2013年04月30日

[東京新聞] 集団訴訟法案 消費者を守る審議貫け (2013年4月30日)

悪徳商法などの被害回復のために特定の消費者団体が被害者に代わって集団訴訟を起こせる特例法案が閣議決定された。待ち望まれた新たな制度だ。消費者を守る視点で国会審議を尽くしてほしい。

違法な契約で消費者が失った金銭を取り戻し、泣き寝入りさせない。「集団訴訟制度」の狙いはここにある。ゴルフ会員権の預かり金や入学前に前払いした授業料の返還トラブル、モニター料をあげるからと布団を買わせて約束を破るモニター商法など、被害は毎年七十万件に上る。消費者庁によると、六割以上が事業者に交渉しても一円も返してもらえない。被害の半数は十万円未満、個人で訴えるには裁判費用や労力が見合わず、訴訟を起こす人は少数派だ。

この壁を乗り越えるため、新たな制度は首相が認定する消費者団体が被害者に代わって損害賠償訴訟を起こす。類似の被害をまとめて救済できるよう、被害者は団体が勝訴した後に参加し、簡単な手続きで賠償金を受け取れる。

だが、経団連などの経済団体は「訴訟が乱発されると、健全な企業活動までが萎縮し、経済再生に悪影響を及ぼしかねない」と反発している。おかしな意見だ。企業の収益のために消費者は被害を我慢すべきだというのだろうか。

訴訟を起こせる消費者団体は不当な勧誘の差し止め請求などで実績のある非営利のNPO法人などだ。政府の審査や監督も受け、違反の場合は認定取り消しもある。敗訴すれば裁判費用も自腹になるのだから、訴える根拠のない裁判を乱発するなど考えにくい。

集団訴訟制度は欧米で導入されているが、日本の場合はかなり限定的だ。企業は賠償金が増えるのを心配するのだろうが、訴訟にできるのは金銭被害だけで、敗訴して支払いを命じられるのは商品の値段までだ。慰謝料や逸失利益、製品事故や食中毒など人身に及ぶ被害の賠償は含まれない。これらは別に通常の民事訴訟で解決を図ることになる。

法案は救済対象を法施行後の被害とした。そのような抑制的な制度でいいのか。悪質なケースには遡(さかのぼ)って適応できるようにならないのか議論してほしい。

まともな企業活動なら訴えられる心配はいらない。経済界にとってはここまで被害を広げた違法な契約に対し、どんな手を打ってきたのかを見直す機会になる。それが消費者との信頼回復や経済活性化にもつながるはずだ。
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[東京新聞] 日ロ首脳会談 対日接近を四島交渉に (2013年4月30日)

安倍晋三首相がモスクワでプーチン大統領と会談し、北方領土交渉の再開で合意する。ロシアの対日接近を択捉・国後の帰属問題をめぐる交渉につなげ、行き詰まりを一歩でも打開させたい。

両首脳は北方領土交渉の「加速化」や外務・防衛閣僚級協議の立ち上げを柱とする共同声明に合意。領土交渉が停滞する日ロの共同声明は、二〇〇三年の小泉純一郎首相訪ロ以来十年ぶりである。

ロシアが対日関係改善に舵(かじ)を切った背景には米国発の「シェール革命」がある。石油、天然ガスのエネルギー資源に過度に依存したプーチン戦略が中長期的に破綻する可能性も否定できないからだ。

ロシアが独占していた欧州のガス市場は、米国市場から締め出された中東などの安価な液化天然ガス(LNG)に侵食され、大市場の中国とは価格交渉が難航中だ。一気に存在感が高まったのはLNG需要が急増した日本だ。

だからといって北方領土交渉では楽観は禁物だ。通算約十三年間、事実上の最高権力者の座にあるプーチン氏は強固な支持基盤を誇った時でも、択捉島と国後島の帰属問題の交渉に応じる姿勢を示したことは一度もない。ロシアの狙いは、領土交渉を誘い水にして、経済大国日本への天然ガスの輸出や極東への投資など、経済協力の大幅な拡大にあるとみられる。

そうした期待に応え、首相訪ロでは、経済界から百二十人という過去最大規模の企業関係者が同行し、自社製品を売り込む。日本政府は、ロシアとの経済協力を北方領土問題進展に向けた「環境整備」と位置づける。

しかしながら、経済関係強化を領土解決につなげる「出口論」には致命的弱点がある。経済協力が大幅に拡大しても、北方領土問題解決に向けた「環境」が整ったかを判断するのは、ロシア側だからだ。ロシアには、日本の領土要求は形だけで、本音は対ロビジネス拡大だとの見方もある。

極東などへの日本企業の投資拡大を望むなら、一向に改善しない汚職への具体的な取り組みなど、法の支配確立に向け実効性のある対策をロシア側が示すべきだ。

今後の交渉でまず必要なのは、四島の帰属問題の交渉を行う具体的な枠組みづくりである。第二次大戦の結果を不動のものとするロシア側の歴史認識について議論するのも重要だ。成果を焦らず腰を据えて取り組むべきだ。
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[産経新聞] 日露首脳会談 かけ声倒れは許されない (2013/04/30)

安倍晋三首相とプーチン露大統領は、モスクワでの首脳会談で、北方領土問題解決のための交渉を加速させることで合意した。

安倍首相は共同記者会見で、「腰を据えて交渉に当たっていきたい。首脳の決断なしに解決しない」と述べた。プーチン氏も「私たちが問題を解決する」と前向きの姿勢を見せた。交渉を両首脳が主導する意向を示したことは評価できる。

しかし、プーチン氏は従来、歯舞、色丹の2島を平和条約締結後に引き渡すと定めた日ソ共同宣言(1956年)での解決を主張してきた。この日も「ロシアの立場はよく知られている」と述べ、譲歩の姿勢を見せなかった。

北方領土問題は先の終戦時の混乱に乗じてソ連が不法占拠したのが発端だ。プーチン氏は今度こそ解決のため自発的に動くべきだ。首相は交渉が停滞したら直ちに注意を促すよう信頼関係を大統領との間で強めてもらいたい。

首相の公式訪露は10年ぶりで、官邸の主導で組織された大規模な経済ミッションが現地に赴いた。経済を含めた日露関係進展の裏側に「中国の脅威」という共通の関心事があることは明らかだ。ロシアに日本の存在感を示し、中国から引き離す上では有用だろう。

しかし、北方領土問題の解決に直結すると考えるのは早計だ。安倍首相は、ロシアが経済協力だけを積み上げて領土問題を棚上げにする最悪の事態を許さぬため、交渉の推移をつぶさに見て、臆せず注文をつける必要がある。

