2012年01月31日

[東京新聞] 稼げる農業 異業種とのコラボで (2012年1月31日)

農業を軸に産業連携ネットワークづくりが動き始めた。異業種との協働で食品加工などを手掛け、収益を増やして雇用の場を広げることが狙いだ。「稼げる農業」を育まないと後継者はさらに細る。

農林漁業ビジネスへの関心が高いのだろう。ネットワークづくりを呼びかけた農林水産省に、経団連や食品会社、スーパー、金融機関など、実に四百五十を超える異業種の団体や企業が名乗りを上げてきた。

農林漁業者と異業種とのコラボレーション(共同作業)で農水産品の輸出や加工業などを育て、一次産品に付加価値をつけて稼ぎを増やすことが目的だ。二月には初の「お見合い」が行われる。

野田政権は例外なき関税撤廃を原則とする環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を表明、農業団体は高関税で守られているコメなどへの影響を恐れている。だが、日本農業は自由化交渉のあるなしにかかわらず、生産基盤が危うさを増しているのが現実だ。

農業従事者の六割は六十五歳以上、平均年齢も六十六歳と高齢化が止まらない。兼業を含む農家の農業収入の平均は年間百万円程度で、総収入の大半を会社勤めなどに頼っている。食べていけない農業では若者は振り向いてくれない。今や耕作放棄地は埼玉県の面積を上回る四十万ヘクタールに達した。

それでも、全国を見渡せば経営の多角化で業績を伸ばしている事例が少なくないことに気づく。

北海道に次いで生産高が全国二位の茨城県では、隣県の農家と百ヘクタール規模の栽培契約を結び、併設する工場で大根やサツマイモを刺し身のツマや芋ようかんなどに加工し、外食産業に大量に卸す農業法人も現れた。五十人を雇用し、経営者の年収が二千万円を超すケースなども相次いでいるという。

農水省は攻めの姿勢で事業を多様化する経営者を資金面からも支えようと、自治体や金融機関、企業などと二百二十億円の基金を創設し、将来は国だけで二千億円規模に積み増す計画だ。

対象は野菜などの植物工場、バイオ燃料の生産、遊休地での太陽光発電所建設など広範囲に及ぶ。東日本大震災の被災地復興の後押しにもなるだろう。

それにはビジネスに不慣れな農林漁業者と企業との信頼関係が欠かせない。長く蜜月が保てるよう目配りすることも農水省の役割だ。稼げる農林漁業を育てて先細りから脱し、日本の食料生産の足腰を強くするよう望みたい。
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[産経新聞] 【主張】人口激減社会 「潜在力」で乗り越えよう (2012.1.31)

人口が今の3分の2に減り、高齢者が4割を占める「50年後の日本」にどう備えたらよいか。

国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来人口推計は、少子高齢化が進んで日本の人口が毎年50万?100万人単位で急速に失われ、15?64歳の働き手も半減する2060年の「未来社会」の厳しい現実を映し出した。

伝統・文化の継承を含め、あらゆる分野で支障が生じる。まさに「国家の危機」である。国民一人一人が、この問題に正面から向き合わなければならない。

ここまで速いペースで変化するのでは、経済や社会保障制度に深刻な打撃となろう。税収も落ち込み、行き詰まる自治体があちこちに出てくる恐れがある。

後継者不足で農業などの担い手は既に減り始めている。自衛隊、警察など若い力を必要とする職種も人材確保が困難になり、安全保障や治安への影響が心配だ。

出産期の女性も本格的に減る。出生数の大幅増は望めず、人口減少や少子化の流れを大きく変えることは難しいという。

だからといって、発想が縮こまっては何も始まらない。日本には幾多の困難を乗り越えてきた国民の豊かな工夫と潜在力がある。そうした力を活用したい。
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[産経新聞] 【主張】年金財源試算 都合が悪いから隠すのか (2012.1.31)

野田佳彦内閣は民主党が政権公約に掲げた年金制度抜本改革案に必要な財源の試算結果を公表しないことを決めた。

試算公表によって、さらなる増税への不安や批判が強まることを懸念して、「社会保障と税の一体改革の議論とは別の問題」としている。だが、こうした説明に納得する国民はいまい。都合の悪いことにふたをするのは許されない。

問題は、民主党が掲げた年金改革案が現実性を欠くことだ。その柱は国民、厚生、共済の各年金を一元化し、月7万円を保障する「最低保障年金」の創設にある。政権交代を果たした平成21年の衆院選で政権公約に掲げたが、財源は示してこなかった。

昨年3月、最低保障年金創設を前提に民主党が厚生労働省に試算をさせた。必要な財源は2075(平成87)年度で年61兆3千億円に達し、消費税率10%への引き上げに加え、さらに7・1%幅の引き上げが必要になる内容だ。

この費用の膨大さに加え、実際の支給額が現行制度よりも減る世帯が多数に上ることがわかり、事実上封印されてきた。昨年6月、当時の与謝野馨経済財政担当相が一体改革の大枠を決めた際にも、「実現困難」として最低保障年金は棚上げされた。
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[東京新聞] 新年金試算 公開が議論の前提だ (2012年1月31日)

必要な情報を隠しては十分な議論などできない。年金抜本改革にはどれだけの財源が必要か、野田佳彦首相らが試算を当面公表しない方針を決めた。こんなことで社会保障の再構築ができるのか。

どうも民主党は二〇〇九年衆院選マニフェストだけでなく、「党是」をも投げ捨ててしまったらしい。透明な行政、情報公開を期待して政権を託した有権者の選択は誤りだったということか。

首相が三月末までの国会提出を目指す「社会保障と税の一体改革」法案は消費税を一四年四月に8%、一五年十月に10%へと段階的に引き上げる内容だ。これは現行の年金制度維持を前提とする。

