2012年03月31日

[東京新聞] 郵政見直し 利便性で事業立て直せ (2012年3月31日)

民主、自民、公明三党が郵政民営化法改正案を共同提出し、今国会での成立が確実になった。しかし、郵政事業は悪化の一途をたどる。利便性や効率性向上という基本を忘れては収益改善は難しい。

自民党の小泉政権時代に成立した郵政民営化法は、二〇一七年九月までにゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の全株式を売り払い、完全民営化することを定めている。

だが、公明が作成し民、自が受け入れた「郵便局会社と郵便事業会社を統合し現在の五社体制を四社に再編」「政府は持ち株会社・日本郵政株の三分の一超を保有」「日本郵政は子会社の金融二社の全株処分を目指す」を柱とする改正案は、金融二社の全株売却を努力規定に後退させ、実施時期すら示していない。

「国の関与」が舞い戻り、三党そろい踏みで完全民営化の旗を降ろしたと言わざるを得ない。

日本郵政の斎藤次郎社長は「経営の自由度を高めてほしい」と、住宅ローンやがん保険など稼ぎ頭の金融商品拡大に期待を寄せている。しかし、新規業務を認めるかどうかを判断する郵政民営化委員会は、全株を売却せずに間接的に政府出資を続ければ「暗黙の政府保証」が働いて民間との公平性が損なわれると取り合わない。

日本のがん保険は米系生命保険が七割以上のシェアを握っており、TPP(環太平洋連携協定)事前交渉などで米国の反発が避けられない。金融二社の株式売却に躊躇(ちゅうちょ)していては、当面の金融業務が小口預金と少額保険に制約されることを覚悟すべきだろう。

さまよう郵政の現場は士気が上がらず、遅れず、休まず、働かずの「三ずの誓い」が蔓延(まんえん)しているという。遅刻や欠勤をせず、与えられた仕事だけをこなせばいいという官製ビジネスへの回帰だ。

ゆうパックなどの郵便事業は民間の宅配業者に客を奪われ、昨年九月中間決算は営業赤字が七百億円に上った。ゆうちょ銀の残高も減り、かんぽ生命の新規契約数はピーク時の四分の一以下だ。

郵政選挙をはじめ、事あるごとに政局の材料にされてきた郵政事業の効率を高める手だてが、何よりも欠かせない。

改正法案が成立すると郵便、貯金、保険を郵便局で一体的に提供でき、郵便配達員も配達先で金融業務を扱えるようになる。局会社と事業会社の統合で懸念される組織の肥大化を抑え、全社員が利便性向上と向き合わないと自立した郵政事業の存続は危うくなる。
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[産経新聞] 【主張】消費増税法案 与野党で修正し成立図れ 首相は最低保障年金の撤回を (2012.3.31)

消費税増税関連法案が年度内ぎりぎりで閣議決定され、国会に提出された。

閣議決定をめぐって連立を組む国民新党は分裂した。民主党内でも増税反対の副大臣、政務官らが辞表を提出している。結束を乱そうとする無責任な行動だ。

野田佳彦首相は一連の混乱にもかかわらず、「政治生命を懸ける」と表明していた最重要課題の今国会成立に向けた手続きを前進させた。

だが、自民党などの協力は得られず、法案成立は極めて困難な情勢である。

≪社会保障の膨張許すな≫

消費税の増税は、社会保障の安定財源を確保するために避けられない。政府案が多くの問題点をはらんでいるとしても、与野党がにらみ合っているだけでは問題は何も解決しない。

求められているのは、与野党が法案をよりよい内容に仕上げていくことだ。

自民党は、民主党がマニフェスト(政権公約)になかった消費税増税を打ち出したことを批判している。しかし、社会保障制度を少子高齢時代に安定的に維持することは、党派を超えた課題であることを忘れてはならない。

そのためにも、政府側が大胆な法案修正に応じなければ、与野党の調整は始まらない。与野党双方に「決められない政治」を打破するための努力を求めたい。
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[東京新聞] 元 特捜部長有罪 検察改革を緩めぬよう (2012年3月31日)

大阪地検の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件で、元特捜部長らに有罪判決が出た。不正をもみ消した大汚点であり、「組織の病弊」とまで裁判官に指摘された。動きだした検察改革をさらに進めてほしい。

検察官は法と証拠に忠実に向き合わねばならない。証拠品であるフロッピーディスクのデータを改ざんした大阪地検の元検事は、その基本を踏み外した。有罪判決を受けた元特捜部長らも改ざんを知りつつ、隠蔽を図った。幹部も基本を逸脱したのだ。

判決が「検察組織の信頼を損ねた責任は重い」となじったのは、当然である。とくに元特捜部長は「ミステークでいく」と部下に述べ、上層部にも不祥事を正確に伝えなかった。組織防衛のためであったとしても、前代未聞の犯罪のもみ消しは許されない。

そもそも厚生労働省の元局長を犯罪者にでっち上げた郵便不正事件は、空中楼閣の出来事だった。事件の構図を勝手に見立てて、強引に供述調書が作成された。証拠品までも改ざんし、その事実を封印するのは、法治国家ではあり得ない。暗黒時代を思わせる。

大阪地裁は「犯行は組織の病弊が生み出したともいえる」とまで述べた。たしかに特捜検察の問題点は、大阪に限らない。

小沢一郎民主党元代表が強制起訴された裁判では、有罪立証の柱だった元秘書の供述調書が証拠採用されなかった。「違法な取り調べがあり信用できない」と裁判官が判断したためだ。

そればかりか、元秘書を取り調べた際の捜査報告書に、架空のやりとりが記載されていたことも判明した。法と証拠に忠実であるべき姿勢とは明らかに乖離(かいり)する。

最高検察庁が陣頭指揮を執って、すでに検察改革は進められている。独自捜査への偏重が無理な捜査につながったとして、特捜部の体制を縮小したり、外部の有識者を参与に入れた監察部門が新設された。職員が上司を評価する取り組みも試験的に実施した。

取り調べの録音・録画の試行も始められ、特捜事件のほぼすべてで実施、そのうち約四割が全面可視化である。現場からは「自白が得られにくい」などの不満があるというが、適正捜査を志す以上、後退はあり得まい。

「検察の理念」と題する職務指針もつくられ、「独善に陥ることなく、謙虚な姿勢を保つべきである」と記された。この精神が徹底され、改善を積み重ねる努力こそ、信頼回復の近道だろう。
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[毎日新聞] 社説:消費増税法案決定 民・自合意に全力挙げよ (2012年3月31日)

