2010年06月30日

[産経新聞] 【主張】中台経済協定 対中依存を止めるは日米 (2010.6.30)

中国と台湾が自由貿易協定に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)に調印した。来年1月にも発効の見通しだが、台湾ではこれを契機とした中台経済の一体化が政治統一までつながることへの警戒も強い。そうした事態を防ぐには日米などが台湾との自由貿易協定(FTA)締結を急ぎ、台湾経済が過度に中国に依存しないようにする必要がある。

対中関係改善を掲げた馬英九・中国国民党政権の発足以来、中台は三通(直接の通商、通航、通信)解禁など、12の合意文書に調印した。背景には中国が台湾にとって最大の貿易、投資相手国となってしまった現実がある。

しかしECFAの賛否となると、台湾世論は二つに割れている。協定が明記したように、ECFAは互いの貿易・投資・産業など経済全体の垣根を段階的に撤廃し、「一つの中国市場」形成を促す内容になっているからだ。

中国は台湾に早期に関税を撤廃する品目として539(台湾の対中輸出額約140億ドル)を与えた。台湾は中国に267品目(中国の対台湾輸出額約30億ドル)しか与えていないから、中国が利益を譲ったようにみえる。

しかし協定序文は「徐々に貿易と投資の障壁を撤廃し、公平な貿易投資環境を創(つく)る」とうたってもいる。いずれは台湾が自由化を拒んでいる農産品も開放され、大陸から安い賃金の労働力が流れ込むのは必至だ。中国の譲歩は経済統合を促す誘い水といえる。

より根本的な問題は、ECFAが「一つの中国」を前提とした中台の「特殊な関係下の取り決め」(台湾当局)であって、主権国家間のFTAではないことだ。

協定の調印主体は民間の体裁をとった中台の交流団体である。中国からすれば「一つの中国」のもとでの大陸地区と台湾地区の国内取り決めだ。中国は経済、文化、政治の段階的統合を通じて台湾統一を進める戦略で、ECFAはその第一歩でもある。

一方、台湾住民の大多数は事実上の独立状態にある「現状維持」を望んでいる。馬政権もECFA締結後の最大課題として、諸外国とのFTA締結を掲げている。

台湾は世界貿易機関(WTO)のメンバーであり、その枠組みの中でほかのメンバーと貿易協定を結ぶことには道理がある。日米は安全保障の観点からも、これに積極的に応じるべきだ。
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[東京新聞] 中台“FTA” 開かれた自由貿易圏に (2010年6月30日)

中国と台湾は二十九日、それぞれの窓口機関を通じ自由貿易協定(FTA)に当たる経済協定を結んだ。北東アジアに生まれる初の自由貿易圏を中台で閉ざさず、日本や韓国も参加し広げたい。

調印された「経済協力枠組み協定(ECFA)」は、まず中国側が五百三十九、台湾側が二百六十七の品目について来年一月から二年間でゼロ関税を実現することを決めた。金融やサービス分野も、お互いに開放を進める。

二年前に台湾で対中関係改善を訴えて国民党政権が誕生し、中台経済は結び付きを強めた。既に台湾の総輸出額の約40%は中国向けで人口約二千三百万人の台湾から百万人余りが中国に常駐する。ECFAによって中台経済の一体化は一層、加速しそうだ。

ECFAと呼ばれているのは、中国がFTAは主権国家間の取り決めで、台湾に協定締結の資格がないとしているためだ。中国は同種の協定を、中国に返還された香港、マカオとも結んでいる。

しかし、与党・国民党の馬英九総統はECFAを皮切りに各国ともFTA外交を活発化し、台湾を「アジア太平洋地域の貿易拠点にしよう」と呼び掛けている。

これに対し、野党・民進党は、蔡英文主席が協定によって中国が「台湾をのみ込もうとしている」と批判する。二十六日には、台北で調印をめぐる住民投票などを求め十万人規模のデモを行った。

ECFAは、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に自由貿易圏の形成が進む東南アジアに比べ、立ち遅れた北東アジアで初の自由貿易地域を形成する。

世界が注目する中国市場で台湾企業が有利になることによってライバルの日本や韓国と中国のFTA締結の動きをも促すだろう。

中国は他国が台湾とFTAを結ぶことを主権国家として扱うことになると反対する。しかし、「民間の経済、貿易の往来に異議はない」(外務省)と含みを残す。

日本にとって台湾は経済、貿易の有力な相手で対日感情もよい。政府は新成長戦略で「アジア太平洋自由貿易圏の構築」を目指す。中国と並んで台湾とも自由貿易の枠組みを追求すべきだ。

