2013年05月31日

[東京新聞] 世界農業遺産 見直そう土との共存 (2013年5月31日)

国連食糧農業機関などが石川県で開催中の世界農業遺産国際会議で、国内の三地区が新たに農業遺産に認定された。地域の伝統農法を守る触媒だ。認定を機に、担い手を育てる知恵を絞りたい。

今回の認定で国内の農業遺産は二地区から五地区に増えた。新たに仲間入りした三地区の特徴をみると、静岡県掛川市など五市町は茶畑周辺で刈り取った草を有機肥料にする「茶草場(ちゃぐさば)農法」、熊本県阿蘇地域は阿蘇山の草原で行われる野焼きと放牧による持続的農法、大分県の国東半島宇佐地域はクヌギ林とため池を活用した農林漁業の循環システムとバラエティーに富んでいる。

認定地域が倍増したことで、これまで認知度が決して高いとはいえなかった農業遺産への注目が高まることは確実。認定済みの石川県能登半島や新潟県佐渡市の里山だけではない日本の農業の多様性も明らかにした。今後、多くの地域が足元の宝に気が付き、認定を目指す動きが広がるきっかけになることを期待したい。

日本は今回の国際会議で、農業遺産プロジェクトに信託基金を提供することを表明した。発展途上国を中心にしてきた活動に、先進国として関与を強めたことは高く評価されている。農業遺産は、自然を人間が制御する対象と考える西洋的なパラダイム(ある時代に特徴的な考え方)を変えるという見方がある。自然と人間は一体とするアジア的な考え方への変革だ。農業遺産を欧米に広めるためにも日本が努力すべきだ。

農業遺産は、過去の財産を守るだけではなく、未来に向けた行動を促すことを目指している。そこで問題になるのが農業を守る担い手の不足だ。日本の認定地域はどこも高齢化、過疎化という悩みを抱えている。いくら世界に認められたとはいえ、将来への展望が見えなければ失望しか生まないだろう。実際、過去の認定地域では「過疎であることを世界中に表明したようなもの」という声もあったという。

認定に伴い、観光振興や農作物のブランド化などが期待できる。農業遺産のエコのイメージに注目する企業も増えており、官民の投資も望めよう。足元の宝に光を当てる知恵を出そう。

しかし、一番大事なのは地域の住民自身がこれまでの暮らしに誇りを持つことだ。新しいライフスタイルの提案はできないか。農業遺産を過去の遺物ではなく、今を生きるモデルにしよう。
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[東京新聞] 夫婦別姓訴訟 選択制の議論を進めよ (2013年5月31日)

「夫婦別姓を認めない民法規定は憲法違反」と訴えた裁判は、原告敗訴に終わった。だが、結婚後の改姓で不利益をこうむる人もいる。若い人ほど希望が多い選択的別姓制を議論してはどうか。

民法の規定では、結婚に際し、「夫または妻の姓を称する」と中立的な表現になっている。だが、実際には96%が、夫の姓を選んでいる。この実態は結婚前の姓を名乗りたいと望む女性の側からは、差別的と映る。男性の姓を強制されているのと同然だからだ。

男女平等や個人の尊厳などに反すると訴えた裁判で、東京地裁は「結婚前の姓を名乗る権利まで憲法で保障されていない」などとして、原告の主張を退けた。一方で「姓名は人格権の一部」と認め、「結婚後の改姓で人間関係やキャリアに断絶が生じ、不利益が生じる恐れがある」とも述べた。

ここで浮かび上がるのは、「選択的夫婦別姓」という制度である。夫婦が希望すれば、それぞれの姓を名乗ることができる仕組みだ。女性も自分の価値観で姓を選ぶことができる。

一九八〇年代から、この考え方が広がりをみせ、九六年には法制審議会で、同制度を含む民法改正案要綱がまとめられた。だが、法案としては一度も国会に提出されたことがない。

「家族の一体感が失われる」「子どもがきょうだいそれぞれ別の姓になる可能性がある」など、反対論が根強いからだ。

実際に今年二月に内閣府が公表した世論調査でも、「同じ姓を名乗るべきだ」という反対の声が36・4%、「婚姻前の姓を名乗るようにしてもかまわない」という賛成の声が35・5%と拮抗(きっこう)する。世論は真っ二つに割れているのだ。

ただし、二十代に限ると、反対派が21・9%で、賛成派が47・1%と、選択制を肯定的にとらえている。その傾向は三十代、四十代もほぼ変わらない。

明治時代の民法は「家」への帰属を重視していた。しかし、家族や姓の在り方については、時代や社会によって変化しうる。女性の社会進出も増えている時代だ。家族が多様化し、姓もまた個人的な権利という考えが浸透すれば、法も変化が求められよう。

選択的夫婦別姓は、民主党政権下でも議論に上がったが、立ち消えになった。結婚前の姓を「通称」として使えるように法改正を望む声もある。どんな立法政策がいいか、論議を一歩進めたい。
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[産経新聞] 日印首脳会談 経済と安保で連携強めよ (2013/05/31)

安倍晋三首相が来日したインドのシン首相と会談し、経済、安全保障両面で両国関係を強化していくことで一致した。

インドとの連携は、米国などとともに、自由や民主主義、法の支配といった普遍的価値観を共有する国々との連帯を強め、結束を図っていく意味がある。

共同声明では「国際法の諸原則に基づく航行の自由への関与」に言及し、東シナ海や南シナ海で権益拡大の野心をあらわにする中国を牽制(けんせい)している。これを両国でどう具体化していくかだ。防衛面などの協力を進めてほしい。

両首脳は、日本の原発輸出の前提となる原子力協定の「早期妥結」で一致したが、核拡散防止条約(NPT)に加盟していないインドとの協定締結には一部に慎重論もある。交渉にあたってはインド側に、軍事転用を許さない措置を講じるよう求めていく必要があるだろう。

首脳会談では、インド政府が進めるムンバイ?アーメダバード間の高速鉄道計画について、共同調査を行うことでも合意した。「トップセールス」の成果の一つとして歓迎したい。

人口12億のインドは、経済の急成長で電力や鉄道などインフラ需要が大きい。中国と並ぶ2大新興経済国であるインドの巨大市場は、日本にとっても魅力的だ。成長戦略を進めていく上でも、なくてはならぬパートナーだ。

