2012年04月30日

[東京新聞] 週のはじめに考える それでも原子力か (2012年4月30日)

どうしても原子力か、という問いがかつて発せられていました。ある物理学者の問いです。今もなお、それでも原子力か、とやはり問わねばなりません。

手元に一冊の本がある。

武谷三男(たけたにみつお)編「原子力発電」(岩波新書)で、一九七六(昭和五十一)年第一刷発行。日本の商業用原子炉が本格稼働し始めたころで、経済的な軽水炉時代の幕開けといわれたものです。

編者の武谷は福岡県出身、京大物理学科卒の一物理学者です。素粒子モデルで世界的に知られる坂田昌一らと研究し、それと同時にビキニ水爆死の灰事件や原子力について発言してきました。


◆物理学者武谷の警告
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本を開くと、被爆国日本の物理学者が研究に誇りをもちつつも、いかに悩んできたのかがわかります。武谷は広島で被爆者への聞き取りを重ねています。科学の現実を知ろうとする学者なのです。

本は原子炉の仕組みに始まり、続けて、その無数の配管が高温高圧の蒸気に耐えられず肉厚が薄くなることや、腐食、疲労の危険性を指摘します。

人間のミスも取り上げている。例えば試運転中の玄海原発1号機で放射能レベルが上がった。調べたら、炉内に鋼鉄製巻き尺の置き忘れがあり、それが蒸気発生器の細管を傷付けていた。だがそれはむしろ幸運な方で、もし炉心側に飛び込んでいたら大事故になっただろう、と述べている。

人間の不注意を責めているのではありません。原発ではささいなミスがとんでもない惨事に結びつきかねないと言っているのです。

原発の立地集中化についても当時から心配していました。日本では人口密度が高く適地がなかなか見つからない。とはいえ、日本ほどの集中例は少なく、地域住民にとってこれほどひどいことはない、とも述べています。


◆昔も今も変わらない
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さらに大物の学者が原子力推進計画に乗って、政府から多額の研究費を得ようとしたという、学者の弱みも明かしています。

四十年近くも前の、今と何と似ていることでしょう。何だ変わっていないじゃないかというのが大方の実感ではないでしょうか。

それらを列挙したうえで、武谷は「どうしても原子力か」という力を込めた問いを発しています。

彼はノーベル賞物理学者朝永振一郎らとともに、公開・民主・自主の三原則を原発の条件としています。公開とは地元住民らによく分かる説明をすること。民主とは原発に懐疑的な学者を審査に参加させること。自主はアメリカ主導でなく日本の自主開発であることです。それらの不十分さは福島の事故前はもちろん、事故後の今ですらそう思わざるをえないことが残念ながら多いのです。

加えて今は地震の知見が増えました。危険性は明らかです。

本は二十刷をこえています。しずかに、しかしよく読み継がれてきたというところでしょうか。

ではその長い年月の間、日本はどう変わってきたのか。世界を驚かせるほどの経済成長を遂げたけれど、中身はどうだったか。

欧州では、持続可能性という新しい概念が提出されました。資源と消費の均衡、また環境という新しい価値に目を向けたのです。大きな工場は暮らしを豊かにしたけれど、排出する汚染物質は酸性雨となり、森を枯らし、川の魚を死なせたのです。

放射能の恐怖もありました。東西冷戦で核搭載型ミサイルが配備され、チェルノブイリ原発のちりは現実に降ってきたのです。

欧州人同様、私たち日本人ももちろん考えてきました。

水俣病をはじめとする公害は国民的自省を求めました。しかし原子力について、私たちは過去あまりにも楽観的で(欧州もまた同様でしたが)警戒心を欠いてきました。放射能汚染はただの公害ではなくて大地を死なせ、人には長い健康不安を与えるのです。

原子力の研究はもちろん必要です。医療やアイソトープ、核物質の扱い方は核廃棄物処理でも必要な知識です。その半面、核物質が大量に放出されれば、人類を永続的に脅かすのです。


◆核を制御できるのか
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だからこそ「どうしても原子力か」という問いの重さを考え直したいのです。物理学者らには原爆をつくってしまったという倫理的罪悪感があるでしょう。人類が果たして核をよく統御、制御できるのかという問いもあります。

被爆国であり技術立国である日本は、その問いにしっかりと答えるべきです。大きく言えば人類の未来にかかわることなのです。新エネルギー開発や暮らしの見直しは、実は歴史を書き換えるような大事業なのです。そういう重大な岐路に私たちはいるのです。
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[産経新聞] 東電事業計画 原発再稼働で負担減らせ (2012/04/30)

東京電力と原子力損害賠償支援機構が総合特別事業計画を枝野幸男経済産業相に提出した。政府が東電に1兆円の公的資金を注入して一時国有化し、今後の事業収益で長期返済する計画だ。

これで、政府は東電の経営に責任を持つことになり、これまでのような「東電任せ」の逃げの姿勢は許されなくなる。福島第1原発事故の賠償を促進し、原発再稼働などにより安価で安定的な電力供給体制を確立する責務があることを自覚しなければならない。

計画では、政府が支援機構を通じて東電株の議決権の50%超を取得し、筆頭株主として経営改革を主導する。勝俣恒久会長と西沢俊夫社長が退任し、新会長には支援機構の下河辺和彦運営委員長が就く。産業界などから迎える社外取締役が過半数を占める役員構成に改め、企業統治を強化する。

10年間で人件費など3・3兆円という、当初よりも7千億円近く積み増した削減額を計上したが、グループ企業の統廃合などで一段の圧縮に努めるべきだ。7月からの家庭用料金の値上げや柏崎刈羽原発の再稼働も盛り込んだ。

平成25年度に黒字化するとしているが、東電を取り巻く厳しい環境を考えれば楽観はできない。

4月の企業向け値上げでは事前説明の迷走で反発を買い、原発事故と事後対応で失墜した東電への信頼はさらに落ちてしまった。

原発停止に伴い火力発電を焚(た)き増しして燃料費が嵩(かさ)み、一定の値上げはやむを得ない事情があるにせよ、安易な値上げは許されないだろう。徹底した合理化と丁寧な説明が欠かせない。

新たに取り入れる社内分社の仕組みには注目したい。事業ごとに収益を管理して社員のコスト意識を高めるもので、社内への競争原理の導入につなげてほしい。

そうした地道な取り組みで信頼を回復しない限り、東電再生は難しいと認識すべきだろう。

公的資金を使う以上、経営の監視は必要である。だが、過剰な介入は活力を損ないかねない。政府には発送電分離などの改革を目指す動きもあるが、現下の電力不足の解消を最優先すべきだ。

政府はこれまで、東電1社に原発事故の賠償や収束の責任を押し付けてきた。一時国有化を機に従来の態度を改め、原発再稼働への環境整備に「一体」となって取り組むべきである。
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[産経新聞] 悲惨な交通事故 厳罰の適用拡大で抑止を (2012/04/30)