消費増税関連法案を政府は閣議決定した。野田佳彦首相が強調していた年度内の国会提出にようやくこぎ着けたが「ねじれ国会」のハードルに加え、民主党内にも造反の動きを抱え前途は多難だ。

小沢一郎元代表に近い複数の民主党議員が政務三役の辞表を提出、国民新党も事実上分裂するなど与党に早くも混乱が生じている。首相は党分裂も辞さぬ覚悟で国会審議にのぞむ必要がある。自民党も合意形成に協力し法案の足らざる点を改め、2大政党の責任を果たす局面である。


◇与党なら決定に従え

首相は30日夕の記者会見で「(国会に)提出した以上は全力で成立を期す」と強調、「政策のスクラムを組むことは可能だ」と野党との合意に期待を示した。

首相はさきに「政治生命を懸ける」とも明言した。民主党内には早期の衆院解散を避ける思惑から、決着を次期国会以降に先送りさせようとする動きも根強いだけに、退路を断った自らの発言は重い。

首相が望んだ野党との協議は実現しなかったが、法案の国会提出にこぎ着けたことは確かに一歩前進だ。だが、足元では理解しがたい混乱が続いている。

とりわけ、国民新党のドタバタは醜態だ。増税反対派の亀井静香代表は連立離脱を宣言、これに対し自見庄三郎金融・郵政改革担当相は法案に署名するという正反対の対応で党は事実上分裂した。

ひとつの政党に与党議員と野党議員が同居する状態が許されていいわけがない。早急に党の意思統一をはかれないようでは、政治がモラルハザードを来してしまう。

それにも増して深刻なのが民主党内の状況だ。46時間も事前審査で議論を尽くし、「景気弾力条項」に経済成長の数値目標を記すなどの修正を行ったにもかかわらず、対立がいっこうに収束しない。

小沢元代表は党の手続きに「強引」と異を唱え、グループ議員は政務三役の辞表を出すなど倒閣まがいの動きをしている。消費増税は政権を懸けたテーマであり、党にとどまる以上は決定に従うべきだ。現段階で増税に反対するのであれば「では、どうするか」をより具体的に説明しなくては無責任に過ぎる。

衆院の採決で大量造反が出れば参院はおろか、与党単独による法案の衆院通過すらおぼつかないのは事実だ。だが、首相が優先すべきは野党との合意形成だ。これ以上慎重派に安易な譲歩をすべきではあるまい。

民主党以上に国会での対応が問われるのが野党、自民党である。

谷垣禎一総裁は首相に衆院解散を求め、選挙を経れば政策合意に柔軟に対応する用意を示している。だが、消費税率の10%への引き上げは自民もまた、公約に掲げていた。

解散戦略を優先するあまり、消費増税法案を放置したまま対決姿勢をとり続ける道を選ぶべきではない。早期の審議入りに応じ、堂々と議論を尽くすことをまずは求めたい。

そのうえで政府案の不備を改めるのが責任ある野党としての役割となる。社会保障の年金改革の将来像について、民主党は最低保障年金制度の具体像も含め、説得力ある説明ができていない。


◇重たい両党首の責任

複数税率をはじめとする負担軽減策、低所得者対策の検討も不十分だ。残されるさまざまな課題を建設的な立場からただすことが、かつての与党である自民、公明両党の責任のはずだ。

衆院議員の任期満了が近づくほど、民主、自民両党の協調は難しさを増す。民主党の岡田克也副総理は自民党幹部に大連立構想を打診したという。自民の一部に呼応する意見もあるが、現実的ではあるまい。

消費増税は本来、民意を問うに足る重大なテーマだ。だが、政治を前に進めていくことの大切さも軽視できない。

民主、自民両党が合意して法案を成立させたうえで首相が衆院を解散し、国民の審判を仰ぐいわゆる「話し合い解散」も選択肢ではないか。もちろん、十分な政策協議が行われ、法案に必要な修正が加えられることが前提となる。

各種の世論調査をみる限り、消費増税をめぐる国民の視線は依然として厳しい。

社会保障の維持がこのままでは難しいと多くの人が認めながら増税への理解がなかなか広がらない背景には、民主党が政権交代にあたり消費増税はしないと事実上約束していたことへの不信がある。

社会保障の将来像への不安、不徹底な行革への不満も根強い。首相がこれまでの党の見解の変遷についてより率直に国民に謝罪すべきなのは当然だ。

「決められない政治」が印象づけられ民主、自民両党の政党支持率は低迷している。橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」が次期衆院選に候補を大量擁立する準備を本格化、既成政党の脅威となっている。

国民の納得できる成果を政党が示せるかが今こそ、問われている。政界の再編にすら波及しかねない局面だ。最後に試されるのは首相、谷垣両党首の力量である。
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[読売新聞] 消費税法案提出 首相は審議入りへ環境整えよ(3月31日付・読売社説) (2012年3月31日)

◆野党と「政策スクラム」形成を◆

政府が、消費税率引き上げ関連法案を閣議決定し、国会に提出した。

野田首相が終始ぶれずに、年度内に法案を決定したことは評価したい。

首相は、記者会見で、「大局に立つなら、野党と、政策のスクラムを組むことは十分可能である」と語り、野党に改めて協力を呼び掛けた。

だが、首相が「政治生命をかける」とまで公言した法案は、成立どころか、審議入りのメドさえ立っていない。政府と民主党はまず、自民、公明両党が法案を巡る協議に応じるための環境作りに、全力を注がなければならない。

◆複数税率も検討課題だ◆

法案は、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へ2段階で引き上げることが柱だ。

国会が現行の5%への引き上げを決めてから18年。この間、財政の悪化で、国と地方の債務残高は膨れあがり、11年度末には過去最悪の約900兆円に達する。

財政再建には徹底的な歳出削減が不可欠だが、行政のスリム化だけでは到底追いつかない。

結局、安定財源である消費税の税率引き上げは避けて通れない道である。

法案には、景気弾力条項として「名目3%程度、実質2%程度」の経済成長率を目指す施策を実施する、と明記された。

首相が、これに関連し、「税率引き上げの前提条件ではない」と述べたのは当然である。

この20年間の名目成長率はほぼゼロであり、達成は容易ではない。無論、政府は経済成長に努力すべきだ。しかし、この目標を、反対派が増税阻止の根拠に使おうとしても認めてはなるまい。