安全保障分野では、海上自衛隊の救難飛行艇US?2の輸出に向けた合同作業部会の設置や、海自とインド海軍の共同訓練の活発化で合意した。

日本とインドの安保協力では、両国の外務、防衛当局による次官級の「2プラス2」や米国を含む3カ国の外務当局による局長級対話などがある。

中国は、パキスタンやスリランカ、ミャンマーなどで港湾開発に協力することで、インド洋での拠点づくりを着々と進めている。

力を背景にした中国の海洋進出は、日印両国にとって共通の懸念であり、いかに押しとどめていくかが問われている。

シン首相の訪日に先立って中国は、李克強首相が就任後初の外遊先としてインドを訪問し、中印の「相互信頼」を強調した。こうした関係が本物かどうか、日本は中国の動きを見極めながら、戦略的外交を展開すべきだ。
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[産経新聞] 財政健全化 目標実現こそ成長支える (2013/05/31)

政府が6月に閣議決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」の策定が進む中、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が財政健全化に向けた報告書をまとめた。

アベノミクス効果で景気が上向く一方、長期金利の動きは神経質で、株式市場も荒い展開をみせている。その分、かつてないほど政府の財政運営にも市場の注目が集まっている。

財政規律を維持し、市場や海外の信頼を保つことこそが経済再生の鍵だ。財政健全化の重要性を説く報告書の重みは増している。

景気回復とともに設備投資などの資金需要が増え、緩やかに金利が上がるのは正常な姿だ。

だが「アベノミクス三本の矢」の1本目で日銀が「異次元の金融緩和」による国債の大量購入を打ち出して以来、日銀による財政赤字の肩代わり懸念が市場からは消えない。2本目が大規模な財政出動だっただけになおさらだ。財政への信認が崩れれば国債価格急落(金利急騰)を招きかねない。

報告書は、そうした事態を避けるために財政健全化が不可欠とした。ともすれば景気浮揚策と相反するとみられがちな財政健全化だが、報告書は、逆に成長を支えると指摘している。

選挙で財政健全化を掲げることには与野党を問わず拒絶反応がある。景気の腰折れを防ぐために棚上げすべきだとの声さえある。

確かに、政府が歳出抑制や増税に取り組めば、短期的には需要を減らす。しかし、財政健全化が着実に進めば、社会保障などへの国民の将来不安を和らげ、消費を促す。金利上昇を抑えることで、企業の投資を活発化させ、住宅ローン需要の増大にもつながる。

安倍晋三政権は、財政健全化目標として平成27年度の基礎的財政収支の赤字幅を22年度の水準から対国内総生産(GDP)比で半減させ、32年度には黒字化を実現するとしている。骨太の方針でもこの点は強調するという。

ただ、その道のりは厳しい。消費税率の段階的引き上げで27年度の赤字半減を達成しても、32年度の黒字化には、なお約15兆円の収支改善が必要だからだ。

骨太の方針では、一歩踏み込んで、財政健全化への道筋を具体的に示すべきだ。それが「3本目の矢」の成長戦略とともに、アベノミクスを息の長い経済成長につなげる条件である。
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[毎日新聞] 社説:医療事故調 信頼確立の第一歩だ (2013年05月31日)

医療には予測できないことが起こる。全国の医療機関での「予期せぬ死亡事故」は推計で年間1300〜2000件ある。突然、肉親を亡くした遺族が失意と混乱の中でどうして事故が起きたのか原因解明と説明を求めるのは当然だ。医療側にミスがあれば謝罪を求め、責任追及し、金銭的な賠償が必要な場合もある。再発防止を祈念する遺族も多い。

ところが、現実には医師から納得できる説明がなされることは多くなく、責任追及を恐れて医療側が口をつぐむと原因解明は進まず、再発防止にもつながらない。単純ミスやカルテの隠蔽(いんぺい)、同じ医師が事故を繰り返すケースもあって民事訴訟は後を絶たない。一方、刑事訴追された医師が無罪となり、医療側から強い批判が起きたこともある。医師らはリスクの高い産科や小児科を避けるようになり、病院や診療科の閉鎖の原因となっているとも言われる。いくつもの矛盾が重なって医療不信と医療崩壊の震源となっているのだ。

航空機や鉄道事故の調査委員会のように、責任追及とは別に独立した機関による原因解明が必要だ。厚生労働省の委員会がまとめた医療版事故調査制度(医療事故調)によると、死亡事故について調査する民間の第三者機関の設置とともに、全国の病院や診療所、歯科診療所、助産施設など計18万施設に院内調査と調査結果の報告を義務づける。院内調査には外部の医師も加えて客観性を担保するが、遺族が納得できない場合は第三者機関が改めて調査する。第三者機関は警察へは通報しない。

報告を義務づけられることに医療側から懸念の声も出ているが、患者や遺族が納得できる原因解明のためには不可避だろう。問題は第三者機関の性格だ。国内の多数の医療団体が参画して事故調査の実績を積んでいる一般社団法人「日本医療安全調査機構」(東京都港区)が検討されているが、公平性や実効性を高めるために調査権限や独立性をどう規定するかは重要だ。また、小規模病院や診療所の場合、院内調査には医師会や大学病院の協力が必要だ。調査結果の公開や捜査機関との調整、患者の費用負担をどうするかなど煮詰めるべき問題は多い。

医療事故調は患者や関係団体が以前から必要性を訴え、厚労省は設置法案の原案も作成したが、責任追及を恐れた医療界からの反発もあり、民主党政権下で動きが止まっていた。今回の医療事故調は医師と患者双方の信頼を確立するものにしなくてはならない。第三者機関が警察へ直接通報することはないが、遺族には医師側の過失が明らかで刑事訴追の恐れがある内容も伝えるべきだ。信頼は真実を隠したところには生まれない。
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[毎日新聞] 社説:アフリカ開発会議 互恵関係を築きたい (2013年05月31日)

日本が主導し、アフリカの40カ国以上の首脳が集まって開発について話し合うアフリカ開発会議(TICAD)が6月1日から横浜市で開かれる。5年に1回開催されてきた会議は5回目を迎えるが、ここ10年、めざましい経済成長を遂げるアフリカの開発環境は、様変わりしている。かつての「貧困と紛争の大陸」への援助という視点だけでなく、貿易・投資のパートナーとしてどう関わり、日本の経済再生にもつなげることができるかが問われている。