悲惨な自動車事故が後を絶たない。大型連休の関越自動車道では金沢市からディズニーランドに向かっていた高速バスが大破し、乗客ら46人が死傷した。

花見客でにぎわう京都の繁華街や登校児童の列に暴走車が突っ込む事故も続いた。楽しい時間や将来の夢を一瞬にして奪われた被害者の無念や、家族の嘆きはいかばかりだったろう。

同じ悲劇を少しでも減らすために、危険運転致死傷罪の適用範囲を広げるなど、厳罰化で安全運転への意識を高める必要がある。

京都・祇園で観光客ら7人の命を奪った軽ワゴン車の運転者は、てんかんの持病があり、医師に運転を禁じられていたが、運転免許更新時に申告していなかった。

京都府亀岡市で集団登校中の児童らの列に突っ込んだ軽乗用車の運転者は無免許だった。

千葉県館山市でバスの停留所にいた小学生の列を襲い、1年男児を死亡させた軽乗用車の運転者も、愛知県岡崎市で横断歩道を集団登校中の小学生の列に突っ込んだ軽ワゴン車の運転者も、「ボーっとしていた」と供述した。高速バスの運転手は「居眠りをしていた」と説明しているという。

いずれもこの4月中に起きた事故だ。5つの事故の運転者は、自動車運転過失致死(傷)の疑いで逮捕、または調べられている。

同罪の最高刑は懲役7年であるのに対し、酒酔い、薬物使用での運転を主な対象とする危険運転致死傷罪の最高刑は懲役20年だ。

酒気帯びや故意が認められないため、5つの事故の運転者に危険運転致死傷罪が適用される可能性は小さい。免許の不正取得や無免許運転、不法な労務管理などが原因で重大事故を起こした場合には、危険運転致死傷罪を適用できるよう、法を改正すべきだ。

危険運転致死傷罪は飲酒運転事故の被害者らによる署名運動が後押しし、平成13年に施行された。警察庁によれば13年以降、飲酒事故件数も、飲酒運転による死亡事故件数も減少を続けている。

警察や社会をあげての飲酒運転を許さない環境づくりの成果だが、新法施行による厳罰化も、その一助となったはずだ。

政府や国会には、厳罰の適用拡大により悲惨な事故の未然防止につなげ、歩行者や乗客を守り抜くことができるように、所要の措置を講じる責務がある。
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[日経新聞] 技術流出に本気で歯止めを (2012/4/30)

新日本製鉄が韓国鉄鋼大手ポスコなどを相手取り、高性能鋼板の製造技術を不正に取得したとして、不正競争防止法にもとづく民事訴訟を東京地裁に起こした。

海外事業や原料調達で協力関係にあるポスコを新日鉄が提訴したのは技術流出への危機感の表れだ。電機や化学業界などでも技術が海外へ漏れる問題が後を絶たない。技術は日本の競争力の源泉だ。流出対策を真剣に考える時だ。

新日鉄の提訴はポスコのほか同社日本法人、退職した新日鉄の元技術者が対象で、変圧器などに使う高性能鋼板の製造販売の差し止めと、総額1000億円の損害賠償の支払いを求めた。

不正競争防止法は、社内で厳正に管理している機密情報を外部に持ち出すことを禁じている。新日鉄は、機密情報にあたる鋼板の製造ノウハウが元技術者を通じてポスコに流れ、情報の不正取得を裏付ける資料も確保したと説明している。

ほかの日本企業も知的財産の流出で不正行為があったと判断できるなら、司法の場で争うなど毅然とした態度をとるべきだ。

経済産業省の2010年の調査では2割の企業で、過去5年間で国内拠点から技術が流出したと思われることがあった。部品や材料など日本が強みとする技術流出は今も続いており、歯止めをかける対策を十分に講じる必要がある。

不正競争防止法もどこまでを機密情報とするかは判断が分かれる面がある。企業は持ち出しを禁じる情報をはっきりさせ、転職や退職する社員と秘密保持契約を結ぶことは最低限求められる。

だが社員の退職時に秘密保持契約を結んでいる企業は経産省によれば2割にとどまる。企業は情報管理体制を点検すべきだ。

技術者ができるだけ海外企業に引き抜かれないようにし、人とともに技術が流出するのを防ぎやすくする必要もある。研究開発で実績をあげれば高い報酬が得られる制度をつくるなどの工夫が要る。企業が知恵を絞る余地は大きい。
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[日経新聞] 薬ネット販売を禁じた裁量行政への警告 (2012/4/30)

薬を買いたいけれど事情があって薬局まで出かけられないという人には朗報だ。インターネットを通じた一般用医薬品(市販薬)の通信販売を制限する厚生労働省の規制について、東京高裁は原告敗訴の一審判決を取り消し、販売を認める逆転判決を言い渡した。

ビタミン剤、整腸剤など一部の種類の薬にしかネット販売を認めない同省の裁量行政について、私たちはこれまでも見直すよう主張してきた。消費者がネットでも安心して薬を買えるように、分かりやすい基準を定めるなど、厚労省は規制緩和に向けた条件整備に乗り出すべきである。

この裁判は医薬品などの通販会社が国を相手に起こしていた。一審の東京地裁判決は、規制を定めた厚労省令について「健康被害を防ぐために必要性、合理性がある」と原告の請求を退けていた。

規制の根拠について同省は、副作用の危険性が高い薬は薬剤師など資格者が直接、買い手に面と向かって売らなければ健康被害を防ぎきれない、などと説明してきた。高裁判決は服薬時の注意事項や副作用情報を伝える手立てについて、ネットなどを通じた「幅広い方法が考えられる」と、厚労省側の主張を完全に退けた。理にかなった判断といえるだろう。

消費者のなかには、からだが不自由で外出しにくい、買う薬を他人に知られたくない、という人もいる。ネット販売の解禁は特にそうした人びとが切望していた。

民主党政権は昨春、行政刷新会議の規制仕分けで薬ネット販売を取りあげたが、厚労省に押し切られて消費者の利便を重視した結論を出さなかった。本来、規制改革は政権が先導して推し進めるべきものだ。今回の司法判断が確定したわけではないが、改革を裁判所に頼るようでは情けない。

高裁判決がさらに画期的なのは「改正薬事法には市販薬のネット販売を禁ずる規定はない」と、厚労省の裁量行政に警告を発した点にある。同じような裁量行政は、保険診療と自由診療とを組み合わせて提供する「混合診療」の原則禁止などにもみられる。

薬のネット販売にしろ、混合診療にしろ、真に規制が必要と考えるなら国会での審議を通じて立法措置を講じるのが筋だ。既得権者の意向に引きずられた官僚の胸三寸で、消費者や患者の利益を損なうようなやり方を、同省は断ち切るべきである。
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[毎日新聞] 社説:国のかたちを考える3 不信の根源 政党を問い直せ (2012年04月30日)