中国もECFAを調印した以上、民間主導の取り決めには、真っ向から反対はしにくいだろう。

中台の自由貿易圏に日本や韓国が加わることは、台湾の対中不信を和らげ、北東アジアの安定と平和にも貢献するに違いない。
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[東京新聞] 名古屋場所開催 再生へ、捨て身の改革を (2010年6月30日)

大相撲はいま存亡の危機にある。名古屋場所はまさしく後のない土俵際で開かれる。ファンの信頼も伝統の誇りも失った相撲界。解体的改革であしき体質を一掃するほかに道はない。

底なしの様相を呈していた大相撲の野球賭博問題は、特別調査委の勧告を日本相撲協会が受け入れて、ひとまず節目を迎えた。大関琴光喜、大嶽親方らの懲戒処分、関係力士の謹慎・休場、武蔵川理事長をはじめとする親方の謹慎、理事長代行の任命などを条件としたうえで、論議となっていた名古屋場所(七月十一日初日)の開催が決まったのだ。

多くの力士、親方が欠け、懸賞金見送りの動きもあり、NHKの中継も保留のままという非常事態である。ファンの視線も厳しいだろう。力士たちは、出直しの決意が見る側に届くよう、必死の思いで土俵を務めるしかない。

とはいえ、賭博問題の解明もまだ半ば。これはスタートにすぎない。崩壊のふちからの再生へ、ここから相撲界はそれこそ捨て身の改革を求められることになる。

これまでも横綱朝青龍(引退)をめぐる諸問題、大麻事件、力士暴行死事件などの不祥事が相次いできた大相撲。原因の第一は相撲界の独善性、閉鎖性にある。「相撲界のことは力士出身者でなければわからない」「相撲界には相撲界のしきたりがある」などとして外からはうかがい知れない世界をつくり、一般社会とはかけ離れた空気の中で生きてきたのだ。

そうしたやり方がゆがみ、ねじ曲がって、一般常識では許されない振る舞いが当たり前となった。理不尽な暴力や、暴力団の資金源となるケースが多い賭博に、看板力士や親方が平然と手を染める行為はその象徴といえる。

大相撲は国民の財産である。手をこまねいて破滅を待つわけにはいかない。となれば、自浄能力も統治力もない相撲協会にまかせておけないのは自明の理だ。協会はすべての課題を白日のもとにさらしたうえで、改革へのアイデアと実務能力を兼ね備えた外部の有識者たちに再生をゆだねるべきだろう。改革後の運営も外部を中心として進める方がいい。

長い歴史を持つ日本の宝をここまで劣化させた協会の責任はきわめて重い。二度とこうした体質に戻らないよう、今後はガラス張りの運営にしていく必要がある。また、この未曾有の危機を、関係者もファンもこぞって大相撲のあり方を再考する機会ともすべきだ。
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[産経新聞] 【主張】G20首脳宣言 「例外扱い」は恥ずかしい (2010.6.30)

日本はカナダで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で約束された「先進国は2013年までに財政赤字を半減する」という目標の適用が除外された。日本の国・地方の長期債務残高が今年度末で国内総生産(GDP)の1・8倍にも達する見通しで、目標の達成は到底難しいとの判断からだ。

しかし、菅直人首相はサミット後の会見で「財政再建策のスケジュールは各国から積極的に受け入れられた」と自画自賛した。「例外と見なされるほど困難な状況」という反省こそ、語るべきではなかったか。

世界第2位の経済大国である日本が先進国共通の目標から除外されたとは、恥ずかしい限りだ。これでは先進国としてリーダーシップを発揮することなどできない。例外と見なされてしまった現実を直視し、一層の危機感を持ち財政再建に取り組むべきだ。

半減目標は議長役のカナダのハーパー首相が主導し、欧州諸国が強く主張した。ギリシャの財政危機に端を発した欧州の信用不安はなお収束せず、世界経済の先行きが懸念される。欧州勢は財政再建策をサミット前に発表しており、半減目標を掲げることで市場の信認を得たいとの思惑があった。

問題は今回の適用除外について菅首相にどこまで危機感があるかだ。ハーパー首相は除外理由として国債の95%が日本国内で買われていることを挙げた。だが、高齢化で貯蓄率の低下が必至のため、今後も安定した国債の国内消化が保証されているわけではない。

日本が財政運営戦略で掲げた目標は、国・地方の基礎的財政収支の赤字をGDP比で2015年度までに半減、20年度までに黒字化するというものだ。達成には消費税増税などによる税制抜本改革が欠かせない。

