2012年06月30日

[東京新聞] レバ刺し禁止 食の文化も忘れずに (2012年6月30日)

食品衛生法の基準が変わり、明日から牛の生レバーが食べられない。安全は最優先だ。だが、生食に代表される食文化も守りたい。おいしさをどのように伝えていくか。これを機によく考えたい。

二年以下の懲役、または二百万円以下の罰金。レバ刺しを提供した飲食店は、このような重い罪に問われることになる。

事の発端は昨年四月、北陸の焼き肉チェーンで、ユッケなどを食べた五人が死亡した食中毒事件である。この時、生食用肉提供の基準はあっても強制力がなく、規制が形骸化していたことが問題視され、批判を受けた厚生労働省は、厳罰化へと一気に舵(かじ)を切る。ユッケの場合、表面は加熱するよう義務付けた。

一連の調査の中で、牛の肝から腸管出血性大腸菌O157が見つかった。胆管から肝臓内部に入り込んでおり、加熱では処理できない。このため厚労省は、ユッケより重い提供禁止の断を下した。

食べ物としての生肝(なまぎも)は万葉集にも登場する。滋養が高く、権力層に好まれた。戦前にも、モダンな食材として、洋食店のメニューに載った。最近では、美容にいいと「ホルモンヌ」と呼ばれる若い女性の間にも広まった。

O157の危険を否定するわけでは無論ない。しかし、食べ物は文化でもある。長く、多くの人に親しまれてきた食材が、一片の通知で簡単に葬り去られてしまうことには違和感がある。

昨年一年間に発生した食中毒のうち、牛レバーの占める割合は約1%。生鮮魚介類によるものの二十分の一以下だ。生卵のサルモネラ中毒よりも下回る。

生食は、日本食文化の華だ。禁止の波が「卵かけご飯」に及ばないとも限らない。米国では生卵の提供が原則禁止されている。すき焼きに生卵は添えられない。折しもカリフォルニア州では一日から、世界三大珍味の一つ、フォアグラが出せなくなる。飼育法が残虐だからという。

口に入れるものである以上、食品に危険はつきまとう。私たち消費者は、食べ物に対して受け身になりすぎてはいないだろうか。どれほど知っているのだろうか。危険すなわち禁止では、かえって正しい食習慣や選択眼が身に付かない恐れもある。消費者も食文化の担い手なのだ。

国などが食に関する正しい情報を提供し、業者、消費者はそれを正しく学んで、実行する。禁止は最後の手段である。
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[東京新聞] イラン核問題 外交解決の余地はある (2012年6月30日)

イランの核問題をめぐる協議が行き詰まっている。ウラン高濃縮を断念しないイランに対し、米欧は経済制裁を強化する。緊張はさらに高まるが、対話の窓口を閉じてはならない。

欧州連合(EU)は七月一日からイラン産原油の全面禁輸に踏み切る。米国は既にイラン中央銀行に対する金融制裁措置をとった。日本は原油輸入を大幅に削減して、米欧に協力している。

イランと、国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた六カ国による協議が六月中旬、モスクワで開かれたが、進展はなかった。

六カ国側は核兵器製造につながる濃縮度20%のウラン生産の停止と、中部フォルドゥの地下核施設の閉鎖を求めた。イランは「民生用原子炉の燃料とする平和利用だ」と主張した。一時は20%濃縮を中止する意向もほのめかしたが、「まず米欧が経済制裁をやめるか、大幅に緩和せよ」と要求し、対立は解けなかった。

ウラン濃縮は施設公開を拒否するなど不明な点が多すぎる。衛星写真により、核兵器の起爆実験をした後、証拠隠滅をしている疑いも浮上した。国際社会が警戒するのも当然だ。

核開発に歯止めがかからない場合、心配されるのは、イスラエルがイランの核施設に対する空爆を再三、警告していることだ。攻撃と報復の連鎖が起きれば、危機は中東全域に拡大する。今は下落傾向にある原油の国際市場価格が急騰し、世界経済に深刻な影響を与えるだろう。

ただ、イランと六カ国は七月三日に実務者協議をすることで合意し、対話のパイプを何とか維持している。

イラン国内では食料やガソリン、輸入医薬品などの価格が高騰し、インフレが進んでいる。国の財政を支える原油収入が激減すれば、政府はさらに苦しい立場に追い込まれよう。

米欧側は粘り強く対話を続け、イランから譲歩を引き出すべきだ。追加制裁には同調しないロシアや中国には、ウラン濃縮中止を説得する役割が求められる。外交解決の余地はまだある。

中東は極めて不安定な状態だ。シリアは事実上の内戦に突入した。エジプトでは初めてイスラム主義者の文民大統領が誕生したが、軍部との権力闘争の懸念は消えない。中東の大国イランの核問題という大きな火種を、何とかして消さなければならない。
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[産経新聞] 対中機密漏洩 TPP工作も含め調査を (2012/06/30)

在日中国大使館の李春光・元1等書記官が関わった対中農産物輸出事業に絡み、機密文書4点が農林水産省から漏洩(ろうえい)していたとする同省の中間調査報告が出された。

だが漏洩経路は不明で鹿野道彦前農水相らの関与も曖昧なままだ。身内による甘い調査では限界がある。第三者も加えた徹底調査を求めたい。

漏洩した4点は、福島原発事故後のコメの需給見通しに関する文書などで、いずれも最高機密の「機密性3」に相当する。これら4点が、農水省の後押しによって設立された社団法人「農林水産物等中国輸出促進協議会」に渡っていたことも確認された。

農水省は鹿野前農水相、筒井信隆前農水副大臣や関係職員から聞き取りした結果、全員が文書提供を否定したとしている。漏洩文書の中には筒井副大臣用の説明資料もあったが、筒井氏も社団法人への提供を否定した。

一般職員が外部流出させていたことが判明した場合、同省は国家公務員法(守秘義務)違反で捜査当局に告発することも検討するとしている。当然である。

元書記官は外国人登録法違反などの容疑で警視庁に出頭を求められたが、拒否し、帰国したままだ。農水省の機密書類が社団法人を通じて元書記官に渡った可能性を否定できない。社団法人から先の経路についても、追跡調査が必要である。