「総選挙」といえば、最近は衆院選ではなく、アイドルグループ・AKB48の新曲を歌うメンバーなどを競う「選抜総選挙」を連想する人が若い世代には多いかもしれない。昨年の総投票数は116万票余。もちろん政治と同列には扱えないが、前回参院選(10年7月)での新潟県や長野県の総得票数に匹敵する数と聞けば、その人気に驚く。

「AKB」の投票権はCD購入者らに与えられ、あざとい商法との批判がある。だが、投じた1票の効果がすぐ形になって表れ、握手会やブログを通じ投票者とメンバーがつながるなど現実の選挙では味わえない充実感があるそうだ。ファンがアイドルを育てているふうでもある。

◇まず党首選の見直しを

芸能界だけに関心が集まる現状を嘆く前に、改めて考えてみたいことがある。今なぜ、政治不信が国民全体に広がっているのかである。

毎日新聞の直近の世論調査によれば、民主党の支持率は15%、自民党が17%で、「2大政党」といっても合わせて約3割に過ぎない。「支持政党はない」という層は同調査で50%。全党合計しても有権者の半分程度の支持しかない国会の現状は、政党政治の深刻な危機といっていい。

民主党政権は期待倒れ。不毛な与野党攻防も終わらない。理由は山ほどある。だが、そもそも政党とは何か。その基本がなっていないのではないか。結局、そこに行き着くのではなかろうか。

理想とする国の姿を共有し、政策を練る。政策の実現のためにリーダーを選び、選挙で国民の支持を訴える。政党とは実際に政治、政策を動かすためにある組織だ。

ところが民主党政権はかつての自民党と同様、次々と党首を代えても一向に結束しない。党内の激論はあっていい。しかし、消費増税をはじめ何度党で決定しても、決めたはなから反対論が噴き出すように党の決定(党議)の仕組みさえあいまいだ。「国の統治」以前に「党の統治」ができていないということだ。

選挙制度の見直しなど政治改革論議が始まったのはリクルート事件などで自民党に批判が高まった1989年だ。政権与党であり続けることだけが目的化した自民党の「個人の集まり」的体質から脱皮し、どの政策を優先し、実現させるかで競う政策・政党本位の選挙に。政治改革とは実際には政党改革だったはずだ。にもかかわらず小沢一郎民主党元代表をはさんだ「小沢対反小沢」の怨念(おんねん)じみた権力闘争が今もなお続く。

現状を打破しようというのだろう。橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会が打ち出している首相公選制導入は、古くは中曽根康弘元首相、最近では小泉純一郎元首相が提唱したように決して新しい議論ではない。公選制にすれば有権者の関心が高まり、責任も増す。有権者に直接選ばれた首相ならもっと指導力を発揮できるといった期待がある。

ただし、公選制導入には憲法改正が必要だ。公選首相になった場合、国の元首は誰か、天皇制との関係から反対論がかねてあり、単なる人気投票に陥る懸念もある。さらに一歩進めて大統領制にした場合には、米国にみるように、議会とのねじれが生じる場合もある。与党をきちんと統治し、議会の多数派を握れば、一時期の小泉政権のように議院内閣制下の首相の方が強い権限があるという見方もあるのだ。

◇リーダー育てる風土に

それらを考慮すれば当面は今の憲法の枠内で、まず政党の党首選びを充実させた方が現実的だ。仮に将来公選制になるとしても、その候補を選ぶのは基本的に政党だ。

例えば09年の政権交代前、鳩山由紀夫氏を首相候補として代表に選んだ民主党の代表選は、小沢元代表の辞任表明のわずか5日後。これでは政策論争し、党の方向性をまとめるのは土台、無理だ。

当時も党内には「マニフェストに盛り込んだ政策の財源は本当に確保できるのか」という懸念があったが、その後も詰めた論議はされなかった。政権の迷走はここに始まる。

各党の党首の任期は衆院議員任期に合わせ4年とし、いったん選んだら安易に代えないルールも作る。そのうえで少なくとも1カ月近く党首選を続けてはどうか。メディアにさらされ続けることで候補者も成長するし、有権者が候補者の資質を知る機会にもなる。投票に参加できる党員がもっと拡大すれば事実上の「首相(候補)公選制」になる。

私たちメディアも、そして有権者も、もう少し長い目で政治のリーダーを育てる意識を持ちたい。

橋下氏らが「政治塾」をつくり、人材発掘や育成に乗り出す一方、経済界や学識経験者らで作る「日本アカデメイア」という団体も今年発足した。既に野田佳彦首相や自民党の谷垣禎一総裁を招いて意見交換し、今後も各党の幹部候補を招く。

リーダーが育たないのは政党だけの責任ではない。経済界なども政治に文句をつけるだけでなく責任を共有したいとの思いがあるという。こうした動きも定着させていきたい。
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[朝日新聞] 交通事故―道路で命を失わせるな (2012年4月30日)

悲惨な事故がまたおきた。道路で失われる命をこのままにできない。対策を直ちにとろう。

群馬県の関越自動車道でおきた高速バスの事故は、連休ののどかさを吹き飛ばした。大型バスの座席でまどろむ人たちは、こんな目にあうと考えてもいなかっただろう。

今月は大きな事故が続いた。中旬に京都市の繁華街で軽乗用車が暴走し、運転者とあわせて8人が死亡した。京都府亀岡市では登校中の小学生と保護者計10人がはねられ、3人が亡くなった。千葉県ではバス待ちの列に車が突っ込み、小学生1人が命を奪われた。

車と人の関係はこのままでいいのか。多くの人がそう考えたのではないか。

事故の事情はそれぞれに異なる。居眠りしていた、ぼんやりしたと話す運転者が続くのはとても気になるが、背景は今後の捜査を待たねばならない。だが今からできることはある。

夜をおして走る旅行バスは、ネットで安さを比べられ、厳しい競争をしている。それでも互いに安全を確保して走る方法があるはずだ。乗客も、運行する会社も安心できるルールを考える必要がある。

一般道で続いた事故についてはまず、通学路の安全だ。

たとえば、亀岡市の事故がおきたのは、車がやっとすれ違うことができる細い府道だった。並走する国道の抜け道になり、交通量が多かった。

地元の要望を受け、府は道路の両側に幅1メートルほどの路側帯をつくったが、ガードレールなど防護柵はなかった。千葉の事故も防護柵のない県道でおきた。

通学路に防護柵を備えることを基本にしよう。路面を所どころ盛り上げ、速度をあげにくくすることも有効だろう。

さらに、登下校の時間帯は車の乗り入れを禁じ、校区の広がっているところはスクールバスを走らせる。地域の事情にあわせた保護策をいち早くとり入れるべきだ。

自治体の台所は苦しいが、子どもを守るために必要だ。地元の人たちや企業に加え、自動車産業の寄付でまかなう基金をつくって対策をとれないか。

警察庁は昨秋から、小学校や幼稚園などのある住宅地の生活道路を時速30キロ以下にする区域指定を始めた。歩行者の交通事故死を減らすことが期待できる「ゾーン30」という施策だ。欧州で効果をあげている。国内での広がりはこれからだ。エアバッグなどで運転者の安全は進んだが、歩行者はまだ危険な状態に置かれている。
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[読売新聞] 追加金融緩和 政府と日銀は脱デフレを急げ(4月30日付・読売社説) (2012年4月30日)