低所得者対策として、法案は、減税や現金給付を行う「給付付き税額控除」や、社会保障の合計自己負担額に上限を設ける「総合合算制度」などを盛り込んだ。

民主党内には、大規模な対策を求める声があるが、必要以上に規模を膨らませ、ばらまき色の強い内容にしないことが大切だ。

欧州では、家計負担を軽くするため、食料品など生活必需品の税率を低く抑える複数税率を採用している。新聞や書籍も税率をゼロや大幅に低くする国が多い。複数税率導入も検討すべきだろう。

◆民主は大胆に歩み寄れ◆

法案の閣議決定にあたり、国民新党は、亀井代表が連立離脱を宣言した。これに同調しない自見金融相らは政権に残留した。分裂状態に陥ったのはやむを得ない。

民主党の小沢一郎・元代表のグループの一部議員は、「閣議決定は認められない」として、政府や党の役職の辞表を提出した。民主党内の亀裂の深さを改めて浮き彫りにしたと言える。

衆院での法案採決が、政治的には大きなヤマ場となる。党執行部は、衆院での採決に向け、党内の引き締めを図ることが重要だ。

同時並行で、法案成立に不可欠な自民、公明両党の協力を得る努力を尽くさねばならない。

自公両党が衆院段階で法案に反対すれば、参院で賛成に転じる可能性は小さいからだ。

膨大な財源が必要な「最低保障年金」導入など、民主党の新年金制度案に対しては野党から強い批判がある。

自公政権で導入された後期高齢者医療制度を廃止するとの方針も、制度の継続を望む自治体の反発で行き詰まっている。

ともに民主党が政権公約(マニフェスト)で掲げた政策だが、その実現にこだわるべきではない。撤回や大幅修正など、野党側に大胆に歩み寄る決断が必要だ。

民自公3党の話し合いで、子ども手当に代わる新児童手当創設や郵政民営化法改正が決まった。こうした合意形成を広げることが、消費税率引き上げ法案の審議入りにもプラスに働く。

◆自民も協議に応じよ◆

消費税率の10%への引き上げでは、民主党と自民党が足並みをそろえている。この機をみすみす逃してはならない。

自民党の谷垣総裁は、法案成立前の衆院解散・総選挙を求める姿勢を崩していない。

だが、法案を成立させた後の衆院解散という展開は、自公両党にとって決して不利益ではないはずだ。こうした主張は自民党のベテラン議員に少なくない。

伊吹文明・元幹事長は「国民のために必要なことを一刻も早くやるべきだ」として、政府・与党との法案修正協議を促している。

自民党は対案を示し、与野党協議に臨んでもらいたい。協議の過程で民自公3党の間に信頼関係を積み上げることが肝要である。
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[朝日新聞] 税制改革の法案提出―やはり消費増税は必要だ (2012年3月31日)

政府が消費増税を柱とする税制改革法案を国会に提出した。

消費税率を今の5%から14年4月に8%へ、15年10月には10%へと引き上げる。税収は社会保障の財源とする。

高齢化が急速に進むなか、社会保障を少しでも安定させ、先進国の中で最悪の財政を立て直していく。その第一歩として、消費増税が必要だ。私たちはそう考える。

しかし、国会でも、国民の間でも異論が絶えない。

まず、こんな疑念である。

■なぜ増税が必要なのか、なぜ消費税なのか

この問いに答えるために、国の財政の状況を整理しよう。

12年度の一般会計予算案で、歳出の総額は90兆円を超す。ところが、税収は42兆円余りしかないので、国債を発行して44兆円以上も借金する。

こんな赤字予算を続けてきた結果、政府の借金の総額は1千兆円に迫り、国内総生産の2倍に及ぶ。

財政悪化の最大の要因は、社会保障費の膨張だ。一般会計では26兆円を超えた。高齢化で医療や年金、介護の給付が伸び続け、国の支出は毎年1兆円余りのペースで増えていく。

多額の借金で社会保障をまかなう構図だ。この財源の「穴」を埋め、将来世代へのツケ回しを改めなければならない。

むろん、むだを省く工夫が必要だ。分野によっては、給付の大幅な削減も避けられない。

一方で、「穴」の大きさを考えると、医療や年金、介護の保険料ではとても追いつかない。ここは税の出番だ。

社会全体で支え合う社会保障の財源には、一線を退いた高齢者から、働く現役組まで幅広い層が負担し、税収も安定している消費税がふさわしい。

その際、低所得の人への対策を忘れない。所得税や相続税も見直し、所得や資産の多い人への負担は重くする。税制改革の重要なポイントだ。

■増税に頼らなくても、財源はあるはずだ

行政改革を徹底し、予算の配分を見直し、歳出を絞っていくのは当然のことだ。

この点で野田政権と財務省の無責任ぶりは甚だしい。昨年末には、整備新幹線の未着工区間の着工をはじめ、大型公共事業を次々と認めた。

消費増税の実現が最優先となり、与党から相次ぐ歳出要求に抵抗もせず、受け入れた。独立行政法人や特別会計にもまだまだメスが入っていない。とんでもない考え違いである。

ただ、歳出削減に限界があるのも事実だ。一般会計の教育・科学関係費や防衛費、公共事業費、国家公務員の人件費は、それぞれ5兆円前後。大なたをふるっても、多額のお金が出てくるわけではない。

特別会計や政府系の法人が抱える「埋蔵金」も、ここ数年積極的に掘り起こしてきた結果、次第に底を突きつつある。

10兆円を超す積立金を持つ特別会計がいくつか残っているが、それぞれ借金を抱えていたり、将来の支払い予定があったりする。活用しても、一時しのぎにすぎない。

■低成長が続くなか、増税して大丈夫か

エネルギーや環境、農業などで規制緩和を進め、新たな需要と雇用を生み出し、経済を活性化する努力は不可欠だ。

だが、「景気回復を待って」と言っている間に借金はどんどん積み重なる。リーマン・ショックのような激震時には見送るにしても、増税から逃げずに早く決断することが大切だ。

欧州の債務危機では、主要先進国の一角であるイタリアまでが国債相場の急落(利回りの急上昇)に見舞われた。財政は日本よりはるかに健全なのに、投機筋の標的になった。日本の国債は大半を国内の投資家が持っているからといって、価格下落と無縁なわけではない。

イタリアはマイナス成長が懸念されるなか、増税や年金の削減に乗り出した。フランスも、ユーロ圏ではない英国も、競って財政再建に着手し、国債への信用を維持しようと必死だ。