民主党がマニフェストで掲げた最低保障年金(満額で月七万円)を一六年度から導入した場合、試算では新たに消費税率換算で最大7・1%の財源が必要になる。

首相らが試算の公表を避けたのは、10%を超える増税が必要だと政府が認めれば、野党に新たな攻撃材料を与えるためだという。

しかし、すでに明らかになっている試算を封印することにどれだけの意味があるのだろう。

現行制度維持を前提とする今の一体改革案など、改革の名に値しない。とにかく財源が足りないからと消費税率引き上げを既成事実化し、その後、年金制度を抜本改革するにはさらに増税が必要だと切り出すのは、国民に対するだまし討ちではないのか。

今の年金を安定した制度へと抜本的に改革するには、具体的な設計図と必要な財源について真剣に議論する必要がある。

政府は本来、年金制度を抜本改革した場合の試算を率先して公表すべきだ。そうでなければ野党側も議論には応じにくいだろう。

野党側も、ただ批判しても役割を果たしたことにはならない。

特に、政権政党として今の年金制度をつくり、運営してきた自民党は、本格的な高齢化社会の到来に伴う年金財源不足に対応できなかった責任は免れない。

民主党に抜本改革案の提示を迫るだけでなく、野党各党も自らの改革案を示し、与野党が侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を交わすべきだ。

消費税増税はできれば避けたいが、納得がいく改革が実現するのなら、国民もある程度の負担増は受け入れるのではないか。

もちろん大前提は行政機構をスリム化し、無駄をなくすことだ。増税が肥大化した「官」の生き残りに使われてはたまらない。
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[毎日新聞] 社説:北の湖理事長 実行力で「憎まれ役」に (2012年1月31日)

角界のトップが交代した。任期満了に伴う日本相撲協会の理事選があり、第12代理事長には新理事10人による互選で北の湖親方(58)が選出された。2008年9月、弟子の大麻問題の責任をとり、任期途中で辞任しており、異例の復帰だ。

北の湖親方の現役時代を知らない人のために説明すれば、13歳で初土俵を踏み、スピード出世の記録を塗り替えてきた。史上最年少の21歳2カ月で第55代横綱に昇進し、優勝24回は大鵬、千代の富士、朝青龍に次ぐ歴代4位。決して笑顔は見せず、土俵下に落ちた相手を助け起こさない。「憎らしいほどの強さ」が人気の秘密でもあった。85年に引退後は事業部長などを歴任し、02年2月、48歳で第9代理事長に就任した。

人気回復の「切り札」として登場したものの、任期中は時津風部屋の力士暴行死事件、一連の朝青龍騒動など噴出する問題に真正面から向き合おうとしなかった。弟子でもあるロシア出身力士の大麻問題に際しては、ぎりぎりまで責任を回避しようとする姿勢が目立ち、「世間の常識」との乖離(かいり)ぶりに批判が集まった。

今回、65歳定年で退く放駒前理事長(元大関・魁傑)の敷いた改革路線を引き継ぐ新理事長にだれがなるかに注目していたが、候補として名前が挙がったのは北の湖親方だけ。約3年5カ月ぶりの再登板は、106人を数える親方衆の人材不足を露呈したといえる。

相撲界を取り巻く環境は歓迎ムードに包まれた10年前の初就任時とは比べものにならないくらい厳しい。

公益財団法人への移行を目指し、相撲協会は106項目からなる組織改革の工程表を監督官庁の文部科学省に提出した。億単位での売買が移行の障害となっている年寄名跡については、相撲協会が名跡所有者の引退時に退職金とは別に、4000万円とも5000万円とも試算されている功労金を支払う形で段階的に買い取り、一括管理する方針が工程表に明記されている。

だが、功労金の金額、一括か分割かの支払い方法、名跡の継承方法などは積み残しとなっている。前理事長は今年6月までに金額などの詳細を詰める意向を示していた。一括管理に対する一部親方衆の不満は消えたわけではなく、取りまとめが難航するのは必至だ。

組織改革だけでなく、東京・両国国技館で開催された初場所が記録的不入りに終わったように観客離れも年々深刻さを増している。だが、ピンチはチャンスでもある。

相撲界再生のために「憎らしいほどの実行力」を発揮してほしい。前回理事長時代のような優柔不断による後手後手の対応は許されない。
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[毎日新聞] 社説:年金新制度「試算」 公表して議論を深めよ (2012年1月31日)

この期に及んで情報を隠そうとする発想に驚く。政府・民主党は新年金制度の実施に必要な消費税率の試算結果について、当面は公表しないことを決めた。

税と社会保障の一体改革案で最も重要な年金部分の全体像があいまいなうえ、議論に必要なデータも開示しないようでは野党が協議を拒否する口実を与えかねない。無用の混乱を避けるためにも、野田佳彦首相は速やかな試算公表を指示すべきだ。

「試算結果と一体改革は別物」。首相ら政府・与党の幹部が協議して、こんな理解しがたい結論を出してしまった。

民主党は09年の衆院選マニフェストで年金制度の抜本改革案として消費税を財源に月7万円の最低保障年金制度の創設を盛り込んでいた。

今回の素案が示した5%の増税分は新制度創設に伴う費用を盛り込んでおらず、民主党は昨年春、2075年度で最大7%のさらなる増税が必要との試算を非公式にまとめていたとされる。このため野党側は試算の公表を求め、輿石東幹事長らもいったんは積極姿勢を示していた。

ところが首相も加わった協議の結果、公表は見送られた。輿石氏は「(5%増税の)数年後にさらに7%上がると思われている」とその理由を語ったというが、すでに試算は報道で流布している。パターン別の試算など、きちんと情報を公開しないことで逆に数字が独り歩きし、誤解が拡大しているのが実態ではないか。数字を明かせば増税イメージが強まり、世論の逆風が吹くという発想であれば短絡に過ぎる。

