2013年01月31日

[東京新聞] 代表質問 「原発」の議論 深めたい (2013年1月31日)

各党代表質問が衆院で始まった。経済再生は重要だが、安倍晋三首相が所信表明演説で触れなかった原発の存廃も避けて通れない論点だ。政府の姿勢をただし、議論を深めるのは国会の責任である。

まず質問に立ったのは、民主党を新たに率いることになった海江田万里新代表である。昨年十二月の衆院選での惨敗を受け、「全党一丸となって党改革を断行し、信頼いただける国民政党に生まれ変わり、政権に再挑戦する覚悟だ」と決意表明した。

民主党にとって信頼回復は厳しいが、党再生に力を尽くし、再び政権を争う政党になってほしい。

海江田氏は原発の位置付けがあいまいな安倍内閣のエネルギー政策を「後退」だと指摘し、野田前内閣が定めた、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するとした「革新的エネルギー・環境戦略」を引き継ぐのか否かただした。

これに対し、首相は、原発依存度の低減を目指すとしつつも、前内閣が定めた戦略は「具体的な根拠を伴わない」として「ゼロベースで見直し、安定供給、コスト軽減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築する」と答えた。

政権交代すれば、前政権の政策を見直すのは当然だとしても、過酷事故を起こせば人々の生活を脅かし、故郷を奪うことになる原発はなくすことが、多くの国民が抱く切実な思いだろう。

自民党は衆院選で原発稼働を堂々と掲げて政権復帰したわけでもない。政権公約どおり、再生可能エネルギー導入と省エネを進め、原子力に依存しない経済・社会の実現に努めるのが責務である。

残念だったのは、日本維新の会の平沼赳夫国会議員団代表の質問が、時間切れで原発問題にまで踏み込めなかったことだ。

草稿では「日本維新の会としては脱原発依存を掲げており」と明確にした上で、原発稼働は当面やむを得ないとの立場ながら、「中長期的かつ段階的に原発依存からフェードアウトし、次第に脱原発を達成することが望ましい」と訴えることになっていた。

原発の存廃をめぐり、石原慎太郎、橋下徹両共同代表間に意見の隔たりがあるとされたが、平沼氏が代表として国会で党の立場を明らかにしようとした意味は重い。

原発に依存しない経済・社会を実現するには与野党を超えた協力が必要だ。国民の生命と財産にかかわる重要政策で、党利党略などあってはならない。
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[産経新聞] 代表質問 まずは改憲条項の緩和だ (2013/01/31)

安倍晋三首相は所信表明に対する衆院代表質問で、憲法改正に関し「まずは多くの党派が主張している96条の改正に取り組む」と答弁した。

憲法96条は、改正の発議には「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」を必要としている。

自民党や日本維新の会は発議要件を2分の1に緩和する案を示しており、首相が「不磨の大典」の見直しを最優先すると表明した意味は大きい。

改正に慎重な公明党の説得などは残るが、賛同する勢力を増やすためにも、憲法改正への具体的な論議を深めてほしい。

アルジェリアの人質事件を受け、首相は海外で邦人が安心して活動するため、「必要な対策に全力で取り組む」と強調した。

資源開発などの最前線で活躍する日本企業や日本人の安全を確保するのは、国家として当然の責務である。今回の事件では、情報収集能力や防衛駐在官による軍同士のネットワークの不備などが浮き彫りになった。

また、自衛隊による邦人救出を困難にしている「安全の確保」の条件を前提にしている自衛隊法も改正を迫られている。

自民党幹部が早々と「国会日程に収まらない」と改正見送りを示唆したのは耳を疑う。首相は日本版NSC(国家安全保障会議)にも言及しており、国民を守るために必要な措置を取ってほしい。

憲法と同様、所信表明演説では触れなかった原発・エネルギー政策について、安倍首相は、民主党政権が2030年代の原発稼働ゼロに向けてまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」を、「ゼロベースで見直していく」との見解を表明した。

民主党の海江田万里代表は、安倍政権のエネルギー政策を「後退だ」などと批判したが、首相は「『戦略』は具体的根拠を伴わず、これまで協力してきた原発立地自治体や国民に対して不安を与えた」と主張した。

「いかなる事態でも国民生活や経済活動に支障ない」エネルギーを確保するには、電力の安定供給が不可欠であり、それには安全上問題のない原発の再稼働を進めていかなければならない。首相発言は妥当である。

立地地域の住民などの理解を深めるため、首相が自ら前に出ていく姿勢も重要になることを認識してほしい。
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[東京新聞] どうする核のゴミ<4> 日本でまねできるのか (2013年1月31日)

核のごみを埋めるオンカロ、正しくは「地下特性調査施設」の構造は、単純素朴。オンカロという名前の通り、巨大な洞穴、隠れ家というしかない。

フィンランドでは使用済み核燃料を再処理せずにキャニスターと呼ばれる筒状の容器に入れて、地下約四百メートルの結晶質岩中に閉じ込める。キャニスターは腐食にも荷重にも強いよう、銅と鋳鉄の二重構造になっている。

洞穴の坑道をバスで斜めに下っていくと、地下四百二十メートル地点に試掘の横穴がある。そこに五メートル間隔で、深さ八メートルの竪穴が並んでいる。キャニスターを差し込み、粘土で封をするための穴だ。

洞穴の中には、岩盤に生じた亀裂を示す黄色い線が縦横に引かれている。驚くことに、地下水がしたたり落ちているところもある。

竪穴は三種類。亀裂がなく、乾いた穴、多少水が染み出ていても何とか埋められそうな穴、水たまりができて使い物にならない穴=写真。水の出方は随分違う。水たまりができるようなところは、実際には使わない。

地質は古い。十六億年前からほとんど動いていない。オンカロを運営するポシバ社の地質学者、ユルキ・リーマタイネンさんは「この岩盤ができたあとで、欧州とアメリカ大陸が二度くっついて二度離れたよ」と笑っていた。

大地震の原因になるプレートの境界からもはるかに遠い。フィンランドの住人は、地面の揺れをほとんど感じた記憶がない。

穴の視察には世界中からやって来る。日本人が最も多いそうだ。だがオンカロを守っているのは、特別な技術というよりも、フィンランド固有の地質である。世界有数の地震国日本では、まねのできないやり方だ。