日銀が小出しの金融緩和を繰り返しているだけでは、デフレ脱却への展望は開けまい。

政府と日銀は連携を強め、日本経済の成長回復に全力を挙げるべきだ。

日銀が、国債などを買い入れる基金を5兆円増やし、70兆円とする追加金融緩和策を決めた。

市場に出回る資金を増やし、景気回復を後押しする狙いだ。

日銀の追加緩和策は2月14日以来となる。前回は「物価安定の目途(めど)」を導入し、消費者物価の「1%上昇」を目指して金融緩和を続ける方針を打ち出した。

これが好感され、東京市場の平均株価は1万円台を一時回復し、円高にも歯止めがかかった。しかし、効果は薄れており、「二の矢」を放ったのは適切だ。

日銀は今回、今後の消費者物価上昇率の見通しを示し、2012年度がプラス0・3%、13年度はプラス0・7%とした。

今年1月時点の見通しを上回ったとはいえ、日銀がデフレ脱却の目安とする1%に届かなかった。早期のデフレ脱却は難しいと、日銀が自ら認めた意味は重い。

このままでは景気回復への期待がしぼんでしまい、経済活動は萎縮しかねない。

日銀は14年度以降「1%に遠からず達する可能性が高い」との見通しも示した。さらに踏み込み、デフレ克服を実現する強い決意を明らかにするべきだ。

もちろん政府にも、重い責任がある。歴代政権は人口減少や財政赤字などの課題に有効な手を打たず、成長力低下を招いた。デフレ長期化の主因と言える。

野田内閣が脱デフレに向けた関係閣僚会議を設け、経済構造改革について具体策の検討を開始したことは評価できる。

日銀の白川方明総裁もオブザーバーで参加している。金融政策だけでなく、財政政策と成長戦略をあわせて議論する必要がある。

最近、消費税増税に慎重な議員を中心に、日銀に大胆な金融緩和を求める声が強まってきた。「増税よりデフレ退治が先」という主張も、消費税から逃げる方便だとすれば政治の責任放棄だ。

民主党や自民党の一部には、日銀法改正を求める意見もある。政府が総裁解任権を持ち、デフレ対策を迫るなどの内容だ。

法改正の動きが具体化しつつあるわけではないが、政治が過剰介入すれば、中央銀行の独立性は揺らぎ、信認低下を招く恐れがある。市場や経済を混乱させる事態は避けなければならない。
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[朝日新聞] 社会インフラ―新設から更新へかじを (2012年4月30日)

高度成長期に整備した道路や港など、様々な社会インフラが更新期を迎えている。

少子化で人口は減っていく。高齢化に伴う社会保障費の増加で財政難はますます深刻だ。経済は低成長にあえぐ。

公共投資は、新設から維持・更新へとかじを切るべきだ。

このことを浮かびあがらせるのが首都高速道路である。

1964年の東京五輪をにらんで着工された。既存の道路や川の上空を活用し、300キロの路線の大半を橋やトンネルが占める。このため、補修費がかさみ、日々の点検費を含めると年600億円に達する。

首都高会社は急いで補修が必要な箇所の手当てに追われ、「計画的に補修する」損傷は10万カ所に近づく。道路自体の架け替えなど大規模更新が避けられないのではないか。こんな問題意識から専門家による検討が始まった。兆円単位の費用が必要、ともささやかれる。

09年度の国土交通白書は道路や空港、港湾など8分野の公共事業を分析した。維持・更新費は総事業費の半分(10年度)から増えていき、総額が横ばいなら、37年度には維持・更新すらままならなくなる。

新設どころか、一部の社会資本は利用をあきらめざるをえない、ということだ。

一方で、ようやく完成し始めた大型事業もある。80年代末のバブル期に計画された新東名高速道路がその象徴だろう。

4月中旬、全区間の約6割にあたる静岡県内の162キロが開通した。東名高速ではこの区間で年2500回の渋滞が発生していたが、ほぼ解消する見込みという。全線が開通すれば東西を結ぶ大動脈が二重になり、大地震と津波への備えとなる。

いいことずくめのようだが、費用は膨大だ。事業費は2兆6千億円。20年度までに開通させる残り4割の区間に、あと1兆8千億円かかる。

通行料収入で返済する仕組みだが、計画当時には想定しなかった体力低下に直面する日本経済への負担は小さくない。そして、今はピカピカの新東名も、いずれ更新が必要になる。

国交省は、凍結していた高速道路の建設再開や4車線化、整備新幹線の新規着工、ダムの新設など、大型公共事業を次々と打ち出している。問題意識や危機感はないのだろうか。首相もこれに異を唱えないのはどうしたことか。

経済成長でパイが大きく広がる時代はとうに過ぎた。早く頭を切りかえないと、後世に大きなツケを残す。
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[読売新聞] 郵政改革 もっと便利で頼れる郵便局に(4月30日付・読売社説) (2012年4月30日)

郵政事業の改革をサービスの向上につなげ、便利で頼れる郵便局にすることが重要だ。

小泉政権がスタートさせた郵政民営化制度を見直す改正郵政民営化法が、参院本会議で成立した。

改正の柱になっているのは、利便性の向上だ。日本郵政グループは、郵便事業会社と郵便局会社を合併して縦割りを解消する。これで配達員も貯金を預かれるようになる。業務の幅を広げ、きめ細かくニーズに対応してほしい。

全国一律サービスのあり方も課題となる。すでに義務づけられている郵便に加え、貯金と保険の基本的なサービスについても、全国の郵便局で提供する責務が課された。「金融過疎地」を生じさせないことが肝心である。

ネットワークの維持は、経営の安定があってのことだ。20万人超の巨大グループのムダを徹底的に削り、親方日の丸的な企業体質を改めることが求められよう。

リストラだけでは先細りとなって将来展望が開けない。本業のテコ入れが不可欠である。

郵便は年3〜4%のペースで減っている。ネット通販で需要が拡大する宅配の強化などで、総合物流業への脱皮を図るべきだ。

郵便貯金の残高や簡易保険の契約件数も減っている。巻き返しのカギは、がん保険や住宅ローンなど新規業務へ参入し、収入増を実現できるかどうかである。

日本郵政はゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社の全株式を保有する。それぞれ過半数を手放せば、2社の新規業務が、認可制から届け出制に緩和される。

日本郵政は、株式上場に向けた準備を着実に進め、株式の早期処分を目指すべきだ。新規業務を軌道に乗せるため、融資審査や保険商品の開発・販売にあたる人材の育成も欠かせない。

今回の法改正で、金融2社の完全民営化は「義務」ではなく「努力目標」になった。政府の信用を背景に「民業圧迫」を助長するとの批判が出ている。

米通商代表部(USTR)も、保険分野の公正競争を阻害しかねないと、懸念を示している。

政府と日本郵政は、民業圧迫という疑念を払拭する必要がある。郵政改革が、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)参加の障害になるのは避けねばならない。