会談では、外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)の立ち上げでも合意した。しかし、ロシアが安全保障面で関係を強化したいのなら、ロシア軍機による領空侵犯や北方領土での軍備強化など敵対的行為をやめるのが先決だ。

日本にとっては米豪に続く3カ国目だが非同盟国とは初めてで、まずは有事の際を想定した信頼醸成の場ととらえ、情報交換などに細心の注意を払うべきだ。

プーチン氏が10年前、小泉純一郎首相(当時)と署名した「日露行動計画」は平和条約締結交渉について、「相互に受け入れ可能な解決」を模索するとした。この文言は29日の共同声明の表現とほとんど変わらない。日本政府はこの「失われた10年」を忘れず、領土問題の前進のため真剣にロシアと対峙(たいじ)してほしい。
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[産経新聞] 憲法と保護規定 家族愛と絆を大切にする (2013/04/30)

「国民の憲法」要綱は23条で、現行憲法にない「家族の尊重、保護」規定を設けた。戦後、個人主義が強調される中、ややもすれば忘れがちな「家族の絆」の大切さを思い起こしたい。

東日本大震災から2年たった今も、肉親を失った家族が助け合いながら懸命に生きる姿が、毎日のように伝えられてくる。

3月上旬、猛吹雪に襲われた北海道湧別町で、9歳の長女を寒さから守るため、父親が長女に覆いかぶさったまま力尽き、長女が助かった話は、子を思う親の愛の深さを思い知らされた。

その一方で、親による児童殺害や虐待の例が後を絶たない。4月下旬、6歳の女児の遺体を横浜市内の雑木林に埋めた疑いで、母親と元同居相手の男の2人が逮捕された。女児は学校に通わせてもらえず、日常的に暴行を受けていた可能性がある。

全国の警察が平成24年中に摘発した児童虐待事件は、前年比22・9%増の472件に上った。

東京などの大都会で、老人が家族にみとられず、孤独死するケースも増えている。一体、家族愛はどこへいってしまったのか。

現憲法の元になった連合国軍総司令部(GHQ)草案には、家族を「人類社会の基底」とする条文があった。だが、「日本の法文の形になじまない」と日本側から削除を求め、GHQが同意した。

これがほとんど修正されないまま、個人の尊厳と両性の平等をうたった現行憲法24条の規定になっている。

欧米では、家族の価値(ファミリー・バリュー)は個人の尊厳とともに重視され、多くの国の憲法に家族保護規定がある。日本の憲法で家族の規定が無きに等しいのは、重大な欠陥のひとつだ。

家族は社会を構成する最小単位である。まず、そこで親子愛や兄弟愛がはぐくまれる。やがて社会に出て、友情や隣人愛、郷土愛が芽生え、それらが自然な形で国を愛し、伝統文化を尊重する心につながっていくことが望ましい。

今、日本で家族の問題は、拉致問題とも切り離せない。

北朝鮮に拉致された横田めぐみさんらは、家族との絆を引き裂かれたままだ。早期救出を求める署名は4月下旬、1千万人を超えた。拉致被害者が一日も早く家族との再会を果たせるよう、国民の願いを世界に広げたい。
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[毎日新聞] 社説:日銀物価予測 自らの手足縛ることに (2013年04月30日)

日銀が黒田東彦(はるひこ)総裁になって初の物価見通しを発表した。4月4日に決めた大規模な金融緩和のお陰で、2015年度の平均物価上昇率が1.9%に達する、との予測である。

13年度、14年度についても、それぞれ1月に示した見通しを上方修正した。もともと、日銀が市場に供給するお金の量を2年で2倍に増やし、物価上昇率を2%にする、とのシナリオで動いている話だ。最初から、目標とかけ離れた数字を出すわけにはいかないだろう。

問題は、「2%」に縛られすぎて、日銀が今後、政策の自由度を失うことにならないか、という点だ。

今回のような予測は、「経済・物価情勢の展望」というリポートで半年に1度、公表している。3カ月ごとに、修正値も出す。直近(3月)の物価上昇率はマイナス0.5%。もしこの先、資金の供給量が順調に増え続ける一方で、実際の物価上昇率と予測との差が開いたままなら、日銀は追加の緩和を迫られよう。すでに「大胆な」量的緩和を経験済みの市場は、次なる手にも大胆さを期待しそうだ。

ところが、そうした追加策を打とうとした際、別の問題にぶつかってしまう。一つは、物価上昇率は低いのに、株式や不動産市場ばかり過熱する事態だ。追加緩和は、バブルを本格化させる恐れがある。

過熱は国内の資産価格に限らない。海外の市場でも、株価ならまだわかりやすいが、発見しにくいところで、リスクが膨らんでいるかもしれない。すでに、格付けが投機的とされるジャンク債市場が急拡大しており、隠れたリスクへの警告が米国の中央銀行から発せられている。

もう一つの問題は、国債市場、つまり長期金利に与える影響だ。現行の緩和策でも、毎月発行される国債の7割以上を日銀が買う異常さだ。これ以上増やせば、市場の機能を完全につぶしたり、日銀による財政赤字の穴埋めといった解釈から、国債が信用を失い、金利が跳ね上がったりすることも否定できない。

こうした問題が起きなくても、何度も追加緩和をする余地はないし、見通しの修正を繰り返せば日銀が信頼を失う危険もある。

一方、予測通りの物価上昇が実現しても、金融緩和に伴う円安で輸入品が値上がりした結果ならば、決して「合格」とは喜べない。その時、日銀はどう動くのか。「望ましい物価上昇はまだだ」と緩和を続ければ、さらに円安、輸入価格の上昇を促すばかりだ。

「2%」にこだわり過ぎると、日銀は自ら政策の柔軟性を奪うばかりか、思わぬひずみや問題を生むことになる。手遅れになる前に「黒田緩和」は軌道修正した方がよい。
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[毎日新聞] 社説:尼崎変死検証 民亊不介入で逃げるな (2013年04月30日)

たとえ「身内のもめ事」に見える相談であっても、警察が迅速かつ的確に対応すれば、捜査の端緒となり、犯罪を防止できる。

そう痛感させられたのが、6人の遺体が見つかった兵庫県尼崎市の連続変死事件だ。被害者の親族らから多数の相談・通報を受けた兵庫、香川両県警は、対応が不十分だったとする検証結果を公表した。兵庫県警には1998年から2011年にかけて相談などが14回あり、事件を認知するきっかけとなった可能性を否定できないものもあると認めた。

事件を主導したとされる角田(すみだ)美代子元被告らに一家を離散させられた女性が06年、自分の妹らに連れ去られた。女性の友人が目撃し、明石署に相談したが、「親族のもめ事」だとして警察は動かなかった。

