上でどんな会話や投稿をするかが頭から離れず、ネット仲間にうける行動に走ってしまうのだという。

騒動が短期間のうちに集中したのは、他の人の投稿を見て刺激を受けた結果だろう。

中高生だけでも約52万人に達するとされるネット依存問題の一つの側面と言える。

スマートフォンが急速に普及し、SNSなどのネット利用者は今後も増え続けるとみられる。学校だけでなく、社員教育の中でも、ネットとの適切な関わり方を指導していくことが必要だ。
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[読売新聞] 地方分権改革 堅実な事務権限移譲が肝心だ(8月30日付・読売社説) (2013年8月30日)

一時のムードに惑わされず、国から地方への事務・権限の移譲を現実的な手法で着実に進めることが肝要である。

政府が地方分権改革有識者会議に、地方への事務・権限移譲案を提示した。

理容師や美容師の養成施設の指定・監督など44項目は、全国一律で都道府県に移譲する。国直轄の河川や国道の整備・管理など29項目は、条件付きで移譲を検討する。こうした内容が柱である。

年内に結論が得られたものは、来年の通常国会に関連法案を提出し、移譲を実行する予定だ。

民主党政権下では、政府の役割を過小評価する「地域主権」、政府の出先機関の「原則廃止」といった、乱暴かつ無責任な掛け声ばかりが先行した。結果的に、分権論議は停滞が続いた。

東日本大震災の復旧・復興で、政府や出先機関が主導的な役割を果たす重要性が再認識されたことも大きかったと言える。

自公政権への交代を機に、政府と自治体の役割を冷静に再検討して、二重行政を排し、行政の効率化や地域の活性化につながる分権を進めることが大切である。

国直轄河川、国道の管理の地方移譲は長年の懸案だ。それにはまず、必要な財源や職員の移譲が大きな課題となる。大規模災害など非常時の政府の関与についても検討すべきだ。国土交通省と地方の接点を探る必要がある。

一方、有識者会議は、厚生労働省のハローワークの求人情報を自治体に提供することや、過疎地や福祉目的での有償旅客運送事業の登録・監督権限を国交省から市町村に移譲することを提言した。

いずれも早期に実現したい。

年約900万件に上る求人情報のオンライン情報提供は、自治体による生活保護対象者らへの職業紹介などに有効利用できよう。

求人情報は民間人材ビジネス企業にも提供される。官民連携で若者や女性の労働力を活用することは政府の成長戦略に合致する。

一般のバス・タクシー事業が成立しない過疎地や、身体障害者、要介護者の交通手段を確保することは重要課題だ。現在は、市町村や非営利組織(NPO)法人など約3000団体が年間延べ2600万人を有償輸送している。

登録・監督権限を国交省から、地域の実情を熟知する市町村に移すことは合理的だ。総合的な町づくりと連動させる創意工夫の余地も生まれる。移譲を円滑に進めるには、国交省や都道府県が市町村を支援することが欠かせない。
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[朝日社説] 派遣見直し―働き手を守る覚悟は (2013年8月30日)

労働者派遣制度の改革をめぐる議論が、労使が参加する厚生労働省の審議会できょうから本格的に始まる。

重要なのは、「派遣切り」に象徴される不安定な働き方が改善されるかどうかだ。

それには、派遣業界が働き手の側に立つことを制度化する必要がある。規制緩和だけ進めるのなら理解は得られない。

議論の「たたき台」となるのは、学者を集めた厚労省の研究会がまとめた報告書だ。

内容を大づかみにいえば、「派遣先で労働者がどう働くか」については、規制を緩和する一方、「派遣元がどう労働者を保護するか」については規制を強化する。

労働力の需給調整という派遣制度の機能を正面から認めており、業界大手が加盟する「日本人材派遣協会」の要望に沿ったものといえる。

現行法では、ずっと派遣に任せていいのは26の専門業務に限り、そのほかの業務には最長3年の上限を設けている。

「ずっと続く仕事なら、正社員にさせるべきだ。そこに派遣労働者が入って、正社員が代替されるのを防ごう」という理念が背景にあった。

報告書は、この考え方を見直し、仕事の内容による区別の撤廃を提言した。

いまや非正規雇用は、働き手の3人に1人、1800万人に及ぶ。派遣社員は約137万人で、パートやアルバイトにはない特別な規制を、派遣にだけかける意味は薄い。専門26業務の中身もあいまいになっていた。区別の撤廃自体は妥当だろう。

焦点は、派遣会社が派遣労働者をきちんと保護できるかどうか、である。

報告書は、派遣会社との契約が有期の場合、3年の派遣上限に達した働き手に対して、派遣会社に「雇用安定化措置」を講じるよう義務づける。

具体的には、(1)派遣先に直接雇ってもらうよう申し入れる(2)新しい派遣先を提供する(3)働き手との契約を無期雇用にする、のいずれかだ。

もっとも現実的なのは(2)だろうが、切れ目なく派遣先を用意し続けるには、派遣会社側に相当な努力が必要となる。

逆にいえば、派遣労働者の生活を安定させる力のない派遣会社は、ビジネスを続ける資格がないという意味でもある。

全国に8万3千近くある派遣会社のうち、かなりの数は淘汰(とうた)される可能性があるが、働き手にしわ寄せがいかない形で進めるしかない。

業界の覚悟が問われている。
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[朝日社説] はだしのゲン―図書で知る戦争と平和 (2013年8月30日)