日本では二〇〇二年から、地層処分場を引き受ける自治体を公募しているが、適地は恐らく見つからない。

その国の自然や社会に見合う処分技術、管理手法を工夫すべきだとオンカロは教えているようだ。

(論説委員・飯尾歩)
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[産経新聞] 女子柔道の体罰 「愛のムチ」とはいえない (2013/01/31)

全日本柔道連盟は、園田隆二女子代表監督らによる選手への暴力行為を認め、謝罪した。戒告処分の園田監督は、代表監督に留任する。選手との信頼関係が崩壊したまま、次の五輪を本当に目指せるのか。処分は甘いといわざるを得ない。

昨年12月に日本オリンピック委員会(JOC)に届いた告発文は、ロンドン五輪代表を含む選手15人の連名によるもので、監督らによる「平手打ちや竹刀でたたく、足で蹴る」などの暴力行為を訴えていた。

国の名誉を背負って五輪などで勝利を目指す代表選手の強化と、学校教育における体罰問題を同列に論じるわけにはいかない。それでも園田監督らの行為は、とても「愛のムチ」とはいえない。

現実にスポーツの世界で、指導者による熱血指導で立ち直った、好成績に結びついたとの成功談を聞くことはある。

「愛のムチ」の存在まで全否定することはない。ただしそれは、師弟間に信頼関係があり、指導者の側にあふれる愛情があり、結果として事態が著しく好転した場合に限られる。

ロンドン五輪で日本女子柔道の獲得したメダルは金銀銅各1個にとどまり、前回の北京大会を大きく下回った。大会後にトップ選手が連名で監督を訴えるようなチームでは、勝利を目指す集団とは、ほど遠かったのだろう。

ロンドンで金メダルゼロの大惨敗に終わった男子柔道では、大会後に代表監督が交代した。

若い井上康生新監督は就任会見で、「先輩方の技術、練習方法を受け継ぐことも大切だが、時代は流れている。医科学的な視点を取り入れ、今の時代にあった戦略、戦術も考える。練習内容は大幅に変わる」と話した。

同じ姿勢は、女子柔道にも、他競技にも求められる。

全柔連は昨年9月に事態の一部を把握し、11月には園田監督が始末書を提出していた。JOCにも12月には告発文が届いていた。

だが、両団体とも、大阪市立桜宮高校の体罰が社会問題化するなか、報道があるまで問題を公表してこなかった。この隠蔽(いんぺい)体質も深く反省すべきだ。

講道館柔道の創始者で、日本人初の国際オリンピック委員会(IOC)委員の嘉納治五郎氏は、優れた教育者でもあった。先達の名を辱めてはならない。
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[毎日新聞] 社説:代表質問 まず経済で徹底論戦を (2013年01月31日)

安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。自民党が圧勝し、政権が再交代した衆院選から約1カ月半。民主党をはじめ野党の影がすっかり薄くなる中での国会論戦スタートである。

質問のトップに立った海江田万里民主党代表が「厳しい民意が示されたことを厳粛に受け止める」とまず反省の弁を口にしたのも、同党を取り巻く厳しい現状の表れだろう。ただし、海江田氏が目下の最大焦点である一連の「アベノミクス」に重点を置き、真っ向から論戦を挑んだ点は評価していい。

安易な国債発行は将来世代に対する負担の先送りではないか。政策メニューは歳出増加項目が目白押しだが、経済成長率を高く見積もり、税収増で賄おうという「つじつま合わせ」を考えているのなら無責任ではないか。公共事業に偏重した旧来型政策に効果は乏しく、財政赤字を膨らませてきただけではなかったか。金融緩和によって年2%の物価上昇目標は実現が可能か。あるいは雇用や給与はほとんど増えず、物価だけが上がれば実質賃金の引き下げになるなど副作用の懸念はないか−−。

海江田氏が挙げた疑問点は、私たちもこれまで指摘してきた通りだ。だが、残念ながら首相は道路特定財源の復活を否定したほかは、「できる限り」といった言葉を多用し、答弁は著しく具体性を欠いた。これでは首相が答弁の冒頭で自ら期待を示した「建設的で緊張感のある議論」とは到底言えない。

経済政策だけでない。自民、公明、民主3党で合意したはずの国会議員定数大幅削減に関しても、首相は「各党で協議を」と語るだけで素っ気なかった。原発をどうするかなどエネルギー政策のあり方や、今後の日中、日韓関係なども含めて、もっと踏み込んだ説明が必要だ。

各党が夏の参院選を見すえる通常国会だ。確かに民主党の立て直しは容易ではなさそうだ。だが、惨敗にぼうぜん自失している時は過ぎた。そして再建への第一歩は、政権を一度担当した経験を生かしながら、徹底した論戦を通じて新しい野党像を示していくことではないか。

海江田氏は「決める政治」を進めるとも明言した。不毛な与野党の足の引っ張り合いとは縁を切る決意の表明だろう。ならば当面、補正予算案に盛り込まれた公共事業に無駄なものがないか、詳細に調査してチェックすることに力を注いでほしい。

この日、質問に立った自民党の高村正彦副総裁も「これは無駄だという指摘があれば、真摯(しんし)に耳を傾ける」と語った。建設的な論議とはそういうものだ。与野党ともに新しい国会の姿を見せてほしい。
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[毎日新聞] 社説:女子柔道暴力 「戒告処分」でいいのか (2013年01月31日)

女子柔道のロンドン五輪代表選手らが全日本女子の園田隆二監督らから暴力やパワーハラスメントにあたる行為を受けていた。暴力を伴うスポーツ指導が学校の運動部活動だけでなく、オリンピックのメダル争いをするトップスポーツの場においても行われていたことになる。歴史と伝統ある競技団体として、全日本柔道連盟(全柔連)はおざなりの処分で済ますのではなく、原因究明と再発防止に向け、柔道ファンを含めた多くの人が納得するような実効的な対策を望みたい。

「女子日本代表チームにおける暴力及びパワハラについて」と題する告発文が昨年12月、15人の連名で日本オリンピック委員会(JOC)に提出され、全柔連が園田監督に聞き取り調査をしたところ、認めた。練習での平手、竹刀での殴打や暴言、負傷している選手への試合出場の強要などを挙げ、全柔連に指導体制の刷新を求める内容だという。

実はロンドン五輪終了後の昨年9月下旬にも「園田監督が暴力行為をしている」との通報が全柔連に入っていた。聞き取り調査の結果、全柔連は「ほぼ事実」と断定し、園田監督に始末書を提出させ、厳重注意処分で済ませていた。