結局、女性は2年後に殺害され、県警が「不適切な対応だった」と友人や遺族に謝罪したのは当然だ。

香川県警は、角田元被告らが一家に居座った03年から06年にかけて、一家の親族らの相談などを36回受けた。現金を要求されたり、軟禁状態で脅されたりしたという訴えにも、調停の利用や弁護士への相談を勧めた。親族間のトラブルと受け止めたためだ。いずれも人の生命・安全を結果的に守れなかった対応である。

埼玉県桶川市のストーカー殺人で被害者の告訴を放置した問題を受けて、警察刷新会議は00年、家庭のもめ事に踏み込まない「民事不介入」について誤った認識を改めるべきだと提言した。兵庫、香川県警の対応は、その意識改革が進んでいないことを示している。

今回、香川県警が暴行などの被害届を出そうとした離散一家の男性に対し「立件困難」などと受理しなかったことも明らかになった。長崎県で11年に起きたストーカー殺人事件では、千葉県警が被害者の訴えに迅速な対応をしなかったことが批判され、警察庁は被害届の原則即時受理を指示している。その方針も改めて徹底させなければならない。

昨年12月には、角田元被告が兵庫県警本部の留置場で自殺している。きちんと監視をしていれば防げたはずで、警察の度重なる不手際が全容解明を遠のかせたと言えよう。

家庭や近所のトラブル相談は全国的に増えている。相談者の立場に配慮した対応が求められるのはもちろんだが、対応人員にも限りがある。警察の負担軽減も考慮する必要があるだろう。

今回の事件では、複数の警察署に相談が寄せられ、それぞれが個別の親族間トラブルと認識していた。情報が共有されていれば事件性を察知できた可能性があった。関係部署の連携強化も教訓とすべきだ。
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[読売新聞] ハーグ条約 子供のために体制作り急げ(4月30日付・読売社説) (2013年4月30日)

国際結婚が破綻し、配偶者が一方的に子供を国外に連れ去ったら、どう対処するか。そのルールを定めた条約にようやく日本も参加する。国内の体制整備を急ぎたい。

ハーグ条約の承認案が衆院で全会一致で可決された。参院でも可決が確実で、事実上、条約加盟が決まった。国内の関連法案も、近く成立する見通しだ。

条約は原則として、16歳未満の子供が無断で片方の親に連れ去られた場合、1年以内にもう一方の親から申し立てがあれば、子供を元の国に返すとしている。

主要8か国(G8)で、条約に未加盟なのは日本だけだった。

日本人の国際結婚が増加する中で、米国では、別れた日本人が子供を日本に連れ去る事例が約100件に上っている。外交問題にも発展し、米欧から日本に早期加盟を求める声が高まっていた。

条約加盟は、遅すぎたとも言えるだろう。

加盟により、日本人の子供が外国に連れ去られた場合も、返還を要求する道が開ける。条約未締結のために子供を連れての日本への帰国が制限される例もあったが、そうしたトラブルもなくなる。

日本の加盟が遅れたのは、外国人の夫の家庭内暴力(DV)から逃れようと同意なく子供を連れ帰る日本人の女性が多く、こうした日本人の人権を守れるかどうか懸念する声があったからだ。

国会審議でも、夫などの申立人に対し、例外的に認められる「子供の返還拒否」の条件をどう規定するかが焦点になった。条約は「子の心身に害を及ぼす重大な危険がある場合」としている。

国内の関連法案は、申立人が「子供に暴力を振るう恐れがある場合」に加え、「子に悪影響を与えるような暴力」を母親に対しても加えかねない場合を含めた。

あえて「子に悪影響を与える」と条件をつけたのは、条約があくまで「子供の幸せ」を中心に考えているからである。ただ、DVが子に悪影響を与えているかどうかの立証は難しいだろう。

申し立てを受ける東京と大阪の両家庭裁判所には、子の心情に十分配慮した判断が求められる。

条約に従い、親権を巡って日本人が現地での裁判に臨む場合に備えて、外務省は、海外での支援体制を整える必要がある。

日本の在外公館の一部では、すでに相談窓口を設けているという。弁護士や通訳の提供、現地のDV問題支援団体との連携など、きめ細かな対応が必要である。
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[読売新聞] 核燃料サイクル プルトニウムの確実な利用を(4月30日付・読売社説) (2013年4月30日)

福井県の関西電力高浜原子力発電所3号機で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料がフランスから海路、日本に向かっている。6月にも到着する。

東京電力福島第一原発の事故後、初めての輸送だ。

日本は、エネルギー政策の一環として、核燃料サイクル計画を進めてきた。原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムやウランを再利用するものだ。その柱がMOX燃料の利用である。

核燃料サイクルは、ウラン資源の有効活用や放射性廃棄物量の軽減といった利点がある。

プルトニウムは核兵器の材料にもなる。利用されないままでは、国内外で無用な疑念を引き起こしかねない。

関電は、輸送されたMOX燃料を確実に利用する必要がある。

日本には大規模な再処理施設がないため、使用済み核燃料の再処理をフランスや英国に委託してきた。すでに取り出されたプルトニウム量は20トンを超える。

仏英とも預かったままにできない。引き取りは国際的な信義にかかわる問題だ。プルトニウム利用は、日本の責務と言えよう。

福島第一原発の事故後、民主党政権はほとんどの原発を停止させ、展望がないまま「脱原発」の方針を打ち出すなど混乱を拡大させた。核燃料サイクル計画も抜本的な見直しの対象とした。

安倍政権でも議論は進んでいない。このままではプルトニウム利用の見通しが立たない。

青森県六ヶ所村では日本原燃の再処理工場が完成間近だが、その利用計画も定まっていない。政府は早急に検討すべきだ。

核兵器を保有せずに、高度な再処理技術を確立する国は、日本以外にない。これまで積み上げてきた技術を簡単に捨てられまい。

まずは、何基の原発が安全に再稼働できるのか、割り出す必要がある。原子力規制委員会は、安全確認を急がねばならない。

再処理工場に対する規制委の姿勢にも問題がある。

この工場で安全確認が済んでいないのは、放射能が高い廃液をガラスに固める工程だけだ。

試験過程で発生し、タンクに保管中の廃液は固めた方が格段に安全だが、規制委は、工場そのものを当面動かす必要がないとして確認作業を後回しにしている。

規制委は自らの役割や責任を十分認識していないのではないか。安全性の向上を着実に進めることが規制委の職務である。
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[朝日社説] 地域医療の将来像―都道府県の責任は重大だ (2013年4月30日)

救急車が、患者を搬送する病院をなかなか見つけられない。地域の病院から小児科や産科が消える。病院から治療が終わったからと、退院を迫られているが、行き場所がない……。