試算公表を渋るより大きな理由は政府・民主党自身が新制度導入の棚上げを進めてきた点にあるのだろう。政府が昨年、菅内閣時代にまとめた改革案の大枠は現行制度の維持が事実上前提と受け取られたが、今回の素案では最低保障年金の導入に言及している。マニフェストの目玉政策の位置づけのあいまいさを突かれ、苦慮しているのではないか。

もし民主党が本音では新制度導入は困難とみているのであれば、公約は撤回すべきだ。決めかねているのなら両論を併記し与野党協議を呼びかけるしかあるまい。いずれにせよ、正確な財源論を深めるうえでも試算公表を拒む理由などないはずだ。

首相は「公表にはメリット、デメリットもあるので状況の推移を見極める」と述べたというが、国民への説明は損得勘定で行うものではない。年金問題とは別に、2020年度の基礎的財政収支の黒字化にはやはり最大7%の再増税が必要、との試算もある。増税の最終目標をめぐる国民の議論を深めるためにも、政府は進んで手の内を明かすべきだ。
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[読売新聞] 衆参代表質問 2大政党の論戦がお粗末だ(1月31日付・読売社説) (2012年1月31日)

民主、自民の2大政党の対立で、国政の停滞がさらに続くことにならないか。そうした懸念を抱かせる論戦だった。

国会は、野田首相の施政方針演説に対する3日間の衆参両院の各党代表質問を終えた。

大きな論点は、社会保障と税の一体改革をどう進めるかだった。野党側は、民主党が前回衆院選の政権公約(マニフェスト)で掲げた「新年金制度」と、一体改革との整合性を追及した。

野田首相は、新年金制度について、「相当長期の移行期間を要する」として、2015年までの一体改革の消費税率引き上げには直接関連しないと説明した。

民主党は、新年金制度の財源だけで消費税率7%分が必要になると試算している。

これを公表しないのは、一体改革の議論の妨げになるとの判断だろうが、野党を納得させるためには、新年金制度案を一時撤回するしかないのではないか。

野党の協力を得て一体改革の実現を目指す以上、前回の衆院選前に民主党だけでまとめた年金制度案にこだわるべきではない。

野党はマニフェストに消費増税の記述がないことを改めて批判した。「書いていないことはやらない」という野田首相のかつての街頭演説もやり玉に挙げた。

首相は「書いてなくても、やらねばならないものはやってきた」と反論した。状況に応じて政策を打ち出すのは当然だが、財源の裏付けを欠いたマニフェストの誤りは認めてもいいのではないか。

自民党も問題である。谷垣総裁は、首相が消費税率の引き上げ開始時期を当初案より半年先送りした点について、「財政健全化の達成を危うくする」と批判した。

そう言うなら、自民党自身が増税で対案を示すべきだ。政府が具体策を出していない、低所得者への支援策なども盛り込み、政策立案能力で勝負してはどうか。

政府の足を引っ張るだけでは国民の期待には応えられない。予算委員会でも、自民党の独自案を示すなど提案型の建設的な質問で議論を深めることが求められる。

国会の停滞を尻目に、橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会の国政進出や石原慎太郎東京都知事らの新党結成が関心を集めている。

2大政党が政治を前に動かせず、存在感が薄いために、次期衆院選をにらんだ、第3極の主導権争いが目立つという構図だ。

両党は、この現状にもっと危機感を持ち、合意を目指す努力を尽くすべきである。
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[読売新聞] 急減する人口 政策総動員で活力を維持せよ(1月31日付・読売社説) (2012年1月31日)

50年後の日本の総人口は今より3割以上減少する。しかも高齢者が全体の4割を占める――。そんな未来像が、改めて突きつけられた。

急速に進む人口減で社会の活力が損なわれることのないよう、政策を総動員する必要があろう。

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、2060年までの人口推計を公表した。5年に1度、国勢調査の結果をもとに算出している。

現在約1億2800万人の人口は、毎年20万〜100万人の規模で減り続け、半世紀後は8674万人にまで減少するという。

年齢別では、14歳以下の若者が全体の9・1%に減る一方、65歳以上の高齢者の比率は39・9%に上昇する。世界でも突出した少子高齢化の構図が鮮明になる。

今回の推計で、女性が生涯に産む子どもの数に近い「合計特殊出生率」の予測は、わずかながら上方修正された。

現在30代後半の女性が、これまでためらっていた出産に意欲的になり、実際の出生率がやや上向いているためだ。

出生率は今後いったん下がるものの、その後上昇し、60年に1・35になる。それでも人口維持に必要な水準2・07には程遠い。

人口減の流れにできるだけ歯止めをかけるには、安心して子どもを産み、育てることができるよう、政策で支えることが大事だ。

政府は、社会保障と税の一体改革の中に「子ども・子育て新システム」の整備を掲げている。

待機児童の解消など子育て支援策に、新たに年間1兆円超を投じる構想だが、うち7000億円は消費税率の引き上げによって財源を確保するのが前提だ。少子化対策としても、一体改革の実現を急がなくてはならない。

働き手の減少も深刻な問題である。15〜64歳の生産年齢人口は半世紀後には4418万人と、現在のほぼ半分になってしまう。

労働力人口を確保するには、女性が就業しやすい社会環境を整えることが第一だ。それは子育て支援と表裏一体の施策である。

若者の雇用を損なわぬようにしつつ、意欲ある高齢者には長く働いてもらうことも重要だ。

経済連携協定(EPA)などのルールに基づき、優秀な外国人を積極的に受け入れることも、不可欠である。

活力を維持する施策を重層的に組み合わせながら、これからの超少子高齢社会に踏み込んでいくしかあるまい。
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[朝日新聞] 民主年金試算―出さない方が混乱する (2012年1月31日)