中国が狙っているのは、機密文書に限らない。元書記官が農水省に接近した真の狙いは、野田佳彦政権が目指す日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を阻むことだったのではないか、との指摘もある。

TPPは日本の安全保障にも深く関わっている。TPP問題も含め、元書記官から農水省幹部への働きかけの有無などについて、厳正な調査を行ってほしい。

元書記官が在籍していたとされる中国人民解放軍総参謀部第2部は、海外に要員を派遣して情報源やスパイ網を構築し、情報収集にあたる組織である。中国の諜報機関は自然な形で日本の政財官界要人に近づき、親中派の獲得や中国の利益につながる政策誘導を行うケースが多いといわれる。

中間報告では、疑惑解明にはほど遠い。外部の専門家も加え中国の対日工作に多角的な光を当てた最終報告が不可欠だ。
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[産経新聞] 民主党 茶番劇いつまで続けるか (2012/06/30)

延々と続けられる茶番劇に、国民は怒りさえ覚えているのではないか。消費税増税法案の採決をめぐる民主党内の造反者処分問題である。

輿石東幹事長が29日も小沢一郎元代表と会談を重ねたが、平行線で終わった。小沢氏は法案成立の方針が変わらない場合、離党する意向も示している。

今国会成立に政治生命を懸ける野田佳彦首相との間で合意点を見つけることなど、最初から無理な話ではないか。

首相は「幹事長にお任せ」ではなく、直ちに造反者の除名など厳しい処分を打ち出す必要がある。小沢氏や支持議員も筋を通して離党すべきだ。

すみやかに混乱が収束されなければ、自民、公明両党と修正合意にこぎつけた「決める政治」も、再び後戻りすることになる。

28日以降、3度にわたって行われた会談で、小沢氏は消費税増税法案の撤回を求めた。問題は輿石氏が民放番組で「よりよい法案に仕上げていくのが参院の使命だ」と語ったことだ。法案の再修正が、小沢氏らの離党をとどめる条件として浮上しているとも受け止められた。

首相が即座に「再修正は常識的にあり得ない」と否定したのは当然のことだ。民主党の内輪もめを理由に、公党間の合意を見直すことなどあってはならない。

輿石氏は「除名などしたら党はどんどん分裂という流れになる」と、造反者への厳しい処分に否定的な見解も示してきた。だが、処分を甘くしたからといって、消費税増税をめぐる党内の意見対立が解消されるわけではない。

首相は自ら、処分の素案を輿石氏に示すとしている。しかし、厳しいものにはならないのではと、法案に賛成した若手議員らから反発を招いている。除名処分など、きちんとした決断ができなければ、首相の指導力はさらに低下してしまうだろう。

事態収拾に手間取っている民主党政権に対し、修正合意の当事者である自民、公明両党が反発しているが、短絡的行動は禁物だ。

輿石氏は週明けまで調整したいというが、いつまで続けるつもりか。首相は一刻も早くこの問題に決着をつけ、野党が求める衆参両院での予算委員会の開催などに応じ、関連法案の参院での審議入りを急がねばならない。
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[毎日新聞] 社説:離党問題の混迷 けじめ無き政党の醜態 (2012年06月30日)

消費増税法案など一体改革法案の衆院採決で事実上分裂状態に陥った民主党で小沢一郎元代表らの離党をめぐりこの期に及んでなお、内向きな駆け引きが続いている。

造反議員を除籍できない野田佳彦首相、さっさと離党しない小沢元代表、双方の締まりのなさにあきれる。歩み寄りの余地がないことは明らかだ。一日も早くたもとを分かつことが最低限の節度である。

政権の命運がかかるテーマで大量造反が起きた重大さが首相も小沢元代表もよくわかっていないのではないか。そう、勘ぐってしまう。

まず、解せないのが小沢元代表と輿石東幹事長の会談だ。造反議員の処分は首相と輿石氏に一任されている。本来は速やかに輿石氏が処分を伝え、小沢元代表らは離党など自らの決断を表明すべきだ。

ところが、輿石氏は党を割らぬよう要請し、小沢元代表は法案の撤回を要求している。「処分する側が逆に右往左往している」との批判が党内から出るのは当然だ。

増税法案に反対した小沢元代表らの主張は理解できない。一方で反対する以上は党を離れ活動すべきだと私たちは主張してきた。それが政党人のけじめと考えるためだ。

小沢元代表は参院で法案が採決されれば「民主党の枠を超えて、直接国民に訴える」という。首相が増税法案を撤回することはあり得ず、小沢元代表が協力に転じる以外に接点はない。それを知りつつなぜ、輿石氏と協議を続けるのか。同調した議員にも離党に慎重論があり、世論の動向も読み切れず、時間かせぎをしているのが実態ではないか。

党内には政党交付金の受け取りが可能な「分党」をめぐる交渉が主眼、との冷めた見方すらある。どれほどの覚悟で造反を主導したのかが問われよう。

首相にも小沢元代表以上に責任がある。「厳正な処分」を強調していたが除籍処分をするような決意はあまり感じられない。

小沢元代表らの大量離党をはずみに仮に今後衆院で少数与党に転落すれば、内閣不信任決議案の可決が現実味を帯びる。輿石氏が辞任したり、衆院解散を迫られる展開をおそれての弱腰とすれば、情けない。輿石氏に小沢元代表への対応を「お任せしたい」と言ったとされるが、信じがたい無責任さだ。増税に複雑な思いを抱きつつ賛成した議員にどう、説明する気なのか。

こんな状況に自民党が不信感を募らすのも無理はない。3党合意をよそに民主党が勝手に法案再修正を小沢元代表に確約するような妥協など、断じてあってはならない。参院審議の環境整備を急ぐべきだ。
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[毎日新聞] 社説:オスプレイ通告 配備強行は許されない (2012年06月30日)

米政府は、海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを沖縄の米軍普天間飛行場に配備する計画を日本政府に正式に通告した。