日本の医療や介護が抱える問題に、どう対応するか。

首相の下に置かれた社会保障国民会議で、大きな改革の方向性が見えてきた。

地域の実情にあった「ご当地医療」をつくる。そのために、都道府県の権限と責任を大きくし、消費増税の財源をあてる。そんな内容である。

基本的に賛成だ。

■地域ごとのビジョン

これまで都道府県は、複雑で費用もかさむ医療分野への関与には及び腰だったが、財源に一定のメドがつくことで積極姿勢に転じる兆しが見えてきた。これを機に、政府全体で本腰を入れて進めるべきだ。

改革の柱はふたつある。

ひとつは、地域ごとの医療・介護のデザインを、都道府県が中心になって担うことだ。

欧米に比べ、日本の病院はベッド数は多いが、各病院の役割分担がはっきりしない。地域によっては、リハビリや緩和ケアが得意な病院や介護施設、自宅を訪問して診療する医師や看護師が足りない。

このため、高度な医療を提供する医師や看護師のいる病院に、治療の済んだ患者が滞留する「社会的入院」も起きる。

高齢化のピークに向けて、住民の医療・介護のニーズを予測して病院や介護施設を整備し、スムーズに連携させる。そうした将来ビジョンが必要だ。

都市部と地方では、医療機関の数、高齢者の数や人口密度など事情が異なる。ビジョン策定で都道府県がより大きな責任を持つのは自然な流れだ。

厚生労働省のこれまでの医療政策は全国一律の手法に依存してきた。

個々の診療行為の公定価格である診療報酬を上げ下げし、病院を望ましい方向に誘導するのが軸だが、間接的な手法ゆえの限界が見えている。

集中的に治療を行うために「手厚い看護」に高い価格をつけたら、都市部の大病院が看護師を一気に集めて、中小病院が人手不足に陥るなど混乱したのは、わかりやすい失敗例だ。

国民会議では、地域医療や介護のための基金を設け、消費税収の受け皿にし、病院機能の集約や転換に必要な費用を補助する案が委員から示された。

こうした投資的経費は、診療報酬で賄うのは難しい。補助金という直接的な手法をどう有効に使うか検討を進めたい。

病院機能の集約化は、地方の医師不足緩和にも貢献しうる。ある分野の医師を一つの病院に集めれば、勤務に余裕ができ、人材を採用しやすいからだ。同じ病院に手術を集中させ、医師が腕を磨ける環境もつくれる。

■国保の財布を大きく

改革のもうひとつの柱は、苦境に陥っている国民健康保険の運営を、市町村から都道府県に移すことだ。

国保は、収入の安定したサラリーマン以外の人を対象にしている。いまや自営業者は少数派で、低収入の非正規労働者、無職の高齢者が大半を占める。

このため医療費が増えても、保険料の引き上げには限界がある。見えやすい負担増は住民に不人気で、首長も腰が引ける。

その結果、市町村は国保に3500億円の税金を投じ、さらに翌年度の保険料を先食いする形で1500億円を借りて、赤字を穴埋めしている。きわめて不健全だ。

1700余ある国保のうち4分の1は加入者が3千人に満たない。運営を都道府県ごとにして、「お財布」を一つにすれば財政が安定化し、同じ県内でも国保間で最大3倍近い格差があった保険料も平準化されよう。

■国は人材の支援を

国民会議が打ち出した方向性にはむろん、懸念もある。

改革を実現するだけの力がすべての都道府県に備わっているとは思えないからだ。

これまではベッド数の規制が主な仕事で、県立病院はつくっても、医療の中身は、医師を派遣する地元大学の医学部にお任せするのが一般的だった。

それが、専門性の高い医療の中身に立ち入り、企画・調整する仕事を担えるのか。

政治力のある地元医師会と対等に渡り合えるか。医師たちの言うがままに、補助金をつけるようにならないか。

市町村と違って住民と直接の接点が少ない都道府県が、地域の複雑な事情をふまえた調整ができるか。

心配の種は無数にあるが、国が特に人材面で支援し、克服していくしかない。

地域の医療・介護は、国任せでは成り立たない。都道府県が将来像を描き、その費用の一部をまかなう国保にも責任を持つ意味は大きい。

高齢ニッポンにおける「地方分権」の成否がかかっている。
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2013年04月29日

[産経新聞] 主権回復の日 強い国づくり目指したい (2013/04/29)

サンフランシスコ講和条約発効から61年を迎え、初の政府主催による「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」が、天皇、皇后両陛下をお招きして開かれた。

安倍晋三首相は「きょうを一つの大切な節目とし、これまでたどった足跡に思いを致しながら、未来へ向かって希望と決意を新たにする日にしたい」と述べた。沖縄の本土復帰が遅れたことにも言及し、「沖縄が経てきた辛苦に、深く思いを寄せる努力をすべきだ」と呼びかけた。

国際社会の平和と繁栄に貢献したいという意欲がうかがわれた。安倍政権はそのために、一層強い国づくりを目指してほしい。

4月28日は、敗戦国の日本が被占領体制から脱し、国家主権を取り戻した日である。国家主権は、自国の意思で国民や領土を統治するという、国家が持つ絶対的な権利を意味する。国民主権とともに重要な権利だが、戦後、日本国憲法の下で軽視されがちだった。

最近、中国が尖閣諸島奪取を狙い、周辺で領海侵犯を繰り返している。また、中国艦は海上自衛隊の護衛艦に、レーダー照射を加えてきた。日本の国家主権を脅かす深刻な事態である。

本紙は「国民の憲法」要綱で、国家主権を明記した。政府も国民も、国家主権の大切さを改めて考えてみる必要がある。

式典に沖縄県の仲井真弘多知事は欠席し、高良倉吉副知事が代理出席した。沖縄では、野党系県議らがこの日を「屈辱の日」とし、式典に抗議する集会を開いた。

しかし、県内は反対一色ではない。「4月28日は沖縄にとっても大切な日。この日があるから昭和47年に祖国復帰できた」「屈辱の日ではない」との声もある。

吉田茂元首相は1951(昭和26)年9月の講和条約受諾演説で「北緯29度以南の諸島(沖縄と奄美諸島)の主権」が日本に残されたと述べている。沖縄は日本の独立回復後20年間、米国の施政権下に置かれたが、潜在主権は認められた。これは重要な事実だ。

主権を考える上で、日本の主権が侵害された拉致事件も忘れてはならない。沖縄、奄美、小笠原諸島は米国から返ってきたが、北方領土はロシア、竹島は韓国にそれぞれ不法占拠されたままだ。

北方領土と竹島が返り、拉致被害者全員が日本に帰るまで、真の主権回復はない。
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[産経新聞] 参院山口補選 民主党の立て直し急務だ (2013/04/29)

参院山口補欠選挙は自民党の新人が民主党の推す前衆院議員ら3氏に圧勝した。安倍晋三内閣発足後初の国政選挙に与党が勝利したことは、経済再生や閣僚らの靖国神社参拝をめぐる毅然(きぜん)とした姿勢が広く支持されたことを意味する。