またまた民主党が、ふらついている。

いったん、党の新年金制度の財源試算を公表する考えを示したのに、1週間あまりで先送りへと方針転換したのだ。

試算は、消費増税に向けた社会保障と税の一体改革の与野党協議に入る前提として、公明党が求めていた。応じないのは、わざわざ野党に協議を拒む口実を与えたようなものだ。

そもそも、試算を出さないことに、どんな意味があるのか。その内容は、今回の消費税率5%幅引き上げとは別に、約60年後には最大で約7%幅の引き上げが要るというものだ。すでに私たちも広く報じてきたし、野党も知っている。

それを、あえて隠す方が不自然だし、今回の一体改革の議論と混同されかねない。有権者が「明日からでも7%の増税が必要なのか」と誤解してしまうのではないか。

民主党はすべての年金制度の一元化と、月額7万円の最低保障年金創設を柱とした年金改革を金看板にしてきた。その過程で「政権交代すれば、誰でも7万円の年金がもらえる」と、有権者に思わせたことは否定できない。

それまでに、何年かかり、保険料や税を、だれがどのくらい払うのか。それは現行制度と、どれほど違うのか。こうした制度論を怠ってきた。

民主党が年金一元化などを言い出したのは、2003年の衆院選マニフェストだ。あれから8年、政権交代からも2年以上たつ。なのに、いまだに制度の中身がない。

今回の混乱は、こうした怠慢のツケが回ってきたというべきだろう。

いま民主党がすべきことは、まず試算の公開である。その上で、その数字は多くの前提つきの抜本改革案に向けたものだから、今回の消費増税論議とは切り離す。いまは5%増税の一体改革の協議に全力を挙げる。

そう仕分けをして、野党に頭を下げるしかあるまい。

もうひとつ、国会運営のトゲになりそうなことがある。

野田首相が昨年11月の国会で、民主党の年金一元化などの抜本改革案について、「13年の法案提出をめざす」と述べたことだ。

そんなことが、本当にできるのか。現行制度を根幹から変える大作業を、短期間に、だれがどうやって進めるのか。

首相は腹をくくって、ひとまず抜本改革案を棚上げすべきだろう。それが一体改革を実現させる現実的な早道に違いない。
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[朝日新聞] 50年後の人口―未来を変えるために (2012年1月31日)

2060年までの新しい推計人口が、国立社会保障・人口問題研究所から発表された。

日本の人口が減少する速さには驚くほかない。50年間で4132万人減って、今の約3分の2になってしまう。

この予測を前に、私たちはどう行動すればよいだろうか。

まず、すでに生まれている世代に関する対応だ。

65歳以上は、団塊ジュニアが高齢期に入る42年に3878万人となり、ピークを迎える。今より約930万人の増加だ。

医療や介護、生活支援の受け皿を整える必要がある。そのためには国民の負担が重くなるのは、やむを得ないだろう。

0〜14歳の子どもは一貫して減り続け、60年には今の半分以下の791万人になる。総人口の1割を切る。

最近の出生率の回復傾向を反映し、減少のスピードは緩んだが、長期的な少子化の傾向は変わっていない。

推計では1人の女性が産む子どもの数を1.35と仮定している。人口減少に歯止めがかかる2.07には遠く及ばない。

65歳以上が人口に占める割合である高齢化率は、今は23%ぐらいだが、このままだと50年後には40%近くまで上昇するというのが今回の推計だ。

この未来を変えることができるだろうか。

同研究所の高橋重郷副所長の試算によると、出生率が上昇していき、30年以降2.07で安定した場合、高齢化率は40年代に30%台前半でピークを打ち、長期的には20%台半ばに落ち着くという。

高い目標ではあるが、子どもの数が増えれば、人口ピラミッドは安定する。高齢者が2.5人に1人か、4人に1人かで社会の活力は大きく違う。

注目すべきは、母親の出産年齢で30歳以上が29歳以下を上回っていることだ。35歳以上での出生数は15年前の約2.3倍に増えている。

ある程度キャリアを積んだ後に子どもを産むという決断ができるか。仕事をしながら子育てができる環境をもっと充実させなければいけない。

また、9割近くの未婚男女は結婚したいと考えているのに、今回の推計では5人に1人は結婚しないという前提を置いている。すでに結婚しているカップルも、持ちたい子どもの数を実現できないでいる。

いずれも経済的な不安が背景にある。若年層の雇用改善はこの点でも重要だ。

将来を変える責任は今を生きる一人ひとりが負っている。
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2012年01月30日

[産経新聞] 【主張】首都の防災 耐震化とリスク分散急げ (2012.1.30)

マグニチュード(M)7級の首都直下地震について「4年以内の発生確率が70%に達した可能性がある」との試算結果を東大地震研究所の平田直教授らがまとめた。

政府の地震調査委員会が公表してきた「30年以内に70%」という発生確率に比べ、極めて切迫性の高い数字だ。

家具の固定、食料や水の備蓄、避難経路の確認など各家庭や地域で「今できることは、すぐに実行する」ことが何よりも大切だ。国や自治体には、緊急的な耐震化推進対策が求められよう。

東大地震研の試算は、東日本大震災後の地震活動の活発化に着目し、短期的な地震発生確率を算出したものだ。大震災で東北・関東地方を乗せた北米プレート(岩板)に働く力のバランスが崩れ、広い範囲で地震活動が活発化している。こうした「誘発地震」の一つとして首都圏でM7級地震のリスクが高まったとの指摘は、大震災直後からされていた。

