2013年03月31日

[東京新聞] 週のはじめに考える 新入生よ、本を読もう (2013年3月31日)

小学校、中学、高校、そして大学の新入生の皆さん、おめでとう。入学を祝うとともに、本を読もうと呼びかけたい。新しい世界がそこにはあります。

本はまさに知恵の宝庫です。ネットのことは、あとで述べるとして、まず図書館の有名な話をふたつ紹介しましょう。

一つめは、あのマルクスです。思想の当否はともあれ、彼が大英博物館の図書館を仕事場としていたことはよく知られています。

ある日、本をもった入館者が席を探していると、図書館員がこう話しかけたそうです。


◆図書館から生まれた
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「もしもし、ここは空けておいてください。ここはドクター・マルクスの席です。必ずお見えになりますので」

入館者は驚いて、

「あの『共産党宣言』を書いた人ですって」

マルクスは、その席で毎日十時間仕事をしたそうです。経済学の本を読み、英国の工場内労働の年報を調べた。『資本論』などはそこから生まれたのです。

もう一つの話は、二十世紀半ばのアメリカ人女性のことです。

名はベティ・フリーダンさん。のちに女性解放運動の旗手となる人ですが、二人目の子の妊娠を理由に新聞社を解雇され、いわゆる専業主婦になっていました。

経済的に不自由ではなかったが「理由の分からない空虚な気持ち」をもったそうです。一体何が女性を苦しめているのか。

彼女はニューヨークの公立図書館へ行きました。

参考図書を探し、過去の婦人雑誌を調べ上げ、本を書いた。題は「フェミニン・ミスティーク(邦題・新しい女性の創造)」。二百万部を売るベストセラーになり、世界で読まれました。


◆温故知新は古典から
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図書館の世話になった作家や学者は数え切れないのですが、この二人を紹介したのは、亡命中のロンドンで夜具や下着にも困るような赤貧のマルクス、あるいは生き方に疑問を持ち始めたフリーダンさんを最後に助けたのは本だったという、単純だが重要な事実を知ってほしかったからです。

ネットには大量かつ最新の情報が蓄えられています。引き出すのも簡単です。

それに対して、本は長年の蓄積が豊富にあり、著者と出版社の名が明示されてもいます。中でも古典と呼ばれる人類の知恵は、時代とともに磨かれてきたのです。

もし今、マルクスやフリーダンさんがいたのなら、ネットで最新情報を得て、発信もしたでしょうが、考察の深みへと進むには知識の蓄積に勝る本がやはり必要だったのではないでしょうか。

温故知新といいます。過去の知識から新しい考えを得るのです。

小中高の生徒は読書指導により読書量を増やしているのに、大学生のそれは減っているそうです。 大学生協の調査(二〇一一年)では、大学生の一日の読書時間は三十二分(前年比二・六分の減少)一カ月の書籍代は千八百五十円(同二百四十円の減少)だったそうです。ネットの影響もあるのでしょうが、要は知識欲です。それを満たすのはやはり本でしょう。

さまざまな読書案内の中、たとえば東京大学出版会の宣伝誌「UP」は一九八八年以来「東大教師が新入生にすすめる本」という特集を毎年組み、二〇一一年までの二十四年間で延べ五百七十人の教師が約三千四百冊を紹介。その中で、印象に残った本、これだけは読んでおこう、として選ばれた数の多かった本は以下のようです。

一位は三冊あって、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、カール・マルクス「資本論」、高木貞治「定本 解析概論」。

二位はルネ・デカルト「方法序説」とマックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」。三位はベネディクト・アンダーソン「定本 想像の共同体」。国民国家の成り立ちを説いています。

小説では五位ドストエフスキー「罪と罰」、六位高橋和巳「邪宗門」、トルストイ「戦争と平和」、セルバンテス「ドン・キホーテ」、七位曹雪芹「紅楼夢」など。


◆まずは一冊手にとって
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懐かしい本があり、また読み損ねていた本もあるでしょう。

私たちは情報過多時代に生きています。本は押し寄せてくるようです。しかし、この一冊という本にはめったに出合うものでもありません。それでも、その一冊を見つけるために、まずは一冊を読んでみようではありませんか。

教訓めいたことは言いたくもありませんが、本を読むとは、未知なる自分を見つけることです。少々の忍耐を伴っても、それがきっと一番の近道なのです。
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[産経新聞] 首相モンゴル訪問 中国には「価値観の輪」で (2013/03/31)

中国とロシア、北朝鮮をもにらんだ手堅く有益な首脳外交といえる。

安倍晋三首相が、中露に挟まれた内陸国モンゴルを訪問し、政治、安全保障分野を含む同国との関係強化を確認した。

安倍首相は2月に訪米し、民主党政権下で弱体化した同盟関係の立て直しに着手した。それに先立ち、東南アジア諸国連合(ASEAN)3カ国を訪れている。

モンゴル訪問も、自由と民主主義、市場経済などを共有できる国々を引き寄せ、中国の覇権主義を価値観の輪で取り巻くという外交の一環である。安倍政権には、今後とも日米同盟を基軸に、この路線を推進してもらいたい。

首相はアルタンホヤグ首相、エルベグドルジ大統領らと会談し、両国関係の基礎として、「平和、自由・民主、助け合い」の3つの精神を強調した。経済、エネルギー分野の協力拡大も表明した。

モンゴルは、長く中国の支配を受けソ連の衛星国にも甘んじた。1992年に社会主義を放棄し、市場経済を導入して民主化を進めた。中露双方に距離を置く。

その中露は先頃、習近平国家主席とプーチン大統領との会談で蜜月ぶりを演じ、尖閣諸島や北方領土で対日連携・牽制(けんせい)に出た。

日本とモンゴルの友好関係にはそのような演出は不要だ。安倍首相は訪問に先立ち、モンゴル出身の横綱白鵬と面会した。両国民は大相撲が取り持つ縁もあって、互いに親近感を抱いている。