安倍首相は憲法改正の発議要件を定めた96条の緩和を参院選の公約にすると明言している。国のありようなどを見直し、国益を貫こうとする対応は評価したい。

問題は、補選を7月の参院選の前哨戦と位置付け、海江田万里代表や細野豪志幹事長らが相次いで現地入りしながら、存在感を示せなかった民主党である。

民主党政権として国政を迷走させたことに対する国民の不信を拭えていない。再び政権を目指そうとするなら、参院選前に党立て直しのあり方を考え直すべきだ。

そもそも民主党系候補が無所属で出馬したこと自体、衆院選惨敗の後遺症から抜け出せていないことを示す。離党者は止まらず、補選敗北により参院の会派勢力はほぼ自民党と並ぶ。

敗れた平岡秀夫元法相は、「反自民勢力の結集」を唱えて民主党公認を受けなかった。党本部も苦戦必至の選挙とみて公認にこだわらなかった。中途半端な選挙態勢だったのは否めない。支持団体の連合山口も、支援を「推薦」より弱い「支持」にとどめた。

選挙対応だけではない。海江田氏は自民党が打ち出す憲法96条改正に反対を表明した。急ぐべきは党として憲法改正の具体論をまとめることだ。批判のための批判のレベルにとどまっていては、国民の信頼は取り戻せない。

補選では菅直人元首相が現地入りし、中国電力の上関原発計画に反対するデモに参加するなど「反原発」色を出した。民主党は実現の道筋を描けぬまま「原発ゼロ」戦略を掲げ、有権者の支持を得られなかった。無責任なスローガンが放置されていないか。

補選に参加しなかった日本維新の会も、さきの兵庫県宝塚、伊丹両市長選で公認候補が惨敗し、大阪以外での力不足を露呈した。民主党と一緒になって、衆院「0増5減」の定数是正に反対していることが、支持を失う要因になっているのではないか。

政権の受け皿は民主主義に不可欠だ。政策を軸とした参院選戦略の練り直しが急務である。
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[東京新聞] 国の教育計画 共生の力を育てたい (2013年4月29日)

中央教育審議会がまとめた教育振興基本計画は向こう五年間の国の教育政策メニューを示す。果たして成熟社会に向けた人づくりへの道筋なのか。大切なのはみんなが幸せに生きる力を学ぶことだ。

基本計画は国の教育行政の土台だ。五年前につくられた第一期計画に続く第二弾となる。

日本ではこの間に歴史的な出来事が相次いだ。リーマン・ショックが発端となった世界同時不況は“成長神話”の終わりを告げた。東日本大震災と原発事故は“安全神話”を壊した。

折からの経済のグローバル化で国際競争は激烈を極め、自殺や失業、不安定雇用を増大させている。未知なる少子高齢化は社会の屋台骨を揺さぶっている。

中教審はそんな危機感を持って新しい基本計画をつくったという。こんなくだりが前文にある。

「経済成長のみを追求するのではない、成熟社会に適合した新たな社会モデルを構築していくことが求められる」

その通りだろう。とすれば、これからの厳しい時代を支え合って幸せに暮らしていくためには、競争より共生の力を培うべきだろう。それに応える教育の在り方を模索せねばならない。

しかし、基本計画には経済競争を勝ち抜くことへの強いこだわりがうかがえる。例えば、小中高校には国際学力調査でトップレベルの成績を求めている。大学には国際大学ランキングで百位以内に十校が入るよう促している。

社会を引っ張るエリート人材の育成も必要だろう。けれども、貧しい家庭の子どもが高校を中退したり、大学に進めなかったりして再び貧困に陥るという悪循環を断ち切る方が先決ではないか。社会の底上げが共生の力を強める。

こんな試算がある。子ども一人が大学を出るまでの公的投資は約二百三十二万円。だが、就職すれば税収が増えたり、失業給付といった社会保障費が抑えられたりする。投資の見返りは二倍以上の約四百七十五万円に上るという。

三十五人学級から一人の東大生を送り出すより、五人はいるだろう就学援助を受けている子どもの大学教育までは保障したい。公的財源が限られていればこそ、成熟社会に向けての投資先を吟味せねばならない。

基本計画は喫緊の諸課題を網羅してはいるが、取り組むべき優先順位がはっきりしない。中教審の危機意識が教育格差を押し広げてしまっては本末転倒だ。
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[東京新聞] 自民補選勝利 政権に緩みはないか (2013年4月29日)

参院山口補選を制した自民党。夏の参院選勝利に向けた弾みにしたいのだろうが、閣僚の靖国神社参拝を機に周辺国との関係が緊張するなど、政権運営に揺らぎも見える。政権に緩みはないのか。

第二次安倍内閣初の国政選挙となった今回の補選は安倍晋三首相の弟で、昨年十二月の衆院選に立候補、当選した岸信夫氏の参院議員辞職に伴うものだ。自民公認候補と民主系候補との事実上の与野党対決となった。

首相の地元、山口県は首相の祖父、岸信介氏や大叔父の佐藤栄作氏ら多くの首相を輩出した自民党王国でもある。安倍内閣の支持率も70%台の高水準で推移するなど、もともと自民候補が戦いを優位に進め得る状況だった。

六年前の参院選惨敗後、辞任した首相は、今夏の参院選を「親の敵のようなもの」と位置付ける。衆院選に続いて参院選でも勝利して国会のねじれ状況を解消し、政権安定化を図りたいのだろう。

就任後初の国政選挙が、自民党支持の強い地盤である山口県で行われたことは、首相にとっては幸運だったのかもしれない。

ただ、補選の結果だけで、安倍内閣や自民党への「追い風」が引き続き吹いていると受け止めるのは早計だろう。名古屋や青森、郡山など政令指定都市や県庁所在地、経済県都と呼ばれる大都市の首長選で、それぞれの事情があるとはいえ、自民系候補が軒並み敗北を喫しているからだ。

政権の弱点とされる歴史認識や憲法改正の主張を抑え、経済政策を優先する「安全運転」に徹しているかに見えた政権運営も、このところ危うさが目立ち始めた。

麻生太郎副総理兼財務相ら閣僚の靖国参拝に中韓両国が反発すると、首相は「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と発言し、さらなる関係緊張を招いた。憲法改正の発議要件を緩和する九六条改正を参院選の公約に掲げる決意を強調するようにもなった。