4月にモロッコ、今月、米フロリダ州で墜落するなど事故が相次いだオスプレイには、日本国内で安全性への懸念が広がっている。沖縄では、仲井真弘多知事が配備反対を表明し、県議会、41全市町村議会も反対の決議・意見書を採択した。

安全性について地元の理解が得られないまま、配備を強行することは決してあってはならない。

米海兵隊は、オスプレイを7月下旬に米軍岩国基地(山口県)に搬入し、試験飛行を行った後、8月に普天間飛行場に配備を開始、10月から本格運用する計画だ。

米側はモロッコの事故について「機体に機械的な不具合はなかった」とし、フロリダの事故は8月末までに調査を終了するという。米政府は、事故調査結果がまとまるまで岩国基地での試験飛行を見合わせると発表した。それ自体は当然である。

しかし、フロリダの事故も機体の不具合ではないと断定された場合、どうするのか。地元が反対しても、これを無視して配備を進めるのだろうか。そうであれば問題だ。

森本敏防衛相は30日と7月1日、沖縄、山口を訪問し、両県知事らに米側の通告内容などについて説明する予定だ。だが、両県とも配備や試験飛行に同意するめどはない。

オスプレイは、主翼両端に回転翼を持ち、その角度を変えて、ヘリコプターのように垂直離着陸し、水平飛行では固定翼機のように高速飛行できる。空中給油も可能なため航続距離が長く、輸送能力も高いため、抑止力の向上につながるという。

一方で、ヘリモードと固定翼モードの変換時には独特の機体操作が必要となり、事故を誘発しやすいとの指摘がある。モロッコ、フロリダの両事故とも、ヘリモードから固定翼モードへの変換時に起きている。

野田政権は、オスプレイ配備が日米安保条約上の事前協議事項にはあたらないことなどから、米政府の配備計画を容認する姿勢だ。この問題で米側とぎくしゃくすれば、日米で合意している、沖縄の米軍嘉手納基地以南の施設・区域返還などに影響しかねないとの懸念もあるようだ。

しかし、04年に普天間飛行場所属の輸送ヘリ墜落事故を経験した沖縄では、米軍機の安全性に向ける視線は特に厳しい。配備を強行すれば、政府と沖縄の関係が再びこじれ、普天間問題など在日米軍再編の課題が一層、難しい事態となりかねない。

野田佳彦首相は、地元の理解を前提に解決を図る考えを明確にし、米側と協議するよう指示すべきだ。
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[読売新聞] 朝鮮総連 本部競売手続きを受け入れよ(6月30日付・読売社説) (2012年6月30日)

在日本朝鮮人総連合会中央本部(東京)の土地とビルを競売にかけることが、ようやく可能になった。整理回収機構は、着実に債権回収を進めていく必要がある。

整理回収機構が、総連本部の所有権が朝鮮総連にあることの確認を求めた訴訟で、最高裁は、総連側の上告を棄却した。機構の全面勝訴が確定した。

本部は都心の一等地にあり、総連の最大の資産とされる。その拠点施設からの立ち退きを迫られる可能性が高まったと言える。

1997年以降、在日朝鮮人系信用組合が相次いで破綻した。政府は預金者保護のため、全国の16信組に1兆円を超える巨額の公的資金を投入した。

資金投入に伴い、16信組から不良債権を引き継いだ機構は、焦げ付いた融資のうち計627億円が総連向けだったと特定した。

総連には、これを機構に返済する義務がある。

各信組からの融資は、総連が半ば強制的に出させていたとされる。一部は北朝鮮に不正送金されたという疑惑が、国会で追及されたこともある。

総連は法人格を持たず、本部の土地・建物の所有者は登記上、関連の合資会社になっている。

だが、今回の裁判で、1、2審は「不動産の処分権限は総連が持ち、総連は建物の使用料も払っていない」と認定し、最高裁もこれを全面的に支持した。

合資会社の所有が形式的なものに過ぎない以上、所有権が総連にあることを認めた裁判所の判断は当然と言えよう。

総連には、627億円全額の弁済能力はないとみられている。すでに機構は京都、大阪、愛知、福井などの関連施設を競売にかけ、債権を回収している。

機構は今後、本部の競売を裁判所に申し立てる手続きについても、粛々と進めてもらいたい。

総連はこれまで、「機構は大使館に比すべき活動拠点である本部を奪い、総連を解散に追い込むという政治的な意図を有している」などと反論してきた。

だが、機構は、公的資金回収という使命を遂行しているだけだ。総連の主張は的はずれである。総連は、債務返済に協力しなければならない。

北朝鮮は日本人を拉致し、核実験やミサイル発射を繰り返し強行した。その指導下にある総連に対しても日本国民の目は厳しい。

返済逃れは許されない。総連はそのことを肝に銘じるべきだ。
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[読売新聞] 小沢・輿石会談 無茶な要求には付き合えない(6月30日付・読売社説) (2012年6月30日)

「離党カード」をちらつかせ、理不尽な要求を突きつける――。まさに「壊し屋」らしい手法だが、民主党執行部は断固拒否すべきだ。

民主党の小沢一郎元代表が輿石幹事長と3回にわたり会談し、社会保障・税一体改革関連法案を参院で採決、成立させるなら、自らのグループを率いて集団離党する考えを伝えた。

輿石氏は、翻意を求め、調整が続いている。小沢氏は週明けには結論を出したい意向という。

小沢氏の要求は、法案成立に政治生命を懸ける野田首相が到底容認できない、無茶なものだ。

問題なのは、輿石氏が、党分裂を回避しようと、何らかの妥協を検討していることである。

関連法案は、民主、自民、公明の3党合意に基づき、修正された。3党合意は、各党が譲り合ってまとめたもので、極めて重い。

小沢氏らが法案の衆院採決で反対したことは、3党合意への造反を意味し、自民、公明両党は強く反発している。それなのに、小沢氏を懐柔するために、民主党執行部が妥協するのは本末転倒だ。