市場に追い込まれる形での財政再建は厳しい。

国債価格が下がると、新たに発行する分には高い金利をつけないと買ってもらえない。財政はいよいよ苦しくなる。

景気の回復を伴わない金利の上昇は、企業も圧迫する。給料が下がり、雇用が失われかねない。そんな状況下で、いま以上の増税が不可避になる。

経済学者でもあるイタリアのモンティ首相は「未来のために犠牲を分かち合ってほしい」と訴え、国民の支持を得て改革への推進力としている。

野田首相は「消費増税に政治生命をかける」と言うが、そのためには、国民が納得できる政策を示さなければならない。

私たちは目を凝らし、厳しく注文をつけていく。
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2012年03月30日

[東京新聞] 外国人介護士 もっと門戸開く工夫を (2012年3月30日)

介護福祉士や看護師を目指すインドネシアやフィリピンの若者たちの国家試験結果が発表された。依然として試験は狭き門だ。果敢に挑む若者たちを受け入れる制度に早く見直すべきだ。

「合格と知り、すぐ家族に電話した。でも落ちた友人たちのことを思うとあまりうれしくない」

介護福祉士試験に合格したインドネシアの男性(30)は合格者の気持ちをこう代弁する。

介護士試験はインドネシアとフィリピン合わせて九十五人が受けて三十六人が合格した。看護師試験は両国の四百十五人が受け、四十七人が合格した。

若者たちの受け入れは、経済連携協定(EPA)の一環で二〇〇八年から始まった。これまで約千四百人が来日、医療や介護現場で働きながら試験に挑戦してきた。

介護士は原則四年、看護師は三年以内に合格しないと帰国しなければならないが、試験で日本語の壁が問題になってきた。

政府は日本語研修の充実や試験問題の用語に英語訳をつけるなど改善に取り組んできた。

合格率は、今回初挑戦となった介護士は38%だった。四回目の看護師は11%で、昨年の4%より上昇した。改善は一定の効果があったといえる。

だが、日本人を含む全体の合格率は介護士が約六割、看護師は約九割になる。来日する若者の多くは、母国では看護師資格を持つことを考えると合格率は高くない。

政府は来年の試験からは全ての漢字にルビを振ったり、試験時間の延長などを検討している。まだ制度に改善の余地はある。

EPAでは外国人にも日本人と同じ額以上の賃金を払う取り決めがある。日本人も含め介護・看護職場の賃金を下げさせないためにもこのルールの監視にも目配りすべきだ。

ただ、改善策は批判を受けると小出しにされ、結果として後手に回っている。外国人を積極的に受け入れる姿勢にはみえない。

高齢化は中国、韓国などにも到来する。近く「老いるアジア」の時代を迎え、介護や看護人材の奪い合いが起こるかもしれない。この視点も忘れずにEPAを育てていくことが必要だ。

介護士に合格したインドネシアの女性(26)は「私も一緒に来た友人も日本の技術、文化が好き。その思いをなくさないように日本で介護の仕事をしたい」と話した。その気持ちに沿う制度への見直しこそが求められている。
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[産経新聞] 【主張】死刑の執行 法相は粛々と職責全うを (2012.3.30)

死刑囚3人の刑が執行された。千葉景子法相当時の平成22年7月以来、死刑の執行は1年8カ月ぶりだ。

昨年はついに19年ぶりの「執行ゼロ年」となり、死刑確定者が130人を超える異常事態が続いていた。

小川敏夫法相による執行の判断は法律に基づく当然のものだ。今後も粛々と法相の職責を全うしてほしい。

民主党政権下では、柳田稔氏、仙谷由人氏(兼務)、江田五月氏、平岡秀夫氏と、4代の法相の下で執行ゼロが続いていた。

死刑執行について、江田氏は在任中に「悩みながら勉強している。悩んでいるときに執行とはならない」と発言した。

平岡氏も、就任時に「国際社会の廃止の流れや、必要だという国民感情を検討して考えていく。考えている間は当然判断できない」と語った。

だが刑事訴訟法は、死刑確定から6カ月以内に刑を執行するよう定めている。「死刑の執行は法務大臣の命令による」とも明記している。就任後に悩むことなど求めていない。執行する覚悟を持つ者だけを法相に任命すべきだ。

自民党政権時代にも個人的信条から執行を見送り続けた法相はいた。法相の勝手で執行の有無が決まるなら、「法の下の平等」が守られているとはいえない。

また、退任間際になって執行に立ち会った千葉氏は「改めて根本からの議論が必要と強く感じた」と語り、死刑存廃論議に結びつけようとした。

刑の執行は厳粛に行われるべきものだ。政治的パフォーマンスに利用すべきではない。

小川法相は執行後の会見で「犯罪に対してどのような刑罰で臨むかは国民が決めること」と前置きし、世論調査で多くの国民が死刑を支持していることに言及した。「裁判員裁判でも死刑が支持されていることを重要な要素とした」とも述べた。

平成22年に内閣府が公表した世論調査では、死刑を容認する意見が過去最高の85・6%に達した。今年で3年目を迎える裁判員裁判では、国民から選ばれた裁判員が評議に苦しみ抜きながら、それでもやむなしと多くの死刑判決を下している。

国民に究極の重い判断を委ねておいて、政治家だけが職責から逃げることは許されない。
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[産経新聞] 【主張】教科書検定 「強制」の記述は不適切だ (2012.3.30)

来年春から高校で使われる教科書の検定が終わった。この中で、大阪府などが進めている国旗掲揚や国歌斉唱の義務づけを「強制」と表現した教科書が合格した。

学習指導要領に基づく教育を行うための取り組みを「強制」とする記述は問題だ。今からでも記述を正すべきである。

実教出版の日本史Aでは国旗国歌法を当初、「政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし現実はそうなっていない」と記述した。検定では「しかし」以下を「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と修正し、これがパスしたという。

特定はしていないが、教職員に国歌斉唱時の起立を義務づけた大阪府や大阪市の条例化の動きを指すことは明らかだ。文科省は「誤った記述とまでは言えない」としているものの、生徒に誤った見方や印象を抱かせる恐れが強く不適切な表現といわざるを得ない。

学習指導要領は、国旗、国歌への正しい認識を生徒が身につけるよう指導を義務づけている。最高裁も式典で教師に起立を促すよう命じる職務命令を「合憲」とした判決を下した。