大震災後、南関東で発生したM3?6の地震の頻度は以前の5?6倍に増えているという。地震の規模と頻度には一定の法則があることが経験的に知られ、M3?6が頻発する状況が今後も続けば、M7級の発生リスクも高まる。「4年以内に70%」というのは、現在の地震発生頻度が10?20年程度継続すると仮定した場合の数値だという。

従って、地震活動が今後落ち着けば、短期的な発生リスクは低下していく。ただし、中長期的な発生リスクが消え去るわけではなく、時間の経過とともに発生確率は高まっていく。数年内かどうかは別として「M7級の首都直下地震は、いずれ起こる」と覚悟しなければならない。

中央防災会議による首都直下地震の被害想定では、最悪の場合で死者1万人超、経済被害は112兆円にものぼる。今世紀前半に発生する可能性が高いとされる南海トラフ(浅い海溝)の巨大地震で、首都圏が大きな打撃を受ける可能性も否定できない。喫緊の地震防災対策とともに、中長期的な視野で「首都機能の維持」について考えなければならない。

一極集中のままでは、地震のリスクがあまりにも大きい。大手企業はすでにリスクの分散を進めている。政府が中心となって、首都機能の分散についてできることから実行していってほしい。
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[産経新聞] 【主張】外資の土地買収 国の安全守る抜本対策を (2012.1.30)

中国などの外国資本が在日米軍基地や自衛隊基地周辺の不動産所有を進めている。わが国の安全保障を脅かしかねない問題だ。政府は取引制限など、抜本対策に取り組む必要がある。

沖縄県の米空軍嘉手納基地近くに、シンガポールに本社を置く企業が不動産事務所を開設した。沖縄の米軍基地は3分の1が民有地で、日本政府から借地料が入るため金融商品としてネット販売されることも多い。地権者約3万9千人のうち、231人(平成21年度末)が国外在住者という。

北海道倶知安町の自衛隊駐屯地3キロ圏内にも、外資所有の林地が3件109ヘクタール見つかった。長崎県対馬市では19年、海上自衛隊施設の隣接地を韓国資本が買収しリゾートホテルを建てたケースがあった。北海道では使用目的などがよくわからないケースや、外資がダミー企業を使って実態を隠すような取引も指摘されている。

経済活動は原則自由といっても、見過ごせる問題ではない。わが国の安全保障を担う施設が外国勢力に取り囲まれたのでは、普段の活動が筒抜けになってしまう恐れがあるほか、緊急時には対処への足かせにもなりかねない。

これまで外資の土地買収といえば、北海道など水源を抱える森林が主な舞台とされてきた。そして政府は対応に消極的だった。このため北海道庁や自治体などが調査に乗り出し、少しずつ実態を解明してきた。土地売買の90日前に売り手側に届け出を課すなど、国の法令より踏み込んだ条例づくりも進めている。

政府もようやく昨年4月、すべての森林について所有権移転に際し、事後の届け出を義務づける法改正を行った。一定の前進とはいえるが、取引自体に歯止めをかける許可制とはなっていない。

森林だけではなく、国防施設や国境付近の離島、海岸などにも警戒が必要だ。国有地のネットオークション、外国政府への広大な国有地の売却など無警戒な取り扱いも見直さなくてはならない。

米国では包括通商法によって、大統領に対し国の安全保障を脅かすと判断される場合には、事後であっても土地取引を無効にできる権限を与えている。

日本もこうした例に学ぶべきだ。現行制度の欠陥を直視し、早急に国益を守るための法整備に着手しなければならない。
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[東京新聞] 原発住民投票 意思表示へ扉を開こう (2012年1月30日)

原発の是非を問う住民投票を実現させようという東京と大阪での運動に注目したい。命や暮らしを左右しかねない原発政策が住民不在のまま進められてきた。そんな不条理への抗議行動でもある。

原発を動かすのか、止めるのか。自分たちで決めようと呼び掛けているのは、市民団体「みんなで決めよう『原発』国民投票」。東京都と大阪市で住民投票のルールとなる条例づくりをそれぞれの首長に求めようと活動している。

福島第一原発の事故がもたらした放射能汚染は、原発が立ち並ぶ福島県をはるかに越えて広がった。関東一円の住民は、生活環境の除染や、食品や水の安全確認に生涯にわたり追われる羽目になった。

一方で事故原因の究明も、健康への影響の見極めも、損害賠償もままならないのに、国は収束を宣言した。定期検査で止まった原発の再稼働や原発プラントの海外輸出に血道を上げているようだ。

こんな矛盾に直面しても、原発政策の決定は、国と電力会社、立地先の自治体のみに委ねられている。普通の住民にとって意思表示の場は用意されていない。

東京都が東京電力の、大阪市が関西電力の大株主であることを踏まえ、まずこの電気の二大消費地で住民投票を試みる意義は大きい。電気の消費者として、“間接的な株主”として住民には一票を投じる資格があるだろう。

条例づくりの直接請求には有権者の2%の署名が要る。大阪では一カ月の署名期間にそれを大幅に上回る六万一千余りを集め、市選挙管理委員会が審査している。

脱原発依存を掲げて市長選に勝った橋下徹市長は、民意はとうに示されたとして住民投票には後ろ向きだ。しかし、住民投票の結果は市長が交代しても消えない。その重みを忘れてはいけない。

片や東京での署名集めがはかどらないのは気掛かりだ。首長選がありずれ込んだ四市村を除き、二カ月の署名期間は二月九日に締め切られる。それなのに、必要な二十一万四千余りのようやく七割ほどに届いたばかりだ。