日本は、モンゴルに対する最大の援助供与国であり、「第3の隣国」と期待を寄せられている。安倍首相の訪問を機に、交流をさらに活発化させるべきだ。

モンゴルの貿易は、輸出の大半が中国向けで、輸入も3割を中国が占める。過度の中国依存からの脱却に日本は貢献できる。

安倍首相は首脳会談で、北朝鮮による日本人拉致の問題解決に支援を求め、理解と支持を得た。北には国連安保理決議に沿った対応が必要との認識でも一致した。

モンゴルと北は、冷戦時代に同じ東側陣営にあった長年の友好国であり、昨年11月の4年ぶりの日朝局長級協議も、ウランバートルで開催されている。

モンゴルがどの程度、北に影響力を行使できるかは明らかではないが、あらゆる機会を捉えて拉致問題解決を模索する安倍政権の姿勢を評価したい。
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[産経新聞] 維新の会 改憲の重要な「核」になれ (2013/03/31)

日本維新の会が初めて党大会を開いた。「保守」を明記し、憲法改正などを盛り込んだ新たな党綱領を決定した。国家観を明確に示した内容である。自民党とともに改憲勢力の重要な核となることが期待される。

党大会で、共同代表の橋下徹大阪市長は、安倍晋三政権に対して「応援すべき点は応援する」としつつ、「参院選で自公過半数阻止を目指す」と訴えた。

体調を崩していた共同代表の石原慎太郎氏は、東京都内の国会議員団本部からネット中継で参加した。石原氏が現行憲法9条などを批判したのに対し、橋下氏は「諸国民の公正と信義」をうたった前文の問題点を指摘した。

憲法改正に向けた両代表の強い決意が改めてうかがわれた。

新綱領は「賢くて強い日本」を国家目標に据え、「わが国の歴史と文化に誇りを抱き、良き伝統を保守する」としている。外交・安保については、「『法の支配』などの価値を共有する諸国と連帯し、世界の平和に貢献する」と日米同盟重視を再確認した。

その上で、「占領憲法の大幅な改正」「自立する個人、地域、国家の実現」「既得権の排除と真の弱者支援」など8項目の基本政策を掲げた。

維新の会の前身、大阪維新の会は昨年8月末、道州制の実現や教育委員会制度の廃止などを求めた「維新八策」を示したが、地域政党の域を脱しきれていない面もあった。衆院選前の昨秋、石原氏率いる太陽の党と合併したことにより、名実ともに国政を担う公党としての形を整えつつある。

新綱領は、「強い日本」を目指す安倍政権との連携も視野に入れているとみられる。

自民党は昨年4月、「国防軍」を明記した憲法改正草案を出している。維新に合流した太陽の党の前身、たちあがれ日本も同時期、「自衛軍」を明記した自主憲法大綱案を発表した。維新の会も、これを踏まえた改正案を再度、練り直してほしい。

維新は夏の参院選に向け、憲法改正を志向するみんなの党と選挙区調整などを行っている。みんなの党も、自衛権の明確化を求めた「憲法改正の基本的考え方」を示している。自民、維新、みんなの3党はともに、憲法96条の改正要件の緩和を求めている。改憲論議をさらに盛り上げたい。
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[日経新聞] 初外遊に込めた習氏の思惑 (2013/3/31)

1国の首脳の外国訪問に政治的なメッセージが込められるのは当然だろう。まして初外遊となればメッセージ性は強い。

中国の習近平国家主席は、就任後初めての外遊でロシアとアフリカ3カ国を訪れた。伝わって来るのは、米欧主導の国際経済秩序を揺さぶり、新たな秩序を生み出したいという意欲だ。

胡錦濤前国家主席の初外遊先もロシアだった。国際問題で米欧に対抗して共闘する局面が多いうえに、習政権が唱える「海洋強国」の実現にはロシアとの関係安定が欠かせない事情がある。太平洋やインド洋での存在感を高めていくための戦略的な布石として、対ロ関係を重視しているわけだ。

胡前主席はロシアの後、カザフスタンとモンゴルを訪れた。習主席がアフリカに向かったのは、主要な新興5カ国(BRICS)の首脳会議が南アフリカで開かれたためだが、同時に、中国外交の軸足が近隣諸国からグローバル規模に広がったからでもあろう。

中国とアフリカ諸国の経済関係は急拡大しており、アフリカでは「中国製品がアフリカの製造業の発展をそこなっている」といった不満も出始めている。習主席は配慮する構えを示したが、今のところ具体策は乏しい。

新たな国際経済秩序をめざす中国の思惑が端的に表れたのは、首脳会議で合意した「BRICS開発銀行」の設立計画だ。米欧の強い影響下にある世界銀行や国際通貨基金(IMF)を揺さぶり、その存在感を相対的に弱めようという狙いがうかがえる。

IMFや世銀は途上国の経済実態への配慮や柔軟性を欠いているとの批判を浴びてきた。BRICS開銀がこうした問題の是正に役立てば意義は小さくない。

ただ中国の対外援助はかねて不透明と指摘され、人権や環境への目配りも足りない。BRICS開銀が透明性の高いルールづくりを阻害したり、やみくもな経済開発を促したりする心配は拭いきれない。注視していく必要がある。
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[日経新聞] 海洋資源をいかす開発技術の育成を (2013/3/31)

政府は愛知・三重県沖の海底地層に広がるメタンハイドレートから、世界で初めて天然ガスを取り出すことに成功した。南鳥島沖の海底の泥には、携帯電話やハイブリッド車の生産に欠かせないレアアース(希土類)が高い濃度で含まれていることもわかった。

商業生産には割高なコストなど課題が多く、輸入に頼る日本の資源自給率がすぐに改善するわけではない。だが、日本を取り巻く広大な海洋には豊かな資源が眠る。国産資源の利用に向けて開発技術を育てていくことが重要だ。

メタンハイドレートは天然ガスの成分が地中深くで水と結びついた氷状の物質だ。日本周辺の海域には日本の天然ガス消費量の100年分が存在するという。

ハイブリッド車のモーターに使うジスプロシウムも、海洋研究開発機構などの調査で日本近海に国内消費量の230年分を超える量が存在する可能性が出てきた。

海底から噴き出した熱水に含まれる銅や亜鉛、金などの金属成分が積もってできる熱水鉱床も伊豆諸島や小笠原諸島などの周辺に分布することがわかっている。

夢は膨らむが、過大な期待は禁物だ。現状ではどれも採算の確保が難しい。メタンハイドレートは日本が輸入する液化天然ガス(LNG)の価格に比べて何倍も高い。中国に輸入の大半を依存するレアアースでは代替技術の開発や調達先の分散が先行する。