にもかかわらず、教科書がこんな記述では生徒に正しい指導などできない。文科省が行っている指導との矛盾も明らかで、教育現場への影響が心配される。

一方、山川出版社が日本史Aで南京事件の記述を見直した。犠牲者数に諸説あることを紹介し「その実情は明らかではない」としていた現行記述に、「学者のあいだでは、30万人説は誇大な数字と考えられている」と付け加えた。

中国の主張に明確に疑問を呈したものだ。他社の教科書が依然として「南京大虐殺」「大虐殺」といった表現で検定合格する中で最新の研究結果を取り入れた同社の記述には注目したい。

今回の検定では東日本大震災を踏まえた自然災害や原子力発電所事故に関する記述が取り上げられ、防災への記述も増えた。

検定で具体的記述が問題になることはなかったが、原発や放射性物質については、効用も含めて正しい知識を身につけることが極めて重要になる。学校現場では、安易に「脱原発」をあおるような教育に陥ることなく、バランスのとれた指導を求めたい。
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[東京新聞] 原発と教科書 考える材料を十分に (2012年3月30日)

人の生き方やものの見方を変えるような前代未聞の原発事故をどう学ぶのか。先生も生徒も共に悩み、教え合うしかあるまい。そのための材料を教科書にはたっぷりと盛り込んでおかなくては。

来春から高校で使われる教科書には原発事故を取り上げたものも目立った。社会や理科、家庭、美術など教科を超えて十六冊が書き込み、検定に合格した。

現代社会の教科書の一つは、日本での大震災と原発事故が世界の原子力政策の見直しを迫っていると踏み込んだ。併せて「私たちの生活のあり方をも問うものとなっている」と記した。

原発の仕組みの図解を載せ、事故について「複数の炉心冷却機能がすべて失われて炉心溶融が起き、原子炉内の放射性物質が外部に放出された」と詳しく説明した物理の教科書も登場した。

原発の安全神話は崩れた。誰しも史上最悪の深刻さを肌身で感じ取り、脱原発依存の意識も急速に高まった。その変化に反応し、原発の利点のみならずリスクに言及した教科書を評価したい。

検定の申請は事故発生からほどない昨年五〜六月に締め切られた。原因や影響の全体像が判然とせず、記述を見送った教科書会社も多い。検定意見を恐れ、二の足を踏んだと見る向きもある。

とはいえ、これからも原発をめぐる大きな動きが相次ぐ。政府や国会による事故調査の結果が出る。エネルギー政策が軌道修正される。福島県の除染が進み、復興が本格化する。

今秋まで中身は訂正できる。原子力が抱える問題は多岐にわたる。なるべく多くの教科書にさまざまな視点から考えさせる材料をふんだんに盛り込んでほしい。

先生にとっても手探りの授業になる。一方的に知識や理論を伝えるのではなく、生徒と共に議論を重ね、互いに教訓を学び合う。いわば師弟の立場にとらわれないような教育が試されるだろう。

一九五〇年代に原子の火がともって以来、原発は国策として進められた。米国スリーマイル島原発や旧ソ連チェルノブイリ原発の重大事故があっても、原発の安全性を疑問視するような記述は検定のやり玉に挙げられた。

領土や歴史、自衛隊と同じように政治的思惑で検定が左右される事態は許してはなるまい。広範囲に及ぶ放射能汚染、故郷を追われた大勢の住民、電気を大量に消費する社会…。厳然たる事実に基づく教科書づくりが大切だ。
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[毎日新聞] 社説:東電が1兆円要請 殿様商売は許されない (2012年3月30日)

東京電力が、公的資金による1兆円の資本注入を政府の原子力損害賠償支援機構に申請した。

認められれば、債務超過による倒産を免れる。国による救済が許されるのは、電力供給の重い責任を負う公益企業だからだ。その特権だけを享受し、殿様商売を続けることは許されない。

ところが、電気料金値上げを巡る東電の一連の行動には目に余るものがある。利用者本位への意識改革を資本注入の前提にすべきだろう。

東電は、原発停止に伴う火力発電の燃料費や福島第1原発の廃炉、除染などの費用がかさむため、資本注入がなければ、13年3月期にも債務超過に陥る見通しだ。

今回は、原発事故の賠償金として約8500億円の追加支援も申請した。公的資金による支援は原子力損害賠償法に基づく1200億円を含め、約3兆5000億円に膨らむ。賠償費用は、増え続ける。

これほど巨額の公的支援が必要になったのは、いうまでもなく東電が原発事故を起こしたからだ。ところが、値上げを巡る言動からは、自らが招いた厄災であるという自覚が感じられない。

始まりは、西沢俊夫社長の「値上げは権利」発言だ。4月1日から実施する企業向け電力料金値上げを巡る事務的な対応も不誠実だった。既存の契約が残っている間、値上げに応じる義務はないが、大半の契約者に対しては、郵便などで「4月から値上げする」と通告しただけだった。企業側の反発は強く、9割近い契約企業が4月以降の値上げに同意していないという。

値上げを拒否して契約更新できない場合、東電が大手電力以外の新規事業者を紹介する。その事業者と契約できず、東電と再契約する場合、料金は2割高くなる。最終的に契約しなければ電気を止める可能性がある、というのが東電の説明だ。

絵に描いたような「殿様商売」ではないか。新規事業者のシェアは3%程度にとどまり、供給余力もない。事実上、東電と契約せざるを得ないことは分かっているからだ。

枝野幸男経済産業相は「機械的な対応は社会的に許されない」として東電を行政指導するという。しっかり指導力を発揮してほしい。

不誠実な対応のつけは、東電にも回ってくる。企業向けの値上げが思うように進まないため、約4000億円と見込んだ増収は、1000億円規模で目減りする見通しだ。

策定中の総合特別事業計画は、料金値上げと原発の再稼働を前提とする。どちらも国民の理解と信頼が欠かせない。東電再建には、「独占企業」体質の抜本的な改革が必要だ。
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[毎日新聞] 社説:外国人介護士 春、さらに門戸を開け (2012年3月30日)

EPA(経済連携協定)に基づく初の介護福祉士試験で計36人のインドネシア人とフィリピン人が合格した。合格率は37・9%(全体は63・9%)。今年初めて11・3%になった看護師試験に比べれば格段に高いが、手放しでは評価できない。

難しい漢字にふりがなを付け、病名には「認知症(dementia)」と英語が併記されるなど試験問題には配慮が見られるようになった。設問自体も実際の業務に役立つようなものが目立った。それでも腫脹(しゅちょう)、疾病罹患(りかん)、仰臥位(ぎょうがい)などの専門用語は多く、文章もまだわかりにくい。