意に沿わない結末を予想しておじけづく心情も分かる。だが、こんな機会に一歩前へ踏み出さないと、またぞろ原発政策の傍観者でしかいられなくなると思う。

史上最悪レベルの事故が起きたのだ。反対派であれ、賛成派であれ、もはや内輪で気勢を上げて済ませている場合ではない。未来の世代のためにも声を上げたい。
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[東京新聞] 出先機関改革 実現なくして増税なし (2012年1月30日)

国の出先機関改革が正念場を迎える。中央府省の巧みな抵抗を受けながらも決まった枠組みには、あいまいさも残る。実現なくして増税なし−との意気込みで「決断する政治」をみせてほしい。

そもそも出先機関の原則廃止は民主党が二〇〇九年衆院選のマニフェストに盛り込んだ一丁目一番地である。一〇年末に決めたアクションプランでは当初計画を一年先送りし、今の通常国会に関連法を成立させ、一四年度からの移管を目指す、とした。政府が消費税を8%に引き上げようとする時期と重なる。

昨年末に決めた枠組みは、地方移管する第一弾として地方整備局、経済産業局、地方環境事務所の三省三機関を明記。受け皿機関は地方ブロック単位でつくる広域連合とした。ここまではいい。

問題は、権限と責任を持つ広域連合の「長」だ。府省側は「知事の兼任では中立性が保てない」として、官僚を任命する腹づもりだった。知事会側の猛反発で「知事との兼任を妨げない」となったが、天下りの道は消えていない。

事務取りまとめ役として置く専任の「執行役」(仮称)にも、官僚が潜り込んでくる余地は残る。広域連合に国の関与が残れば「構成団体の事務・権限を持ち寄る」とした文言があだとなる。府県の仕事を吸い上げた出先機関の焼け太りになってしまうからだ。

府省側は、どうすれば骨抜きになるかを考えているとしか思えない。大規模災害時に広域連合を国の指揮監督下に置く案件は、決着が先送りされている。まだまだせめぎ合いは続く。くしくも野田佳彦首相が言ったように、変な地雷が入らないよう法案づくりには細心の注意を払ってほしい。

政府は三月までに人員の移管方法など細部を詰めて全体像をまとめ、五月ごろに法案を提出するという。首相は年末に「最大限の努力をする」としていたが、施政方針演説では「必要な法案を今国会に提出する」と踏み込んだ。一丁目一番地ならば、当然のことだ。

ただ、今国会は消費税増税を含む「社会保障と税の一体改革」を軸に、荒れ模様、解散含みの展開が予測される。またぞろ先送りされかねない気配も漂う。

首相は増税前に「身を切る」として、国会議員定数や国家公務員給与の削減に意欲をみせる。国家公務員約三十万人のうち、三分の二が出先機関に勤務している。地方移管でかなりの合理化が期待できる。時機を逸してはならない。
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[毎日新聞] 社説:視点・北朝鮮 変化の兆し見えないが=論説委員・中島哲夫 (2012年1月30日)

金正日(キムジョンイル)総書記の死去に際してある種の期待があった。北朝鮮の経済は破綻している。多くの国民がうんざりし、中国式の改革・開放を望んでもおかしくない。独裁者の重しが取れ、核開発や日本人拉致問題の解決につながる路線転換もありうるのではないか。そんな思いだ。

しかし1カ月余りが過ぎ、後継者・金正恩(キムジョンウン)氏が「朝鮮人民軍最高司令官」として活動している現時点で、私たちが歓迎できる変化の兆しはほとんど見えないと言ってよいだろう。

「我々にいかなる変化も望むな」。これは昨年末、北朝鮮の国防委員会が韓国の李明博(イミョンバク)政権を「永遠に相手にしない」と非難した声明の一節だ。

そして正恩氏は新年初日、祖父と父親の遺体に拝礼し、軍の戦車師団を祝賀訪問した。

その後も軍部隊視察や芸術公演鑑賞などの動静がしきりに報じられ、ほぼ例外なくエリート軍人ら幹部が同行している。父親の現地指導も同様の方式だったから驚くには当たらないが、強硬派の軍人に囲い込まれている若き司令官が、独自に柔軟路線を選ぶとは考えにくい。

特に最近の軍部隊訪問では全く屈託なげに破顔一笑したり、男女の兵士と腕を組んで歩く写真も公表されている。体制固めを急ぐための演出だろうし、かえって焦っているようにも見えるが、軍事優先の「先軍政治」は変わりそうもない。

この構図は危険である。体制固めに必要とあれば、またもや核実験、弾道ミサイル発射、韓国への武力挑発といった暴挙に出る可能性を排除できない。日米韓のさらなる結束と、中国の北朝鮮に対する影響力行使が不可欠となるゆえんだ。

その一方、さほど遠くない時期に、日本や米国に対話攻勢をかけてくる可能性も決して低くはあるまい。

北朝鮮は中国からの食料、エネルギー支援に依存しつつ、従属は嫌っている。「体制固守の保証は米国、経済再生の資金は日本から得る」というのが、90年代以降、放棄したことのない長期戦略だ。

北朝鮮の労働新聞は最近、金総書記の業績紹介の記事で、02年に小泉純一郎首相が署名した日朝平壌宣言に対日非難なく言及した。交渉意欲をにじませたものと読むこともできる。

もちろん、中途半端な日朝接触で北朝鮮の術中にはまってはならない。遠からず訪れるかもしれない本格交渉の機会に備えて、日米韓の協調を乱すことなく、しかも北朝鮮を路線転換に導けるような作戦を練り上げられないものか。
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[毎日新聞] 社説:郵政改革法案 逆行は修正し結論を (2012年1月30日)

郵政改革法案で与野党が歩み寄りをみせている。前国会でも注目法案のひとつだった。しかし、実質的な審議に入れなかった。ところが、これまで反対してきた自民党が軟化しており、通常国会の冒頭での成立は無理だとしても、4次補正予算成立後の審議開始の可能性も出てきたという。