その後、16年リオデジャネイロ五輪に向けて、園田監督の続投が決まったことで、選手たちは抜本的な対策をとらない全柔連への不信を募らせた可能性が高い。そして、統括団体であるJOCに対し、スポーツ界では極めて異例といえる集団告発に踏み切ったのだろう。

監督と選手という絶対的な上下関係の中で選手は監督の指導方針に従うことが要求される。少しでも異を唱えれば、海外派遣や強化合宿などの選手選考で不利益を被るかもしれないと選手は思いがちだ。そのため理不尽と思えるような指導に対しても我慢せざるを得ない。学校の運動部もほぼ同じ構図だ。

選手たちの勇気ある告発に対して全柔連は倫理推進部会を開き、今月19日付で園田監督と元強化コーチに文書による戒告処分を言い渡した。解任せず続投させる理由として本人が反省していることなどを挙げている。告発した選手たちはどう受け止めたか。

現職の警察官でもある園田監督の選手への暴力行為は、全柔連が把握しているだけでも10年8月〜12年2月の計5件で、半ば常態化していたことをうかがわせる。選手との信頼関係を再構築するため全柔連としてすべきことは、まず指導体制の刷新を検討することではないか。暴力排除の覚悟を疑われるような処分で済ませていては、いくらメダルを獲得しても国民に夢と勇気と感動を与えることなどできないだろう。
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[朝日社説] 女子柔道暴力―JOCが乗り出せ (2013年1月31日)

柔道女子のトップ選手が、監督やコーチから暴力を含むパワーハラスメントを受けたと日本オリンピック委員会(JOC)に告発していた。

ロンドン五輪のメダリストを含む15人による異例の訴えだ。

園田隆二監督は事実だと認めているのに、全日本柔道連盟は戒告処分にとどめ、留任させる意向だ。戒告とは、要するに文書と口頭での注意だろう。

誤った判断だ。

選手は、指導陣が留任したことへの不満を訴えている。信頼を失った監督が続けても、まともなチームに戻れない。

日本のお家芸だった柔道は、五輪でつねに金メダルを期待されてきた。監督にかかる期待は大きい。だからといって、熱血指導の名を借りた暴力やパワハラは許されない。

この世界の上下関係は、ただでさえ厳しい。五輪での活躍を夢見る選手たちは、代表を選ぶ権限が監督にあるから、嫌な思いをしても、泣き寝入りしがちな弱い立場にある。

園田監督が率いたロンドン五輪で、日本女子のメダルは3個だった。北京の5個、アテネの6個を下回った。

かつてスポーツ漫画で描かれた根性主義や精神論などで勝てるほど、スポーツの世界は甘くない。選手の意識も時代とともに変わっている。

大阪市立桜宮高のバスケットボール部で顧問から暴力を受けた主将が自殺した事件をきっかけに、スポーツ界と暴力の関係が噴出している。そうした体質は一掃すべきだ。

JOCの対応も鈍かった。選手たちは全柔連に窮状を訴えても状況が改善しなかったから、JOCに望みを託した。

JOCは選手に話を詳しく聴き、その内容を全柔連にただすべきだった。

しかし、積極的でなかった。強化合宿、海外遠征をひかえ、選手たちは事態が変わらないことに業を煮やし、JOCに自ら出向いて訴えたという。

それなのにJOCは今も、全柔連が主体になって問題を解決するよう求めている。

不祥事がおきた場合は、利害のない第三者委員会に調査をゆだねるのが筋だ。最近は企業や学校でもそうしている。

スポーツ基本法は「スポーツを行う者の権利利益の保護」をうたう。アスリートの多くは五輪を最高の目標に掲げる。東京がめざす2020年五輪招致も9月に開催都市が決まる。

世界の信頼を失わないためにも、JOCは解決へのリーダーシップを示す責任がある。
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[読売新聞] 春闘スタート 景気回復へ問われる労使協調(1月31日付・読売社説) (2013年1月31日)

安倍政権が日本経済の再生とデフレ脱却を目指す中、今年の春闘がスタートした。賃上げを巡る労使の攻防は一段と白熱するだろう。

連合は「個人消費の拡大には賃上げが必要だ。それがデフレ脱却につながる」として、定期昇給とは別に、給与総額の1%引き上げを要求した。

賃金水準は10年以上も低落が続いている。これが消費意欲を冷え込ませ、景気低迷とデフレをもたらす要因と主張している。

これに対し、経団連は「雇用確保が最優先。ベースアップを実施する余地はない」と反論する。労使の主張の隔たりは大きい。

今後、注目されるのは、デフレ脱却を最重視する安倍首相の方針が交渉にどう反映されるかだ。

首相は緊急経済対策を発表した今月の記者会見で「企業の収益を向上させ、雇用や賃金の拡大につなげたい。企業の経営者にも協力をいただきたい」と述べた。

賃上げした企業には、法人税を軽減する措置も打ち出した。

政府と日銀は2%のインフレ目標を決めただけに、賃金が上がらずに物価だけが上昇する「悪い物価上昇」を避けたいと首相は考えているのだろう。

首相の“援軍”は労働側には追い風だが、賃上げが実現するかどうかは不透明である。

何よりも重要なのは、企業の生産性を向上させ、賃上げできるよう経営体力を強化することだ。

長引く不況や海外メーカーとの競争など、産業界には逆風が吹く。依然として余剰人員を抱える企業は少なくない。

政権交代後、超円高の是正が進み、株価が上昇するなど明るい材料も見え始めた。ただ、同じ業種でも企業によって業績は異なる。体力のある企業から賃上げを実施するのも一つの方策だろう。

65歳までの再雇用も、今年の春闘の大きなテーマだ。

4月から希望者全員の再雇用が企業に義務付けられる。経団連は「人件費の増大が企業の大きな負担になる」との見方を示している。労使双方に望ましい制度とするため、議論を深めてもらいたい。

働き手の35%を占める非正規労働者の待遇改善も重要課題だ。

正社員に比べて低賃金で雇用が不安定な非正規労働者の増大は、消費低迷の要因でもある。

連合は非正規労働者について、正社員への転換制度の導入や昇給ルールの明確化を求めている。正社員との格差是正は、労働者全体の消費拡大にもつながろう。
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[読売新聞] 代表質問 経済再生へ建設的論戦深めよ(1月31日付・読売社説) (2013年1月31日)