中途半端は厚生労働省が示した用語の見直し例に表れている。「光源を設ける→照明を設ける」「加齢変化→加齢による変化」。どうして「明るくする」「年をとることで変わる」ではダメなのか。介護福祉士は判断能力やコミュニケーション能力が劣ってくるお年寄りを相手にする仕事である。わかりやすく情報を伝え、明確に言い表せない意思をくみ取ることがとても大事だ。その資質を問う国家試験がこれでどうする。

「医師や看護師などと連携して業務を行う上で必要」「易しい日本語に置き換えると学問の体系が崩れたり、現場に混乱が生じる」と厚労省は説明する。医療現場の方を変えるという発想はないのだろうか。患者や第三者が医療の内容をチェックし透明性を確保するにはわかりやすい言葉が必要だ。患者に対するインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)にも役立つはずだ。また、抽象的で形式的な知識の記憶を重視する福祉系大学の授業に学生たちがどれだけ退屈しているかも知るべきだ。現場で必要な知識やスキルは変わる。学生たちの意欲をそいでも守らなければならない学問的体系とはどのようなものだろう。

外国人実習生は日本の介護施設で3年間実務経験をした後に国家試験を受ける。滞在は4年間に限られておりチャンスは原則1回だ。施設にとっては日本人なら無資格でも職員とみなされるが、外国人実習生は職員配置基準に算定できず介護報酬から人件費は出ない。このため来日する実習生は年々減っている。介護現場は人手不足に苦しみ、介護のため離職する家族、お年寄りの孤独死も後を絶たない。超高齢化はこれからが本番なのである。

厚労省は「EPA上の特例で人手不足解消策ではない」と言い、他省庁との足並みもそろっていない。韓国や台湾が外国人の介護労働力確保に熱心なのとは対照的だ。実習生たちは母国では大学など高等教育を履修し介護福祉の資格を得ているプロである。もっと謙虚になって彼らから学ぶくらいの気持ちが必要だ。
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[朝日新聞] 自衛隊判決―市民を見張る考え違い (2012年3月30日)

自衛隊のイラク派遣に反対する市民活動を自衛隊が監視していた問題で、仙台地裁は「正当な目的や必要性がないのに、個人情報を集めて保有した」と述べ、国に賠償を命じた。

個人には「自分の情報をコントロールする権利」がある。それを侵したとの判断である。

法律に明文のさだめがなく、判例上も確立したとはいえない権利を積極的にとらえ、行政機関の無軌道な情報収集に歯どめをかけた意義は大きい。

一方で、この考えがひとり歩きすると、逆に国民の知る権利をそこなうことも考えられる。どう調整をはかるか、今回の判決も材料にしながら議論を深めていく必要がある。

自衛隊がしたことの違法性ははっきりしたが、賠償が認められたのは、たまたま明るみに出た文書に所属政党などが書いてあった共産党議員ら5人にとどまった。個人情報が載っていなかった約100人の原告はすべて請求を退けられた。

原告側は「監視されると、活動への参加をためらうことになり、表現の自由の萎縮をもたらす」とも主張したが、地裁は取りあわなかった。

結果として、論点は個人情報の扱いの当否にしぼられてしまい、問題の本質に迫る内容になったとは言いがたい。判決にも大きな疑問が残った。

それにしても、裁判で国側の姿勢は驚くべきものだった。

まず、証拠として提出された文書が自衛隊のものかどうか、肯定も否定もしない姿勢を貫いた。「公務に関する秘密を明らかにすることになり、ひいては国の安全保障に影響を及ぼす」という言い分だ。

そして、市民は情報収集されているのを知らなかったのだから、表現の自由が萎縮することもありえないと主張した。

開き直りと言うほかない。誰のために自衛隊はあるのか。

折しも政府は、国の安全などにかかわる情報を守るとして、違反者に重罰を科す秘密保全法の制定を検討している。

だが、主権者である国民を敵対する存在とみなし、説明を拒み続ける組織や政府に、そのような強い権限を与えたらどうなるか。暮らしや人権がおびやかされる方向に流れるとみるのが自然だろう。

市民監視が発覚したのは5年前だ。その後、政権は交代したが何の検証もなく、法廷での主張もそのままだった。問題意識の低さが見てとれる。

政治がしっかりリードし、自衛隊に潜む危うい体質を変えてゆく。それが文民統制である。
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[読売新聞] プロ野球開幕 日本中を元気付けるプレーを(3月30日付・読売社説) (2012年3月30日)

プロ野球が30日、セ・パ両リーグで開幕する。日本全体を元気付ける白熱したペナントレースを期待したい。

「心をつなぐこのプレー」。これは日本野球機構(NPB)の今季のスローガンだ。

選手はプロならではの最高のプレーを披露する。それを見たファンは感動し、喜びを共有する。選手とファン一体となって今シーズンを盛り上げていきたい。

東日本大震災の被災地でも、開幕を心待ちにしていたファンは多いだろう。被災者の心に響く迫力あるプレー、白熱した試合を見せる。それもプロ野球の役割だ。

残念なのは、開幕直前になって、盛り上がりに水を差した朝日新聞の報道である。

巨人軍が1997〜2004年度に6人の新人選手と交わした契約金などの額について、全球団が申し合わせた最高標準額(計1億5000万円)を超えていた、などと報じた。

だが、当時、最高標準額は緩やかな目安だった。01年にはNPB実行委員会が、最高標準額について「上限ではない」と文書で申し合わせた。上限が設けられたのは07年だった。

6選手の入団時、仮に最高標準額を超える契約を結んでも、ルール違反でないことは明らかだ。

あたかも重大な問題であるかのように報じられた選手や球団への影響は、計り知れない。

多くの球界関係者は朝日新聞の報道姿勢を強く批判している。NPBの顧問弁護士は「最高標準額はあくまで目安だった。なぜ今、問題にするのか理解できない」と報道を疑問視する。

この問題では、契約書などの重要資料が球団から流出していた可能性がある。巨人軍は疑惑解明のため、弁護士3人による調査委員会を設置した。厳正に調査を進めてもらいたい。

近年、プロ野球を取り巻く状況は厳しい。昨季は両リーグで入場者数が前年より減少した。

今季、ダルビッシュ有ら人気選手が大リーグに移籍したことで、ファンが離れないか、心配だ。

しかし、各チームには素晴らしい選手が育っている。楽天の田中将大、日本ハムの斎藤佑樹、巨人の沢村拓一、坂本勇人ら「黄金世代」と言われる選手は、これからの屋台骨になるだろう。