完全民営化まで金融2社の「お目付け役」を務める郵政民営化委員会の責任は重い。民間との健全な競争が確保されるよう、しっかり役割を果たしてもらいたい。
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2012年04月29日

[東京新聞] 追加金融緩和 小出しでは効果がない (2012年4月29日)

日銀が追加の金融緩和に踏み切った。だが、相変わらずの小出し策にとどまり、効果は期待できない。本気でデフレ脱却を目指すには、インフレ目標の引き上げと目標達成期限の明示が不可欠だ。

日銀は国債など資産を買い入れる基金枠を現在の六十五兆円から五兆円程度増やす。国債の買い入れ枠を十兆円増額する一方、既存の金融機関向け融資枠を五兆円減らし、差し引きでは五兆円の増額になる。

ただし、これはあくまで「枠」にすぎない。実際に買い入れが完了し、約束したマネーが市場に供給されるのは二〇一三年六月だ。

増額規模が小幅で事前予想の範囲内にとどまったため、金融市場は株安円高で冷ややかに反応した。二月に事実上のインフレ目標を導入した際には、意外感もあって大幅な株高円安で好感したのと対照的だ。日銀に対する市場の期待感は急速に後退している。

同時に発表した「経済・物価情勢の展望」では、二〇一三年度の実質国内総生産(GDP)伸び率を政策委員見通しの中央値で前年度比プラス1・7%成長と見込んだ。消費者物価指数は同じくプラス0・7%の上昇だ。

一一年度のマイナス成長、物価下落からは反転するものの、デフレ脱却には遠い。展望は「1%に遠からず達する可能性が高い」と楽観的だが、欧州危機の再燃もささやかれる中、甘い見通しは消費税引き上げ論議にも微妙な影響を与えるだろう。

本来なら、消費者物価上昇率で1%のインフレ目標を2%にまで引き上げ、かつ達成時期についても明示する必要がある。指数が高めに出る統計上の誤差を考えれば、1%では実質的に0%程度にしかならない。

世界的に見ても、米国の連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ2%程度が標準になっている。

日銀の消極姿勢をみて、永田町ではインフレ目標の設定を日銀に任せず、政府が単独で、あるいは日銀と政府の協議で決めるべきだとの議論も有力になってきた。

日銀に対する民主的統制を強める観点から、総裁解任条項も含めた日銀法改正案も野党から今国会に提出されている。日銀はどう答えるのか。

今回の追加緩和を含めて、ここ数年の日銀は永田町が圧力を強めると緩和を小出しにする姿勢で一貫している。それでは日銀自ら「政策手段の独立性」を危うくすると認識すべきだ。
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[東京新聞] 旅館の格付け 外国人、いらっしゃい (2012年4月29日)

外国人観光客向けに日本の旅館を格付けする動きが始まっている。数値評価を嫌う国民性から公的な制度はないが、外国人には便利な情報だ。観光立国に向けて訪日客数の増加につながればいい。

格付けといえばミシュランガイドを連想する。日本版も刊行されているが、大都市圏のレストランが主体で旅館の掲載は少ない。旅行会社ウェブサイトのランキングも評価基準は不明で、口コミサイトは主観的だ。

欧米からアジア、アフリカまで世界の主な国々は宿泊施設の格付けを導入済み。外国人はネットなどで旅行先の情報を十分に事前調査する傾向が強い。しかし純和風の旅館で日本文化を味わいたくても、情報は限られているのだ。

中部産業・地域活性化センターが導入に向けて研究している。調査では、外国人客はコストに見合ったサービスは重視するが、外国語の案内はそれほど重視していないことが分かった。少々不便でも、異なる習慣に親しむことに旅の楽しさがあるわけだ。

高山(岐阜県)と伊勢志摩(三重県)で試行後、新潟、長野、群馬の三県七市町村でつくる雪国観光圏が今年から導入した。ニュージーランドの実例を参考に外観や客室のハード面から、接遇や食事のソフト面まで三百超の項目で評価し、参加した旅館三十八軒を一〜五つの星印で表した。商談が活発化し、震災前より客数が増えた旅館もあるという。

政府も過去に実験をした。数値評価をいやがる声や、日本特有のおもてなしをどう指標化するのか−との疑問が出て立ち消えになった。旅行消費や雇用創出など観光産業の経済波及効果は大きい。政府は先月、昨年は六百二十二万人に激減した訪日外国人を、四年後に千八百万人とする計画を立てた。達成には戦略が必要だ。

国内の旅行形態は団体から家族・少人数、量から質の時代に変わり、旅館の廃業が相次いだ。海外誘客は生き残りのカギになる。自ら正確な情報を発信しなければ、外国人が自分たちの尺度で日本旅館を評価しかねない。

大事なのは、評価基準を公開することだ。観光客の信頼が高まると同時に、旅館にとっても品質の向上につながる。

格付けに抵抗があるなら、予算を含めた情報開示ととらえればどうか。何よりウエルカムの意思表示になる。小さな温泉郷や民宿にも誘客のチャンスがある。工夫を凝らしながら、全国に広げたい。
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[産経新聞] 昭和の日 時代の宿題に向き合おう (2012/04/29)

今日は6回目の「昭和の日」である。昭和時代の天皇誕生日だった。平成になり、いったん「みどりの日」とされたが、「昭和天皇のご遺徳やあの時代をしのぶ日がほしい」という国民の声を受け、平成19年から「昭和の日」となった。

祝日法によれば「昭和の日」は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日とされている。

確かに昭和という時代は、あの大戦により多くの国民の命と財産をなくしたばかりでなく、たびたび大震災や風水害などに見舞われ国土の荒廃を招いた。しかしその都度、日本人はそうした危機を乗り越え、復興を果たし、新たな発展へつなげてきた。

今の日本も、昨年の東日本大震災から復興の緒についたばかりである。ガレキの広域処理や原発再稼働などをめぐり、国民の間の「絆」も弱まっているようにも見える。その意味で、あの時代の苦難と復興とを振り返ることは国民に大きな勇気を与え、団結心を強めることは間違いない。

だがその一方で、昭和という時代が、復興や経済成長の陰にかくれ、果たすべき多くの課題を後の時代に先送りしてきたことも事実である。

自らの国を自ら守るための憲法改正や、失った領土の回復、主権意識の涵養(かんよう)、危機管理能力の向上などがそうである。さらに国民の「道徳心」を育てる教育もその一つだと言わざるをえない。

戦前は学校に「修身科」があり道徳を教えてきた。戦後は昭和33年に「道徳の時間」が復活したものの、日教組などの反対で正式の教科とはならず、現在に至っている。教材や教え方も学校任せで、実際にはかなりおざなりになっているケースも多いという。

悪質な振り込め詐欺は言うに及ばず、子供への虐待、無免許少年たちによる暴走事故が相次いでいる。どれをとってもこの社会をゆがめているのは、道徳心の欠如だと言ってもいい。