世界の15%にあたる約10億人の人口を有するアフリカの強みは、石油・天然ガスや鉱物など天然資源に恵まれていることだ。2000年代半ば以降、新興国の需要拡大を背景に資源価格が高騰し、投資が急増したことで、アフリカは急成長した。サハラ砂漠より南のサブサハラ地域でみると、02年からの10年間で年平均5.8%の経済成長をしている。

とりわけアフリカの経済成長を支えているのが、資源獲得のため中国がつぎ込む巨額投資だ。中国の対アフリカ投資額は日本の約3倍、貿易総額は5倍以上にのぼる。中国首脳によるトップ外交も活発だ。

一方、日本は、冷戦終結で欧米各国のアフリカへの関心が低下したことから、1993年にアフリカ開発会議を発足させた。先見の明があったのだ。だが、90年代後半から財政事情の悪化で政府開発援助(ODA)を減らし、日本国内政治の混乱もあって、アフリカ外交で十分な取り組みができなかった。歴代首相でサブサハラ地域を訪れたのは、01年の森喜朗首相、06年の小泉純一郎首相(いずれも当時)の2人だけだ。

アフリカの経済成長は著しいが、資源頼みなど課題も多い。貧困は深刻で、貧富の格差が広がっている。紛争は90年代に比べると収束したが、依然として続いており、政治が不安定な地域が残る。アルジェリアで起きた人質事件などで明らかなように、テロ対策の強化も急務だ。

中国による開発には「本国の労働者や機材をごっそり持って来るため、雇用や技術移転につながらない」「新しい植民地主義」などの批判も聞かれるようになった。

日本の対アフリカ投資は、中国や欧米に比べて出遅れている。しかし日本による開発には「現地で雇用や人材育成をしっかりやってくれる」「約束を守る」などの評価もある。

今回の会議で政府は、日本企業のアフリカ投資を促進するため、インフラ整備、人材育成など、ビジネス環境整備を官民連携で支援することを打ち出す。会議を弾みにアフリカ外交を強化し、日本のよさを生かしながら、互いにとって利益になる互恵関係の構築を目指していきたい。
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[読売新聞] 選挙制度論議 政治の安定へ衆参同時改革を(5月31日付・読売社説) (2013年5月31日)

◆定数削減競争は大衆迎合だ

今国会会期末まで1か月を切ったのに、衆院選挙制度の抜本改革論議は行き詰まったままだ。

与野党に合意形成の機運がなく、実現はもはや困難な状況にある。

自民、公明両党が国会に提出した、衆院小選挙区定数の「0増5減」を実現する区割り法案は、参院で審議されなくても、衆院で再可決され、成立する見通しだ。

だが、0増5減は、あくまでも緊急避難的な措置に過ぎない。

選挙制度の抜本改革を実現するために、与野党は、議論を仕切り直す時期に来ている。

◆立法機能低下に懸念

与野党の合意形成を妨げている最大の要因は、衆院議員の定数削減を巡る足並みの乱れだ。

民主党は、消費増税に国民の理解を得るには国会議員自ら「身を切る」必要があるとして、定数80の削減を主張している。

しかし、定数削減は、選挙制度改革のきっかけとなった衆院小選挙区の「1票の格差」是正とは無関係である。

身を切ると言うなら、歳費や政党交付金を削るべきだろう。その方が効果も大きい。

自民党は比例定数を30削減して150とし、その中に60の中小政党優遇枠を設ける考えだ。公明党への配慮だが、中小政党に特別な枠を与えることが公正な制度と言えるのか。

日本維新の会は144減、みんなの党は180減を唱えている。削減幅を競うかのようである。

国会議員を減らせば国民に歓迎されると政党が考えていること自体、大衆迎合主義的な発想で嘆かわしい。定数削減は選挙制度と切り離して議論する必要がある。

そもそも、日本の国会議員数は先進国の中では少ない方だ。

与党は閣僚ら政務三役を政府に送り込んでいる。定数を削れば、国会では委員会を掛け持ちする議員が増える。中小政党も発言の機会を奪われる。立法能力や行政監視機能が低下しかねない。

最高裁は2011年3月、小選挙区の「1票の格差」が最大2・30倍となった09年の衆院選を「違憲状態」と判断した。各都道府県にまず1議席を割り振る「1人別枠方式」が格差の主因と指摘し、廃止を求めた。

立法府の裁量権に司法が大きく踏み込んだと言えよう。

◆格差是正絶対視するな

昨年12月の衆院選を巡る「1票の格差」訴訟では全国の高裁・支部で「違憲」判決が相次いだ。一部には選挙無効という判決もあったが、再選挙のルールも確定しておらず、無責任ではないか。

投票価値の平等は選挙制度の絶対的な基準ではない。選挙区選は行政区画を基に成り立っている。地方では人口減が著しい。人口比例だけで片づかない地域特有の問題や経済・文化的事情もある。

司法の判断と現実の政治を調和させる選挙制度が求められる。

共産党などが主張するような完全な比例代表制とすれば、確かに民意がそのまま獲得議席に反映されて、1票の格差はなくなる。

しかし、中小政党も議席を得やすいだけに、多党化が避けられない。連立政権が常態化し、中小政党が政策決定のカギを握るなど、政治の不安定化を招く。

民意をいかに集約し、安定した政権を作るかという観点が最も重要だ。

それには、自民、民主両党などが主張する現行の小選挙区比例代表並立制の手直しか、一部の小政党が求める中選挙区制の復活以外に、現実的な選択肢はないだろう。

参院の選挙制度も、併せて考えなければならない。今は、衆参両院いずれもが「違憲状態」にあると司法が断じる異例の事態だ。

裏を返せば、衆参両院の制度を同時に見直す好機と言える。

衆院も参院も選挙区選と比例代表選を組み合わせる点で、似通った制度になっている。「強すぎる参院」の問題もある。

◆二院制の役割議論せよ

「決められない政治」を脱するため、衆参のねじれが生じにくい制度を設計すべきだ。

まずは、衆参各院にどんな役割と権能を持たせるかという根本的な議論が欠かせない。憲法の二院制に関する条項の見直し論議も深めてもらいたい。

衆参両院が従来のようにそれぞれ独自性を主張し、各党が党利党略にとらわれる限り、いくら時間をかけても合意は困難だ。

今の状態が続くなら、各党の利害から離れた有識者による第三者機関に諮問するしかない。その際、与野党は、答申を尊重して立法化することをしっかり取り決めておくことが肝要である。
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[朝日社説] アフリカ開発―資源頼みから脱却を (2013年5月31日)