それでも海洋資源を効率良く探したり、掘り出したりする技術の確立に取り組む意義は大きい。

原子力発電所を代替する火力発電用のLNGや原油の輸入が急増し、年間3兆円規模で国富が流出する要因となっている。国産資源という選択肢を持つことが、資源国に足元を見られずに、調達交渉を進める材料になる。

メタンハイドレートはカナダの永久凍土層などでも埋蔵が確認されている。海外では海底の金属資源を掘り出す民間プロジェクトが動き出している。世界各地で本格化する競争に日本企業が加わるには技術が不可欠だ。

メタンハイドレートでは地中から取り出す際に水とガスに効率的に分け、安定して生産する方法を確立しなければならない。そのためには当面、資金面などで国の支援が必要だ。政府は近く、新たな海洋政策の柱となる「海洋基本計画」を策定する。豊かな資源をいかす長期戦略が欠かせない。
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[毎日新聞] 社説:5代目歌舞伎座 芸の力で社会に元気を (2013年03月31日)

新しい歌舞伎座(東京・銀座)が4月2日に開場する。世界無形文化遺産に登録されている日本の誇る伝統芸能だ。その神髄は庶民に愛され、はぐくまれ、時代の空気を吸収し、継承と革新を繰り返しながら、人々に喜びと楽しみを提供してきたところにあるのだろう。

伝統的な演目では、権力の理不尽を命がけの行動でただしたり、追われる敗者を思いやったりする心や思想も表現されてきた。本拠地が新しく生まれ変わるのをきっかけに、芸能の力で社会を元気づけてほしい。

第1期の歌舞伎座ができたのは1889年。第5期にあたる新しい歌舞伎座は、背後にびょうぶのような29階建てのオフィスビルが控えるが、第3期以来の桃山様式風の意匠を踏襲している。純白の壁、赤い欄干、華麗な瓦屋根。現代的な建物が並ぶ中で、街が積み重ねてきた歴史を実感できる場所になっている。

歌舞伎公演は公的支援を受けず、ビジネスとして成り立っている数少ない伝統芸能だ。今日の隆盛を築いた功績者として、演劇評論家の水落潔さんは二人の名前を挙げる。

一人は市川猿翁(先代の猿之助)さん。3S(スピード、スペクタクル、ストーリー)をモットーに、現代的な演出で観客を喜ばせた。

もう一人は昨年12月に57歳で亡くなった中村勘三郎さん。変幻自在の演技で人気を集めただけでなく、東京・渋谷でのコクーン歌舞伎や、江戸の芝居小屋を再現した平成中村座、現代作家の新作上演などで幅広い層にアピールした。

二人に共通しているのは、時代が求めているものを敏感に察知し、思い切った演出や仕掛けで伝統を更新したところだろう。

歌舞伎界ではこのところ、悲報が相次いだ。前の歌舞伎座が閉場となった10年4月以降、中村富十郎さん、中村芝翫(しかん)さん、中村雀右衛門さんと人間国宝の3人が次々に亡くなった。さらに勘三郎さんに続いて、今年2月には市川宗家の当主として明るく、おおらかな芸が愛された市川団十郎さんが66歳で死去した。

しかし、「悲観する必要はない」と水落さんは言う。早い時期から大役を演じてきた息子たちの世代が順調に力をつけているというのだ。

新しい歌舞伎座では広範な観客に親しまれる工夫が凝らされている。座席でポータブル端末による字幕ガイドが読めるようになったし、安価な4階一幕見席は数が増えた。ギャラリーや屋上庭園も設置された。

若者や外国人観光客が接する機会を増やしていきたいものだ。そのためにも、公演時間の長さや開演時刻、演目について、多様性が求められているのではないだろうか。
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[毎日新聞] 社説:主権回復式典 祝う日より考える日に (2013年03月31日)

政府が4月28日に開催する主権回復記念式典に対し、沖縄県の反発が強まっている。この日はサンフランシスコ講和条約が発効し米国の占領が終わった日だが、同時に沖縄、奄美、小笠原が切り離されて米国の統治下に置かれたため、沖縄では4・28を「屈辱の日」と呼んでいるからだ。式典開催にあたっては、同じ国内にこうした歴史認識の違いがある現実を忘れてはならない。

戦争に敗れた日本は、7年近い連合国軍総司令部(GHQ)の占領統治を経て1952年の4月28日に正式に独立を果たし、やっと一人前の国家として世界から認められた。近代国家が独立の節目の日を大事にするのは自然なことだろう。

講和条約発効によって日本は戦前の植民地などの領土を放棄し、東京裁判を受諾した。同時に日米安保条約も発効し、吉田茂首相の下で西側自由陣営の一員としての一歩を踏み出した。吉田ドクトリンとも呼ばれる軽武装・経済成長路線は、日本の平和と繁栄の礎となった。

その一方、取り残された沖縄はその後20年に及ぶ米国統治を経て、72年5月15日にやっと本土復帰を果たした。今に至る米軍基地の過度な集中とそれに対する沖縄の怒りの原点は4・28にある。その意味では戦後日本の明も暗も、すべてがこの日から始まったと言っていい。

であるなら、4・28を単に米国の占領のくびきから解き放たれた日として祝うのは、思慮に欠ける振る舞いだ。ましてや、憲法など占領期に形づくられたものを否定するためのような、保守イデオロギー色の強い式典であってはならない。

むしろ、なぜ米国の占領統治に至ったのか、なぜ戦争を防げなかったのか、なぜ戦前の日本は世界から孤立したのかを考える日であるべきではないか。その反省を踏まえ、二度とあのような失敗を繰り返さないためには何が大切なのかを深く自問自答する日にするのである。

世界から見るなら4・28は、戦前の軍国主義と一線を画して平和主義の国、自由・人権・民主主義を基本とする国際協調的な国に生まれ変わった日本を迎え入れた日である。その視線を忘れず、常に国際社会の中の日本であり続けなければならない。