しかし、菅首相は先に「年度内に改革案をまとめたい。消費税率は(自民党が提案する)10%を参考にしたい」と言っておきながら、支持率が下がり始めると「(野党に議論を)呼びかけるところまでが私の提案だ」とトーンダウンさせた。

G20サミットは一昨年秋の米国発金融危機から世界経済を立て直すために先進国に新興国を加えて始まった。その中で、「先進国基準」からはじかれるようでは日本は存在感を示せまい。首相の本気度を問いたい。
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[日経新聞] 日印の原子力協力では非核の原則守れ (2010/6/30)

日本とインドの両国政府が原子力協定を結ぶ交渉に入った。原子力発電の急拡大が見込まれるインドに、日本の機材や技術を輸出するための協定をつくる。菅政権は成長戦略で原発の輸出を掲げ、日本の産業界の要望も踏まえて判断した。

だがインドは核拡散防止条約(NPT)に入らず核実験をして核兵器を持った。そうした国に原発を輸出するには、少なくとも核兵器への転用を絶対に防がなければならない。核拡散を防ぐための厳格な仕組みをつくることは日本の大きな責任だ。

核不拡散の体制を揺るがしてはならない。日本は唯一の被爆国として自ら核兵器を持たず、他国の核武装に協力しないことを国の基本方針にしてきた。インドと同様、パキスタンや北朝鮮もNPTの外で核兵器を開発し、イランにも核疑惑がある。民主党はこれまで「インドを例外扱いすればパキスタンなどに誤ったメッセージを送る」と慎重だった。

その姿勢を変えるにしても、非核の原則とインドへの原子力協力が両立することを説明しなければ国民も国際社会も納得しまい。インドにはNPTへの加盟を粘り強く求め、パキスタンや北朝鮮にも核開発の断念をもっと強く迫る必要がある。

加えて、提供する技術や機器が核兵器の製造や新たな開発に転用されないことを保証する仕組みが要る。

米ロなど原子力供給国グループは2年前、インドへの原子力技術の輸出解禁を決めた。インドは国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れ、22カ所の原子力施設のうち民生用の14施設を対象にした。だがウラン濃縮や核燃料の再処理など8施設は含まれていない。インドにはこれらの施設についても査察を受け入れるよう働きかけるべきだ。

研究者や技術者を通じて伝わる技術情報が核開発に利用されないような歯止めも大切である。

インドは温暖化ガスの世界4位の排出国で、原発はその削減に貢献する。難航している温暖化防止の国際枠組みの交渉にインドをどう引き寄せるか。その戦略も要る。

原子力産業の国際的な再編が進み欧米メーカーの原発輸出ビジネスは、原子炉の圧力容器などで高い技術を持つ日本企業抜きでは成り立たなくなってきた。米仏などが日本に対しインドと協定を結ぶよう非公式に働きかけていたのも、日本の技術力に期待してのことだ。

そうであれば、日本は米仏と手を結んでインドなどに核兵器放棄の圧力を強めるとともに、米ロ中英仏に核軍縮を促す道を探るべきだ。
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[日経新聞] 相撲協会は解体的出直しを (2010/6/30)

これでは社会の納得は得られまい。賭博問題で揺れる日本相撲協会は、大嶽親方と大関琴光喜関の角界追放などを求めた特別調査委員会の勧告を受け入れ、来月の名古屋場所を予定通り開くことを決めた。

調査委の勧告は、力士13人の休場や武蔵川理事長と親方らの謹慎も求めている。厳しい内容だが世間一般では当たり前の処分だろう。それをのむからといって、免罪符を得たように振る舞って場所開催に突き進む姿には強い疑問がわく。

協会は賭博汚染の全容解明を果たしたわけでもなく、そもそも警視庁の捜査はなお継続中だ。とてもウミを出しきったとはいえない。開催をお膳立てしたかたちの調査委の対応も含めて非難は高まろう。

それでも開催に走るのは「中止すれば巨額の減収になる」という事情もあるという。しかしこの状態で開いてもファンは興ざめするばかりだ。苦しくても開催を見送り、体制を根本から立て直すのがスジだ。

暴行事件に大麻騒動、横綱の不行跡と、あきれるようなトラブルを繰り返してきた大相撲だが、根強い人気がある。伝統と格式に裏打ちされた勝負の魅力、土俵の緊張感がなお失われていないからだろう。