かつてアフリカが「暗黒大陸」と呼ばれた時代があったことを知る人はどれほどいるだろう。それほどまでに、近年のアフリカの成長には目を見張る。

だが、順調に見える成長にもゆがみが見える。一番の課題は、成長が天然資源頼みになりがちなことだ。すそ野の広い、持続的な発展への脱皮を後押ししなければならない。

日本が音頭をとって20年前に始めたアフリカ開発会議(TICAD)が、1日から横浜市で開かれる。5回目となる会議には、地域の50余国の首脳たちや国際機関の代表が集まる。

原油や希少金属といった資源の開発、輸出が本格化したのは世紀が変わった頃だ。過去10年の地域の平均成長率は約6%に達するが、この豊かさが全体の人々に行き渡っていない。

例えば、アフリカ中西部の赤道ギニアという国では石油生産が始まってから一人あたり所得が先進国並みになった。ところが5歳までに乳幼児の1割以上が亡くなっている。貧富の格差が広がり、衛生状況の改善が遅れているからだ。

食糧の生産性も低い。農村の貧困が解消されず、海外からの穀物輸入が増え続けている。

サハラ砂漠周辺では、地球温暖化による干ばつや地域紛争に住民が苦しんでいる。

日本はこの5年間に、アフリカ向けの政府の途上国援助(ODA)を倍増させ、コメ増産や教育、保健支援に取り組んできた。製品の品質や生産性を向上させるカイゼン運動も各国に広がっている。

こうした日本の得意技を生かしつつ、工業化や農業強化への支援を拡充する。草の根の人々の生活や福祉に目を配る「人間の安全保障」の理念を支えにしたい。

アフリカの巨大な消費市場や資源開発への経済界の関心は高い。投資リスクを減らすためにも、各国は腐敗を一掃し、政治安定に努めてもらいたい。

近年はインド、ブラジルなどの新興国や韓国も、アフリカとの経済交流を深めている。中国は、日本を大きく上回る援助や貿易投資をしている。

今回の会議では、11年前に発足し、地域統合を目標に掲げるアフリカ連合(AU)が共催者に加わる。アフリカ側が実力と自信をつけてきた表れだろう。

大陸の人口は10億人。2050年には世界の5人に1人がアフリカ人になる見込みだ。

雄大な自然や独自の文化。アフリカの魅力は多様だ。

この会議を日本とアフリカとの信頼構築につなげたい。
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[朝日社説] クールジャパン―利益より日本の良さで (2013年5月31日)

外国に比べて見劣りがしてきた日本政府の文化予算が、急に膨らもうとしている。

日本の文化を海外に売り込むクールジャパン戦略では、昨年度補正予算と今年度予算で840億円以上が計上された。

一方で下村博文・文部科学相は、2020年までに文化庁の予算を倍増させる「文化芸術立国中期プラン」を私的懇話会で打ち出した。

今年度の文化庁予算は1033億円。10年以上にわたり、約1千億円でほぼ変わらない。一般会計に占める比率は、0・11%にすぎない。

他国の文化予算は、別格のフランスが4474億円で1・06%。映画やテレビドラマで「韓流」ブームを世界に起こした韓国は、1418億円で0・87%だ(12年、文化庁調べ)。

心の豊かさに満ちた社会をつくるため、これまで抑え込まれてきた文化予算を増やすことは歓迎したい。

だが、肝心なのはその中身だ。真に文化の質を高めたり、海外の日本への理解を深めたりすることにつながる施策に、効率的に配分すべきだ。

例えば、クールジャパン戦略では、輸出する映画やテレビ番組に、外国語の字幕や吹き替えを付ける補助金(約95億円)への評価が高い。「韓流」が成功した理由の一つとして、翻訳付きで作品を外国に売り込んだことは、よく知られている。

ただ、経済的な成果は、期待しすぎないほうがいい。当たるか当たらないか、予想が難しいのが文化や芸能の世界だ。

クールジャパンと名付けられた海外の日本ブームは、近年は息切れも指摘されている。

コンテンツ輸出で9割以上を占めるゲームソフトは売り上げが停滞し、アニメの海外販売もピークだった05年の半分程度に落ち込んだ。

クールジャパン戦略を所管する内閣府も「経済成長にどれくらい貢献するか、という数字は持ちあわせていない」という。

政府のクールジャパン推進会議は、アクションプランで正統な日本料理の「食の伝道師」育成を打ち出した。複数の民間議員が指摘したように、海外での正しさの押しつけは逆効果だろう。謙虚さこそ、日本文化のクール(良さ)だ。

韓国では毎年、コンテンツ振興院が白書を発行し、文化政策を点検している。邦訳された10年度版は500ページ以上。よく整理されて読み応えがある。

膨らんだ予算がどのように使われたか、継続的な検証も欠かせない。
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2013年05月30日

[東京新聞] 南海トラフ地震 3・11胸に減災対策を (2013年5月30日)

「南海トラフ巨大地震の予知は困難」と内閣府が最終報告をまとめた。東海地震でも、もはや予知情報を期待できない。建物の耐震化や食料・水の備蓄など、きめ細かな減災対策を積み重ねよう。

「前兆滑り」…。地震発生前に震源のプレートが滑る現象を「ひずみ計」でつかみ取れば、東海地震の予知ができるという前提は、もはや崩れたといえる。

駿河湾から四国沖、九州南部へと延びる南海トラフでは、東海、東南海、南海の三連動地震が起きる恐れがある。だが、前兆滑りが検知されない場合でも地震が起きうる。

以前から、東海地震予知の限界は専門家の間で指摘されていたが、今回の内閣府の発表はそれを確認した形となった。

一九六〇年代から始まった地震予知の夢は、やはり夢でしかなかったのか。七八年に施行された大規模地震対策特別措置法(大震法)は、東海地震の予知を期待したものだっただけに、根拠を失ったに等しい。東海に限らず、より広域的に自治体を支援する法整備が今後、求められよう。