高い支持率に自信を深め、政権運営のタガが緩んでいるのなら看過できない。自民党への政権交代は民主党に嫌気が差した有権者が消去法で選んだことを忘れてはならない。

衆院選に続き、今回の補選も低投票率だったことは、政治不信が解消されていない現実を突き付けていると受け止めるべきだろう。

三月の党大会で「決して慢心してはいけない。自民党に完全に信頼が戻ってきたわけではない」と力説したのは、首相自身である。
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[毎日新聞] 社説:補選自民勝利 「1強」許す野党の甘さ (2013年04月29日)

地力、勢いの差が出た。第2次安倍内閣発足後初の国政選挙である参院山口補選が投開票された。自民党公認の新人候補が民主党推薦候補との事実上の一騎打ちを制し、与党は夏の参院選へはずみをつけた。

民主党など野党勢にとって、参院選で何を安倍政権との対立軸とするか、真剣な点検を迫られる状況だ。一方で補選の低投票率や最近の地方選結果が物語るように、自民党の勢いが本物かどうかもなお疑問がある。勝利を冷静に受け止めるべきだ。

安倍晋三首相、民主党の海江田万里代表がてこ入れするなど総力戦だったが、経済政策などで攻勢に出る自民党に勢いがあった。もともと山口は党の厚い地盤があり、しかも首相のおひざ元だ。各種世論調査で自民党の支持率は極めて高い水準にある。与党・公明党の推薦も得て「圧勝」が義務づけられていたといっても過言ではあるまい。

退潮に歯止めがかからぬ状況を浮き彫りにしたのが民主党だ。推薦候補は中国電力上関原発建設計画の争点化を目指したが論戦はかみあわず、さきの党首討論で海江田氏はエネルギー問題を取り上げなかった。

投票を前に衆院定数「0増5減」への反対も強硬路線を取るかどうかで揺れ動いた。首相が積極姿勢を示す憲法96条改正について海江田氏は最近、ようやく反対姿勢を鮮明にし始めた。争点や政策をきちんと整理しないと参院選前に戦う東京都議選の対応すら危ぶまれよう。

民主党に限らず、野党全体がこのところ埋没気味で、自民党の「1強」構図を加速している。たとえば日本維新の会は直近の地方選で公認候補が惨敗、勢いにかげりがみえる。政策の優先順位が有権者の目から見て、ぼやけているのではないか。

一方で自民党も勝利で浮つくのは禁物だ。比較的順調な政権運営を反映したことは事実だが、4月の地方選では福島県郡山市長選、青森市長選で与党系候補が敗北するなど取りこぼしも目立つ。「『国政と地方選は別』と割り切らない」と石破茂幹事長が語るように、足元を再点検すべきだ。

補選勝利で参院で自民、民主の勢力が事実上並ぶことになっても、ねじれ状態が解消したわけではない。首相は憲法改正への意欲を前面に出し、歴史認識をめぐる発言などでは最近は「勇み足」的な言動も目立つ。地に足がついた、安定した政権運営を引き続きこころがけるべきだ。

今補選は前回衆院選や10年参院選の山口の投票率を大きく下回った。4月の多くの地方選も投票率低下が目立った。夏の政治決戦を前に政治への無関心が有権者に広がりつつあるのではないか、と危ぶむ。
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[毎日新聞] 社説:視点・ボストンテロ 米国に潜む二つの闇=布施広 (2013年04月29日)

ボストン連続爆破テロ事件には二つの「闇」がある。一つは米国が「ホームグロウン(国産)」のテロリストを生みだす検証困難な過程。もう一つは国際情勢から伸びる深い影だ。チェチェン系で米国に住むイスラム教徒の兄弟が起こしたテロの解明は、難しくも大切な作業だ。

注目すべきは容疑者兄弟が米国に移住した時期である。2001年9月、米国は同時多発テロに襲われ、翌月にアフガニスタン攻撃を始めた。兄弟を含む一家が米国に移住したのはその翌年。米国が「テロとの戦争(Waronterror)」に躍起になっていたころだ。

この「戦争」はしばしば「テロとの戦い」と訳されるが、穏やかな訳ではブッシュ政権の真意が伝わるまい。当時、シラク仏大統領は対米協力を約束しつつ「戦争」という表現に首をかしげた。これが一般的な反応だろうが、米国にすれば超大国の軍事、政治、経済などの力を結集した、良くも悪くも命がけの総力戦だった。

だから、その反動も大きかった。同時テロが起きるまで米国はロシアのチェチェン政策に批判的で、米輸出入銀行は99年に総額5億ドルの対露融資を凍結した。00年には当時のクリントン大統領がチェチェンの人権を憂慮する書簡をプーチン露大統領代行に送り、集団処刑や強姦(ごうかん)などの有無を調べる「透明性を有する調査」を求めている。

だが、同時テロ後、ブッシュ政権はチェチェンのイスラム勢力にテロ組織との関係を断つよう要求するなどロシア側に軸足を移した。米国の同盟国イスラエルも「テロとの戦争」を宣言して軍事行動を続け、03年のイラク戦争でイスラム教徒と米国の対立は決定的になった。

容疑者の兄弟は米国の変容をじっと見つめていただろう。イスラム圏を見渡せば、ロシアがチェチェンで、米欧がアフガン、イラク、リビアなどで、イスラエルがレバノン、パレスチナなどで軍事行動を起こし、今はイランやシリアへの攻撃も検討されている。いつも戦場にされやすいイスラム圏の反米感情は、「イスラムとの対話」を打ち出したオバマ政権下でも改善されたとは言い難い。

そんな世界にあってイスラム教徒は何を思うか、という視点も必要だろう。テロは憎むべき犯罪である。テロ防止の機器・システムを整備し、テロリストを追いつめることは大事だ。だが、世界の矛盾や不条理と向き合わないと、木を見て森を見ない結果になろう。ブッシュ政権の「戦争」に欠けていたのはそんな謙虚さではなかったか。(論説委員)
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[読売新聞] 主権回復の日 国際社会復帰の重み忘れまい(4月29日付・読売社説) (2013年4月29日)

日本が、サンフランシスコ講和条約の発効によって戦後の占領支配から解放されたのは、1952年4月28日だ。国際社会の責任ある一員になると誓った意義深い日である。

政府は61年後のこの日、主権回復と国際社会復帰を記念する式典を憲政記念館で開いた。

「これまでの足跡に思いを致しながら、未来へ向かって希望と決意を新たにする日にしたい」

そう語った安倍首相は、占領期を、「わが国の長い歴史で初めての、そして最も深い断絶であり、試練だった」と振り返った。

占領下では、閣僚人事も国の予算や法律も、連合国軍総司令部(GHQ)の意に反しては決められなかった。言論統制もあった。

こうした歴史が、国民の間で忘れ去られようとしている。主権を失う事態に至った経緯も含め、冷静に見つめ直すことが肝要だ。

内外に惨禍をもたらした昭和の戦争は、国際感覚を失った日本の指導者たちの手で始められた。敗戦と占領は、その結末である。

日本は主権回復後、国連に加盟し、高度成長を成し遂げて、今日の豊かで平和な社会を築いた。

だが、沖縄県・尖閣諸島沖での中国監視船の領海侵入や、韓国の竹島不法占拠、北方領土で進行する「ロシア」化など、領土・領海を巡る問題は今もなお、日本の主権を揺さぶっている。