若い世代には米国に占領された歴史も、講和条約と日米安保条約が同時に発効した事実も、知らない人が増えているという。歴史に学ぶことが必要である。4・28は私たち一人一人が過去の出来事と真摯(しんし)に向き合い、若い世代も含む全ての日本人が過ちなき未来を思い描く機会にしたい。そのためにも式典はできるだけ簡素が望ましい。祝う日ではなく、静かに考える日にしたい。
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[読売新聞] 安倍外交 モンゴルと戦略関係の強化を(3月31日付・読売社説) (2013年3月31日)

親日友好国モンゴルと日本が戦略的な連携を強化する一歩になった。

安倍首相がモンゴルを訪問し、アルタンホヤグ首相、エルベグドルジ大統領と相次いで会談した。

両国首脳は、外交・安全保障分野での外務次官級の対話を開始することで一致した。さらに、米国も加えた3か国の政策対話を行うことでも合意した。

安倍首相は、アジア外交の原則として民主主義など普遍的価値の尊重や自由でオープンな市場経済を掲げている。

中国とロシアに挟まれたモンゴルが、民主化と市場経済を発展させることは、日本の外交戦略にもプラスである。威圧的な外交で周辺国の主権を脅かす中国へのけん制にもなるだろう。

安倍首相は北朝鮮問題、とくに日本人拉致問題での協力を求めた。モンゴル側も日本の立場への理解と支持を表明した。

モンゴルは、冷戦時代には北朝鮮とは盟友関係にあり、今も高いレベルで交流を続けている。

2012年11月に日朝協議がウランバートルで開かれたのも、モンゴルの協力があったからだ。

政府は膠着(こうちゃく)状態にある拉致問題解決に向けて、モンゴルとのパイプを大いに生かす必要がある。

資源に乏しい日本にとって、モンゴルとの関係は、エネルギー安全保障の観点からも貴重だ。

モンゴルは、石炭やレアメタルなど良質で豊富な天然資源に恵まれている。鉱山開発などをテコに11年は年率17%を超える高度経済成長を達成した。

首脳会談では、モンゴル南部のゴビ砂漠にある世界最大級のタバントルゴイ炭田の共同開発についても意見を交換した。モンゴル側は、「長期にわたり安定的に日本に石炭を供給できるようにしたい」との意向を示したという。

モンゴルには、日本や韓国に石炭を輸出するため、中国やロシアの海港へ運ぶ構想がある。それには資源を輸送するための鉄道を建設することが欠かせない。

ただ、日本企業が開発やインフラ整備で進出するにはモンゴル側の投資環境の整備が必要だ。日本とモンゴルの当局間で協議を重ねる必要がある。

会談で、安倍首相は横綱白鵬らの活躍ぶりにも言及した。日本では、大相撲を通じてモンゴルへの関心が高まっている。モンゴルにとっても日本は中露に次ぐ「第3の隣国」だという。

政治、経済とともに文化・スポーツでも交流を深めたい。
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[読売新聞] 維新党大会 自民の対抗勢力になり得るか(3月31日付・読売社説) (2013年3月31日)

憲法改正への強い意欲はうかがえた。自民党に対抗し得る保守政党に成長できるだろうか。

日本維新の会が、昨年9月の結党後初めての党大会を大阪市で開き、党綱領や2013年活動方針を決定した。

綱領は現行憲法について「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた占領憲法」と指摘した。憲法を大幅に改正して、「国家を蘇生させる」とうたっている。

共同代表の橋下大阪市長は「自分たちの手で憲法を作ることが日本にとって絶対に重要だ」と改正の意義を強調した。参院選では、自民党、みんなの党などと合わせて憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を目指すとも語った。

参院選の結果次第で、初めて憲法改正が可能な政治環境が整う。その場合、維新の会は自民党と連携する方針を明示したと言える。憲法改正は、参院選の最も大きな争点の一つになる。

維新の会は、衆院選で当初の期待ほど議席を伸ばせなかった反省を踏まえ、憲法改正でも一致できるみんなの党との選挙協力を進めている。実質的な協力に踏み込めるかが獲得議席を左右しよう。

党大会で橋下氏は、米軍普天間飛行場移設問題や環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に取り組む安倍首相を応援すると述べた。

その一方で、参院選では「自民、公明両党の過半数阻止を実現しよう」と訴え、既得権打破や統治機構の変革は、維新の会にしかできないと強調した。

「維新は自民党の補完勢力」との批判もある中、自民党と違いを出し、改革の党としての存在感をどう発揮するのだろうか。

読売新聞の世論調査では、安倍政権の発足直後、民主党と並んで8%あった維新の会の支持率は2%にまで低下している。

維新の会の課題には、橋下氏と、東京の国会議員団との間で、選挙制度や日銀同意人事など軋轢(あつれき)が表面化していることもある。

大阪市の党本部と東京の国会議員団本部をテレビ会議システムでつなぐなど、連携強化の模索が始まっている。両者の溝を埋めていくことは、維新の会が一体感をもった政党になるために必要だ。

一方、石原共同代表は「軽い脳梗塞」のため、党大会を欠席した。ネット中継の形で参加し、橋下氏に参院選への出馬を促したが、橋下氏は応えなかった。

橋下氏が参院選に出馬するか否かは、今後の党勢もにらんでの判断になるに違いない。
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[朝日社説] 法律家の養成―「利用者のため」を貫け (2013年3月31日)

法律家のため、ではない。あくまでも市民、利用者の視点から考える。その姿勢を見失うことなく、いまの厳しい局面を乗りこえたい。

政府の法曹養成制度検討会議が中間提言案を公表した。

法科大学院を出たのに司法試験に受からない。合格して弁護士になっても仕事がない。法律家をめざす若者は年々減る。

こんな悪循環を何とかしようと議論してきた。提言案には、教育体制が十分でない法科大学院の統廃合を進める、司法試験の合格者数を「年3千人程度」としている政府の目標を取りさげる、などが盛りこまれた。

「3千人」は一連の司法改革の旗印だが、私たちは社説で、こだわる必要はないと書いてきた。合格者数はこのところ約2千人で推移していて、事実上、意味を失っている。

ただし、今回の提言が改革の理念の放棄や後退につながるようなことがあってはならない。

身近で頼りがいのある司法を築くには、質量ともに豊かな法律家が必要だ。そして、そんな人材を世に送りだすために、一発勝負の司法試験という「点」による選抜ではなく、教育の過程を大切にする。この考えはいまも色あせていない。