それゆえに、相撲協会は公益法人の資格を与えられ課税も優遇されている。ほかのスポーツとは違い、国が手厚く保護しているのだ。NHKが年に6回の本場所を長時間にわたり中継するのも、たんなる興行ではないという前提に立っている。

そうした特別扱いにあぐらをかき、なんら自浄能力を示すことなく相撲協会は今回の事態に立ち至った。名古屋場所を開いてしまえばやがて批判も一段落する、などと考えているなら大きな間違いだろう。

いま問われているのは公益法人として特別扱いを受けるのが妥当な組織かどうかである。賭博を通して反社会勢力にむしばまれていたという事実は、あまりにも深刻だ。

力士出身者が要職を占める協会の体制は、もはや行き詰まっている。執行部を総入れ替えし、外部の人材で組織を一からつくり直す解体的出直しをするしかない。公益法人の資格が不可欠かどうか、その過程で突っ込んだ議論が求められよう。
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[毎日新聞] 社説:参院選 消費税論争 首相は逃げずに説明を (2010年6月30日)

「消費税10%」をめぐる論戦が深まらない。

なぜなのか。増税が必要だとする政党はこの問題を避ける傾向にあり、増税反対を錦の御旗(みはた)とする政党からは得心のいく議論が伝わってこない。仕掛けた側の民主党内でも人によって言うことが異なり、どこまで本気なのか疑ってみたくなる。

このままでは社会保障制度がもたない。菅直人首相が消費税率の引き上げに言及して2週間。21日の記者会見では「自民党が提案している10%を一つの参考にしたい、と申し上げた。そのこと自体は公約と受け止めていただいて結構だ」と踏み込み、逆進性緩和のための複数税率や給付付き税額控除の導入、さらにはその前提条件としての納税者番号制にも触れた。

これまでほとんどタブーだった増税問題を選挙の争点としたことについて、私たちはこれを「画期的な変化」と受け止め、各党には建設的な提案の競争を求めた。しかし、その後の動きは、必ずしも私たちの期待通り動いていないようだ。

まずは、菅首相に求めたい。消費税は確かに政治家にとって鬼門である。歴代政権がこの問題で足をすくわれてきた歴史を知らないわけではない。民主党内の議論がまだ煮詰まっていないことも、超党派の議論を呼びかけている時に中身をあれこれ言えないことも理解している。

しかし、いったん国の最高責任者として口にしたことは、最後まで責任を負ってもらいたい。特に、過去の発言からぶれた、と受け止められるような言動や、論争そのものから逃げている、と見られるような姿勢は絶対に避けてほしい。そのとたんに国民は疑念を抱き、過去の努力がムダになることがありうるからだ。増税とはそれほど微妙なものだ。

丁寧に誠実に説明を加えていくしかない。なぜ増税なのか。このまま放置すると日本の経済はどうなってしまうのか。なぜ10%なのか。本当に10%ですむのか。何にどう使われるのか。どうしてこれが強い経済に結びつくのか。国民一人一人に声をかけるつもりでわかりやすく耳にタコができるくらいにつじ説法していくことだ。情理を尽くした説得力がなくては、超党派協議を主導することもできないし、軽減税率、その他の具体的な制度設計に入れるわけがない。

自民党には野党第1党として、かつ消費税を導入し引き上げてきた実績を持つ元与党として大人の論戦を望みたい。消費増税反対の政党には、ではどうやって社会保障の財源を得ていくのか、具体的で地に足のついた議論を期待する。
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[毎日新聞] 社説:G20財政目標 日本こそ必要な危機感 (2010年6月30日)

主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が財政健全化に向けて大きくかじを切った。「先進国は2013年までに財政赤字を半減させ、16年までに債務の増加を止める」。首脳宣言には、期限付きの具体的な目標が明示された。

金融危機を受け、新しい協調の舞台として浮上したG20は、危機克服を最優先に、なりふり構わぬ景気刺激策を打ってきた。しかし副産物として借金が積み上がり、新たな危機の種になった。今度はこの種を除こうというわけだ。サミットはG20が転換点に立ったことを印象付けた。

財政健全化をどこまで強く推し進めるべきかを巡っては、参加国間に隔たりがあった。ギリシャ発の信用不安に見舞われた欧州勢は、何より財政再建を急ぐべきだと主張。米国は主要国が一斉に財政をしぼれば世界経済が二番底に陥りかねないとして、景気刺激策の継続を呼びかけた。

財政再建か成長か??。首脳宣言には双方に配慮した文言がちりばめられ、「成長に優しい財政再建」なる新語も登場した。しかし、議長国カナダが提案した数値目標が最終的に宣言に入ったことは、市場への明確なメッセージとなったはずだ。