今年の政府式典は、そんな主権の現状を考える節目となった。

一方、沖縄県宜野湾市では、政府式典に抗議する「屈辱の日」沖縄大会が県議会野党会派などの主催で開催された。

沖縄は、奄美、小笠原と共に講和条約発効と同時に日本から切り離され、米軍施政下に置かれた。かつて戦場となり、主権回復からも取り残され、米軍基地建設が進んだ。このため沖縄では4月28日は「屈辱の日」と呼ばれる。

しかし、日本が主権を回復したからこそ、米国と交渉し、沖縄返還を実現できたことも事実だ。

沖縄を軽視した式典でないことは言うまでもない。首相は式辞で「沖縄の人々が耐え忍ばざるを得なかった、戦中戦後のご苦労に対し、通り一遍の言葉は意味をなさない」と沖縄にも言及した。

仲井真弘多沖縄県知事の代理で式典に出席した高良倉吉副知事は「首相は比較的、沖縄の問題に向き合って発言された」と語り、式典に一定の理解を示した。

沖縄の歴史も踏まえて、米軍基地問題の解決への道筋を考える機会にもしたい。
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[読売新聞] 参院山口補選 安倍政権の勢い映した前哨戦(4月29日付・読売社説) (2013年4月29日)

発足から4か月を経た安倍政権の勢いを、そのまま反映したかのような結果である。

第2次安倍内閣の発足後、初の国政選挙となった参院山口選挙区補欠選挙は、自民党公認の新人、江島潔氏が民主党などの推薦で元法相の新人、平岡秀夫氏らを大差で破った。

山口県は、安倍首相の地元で、衆院全選挙区を自民党が独占する「保守王国」だ。江島氏は公明党の推薦も取り付けて、選挙戦を終始優位に展開した。

首相もお国入りし、「今進んでいる道以外にデフレからの脱却はできない。長州から日本を取り戻そう」と、県民の景気回復への期待感に訴えた。

北朝鮮の核・ミサイルの脅威が高まり、中国が領海侵入などを繰り返す中、安倍政権の日米同盟の立て直しを急ぐ姿勢も、江島氏への追い風になったといえよう。

一方、平岡氏は「自民党に対抗する政治勢力の結集」を掲げ、安倍政権の経済政策「アベノミクス」や、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加、憲法改正の方針をことごとく批判した。だが、支持は広がらずに終わった。

民主党を中心に「無所属・党推薦」候補を擁立し、野党各党が結束して自民党と戦う、という構図も作り切れなかった。

平岡氏は、民主党の菅元首相らの支援を受け、山口県内で中国電力が進める上関原発の建設計画を争点に据えようと、「脱原発」を主張した。社民党やみどりの風との共闘を図ったものの、主要な争点にならなかったといえる。

代替エネルギー確保の見通しもなく、原発を否定するだけでは説得力を持たなかったのだろう。

民主党の海江田代表は、山口補選を都議選や参院選への前哨戦と位置づけ、「山口の地から『安倍政治ノー』という声をあげたい」と訴えたが、浸透しなかった。

民主党は、参院選戦略の練り直しが迫られよう。

今回の補選の結果、参院の自民党会派は1議席増える。民主党で離党者が相次いでいることもあって、参院では近く、最大会派の民主党と自民党の議席がそれぞれ84で並ぶ見通しだ。

国会運営でも、民主党の発言力低下は避けられない。

参院選に向け、もはや民主党の看板では戦えないと考える議員がさらに出てくる可能性もある。

民主党は衆院選惨敗から立ち直るどころか、むしろ混迷を深めるばかりだ。なぜ支持を回復できないのか、現状を直視すべきだ。
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[朝日社説] 主権回復の日―47分の1の重い「ノー」 (2013年4月29日)

政府式典と同じ時刻、沖縄県宜野湾市ではこれに抗議する集会があった。

集会の最後、1万人の参加者が「がってぃんならん」(合点がいかない=許せない)と、5度スローガンの声を合わせた。

地元紙などの事前の世論調査では、約7割の県民が政府式典を「評価しない」と答えている。県民感情に配慮して仲井真弘多知事は式典を欠席し、副知事が代理出席した。

61年前のこの日、沖縄、奄美、小笠原は日本から切り離され、米国の施政下に入ったからだ。沖縄で「屈辱の日」といわれるゆえんである。

もっとも、沖縄の人々が「4・28」に寄せるまなざしは、はじめからこうだったわけではない。当時の地元紙を読むと、本土から切り離されたことを嘆くより、祖国の独立を素直に喜ぶ論調があふれている。

それがなぜ、かくも隔たってしまったか。その後の沖縄の歴史抜きには語れない。

本土では主権回復後、米軍基地が減る一方、沖縄では過酷な土地接収で基地が造られた。

72年の本土復帰後も基地返還は進まず、いまも米軍基地の74%が集中する。米兵による犯罪や事故も絶えない。

それだけではない。県民の反対にもかかわらず、政府はあくまで普天間飛行場の辺野古移設にこだわっている。

一方で、在日米軍に特権を与えた日米地位協定の改正には触れようとせず、オスプレイの配備も強行した。

「がってぃんならん」ことが現在進行形で続いているのだ。

「沖縄には主権がない」「本土による差別だ」。そんな声さえ聞かれる。

沖縄の人々が、主権回復を祝う式典に強い違和感を抱くのは無理もあるまい。

政府だけの話ではない。知事が求める普天間の県外移設にしても、オスプレイの配備分散にしても、引き受けようという県外の自治体はほとんどない。

沖縄の異議申し立ては、そんな本土の人々にも向けられていることを忘れてはならない。

安倍首相は、政府式典で「沖縄が経てきた辛苦に思いを寄せる努力を」と語った。

その言葉が本当なら、政府はまず、辺野古案にこだわるべきではない。地位協定の改正も急がなくてはならない。

やはり4・28に発効した日米安保条約の下、沖縄の犠牲の上に日本の平和は保たれてきた。

47分の1の「ノー」が持つ意味の重さを、私たち一人ひとりがかみしめなければならない。
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[朝日社説] 主権回復の日―過ちを総括してこそ (2013年4月29日)