小泉政権下で進められた郵政改革を見直し、持ち株会社と郵便事業会社、郵便局会社を統合した親会社の傘下にゆうちょ銀行とかんぽ生命の金融2社を置くというのが、政権交代後の郵政改革法案の内容だ。

見直しは組織形態だけではない。政府は親会社について3分の1超の株式を保有し、親会社も金融2社の株式の3分の1超を持つことによって、金融子会社にも間接的ながら政府出資が続く形となる。

郵便貯金と簡易保険の完全民営化を目指した小泉改革と逆に、国の関与が続く。

与野党が歩み寄りをみせるようになったのは、日本郵政の株式売却の凍結を解除し、売却益を震災の復興財源に充てようということからだ。

与野党協議では、政府提出の法案を取り下げ、現在の法律を修正することによって、郵便事業会社と郵便局会社を統合し、5社体制の日本郵政グループを4社体制にすることなどはすでに合意している。

一方、郵便事業の収益の悪化は今後も進み、それをカバーするにはゆうちょ銀行とかんぽ生命の業容の拡大が必要になる。

しかし、政府出資が継続したままで日本郵政が業務を広げることには、国内外の保険会社などから批判が出ている。「暗黙の政府保証」や「国有保険が民間競争をゆがめている」といった指摘だ。これは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加交渉にも影響を与えることになるだろう。

また、集めたお金の運用を国債に頼らざるを得ない状況というのが、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の実態だ。独自運用のノウハウが乏しく、融資など新規事業による収益の拡大もそう簡単ではない。

経営が悪化した場合に、最大株主として国が日本郵政への支援を続けざるを得ない状況が生じる懸念もある。

こうした点はもちろん解決しなければならない。ただ、郵便、郵貯、簡保のサービスが一体となって提供できなくなっている点など、利便性や事業運営の効率の問題も指摘されている。さらに、政党間の対立の中で経営の方向性が定められないという状況に、日本郵政がいつまでもおかれていいわけもない。

法案の審議を進め、すみやかに結論を出すようにしてもらいたい。
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[朝日新聞] 汚染コンクリ―対応の遅れを取り戻せ (2012年1月30日)

マンションや戸建て住宅、川の護岸、用排水路で、放射線量が周囲よりも高いコンクリートが見つかった。病院や学校も心配だ。

福島第一原発の事故がまき散らした放射性物質は、近隣の採石・砕石場にも降り注いだ。そのうち、福島県浪江町で昨春に採取された砕石がコンクリートの材料として出荷され、さまざまな工事で使われていた。

国と福島県などが流通経路を調べているが、工事現場は1千カ所にも及びそうだ。問題が最初にわかった福島県二本松市の新築マンションには、浪江町から避難してきた家族もいる。

コンクリの使われ方や線量に応じて、除染や撤去、立ち入り制限、住民の引っ越しの支援など、対策はわかれるだろう。

それには、汚染石の流通経路を調べ、線量を測る作業が前提となる。

浪江町周辺にも採石・砕石場は多い。県と国は計28カ所を対象に放射線量の測定を進めた。県は事故直後から6月までに施工された公共工事について、使われた石の搬出元を調べるよう、県内の市町村に要請した。

鉱業を所管する経済産業省もコンクリ製品や建材などの業界に協力を求めている。官民あげて調べてほしい。

出荷をはじめ取引を規制する基準作りも急がねばならない。福島産の石というだけで取引が拒否される事態を防ぐためだ。追跡調査で得られたデータを分析すれば、汚染の程度や地域ごとの傾向がわかってくるのではないか。

浪江町の砕石業者は、原発事故後の3月末から、作業現場が計画的避難区域に指定されて操業できなくなった4月下旬まで、出荷を続けていた。放射能汚染の恐れには考えが及ばなかったという。

経産省は「何か情報があれば規制したが……」と話す。結果として後手に回り、被害を広げた構図は、汚染された稲わらが引き起こした汚染牛の問題と同じだ。

福島県は昨年5月以降、コンクリなどの建築資材について放射線量の基準を示すよう、国に繰り返し求めていたが、国は対応していなかった。

二本松市のケースでは、1月上旬に汚染が確認されたにもかかわらず、公表まで10日近くかかった。疑いがあればすぐに動く。確認できたらすぐに公表する。国や自治体はこの基本を改めて肝に銘じてほしい。

砕石以外にも、見落としているものがないか。点検を急がなければならない。
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[朝日新聞] 在宅介護―理想像を実現するには (2012年1月30日)

介護保険の運営が、今年4月から変わる。

高齢化にあわせ、全国平均で月4千円程度だった保険料は、5千円を超える見通しだ。

介護事業者に支払う報酬は全体で1.2%上げる。介護職員の賃金を引き上げるためだ。そのうち1%分が在宅サービスに配分され、「施設から在宅へ」という国の政策を進める。

目玉は、新たに始まる24時間対応の訪問サービスだ。

日中・夜間を問わず、オムツ交換などでヘルパーや看護師が定期的に訪問し、利用者が呼び出せば駆けつける。そんなサービスを、毎月いくらの定額で提供する。

国土交通省と厚生労働省は高齢者向けマンションの建設を促進しており、その1階に事業者が入り、新サービスを提供するのが標準的なイメージだ。

在宅重視の方向性はいい。現場で苦労している職員の処遇改善も不可欠だ。

ただ、24時間サービスが本当に普及するのか。心配な点がいくつもある。

医療が必要な利用者宅を訪問する看護師や、夜間に対応する職員が十分に確保できるのか。

こうした人材を見つけられたとしても、定額の報酬で事業をまかなえるか。すべての要介護度で、出来高払いの在宅サービスを限度いっぱいに使ったときと比べ、定額報酬は月で5万円以上低い。