4年前、渡部昇一・上智大名誉教授を代表世話人とする「道徳教育をすすめる有識者の会」が結成されたのも、そうした社会への危機感からにほかならない。

「昭和の日」にあたり、あの時代に思いをいたすとともに、時代が残した「宿題」に取り組む覚悟も固めたい。
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[産経新聞] 自民党憲法改正案 妥当な「国の在り様」提起 (2012/04/29)

自民党がサンフランシスコ講和条約発効60周年に合わせてまとめた憲法改正草案の特徴は、日本の国の在(あ)り様(よう)を踏まえて、「国民共同体」としての国家を明示したことである。

占領時に米国から強いられた格好の現行憲法には、日本固有の価値観や伝統が反映されていなかった。平成17年の自民党の「新憲法草案」より一層、国家観を明確にしている。国の基(もとい)を明らかにする国家論の提起を評価したい。

その核心部分は、領土・領海・領空、資源を国と国民が協力して確保する領土保全の規定を新設したことにある。

国益や国民の生命・財産を守る国家の責務を明らかにしておくのは当然だ。武力攻撃や大災害時に首相の権限を強化する緊急事態条項の創設も、普通の国家としての責務である。

注目したいのは、前文で日本を「国民統合の象徴である天皇を戴く国家」と位置付け、国民は「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守る」とした点だ。さらに改正の目的として、「良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承する」とうたっている。妥当といえる。

天皇を「日本国の元首」と位置付けることについては、原案段階では党内の一部に異論もあったものの、最終的に明記することが決まった。さらに、国民に尊重を求める国旗・国歌については、「日章旗」と「君が代」と具体的に特定した。

安全保障では、「自衛権の発動を妨げるものではない」として自衛権を明確にし、「国防軍」を保持するとしている。当初の「自衛軍」よりも、「国軍」であることを鮮明に打ち出した。

自民党は、日米安全保障条約の実効性を強化するための「安全保障基本法案」もまとめ、その中で、現行憲法下で行使が認められないと解釈されている集団的自衛権の行使を容認することも明記している。日本を守るための議論を深めてほしい。

「家族」を「社会の自然かつ基礎的な単位」として尊重し、家族で助け合うことなども盛り込み、いまの日本が抱えている問題の解決への処方箋も示している。

たちあがれ日本やみんなの党も改正案の考え方などをまとめた。党内論議が一向に進んでいない民主党こそ、憲法に正面から向き合うべきである。
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[日経新聞] 街の個性で外国人を呼ぼう (2012/4/29)

東京都心で大規模な商業施設の開業が相次いでいる。これを機に東日本大震災で低迷した観光消費の復活に一段と弾みをつけたい。特に海外観光客を日本へと呼び込むために、東京の持つ多様な魅力を発信する手掛かりとしたい。

東京の渋谷駅前に誕生した商業ビルは小売り・飲食店に加え、海外客もにらみ劇場やデザイン関連の施設を充実させた。お台場ではSFアニメに登場する巨大ロボットを「実物大」で復元。浅草には日本家屋を積み上げた独特なデザインの観光案内所が生まれた。

デザイン、アニメ、建築、ファッションなどの現代文化は日本の強みだ。今後開業する東京スカイツリーや東京駅舎なども含め、快適で洗練された生活文化や景観の魅力を訴えるいい機会となる。

渋谷駅周辺は今後、長い再開発が続く。バブル崩壊で活用策が滞っていた土地も、原宿などで本格活用が始まった。魅力ある都市空間を作っていく好機だ。

ニューヨーク、パリ、ロンドンなどは、都市内の地区がそれぞれ個性を持ち、都市全体の集客や、繰り返し訪れる固定ファンの増加につなげている。東京も渋谷や原宿など個別の街の名をどんどん海外に売り込み、アジアの若者をひき付けたい。首都が魅力を持てば東北などを回遊する人も増える。

巨大施設だけが観光のけん引役ではない。東京の上野に一昨年、外国語が堪能な若者4人が築90年の元豪邸を改装し雑居式の宿を開業。安く快適で下町の人々と交流できると外国人に人気が高く、ここを手本に地方の若者が同様の宿を開く動きが広がる。こうした草の根の動きを地方や街全体の集客にうまくつなげてはどうか。

これまで観光客の誘致といえば大都市でも地方でも、行政が主導する総花的で無難なものになりがちだった。これからはテーマやスポットを絞り込み、ほかにない個性を訴えていくべきだ。そうしなければ外国人はもちろん、日本国内からの集客もおぼつかない。発想と姿勢の転換を急ぎたい。
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[日経新聞] 米軍再編をアジア安定にどう生かすか (2012/4/29)

アジア太平洋の安全保障は、米軍の存在に頼っている。その米軍が大がかりな再編を手がける。これを地域の安定につなげるため、日本が果たすべき役割は大きい。

日米合意によると、沖縄に駐留している約1万9000人の米海兵隊のうち、約9000人をグアムやハワイ、オーストラリアに分散させる。グアムには約4000人が移るという。

これにより米軍基地の沖縄への返還も加速する。沖縄の負担の軽減という観点からも、日本がグアムへの移転経費で応分の貢献に応じるのは妥当だろう。

ただ、再編案には課題も残る。機動力にすぐれた海兵隊は危機にすばやく対処する役割を担う。沖縄にいる海兵隊の規模がほぼ半分に減ることで、北東アジアでの米軍の抑止力が弱まらないか心配だ。日本は米側と協力し、そうした事態を防がなければならない。

では、どうすればよいか。その答えは今回、海兵隊が再編に乗り出す理由の中にひそんでいる。

米軍の狙いは台頭する中国軍に対抗することだ。このため、海兵隊の拠点を各地に分散させ、それらをつないで網状の安保体制をアジア太平洋につくろうとしている。このほうが、中国軍の攻撃を受けづらくなるとの読みもある。

日本に求められるのは自前の防衛力を強め、米軍の対中戦略を側面から支えていく努力である。その際、急務になるのが、手薄な南西諸島の守りを固めることだ。

南西諸島は、中国軍が太平洋に出ていく際の航路でもある。日本がこの防衛を整えれば、米軍も中国軍の膨張に対応しやすくなる。

日米合意では、日本の政府開発援助(ODA)の安保分野への活用もかかげた。アジア各国が海洋の警備能力を高められるよう、人材の育成や訓練にODAを使うのも選択肢だろう。

米軍普天間基地は現行案に基づき、沖縄県名護市辺野古への移設をめざす方針を確認した。だが、実現性に懐疑的な米議員に待ったをかけられ、合意の発表が2日間、遅れる騒ぎになった。このため、合意文書は他の選択肢にも含みを持たせる表現に改められた。

移設をさらに遅らせれば、米議会などの見直し論はさらに勢いづきかねない。そうなれば、現行案は白紙となり、結局、普天間の固定化を招く恐れがある。そんな最悪の結末を避けるため、今こそ移設を急がなければならない。
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[毎日新聞] 社説:国のかたちを考える/2 議会再生 参院改革が本丸 (2012年04月29日)

