2013年02月28日

[東京新聞] いじめと道徳 心に成績をつけるのか (2013年2月28日)

いじめ対策として政府の教育再生実行会議がまとめた提言は、冒頭に道徳の教科化を掲げた。「良い子」でいることを競わせ、成績をつけるのか。いじめの現実に立ち向かう手だてこそ考えたい。

安倍晋三首相に出された提言には多岐にわたる方策が盛り込まれた。例えば、いじめに対応するための法律を作る。学校は相談体制を整え、家庭や地域、警察と連携する。重大ないじめは第三者的組織が解決する。そんな具合だ。

どれも目新しくはないが、地に足の着いた中身だ。すでに先取りしている自治体さえある。絶えず実効性を確かめつつ仕組みを向上させてほしい。

とはいえ、筆頭に出てくる道徳を教科に格上げするという方策は、いじめの問題とどう結びつくのかよくわからない。いじめ自殺のあった大津市の中学校は道徳教育のモデル校だったではないか。

小中学校では週一回程度の「道徳の時間」が設けられ、副読本の「心のノート」を使って授業が行われている。教科ではないから成績評価はなされていない。

提言によれば、充実した道徳教育が行われるかどうかは学校や先生によって左右される。だから教材を見直して教科として位置づけ、指導方法を打ち出すという。

もちろん、子どもが成長に応じて思いやりの気持ちや規範意識を身につけることは大切だ。社会の構成員として高い徳性を培うための教育そのものに異論はない。

しかし、道徳が教科になれば検定教科書が用いられ、心のありようがテストされて順位づけされないか。国の価値観や考え方が押しつけられないか。心配になる。

国語や社会、算数とは違い、道徳とは体系立てられた知識や技術を習得するものではない。子どもが学校や家庭、地域で褒められたり、叱られたりして考え、感じ取っていくものだろう。学校の道徳教育はその一助にすぎない。

東日本大震災の光景を思い出してみよう。被災地では大きな暴動や略奪は見られず、人々は譲り合い、助け合って修羅場をくぐり抜けてきた。その姿は世界中に感動を与えた。日本の人々は道徳心をたっぷりと備えている。

いじめる子の心は根っから荒(すさ)んでいるのか。家族崩壊や虐待、貧困、勉強疲れからストレスを抱え込んでいるかもしれない。背景事情に考えを巡らせる必要がある。

大人の世界にもひどいいじめがある。道徳とは世代を超えて日々共に学び合うべきものだろう。
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[東京新聞] 国勢調査水増し 不正は住民を泣かせる (2013年2月28日)

愛知県東浦町の国勢調査での人口水増しでは、市に昇格したいという悲願が統計をゆがめる原因となった。逮捕された前副町長の指示による組織的な不正の疑いもある。うみを出し切ってほしい。

国勢調査の結果は、衆院議員の選挙区の区割りや地方交付税の算定など、国の重要施策を決める基礎データとして使われる。

前副町長は容疑を否認しているというが、高い信頼性が求められる統計を、行政自らがゆがめたとすれば、断じて許されない。

不正をしたのは、町から市への昇格のため、地方自治法で定められた人口五万人の要件を満たすためだったという。

確かに、市に昇格すれば、福祉や都市計画などの分野で、町より多くの権限が国や県から移譲される。企業誘致などもしやすくなり財政基盤も強固になろう。

東浦町は前町長時代の二〇〇八年に市制準備室をつくった。現町長も取材に「市になりたいのは職員共通の思い」と答えた。

だからといって、不正まではたらいて市昇格を望むのは、本末転倒である。しかも、前副町長の指示で組織的な不正があった疑いが強い。これでは、住民は行政を信じることはできない。

町が、事件発覚前に行った住民アンケートで八割以上が市制移行に賛成したというが、回収率は二割強にすぎなかった。もともと町と住民の間に市昇格について温度差はなかっただろうか。

前副町長が長年仕えた前町長は「市と町ではやはり、格が違う」と、しばしば口にしたという。八期の多選を重ねた前町長に周囲から「ぜひ初代市長に」という声も少なくなかったという。

住民サービス向上をうたいながら、前町長が市長の方が権威があると考えたり、町職員が権限を強めたいと思っていたとすれば、住民不在といわれても仕方ない。

衣が浦と緑の丘に囲まれた古い歴史を持つ町である。市格にこだわるよりも、その個性を生かした町づくりを進めたらどうか。

国の調査に対し、町は「組織的な水増しはなかった」と報告した。もしも内部調査の過程で意図的な不正隠しがあったのなら、ずさんな調査というレベルでなく、非常に悪質である。

現町長は再調査する方針だ。信頼回復に全力をあげ、住民が今でも市制移行を望むかどうかも丁寧に調べたうえで、新たなスタートを切ってほしい。
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[産経新聞] 1票差で補正成立 さらに政策ごとの連携を (2013/02/28)

今年度補正予算が成立した。早期執行で景気浮揚につなげてほしい。それとともに、衆参ねじれ下でも「参院否決」をはさまず予算成立が図られた点を評価したい。

与党の自民、公明両党は参院過半数に16議席足りない。当初は民主党などの反対で参院否決後、両院協議会などの手続きが必要とみられていたが、本会議では1票差で可決された。

日本維新の会や国民新党、新党改革に加え、離党届を提出済みの民主党議員やみどりの風の議員らが成立に動いたためだ。

国民の利益を守る予算や法律なら野党でも賛成すべきだとの現実的判断が重なったのだろうが、支持できる行動だ。各党は政策ごとの連携を一層進めてほしい。

成立した補正予算は、経済成長を通じてデフレ脱却を目指す「アベノミクス」の財政面での第1弾といえるものだ。景気浮揚の即効性が高いとされる公共事業を5兆円規模で盛り込んでおり、成果を確実に生み出すため、迅速な執行に全力を挙げねばならない。

安倍晋三首相は財政出動と金融緩和、成長戦略を「三本の矢」と位置付けている。来年4月予定の消費税増税の実施は今秋、景気動向により最終判断する。

ただ、公共事業の景気効果は長く続かない。継続的成長につなげるには、規制緩和など民間活力を引き出す成長戦略も欠かせない。こうした点は、来年度予算案審議などを通じて与野党が引き続き論戦を展開する必要がある。