法律家が力をふるう場は法廷だけでない。国際ビジネス、福祉、地方自治、犯罪者の社会復帰支援といった新しい分野で、能力とやる気のある弁護士が活躍する例が増えている。

問題は、こうした潜在的な需要をすくいあげ、うまく目に見える形にできていないことだ。

費用が心配で弁護士を頼めない人が出ないよう、政府は十分な予算をつける。条例づくりや政策の立案、コンプライアンス体制の確立などに法律家をもっと活用する。弁護士もまた、意識と仕事のやり方を見直し、さまざまな現場に積極的に飛び込んでいく必要がある。

法律家という仕事の魅力を人びとに再認識してもらうためにも、活動領域の拡大は全力でとり組まねばならない課題だ。

一方で、能力に欠け、あるいは倫理にもとる行いをした者に退場を迫ることも必要だ。

最近、大幅にふえた若手弁護士の質が問題にされる。だが問われるべきは若手だけか。

弁護士に関する詳しい情報を開示したり、第三者による評価制度をとり入れたりして、市民が弁護士を適切に選べるようにする。かねて提案されながら、話が進まないのはなぜか。

互いに競い合い、多くのたくましい法曹を育てる。その土壌の上に、司法改革は実を結ぶ。
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[朝日社説] 日本維新の会―一体どこへ向かうのか (2013年3月31日)

日本維新の会がきのう、結党以来初の党大会を大阪市内で開いた。

夏の参院選で、自民党などと合わせ憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を確保する。

石原慎太郎氏とともに共同代表を務める橋下徹大阪市長は、そんな目標を打ち出した。

改憲論議自体、否定すべきものではない。ただ、あまりにも前のめりな維新の姿勢には、危うさを感じざるを得ない。

見過ごせないのは、大会で採択された綱領に「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正する」という一文が盛られたことだ。

「国民の意志と時代の要請に適したものに改正する」という原案だったが、石原氏が持論をもとに書き換えたのだという。

これでは平和主義を含む憲法の全面否定であり、とうてい容認できない。

安倍政権との向き合い方も気がかりだ。

橋下氏は「自民党に既得権打破はできない」「参院選で自公の過半数絶対阻止」と対抗姿勢を示す一方、環太平洋経済連携協定(TPP)などで安倍首相の政権運営を高く評価した。

もちろん、野党は何でも政権に反対すればいいというものではない。それにしても、わかりにくい対応である。

首相に親近感を抱く維新幹部は少なくない。いずれ改憲を軸に自民党と手を組むのではないか、という見方も消えない。

もしそんな思惑があるとすれば、巨大与党を利するだけだ。

もともと大阪都構想など「地方発」の改革や、既得権益の打破が、この党の原点だった。昨年暮れの総選挙で躍進したのも、そうした期待からだろう。

きわめて右派色の濃い改憲論といい、政権への熱いエールといい、維新の「変身」に戸惑う支持者も多いのではないか。

党の置かれた状況は、決して楽観できるものではない。

朝日新聞の3月の世論調査では、今夏の参院選の比例区投票先として維新は12%。自民の47%には遠く及ばず、かつてほどの勢いは感じられない。

理由は明らかである。この党がどこへ向かおうとしているのか、有権者に見えにくくなっているからだ。

党大会で改憲を前面に押し出したのも、存在感が薄らぐことへの焦りの表れかもしれない。

だが、それが支持者が本当に期待していることなのか。維新の原点を踏まえ、もう一度、考えた方がいい。
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2013年03月30日

[産経新聞] 人口減少対策 「出生率2.0」実現に総力を (2013/03/30)

東京を含む全都道府県で人口が減少し、現在より4割以上減る自治体が全体の22・9%を占める。国立社会保障・人口問題研究所が示した平成52(2040)年の予測は、厳しい日本の未来図を改めて描き出した。

総人口は、わずか半世紀で約3分の2にまで減る。かつてない激変期に入ったといってよい。人口減少を少しでも食い止めるには、少子化対策を急がねばならない。

政府が人口政策に積極関与することには、戦前・戦中の「産めよ殖やせよ」政策へのアレルギーから批判的な世論も強く、国会議員や官僚は及び腰で来た。

だが、このまま出生数の減少が続けば国家は衰亡してしまう。菅義偉官房長官が記者会見で「国として出生率2・0という目標を掲げて挑戦するのも一つの考え方だ」と踏み込んだ意義は大きい。タブーを打ち破るときである。

従来の政府の対策は、児童手当の拡充や待機児童解消といった子育て支援策が中心だった。だが、いま必要なのは、子供が生まれにくい状況を打破することである。安倍晋三首相には明確な出生率目標を掲げ、大胆な政策を打ち出すことによって、この国難に立ち向かってもらいたい。

同時に、人口減少と高齢化への対策も急がれる。早く社会全体の仕組みを作り替え、変化に備えなければ大混乱する。

まず国民が意識を変えねばならない。社会の活力が失われると税収は伸びず、自治体の財政基盤も弱まる。地域のすみずみまで行政サービスを提供できる態勢が続けられるかどうか分からない。

いずれその範囲を絞り込むようなことも、検討せざるを得なくなるだろう。そのためにも、コンパクトな街づくりが欠かせない。福祉施設や図書館など、公共施設を横並びで整備していく時代は終わった。近隣自治体との広域連携を進める工夫が大切だ。

大都市圏でも高齢者が急増する。こうした地域は経済効率を優先させ、若者中心の街づくりをしてきた。高齢者も暮らしやすい街へと、一からつくり直すとなると膨大な財源が必要となる。空き家や空きビルなど既存の「資源」を有効活用してはどうか。

人口構造の激変への対応は、政府任せでは十分でない。民間も知恵を絞り、総力を挙げての取り組みが求められる。
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[東京新聞] 新・中国はどこへ<読者から> 「法治」を求める声多く (2013年3月30日)