イタリア、モンティ内閣の奮闘は財政再建のみならず、私たちに多くのことを問いかける。経済学者の首相以下、政治家が一人も入らぬ「仕事師集団」が増税、年金改革に正面から取り組み、国民からなお一定の支持を得ている。

日本では、政治のプロのはずの国会議員の閣僚がまたも参院で問責決議を受け、国会は旧態依然の審議拒否騒ぎに翻弄(ほんろう)された。

政治を動かす歯車がどこか狂っているのではないか。国政進出を目指す「大阪維新の会」が首相公選制導入を主張するなど、統治の姿をめぐる議論がこのところさかんだ。政治の仕組みに対する問題意識の広がりと無縁ではあるまい。

ねじれ常態化に備えよその中でも、参院のありかたを優先して考えることを提案したい。

ここ6年連続で日本の首相は交代し、「決められない政治」が続く。すべてをシステムのせいにすることは短絡だ。だが衆参与野党の「ねじれ」が停滞の一因となり、参院の「抑制と補完」のあり方が問われていることは否定できない。

日本の両院制は衆参両院とも直接選挙で議員が選ばれ、議院内閣制の下で権限が全体的にほぼ同等な点で異色である。

確かに憲法は首相指名、予算案審議や条約の承認、法案の再議決などで衆院の優位を認めている。逆に言えばそれ以外はほぼ対等で、参院の権限は強い。かつて自民党が参院の政党化を進め「衆院のカーボンコピー」とやゆされるほど衆院との同一化を進めたゆえんである。

ところが89年参院選を境に自民党支配が揺らぎ、やがて参院対策が連立など政権の枠組みを左右するようになった。自民、民主が05年、09年衆院選でそれぞれ圧勝すると次の参院選で揺りもどすような大敗を喫し、政権は「ねじれ」の克服にあえいでいる。

現在の与党は衆院再議決もままならず、参院が法案の命運を握る。3年ごとの改選で同じ政党が続けて単独過半数を制することは難しく、ねじれは常態化する可能性がある。

与野党が慣行作りに努力することでかなりの混乱を回避することは可能だ。予算の財源に関する法案、国会同意人事について衆院議決を優先することや、閣僚の問責決議後に審議拒否戦術を用いないルールを合意するだけで国会は様変わりする。

憲法が定める両院協議会が機能していない点も問題だ。各院議決の多数派だけ出席する方式の見直しや、成案を得る要件を緩和するなどの方策を速やかに講じるべきだ。

そのうえで腰を据え、衆参両院の役割と機能を議論してはどうか。選出方法が異なるゆえに役割が違うというのが本来、2院制の意義のはずだ。だが、今の日本は逆の悪循環に陥りつつあるようにみえる。

連邦制下のドイツは公選を経ない地方代表で連邦参議院が構成され、州に関する案件に権限を持つ。もちろん日本と事情はことなるが、わが国でも47都道府県を数ブロックに再編する「道州制」論が本格化しつつある。参院に地方代表としての性格を強め、衆院との役割分担を再定義したうえで党議拘束を外す方向もあり得るのではないか。

現在の衆参両院を前提としても、法案の衆院再議決に必要な多数を「3分の2以上」とする要件の是非も議論に値しよう。

両院の役割再定義を首相を選ぶ衆院のあり方も論ずべきことは当然だ。違憲状態の「1票の格差」是正をきっかけに浮上した選挙制度見直しに与野党がどうのぞむかが問われている。

小選挙区比例代表並立制の下、5度の総選挙が行われた。2大政党化が進んだ半面、多くの議員が選挙の生き残りに追われ、骨太な議論がしにくくなった。政党交付金の存在は不自然な離合集散を誘発している。

小選挙区制の功罪を率直に検証すべき時期だ。中選挙区制復活や、比例代表で中小政党が有利な小選挙区比例代表連用制導入を求める声もある。まず「1票の格差」を是正し、ある程度の数の政党が存立し得る制度を前提に議論すべきだろう。

自民党の憲法改正草案には盛られなかったが、議会改革をめぐり1院制導入論も勢いづく。超党派議連は衆参両院を設置する42条を改正し、1院制とする原案をまとめた。

ねじれが問題だからといって、一足飛びに1院制や参院廃止論などに飛びつくのは乱暴だ。衆参両院の果たすべき役割、選挙制度をしっかりと論じるべきだろう。

現憲法のGHQ(連合国軍総司令部)案は1院制だった。だが、日本側の意向で修正され、今の衆参両院が形づくられた。

GHQが制定過程に深く関与したことを改憲理由とする「押しつけ論」は根強い。だが、言わば日本が主導した衆参両院のあり方が論点として意識されていることは示唆的だ。

一層の国際化、分権が迫られる日本にふさわしい統治のかたちは何か。論憲を通じ主体的に考えることは、将来の世代への責任である。
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[朝日新聞] 日銀の政策―緩和の自動化を憂える (2012年4月29日)

日本銀行が追加の金融緩和を決めた。

いま景気は緩やかながら回復基調にあり、インフレ率もプラスに転じつつある。そうした中での度重なる緩和は疑問だ。

日銀法の改正までちらつかせる政治からの圧力や、市場からの期待に押し切られたとしか映らない。

日銀が自らの経済見通しを示す今年度初の「展望リポート」では、来年度のインフレ率を0.7%とした。日銀は2月から1%の「インフレ目標」を掲げており、デフレ脱却への決意を改めて示すことが迫られた。

展望リポートは3カ月ごとに見直される。となると、目標に届くまで、少なくとも3カ月ごとに市場や政治から強烈な圧力を受け、やる気を見せるために緩和を繰り返すのか。

これでは緩和の「自動化」である。目標に達しない間、投機的な思惑がエスカレートすることは目に見えている。

さらに日銀が緩和で国債などを買い込むほど市場での存在感が大きくなり、期待を裏切った時の失望売りも大きくなるジレンマが深まる。

ちょっとしたきっかけで売りが売りを呼ぶ相場崩壊が起こりうる局面では、日銀自らが危機の引き金を引く恐れも高まる。そう考えると、なおさら市場の言いなりに緩和するほかない。そんな深みに、日銀ははまりかけている。

緩和の矛盾や限界もあらわになりつつある。日銀が2月に10兆円の緩和に踏み切った直後、2年国債が総額2兆5千億円あまり発行された。このうち5割近くは日銀が保有する。

ある資産の市場で日銀の存在が大きくなりすぎると、売り手もいなくなる。いきおい他の資産を買うほかなく、国債なら満期までの期間がより長いものになる。

それは、財政資金の調達を長期にわたって支援するようなものだ。事実、今年度は新たに44兆円強の長期国債が発行されるが、日銀が年度内に買う長期国債の額はそれに匹敵する。