現下の最重要課題である日本経済の再生へ、与野党は建設的な論戦を展開してもらいたい。

安倍首相の所信表明演説に対する各党代表質問が始まり、首相と民主党の海江田代表が初めて対決した。

海江田氏は、政府と日銀による2%の物価目標について、実質賃金の低下や長期金利の上昇など、「国民生活への副作用も無視できない」と懸念を示した。

政府の景気対策についても「公共事業に偏重した旧来型経済政策は効果に乏しい」と批判した。

首相は、金融緩和の副作用について「機動的なマクロ経済運営などで対応する」と反論した。景気対策では、財政規律にも配慮するとして、「財政健全化と経済再生の双方を実現する」と語った。

海江田氏の指摘には一理ある。だが、金融・財政政策と成長戦略の「3本の矢」を連動させる安倍政権の方針が好感され、円安・株高が続いているのは事実だ。

長年の課題であるデフレ脱却を実現するには、従来以上に強力な手段が求められている。政府と日銀がより緊密に連携し、景気にテコ入れすることが重要だ。

エネルギー政策では、海江田氏が「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す民主党政権の戦略を維持するかどうか質問したのに対し、首相は見直すと明言した。

電力の安定供給に必要な代替エネルギー確保の見通しがない中、見直しは当然だ。政府は、原発立地自治体や関係国と十分協議し、安全な原発は活用する方向で新戦略を策定する必要がある。

海江田氏は、民主党の役割について「自公政権のチェック機能を果たす」一方で、「政権運営の経験を持つ野党として『決める政治』を前進させる」とも語った。

妥当な認識だ。衆参ねじれ国会の下、参院第1党の民主党は、政治を動かす責任の一翼を担っていることを忘れてはなるまい。

以前の野党・民主党のように、国会同意人事などで政府を揺さぶることを優先するような「抵抗野党」の国会戦術は国民に評価されず、党の再生にも逆行しよう。

日本維新の会の平沼赳夫国会議員団代表は、政府・与党に「是々非々」で臨む考えを示した。経済政策などでは「首相の姿勢に共感を覚える」とエールも送った。

予算案や関連法案の早期成立には野党の協力が欠かせない。

安倍首相は「与野党の叡智(えいち)の結集」を呼びかけた以上、野党の主張にも耳を傾け、適切に施策に反映させる柔軟性が求められる。
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[朝日社説] 代表質問―なめられるぞ、野党 (2013年1月31日)

安倍首相の所信表明演説に対する代表質問が始まった。

政権交代後、与野党が論戦を交わす最初の舞台だ。自民、公明合わせて320議席を超える巨大与党に、野党がどう挑むかも注目された。

だが、きのうの衆院本会議での民主党と日本維新の会の質問を聞く限り、迫力を欠いたと言わざるをえない。

民主党の海江田万里代表は、経済の専門家らしく安倍政権の経済・財政政策の追及に多くの時間を割いた。

アベノミクスは、財政出動と公共事業に偏重している。2%の物価上昇は、国民生活に副作用を及ぼす――。

こうした懸念は、私たちも共有する。

では、民主党は政権時代の反省もふまえ、どうしたら経済再生が実現できると考えているのか。海江田氏は「グリーン、ライフ、農林漁業の3分野に予算を重点配分する」と従来の主張を繰り返すにとどまり、物足りなかった。

中国や韓国との関係改善をどう図るのか。普天間問題をどう打開するのか。これらについても海江田氏は首相の考えをただすだけで、具体的な対案を示すことはなかった。

環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加については、質問すらなかった。民主党内で賛否が割れているからだろうが、これでは政権に足元を見られてしまう。

実際、答弁に立った首相は「大変困難な状況の中で民主党代表に就任された海江田氏に敬意を表し、エールを送りたい」と余裕さえ見せた。野党として情けないではないか。

一方、維新の平沼赳夫・国会議員団代表は、首相が持論とする憲法改正や集団的自衛権の行使容認などにエールを送る場面が目立った。

自民党との保守連携をにらんでいる、と勘ぐられても仕方あるまい。

地方からの改革を訴えて野党第2党に躍り出た維新にとって、この日が国政のデビュー戦だった。平沼氏の保守色の強い主張や、安倍政権への親和的な姿勢に、違和感を覚えた支持者もいるだろう。

政権交代時代の野党の役割は、政権の暴走をチェックするとともに、説得力のある対案を示してその実現を迫ることにある。両党とも、その自覚が足りない。

国会は6月26日までの長丁場だ。これからの論戦で、ぜひとも野党としての気概を見せてほしい。
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2013年01月30日

[東京新聞] 13年度予算案 景気だけが優先課題か (2013年1月30日)

自民、公明両党が政権奪還後初となる二〇一三年度当初予算案を決めた。大胆な金融政策に続き、機動的な財政出動を目指したものだ。公共事業に偏重した財政規律や弱者配慮の面で疑問が残る。

税収見込みより新規の国債発行額が多い「異常事態」は四年ぶりに解消した。民主党政権時代の「政策的経費の七十一兆円枠」も維持した。見かけは財政規律に目配りしたように受け取れる。

しかし、決めたばかりの一二年度補正予算案と合わせ「切れ目のない十五カ月予算」との政府説明に従えば、予算規模は百兆円超、新規国債も四十八兆円を超えて借金膨張に歯止めがかかっていないのが実態である。税収見込みは四十三兆円だ。

当面は景気回復を優先して、歳出を拡大させるのはやむを得ないとしても、それが公共事業ばかり大盤振る舞いなのは明らかに問題だ。民主党政権は公共事業関係費を年々削減してきた。自民党が政権復帰した途端に、それが拡大に転じ、当初予算では15%増、補正を合わせると七・七兆円にまで膨張したのでは「コンクリートから人へ」から「コンクリートだらけ」になりかねない。急を要する事業ばかりではあるまい。

安倍政権の経済政策で最大のリスクは金利の思わぬ上昇である。国債発行増に歯止めがかからないと市場が疑念を抱けば、国債が売られ金利が上がりかねない。そうなれば利払い費の増加で財政は危機的状況に陥ってしまう。

所信表明演説で安倍晋三首相は「中長期の財政健全化に向けて基礎的財政収支の黒字化を目指す」と述べたものの、具体的な道筋には触れなかった。現状は「国債の元利払い」と「地方交付税」分しか税収では賄えず、社会保障など肝心の政策経費は新たな借金で賄わざるを得ない。収入がローン返済と仕送りに消え、日々の生活費は借金でということだ。