「新・中国はどこへ」の連載に、さまざまな意見をいただきました。一通ごとに考えさせられ、目を見開かされもしました。心より感謝します。

多かったのは、最終回の「『法治の大国』であれ」への共感でした。日本の重要な隣人として、民主的、平和的な大国になってほしいという希望と受け取れました。

埼玉県熊谷市の吉沢功さん(71)は「中国の覇権主義や自由抑圧の継続は、大国にはあまりにもふさわしくない」と、人治から法治への転換の重要性を訴えます。

大国になっただけに、それにふさわしい振る舞いを求めたいとの意見は、多くみられました。

「世界第二の経済大国になったのだから、政治的にも大人になってほしい」「中国が法治国家として信頼されるなら、二十一世紀の世界が平和で安心できる社会になる」などの意見です。

「私は中国を丸ごと好きでした。あの反日デモの映像を見るまでは」と、ハッとする書き出しの意見を寄せたのは千葉県柏市の司法書士、佐々木利夫さん(69)です。

「民衆の怒りを侮るな」という連載一回目の主張に、佐々木さんは「治められる者の視点からの社説に共感する」としながら、「一方的な願望であり、ないものねだりのような気がしてなりません」とも指摘していました。

一般に、社説または論説委員の主張は確かに“言いっ放し”の面がないとはいいません。しかし、日本にある中国大使館や総領事館、中国メディアなどを通じて、日本の新聞の考えは本国に伝わっていると思います。

ある中国外交官は「道理と裏づけのある批判は歓迎します。横並びの中国メディアより参考になります」とすら語っていました。私たちの論説が、隣国を前向きに動かそうとする力の一つになっていると信じて書いています。

名古屋市の税理士、真田新之助さん(83)は「民衆が主人公の健全な中華復興こそが望ましいとの主張は、わが意を得たり」と、感想を寄せてくれました。

「日中は相互に協調すべき関係で、領土問題などで角を突き合わせるべきではない」との感想は決して少なくない意見でしょう。

重要な隣国がどう進むかは、日本、世界の未来にも大きく影響します。皆さんと共にこれからも論考し、提言していきたいと思います。 (論説委員・加藤直人)
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[産経新聞] 活断層を誤認 原発調査は大丈夫なのか (2013/03/30)

開いた口が塞がらない。耳を疑う失態だ。

東京大学地震研究所の教授らによる活断層調査での誤りである。

東京都内の工場跡地の地中に打ち込まれていたコンクリート製の杭(くい)を、首都直下地震につながる立川断層の破砕帯と見誤ったのだ。

偶然が重なったとはいえ、「失敗学」の好事例となりそうな初歩的、かつ重大なミスである。調査現場を見学した部外者の指摘がなければ、とんでもない間違いが大手を振ってまかり通り続けるところだった。

教授は、原子力規制委員会で原子力発電所の活断層を調査する有識者の一人である。

今回の誤りは教授自身によって訂正されたが、この事例は、原発での活断層調査の進め方や解釈に関して、規制委が教訓とすべき多くの事柄が存在していることを教えている。

第1は、先入観の怖さである。教授は「見たいものが見えてしまった」と告白している。他の研究者も他山の石とすべき言葉だ。

掘削調査地点には、活断層の破砕帯が存在するはずだという思い込みが、コンクリートの杭の断面の並びを、横ずれ断層の証拠の石と見せてしまった。

第2の教訓は、仲間内だけの調査には、思いがけない陥穽(かんせい)が口を開けて待っているということである。何人もの専門家が現場を観察しているにもかかわらず、見抜けなかった。活断層調査を舞台にした「集団催眠」といえる。

第3は、異なる立場の意見を許容することの大切さだ。土木工事の視点があれば今回のミスは最初から避けて通れたはずである。

以上の教訓を、規制委による原発の活断層調査に照らしてみるとどうだろう。尊重しなければならない教訓を3つとも踏み外した危うい姿が浮かび上がる。

規制委は、現在の調査の在り方を改めるべきだ。メンバーの有識者には変動地形学者への偏りがある。過去に原発調査に関わった専門家を加えることも必要だ。民間調査団の設置も有効だろう。

「活断層狩り」の愚からも目覚めなければならない。可能性が否定できない断層には、施設の耐震性の強化で対応するという健全な発想が望まれる。活断層の判定に100%の確実性はあり得ない。今回の失態を天の啓示として謙虚に受け止めてもらいたい。
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[東京新聞] 待機児童対策 もっと声を上げよう (2013年3月30日)

保育所に入れない待機児童が依然、減らない。各地で入所できない子どもの親らが一丸となって行政へ抗議を続けている。子育て世代の思いを自治体に届けるために、もっと声を上げよう。

国の基準を満たした認可保育所に子どもを預けられない親らが、次々と自治体に行政不服審査法に基づく異議申し立てを行った。東京都杉並区から足立区、目黒区、さいたま市などに広がっている。

子どもを預けて働きたい人には預け先がない事態は死活問題だ。

申し立てを受けた杉並区は、認可保育所の受け入れ枠拡大や新設、認可外施設の拡充を決めた。

やればできるではないか。

危機感が薄かったと言わざるを得ない。これまで保育所運営費などとして自治体に来ていた国の財源は一般財源化されている。使い道は首長の判断に左右される。

名古屋市や横浜市では市長が積極的に保育所整備を進めている。他の首長も危機感を持ち対策にリーダーシップを発揮すべきだ。

子育ての問題は、その時期を乗り切ると当事者ではなくなるため、なかなか子育て世代の苦境や要望を訴える大きな声になりにくかった。今回の親たちのやむにやまれぬ行動は、行政に問題の深刻さを再認識させた意義がある。

声は上げ続けてほしい。認可保育所より認可外施設の保育料は高い。利用者の負担軽減に自治体によって補助金を出しているが、額が自治体間で違う。子どもの医療費への補助額や期間も同様だ。こうした支援格差にも目配りして支援の充実など思いを行政に伝えることで改善は進む。

保育所整備には知恵を絞る必要がある。認可保育所の増設、新設は当然で最優先すべきだ。学校の空き教室の利用など生かせるアイデアはある。ただ、土地の確保などに限界があり、都市部では短期間に必要な整備が進まない。