小沢氏らの造反は、党執行部が「党内融和」の名の下、深刻な路線対立に目をつぶり、糊塗(こと)してきたツケにほかならない。党内の亀裂は、もはや修復不能である。

輿石氏が今すべきは、小沢氏に厳しい処分を下すことだ。

そもそも民主党の政権公約(マニフェスト)に固執し、「国民との約束を実行する」との小沢氏の主張には、正当性がない。

政権交代後、2年10か月近くになる。年間16・8兆円の財源捻出が可能としたマニフェストは完全に破綻している。小沢氏自身、幹事長を8か月以上務めながら、公約実現に動いた形跡はない。

今になって、「増税の前にやるべきことがある」「民主党は政権交代の原点に戻れ」などと唱えても、説得力のある行政改革や景気改善の具体策を明示しなければ、信用できるはずがない。

小沢氏は19年前に自民党を離党して以来、新生、新進、自由の各党の結成・解散を繰り返した後、民主党に合流した。政策より政局を重視する、強引で独善的な政治手法や、金権体質を今も引きずっている。

2006年4月、小沢氏は民主党代表に就任する際、「まず私自身が変わらなければならない」と大見えを切った。

だが、今回の離党に向けた動きは、小沢流の政治が何ら変わっていないことを裏付けている。
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[朝日社説] 大阪政治条例―基本的人権を制約する (2012年6月30日)

政治活動をした職員はバンバン懲戒免職にする――。

橋下徹大阪市長はいう。言葉どおり、そうした職員を原則として免職などにする「職員の政治的行為の制限に関する条例案」を市議会に提出する。

条例案では、制限する政治的行為を具体的にあげている。政治団体の機関紙の発行や配布をしてはならない。集会で拡声機を使って政治的意見をいうこともだめ。政治的目的をもって演劇を演出するのも禁止。

勤務中か否か、公務員とわかる姿かどうかを問わず、すべての活動をしばりかねない。

集会や結社、表現の自由は、憲法が保障する民主主義の基本だ。だから政治活動の自由も保障される。行政の中立を損なわない範囲での公務員の活動も、自由であるべきだ。

大阪市の条例案は、公務員の私的な生活領域にも踏み込むものであり、賛同できない。

国家公務員の特定の政治活動には法で刑事罰があり、地方公務員にはない。橋下氏は当初、条例に同じような規定を入れようとしたが、政府が「地方公務員法に違反する」との答弁書を閣議決定したため、断念した。

しかし、この答弁書で政府は「地方公務員の地位から排除すれば足りる」と、地公法ができた時の経緯を示したため、免職までができる条例案にした。

規制は最小限にとどめるという精神を取り違えている。

国家公務員法の罰則規定は、1948年、連合国軍総司令部(GHQ)が労組の活動を封じるために、当時の内閣につくらせた。今は、その規定の方が、時代にあわなくなっている。

むろん、公務員は自分の政治的な信条で行政を左右してはならない。しかし休みのときに、一般の職員がデモや政治的集会に私服で出かける。それは、本人の判断ですることだ。

社会の情勢や国民の考えは、大きくかわった。先進国ではごく限られた行為だけが規制されている。今さら戦後の混乱期のような考えに戻ることはない。息苦しい制度によって社会の幅広さや活力をそぐ害が大きい。

橋下氏が代表である大阪維新の会は、次の衆院選で全国に候補者を立てるという。脱原発や大阪都構想に共感した職員が、休日に街頭署名や集会を企画したら免職にするのだろうか。

大阪市では長年、役所と組合のもたれあいが言われてきた。昨年の市長選では前市長を職員労組が支援し、勤務中に職場を抜けて政治集会に出ていた職員もいた。このような問題は現行法で個別に正せばいい。
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[朝日社説] 電力の選択肢―熟議を生かす工夫を (2012年6月30日)

新たなエネルギー計画の策定に向けた選択肢を、政府が示した。「国民的議論」を経て、8月末までに方針を決める。

福島の原発事故を経験した日本は、どのようなエネルギー社会をつくるべきか。生活や経済を支えるうえでも、将来世代への責任を果たすうえでも、極めて重要なテーマだ。

人任せにせず、さまざまな場で議論を深めよう。

選択肢は三つだ。2030年時点で発電量に占める原発の比率をもとに組み立ててある。

私たちは、できるだけ早期に原発をゼロにすべきだと主張してきた。世論調査でも、多くの人が原発依存度を減らすことに賛成している。

だが、どんなスピードでどこまで減らすか、原発に代わる電力として何を重視するかは、意見が分かれるところだ。

政府は、国民的議論の場として意見聴取会やパブリックコメントなどの準備を進める。注目されるのは「討論型世論調査」と呼ばれる新しい手法だ。

全国から無作為に選んだ人たちに予備的なアンケートをし、回答者から参加者を募る。参加者は基礎的な知識を学び、議論したうえで、もう一度アンケートに答える。学習や討論による意見の変化を「成熟した世論」として、政策形成に役立てようという試みだ。

意見の異なる市民同士が実際に向き合い、お互いの考えを理解しあいながら合意点を探る。「原発維持」か「脱原発」かに二極化しがちな状況を乗り越えるうえでも意義は大きい。

問題は、「はじめに日程ありき」で、与えられる時間が短すぎることである。

本来は、討論会での資料一つとっても入念な準備が必要だ。運営者は中立性が保証されなければならない。議論の進行役にも習熟がいる。専門家から問題点を指摘する意見書も出た。

政府はこうした声を採り入れて改善をはかってほしい。

政府の方針は8月末に決定するが、エネルギー政策は今後も議論を深める必要がある。市民による熟議の枠組みは継続していくべきだ。

議論の場や参加者が増えれば、電気の使い方や地域独自の戦略など、新しいアイデアが生まれるかもしれない。ノウハウを積み重ね、他の政策にも広げてはどうだろう。

不信や対立は簡単に生じる。民主主義が本当に試されるのは、立場の違いを越えて現実的な解を出す作業だ。政治の閉塞(へいそく)感が漂うなか、新しい試みを現状打開の一歩にしよう。
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2012年06月29日

[東京新聞] 志賀原発提訴 “国策”と思わず審理を (2012年6月29日)