三連動によるマグニチュード8クラスの地震が起こる可能性は、三十年以内に60%から70%という数字もある。あす起こっても不思議ではない。対策は迅速、かつ着実に進めていくしかない。

南海トラフ巨大地震の最悪の想定は、死者三十二万三千人、経済被害二百二十兆円と既にはじき出されている。同時に有効な減災対策を打ち出せば、死者六万一千人、経済被害百十二兆円に抑え込めるという試算もある。

事前に手を打つ減災策こそ最も現実的なのだ。建物の耐震化と同時に、水道・ガスなどライフラインの対策も立てねばならない。防潮堤や避難施設も確保したい。

だが、ピーク時には、九百五十万人にものぼる避難者をどうするか。国は「高齢者ら災害弱者を優先に」という方針で、おのずと個人の「自助」と、助け合いの「共助」を求めることになる。

物資不足は最初の三日間よりも、四日目以降に食料も水も不足分が倍増する。簡易トイレや毛布も足りない。医薬品はどうか…。各家庭が一週間以上の備蓄をする必要がある。日常生活に目配りをした準備を心掛けよう。

名古屋・大阪圏を直撃する大震災となる。交通網の途絶、断水と停電…。大混乱の中で、まず身を守らねばならない。3・11の教訓を胸に刻み、危機に備えたい。
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[東京新聞] 日印原子力協定 経済優先がすぎないか (2013年5月30日)

安倍晋三首相は来日中のインドのシン首相と原子力協定をめぐり交渉の再開で合意した。原発技術の輸出は福島第一原発事故の教訓より経済を優先している。しかも核不拡散の原則に反している。

「暑い時期は気温が四〇度を超えるがエアコンが使えない。寒い時期は二〜三度まで下がるが暖房が使えない。多くのインド人はとにかく電力がほしい。それが原子力かどうかなんて気にしない」

ニューデリーに住むインド人男性は、電力不足への市民の不満をこう話す。停電は日常茶飯事だ。

インド政府は電力供給の“切り札”に原発の増設を進める。現在、稼働中の原発は二十基あり、今後十年間で二十五基を新設する。発電量に占める原子力の割合を今の約2%から二〇三〇年までに十三倍に増やす目標だ。

そのため日本の原発技術はのどから手が出るほどほしいだろう。既に欧米からは技術協力を得ているが、原発政策を担う政府機関・インド原子力公社の幹部は以前、「日本との協力が最優先だ」と語った。日本にとっても大きな市場になることは間違いない。

だが、インドは必ずしも福島の教訓まで求めていないように見える。膨大な除染や賠償費用について、この幹部は「それは津波のコストであって原発技術が起こしたわけではない」と語った。

原発事故は多くの人の命や生活を脅かす。その教訓が共有されていないのではないか。

安倍首相は「事故の経験と教訓を世界と共有することによって、世界の原子力安全の向上に貢献していく」と言うが、原発政策はあまりに経済優先ではないか。国内では新増設に慎重なのに海外へは積極的に輸出するのでは、国際社会の信頼を得られない。

核の拡散も懸念される。インドは核保有国だが、核拡散防止条約(NPT)に加盟せず、包括的核実験禁止条約(CTBT)にも署名しておらず国際社会の監視が届きにくい。

米国がインドの経済成長に目を付け既に原子力協定を結んだ。日本も参加する原子力供給国グループもインドを例外にして核技術輸出を解禁した。これではNPT体制が揺らぎかねない。

日本が語るべきはNPT加盟を促し核兵器削減と開発中止を訴えることである。協定交渉では核実験すれば原発の技術協力を停止するとの条件を求めるべきだ。それが唯一の被爆国の責務である。
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[産経新聞] 南海トラフ地震 予知への幻想を断ち切れ (2013/05/30)

中央防災会議の作業部会がまとめた「南海トラフ巨大地震対策」の最終報告に、「確度の高い地震予測は難しい」とする見解が盛り込まれた。東海地震の直前予知見直しを迫る内容だ。

最終報告は、南海トラフ沿いで起きうる最大級の地震=マグニチュード(M)9・1=を想定し、対策の基本的方向と具体策を示したものだ。南海トラフ全域を見据えた対策を推進するため、法的枠組みの確立も求めている。

新たな災害法制を築くためにはまず、大規模地震対策特別措置法(大震法)を撤廃し、予知にけじめをつけなければならない。

日本の地震対策は、東海地震を「直前予知の可能性がある唯一の地震」とする大震法を中核に構築された。平成15年に策定された対策大綱は、予知を目指す東海地震と予知体制がとられていない東南海・南海地震が分かれている。

このため、現行法では過去に単独で発生した記録がない東海地震の対策はあるが、繰り返し日本列島を襲ってきた東海・東南海の連動型や東海・東南海・南海の3連動型地震に備える防災対策がない。大震法の存在自体が、日本の地震防災の欠陥といえる。

科学的知見を集約すれば、予測の確度は上げられる

古屋圭司防災担当相は、予知体制の見直しについて「前兆現象が観測された場合の情報発信や防災対応を議論する場を設けたい」と述べ、「観測点を増やし、科学的知見を集約すれば、予測の確度は上げられる」と観測網の充実に期待を示した。

議論の場は当然必要だが、予測への幻想になってはいないか。

阪神大震災後、地震観測網は大幅に拡充されて、多くの科学的知見が得られたが、予知に関しては「極めて困難」との認識が強まった。「想定外」だった東日本大震災で海溝型地震のモデルが揺らぎ、予測研究の方向性は定まってはいない。

「30年以内の発生確率が60?70%」とされる南海トラフ地震の切迫度と地震学の現状を考えると、防災に結びつく実用的な確度で予測の実現を期待するのは、いささか楽観的に過ぎる。

過度の期待を含め「予知幻想」の根は深い。予知から予測に言葉をすり替えても、幻想を断ち切ることはできない。

今後の予測研究が正しく理解されるためにも、地震学者が予知にけじめをつけるべきである。
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[産経新聞] 国家戦略特区 法人減税の具体化を急げ (2013/05/30)

政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)が地域限定で規制改革や減税を実施する「国家戦略特区」の創設を打ち出した。成長戦略のための重要な柱だ。経済成長に向けた新たな牽引(けんいん)役として期待したい。