保育士資格のある人などが自宅で預かる「保育ママ」の増員、定員に空きのある幼稚園での受け入れ、幼保一体施設の認定こども園、事業所内に設置する保育所などの整備も促してほしい。

公的な保育所は平日の昼間にフルタイムで働く親を前提に運営されている。働き方が多様化しているのに夜や早朝、休日に働く人、短時間預けたい人は預けにくい。

今子どもを預けて働きたい人は待っていられない。短期間に多様な保育ニーズに応えるために、できる対策はすぐ始めるべきだ。
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[日経新聞] 「就活」の開始時期をもっと遅らせよう (2013/3/30)

来春の就職をめざして会社説明会に参加してきた大学3年生は、来月に4年生になると面接などの選考試験で忙しくなる。就職活動は早い時期から始まり、長丁場になりがちだ。

そうした「早すぎ就活」を是正する動きが出てきた。政府は大学生の学習環境を改善するため、経団連が定める採用活動のルールの見直しを働きかける方針だ。

具体的には、現在は大学3年生の12月としている会社説明会の解禁時期を4年生の4月に、4月からの選考試験は8月ごろからに遅らせるよう求めるという。

学生に就職活動の負担がかかり過ぎている現状は改める必要がある。長期間、就活に苦戦する中で自信を失う学生も多い。若い人材が育たなくなっては社会の損失だ。経済界は採用活動の開始時期の繰り下げに踏み切ってほしい。

経団連は2011年に採用活動の指針である「倫理憲章」を改定し、今春に卒業する大学生の採用から、会社説明会の解禁時期を3年生の10月から12月に遅らせた。だが選考試験の開始は4年生の4月以降のままにしたため、学生が早くから試験対策などの準備に追われる様子は変わっていない。

採用活動の時期の繰り下げをためらうのは、大手企業の後に選考を始める中小企業が人材を確保しにくくなる心配があったり、経団連に加盟していない外資系などの企業が早くから採用活動をしていたりするためだ。

しかし学生が学業に十分な時間を割けない今のままでは、日本の人材の質が劣化する。企業のためにもならないはずだ。

就職活動を4年生の遅い時期や卒業後に始めても、就職先が見つかるようにしたい。企業は秋や冬にも選考試験をする通年採用や既卒者採用を積極的に採り入れるべきだ。会社説明会や選考試験の解禁時期の繰り下げは、こうした採用改革を併せて進めれば影響を抑えることができるだろう。

学生に長期の就職活動を強いている根っこには、大手企業の採用が新卒者に偏り、4年生の4月から5月にかけて集中して内々定を出す「新卒一括」方式がある。春の選考に漏れると就職の機会が狭まってしまう。

新卒一括方式は採用のコストを抑えられるなどの利点があるが、学生の負担増も招いている。そこを企業は直視してほしい。採用方法の多様化を急ぐときだ。
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[日経新聞] 法曹養成は改革の理念貫け (2013/3/30)

法曹界を担う人材を養成する制度について、見直しを議論していた政府の検討会議が中間提言案をまとめた。司法試験の合格者数を年間3千人程度まで増やす政府目標を「現実性を欠く」として撤廃することや、法科大学院の統廃合を促すことが主な内容だ。

合格者数が3千人に至らない今でさえ、数が急増したために弁護士が就職難に陥り、法曹の質の低下が懸念されている。当初の政府目標の数値が現実とかけ離れてしまったのは事実であろう。

だからといって、現状を追認するような見直しを進めるのではなく、司法改革の理念であった「身近で使いやすい司法」を実現するための打開策を、さらに検討していくべきだ。

政府は2002年、年間千人程度だった合格者数を「10年ごろに3千人に増やす」と決めた。だが一定のレベルを維持する観点から実際の合格者数は頭打ちとなり、2千人程度で推移している。

その大きな原因は、人材育成を担う法科大学院にある。一部で統廃合があったものの、約70校が乱立する状況は変わっていない。単年度での合格率は平均で2割台に低迷し、法科大学院離れが進んでいる。改善の見込めない大学院は退場させ、全体の教育水準を高める必要がある。

合格した後の問題も大きい。2千人台の合格でも、弁護士の数は10年間で1.7倍に増えた。一方で法律にかかわる仕事の需要は当初見込んだほど広がらず、就職できない弁護士が増えている。

法曹の世界を志して法科大学院に入ったのに、司法試験に通らない。合格して弁護士になっても就職先がない。改革のはずが、悪循環に陥って、法曹が魅力のない世界になりかけてしまっている。

提言案からは現状への危機感がにじむが、法科大学院の再生や弁護士の活動領域拡大に向けた対策について、十分な議論がなされたように思えない。最終提言をまとめる今夏までに、踏み込んだ具体策を提示していくべきだ。
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[毎日新聞] 社説:スポーツ指導 「説明と同意」の導入を (2013年03月30日)

トップスポーツ選手の約1割が暴力を含むパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント行為を受けたことがあり、「見たり、うわさで聞いたりしたことがある」を含めると4人に1人が自身や他の選手への問題行為を認識している。

柔道女子日本代表監督らによる暴力問題を受け、日本オリンピック委員会が加盟57競技団体の強化指定選手と指導者を対象に実施した無記名のアンケートで分かった。回答したのは選手1798人、指導者1457人で、回答率は47.1%だった。

競技活動の際にパワハラ、セクハラを「受けたことがある」と答えた選手は206人(11.5%)。「見た」「聞いた」を含めると459人(25.5%)に上る。耐え切れずに競技から退いたり、自殺を考えたりした選手もいる。状況は深刻だ。

一方、パワハラ、セクハラを「行ったことがある」と答えた指導者は43人(3.0%)にとどまる。「見た」「聞いた」を含めると424人(29.1%)。「叱咤激励(しったげきれい)」や「愛情表現」は指導者の思い込みであることが少なくないようだ。意識のずれは意思疎通が十分でないことが原因とみられ、競技力を高めるためにも信頼関係の構築が欠かせない。ヒントは医療の世界にある。「十分な説明に基づく同意」と訳されるインフォームド・コンセントだ。治療に際し、医師は方針を丁寧に説明し、患者は同意して手術などを受ける。