野党の多くも補正予算の緊急性や必要性は認めていたが、採決時まで結果が読み切れないほど賛否は拮抗(きっこう)した。首相は「決められない政治から、決めることができる政治への一歩」と語った。

新たな第三極勢力として登場した維新の会は、政権与党に是々非々で臨む方針を掲げ、早々と補正予算への賛成を決めた。

民主党が、衆参ねじれという「武器」を手に審議引き延ばしで政府・与党に抵抗し、反対のための反対を行う従来の手法は国民から受け入れられないことを示している。憲法改正の発議要件緩和についても、自民、維新やみんなの党が協力する新たな枠組みの構築を求めたい。

内外の危機を克服するため、政策の実現に取り組む姿を国民が注視していることを、与野党ともに肝に銘じるべきである。
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[産経新聞] 韓国の裁判 法治国家の常識はどこに (2013/02/28)

長崎県対馬市の観音寺などから昨年10月に盗まれた仏像2体が韓国で回収された事件で、韓国の地裁はうち1体の日本への返還を差し止める仮処分決定を出した。

韓国の寺院が仏像は14世紀に同寺で作られたと主張し、「観音寺が像を正当に取得したことが訴訟で確定するまで日本に渡せない」との判断である。韓国仏教界から仏像が日本に渡った経緯の調査を求める声が出ていることも影響したとみられる。

しかし、昨年10月の窃盗事件と数百年も前の像の由来の問題とでは、全く次元が違う。日本から盗まれた仏像は速やかに日本に返還すべきだ。その上で、像の制作者や持ち主がどう変わったかなどは学術的な調査研究にゆだねるのが法治国家の常識である。

仏像は長崎県の文化財に指定されている。菅義偉官房長官が「外交ルートを通じて返還を求める」と述べたのは当然だ。韓国政府は文化財不法輸出入禁止条約と仮処分決定のどちらを優先させるか検討中とされるが当然、条約を履行して仏像を返すべきである。

この事件では、国指定の重要文化財の仏像も被害にあった。今年1月末、首謀者の韓国人の男が仏像を売りさばこうとしていたとして文化財保護法違反容疑で、韓国の警察に拘束された。韓国当局の捜査は評価したい。

韓国の世論には、反日的な言動なら何でも許されるという風潮が一部にある。今回の韓国の司法判断には、こうした世論に迎合した面があることも否定できない。

韓国の憲法裁判所は一昨年夏、元慰安婦の賠償請求権をめぐり政府が具体的な措置を講じてこなかったのは違憲との判断を示した。だが、請求権の問題は昭和40(1965)年の日韓基本条約の付属文書ですべて解決している。

にもかかわらず、韓国政府はこの違憲判断を受け、日本に慰安婦問題をめぐる賠償請求協議の開始を求めたり、国連で慰安婦問題は「未解決だ」と主張したりして、問題を蒸し返した。

今年初めには、ソウル高裁が靖国神社の門に放火した中国籍の男を「政治犯」と認定し、日韓犯罪人引き渡し条約に基づく日本への身柄引き渡しを拒否する決定を出した。韓国政府は条約を守らず、男は中国に帰国した。

韓国の裁判官には、国際法規の順守も求めたい。

「結局、反日路線に…」大阪・コリアタウンに不安 朴大統領就任
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[毎日新聞] 社説:イタリア総選挙 慢心への警鐘と捉えよ (2013年02月28日)

しばらく遠のいていた危機の足音が再び−−。混とんとした結果を生んだイタリアの総選挙は、浮かれ気味になっていた金融市場に、欧州の債務問題が依然として収束にほど遠いことを思い出させた。

ベルルスコーニ前政権下で失墜した国家の信用回復を目指し、困難な改革を進めてきたモンティ暫定首相だったが、その中道勢力連合が大敗したのは何とも残念だ。モンティ氏は、もともと政治家ではなく経済学者、実務家だったが、緊縮財政を実行し、一時は危険水準にあった国債の利回りを大幅に好転させた。

おかげで単一通貨ユーロの崩壊懸念は薄らいだが、皮肉なことに、これがイタリアの国民や政治家、欧州諸国の指導者らを慢心に導いたようである。有権者は改革に伴う痛みの緩和を求め、政治家は人気取りの政策になびき、ユーロ圏の指導者らも、危機感を緩めてしまった。その結果が今回の選挙だ。

だが、緊縮財政を攻撃した新党「五つ星運動」の躍進を、反ユーロ、反改革の勝利と結論づけるのは誤りだ。イタリアでは、依然としてユーロ支持が高く、改革の必要性を認めている国民も少なくない。

五つ星運動が予想以上の支持を得た原動力は、むしろ既成政党に対する有権者の不信と捉えた方がよい。国民に緊縮財政や構造改革を強いる一方で、不正やスキャンダルが絶えず、政治家自らが率先して痛みを受け入れようとしない現状への怒りをうまく吸収したのが五つ星運動といえる。インターネットを駆使して、「カネのかからない政治」の実現を訴え、特に若い世代から賛同を得た。

政治への信頼なしに、国民に負担増や痛みが降りかかる改革は成功しないということを物語っている。

選挙結果を受けて、新しい政権の枠組みがどうなるのか、予測するのは難しい。数カ月内に、再選挙となる可能性も低くないようである。それを視野に、各党が改革を更に緩めかねない人気取り策で競争するようでは、イタリア発ユーロ危機となって再び世界経済を混乱させよう。

財政再建や労働市場改革などは、イタリアの将来のために先送りできない課題だ。これまでの路線から逆戻りすることなく、同時に政治の安定化、コスト削減につながる選挙改革、政治改革を実行していくしかない。

イタリアでの選挙結果を受けて、スペインなど南欧諸国の国債利回りも久々に反騰したが、独仏をはじめとするユーロ加盟国は、慢心に対する警鐘と受け止めるべきだ。財政問題を抱えた国に緊縮を求めるだけでなく、ユーロ圏の財政統合など、単一通貨の信頼を高める歩みを加速させる必要がある。
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[毎日新聞] 社説:エジプト気球事故 世界遺産を襲った悪夢 (2013年02月28日)