北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の運転差し止めを求める訴訟が起こされた。福島第一原発事故は原発に根源的な疑問を投げかけた。動きは全国に広がる。国策への予断なく審理をしてほしい。

石川、富山両県の住民ら百二十人が二十六日、金沢地裁に提訴した。福島第一原発事故で明らかになった原発の耐震指針や防災指針などの不備を追及するほか、志賀原発周辺の活断層に関する新たな知見を基に現在の活断層連動の評価にも誤りがあると主張する方針だ。被災時に放射性物質が拡散する恐れを指摘し、北陸電力に安全性の立証を求める。

日本列島が地震の活発期に入ったといわれ、今後も大地震が相次ぐことが危惧される今、当然の動きである。

今回の提訴は福島第一原発事故を受け、全国で進む「脱原発」一斉訴訟の一環でもある。差し止めの控訴審中の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)では昨年、廃炉を求める訴訟が新たに起こされた。

関西電力大飯原発(福井県おおい町)では今年三月、再稼働に必要な定期検査終了証交付の差し止めを求めて滋賀県の住民らが提訴。東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)や四国電力伊方原発(愛媛県)でも訴訟が進行中だ。

原発訴訟ではこれまで差し止めを求める原告側の訴えが退けられてきた。専門性の高い事案であるため、専門家が作り上げた政策や基準に異を唱えることは難しく、司法は行政や電力会社寄りになってきたといえる。そんな従来の流れを根本から変えたのが3・11だ。

「安全神話」を振りまいてきた原発行政は全く信頼できないことを露呈。被害想定の基礎となる地震学も知見不足を明らかにした。専門家は敗北したのである。

実は、志賀原発は商業用原発で唯一、運転差し止めの判決を受けたことがある。その二〇〇六年三月の金沢地裁判決にはこうある。「想定を超えた地震が発生する可能性がある。その場合に、構築した多重防護が有効に機能するとは考えられない」。まるで福島第一原発事故を予言したようだ。

この判決文を書いた井戸謙一裁判長(現弁護士)は本紙の取材に「あれだけ危険なものを動かす以上、被告側が安全を立証すべきだ」と述べた。安全が証明されないなら危険。そんな当たり前の感覚が、専門家の想定できなかった事態を見通すことを可能にした。

司法は住民、市民の視点で判断を下してもらいたい。
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[東京新聞] 分裂騒ぎの民主 国民への造反者は誰か (2012年6月29日)

小沢一郎民主党元代表が反対し、撤回を求めた消費税増税法案。野田佳彦首相は「造反」議員らの厳正な処分を表明したが、公約破りは首相の方だ。どちらが国民に対する造反かを見極めたい。

二〇〇九年衆院選マニフェストを反故(ほご)にした首相が悪いのか、実現できない公約を作った小沢氏の責任がより重いのか。

民主党内ばかりか自民、公明両党からも厳しい処分を求める声が相次ぐ小沢氏の方が分は悪そうだが、公約に期待して民主党に政権を託した有権者は、野田氏の方にこそ問題ありと言いたいのではなかろうか。

有権者は「生活が第一」「官僚主導から政治主導へ」「税金の無駄遣い根絶」「緊密で対等な日米関係」など、自公時代とは違う政権の実現を目指して票を投じた。

もちろんそれらは難題だ。官僚機構や既得権益層の厚い岩盤を穿(うが)つのは容易でない。だからこそ政権交代という権力構造の歴史的変化に実現を託したのではないか。

民主党議員の多くは、それらの実現は難しいと言うが、どこまで死力を尽くしたのか。抵抗が強いが故に早々に諦め、増税路線になびいたと疑われても仕方がない。

できない約束を作った方が悪いという指摘もある。実現困難だと決め付けるのは早計だが、仮にできない約束だとしても、それを掲げて選挙に勝ったのではないか。

実現に努力するのは当然だし、できないと考えるなら、作成時に疑義を申し出るべきだった。納得できないのなら民主党以外から立候補すべきではなかったか。

公約破りの消費税増税を正当化するのは信義に反する。

小沢氏は、民主党を離れないように求めた輿石東幹事長に対し、消費税増税法案の撤回を求め、話し合いは平行線に終わった。

両氏はきょうにも再会談するが小沢氏らが新党結成に踏み切れば民主党が歴史的役割を果たせずに瓦解(がかい)する。残念だが、国民との約束を守れないなら仕方がない。

そうなれば、民主党は政権政党としての正統性を失う。首相は消費税増税法案成立を強行せず、衆院を早急に解散すべきだ。そのためにも違憲・違法状態にある衆院の「一票の格差」を是正する必要がある。

民主党が提出した一部連用制の導入案は複雑で、解散先延ばしが目的と疑われかねない。選挙制度の抜本改革は次期衆院選以降の課題とし、今国会では「〇増五減」案の実現を急ぐべきだ。
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[産経新聞] 虚偽報告書処分 自ら律し社会悪に対峙を (2012/06/29)

身内に甘いと受け取られても仕方がないのではないか。検察当局は猛省のうえで、信頼の回復に全力を尽くさなくてはならない。

陸山会事件の捜査をめぐり、元東京地検特捜部の検事が虚偽の捜査報告書を作成し、虚偽有印公文書作成罪で告発された問題で、最高検は検事を嫌疑不十分で不起訴処分とした。この検事は減給の懲戒処分となり、辞職した。

検事が民主党元代表、小沢一郎被告の元秘書、石川知裕衆院議員を聴取して作成した虚偽の捜査報告書は、2度目の検察審査会に提出され、小沢被告の強制起訴議決の判断材料となった。

だが、小沢被告を無罪とした東京地裁の判決は、検察による虚偽報告書の作成や取り調べ手法を厳しく批判したうえで、小沢被告が政治資金収支報告書の簿外処理について元秘書から報告を受け、了承していたことを認定した。