黒字化のためには財政構造を根本から変えなければならないはずだ。景気を回復させて税収を増やしていくと同時に、歳出規模を大胆に圧縮する必要がある。

ところが予算案で“大なた”を振るったのは、「自助」を名目にした生活保護の見直しだった。困窮者の最後の安全網である「生活扶助」に切り込んだのである。実施は参院選後の八月からというのも推して知るべしである。削られるべきは公共事業や、十一年ぶりに増額の防衛費ではなかったか。政権の目指す方向が表れている。
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[東京新聞] どうする核のゴミ<3> 権威が言えば信頼する (2013年1月30日)

核処分場オンカロのあるエウラヨキ町のハッリ・ヒーティオ町長は、口元に笑みを浮かべて言った。「オンカロを受け入れた最大の理由は、責任です」

エウラヨキには、国内四基の原発のうち二基がある。三基目はすでに原子炉建屋が出来上がり、四基目の計画も進んでいる。町内から出るごみだから、その処理も町内でという姿勢は、一見潔い。

処分場の候補地として文献調査に応じただけで、莫大(ばくだい)な補償が受けられる日本とは違い、直接の見返りは高率の不動産税だけしかない。それでも、雇用創出効果は高く、エウラヨキは税収の四分の一を原発関連に依存する。

オンカロを引き受けたから4号機が誘致できたと、町長も認めている。オルキルオトにも原発マネーはめぐっている。やはり、きれいごとではすまされない。

フィンランドには「原則決定」という制度がある。

オンカロなど重要な原子力施設を造る時には、事業者からの申請で、政府がまずその計画の是非を判断し、国会の承認を仰ぐ。大筋は、先に決まってしまうのだ。

自治体には拒否権がある。だが現実には政府の関与で比較的スムーズに事業は進むという。

原則決定をする時は、独立した規制機関の放射線・原子力安全センター(STUK)が、事業の安全性を判断する。

一九五八年設立のSTUKは「警察以上に信頼されている」(雇用経済省幹部)という。テロ・バルヨランタ所長は「隠し事がないからです」と言う。

「STUKが安全だといえば、それを信頼するしかない。一番の権威ですから」と、ヒーティオ町長は笑顔を消して話した。

信頼できる規制機関があるのはいい。でもどこか、日本とよく似た空気が流れていないか。

(論説委員・飯尾歩)

◆ご意見、ご感想をお寄せください。〒460 8511(住所不要)中日新聞論説室、ファクス052(221)0582へ。
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[産経新聞] 新年度予算案 「2.7%成長」達成が責務だ (2013/01/30)

■財政再建の道筋も明確にせよ

安倍晋三政権の経済政策の具現化である平成25年度予算案が閣議決定された。一般会計総額は92兆6千億円だ。日本経済の喫緊かつ最大の課題であるデフレ克服に向け、先に編成した総額13兆円を超える24年度補正予算に続く積極的な「一手」である。

強調したいのは、25年度の政府経済見通しである実質2・5%成長、物価変動を加味した名目2・7%成長の重みだ。16年ぶりに名目が実質を上回るとしたこの政府見通しは、物価上昇を見込んだものであり、政府のデフレ脱却への決意表明でもあるのだ。

≪「三本の矢」で総力戦を≫

安倍政権は当初予算を補正予算と合わせて「15カ月予算」と位置づけた。補正予算で踏み出したデフレ脱却に向けた歩みを着実にすることで、政府経済見通しを是が非でも達成せねばならない。

当初予算案には東日本大震災の復興加速策とともに、研究開発、医療やインフラ輸出といった分野で、税制と一体となって企業の活力を引き出す経済再生策が盛り込まれている。こうした施策が期待通りの政策効果をあげることが重要なのはいうまでもない。

補正予算編成にあたり麻生太郎財務相は民主党政権が定めた「国債発行44兆円以下」の枠にこだわらないと宣言、実際に24年度の国債発行額は52兆円に膨らんだ。

25年度当初予算案の中身で市場が日本の財政規律が緩んだと判断すれば、債務危機に陥ったギリシャなどと同様に国債価格が下落する恐れがあった。

これに対して安倍政権は「平成32(2020)年度で基礎的財政収支の黒字化」の目標堅持を明言した。当初予算編成では、国債発行額を前年度よりも約1兆4千億円減らして税収よりも少なくした。収入以上の借金をしない予算編成は4年ぶりだ。

このことは、野放図な歳出拡大路線を懸念した市場へのメッセージになったといえよう。

ただ、それも政府経済見通しの達成に依存していることを忘れてはならない。25年度の税収見通しと国債発行額の差はわずかだ。成長率が見通しを下回ると税収も下ぶれし、収入と借金が逆転する可能性は大きい。

しかも、名目2・7%成長は民間シンクタンクの予測と比べると高めの数値になっている。これについて政府は緊急経済対策の効果を加味したと説明しているが、綱渡りであるのは変わりない。

このハードルを越えるには安倍首相がいう脱デフレへの「三本の矢」の効果発揮が不可欠になる。補正予算案の早期成立と執行による財政出動、日銀の物価上昇率2%の目標実現に向けた金融緩和、成長戦略の策定と実行など、文字通り政官民一体となった総力戦が求められよう。

≪防衛費の増額は当然だ≫

同時に、国の借金が国内総生産の約2倍という危機的状況を考えると、財政健全化計画を急ぎ策定して、明確な歳出抑制の基準を国民に示さねばならない。

歳出にどう切り込むかも大きな課題だ。今回、社会保障関係費では生活保護給付額が3年間で670億円削減される。抵抗の大きかった地方公務員給与削減などで地方交付税交付金を約2千億円減額したのは評価できる。

歳出抑制の観点からみると、これで十分ではない。特に高齢化が進行し、急膨張する社会保障関係費の伸びの抑制は急務だ。先送りされた高齢者医療費の自己負担を1割から2割にする措置の確実な実施はもちろん、社会保障制度改革国民会議の議論などを通じて、制度見直しにどこまで踏み込むかが問われる。

こうした厳しい財政事情の中で防衛費が400億円増となった。11年ぶりの増額であり、南西方面の警戒監視、島嶼(とうしょ)防衛の強化を明確にした。十分とはいえないにせよ、沖縄県・尖閣諸島への領空・領海侵犯を繰り返す中国に対する安倍政権の基本姿勢を示すことはできたのではないか。