特区の活用を含め、富を生み出す企業を支援する政策の方向性は評価できる。ただ、産業界の要望が強い法人税減税などの具体化は先送りされた。規制改革も小幅にとどまる見通しだ。参院選を控えて、手を付けやすい政策ばかりを並べたとしたら残念だ。

成長戦略は「企業を元気づける政策」でなければならない。6月中旬の最終決定に向けて具体化を急いでほしい。

「アベノミクス第3の矢」となる成長戦略は、産業再興と市場創造、国際展開の3つで構成し、重要な政策には実施スケジュールなどを盛り込んだ工程表を策定するという。「いつまでに」も大事だが、成長を確保するために「何を実施するか」の議論をもっと深める必要がある。

産業再興の柱となる戦略特区は、「世界で一番企業が活動しやすい国」の実現を目指し、事業環境の整備で海外からの投資も呼び込むとした。だが、先進国で米国に次いで高い法人税の実効税率の引き下げは今後の検討課題にとどまったままだ。具体的な引き下げ幅を早く明示すべきだ。

踏み込み不足が目立つ規制改革

企業の投資支援では「産業競争力強化法」の制定も打ち出した。投資に対する公的融資枠の拡大や投資減税などが盛り込まれる見通しであり、早期の実現に向けて作業を加速させてほしい。

同時に事業の新陳代謝を促すことも重要だ。解雇の金銭解決ルールを含めた雇用制度改革にも取り組まねばならない。

市場創造につながる規制改革では、踏み込み不足が目立つ。農業分野では新規参入を促すような政策は見当たらない。医療・福祉分野への株式会社参入も盛り込まれていない。企業の活発な投資意欲を引き出す具体策をもっと提示してほしい。

企業の経営環境は、アベノミクスによる円高修正で大きく改善しているが、金融市場では長期金利の上昇や株式相場の乱高下など不安定な動きもある。これが実体経済の足を引っ張ることがないようにするためにも、企業活力を高める成長戦略が問われている。
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[毎日新聞] 社説:日印関係 海洋安全保障も経済も (2013年05月30日)

インドのシン首相が来日し、安倍晋三首相との間で、経済、政治・安全保障協力の強化や、日本からの原発輸出の前提となる日印原子力協定の締結交渉促進などで合意した。

核拡散防止条約(NPT)に加盟せずに核兵器を保有しているインドと原子力協定を結ぶことには懸念が残る。ただ全体的に見れば、インドは経済と政治・安全保障の両面で国際社会での重要性を増しており、日印関係の現状は、その潜在的可能性に比べると、まだまだ不十分と言わざるを得ない。インドとの関係強化を加速させるべきだ。

インドの人口は2025年に約14億6000万人となり、中国を抜いて世界第1位になる見通しだ。経済は減速傾向が著しいが、それでも成長率5%を維持している。10年先を考えれば、魅力的な巨大市場であることに変わりはない。

ところが日印貿易の額は、日中の20分の1にも満たない。日本企業のインド向け直接投資も伸びていない。シン首相は訪日で、エネルギーや交通インフラへの投資を促した。

インドへの投資が進まないのは、電力不足、通関などの手続きの煩雑さ、州ごとに制度が異なることなど、環境がなかなか整わないからだ。日本政府は、主要な州政府との協力強化なども含め、投資環境の整備を積極的に支援してほしい。

インドの存在感は安全保障分野でも顕著だ。インドは中東・アフリカからのシーレーン(海上交通路)が通過するインド洋に面し、もともと地政学的に重要な位置にある。

そのインド洋で、中国海軍は、ソマリア沖から西インド洋に拡大する海賊被害への対策として、護衛艦などを派遣する国際社会の行動に参加している。また中国は、パキスタン、スリランカ、バングラデシュなどインド洋沿岸諸国の港湾開発に投資して戦略拠点としている。これらがインドを包囲しているように見えることから「真珠の首飾り」と呼ばれ、インドは神経をとがらせている。

中国のインド洋進出をけん制する意味からも、日印両国が海洋の安全保障で連携することは重要だ。

海上自衛隊とインド海軍は昨年6月、横須賀沖で初めての海上合同訓練を行った。日印の外務・防衛当局の次官級対話や、日米印3カ国の局長級の政治対話なども活発化している。こうした動きを今後、いっそう強化していってほしい。

日印両国は昨年、国交樹立60周年を迎えた。天皇、皇后両陛下も年内にインドを訪問される方向だ。経済、政治・安全保障はもちろんだが、人や文化・学術交流の促進などを通じ、日印の絆をさらに重層的なものにしていく努力も必要だ。
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[毎日新聞] 社説:運動部活動 大学で指導者育成を (2013年05月30日)

「バレーボールでの反復レシーブ練習」は通常のスポーツ指導として認められるが、「熱中症多発期に給水なしの長時間ランニング」や「生徒が受け身をできないように投げる」ことは指導者と生徒の間に信頼関係があっても許されない。

学校の運動部活動にはびこる暴力的指導などの根絶に向け、文部科学省の有識者会議は、指導と認められる行為や、暴力やハラスメントなど許されない行為を示したガイドラインをまとめた。すべての中学、高校に配布するほか、すでに文科省のホームページで公開しているので保護者もぜひ目を通してほしい。

大阪市立桜宮高のバスケットボール部員が顧問教諭に殴られた翌日に自殺した問題を受け、高校野球の監督経験者やスポーツ関係者らが今年3月から議論していた。座長で早大スポーツ科学学術院の友添秀則教授(スポーツ教育学)が強調したように、試合の引率などで休日返上も珍しくない部活動顧問を支援するためのガイドラインで、指導に一定の枠をはめるのが狙いではなく、現場が萎縮する必要はない。

ただ、残念ながら、科学的・医学的知見を欠いた指導が一部で行われていることも事実だ。東京の都立高校で昨年度、野球部顧問が試合に負けた罰として部員36人を午前9時から6時間、昼食抜きで約40キロも走らせたケースがあった。幸いにもけが人は報告されていないが、指導に名を借りた顧問のうっぷん晴らしであり、「虐待」にほかならない。

指導者の資質向上のため、教員養成課程を持つ大学に期待したい。

教員になるためには教育職員免許法に定められた規定の科目を履修することが義務付けられているが、部活動を指導する場合、これに該当する免許がない。現在、複数の大学が開設している「コーチング科学」などの講座はトップクラスのアスリート、あるいは特定の競技を対象に「こうすれば速くなる、うまくなる、強くなる」といった競技力の向上を目的とした内容となっている。