「説明と同意」は現在、文部科学省の「運動部活動の在り方に関する調査研究協力者会議」で議論になっていて、スポーツ界の悪弊を一掃する手がかりになる。経験頼みではなく、科学的根拠(エビデンス)に基づく指導だ。なぜ今この練習をするのか、どんな意味があるのかを言葉で伝えて納得してもらう。辛抱と根気を要する作業だが、暴力が入り込む余地はなくなるだろう。

パワハラ、セクハラ行為を受けても選手は「ノー」と言えないことを指導者は自覚してほしい。

女子柔道部員に性的暴行をしたとして準強姦(ごうかん)罪に問われた柔道男子金メダリストの裁判では「合意」の有無が争点になった。しかし、両者が選手と指導者、学生と教員、10代と30代など幾重もの上下関係の中に組み込まれていることを考慮すれば、「合意」の有無を問うことにどんな意味があるのか。

あこがれの指導者に競技者として引き上げてもらいたいと選手が願うのは当然だ。指導者は選手に自分の意思を押しつけることができる。選手が「ノー」と言わないのは、不利益を恐れて言えない状況にあることを理解して、踏み越えてはならない一線を設けておかねばならない。
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[毎日新聞] 社説:消費税転嫁法案 弱者いじめを見逃すな (2013年03月30日)

消費増税まで1年となり、政府は、税金の円滑な価格転嫁を促すための特別措置法案を国会に提出した。中小事業者が大手小売店などから転嫁拒否など不当な扱いを受けたりしないよう対策を盛り込んだものだ。

まだ1年もある、とのんびりしてはいられない。すでに来年4月に備え、価格の交渉が始まっている。法律が施行される前に、増税分の値引きを納入業者に確約させておこうといった動きも出ているそうだ。弱者を犠牲にした安売り競争が起きることのないよう、環境整備を急がねばならない。

法案は、力関係で優位に立つ大企業が取引先の中小企業に、納入品への税金上乗せを拒否したり、上乗せを認める代わりに手伝いを強要したりする行為を禁止している。違反した企業は、公正取引委員会が転嫁に応じるよう勧告するとともに、名前を公表する。公表によって企業イメージが損なわれるため、抑止効果も期待されている。

問題は、いかに不当行為を早期発見できるかだ。弱い立場の企業は、取引先からの報復を恐れて被害の通報をあきらめがちである。納入業者の自発的値引きに見せかけるなど、転嫁拒否の手口も巧妙になっているという。企業が被害を通報しやすくする工夫が必要であると同時に、大手小売業者への監視・調査を徹底して行える体制が求められる。法案では資本金3億円以下を中小企業とみなしているが、被害企業の規模にかかわらず転嫁拒否を見逃さない仕組みにする必要がある。

一方、特別措置法案は、小売店が「消費税還元セール」や「消費税は当店が負担します」などと表示することを禁じる異例の対策も盛り込んだ。こうした値引き合戦が活発化すれば、余力のない小売業者も対抗せざるを得なくなり、結果として商品納入元の中小企業にしわ寄せが及ぶ恐れがあるからだ。

とはいえ、表示の表現を制限しても、「還元セール」が「春の大感謝セール」に衣替えするようでは意味がない。かといって、あらゆる値下げを行政が縛ることは望ましくないうえ、現実的でもない。

形ばかりの規制より重要なのは、消費者や小売業者に対する広報・啓発活動だろう。何のための増税なのかを国民に理解してもらい協力を求める努力が政府にはもっと必要だ。

小売業界にも、注文しておきたい。顧客重視はありがたいが、利益を度外視した値引きは業界を疲弊させるばかりか、結果的にデフレを長引かせる。賃金や雇用を圧迫し、消費の回復が遅れ、結局自らの首を絞めるだけだろう。自分さえよければ、は長続きしない。
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[読売新聞] 再生エネ発電 太陽光の購入価格はまだ高い(3月30日付・読売社説) (2013年3月30日)

再生可能エネルギーでつくった電気を電力会社が購入する制度で、政府は太陽光発電の買い取り価格を4月から約1割下げることを決めた。

買い取り費用は電気料金に上乗せされ、利用者が負担する。太陽光パネルの価格下落などを踏まえて、買い取り価格を下げるのは当然の措置といえる。

だが、今回の下げ幅では不十分だ。太陽光の買い取り価格は当初の1キロ・ワット時あたり42円から38円になるが、風力の23円や地熱の27円に比べてまだ高すぎる。

原則年1回の価格見直しも、必要なら半年で行える。政府は発電資材の価格動向などをにらみ、機動的に改定すべきである。

買い取り制度は再生エネ普及が目的だ。太陽光や風力などの電気を10〜20年間にわたり一定価格で買い取ることで発電事業の収益安定を図る。その狙いはわかる。

ただし、買い取り費用が利用者の負担でまかなわれることを忘れてはならない。価格を安易に高く設定すると、新規参入が過剰に促進され、買い取りコストが急上昇する恐れがある。

実際に、買い取り制度で先行したドイツでは「太陽光バブル」といわれる参入ラッシュで電気料金が急騰し、問題になっている。

ドイツの一般家庭で電気料金に上乗せされる金額は毎月2000円近い。買い取り単価を4年で6割も下げたのに、中国製パネルの廉売などで太陽光発電の採算ラインが下がったため、参入に歯止めがかからないという。

日本の買い取り価格は、ドイツより2〜3倍も高い。制度全体の買い取り規模が小さいため、家庭の負担はまだ月100円ほどだが、油断は禁物である。

買い取り単価が下がらないうちに政府の認定を受けようと、駆け込み的な太陽光発電所(メガソーラー)の申請も相次いでいる。

買い取り対象となる発電所が急増する前に、価格を妥当な水準に下げておかないと、日本もドイツの二の舞いとなりかねない。

書類の認定だけで価格を確定する仕組みも疑問だ。価格が高い間に認定を受け、太陽光パネルが値下がりしてから設備を作る動きが懸念される。運転開始時の価格を適用するよう改めてはどうか。

中国のパネルメーカーが倒産するほど価格競争は激しいのに、日本の太陽光発電コスト低減への動きは鈍い。業者が高値での買い取り制度に甘え、安価な資材調達などのコスト削減努力をおろそかにしているのなら本末転倒だ。
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