今回の予算案は政権復帰後、短期間で編成したという事情がある。今後も安倍政権は、経済再生と財政再建の両立という困難な道を歩くことになる。効果が期待できない公共事業の拡大など懸念材料はなお多いだけに、経済財政諮問会議が6月をめどにまとめる財政運営の指針「骨太の方針」で、その明確な道筋を示さなければならない。
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[毎日新聞] 社説:高校野球指導 「教育の一環」忘れずに (2013年01月30日)

プロ野球経験者が高校野球の指導者になるために義務付けられている「教員免許取得と2年間の実務経験」が撤廃される。今後は教員資格がなくてもプロ、アマ双方が実施する研修を受講すれば、元プロ選手が監督、コーチとして甲子園を目指すことが可能になる。プロへの不信と警戒感から「雪解け」に慎重だったアマ側にすれば今回の決断は画期的だ。信頼関係をより深め、球界の発展に寄与する契機としてほしい。

歴史を振り返ってみよう。戦前の「野球統制令」や戦後のプロ球団による引き抜きなどを背景に「元プロのアマ復帰」を原則認めない方針をアマ側が61年に決め、交流が途絶えた。数年前にはスカウト活動をめぐって複数のプロ球団が長年、アマ選手に金品を渡していた実態も明るみに出て社会問題になった。

その一方で、溝は徐々に埋まっていた。高校の指導者として復帰する道が84年、「教員の実務経験10年以上」という条件付きで認められ、その後「5年」「2年」と緩和されてきた。05年にはプロ選手の母校での練習が解禁された。

日本高校野球連盟が下した英断の背景には元プロの技術指導を望む高校生らの声があった。03年に始まったシンポジウム「夢の向こうに」は高校生があこがれのプロの現役選手から直接指導を受ける場として毎年各地で開催され、定着している。

「雪解け」をプロ側も歓迎している。引退後の生活に不安を抱えているプロ選手は多い。日本野球機構が先日発表したセカンドキャリアに関する意識調査によると、18歳から33歳の約7割が「不安」と回答した。引退後に一番やってみたい仕事として「高校野球指導者」は今回2位だが、前回までは1位だった。

自分を育ててくれた高校野球に「恩返ししたい」というプロ選手たちの気持ちは貴重であり、尊い。だが、「高校野球は教育の一環」として位置付けられている以上、引退後の就職先として選択するに際しては相応の覚悟と知識が必要だろう。「安易な受け入れは技術偏重を招くのではないか」と不安視する高校野球関係者も少なくないことに加え、そもそもプロ選手だからといって指導者としても適格とは決して言えない。

早ければプロ野球の13年シーズン終了後にも教員資格を持たない元プロ監督が誕生する可能性がある。大きな課題は研修の内容をどうするかだ。アマ側は断絶の歴史的経緯などを盛り込む意向だが、プロ側はどんな内容にするつもりか。今後は労組日本プロ野球選手会を交え、回数、講師の人選などを含めて詰める必要がある。間に合わなければ実施を延期することも検討すべきだろう。
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[毎日新聞] 社説:安倍政権の予算 財政再建の道は険しい (2013年01月30日)

来年度予算の政府案が決まった。4年ぶりに新たな借金(新規国債発行額)を税収以下に抑えたという。総額の実質増も何とか回避できた。景気対策と財政規律を両立できる政権だと訴えたい気持ちがにじむ。

だが、安倍政権の緊急経済対策などにより景気が大きく好転するという、期待に満ちた予測に支えられている点を忘れてはなるまい。さまざまな企業向け減税にもかかわらず、名目2.7%、実質2.5%という高い成長率想定のお陰で、税収は12年度より8000億円近く増える計算になった。

一方、新たな借金は43兆円弱と、民主党政権時のルールだった「44兆円以内」が守られた形だ。しかしこれも、金利は上がらないという希望的見通しのお陰と言えそうだ。

財務省は昨年9月に概算要求した際、国債残高の増加と金利上昇への備えのため、国債費を過去最高の24.6兆円とはじいていた。国債費とは、国が過去に借りたお金の返済や利払い費のことである。ところが予算案では22.2兆円に圧縮された。

想定金利を下げたためだ。

景気の好転を予測するなら、むしろそれに伴う金利上昇を織り込むべきだろう。だが概算要求時(2.2%)よりも12年度の想定(2.0%)よりも低い1.8%に設定した。最近の市場金利を反映したとはいえ、ある程度の状況悪化に耐えられる予算にしておくのが、健全な財政の発想ではないか。経済危機対応の予備費を省いて約1兆円を浮かせた結果でもあり、税収が借金を上回る「正常な状態の回復」(安倍晋三首相)と胸を張れる話では到底ない。5.5兆円もの建設国債発行を伴う大型の12年度補正予算と合わせて考えれば、財政健全化を重視した予算編成だとは言えない。

予算の中身はどうか。生活保護の支給基準が引き下げられる一方、公共事業費は前年度比16%の伸びとなった。1年分に相当する公共事業費を補正予算に盛り込んだばかりというのに、である。質より量、人よりコンクリートとならないか心配だ。

防衛費も11年ぶりに増額された。老朽化した道路や橋などの整備も、防衛体制の強化も、厳しい財政状況を考えれば、国民の理解を得ながら進めていく必要があるだろう。

久々の円安と株価上昇で、変化の兆しも見える日本経済である。しかし勝負は成長を持続させられるかどうかだ。日銀が大規模な緩和を続ける中、放漫財政への不安が広がれば、悪い金利上昇(国債価格の急落)が起こり、成長のシナリオは崩れてしまう。野党には、国会論戦を通じ、安倍政権の財政再建方針を厳しく問いただしてもらいたい。
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[読売新聞] 13年度予算案 デフレ脱却へ問われる積極策(1月30日付・読売社説) (2013年1月30日)

◆中長期の財政健全化を怠るな◆

積極財政で景気テコ入れを狙った予算である。安倍政権が最重視する経済再生とデフレ脱却への実行力が問われる。

政府が2013年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は92・6兆円で、7年ぶりの減額予算となった。