セ・リーグにはDeNAが参入した。フレッシュな風を吹き込んでもらいたい。

日本一が決まる秋まで、楽しみは尽きない。
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[読売新聞] 死刑執行 法相が重い職責を果たした(3月30日付・読売社説) (2012年3月30日)

3人の死刑が29日、執行された。民主党政権では、一昨年7月の2人以来、1年8か月ぶりの執行となる。

究極の刑罰である死刑について、刑事訴訟法は「執行は法務大臣の命令による」と定めている。法相が執行命令書に署名しなければ、行われない。

署名した小川法相は執行後の記者会見で、「つらい職務だという気持ちは持っているが、職責だ」と心境を語った。国の秩序を維持する上で、法相に課せられた重い責務を果たしたと言えよう。

民主党政権で法相を務めた6人のうち、江田五月元法相は死刑廃止の立場から執行せず、平岡秀夫前法相も執行に慎重な姿勢を崩さなかった。

昨年1年間は19年ぶりに執行がゼロとなり、死刑確定者は戦後最多の135人に増えていた。

法相が個人の思想・信条から法律で定められた職責を果たさず、その結果、執行のペースが左右されることは、法治国家として本来許されないことである。

死刑制度に否定的で初めから執行しないと決めているのなら、政治家として法相の職を引き受けるべきではなかっただろう。

今回、死刑が執行されたのは、1999年にJR下関駅で5人を殺害し、10人に重軽傷を負わせた通り魔殺人など、いずれも凶悪事件を起こした死刑囚だ。

ある日突然、大切な家族の命を奪われた遺族の死刑囚に対する処罰感情には峻烈(しゅんれつ)なものがある。

小川法相は記者会見で、「犯罪に対して、どのような刑罰で臨むかを決める権利は国民にある」と述べた。

死刑制度を巡っては、日本弁護士連合会が制度廃止についての議論を始めるよう求める要請書を法相に提出するなど、一部に強い反対論もある。

だが、内閣府の世論調査では、死刑制度を容認する国民が85・6%に達している。多くの国民が、死刑を廃止すれば、遺族の感情が癒やされず、凶悪犯罪が増えると懸念している事実は重い。

加えて、2009年から一般の市民が参加する裁判員裁判が始まり、これまで13人に死刑判決を言い渡している。市民に死刑を選択するかどうかの苦渋の決断を求める以上、法相が自らの責務を全うするのは当然である。

確定判決を詳細かつ厳正にチェックした上で、法に従って粛々と制度を運用していくことが、国民の司法に対する信頼を高めていくことにつながるだろう。
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[朝日新聞] 外国人介護士―施設の負担を減らそう (2012年3月30日)

インドネシアとフィリピンとの経済連携協定(EPA)で来日し、全国の福祉施設で働いていた36人が介護福祉士の国家試験に合格した。

4年前の協定発効とともに来日し、受験資格を得る3年以上の実習を経た若者たちにとって初めての挑戦だった。

合格率は38%。同じEPAでの看護師試験を受けた外国人の合格率11%よりは高いが、日本人合格率(64%)に比べれば、低すぎる。

介護現場でリーダー役となる介護福祉士は高齢化社会で大事な役割を担う。外国人であっても有能な人材は大切にしたい。

彼らは現地の看護学校などを卒業しており、一定の専門知識はある。ネックになるのはやはり日本語の能力だ。

現場の声を受け、政府は改善に取り組んできた。国家試験で「褥瘡(じょくそう)」といった難解な漢字にルビを振り、来日前の日本語研修を拡充した。4年前にはその制度がなかったので、今回の不合格者のうち、一定水準の人には滞在期間の1年延長を認め、来年、再挑戦できるようにした。

だが、外国から希望者を受け入れ、現場で日本語教育を担ってきた施設側の負担感は今も解消されていない。

受け入れ施設数を見ると、ピークだった09年に比べて昨年は約3分の1に減った。大量の不合格者が出る看護師の受け入れ施設数も、やはり大幅に減っている。

受け入れ施設がなくては、日本で働く夢はかなえられない。介護の場合、インドネシアからの入国者は09年の189人が昨年は58人に、フィリピンからも同期間に190人から61人に減った。このままでは先細りだ。

制度を生かすには、施設の負担を減らすとともに、合格率を上げることが重要だ。政府は夜間勤務の介護報酬への加算を、実習中の外国人にも認める方針だ。漢字のルビ振りの拡大や試験時間の大幅延長など、実効ある対応を急いでほしい。

介護現場の人手不足は深刻だ。介護職員はいま140万人だが、厚生労働省の試算によると、2025年には230万人前後の働き手が必要になる。EPAの人材流入で日本人の職場が奪われ、待遇が悪化するというのは杞憂(きゆう)にすぎない。

日本人だけでなく、外国人にも加わってもらおう。今年からベトナムでも介護・看護人材の事前研修が始まる。インドやタイからも要望がある。

無用な障壁をなくし、アジアにケア人材の門戸を広げたい。
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2012年03月29日

[産経新聞] 【主張】東電の値上げ これでは信頼得られない (2012.3.29)

これでは契約者が、相次いで反旗を翻すのも当然だ。東京電力が4月1日から実施する企業向け電力料金値上げへの対応についてである。

1年単位の現行契約が満了するまでは、従来の安い料金が適用されるのに、東電側はその説明を怠っていた。こうした対応に顧客への誠意は微塵(みじん)も感じられない。値上げへの理解どころか、独占事業の弊害だと批判されてもやむを得まい。

東電は、今夏には家庭向けの料金も引き上げる計画だ。値上げ圧縮に向けた一段のリストラは当然だが、顧客への丁寧な説明が何よりも欠かせない。このままでは契約者の信頼は得られない。原発の再稼働をめぐる理解と協力を得るためにも、東電自身の根底からの意識改革が問われている。

企業向け料金の平均17%引き上げが発表されたのは今年1月だ。原発の停止に伴って増やした火力発電の燃料費負担を補うためだ。大口顧客には担当者が直接出向いて説明したというが、全体の9割を占める中小企業などには郵送や電話で「4月から値上げする」と通告しただけだった。

しかも、既存契約が残っている企業には、それまでは現行料金に据え置かれることも説明していなかった。問い合わせには応じたというが、不誠実きわまりない。改めての説明にも反発が強く、同意が得られたのは全体の1割余りにとどまっている。1千億円規模で収入が目減りするという。
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[産経新聞] 【主張】消費増税法案 今度こそ脱デフレ実現を (2012.3.29)