今後、大学で部活動の指導者育成を主眼に、年間活動計画の作成など部活動の運営、生徒の意欲喚起や人間関係形成のための指導、安全確保や事故防止などを盛り込んだカリキュラムの開発を進めることが急務だ。

中学生の6割以上、高校生の4割余りが参加する運動部活動はさまざまな課題を抱えながらも、世界に類例のない優れた制度だ。生徒の人格形成に及ぼす影響も大きい。

ガイドラインは桜宮高のバスケット部員をはじめ多くの子どもたちの犠牲の上にまとめられた文書であることを指導者をはじめ学校関係者、保護者は忘れてはならない。
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[読売新聞] 成年被後見人 選挙権の迅速な回復は当然だ(5月30日付・読売社説) (2013年5月30日)

精神疾患や知的障害で成年後見人を付けた人に選挙権を認める改正公職選挙法が成立した。

7月の参院選から、約13万6000人に投票の道が開かれることになった。多くの人が投票所に足を運び、1票を投じてほしい。

公選法は、判断能力に欠けるといった理由から、成年後見人の付いた人の選挙権を認めていなかった。この規定について、東京地裁は3月、「法の下の平等に反する」として違憲判決を出した。

判決を受け、自民、公明両党は問題の規定を削除する改正案を国会に提出した。野党も同調し、衆参両院とも全会一致で可決した意義は大きい。判決から2か月余という迅速な対応も評価したい。

成年後見人を付けた人の障害の程度には個人差がある。原告の女性は簡単な読み書きができ、意思表示も可能だ。そもそも一律に選挙権を奪う規定自体に無理があったと言えよう。

今後の運用にあたっては、不正投票に障害者を巻き込まない対策が重要だ。改正法には、特定候補者に投票を誘導するような不正の防止策が盛り込まれた。

自力で投票用紙に記入できない人を助ける代理投票では、代筆役とチェック役の補助者を付け、この2人については、市町村職員に限定するという規定だ。

家族など付き添い人が投票に手を貸すことはできない。参院選は目前に迫るが、各選挙管理委員会は、投票所で適切なサポートができるよう、人員確保などに万全を期してもらいたい。

病院や介護施設などで行われる不在者投票についても、「選管が選んだ立会人を付ける」との努力規定が設けられた。施設職員が入所者に無断で、特定候補に投票する行為を防ぐのが目的だ。

努力規定にとどまり、義務付けが見送られたのは、自治体の体制が整わないとみられるためだ。

だが、東京都のように約1200施設に立会人を派遣する方針の自治体もある。各選管には積極的な対応が求められる。

それにしても、違憲判決に対する控訴をいまだ取り下げていない政府の姿勢は不可解である。

新藤総務相は控訴した際、記者会見で「立法措置がされた場合、訴えの意味は失われる」と述べ、原告側が訴えを取り下げるとの見方を示していた。

原告はやむなく司法に訴え、主張が認められた。政府の対応は不誠実と言うほかない。政府が控訴を取り下げるのが道理である。
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[読売新聞] 日印首脳会談 関係発展の柱となる原発協力(5月30日付・読売社説) (2013年5月30日)

日印両国が一層関係を深めていくための重要な柱となろう。

安倍首相が、来日中のインドのシン首相と会談し、日印原子力協定の締結交渉再開で合意した。

年内妥結を目指す方針で、締結すれば、日本から原子力関連技術が輸出できるようになる。

交渉は、民主党政権時代の2010年6月に始まったが、東京電力福島第一原子力発電所事故の後、事実上中断していた。

人口12億人のインドは、経済の急成長に伴って電力不足が深刻化し、原発の増設を計画している。主力の電力供給源である石炭火力発電所に、温室効果ガスを排出しない原発が加われば、地球温暖化対策にも役立とう。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、成長戦略としてインフラ輸出を重視する。原発や関連機器の輸出が増えれば、日本にとってもメリットは大きい。

安倍首相は、シン首相に対し、核不拡散の努力を評価するとともに、核拡散防止条約(NPT)体制を推進する立場から、インドの核実験全面禁止条約(CTBT)の早期批准を促した。

NPTに加盟していない核保有国インドとの協定に日本国内で慎重論が強かったことを念頭に置いた発言だろう。

インドは核実験を凍結し、民生用施設は、国際原子力機関(IAEA)の査察も受け入れている。交渉再開にあたって日本は、こうした姿勢の堅持を確認したい。

両首脳がインド西部のムンバイ―アーメダバード間約500キロ・メートルの高速鉄道計画について、共同調査の着手で合意したことも前進である。日本が官民を挙げて目指してきた新幹線システムの受注につながると期待される。

日本は、ムンバイの地下鉄建設などに対する円借款の供与も決めた。インドの経済発展につながる大型インフラ整備で連携強化を確認した意義は大きい。

日本企業のインド進出は増加し続けている。貿易額は日中間などに比べればまだ少ないが、一層拡大する潜在力がある。

安全保障面では、海上自衛隊の救難飛行艇の輸出について、両国が検討を始めることで一致した。実現すれば、防衛装備品の民間転用による輸出となり、日印安保協力の具体的な成果となる。

昨年6月に初実施した海自とインド海軍の共同訓練も定期化される。中国を牽制(けんせい)する効果もあるだろう。アジアとインド洋の安定に結びつけなければならない。
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[朝日社説] 競馬の払戻金―納得できる課税とは (2013年5月30日)

誰がどれだけ馬券を買い、どれくらい勝ったのか。なかなか把握しにくい競馬の払戻金だが、そこにどう税金をかけるのが妥当なのか。考えさせられる裁判があった。

ある男性が、億単位のお金を投じてインターネットで馬券を買い続け、1億円を超える利益を得た。それを所得と申告していなかった罪で起訴された。

国税庁の通達によれば、馬券の払戻金は偶然に得た「一時所得」に区分される。経費として差し引けるのは勝った馬券の購入費だけになる。ただ男性側は「馬券を継続的に買っており、外れた馬券の購入費も経費とみるべきだ」と主張していた。

大阪地裁は「一時所得かどうかは具体的状況で判断すべきだ」との物差しを示し、この男性の馬券の買い方は「資産運用の一種」と判断した。外れ馬券もすべて経費と認めながらも、無申告は違法とした。