古代遺跡の上空をゆらゆらと飛ぶ、のどかなはずの熱気球ツアーが暗転した。気球が火災を起こし、一直線に落下した時、乗客はどんなに怖かっただろう。何人かが客席から飛び降り、あるいは投げ出された後で、気球は地面に激突。日本人4人を含む19人が死亡した。エジプト南部ルクソールで起きた気球墜落事故は、悪夢のような出来事だった。

異常は、着陸寸前に起きたらしい。約20人の客が乗るバスケット(かご)にはガスボンベが積まれていたが、何らかの原因でガスが漏れ出し、乗客の頭上にあるバーナーの火が燃え移ったとの見方が強い。操縦士は火だるまになって真っ先に飛び降り、数人の乗客がこれに続いたという。軽くなった気球は急速に上昇し、他の乗客は進退に窮した。

専門家によると、気球は内部の熱を逃がせば下降を始める。その作業は通常、簡単なものだという。衣服などが燃えていたとされる操縦士には、そんな余裕はなかったのだろうか。操縦士としてのモラルの欠如や違法行為があったかどうかは、重傷を負って入院中の当人から詳しく事情を聴くしかない。

ただ、安全対策がお粗末だったことは否定できまい。ルクソールでは08年と09年にも、気球が電波塔に接触するなどして観光客が負傷する事故が起きたという。そして今回の重大事故だ。気球の事故はニュージーランドや日本でも起きているが、火災や爆発を伴う事故は異例である。

古代エジプトの遺跡が多く、世界遺産にも指定されているルクソールには、世界中から観光客が集まってくる。亡くなった日本人は、いずれも60歳代の2組の夫婦だ。子供からお年寄りまで安心して観光が楽しめるよう、エジプト当局はこの際、徹底的に安全対策を見直してほしい。

気球の装備も含めて、観光用設備の老朽化も心配だ。ムバラク政権の崩壊後、気球事業などを管轄する航空当局の検査体制が緩み、定期検査が毎週ではなく月に1度の割合になったとの声もある。モルシ政権としても体制引き締めは不可欠だ。

ルクソールでは97年、有名な古代遺跡「ハトシェプスト女王葬祭殿」で、イスラム原理主義の武装グループが自動小銃を乱射し、日本人10人を含めて60人以上の外国人観光客が殺害された。観光客の足を遠のかせ、エジプトの観光収入を減らそうとする犯行だった。

その後、「アラブの春」に伴うエジプト騒乱の時期を経て、やっと客足が戻ってきた直後の事故だった。テロと事故では事情が異なるとはいえ、古代遺跡の宝庫に危険なイメージがつきまとうのは残念だ。安全な世界遺産にすべきである。
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[読売新聞] 原発政策提言 規制委の独善に注文がついた(2月28日付・読売社説) (2013年2月28日)

民間の有識者らで作るエネルギー・原子力政策懇談会(会長・有馬朗人元文相)が安倍首相に緊急提言書を提出した。

政府に対し、安全が確認された原子力発電所を再稼働させ、責任ある原子力政策の再構築を求めた。「原子力から逃げず、正面から向き合う」よう注文もしている。妥当な内容である。

原子力発電所の長期停止で、代替の火力発電用燃料の輸入が急増している。コスト高で電気料金値上げの動きが広がり、産業や国民生活への影響は甚大だ。

首相は「原発ゼロ政策」の全面見直しを表明している。提言を踏まえ、新たなエネルギー政策の議論を急いでもらいたい。

提言は、福島の再生と国際標準の安全規制、適切なエネルギー政策の確立の3点を求めた。

東京電力福島第一原発事故で約16万人が避難を余儀なくされている。提言が福島再生を「エネルギー・原子力政策の出発点」と最重視したのはもっともである。

廃炉の技術開発と国際協力の拠点として、「国際研究開発センター」を福島県に設立することも提案した。具体化を急ぐべきだ。

注目すべきは、提言が、原発の安全を担う原子力規制委員会について「さまざまな懸念がある」と苦言を呈したことだ。

「リスクゼロという不可能な命題を目指している」「わが国最高水準の叡智(えいち)と現在得られる最大限の情報を活用した検討が実現していない」と批判している。確かに規制委の運営には問題が多い。

規制委は今、新安全基準作りや敷地内の活断層調査に取り組んでいるが、過去の原子力規制にかかわった専門家は排除している。

日本原子力発電敦賀原発の活断層調査でも、偏った人選の専門家会合で、活断層と認定する結論をまとめた。日本原電側に反論さえ許さなかった。提言が「事業者とオープンに意見交換すべきだ」と指摘したのは当然である。

島崎邦彦委員長代理は、活断層認定について、関係学会推薦の専門家にも検証させる方針だが、意見の異なる専門家を排除したままで検証を行うのは問題だ。

さらに、提言は、規制委に「原発再稼働のルールとスケジュールを明確にすべきだ」と求めた。

田中俊一委員長は「(再稼働の遅れによる)電力会社のコスト増は考慮しない」と繰り返している。だが、効率性、経済性を無視した原子力規制はあり得ない。

規制委は政治的に独立しているが、独善に陥ってはならない。
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[朝日社説] 消費増税―「益税」対策はどうした (2013年2月28日)

来春から予定される消費増税をめぐって、手つかずの課題がある。

消費者が払った消費税の一部が税務署に納められず、業者の手元に残る「益税」問題だ。

益税をなくす対策を講じないまま負担増を求めるのでは、納税者は納得しない。政権交代をはさんで消費増税に取り組む自民、公明、民主3党は肝に銘じてほしい。

日本の消費税にあたる付加価値税を導入している欧州諸国では、モノやサービスの取引ごとに税率や税額を記したインボイスをやりとりしている。これなら取引をごまかしにくい。

日本でも89年の消費税導入時にインボイス方式が検討されたが、請求書と帳簿を保存する方式に落ち着いた。税額は業者の計算に任せるやり方だ。

業者の手間を省き、複数の取引を1枚の納品書で済ませることも少なくない日本の実情にも合わせたという。ただ、インボイスによって取引が税務署に細かく把握されることを嫌う業者への配慮もあった。