政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」がきのう、東京であった。

61年前の4月28日、連合国による占領が終わり、日本は独立を果たした。

安倍首相の肝いりで、初めて政府主催で開かれた。

首相は式辞で「未来へ向かって、希望と決意を新たにする日にしたい」と語った。そのこと自体に異論はない。ただ、気がかりなことがある。

じつは、この式典には伏線がある。自民党などの有志議員らが1年前に開いた「国民集会」である。そこへ、一国会議員だった安倍氏はこんなビデオメッセージを寄せた。

独立したのに、占領軍が行ったことに区切りをつけず、禍根を残した。占領軍によって作られた憲法や教育基本法、そのうえに培われた精神を見直し、真の独立の精神を取り戻す。次は憲法だ――。

再登板後も首相は、憲法を改正し、日本も米国を守るために戦う集団的自衛権の行使を認めるべきだと唱えている。

ただ、4・28を語る際、忘れてはならない視点がある。なぜ日本が占領されるに至ったのかということだ。

言うまでもなく、日本が侵略戦争や植民地支配の過ちを犯し、その末に敗戦を迎えたという歴史である。

占領下の7年間、日本は平和憲法を定め、軍国主義と決別して民主主義国として再出発することを内外に誓った。

だからこそ、国際社会への復帰が認められたのではないか。

そのことを忘れ、占領期を「屈辱の歴史」のようにとらえるとしたら、見当違いもはなはだしい。

最近の政治家の言動には、懸念を抱かざるを得ない。

168人の国会議員が大挙して靖国神社を参拝する。首相が国会で「侵略という定義は定まっていない」と侵略戦争を否定するかのような答弁をする。

これでは国際社会の疑念を招くばかりだろう。

とはいえ、式典開催を求めてきた人々の思いも決して一様ではない。

そのひとり、自民党の野田毅氏はこう説く。

同じ敗戦国のドイツは、全国民的に過去の総括にとりくみ、国際社会での立ち位置を定めた。その経験にならい、日本人も占領が終わった4・28と、戦争が終わった8月15日を通じて、左右の立場の違いを超えて総括しよう。

そんな節目の日とするというのなら、意味がある。
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2013年04月28日

[東京新聞] 週のはじめに考える 日本の真の独立を思う (2013年4月28日)

きょう二十八日は主権回復の日。天皇、皇后両陛下も出席されての初の式典開催ですが、沖縄の当然ともいえる反発があっては虚心にはなれません。

サンフランシスコ講和条約が発効した一九五二年四月二十八日はどんな日だったか。データベースを検索して当時の新聞各紙を読み比べると、歓喜と不安が交錯する日だったことがわかります。

六年八カ月の軍事占領からの解放。中日新聞(当時中部日本新聞)は一面に「雲ひらく」と題した横山大観画伯の大きな多色刷り富士山頂図を奮発しています。


◆歓喜と不安交錯の記念日
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朝日新聞は天声人語の「二つの日本に分割されなかった幸い」や「有史以来初の主権在民の独立国になったのである」に高揚感を漂わせます。「自主独立が外交の基本」−夕刊紙だった東京新聞はこの朝の吉田茂首相と内閣記者団との一問一答を掲載しています。

不安は東西冷戦に由来します。五〇年六月、北朝鮮軍の砲撃から始まった朝鮮戦争は、死者四百万〜五百万人、その大半が一般市民という凄惨(せいさん)な事態となりますが、まだ休戦に至っていません。講和も旧ソ連や大陸の中国との締結のない単独講和でした。

中日新聞に「独立に想(おも)う」を寄稿した社会学の清水幾太郎は「アメリカのソ連包囲網の一環になったまでのこと。新しい大戦の危険は大きい」と不気味な予言。「八千五百万人の日本人が独立の気力をもって現実に働きかければ」と期待しました。「共産主義が歴史の必然」ともいわれた時代。世界の行方などわからないものです。

講和条約と同時に発効した日米安全保障条約によって、西側陣営に立ち、反共の砦(とりで)の役割を担うことになった日本。戦後社会をけん引したのは吉田首相の軽武装・経済重視の「吉田ドクトリン」路線でしたが、最近の昭和史研究や豊下楢彦前関西学院大教授の「昭和天皇・マッカーサー会見」(岩波現代文庫)は、外交、防衛、安全保障面で昭和天皇の果たした役割の大きさを明らかにしています。昭和天皇の沖縄メッセージや講和条約交渉への天皇の介入は、沖縄の運命や日本の防衛や安全保障に決定的だったように見えます。


◆沖縄の犠牲に支えられて
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沖縄メッセージは四七年九月、天皇御用掛の寺崎英成氏が連合国マッカーサー総司令部に伝えた極秘メッセージ。天皇が米軍の沖縄占領継続を希望し、占領は長期租借(二十五年ないし五十年、あるいはそれ以上)で−などの内容。七九年の文書発掘は沖縄に衝撃を与え、その後、入江侍従長の日記で内容がほぼ事実と確認されたことで、沖縄の人々は大きく傷ついたといわれます。

豊下前教授はダレス米国務省顧問を相手にした講和条約、安保条約交渉でも、吉田首相と昭和天皇の二重外交があったことを論証しています。当時の天皇にとっての脅威は朝鮮半島にまで迫った共産主義でした。共産主義から天皇制を守ることは日本を守ることでもあったのでしょう。戦争放棄の憲法と非武装となった日本で天皇が頼ったのは米軍、それが沖縄占領継続の希望や基地提供でした。

そこにはパワーポリティクスや外交的駆け引きの余地はなく、ダレスに対日交渉での当初からの目論見(もくろみ)「望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利の確保」を勝ち取らせることになってしまいました。およそ独立にふさわしくないこの条約は、今も日米地位協定の不平等のなかに潜まされ、変えられていません。

講和条約三条で沖縄は本土から分離され米国の施政権下に移されました。講和条約や安保条約の成立過程の検証は、本土の独立が沖縄の一方的犠牲の上に築かれていることを教えます。

沖縄への理不尽は、世界一危険な普天間飛行場移転問題に集約的に現れます。沖縄の四十一全市町村長の反対にもかかわらず、政府は県内の辺野古移転を変えません。米軍の移転候補基地の比較衡量で満点は「本土の自衛隊基地」。辺野古への固執は本土移転回避の政治的理由としか思えません。

日米安保の重要性は否定できません。それなら負担は国民が等しく、本土でも米軍基地を引き受けていくべきです。憲法改正に声高な政府や政治家が日米地位協定改定には及び腰なのはなぜか。国民のために当たり前のことを主張し要求していくのが独立国の政府、正しいことに勇気をもって立ち向かうのが独立国の国民。


◆日本全体で考える
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昭和を継いだ今上天皇の沖縄への思いはことに深いようです。昨年十二月の七十九歳の誕生日のお言葉は「日本全体の人が沖縄の人々の苦労を考えていくことが大事」でした。沖縄こそ真の主権回復の一歩にしたいものです。
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