定額の場合、事業者が手抜きをしないよう目配りする必要性も高まる。監督責任を担う市町村の目が行き届くのか、利用者には不安がある。

国が新サービスにかける期待は大きい。「社会保障と税の一体改革」で実現を目指す「地域包括ケア」の柱だからだ。

おおむね30分以内にある医療や看護・介護、生活支援などのサービスを使って、入院せず、住みなれた地域でくらす。そんな理想像を目指すという。

厚労省は自治会やNPOといった住民活動まで含めた地域介護の姿を描く。だが、あまりに国主導だと地域の自主性を奪うおそれもある。

まずは実力のある事業者が取り組んで、問題点を洗い出しながら広げていくべきだろう。

施設の役割も重要だ。認知症や要介護度が重くなれば、在宅で過ごすのは難しい。

今回の報酬改定では、老人保健施設や老人ホームが、入居者をみとった場合の報酬が大きく上がった。中重度の高齢者を積極的に受け入れ、最期まで面倒をみる。施設も存在感を示して欲しい。
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[読売新聞] 核燃料再処理 試運転の確実な成功を目指せ(1月30日付・読売社説) (2012年1月30日)

既に存在する「核のごみ」を安全に保管し、処分する技術の確立は急務である。試験を確実に成功させてもらいたい。

日本原燃は青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場で、2008年12月から中断していた試験運転を再開させる。

東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、原子力関連施設の再稼働は初めてとなる。

目的は、原発の使用済み核燃料を処理した際に出る放射線レベルの高い廃液を、ガラスで固める工程の完成にある。

放射性廃棄物は、安全かつ確実に処分せねばならない。廃液の場合は、そのままタンクにためておくより、ガラス固化体に加工した方が安全性に勝る。

そのための試験を着実に進めることは、必要なことだろう。

反原発派の団体などは試験再開の中止を求めている。しかし、この試験と原発利用に対する賛否とは、別の問題ではないか。

廃液処理の技術は福島第一原発事故の処理にも役立つ。事故が起きた原子炉には大量の放射性廃液がある。いずれ安全に処分せねばならない。固化技術の重要性は増しているとも言えよう。

しかも、全国の原発には使用済み核燃料が約1万4000トン、再処理工場にも約3000トンある。再処理が進まなければ、これも将来、行き場がなくなる。

重要なことは、日本の原子力政策をどうするか、将来をにらんで論議を深めることだ。

日本は、原発を電力供給の重要な柱と位置づけてきた。さらにウラン燃料を有効活用するため、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出し、燃料として再利用する「核燃料サイクル」の実現も目指してきた。

六ヶ所村の再処理工場は、その拠点となる施設だ。

福島第一原発事故を受け、原発利用には慎重論も増えている。定期検査で停止した原発の再稼働はままならず、使用済み核燃料の再処理計画にも影響が出そうだ。

内閣府の原子力委員会が、核燃料サイクル政策の再検討を始めている。そこでは、核燃料サイクル中止も選択肢に挙がっている。

政府は今夏にも、新たなエネルギー政策をまとめる方針だが、原発事故処理が続く中での議論は、ともすれば極端に走りがちだ。

長年かけて築いてきた核燃料サイクル技術を今、放棄すると決めていいものか。急激な政策転換で将来に禍根を残さぬよう、冷静かつ緻密な議論を求めたい。
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[読売新聞] 除染工程表 住民帰還のため着実な実施を(1月30日付・読売社説) (2012年1月30日)

東京電力福島第一原子力発電所事故で放射性物質に汚染された周辺地域の除染について、環境省が工程表を公表した。

約8万6000人とされる避難住民の生活を再建するため、除染は最優先の課題である。「いつ我が家に戻れるのか」という不安を抱える住民にとって、工程表は今後の生活を考える一つの目安となるだろう。

環境省は、迅速かつ着実に除染を進めなければならない。

政府は4月をメドに、福島第一原発の周辺地域を、年間被曝(ひばく)線量に応じて「避難指示解除準備区域」(20ミリ・シーベルト以下)、「居住制限区域」(20〜50ミリ・シーベルト)、「帰還困難区域」(50ミリ・シーベルト超)の3区域に再編する方針だ。

いずれの区域でも、環境省が直轄で除染を実施する。表土のはぎ取りや建物の壁面などの洗浄、植え込みの伐採、側溝の汚泥の除去などが必要となる。

前例のない取り組みだけに、放射能の専門家や企業などの知恵を結集し、効果的な除染のノウハウを確立することが大切である。

工程表は、帰還困難区域を除く二つの区域で、除染の完了時期を2014年3月としている。避難指示解除準備区域の一部では、この3月から除染が始まり、年内に終了する。可能な限り早期に多くの住民の帰還を図るためだ。

住民の生活圏である市街地を優先するなど、効率的な除染の実施が求められる。

スケジュール通りに除染を進めるためには、はぎ取った汚染土壌などを運び込む仮置き場の確保が重要だ。仮置き場に集めたものを一括して長期間、保管する中間貯蔵施設の建設用地選定も急がねばならない。

除染が完了しても、住民の帰還には課題が残る。水道、ガスなどライフラインの復旧や、学校や医療機関、店舗などの整備が生活の再建には欠かせない。

2月に発足する復興庁が中心となって、地元自治体の意向も聞きながら、詳細な帰還計画を策定する必要がある。

汚染が最も深刻な帰還困難区域については、除染技術や除染作業員の安全確保策を確立するためのモデル事業を実施し、検証することになった。

環境省は、その結果を踏まえて「対応を検討する」としている。現時点で、住民の帰還のメドは事実上、立っていない。

この地域の住民をどう支援していくのか。政府に課せられた大きな問題である。
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