無実の人を罪に陥れた大阪地検特捜部による郵便不正事件での証拠改竄(かいざん)と、同列に論じることは避けるべきだろう。

それでも、起訴権限という強力な権力を持つ検察は、身内に厳しくあるべきだった。

不起訴処分は今後、検察審査会の場でその適否を審理される可能性が高い。その際、検察には、すべての証拠、資料を遺漏なく提出することが求められる。

検事に対する減給100分の20(6カ月)という懲戒処分は軽すぎたのではないか。

組織的関与を否定したうえで、上司4人を監督責任を怠ったとして戒告や訓告、厳重注意とした処分は適正だったのか。

郵便不正事件や、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の不可解な処理で、検察は国民の厳しい視線にさらされている。不信の払拭に向けて、厳正すぎるほどの姿勢をみせるときではなかったのか。

政治不信に加え検察不信まで膨らんでは、社会の安定はおぼつかない。検察は強く正しい組織として再生しなくてはならない。

最高検は昨年9月、「検察の理念」を策定した。そこには、検察官、検察職員の一人一人に向けて「常に公正誠実に、熱意を持って職務に取り組まなければならない」とうたわれている。

まず組織が、その範を垂れるべきだろう。自らを律し、敢然と社会悪に対峙(たいじ)することだ。
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[産経新聞] 再生エネ買い取り 電気料金の上昇も心配だ (2012/06/29)

果たして理想通りいくか心配だ。7月から始まる太陽光など、再生可能エネルギーで作った電力を電力会社が固定価格で買い取る制度である。

自然エネルギーの利用拡大は歓迎したい。しかし一方で、買い取り価格が高めに設定された結果として、家庭や企業の電気料金が上昇してしまうことは大きな問題だ。

先進地の欧州では、買い取り価格を引き下げる動きもある。普及と負担のバランスに配慮し、不断の制度見直しが欠かせない。

買い取り価格は、1キロワット時あたり太陽光で42円、風力が同約23?58円などでスタートする。発電事業者側の要望に沿ったため、事前の予想に比べかなり割高となった。新たな参入を促すための補助金的な位置づけだとしても、妥当だっただろうか。

これらは電気料金に転嫁され、標準家庭では月平均87円の負担増となる。さらに普及が進み買い取り量が増えれば、一層の値上げとなるのは確実だ。また、この固定価格による買い取りが長期にわたって続けば、発電コストを引き下げるなどの企業努力が期待できなくなる恐れもある。

買い取り価格は毎年見直す予定だが、発電事業者に適正な競争を促す仕組みが不可欠だ。また、電気料金が大幅に上昇する場合には、額を引き下げるなどの柔軟さも必要となるだろう。

現時点で国内全原子力発電所の運転がストップし、東京電力では火力発電向け燃料費の増加で企業用に続き家庭用の料金値上げを申請中だ。他の電力会社でも値上げが検討されている。こうした中、新たな料金値上げにつながる動きには慎重であってほしい。

先んじて制度を導入した欧州でも、固定価格の下で新規参入が相次いだ。だが、ドイツでは買い取り価格を高く設定したことで電気料金が上昇し、国民の反発で買い取り価格を下げた。スペインは今年から新規買い取りを中止した。今後の制度見直しには、こうした事例が参考となる。

電力は国を支える社会的な基盤である。水力を除く再生可能エネルギーは全体の1%にすぎず、ただちに原発の代替電源にはなり得ない。過度な期待は禁物だ。

この現実を踏まえ、再生可能エネルギーの普及や原子力の活用など、最適な電源構成のあり方を冷静に考えたい。
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[毎日新聞] 社説:劇場法施行 地域活性化の入り口に (2012年06月29日)

日本各地に個性のある表現が花開き、国全体の文化水準を高めていくために、文化施設はどうあるべきか。特に東京に集中する舞台芸術が、地域ごとに競い合うようになるには何が必要なのか。

「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律(劇場法)」がこのほど、超党派の議員立法で成立し、施行された。図書館や博物館のような根拠法がなかった劇場や音楽ホールに、法的な裏付けができたことになる。

この法律で特に強調されているのは、劇場や音楽ホールは単なるハコモノ(建物)ではなく、公演を企画制作する機関であると規定していることだ。そのための専門的な人材の育成や確保も求めている。

音楽や演劇、伝統芸能などについて、創造的な事業をするには専門家が必要で、そのために投資するように方向づけている。企画者、それをマネジメントする人、実演者、照明や音響のスタッフ。地方自治体のローテーション人事では、こういった専門家は求めにくい。

また、文化施設同士の連携や大学との協力も促進すべきだとしている。学校教育で子供たちが本物の表現に触れることも重視されている。

300席以上ある劇場やホールは、全国に1893施設(08年文部科学省調べ)。このうち9割以上は地方自治体によるものだ。

たとえば、「りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館」の試みは先進例として注目される。ダンサーで演出家の金森穣(じょう)さんが04年に舞踊部門の芸術監督に就任し、日本初の劇場専属舞踊団を発足させた。金森さんたちは新潟に住み、地元の活動にも積極的に参加している。

文化活動は市場原理になじまない。ところが、日本の文化予算は何とも心もとない。文化庁によると、2010年度の国家予算に占める文化予算の割合はフランスが1.06%、韓国が0.81%なのに対し、日本は1020億円で0.11%に過ぎない。地方自治体の文化関係経費も93年をピークに大きく減った。一方で、社会全体が意識を改めて、文化支援の寄付について前向きになることも大いに必要だ。

いうまでもないが、劇場法ができたからといって、絶対に表現の自由が侵されてはならない。表現をより自由に、多様にするために法を生かすべきだ。

昨年の東日本大震災で、私たちは文化の大切さを実感した。それは地域の誇りであり、人々をつなぐ絆だ。被災した人々が避難所で民俗芸能の「虎舞」を見て流した涙は、それを雄弁に物語っていた。

文化庁は年内に具体的な指針を定める。劇場法の施行を地域で舞台芸術が隆盛する契機にしたい。
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[毎日新聞] 社説:胆管がん死 発症の実態解明を急げ (2012年06月29日)