催促相場に迎合するままでは政策効果は薄れる一方だ。消費増税法案の審議が難航するなかで、財政尻ぬぐいの疑念は増すばかり。それでも失望売りが怖くて、市場には逆らえない。国会で袋だたきにあうことを考えればなおさらだ――日銀はそう考えているのだろうか。

追い込まれるほど転換は難しくなる。行きすぎた圧力は断固として退ける。日銀が政策の自由を取り戻すには、そこから始めなければならない。
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[朝日新聞] 在日米軍再編―施設返還を早く確実に (2012年4月29日)

沖縄の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設と、海兵隊のグアム移転や嘉手納基地より南の米軍施設の返還を切り離して考える。

この新しい方針に基づく、日米両政府の「在日米軍再編見直しの中間報告」には評価できる点と、できない点がある。

懸案だった米軍施設の統合、土地の返還、さらには海兵隊の国外移転への道筋が示されたことは一歩前進であり、進展を期待する。

一方で、普天間の辺野古移設を相変わらず「唯一の有効な解決策」としたのはいただけない。「見直し」に含みを持たせるような表現も加えたとはいえ、展望は開けていない。

まず土地の返還に関しては、報告は普天間を除く嘉手納以南の五つの米軍施設を分割し、すみやかに▽代替施設の提供後▽海兵隊の国外移転後の3段階での実施を明記した。年内に具体的な計画を決めるという。

96年の普天間返還合意の際にも、訓練場や軍港など11施設、約5千ヘクタールの返還を決めたが、実現しているのは1割未満にすぎない。今度こそ一刻も早く実現させ、沖縄の負担軽減を確実に進めなければならない。

海兵隊の移転では、海外へ出るのは約9千人で、そのうち約4千人がグアムに行く。

グアムへの人数は06年の日米合意より減るのに、米政府はいったん日本政府に移転費用の増額を求めてきた。結局、元々の最大負担額28億ドルで折り合ったが、一部を新たに米領北マリアナ諸島での日米共同訓練場の整備にあてることにした。

いままでにはなかった取り組みであり、自衛隊の島嶼(とうしょ)部防衛の訓練をより効率的におこなう狙いがある。

だが、西太平洋での米軍との連携強化は、中国などを刺激する側面があり、さまざまな目配りも求められる。

普天間問題には、首をかしげざるを得ない。新しい方針への転換は、辺野古案を白紙に戻す好機だったはずだ。

嘉手納への統合を唱える米議員の要望もあり、「唯一の有効な解決策」の前に「これまでに特定された」をつけたが、政府が本気で検討する気配はない。

一方で報告には、普天間の補修工事を「日米が相互に貢献」して進めることを明記した。

これでは、米軍が普天間を使い続ける「固定化」の疑念が膨らむばかりだ。

そうではないというなら、日米両政府は30日に予定される首脳会談を機に、新たな移設先の検討に本腰を入れるべきだ。
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[読売新聞] 消費税法案 軽減税率で低所得者層に配慮を(4月29日付・読売社説) (2012年4月29日)

◆参考にしたい欧州の先行事例

社会保障と税の一体改革は、日本の将来を左右する最重要課題である。消費税率引き上げ関連法案を巡る与野党の動きは緩慢すぎる。

関連法案の審議入りは、大型連休明けにずれ込んだ。特別委員会での実質審議は5月中旬からだ。このままでは、6月21日までの会期内に成立しそうもない。

こうした中、自民党内でようやく、消費増税法案の対案を検討する動きが出てきた。建設的な姿勢として評価できる。自民党は対案をまとめ、政府に論戦を挑んでもらいたい。

◆自民党は対案を示せ

自民党内で浮上した対案は、2015年4月に消費税率を現行の5%から10%へ一度に引き上げる内容である。

14年4月に8%、15年10月に10%へ2段階で上げる政府案とは、引き上げ方式が異なる。

長年政権を担ってきた自民党は危機的な財政状況に責任がある。遅ればせながら、財政再建へ本腰を入れようというのだろう。

自民党は10年の参院選でも「消費税10%」を公約していた。引き上げ後の税率では政府案と一致しており、政府・民主党と合意形成を図る余地は十分あるはずだ。

野田首相は、消費増税法案の成立に、「政治生命を懸ける」との覚悟を繰り返し強調している。

輿石幹事長ら民主党執行部と連携し、与野党協議の実現に一層の指導力を発揮すべきだ。

消費増税法案を巡る国会審議で一つの焦点となるのは、増税にあたって、収入の少ない人の負担をいかに軽減するかである。

◆ばらまき給付は問題だ

法案は二段構えの措置を盛り込んでいる。税率を8%にする際、低所得者に現金を渡す「簡素な給付措置」を実施する。

その上で、税率を10%にする時、所得に応じて減税か、現金支給を行う「給付付き税額控除」を導入するという内容だ。

消費税は、低所得者ほど負担感が大きいとされる。

それを和らげる措置は必要だとしても、民主党内で、簡素な給付措置にかこつけて金額の大幅な上積みを求める声が強まっているのは、問題ではないか。

そもそも今回の一体改革では、社会保障分野に、介護保険料の軽減や年金給付の加算など計1兆4000億円の低所得者対策が含まれている。現金支給の金額や対象範囲を膨らませ、新たなバラマキにしてはならない。

政府案の給付付き税額控除を実施するには、世帯所得を正確につかむことが必要になる。

しかし、共通番号制度が導入されても、不動産や金融資産の収入など所得全体を完全に把握するのは難しいと懸念される。

日本より前から付加価値税を導入している欧州諸国の大半は、税率こそ20%前後と高いが、食料品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率を採用している。

税率を引き上げる場合も、暮らしに欠かせない商品は軽減税率が維持される。機動的な増税を可能にする利点と言える。

活字文化と言論報道の公共性を重視して、新聞や書籍などの税率を大幅に低くする国も多い。イギリス0%、フランス2・1%、イタリア4%などで、「知識には課税しない」との伝統が定着しているからだという。

日本では、消費税率が欧州ほど高くないため、これまで軽減税率の必要性があまり論議されなかった。欧州の先例は参考になる。

読売新聞が今月実施した世論調査では、消費税率の引き上げ時に軽減税率を「導入すべきだ」とした人が全体の74%を占めた。

野田首相が先週、軽減税率を検討するという考えを表明したのは妥当な判断だ。首相はテレビ番組で、「国民や野党からいろいろ提案があると思う。真摯(しんし)に向き合った議論をしたい」と語った。

◆与野党は議論を急げ

首相発言を受けて、軽減税率を議論する機運が高まっている。

公明党の石井政調会長は記者会見で、「軽減税率の導入と給付付き税額控除のどちらもあり得る。具体的な中身をきちんと出すことが重要だ」と述べた。

自民党も、税率を10%に引き上げた際、生活必需品に軽減税率を導入する案を検討している。

ところが、政府は「必要な税収が確保できない」「対象の線引きが難しい」などを理由に、法案に軽減税率を盛り込んでいない。

どんな制度が現実的で、国民にも分かりやすいか、与野党はしっかり議論してもらいたい。
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