難航した消費税増税関連法案をめぐる民主党の事前審査は、前原誠司政調会長が28日未明に会議を打ち切り、意見集約を終えた。

増税反対派の反発は残ったが、政府・民主三役会議も手続きを了承したことで、法案は30日に閣議決定される。「決められない政治」への批判に応え、野田佳彦首相が約束通りに法案の年度内提出という結論を出したことは評価したい。

残念だったのは、党内論議で社会保障改革の全体像や何のための増税かなど、国民が強い関心を示していた課題が事実上、棚上げされたことだ。与野党で問題点を洗い出し、責任あるよりよき案を提示すべきだ。

焦点となった景気弾力条項には最終的に経済成長率で名目3%、実質2%程度の年率目標を示す修正が加えられた。成長目標は増税実施の直接の条件ではないとされるが、単なる「努力目標」として軽視することは許されない。

日本経済はこの10年以上、名目成長が実質成長を下回るデフレに悩まされてきた。消費税増税に伴って着実な税収増を図るためにもデフレ脱却は不可欠だ。

「名目3%、実質2%」という水準は、政府が閣議決定した成長戦略に盛り込んだものでもある。企業の活力を引き出す規制緩和や法人税減税などの施策を着実に実行しなくてはならない。

ただ、昨年末に政府がまとめた経済見通しでは、平成24年度の経済成長率は実質で2・2%、名目では2%にとどまると予測されている。景気弾力条項には「物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化」と、脱デフレを明確に位置付ける修正も加えられた。政府が果たすべき責任は明白といえる。
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[東京新聞] 消費増税了承 結論ありきで禍根残す (2012年3月29日)

民主党が消費税増税法案を了承した。前原誠司政調会長は未明に打ち切った事前審査で一任を取り付けたとしているが、増税反対派は議論の続行を求めている。増税の結論ありきで禍根を残した。

消費税増税法案の国会提出前の事前審査は通算八日間、合計四十六時間に及んだ。これだけの時間を費やしても、反対派を説き伏せられなかったことは、消費税増税をめぐる対立の根深さを物語る。

党員資格停止中の小沢一郎元代表に近い議員たちが増税反対派に多いが故に、「親小沢」対「反小沢」の主導権争いにも見えるが、国民から政権を託された二〇〇九年衆院選のマニフェストにないことをやろうというのだから、強硬な反対意見が出るのも当然だ。

反対派の抵抗で「経済状況の好転」という増税実施条件が入ったが、実質2%成長の実現は前提でないという。さらなる増税をもくろむ「再増税条項」が削除されたのがせめてもの救いなのだろう。

社会保障と税の「一体改革」と銘を打ったのだから、消費税率を引き上げるのなら、国民が安心できる、持続可能な社会保障の改革案を示すのは当然のはずだ。

しかし、これまでの国会論戦でも、長時間にわたる民主党内議論でも、何のために消費税率を引き上げるのか、引き上げの前提となる社会保障とはどんなものか、さっぱり明らかにされていない。

社会保障改革と切り離し、とにかく消費税率引き上げの前例をつくろうとするだけなら、野田内閣が、消費税率引き上げを悲願とする財務省の走狗(そうく)に堕したと批判されても仕方があるまい。

マニフェスト違反と知ってか知らずか、消費税増税ばかりを訴え、政府や国会の無駄をなくすことに不熱心な与党議員の姿には慄然(りつぜん)とする。増大する社会保障費を賄うためいずれ消費税増税がやむを得ないとしても社会保障の未来像を描いたり、政府や国会が身を削ったりと、その前にやるべきことは山ほどあるはずだ。

直近の共同通信世論調査で、消費税増税に反対する人が56%と前回調査より増えたのも、増税ばかりを先行させる野田政権への不信感の表れではないのか。

野田佳彦首相は消費税増税法案を三十日に閣議決定する。この流れが止められないのなら、せめて国会審議の中で、増税前にやるべきことを議論し、実現に努めてほしい。それが国民から負託を受けた者の最低限の役目である。
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[東京新聞] 核安保サミット 核の「闇市場」許すな (2012年3月29日)

ソウルで開かれた第二回核安全保障サミットは、テロリストへの核物質流出を防ぐため国際協力を強めることで合意した。核テロ対策は核軍縮・不拡散とともに世界全体で取り組む緊急課題である。

サミットは共同声明を採択し、核物質防護条約の改正案を二〇一四年までにまとめると合意した。各国が協力して核物質輸送の保安を一層高め、核物質の出所を突き止める鑑識も向上させる。

議長国・韓国の李明博大統領は「核物質の管理は国家の責任だが、テロは国境を越える」と深刻さを訴えた。

核テロには多様な形が予想される。テロ集団が核兵器そのもの、あるいは原料となる物質を盗む。原子力発電所など核関連施設の破壊を試みる。兵器化する技術はなくとも、プルトニウムなどを飛散させて放射能汚染を引き起こす−。

声明では「悪意のある非国家主体」という表現だったが、これにはテロ集団だけでなく、核の技術や物質を取引する「核の闇市場」も含まれる。

パキスタンのカーン博士を中心とし、技術者や軍、情報当局者が絡んだネットワークが発覚した。国際原子力機関(IAEA)などの調査で、北朝鮮とイランがウラン濃縮技術や関連機材を闇市場から得ていた疑いが強まった。核の闇市場を徹底的に監視し、摘発することが必要だ。

声明は核兵器に転用できる高濃縮ウラン(HEU)の使用を最大限減らすことも盛り込んだ。

二年前の第一回サミット以降、ウクライナやアルゼンチンなど八カ国が原発内などに保管する四百八十キロのHEUを廃棄または返還した。今回のサミットを受けて、各国はさらに多量のHEUを廃棄するか、低濃縮ウランに転換する公約を発表する見通しだ。

今回の会合では福島第一原発事故を契機に、テロなど事件に対する保安と原発の事故防止を並行して考える重要さが確認された。

野田佳彦首相は福島事故について「炉心損傷に至る過酷事故を想定した準備が不足していた」と説明した。津波によって非常用電源が失われたが、万が一、テロリストが原発内の電源を破壊すれば同様の深刻な事態が起こりうる。

野田首相は国会審議を理由にソウル滞在が短く、他国首脳との会談もなかった。福島第一の教訓が五十余カ国の代表に十分伝わったかどうか。外交の好機を逃す結果になった。
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