歳入では、税収が4年ぶりに新規国債発行額を上回った。歳出も各省庁の政策的経費を70・4兆円に抑えたのがポイントである。

麻生副総理・財務相は記者会見で「財政政策の枠組みを頭に置いて編成した。引き締まった予算になった」と述べた。

◆消費増税へ景気回復を◆

ただし、4・4兆円に大幅増額した別枠の復興予算と合わせると、過去最大規模である。

安倍政権は、12年度補正予算案と13年度予算案を「15か月予算」と位置付け、切れ目のない財政出動を目指している。

来年4月の消費税率引き上げを今秋に最終判断する上で、確実に景気回復を成し遂げたい考えだ。超大型予算の編成で、環境整備を図ることはやむを得ない。

だが、来年度の国債依存度は46・3%となり、国の歳入のほぼ半分が借金だ。国と地方の長期債務残高も来年度末に977兆円に達する。国内総生産(GDP)の2倍に相当し、財政危機のギリシャをしのぐ債務大国だ。

先進国で最悪の財政状況を深刻に受け止めねばならない。

問題なのは、民主党政権が編成した12年度当初予算より規模を抑え込むため、様々な手法でやり繰りしたことだ。

歳出規模の圧縮は、1兆円近い経済危機対応の予備費の全廃や、各省庁が今年度補正予算案に支出を前倒しした影響が大きい。

政府は来年度経済見通しについて、民間予想よりかなり高い実質2・5%成長とし、税収を多めに見込んだが、安定成長の実現は不透明である。

基礎年金の国庫負担分を賄う国債を別扱いにしたのも、国債発行額を抑える弥縫(びほう)策ではないか。

歳出面の切り込みも不十分だ。公共事業費は前年度比で約7000億円多い5・3兆円を計上した。老朽化した道路や橋などの改修は必要としても、「国土強靱(きょうじん)化」の名の下に、非効率な事業を増やすことがあってはならない。

◆公共事業は精査が必要◆

景気への一時的なカンフル剤である公共事業に頼るだけでなく、政府は企業の競争力を高める成長戦略を強化し、経済を成長軌道に乗せることが重要である。

民主党政権が削減した土地改良事業費を積み増し、農家の戸別所得補償制度も名称を変え、前年度並みの予算を計上した。これではバラマキに他ならない。一層の市場開放に備えた農業の体質強化につながるのかは疑問だ。

その他の支出項目でも、財政の硬直化が一段と鮮明になった。

自然増などで社会保障費は約29兆円に膨らみ、生活保護費を小幅削減する程度にとどまった。年金や医療費の給付抑制など、さらなる圧縮が必要である。

安全保障分野では、首相の意向を反映した予算が目立った。

防衛費を11年ぶりに増額した。沖縄・尖閣諸島をはじめ、日本の領土と領海を守る意志を明確にしたことを評価したい。

南西防衛を重視し、警戒監視活動や離島防衛の対処能力を強化するもので、妥当な内容だ。

◆評価できる防衛費増◆

政府は年内に新たな防衛大綱を策定する。来年度予算限りとせず、中長期的に自衛隊の体制を改革・拡充することが必要だ。

海上保安庁予算も6年ぶりに増えた。このうち、巡視船艇と航空機の整備費などは前年度比4割増となり、人員も増やす。

尖閣諸島を巡り、中国の挑発行為が続いている。海保の巡視船艇はこれまで「スクラップ・アンド・ビルド」が原則だったが、増加に舵(かじ)を切ったことは適切だ。

今後の重要課題は、中長期的な財政再建の道筋を早急に付けることにある。財政規律が緩んだままでは、日本国債に対する国際的な信認を失いかねない。

地方公務員の給与引き下げを念頭に、地方自治体に配分する地方交付税を6年ぶりに削減したのは一歩前進と言える。

安倍首相は、民主党政権が掲げた「20年度に基礎的な財政収支を黒字化する」との政府目標を踏襲したが、このハードルは高い。

消費増税を柱とする税制改革で財源確保を図るとともに、歳出合理化が不可欠である。成長と財政規律の両立という重い課題を克服しなければならない。
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[朝日社説] 中国大気汚染―改善は日中の利益だ (2013年1月30日)

中国の大気汚染が深刻だ。北京などの広い範囲が、有害物質を含んだ濃霧にたびたび覆われている。

ひとごとではない。中国の汚染が風に流されて日本に影響する「越境汚染」も起きている。両国経済は緊密で、中国で暮らす日本人は14万人に上る。

中国政府は、改善を急ぐべきだ。日本が優れた環境技術で協力すれば、双方の利益になる。

尖閣諸島の問題で関係はぎくしゃくしたままだが、こうした面での協力はどんどん進めるべきだ。両国の関係を前に進める力にもなり得る。

ひどい大気汚染は、今年始まった話ではない。

問題になっている汚染物質は直径が千分の2・5ミリ以下の微小粒子状物質、PM2・5だ。

粒が小さいため、呼吸器の奥深くまで入り込み、ぜんそくや肺がんなどの病気にもつながるとされる。

自動車や工場の排ガス、暖房用ボイラー、火力発電所などが主な発生源だ。暖房が多く使われ、空気が滞る気象条件が重なる冬場に悪化しやすい。

汚染がひどいときは学校が屋外での活動をやめるなど、日常生活にも支障が出ている。

経済成長に突き進んだ中国では日本の高度成長期のように、環境対策は置き去りにされてきた。もうけを優先し、規制を守らない企業も多い。

だが、環境に対する市民の意識は大きく変わりつつある。

中国政府はもともと、PM2・5の数値を明かしていなかった。ところが、北京の米大使館が独自に公表していた数値に市民の関心が高まり、政府も発表せざるを得なくなった。

環境への影響を心配して、工場建設に反対する運動も、各地で相次いでいる。

中国政府は、成長一辺倒から生活の質を重視する方針を掲げるようになり、省エネや環境分野での外資導入も奨励する。昨年11月の共産党大会では「エコ文明建設」が強調された。

公害に取り組んできた日本の経験は、中国にとって大いに参考になるはずだ。中国への政府の途上国援助(ODA)はほとんど打ち切られたが、民間で出来ることも多い。

日本の自治体が呼びかけ、中国との環境ビジネス拡大を目指す動きも出ている。先端技術を守る工夫は必要だが、日本企業にとってビジネスチャンスでもある。大学など研究機関の連携も有益だ。

日本政府はODAで培った経験も生かし、積極的に橋渡しや後押しをするべきだ。
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[朝日社説] 新年度予算―「正常」にはほど遠い (2013年1月30日)