商工業や中小企業の業界団体はインボイスに強く反対しているが、事務負担の軽減策を練りつつ導入を急ぐべきだ。

自公両党は消費税率が10%になる15年10月を目標に、食料品などの税率を低く抑える軽減税率の導入を検討し始めた。消費税率が複数になれば、なおさらインボイスが必要になる。

「デフレ下の競争激化で、中小の事業者は大手との取引にあたって消費増税分を転嫁できない」という不安があるなか、インボイスは転嫁をしやすくする効果も期待できるはずだ。

益税を生む原因はほかにもある。業種ごとに決めた「みなし仕入れ率」を使って納税額を計算する簡易課税制度では、実際の仕入れ率とずれがあり、多くの業種で益税が生じている。

売上高が一定額以下なら消費税を納めなくて済む免税点制度も、対象となる業者が消費税分を取っている場合がある。

両制度とも段階的に縮小してきたが、まだ不十分だ。とりわけ、欧州主要国と比べて対象が広い簡易課税制度の見直しは不可欠である。

消費税の申告漏れでは、経営に苦しむ中小事業者が消費税分を資金繰りに回している例が少なくない。

だからと言って、益税を大目に見るのは筋が違う。人手不足やシステム投資の回避を理由にインボイス導入を先送りするのも本末転倒だ。

税制にとって大事なのは、公平性と透明性である。
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[読売新聞] ハーグ条約 子供の利益守る制度を築け(2月28日付・読売社説) (2013年2月28日)

子供の利益が損なわれないよう、政府は適切な法制度と支援体制の整備に努める必要がある。

安倍首相は、国際結婚の破綻に伴う子供の連れ去りに対応する「ハーグ条約」への早期加盟を、日米首脳会談でオバマ大統領に約束した。

この条約には、欧米を中心に89か国が参加しており、国際ルールとして定着しつつある。主要8か国(G8)で唯一未加盟の日本も締結を急がねばならない。

自民、公明両党は、条約の承認案と関連する国内法案の国会提出を了承した。民主党も与党時代、加盟を推進する立場だった。与野党は今国会中の承認・成立に努力してもらいたい。

条約は、16歳未満の子供が片方の親に連れ去られた場合、もう一方の親が返還を求めれば元の国に戻すことを原則としている。

関連法案は、子供の返還を命令するための国内の裁判手続きや、条約を所管する外務省の役割などについて定めるものだ。

国会審議の焦点は、子供の返還を拒否できる条件である。

法案は、返還の申立人が子供や元配偶者らに暴力を振るう恐れがある場合などと明記する。元の国に戻った親や子供が家庭内暴力(DV)にさらされるとして加盟慎重論があることに配慮した。

だが、元の国でのDV被害を立証するのは容易ではない。この条件で十分なのかどうか、審議を尽くしてもらいたい。

欧米では、子供を連れ去った親を「誘拐犯」として訴追する場合がある。子供を連れて戻れば逮捕されかねない。こうした事情をどう判断するかも重要である。

法案は、担当裁判所を東京と大阪の両家庭裁判所に限定する。返還の申し立ては年数十件程度と見られており、裁判所を絞ることで審理のノウハウが集積しやすくなると判断したのだろう。

東京、大阪でなくても近くの裁判所から電話やテレビ会議での審理参加も認めるという。遠隔地に住む人の負担を抑えようという方針は評価したい。

日本が条約に加盟すれば、返還命令を受けた日本人の親子が、元の国に戻って親権を巡る裁判に臨むケースも出てくる。在外公館は邦人支援の一環として、現地の弁護士や支援団体を紹介するなどの措置を取ることが望ましい。

一方、日本から海外に連れ去られる子供についても、条約は適用される。外務省は、子供の返還を求める日本人に対する支援体制を整えるべきだ。
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[朝日社説] 民法改正―利用者の視点忘れるな (2013年2月28日)

私たちの日々のくらしに深くかかわる法律が、大きく変わろうとしている。

民法のうち契約や取引に関するルールを定めた条文を、時代にあったものにしようと検討を重ねてきた法制審議会の部会が「中間試案」を公表した。

だが、部会の中で意見が対立する事項が数多く残る。中間試案を見ても、「改正は不要」をふくめ、別の考え方が併記されているものが少なくない。

これをまとめるのは容易な作業ではないだろう。しかし個人であれ、企業であれ、経済活動をおこなうときに必ず関係する法律である。ねばり強く調整を進め、ぜひ、いいものに練りあげてもらいたい。

論点は多岐にわたる。中でも次のような案に注目が集まる。

▽賠償金を払うときなどの金利を、年5%から引き下げ、市場金利と連動させる。

▽不動産などの担保がない人が融資をうけるときに使われ、しばしば重い負担となる「個人保証」を原則無効とする。

▽企業が不特定多数と取引をする際に用いる「約款」について、どんな条件を満たせば有効か、ルールを明文化する。

これらの方向は支持できる。

だが、モノやカネの動きが鈍くなり、経済活動の足を引っ張ることになっては逆効果だ。どこに、どこまでの網をかけるか知恵をしぼってほしい。

忘れてならないのは、今回の改正の根底にある「民法を国民一般にわかりやすいものにしよう」という考えである。

19世紀末の明治時代にできたいまの法律は、構成も用語も難解なうえ、条文数は諸外国にくらべて極端に少ない。その穴を判例や学説で埋めてきた。

しかし「わかっているのは判例に通じた専門家だけ」というのは明らかにおかしい。人々に身近な法律だからこそ、人々が読んで理解できるものにする。当然のことわりではないか。

一部の弁護士や学者のなかには、「現行法のままで問題はない」として、民法の見直しそのものに異を唱える声が依然としてある。そこに、習得した知識や権益を守りたいという、よこしまな考えはないか。

実務に重大な支障がおよぶ。いま考えられている条文案は、判例の趣旨を正しく反映していない――。そういった本質にかかわることで意見をたたかわせるのは意義がある。だが「自分たちの利益」が顔を出せば、説得力をいちじるしく欠く。

法律は国民のためにある。この原点に立って、専門家の使命を果たしてほしい。
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2013年02月27日