これだけだと、資産運用でなく競馬を楽しむ多くのファンには縁遠い話だが、判決は次のような見方も示している。

払戻金は、「原則としては一時所得」である。つまり、誰もが外れ馬券を経費扱いにできると認めたわけではない。だが、くだんの国税庁通達は各税務署に考え方を示したもので、国民に対する拘束力は持たない。

経費扱いできるのは勝ち馬券の購入費だけとの画一的な処理は、「弾力的運用」をうたう通達前文の趣旨にも合わない。判決はそうも指摘している。

「杓子定規(しゃくしじょうぎ)な課税はだめ」と、司法が警鐘を鳴らしていると受け止めるべきだろう。

今回のような馬券の買い方は、ネット技術の進展で容易になった。社会や経済活動の変化に応じた課税をどう進めていくのか。常に大きな課題である。

日本では、納税者が自ら所得と税額を計算する申告納税制度が基本である。どんな所得にどれだけの税が課されるかは、納税者が納得する形で示しておかないといけない。

税制改正に関する政府内の意見表明の過程で、国税庁は昨年9月、競馬など公営競技の払戻金は一定額を超えれば、税を天引きする案を示している。

ただ払戻金が課税対象であること自体、周知されているとは言い難い。公営競技の収益の一部はすでに公共事業に充てられており、天引き課税にはファンならずとも異論はあろう。有識者を含め多様な意見を十分に聞くべきだ。

今回の判決で税のありように関心が高まるなら、その意義はさらに大きくなる。
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[朝日社説] 夫婦のあり方―別姓も選べるように (2013年5月30日)

妻も夫も、もとの姓のままでもいいし、どちらかの姓にあわせてもいい――。そんな結婚のしかたは、いつになったらできるのか。

夫婦は夫か妻の姓を称する、と民法は定めている。この規定が個人の尊厳を保障する憲法にかなうのかが裁判で問われた。

東京地裁の判決は、結婚と改姓の間で悩んでいる人たちに、解決策を示さなかった。

生まれながらの姓を、結婚で変える影響は小さくない。

仕事で築いた実績や人間関係は、姓を変えることで途切れかねない。

新しい姓を名乗ることで、本来の自分でなくなったような気持ちになる人もいる。

厚生労働省の統計では96%の夫婦は夫の姓にしており、女性に改姓の負担が集中している。

旧姓を使っていいと認める職場は広がっているが、すべてではない。身分証明になる運転免許証などの姓と通称が違うことで生じる不便や混乱は、しょっちゅうのことだ。

裁判をおこした5人もこうした悩みを抱えており、見回せば近くにいそうな人たちである。

婚姻届を出さずに、夫婦として暮らす「事実婚」を選ぶ人たちもいる。だが、税制上の控除や相続権など、法律上の結婚で認められる利益をあきらめなければならない。二人の間の子どもは婚外子となる。

女性の社会進出が進み、家族のかたちは多様になり、予想できた問題である。とうに立法で解決しておくべきだった。

法務省は96年に、夫婦は希望すればそれぞれ結婚前の姓を名のれる選択的別姓の制度をふくむ民法改正案要綱をまとめた。この案では、子どもたちの姓は一方の姓に統一される。

ところが、与党・自民党の一部の国会議員から「家族の崩壊を招く」「家族の一体感が損なわれる」などの反対が出て、法案提出に至らなかった。民主党政権でも実現せず、法案は17年間、日の目を見ていない。

姓が違う夫婦がいても、それぞれの考えを尊重した結果だ。そこに家族崩壊の兆しをみるのは、ゆきすぎではないか。

民法が夫婦同姓としたのは、結婚制度に不可欠であるとか、結婚の本質にもとづくものだなどの説明がされているわけではない。それは今回の判決も認めている。

国連の女性差別撤廃委員会も、結婚によって姓の変更を強制するのは問題があると指摘してきた。欧米の多くの国は、同姓かそれぞれ旧姓を名乗るかを選べる仕組みにしている。
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2013年05月29日

[東京新聞] 健康保険の危機 国保財政再建に本腰を (2013年5月29日)

政府の社会保障制度改革国民会議は、財政赤字にあえぐ市町村の国民健康保険(国保)の運営を都道府県に任せる案を出した。重要な提案だが、もっと社会保障全体を見渡した改革を示してほしい。

市町村が運営する国保は、医療保険の最後のセーフティーネット(安全網)だ。

加入者は全体で三千五百二十万人いる。もとは自営業や農林水産業で働く人の加入を想定していたが、今は定年で退職した七十四歳までの年金生活者や企業の健康保険組合(健保組合)などに加入できない非正規社員が増えている。

高齢者や非正規で働く現役世代も頼れる医療保険である。

ところが財政に赤字を抱え存続の危機が叫ばれている。

保険料の徴収率はここ五年ほどは九割を下回っている。加入者の所得も低く、保険料軽減を受けている人も少なくない。保険料収入は全体の三割ほどでしかない。

一方で、加入者のうち六十五〜七十四歳の割合は三割を超えた。保険から支出される一人当たりの年間医療費は健保組合の倍以上の約三十万円かかっている。

国や都道府県、健保組合などから財政支援を受けているが支えきれず、市町村は毎年税金を約三千五百億円投じ、翌年度の保険料を約千五百億円“前借り”してしのいでいる。

医療費はかさむのに国保を支える基盤は弱る一方だ。最後の安全網がこれでは、心もとない。

国民会議が提案した国保の都道府県単位化は、財布を大きくして財政力を強化することが狙いだ。財政力の違いで、同じ県内でも最大三倍近い差のある保険料も統一される。

ただ、提案は不十分だ。高齢化で医療費は急増している。財布に入れる中身の財源は国、自治体、健保組合、加入者などがどう負担していくのか、大事な議論は進んでいない。

そもそも国民会議は、社会保障と税の「一体」改革で社会保障全体の改革像を示す責任がある。国保の再建はその一つにすぎない。八月までに改革案をまとめる予定だが、これでは消費税増税だけが行われかねない。

本来は、国土強靱(きょうじん)化計画で十年で二百兆円の公共投資をするのなら、そこから社会保障に財源を回すなどの大胆な発想が国民会議には求められているのではないか。そのくらいの気概がなければ「一体」改革にはならない。
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