大阪市内の印刷会社で、胆管がんにかかった従業員が多いことが学者の調査で明らかになった。調査によると、この会社の従業員の胆管がん発症率は国民の平均に比べて極めて高いとされ、業務との関連が強く疑われている。宮城県や東京都の印刷会社でも同様の報告があり、従業員や遺族による労災申請が相次いでいる。国は発症原因の物質を特定し、業務との因果関係を調べるとともに、他の地域でも被害が起きていないか、徹底的に調査して実態解明を急ぐべきだ。

大阪の会社の従業員は校正印刷部門で働き、作業場で印刷機に付いたインキを洗うため洗浄剤を多用していた。宮城の会社も長時間窓を閉めた状態で印刷機を洗浄し、マスクや手袋は着用していなかった。劣悪といえる職場環境は共通する。

洗浄剤は、化学物質「1、2ジクロロプロパン」「ジクロロメタン」を含む溶剤とみられる。厚生労働省は動物実験の結果などから、02年以降、この二つをがんを起こすおそれのある物質に指定し、換気や防毒マスク使用などを事業者に求めていた。さらに今回の問題を受け、排気装置の設置など化学物質による健康障害の防止対策の徹底を印刷業界に求めた。大阪の会社は現在、これらの物質を含む洗浄剤は使っていないというが、国は業界に対するチェック態勢を緩めてはならない。

50人以上の労働者を使用する事業所は、従業員の意見を聴いて健康障害の防止策を審議する衛生委員会を置くよう労働安全衛生法で義務づけられている。大阪の会社は50人以上の従業員がいたが、委員会を設置せず、必要な衛生管理者や産業医も置いていなかった。「換気が悪い」と従業員が訴えても改善されなかったという。健康管理が適法であれば被害を早期に防ぐことができた可能性があった。小規模会社でも衛生面の対策を怠ってはならない。

業界団体は、専門家を交えた協議会設置を決めた。最新の知見を反映した安全対策マニュアルの作成や研修会を実施するものだ。従業員の安全確保だけでなく、印刷会社の周辺住民の不安を取り除くよう、衛生管理に取り組んでもらいたい。

こうした問題では、個別企業や業界の対応には限界がある。国は全国の校正印刷所約500カ所を緊急調査しているが、その結果を早急にまとめ、企業や業界が実効ある対策を取れるよう積極的に指導すべきだ。

大阪では、業務との関連に気づかず、労災請求の時効となる死後5年を過ぎた遺族もいる。これから請求が増えることも想定されるが、国はそうした点への配慮も必要だろう。
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[読売新聞] 対イラン制裁 強化を疑惑払拭につなげよ(6月29日付・読売社説) (2012年6月29日)

核疑惑の解明を拒むイランに対して、米欧が制裁の圧力を強めるのは、やむを得ない。並行して粘り強く対話による解決を目指す必要がある。

イランの原油輸出の抑制を狙った米国の金融制裁が、半年の猶予期間を経て28日、発動可能となった。米政府は、イランとの原油取引を大幅に減らさない国の金融機関に、米銀行との取引を禁じることができる。

米国と連携し、欧州連合(EU)も、7月1日からイラン産原油の輸入を全面的に禁止する。

いずれも、イランにとって重要な収入源である原油輸出にブレーキをかける制裁措置だ。イランには痛手となろう。

米欧の措置は、国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた6か国が、4〜6月に行ったイランとの協議で成果がなかったことを受けたものだ。

6か国は、核兵器開発への転用を防止するため、ウラン濃縮の停止と、保有している濃縮ウランの海外搬出をイランに求めたが、拒否された。

イランは国際原子力機関(IAEA)が求める疑惑施設への査察も受け入れていない。

核兵器開発を否定する以上、イランは疑惑を払拭する具体的措置をとらなければならない。

米欧の制裁強化が実際に発動される前から、原油輸出量はすでに減少傾向で、イラン経済を揺さぶっている。日本やEUが、原油輸入に占めるイラン産の割合を減らし、サウジアラビア産などで代替しつつあるためだ。

インド、韓国、トルコ、南アフリカなどもイラン産原油の輸入削減に動き出した。

欧州の信用不安などによる世界経済の減速に伴い、原油需給の逼迫(ひっぱく)感が薄れ、一時高騰した原油価格も5月以降は低下している。

イラン原油の最大輸入国である中国の動向に不透明な面はあるとはいえ、原油収入に依存するイランにとっては苦しい展開だ。イランではインフレも進行しており、経済状況は悪化している。

米欧は、制裁に一定の効果が出ている今こそイランとの協議を積極的に探ることが求められる。

懸念されるのは、核疑惑解決の糸口がつかめないと、それだけイスラエルによるイラン攻撃が現実味を増してくることだ。

武力行使は、中東地域を混乱に陥れ、世界経済に打撃となる。イスラエルは、攻撃を自制し、制裁がイランの政策を変えるのかどうか、冷静に見極めるべきだ。
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[読売新聞] 脱法ハーブ 野放しにせず厳しく規制を(6月29日付・読売社説) (2012年6月29日)

麻薬に似た脱法ハーブが、若者らに蔓延(まんえん)している。早急な規制強化が必要である。

危険なハーブは「脱法ドラッグ」「合法ハーブ」などと称し、歓楽街やインターネットで公然と売られている。

乾燥した植物に、麻薬に近い化学成分を混ぜたものが多い。紙巻きたばこのように火をつけて吸うと、幻覚を見るなど麻薬を吸った時と同様の状態になる。

東京都内では、1〜5月だけで100人近くが救急車で病院に運ばれた。横浜市などでは死亡した人もいる。吸引後に自動車を運転し、他人を巻き込む人身事故を起こすケースも相次いでいる。

対策として、まず必要なのは脱法ハーブを明確に「違法」とし、販売に歯止めをかけることだ。

厚生労働省は7月から、新たに9物質を規制対象に加える。

薬事法は、販売すれば罰則が科される薬物について、化学的な構造を厳密に指定している。

しかし、厚労省の対応は後手に回っている。同じ症状を引き起こす物質でも、わずかに構造が違えば規制の対象外となってしまうからだ。これまでも、規制を受けない類似物質がすぐに登場し、いたちごっこが続いてきた。