[東京新聞] イタリア総選挙 同じ失敗繰り返すのか (2013年2月27日)

イタリア総選挙は、モンティ政権の財政緊縮策に厳しい審判を下す結果となった。欧州信用不安再燃を回避するためにも、政治空白を長引かせるようなことがあってはならない。

ギリシャに次いで財政危機に晒(さら)され国債金利が急騰、スペインと並び債務不履行の瀬戸際に追い込まれたのは僅(わず)か一年半ほど前だ。

その危機を乗り切ったのは、政治家の経験がない国際金融のプロ、モンティ氏をあえて首相に迎え、党派性を超えた緊縮政策を敢行する政治意思を示したからだ。

モンティ政権は、退職年齢や年金支給年齢の引き上げ、不動産増税などの財政再建政策を実行。欧州連合(EU)によるユーロ救済にも沿い、金融市場の信認回復に通じるものだったが、そのモンティ氏の中道連合は惨敗した。

条件付きながら緊縮財政継続を掲げた民主党ベルサーニ書記長率いる中道左派連合は、僅差で下院の過半数を制する票を得たものの、上院では過半数獲得に至らず、安定政権への道は今後の連立交渉に委ねられることになった。

買春事件や汚職疑惑など、醜聞まみれだったベルルスコーニ氏の中道右派連合は、財政緊縮策を批判し不動産税還付をうたうなど、大衆迎合的戦術で脱緊縮への庶民感情をとらえるのに成功した。

明確な勝者がいたとすれば、コメディアンのグリッロ氏が率いる「五つ星運動」だろう。既成政治家への不満を吸い上げ、いきなり上下両院で第三勢力の地位を確保した。主要メディアに頼らずネット発信を基本とし、ユーロ圏離脱を問う国民投票、反腐敗、環境重視を掲げ若い世代、女性票を引きつけるパターンは、他の欧州諸国でも広がる傾向だ。

欧州の金融危機は、新財政条約の合意、欧州安定メカニズム(ESM)発足などで一応の安定を回復しているが、加盟国で政治的混乱が深まれば、いつ国際的な信用不安の再燃につながってもおかしくない脆弱(ぜいじゃく)さを脱していない。

ギリシャとユーロ圏第三位の経済大国イタリアでは、同じ政局の混乱でも持つ意味合いは全く違う。緊縮政策への批判を受け、EUは域内総生産(GDP)の1%相当を景気刺激にあてる政策でも合意しているはずだ。政党指導者には、欧州の観点に立った責任ある議論を望みたい。

政治は政治家抜きで初めてまともに機能する−。不名誉な前例をイタリアがつくってはなるまい。
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[東京新聞] 日銀総裁人事案 空白期間をつくるな (2013年2月27日)

安倍政権が次期日銀総裁に黒田東彦(はるひこ)アジア開発銀行(ADB)総裁を充てる人事案を決めた。白川方明(まさあき)総裁と副総裁二人は来月十九日に辞任する。空白を生まぬよう国会同意を円滑に行うべきだ。

デフレ脱却に向けて、カギを握る重要な人事である。安倍晋三首相が掲げる三本の矢の一本目、「大胆な金融緩和」が実現するかどうかが、この正副総裁人事にかかっているといっていい。

日銀は先月二十二日の政策決定会合で、安倍首相の主張を受け入れる形で「2%の物価安定目標」を決めた。しかし、肝心の緩和策は、現状とほとんど変わらない「ゼロ回答」だった。大胆な金融緩和を「やる」と見せかけ、実は「やらない」面従腹背だったのだ。

考えてみれば当然だろう。白川総裁らの“日銀流理論”は「金融政策でデフレは克服できない」というのである。それゆえ大胆な金融緩和には及び腰で、結果的に十五年もデフレが続いてきた。

欧米の中央銀行に比べて緩和(お金の供給)が不十分だったから超円高にもなった。安倍政権が日銀流理論に凝り固まった正副総裁を金融緩和論者に代えるのは必然である。それでも政策決定会合は多数決のため、必要なら日銀法の改正も視野に入れるべきである。

黒田氏は、財務省で国際金融政策を担う財務官を三年半務め、二〇〇五年からアジア開銀総裁に就いている。デフレの原因は金融政策の失敗にあると日銀を批判し、世界標準といえるインフレ目標の導入を早くから主張してきた。

副総裁候補の一人、岩田規久男学習院大教授も、金融緩和論の急先鋒(きゅうせんぽう)で2%の物価安定目標の実現に自信を示している。もう一人の副総裁候補で日銀理事の中曽宏氏は、生え抜きとして日銀組織の精神的支柱になり得るであろう。

五年前の総裁交代では、野党民主党が官僚OB候補に反対し、総裁の空席期間が約二十日生じた。今回の人事案の報道を受けた週明け二十五日は株高と円安が一段と進み、市場に信認された格好である。「金融政策のレジームチェンジ(体制変革)」は安倍自民党が総選挙時から訴えてきたわけで、有権者と市場の支持を得たものをいたずらに政争の具としてはならないはずだ。

国会は、候補の所信を確かめ、円滑に同意人事を進めるべきである。問われるのは、総裁の出自や経歴ではなく、デフレから脱却する政策実行力である。
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[産経新聞] 教育再生 「熱血先生」の手足縛るな (2013/02/27)

政府の「教育再生実行会議」が、いじめと体罰問題に関する提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。道徳を正式な教科にすることや、いじめ生徒への懲戒にも踏み込んだ内容を評価したい。

一方、体罰問題については、やる気のある教員の手足まで縛ることのないよう、慎重に検討を重ねてほしい。

提言はまず、学校や教員によって充実度にばらつきがあった「道徳」について、「他者への思いやりや規範意識を育むよう」新たな枠組みで教科化することを求めた。実現を急いでもらいたい。道徳が正式の教科ではない現状こそ、異常なのだといえる。

いじめに向き合うため、学校や教育委員会には警察などとの連携協力態勢の整備を求め、重大な事案には第三者的機関が解決を図るとした。学校を「悪(あ)しき聖域」としないため、重要な提言だ。