小・中学校に対し、漫画「はだしのゲン」を図書館で自由に読めなくするよう求めていた松江市教委が、措置を撤回した。

事務局が教育委員に相談しないまま決めていたことから、5人の委員全員が「手続きに不備があった」と判断した。

閲覧規制を白紙に戻したのは良識的な結論と言える。ただ、理由が手続きの問題にとどまっているのは残念だ。

ことの発端は昨年8月。旧日本軍の戦場での行為や昭和天皇の戦争責任に関して「ゲン」の歴史認識に誤りがあり、学校図書館から撤去してほしいとの陳情があった。市議会は不採択にし、市教委もそのときは撤去に応じない方針を示した。

閲覧制限を支持する人たちの間では、陳情と同じように、反天皇制的だなどと、漫画の歴史認識を問題視する声が目立つ。

だが、ゲンの真骨頂は作者の中沢啓治さんが実体験した原爆の悲惨さを見事に伝えている点にある。だからこそ、国内外で読み継がれてきた。その作品を、歴史観の相違を訴える人がいるからと、子どもたちの前から「排除」しようとする主張は、あまりに視野が狭い。

全編に作者の強烈な思いがこもるゆえに、人を引きつける作品は多い。一部分が気に入らないからと全体を否定するのは、図書に対する理解不足だ。

撤去に応じなかった当初の市教委の姿勢は正しかった。ほかの教育委員会も今後、手続き論でなく、規制の要請をきっぱりと突っぱねるべきである。

問題は、いったん要請をはねつけた後の市教委事務局の対応だ。当時の教育長ら幹部5人がゲンを読み直した結果、旧軍のアジアでの行為を描いた最終巻のシーンが「残酷」との見方で一致し、閲覧制限を小・中学校に求めることにした。

発達段階にあるからこそ、子どもたちが本を自由に読む機会も、最大限に保障されなければならない。市教委事務局の対応には、その点への目配りがあまりに欠けていた。

戦争は残酷だ。そこを正面から問う本を、教育にどう生かしていくか。知恵と工夫を重ねる必要があるが、戦争を知らぬ世代に残酷さから目を背けさせるばかりでは、平和の尊さを学びとれない。

もとより、本を読むかどうかは子ども自身の選択が大切である。そこを基本に、読むことを選んだ子たちが抱いた疑問や衝撃にはしっかり応えていく。

そうした図書との上手なつきあい方を、教育現場や家庭で広めていきたい。
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2013年08月29日

[東京新聞] シリア情勢 外交手段は尽きたのか (2013年8月29日)

化学兵器を使用した疑惑でシリアに対する米欧の軍事介入圧力が強まっている。外交手段は尽きたのか。人道介入であれ、武力行使の被害を受けるのは常に弱い一般市民であることを想起したい。

シリアに対する米軍介入の動きが日々現実味を増している。

ダマスカス近郊で多数の子供を含む千数百人の市民が化学兵器により殺害されたとの反政府勢力の訴えを受け、ケリー米国務長官が「アサド政権の責任」を明言したのに続き、ヘーゲル国防長官は、軍事行動の準備を整えたことを明らかにしている。

ロシアと中国の介入反対で国連安保理決議の承認が得られる可能性は少ない。念頭に置かれているのは、一九九九年のコソボ紛争型介入とされる。

北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴスラビア空爆は、ミロシェビッチ大統領によるコソボ自治州のイスラム系住民に対する虐殺をやめさせる人道介入と位置付けられた。ロシアが国連憲章違反に当たるとする安保理決議案を提出したが、大差で否決された経緯がある。

コソボはその後、国際司法裁判所での独立合法判断を得て、欧州連合(EU)への加盟交渉へ道を開いた。欧米社会では介入の正しさを示す成功例とされている。しかし、欧州のコソボと、中東のシリアでは全く事情が異なる。

オバマ政権は、アフガニスタンとイラク二つの戦争の負の遺産からようやく抜けだそうという段階にある。英仏など欧州主要国も、厳しい財政状況を背景に、武力行使にはできれば踏み切りたくないのが本音だ。空爆を限定的に行ったとしても、地上軍の派遣の可能性が排除されている以上、アサド政権に及ぼし得る効果は疑問だ。

現状での武力行使は度重なる警告に耳を貸さなかったアサド政権への懲罰的意味合いにとどまる可能性が高い。出口戦略なき武力介入の悲惨は米国が経験したばかりだ。60%が介入反対という米世論調査もそれを裏付けている。

曲がりなりにも、国連調査団が現地入りするところまで外交努力は進んでいる。米側は明らかな証拠があるとしているが、イラク戦争での大量破壊兵器をめぐる教訓もある。まずは調査団の報告を待つのが筋ではないか。

ロシア、中国とて化学兵器使用が人道上許されない国際法違反行為であることに異論はあるまい。その一点でも合意できれば、外交の糸口は残されている筈(はず)だ。
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