公共事業費は12年度当初予算並みを確保し、先の補正予算と一体で「国土強靱(きょうじん)化」に走る。防衛費を11年ぶりに増額する一方、生活保護費は抑え込む。

安倍政権による13年度予算案が決まった。

一般会計の総額は約92兆6千億円。12年度当初予算から実質的に約3千億円減らした。

財源不足を補う新規国債の発行額は43兆円弱で、民主党政権の「44兆円枠」を下回る。税収(43兆円強)が国債発行額を上回るのも、民主党政権をはさんで4年ぶりだ。

安倍首相は「やっと正常な状況を回復できた。財政規律にも配慮した」と語った。

いやいや、とんでもない。正常にはほど遠い。

国債発行額は、小泉政権が掲げていた「30兆円枠」の1・4倍だ。過去の借金を乗り換える「借り換え債」を含む国債の総発行額は170兆円を超え、過去最高の水準が続く。

税収見込みの根拠となる名目経済成長率は2・7%、総合的な物価指数は16年ぶりにプラスと予想した。アベノミクスの効果が出るという見立てだが、民間の調査機関は「高すぎる」と懐疑的だ。

「15カ月予算」のからくりもある。民主党政権が大幅に削った農業関連の公共事業で、年間予算の8割を補正予算に前倒し計上するなどして、13年度予算のスリム化を演出した。

補正と合わせると、施設費を含む公共事業費の総額が10兆円を超すことに注意すべきだ。

多額の国債発行を続けつつ、日銀に金融緩和の強化を求め、その日銀が国債の購入に努める――。「中央銀行が政府の資金繰りを助けている」との疑念を招きかねない構図は、確実に強まっている。

国会の役割は大きい。首相のいう「機動的な財政政策」のもとでバラマキがないか、徹底的にチェックしてほしい。まずは補正予算案だ。公共事業費が焦点になろう。

政府は、財政再建の工程表づくりを急ぐ必要がある。

国債関係の収入と支出を除く「基礎的財政収支」について、安倍政権も「15年度に赤字を半減、20年度までに黒字化」という歴代政権の目標を受け継ぐ。

消費増税の決定で赤字半減への道筋は見えつつあるが、黒字化のメドは立っていない。

「目標は守る」と繰り返していれば許される状況ではない。経済成長による税収増と歳出削減、さらなる増税をどう組み合わせるのか、具体策が問われている。
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2013年01月29日

[東京新聞] 安倍首相演説 デフレ脱却に偏っては (2013年1月29日)

デフレ脱却は喫緊の課題だが、それで懸案がすべて解決する「魔法の杖(つえ)」ではあるまい。安倍晋三首相の所信表明演説。経済を本格的な回復軌道に乗せ、社会を豊かにする具体策こそ聞きたかった。

今回の所信表明演説は、落語でいえば「まくら」のようなものかもしれない。字数でいえば約四千七百字。二〇〇〇年の森内閣以降では四番目の短さだという。一三年度予算案提出に伴う施政方針演説が二月下旬にも行われるため、詳しくはそちらを聞いてくれということなのだろう。

それは分からないでもない。演説は簡にして要が鉄則だ。

とはいえ、大方針を語るだけで具体的にどうするかに触れなければ、やはり聞く人を納得させることはできまい。その点については満足できるものとは言い難い。

首相は日本経済、東日本大震災からの復興、外交・安全保障、教育という四つの危機の突破に邁進(まいしん)する決意を強調し、特に経済の再生を「わが国にとって最大かつ喫緊の課題」と位置付けた。

日本経済を長年苦しめてきたデフレからの脱却は、持続的な経済成長を取り戻すための大前提であったとしても、それだけで直面する懸案をすべて解決できるような幻想を与えるべきではなかろう。

例えば、円安、株高でデフレを一時的に脱却できたとしても、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるには、成長分野への民間投資を促すような政策誘導が必要だ。

そのためには規制を大胆に取り払う政治決断も必要になる。官僚や業界など既得権益層に配慮する「古い自民党」が規制改革を邪魔することがあってはならない。

社会保障も同様だ。少子高齢化社会を迎え、給付水準を維持、引き上げるには負担を増やす必要があるが、デフレのままでは所得も増えないから、負担増もできないという論法なのだろう。

それも一つの要素だが、デフレ脱却と並行して社会保障制度を社会の構造変化に合わせて変えていかなければ、持続可能な制度にはなるまい。

所信表明演説から「国家財政の危機」が抜け落ちたことも気になる。国と地方の借金は合計一千兆円近い。デフレ脱却で税収が増えても、行政が無駄遣いを続ければ財政健全化は程遠い。行革の具体策と首相の決意を聞きたかった。

危機克服に特効薬はなく、一つ一つ問題を解決するしかない。デフレ脱却は必要だが、それに偏重しては国を誤る。
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[東京新聞] どうする核のゴミ<2> “共存の歴史”が決めた (2013年1月29日)

オンカロは、なぜオルキルオト島にあるのだろうか。

「それは長い物語」と、オンカロを建設するポシバ社コミュニケーション・マネジャーのティモ・セッパラさんは話し始めた。

一九七九年、オルキルオト原発が運転を開始した。実はこの時、フィンランド政府は、五年間しか運転許可を出していない。その間に使用済み核燃料の最終処分計画を立てなさい。でなければ、許可は更新しない。つまり、運転の継続を認めないという強いメッセージを、電力会社に発していた。

八三年、処分場選定までの行程表を政府が提示した。二〇一〇年までに、処分場を決めて、建設許可を取るように、と。

電力会社は当初、核のごみは、海外で処分してもらえばいいと考えていた。もう一つのロビーサ原発は、十年にわたってロシアへ持ち込んだ。

だが、九四年の原子力法改正で、その道を封じてしまう。使用済み核燃料の輸出入を禁止したのだ。背景には、長い間支配を受けた隣の大国ロシアに対する根強い不信があった。

原発を運営する二つの電力会社はその翌年、ポシバ社を設立し、処分場建設の体制を整えた。

電力会社による処分場の候補地探しは、八三年に始まっていた。フィンランド全土を五〜十平方キロのブロックに分け、文献などから地質や周辺環境を考慮して百二カ所の調査エリアを決めた。

ポシバ社が、そのうち五カ所でボーリング調査などを実施して四カ所に。その中で住民が受け入れに好意的だったのがハーシュトホルメンとオルキルオト、つまり原発のある自治体だった。

九九年、最終的にオルキルオトが残った理由の一つは、オルキルオト原発の方が、廃棄物の排出量が多く、移送費用がかからないから、だったという。

「原発との共存。それが決め手でした」と、セッパラさんは振り返った。本当にそれでよかったのだろうか。(論説委員・飯尾歩)
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