深刻ないじめの被害者を守るため、加害児童・生徒を出席停止にする措置の活用など、毅然(きぜん)とした対応も求めている。おざなりな対応は許されないということだ。

体罰問題について提言は、国が部活動指導のガイドラインを策定することを求めた。懲戒として認められる対応と体罰の区別を明確に示すことも求めている。

気になるのは、自民党がまとめた「いじめ防止対策基本法案」の原案で、いじめを「児童・生徒に対して一定の人的関係にある者が行う心理的、物理的攻撃で、児童らが心身の苦痛を感じているもの」と定義したことだ。

これでは、教員による懲戒、叱責も「いじめ」と解釈される。

大阪市立桜宮高校バスケットボール部の「体罰」は、明確な暴力であり、言語道断だ。では、大声での叱責は体罰なのか。罰としてグラウンドを走らせることは、いじめなのか。拡大解釈を際限なく許しては、学校や教員に毅然とした対応を求めた提言の趣旨とも矛盾することになる。

産経新聞とフジニュースネットワークが先週末に行った世論調査では、教員やスポーツ指導者の体罰について、「一切認めるべきではない」の40・3%に対し、「場合によっては仕方がない」が57・9%と、大きく上回った。

荒れる学校現場や陰湿ないじめ問題に対処するため、「厳しい先生」の存在は必要であると、多くの人は敏感に感じ取っている。
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[産経新聞] 日銀総裁人事 速やかに国会での同意を (2013/02/27)

政府は次期日銀総裁に元財務官でアジア開発銀行総裁の黒田東彦(はるひこ)氏、岩田規久男・学習院大教授と中曽宏・日銀理事を副総裁とする人事案を近く国会に提示する。

衆参両院は3氏から所信聴取後、同意・不同意を採決する。手続きをいたずらに遅らせず、速やかに同意すべきだ。

自民、公明の両与党が過半数を得ていない参院で不同意が続き、候補が何度も差し替えられるという5年前の日銀総裁人事でみせた混乱を繰り返してはならない。

大胆な金融緩和と2%の物価上昇目標達成を担う日銀総裁は、脱デフレの要だ。その人事の停滞は回復の兆しが見える日本経済に冷水を浴びせることになる。

無論、全会一致で同意せよ、といっているわけではない。

「財務省OBは認めない」というみんなの党は、黒田氏の総裁就任に反対するという。そういう判断もあるだろうが、本人の資質はともかく、財務省OBであるというだけの「反対」が、広く国民の理解を得るとは思えない。

問題は民主党だ。党内には黒田氏らに反対する理由はないとの声が多い。一方で、黒田氏らの名が事前に報じられたことを問題視している。

事前報道された国会同意人事の提示は国会が拒否するというルールは撤廃された。ただし、事前報道があれば、政府に情報漏洩(ろうえい)の調査と報告を求めるとした。このため、安倍晋三内閣による漏洩の有無に関しての調査と報告がない限り、議論できないというのだ。

硬直的な反応ではないか。人物評価とは別の理由で不同意にしたり、採決を引き延ばしたりするようだと、存在感を示すだけの抵抗とみられても仕方ない。

5年前は結局、「総裁不在」という異常事態を引き起こし、日銀総裁人事まで政権揺さぶりに使う日本政治の姿を世界にさらした。二の舞いは避けねばならない。

25、26両日の金融・資本市場では、イタリア総選挙で反改革派が勢力を伸ばすとの予測が流れただけで、円は急騰、株価も大きく値を下げた。順調に見えるアベノミクスも基盤は依然もろいのだ。

ここで日銀総裁人事が政治的思惑で停滞するようだと、市場に無用の混乱を招く可能性がある。脱デフレに踏み出そうとしている日本経済に、政治が水を差すことは許されない。
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[毎日新聞] 社説:補正予算成立 国会で政策連合を競え (2013年02月27日)

緊急経済対策を盛り込んだ総額13.1兆円の12年度補正予算が成立、安倍内閣は最初のハードルを越えた。参院本会議でも野党の一部が賛成に回るなど1票差で可決され、国会の構図変化を印象づけた。

ねじれ国会の参院で民主党が決定権を握り抵抗するような戦術はもはや通用しない。与野党が多数派の形成を目指し政策連合を競い合う展開が今後、強まることは確実だ。とりわけ民主党には、早急に政策重視にかじを切るよう求めたい。

安倍内閣の順調な滑り出しを象徴するような参院本会議採決だった。補正予算案にはみんなの党なども反対していたため参院での否決後、憲法の衆院優越の規定に従い成立すると当初はみられていた。

ところが民主党の2参院議員が離党届を提出するなど参院の状況は変化している。日本維新の会など一部野党の協力を得たことなどで参院本会議では僅差ながら可決された。与党が政策ごとに野党と合意を形成する「部分連合」の大きな足がかりを得たといえよう。

序盤国会で民主党は政策重視をアピールしきれなかった。国会同意人事をめぐり当然廃止すべき「事前報道ルール」にいったん固執して批判を浴びた。日銀総裁人事をめぐっても黒田東彦氏の起用方針が事前に報道されたことに民主党は不快感を示している。政策、人物本位で判断する姿勢をなぜ、明確に打ち出さないのか。

今回の補正予算案採決では民主、みんな、生活、社民4党が公共事業費を削減する共同修正案を提出した。結局、否決されたが、政策別に連合し与党に対峙(たいじ)する取り組みを柱に据えるべきだ。

追い風に乗る形の安倍内閣だが、国会で民主党も含めた合意を形成する努力を怠ってはならない。通常国会で13年度本予算案審議が次の焦点となると同時に、政府・与党は個人番号利用法案(マイナンバー法案)など多くの懸案を抱える。参院選を控え会期延長の余裕は乏しいうえ、政権再交代の影響で本予算案の審議入りが遅れるなど、日程は厳しい。与野党の活発な政策協議が欠かせない。

安倍晋三首相による施政方針演説の中身が問われる。さきの所信表明演説は政策を総合的に説明する内容ではなかった。とりわけ、日米首脳会談で地ならしが進んだ環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については、参加意思を明確に表明すべきだ。