こうした状況を打開するため、厚労省は、構造の主要部分が一致する物質を一括して禁止する「包括指定」の導入を検討している。英国では、すでにこの方式が実施されているという。

刑罰を科す要件が曖昧になるとの慎重論も根強いが、薬物を野放しにすることで社会がさらされる危険を考慮すれば、日本も包括指定に踏み出すべきだ。

内閣府の消費者委員会も、消費者の安全にかかわる、と現状を問題視し、包括指定方式の採用を厚労省に提言している。

海外で売られている脱法ハーブの情報を集めて成分を分析し、国内に持ち込まれる前に禁止薬物に指定してしまう“水際対策”も必要だろう。

脱法ハーブは、麻薬よりずっと安い値段で手に入るため、若者が興味本位で吸引する場合が多く、ゲートウエー・ドラッグ(入門薬物)とも呼ばれる。気軽に購入した人が、いずれ麻薬や覚醒剤に手を染めることが多いためだ。

脱法ハーブは極めて危険だと周知し、薬物依存につながる芽をつみ取ることが重要である。

厚労省や警察、自治体だけでなく、学校や地域などが協力して、販売業者の監視や、若者への啓発に取り組まねばならない。
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[朝日社説] 検事の処分―国民の不信がふくらむ (2012年6月29日)

この説明と処分に、果たしてどれだけの国民が納得するだろうか。検察は過ちを犯したと言わざるを得ない。

小沢一郎氏の元秘書を取り調べた検事が、実際にはなかったやり取りを捜査報告書に記載した問題で、最高検は文書偽造などの罪での起訴を見送った。

「約4カ月前の調べのときと思い違いをした」という弁明をうそとは言い切れない――との理由だ。ただし、不適正で軽率な行為だったとして検事は減給処分を受け、辞職した。

報告書の内容は小沢氏公判で明らかになり、東京地裁は「記憶の混同との説明はにわかに信用できない」と判断している。

作成の日付は聴取したその日で、元秘書との問答が生々しく書かれている。本当に弁明どおりだとしたら、そんな取り違えをする人物に長い間、検事としての権限を委ねてきたという別の問題が生じる。

起訴して刑事責任を問うことがすべてではないにしても、故意かミスかという事実の認定にこれほどの重大な疑念が残る。いきおい、それを前提になされた当時の上司に対する処分も、再発防止策も、説得力を欠く。取り組んできた検察改革にも大きな疑問符がつく。

この報告書は、小沢氏を強制起訴するかどうかを議論した検察審査会に出された。起訴議決を支える証拠はほかにもあったとはいえ、「その結論を導き出すよう仕組んだのではないか」と疑いの目が向けられた。

裁判にせよ検察審査会での審議にせよ、適切に集められた証拠類が、適切に示されてはじめて、適切な判断ができる。当たり前のことを再び確認しなければならないとは、情けない。

ことは一人の検事、あるいは一部の上司に責任を押しつけて済む話ではない。検察当局は昨年1月の時点で事態を把握したのに、公表することなく、「後で問題になったら対応すればいい」との姿勢をとった。

大阪地検での証拠改ざん事件を受けて、検察が危機に直面していた時期だ。荒立てず小さくおさめようという意識が、全体を覆ってはいなかったか。そのことが、今回の結論にも影を落としているように見える。

重ねた判断ミスは、国民と検察の間にあった溝を埋めるどころか、むしろ広げ、深める方向に作用するといえよう。

政界をはじめ、外部からの不当な介入をはねのけるには、検察という組織に対する国民の信頼と支持が欠かせない。そのよって立つ基盤を、検察自らが掘り崩している。
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[朝日社説] 慰安婦写真展―表現できる社会を守る (2012年6月29日)

社会的影響力のある企業だけに残念でならない。大きな声にあわてて、大切なものを見失ってしまったのか。

元従軍慰安婦をテーマにした写真展を、ニコンが一方的に中止すると決めた問題で、東京地裁は「ニコンは契約に基づき、会場を貸さなければならない」という仮処分決定を出した。同社は異議を申し立てたが、写真展は予定どおり始まった。

裁判でニコン側は「写真文化の向上を目的とする会場を、政治性のある催しに貸せない」と主張した。これに対し地裁は、扱うテーマによっては一定の政治性を帯びるのが写真文化だと述べ、今回の企画はニコンが唱える「目的」に反するものとはいえないと結論づけた。

表現活動を理解し、その自由を守る姿勢をはっきり示した判断といえる。

今回の写真展をめぐっては、ネット上に「売国行為」といった批判が飛びかい、ニコンにも抗議が寄せられたという。こうした動きが中止の判断につながったのは想像に難くない。

もめごとを避けたい気持ちはわかる。だが、いきなり公表の場を奪うのは乱暴にすぎる。

ニコンのレンズは戦争や公害など世界の矛盾を切り取り、多くの喜びと悲しみを記録してきた。写真家への支援などの社会貢献でも高い評価を得ている。そんなイメージを、ほかでもない表現の自由をめぐる問題で傷つけてしまうとは。

混乱が心配されるのなら、警察に協力を求めて万全を期す。それでも、客観的な事実に照らして、重大な事態が具体的に予測されるときに初めて中止などを検討する――。今回と似たようなケースをめぐって裁判所が重ねてきた判断を踏まえ、適切な対応をとるべきだった。

写真の発表をふくむ表現・言論の自由が保障されているからこそ、人々は考えを互いに交換し、賛同者を増やしたり、逆に自分の誤りに気づくきっかけを得たりする。その土壌のうえに民主主義は成立する。

ところが最近は、ネット空間の言論をはじめとして、異なる考えを認めず、過激な批判を浴びせ、萎縮させる動きがさかんだ。抗せず、なびいた方が無難という風潮も見え隠れする。そうして息苦しくなった世の中はどこへゆくのか。歴史の教訓に思いをいたすべきだ。

ひと色に塗りこめられた社会は、もろく弱い。この国をそうさせないために、一人ひとりがそれぞれの現場で何をなすべきか。常に考え、知恵を働かさねばならない。
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