こう着状態が続く日中関係など首相の見解が改めて注目されるテーマは多いはずだ。安倍内閣のビジョンを国民に語りかけ、与野党の論戦につなげてほしい。
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[毎日新聞] 社説:いじめ体罰提言 今すぐできることから (2013年02月27日)

教育改革論議を進めている政府の教育再生実行会議が学校のいじめや体罰対策をまとめ、安倍晋三首相に第1次提言をした。

学校が解決できないいじめの通報を受け、解決する第三者的な組織。道徳の教科化。対策法の制定。加害生徒への毅然(きぜん)とした対応や懲戒、警察との連携。体罰のない部活動に向けガイドライン策定−−。こうしたことなどを挙げる。

政府がこの問題に強い懸念と危機意識を持ち、対応しようとするのは当然だろう。だが、今回を見る限りその提言は漠然として具体性に乏しく、実効性が見えてこない。

例えば、いじめ対策と道徳の教科化の結びつきはわかりにくい。道徳教育は道徳の時間だけではなく、学校教育のすべてを通じて行われるものとされてきた。いじめの発生と、道徳が教科でないということの関連づけに飛躍はないだろうか。

また教科となれば、評価や成績づけはどうするのか、そうしたことが道徳になじむのか、検定教科書は……とさまざまな課題が出てくる。

肝心なのは、今すぐできることから速やかに、かつ着実に対策を進めることではないか。

今回のいじめ対策論議の大きなきっかけになった大津市の中学生自殺問題で、詳細な検証をした第三者調査委員会の報告書は、問題の背景に教員の多忙を指摘した。

校内での仕事に優先順位をつけて「選択と集中」で仕分けすることや行事の精選を挙げ、教育委員会には学校現場への依頼文書や事項の整理を行うよう求めている。これはただちに進められることではないか。

書類づくりに追われ子供とじっくり向き合う時間がとれないということならば、本末転倒である。この「忙しすぎる先生」の問題は以前から指摘されてきた。また、教員のほかに専門スタッフを充実させることも有用だ。

加害生徒の出席停止や必要に応じての警察との連携は、これまでも可能だった。

それが必ずしも行われてこなかったのは、消極性や怠慢ゆえというだけでなく、その難しさや、ちゅうちょもある現場の苦悩にも目を向けるべきだろう。

いじめは発生認知件数の統計はあるが、未然に、あるいは初めに芽を摘んだという、机上論ではない実践例はなかなか表に出ない。

そうした体験や教訓を共有できる仕組みは作れないものか。

教育再生実行会議は早速次のテーマ、教育委員会制度改革の論議に入った。これは「自治」という戦後学校教育制度の基本理念ともかかわってくるテーマでもある。

熟議を望みたい。
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[読売新聞] 補正予算成立 意義ある参院での1票差可決(2月27日付・読売社説) (2013年2月27日)

衆参ねじれ国会の下でも、政府提出の案件が参院で可決できるという実績が現れた。

安倍首相が言うように「決められる政治への大きな第一歩」となるだろうか。

事業規模20兆円超に上る緊急経済対策を実施するための2012年度補正予算が、参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。

採決で野党の対応が分かれた。維新の会の他、国民新党、新党改革などが賛成し、民主、みんな、生活、共産、社民各党などの反対票をわずか1票差で上回った。

与党にとっては、個別の政策ごとに連携を図る部分連合が奏功したということだろう。

維新の会の存在が大きい。従来のような「何でも反対の野党」ではなく、是々非々で対応すると主張してきたが、補正予算の対応はその具体化の一つだと言える。

民主、みんな、生活、社民の4党は、補正予算案の修正案を共同提出し、否決された。今国会での初の野党共闘だった。

これに維新の会が同調しなかったことは、今後の国会攻防や民主党が呼び掛ける参院選への野党協力にも影響するかもしれない。

今回の補正予算で、デフレからの脱却に向けた安倍政権の経済政策「アベノミクス」の財政政策が動き出すことになる。

政府は、補正予算を13年度当初予算案とともに「15か月予算」と位置づけ、日本経済の本格回復を目指している。補正予算を早期に執行し、緊急経済対策の成果を上げねばならない。

補正予算による景気浮揚は、来年4月に予定される消費税率の8%への引き上げにも欠かせない。経済状況の好転が増税の条件であり、政府は今秋をメドに消費増税の可否を判断するからだ。

復興事業が本格化している東日本大震災の被災地では、生コンクリートなどの建設資材や建設作業員の不足で、公共事業の遅れが指摘されている。政府は、補正予算の執行状況にも十分目を光らせる必要がある。

民主党は、補正予算に反対する理由として「旧来型の公共事業の大盤振る舞いで、被災地の復興や真の経済再生につながるのか疑念が強い」と主張している。

無論、政府は事業内容を精査して、効率的な公共事業を実現しなければならない。

機動的な財政出動によって当面景気刺激策を優先すべきであるにせよ、財政健全化への取り組みも忘れてはなるまい。
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[読売新聞] イタリア総選挙 欧州危機の再燃を招かないか(2月27日付・読売社説) (2013年2月27日)

財政再建路線に対するイタリア国民の強い不満が表れた結果だ。政局混乱で、欧州危機が再燃する恐れが出てきた。

モンティ政権の改革路線の是非を問う総選挙で、反緊縮派のベルルスコーニ前首相の中道右派連合が、事前の予想を上回る議席を獲得した。

下院では、改革路線を大枠で支持する中道左派連合が議席の過半数を辛うじて制したが、上院では、いずれの政党連合も過半数獲得には至らなかった。

選挙結果を受け、日米の為替市場ではユーロが急落し、円高・ユーロ安が進んだ。世界各地の株式市場も軒並み株安となった。ユーロ圏3位の経済大国の財政再建後退に警戒感を示したものだ。

2011年秋に発足した経済学者モンティ氏を首相とする実務者内閣は、増税や年金改革などで財政赤字の削減を図った。労働市場に柔軟性を持たせる法改正など構造改革にも乗り出した。

市場の評価は高かったが、モンティ首相が進めようとした改革は、中道右派各党の支持を得られず、中途半端に終わった。

選挙で、中道右派連合は、増税見直しなど反緊縮の大衆迎合的な政策を掲げ、支持を広げた。

景気後退に陥り、失業率が増加したことに批判的な国民の受け皿になったと言える。

一方で、既成政党の腐敗体質を批判した新党が第3党に食い込んだのは、国民の間に根強い政治不信を反映している。

今後の焦点は、連立交渉を試みると見られる中道左派連合の政権作りだ。しかし、中道右派との大連立は、政策の隔たりが大きく、先行きは不透明だ。

再選挙で打開を図る可能性もある。いずれにしてもイタリア政治の混迷は長期化しかねない。

イタリアが、はたして政局を安定させられるかが問われよう。

ギリシャに端を発した欧州の財政・金融危機は、昨秋以降、欧州中央銀行(ECB)による大胆な国債買い取り方針などで、ようやく沈静化の兆しが見えていた。

ただ、マイナス成長に陥ったユーロ圏では実体経済の低迷は深刻で、今後の展開も波乱含みだ。

スペインでは金融不安がくすぶり、与党への不正献金疑惑も浮上している。9月にはドイツで、メルケル首相の欧州危機対応が争点となる総選挙が控えている。

ユーロ圏全体はもちろん、世界経済に悪影響を与えないよう、イタリアの改革が頓挫する事態は避けなければならない。
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[朝日社説] 日銀総裁候補―国債を引き受けますか (2013年2月27日)

安倍政権が日銀の正副総裁3人の後任人事案を決め、近く国会に提示する。

「金融政策の転換を実現できる人」と首相がこだわった総裁候補には、元財務官でアジア開発銀行総裁の黒田東彦氏が選ばれた。インフレ目標の設定が持論で、従来の日銀の政策を批判してきた。

副総裁には、強硬な緩和論者で首相ブレーンでもある学習院大教授の岩田規久男氏、日銀理事の中曽宏氏をあてる。

中央銀行の首脳はあくまで実務家だ。専門的な知見のほか、危機対応や組織運営の能力、市場や国際金融界との対話力も問われる。

与野党は国会で3人の考え方を問いただし、資質を見極めて可否を判断してほしい。

黒田氏に白羽の矢が立った背景として、国際金融での豊富な人脈が評価されたのは間違いない。諸外国がアベノミクスに伴う円安に警戒感を抱いているなかでは、なおさらだ。

ただ、いくら歴戦の「通貨マフィア」でも、日銀の独立性が疑われるような金融緩和を続ければ、海外からの批判をかわすことはできない。

そこで、黒田氏には以下のことを約束してもらいたい。まず国債の直接引き受けには断固として応じないこと。さらに、引き受けほど露骨ではなくても、日銀が政府の借金の尻ぬぐいに手を染めていると疑われる政策を避けることである。2人の副総裁候補も同様だ。

岩田氏は「2%のインフレは2年で達成できる」という。だが、金融政策だけで短期間にインフレを進めようとすると、副作用は大きい。国民も2%のインフレで経済が好転すると言われてもピンとこないだろう。

過去には、食料品や燃料などの生活必需品が高騰する一方、不要不急の製品は下落が続き、平均値であるインフレ率は横ばいのまま、生活弱者が圧迫される経験をした。

今回はどう違うのか。賃金の上昇との好循環にどのように結びつくのか。具体的な姿を説明してほしい。

岩田氏は学者として長く自説を貫いてきたが、実務家になる以上、むしろ自説がはらむリスクを幅広く捉え、予想外の事態にも対応できることを示す必要がある。

中曽氏は危機対応の経験が豊富で、国際金融界からの信頼も厚い。日銀の組織と業務を知り尽くす人材を首脳陣の一角に置くことは妥当である。過去の日銀の政策を批判する人たちも、現実的に判断すべきだ。
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[朝日社説] イタリア選挙―借金と民主主義の相克 (2013年2月27日)

イタリア政治が袋小路に入り込んでしまったかのようだ。下手をすれば、欧州発の金融危機が再燃しかねない。

5年ぶりの総選挙で、民主党中心の政党連合が下院で勝利した。モンティ首相が進める財政緊縮と改革を引き継ぐという。

しかし改革に反対する反緊縮派の諸政党が、上院で大きく議席を伸ばした。それにより、上院ではどの勢力も過半数を得ることができなかった。

この国の問題は借金まみれの財政だ。市場は政治が再び混迷するとの見方から、動揺している。ここで財政再建が滞れば、不安は世界に広がりかねない。各政党は、最大限の努力で打開しなくてはならない。

一昨年、ベルルスコーニ前首相と交代したモンティ氏は、政治家を含まない実務型内閣で立て直しを進め、国際金融市場から評価を受けた。だが国民に改革の意義を十分に示すことができず、批判にさらされた。

今回、下院で勝利した民主党のベルサーニ書記長は新政権への意欲を見せている。しかし、この国では首相選びに上下両院の承認が必要だ。

その上院では、反緊縮を訴えたベルルスコーニ氏の「自由の国民」と第1党を争っている。

新首相を選ぶ見通しは立っていない。政党は根気よく話しあい、政権作りへの必要な妥協をまとめなければならない。

第三の勢力として出現したのは、元コメディアンのグリッロ氏が率いる市民政党「五つ星運動」だ。国内を広く遊説して、左右の既成政党の特権と堕落ぶりを痛烈に批判した。

ベルルスコーニ氏が減税による金のばらまきで国民の歓心を買おうとするのとは違い、五つ星運動は、インターネットを利用した政治参加やユーロの是非をめぐる国民投票を訴え、市民の共感を集めた。

既成政党への市民の不信と怒りが、この新しい政党を後押ししたのだろう。しかし、新党が勢力を伸ばせば、政治が安定を取り戻すわけではない。

市場の要求と選挙で示される民意が食い違いを見せることは少なくない。ギリシャやフランス、スペインでも緊縮を求める政党が批判にさらされた。

国民に負担増を求めなければならない時代には、民主主義のあり方も常に刷新されなければならない。

そのために政治家に求められるのは、政界の腐敗を正すことはむろん、失業や年金削減への国民の怒りの声から逃げず、財政の緊縮がなぜ必要なのかを誠実に説明することだ。
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