問題は日本である。財政状況が飛び抜けて悪い日本は、目標の対象外という特別扱いになった。同じ目標を課しても守れるはずがないからだが、先進国で唯一の“落ちこぼれ組”である。

落ちこぼれは、人並み以上の努力をしないと合格点に近づけない。ところが、日本以外の国の方がはるかに強い危機感で財政再建に取り組んでいる印象だ。英国では5月の総選挙で誕生したばかりの連立政権が、来年1月からの付加価値税(消費税に相当)引き上げや歳出の大幅削減をすでに決めた。ドイツは国内総生産に対する公的債務残高が80%程度(日本は約180%)だが、戦後最大規模の財政健全化策に着手しようとしている。このままでは、菅直人首相が呼びかける「超党派による協議」が結論を見る前に、他の先進国は健全化を達成しそうだ。

幸い日本は国債の金利が一段と低下しているため切迫感がないが、これがいつまでも続くという保証はない。金利が低い理由の一つに、日本の増税余力がある。消費税がすでに20%近辺の欧州諸国と違い、日本には増税で財政を改善できる余地が残っている。ただ、余地はあっても「実行は政治的に厳しそうだ」と格付け会社や市場がみなせば、金利が急上昇することもあり得る。

政治的に困難なことを実行できない国とみなされることは、財政に限らず国際舞台を主導するうえでも、大きな損失となろう。
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[朝日新聞] 年金基本原則―与野党が歩み寄る契機に (2010年6月30日)

国政選挙のたび民主党が看板政策に掲げてきた新たな年金制度について、菅政権が柔軟な基本原則をまとめた。これを与野党が話し合いを進めるきっかけにしてほしい。

全国民が一つの制度に加入し、最低限の年金額を保障することなど大まかな考え方を示しただけで、かつての「税方式による月額7万円の最低保障年金」といった具体的記述はない。

党のマニフェスト(政権公約)と比べるとあいまいになったが、むしろこれによって、与野党が過去の主張にとらわれずに歩み寄るための環境ができたともいえる。

年金制度には、さまざまな問題がある。自営業中心と考えられてきた国民年金は、厚生年金に入れない非正社員が4割近くを占め、保険料をきちんと払えない人も少なくない。無年金や低年金で老後の生活に困るという人が増える心配もある。

少子化で、将来受け取る年金額はどこまで下がるのか。生活保障の役割を担えるのか、といった問題もある。

解決策については、さまざまな考え方が成り立つ。民主党のような最低保障年金という案もあれば、自民、公明両党が提案しているように、所得に応じた保険料減免と税金による補助を組み合わせ、基礎年金が満額受給できるようにする方法もある。いずれにせよ、低所得層に絞った対策から講じていくのが現実的ではないか。

財政の制約も考えねばならない。民主党はかねて最低保障年金の財源に消費税を充てると主張していた。しかし、国の財政が危機にあることや、他の社会保障分野に必要な費用も考えれば、年金だけに巨額の税収を投入するのは難しい。

看板政策にこだわり過ぎて、地域医療の立て直しや介護の現場で働く人たちの処遇の改善、保育所の整備などを後回しにすることになっては、国民の安心にもつながらない。

この際、無年金、低年金対策や低所得高齢者対策など、与野党で一致できることから一つずつ改革を進めていってはどうだろう。

年金制度の一元化にしても、自営業者も含めて一つの制度にするのが良いかどうかは、意見が分かれる。まずはサラリーマンが加入する厚生年金と公務員が入っている共済年金の統合や、所得がつかめる非正社員には厚生年金に入ってもらうことから始めるほうが現実的ではあるまいか。

お互いの主張にこだわるあまり、対立が深まって改革が前へ進まなければ、困ってしまうのは国民だ。

新しい施策にどれだけお金を使えるのか。年金、医療、介護、子育て支援など、全体のバランスをどうとるのか。財源を念頭に置きながら各政党が現実的な対応を考えるべき時だ。

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[朝日新聞] G20―「例外日本」の情けなさ (2010年6月30日)

先進国は2013年までに財政赤字を半減させるが、日本は例外とする。カナダでのG20サミット(20カ国・地域首脳会議)が、そんな宣言を発した。情けない扱いに、いつまでも甘んじてはいられない。

まだふらついている景気の浮揚を重視する米国と、財政再建を優先したい欧州連合(EU)諸国。首脳たちは「成長に配慮した財政健全化」という表現で妥協した。

成長は重視するが、各国の状況に合わせて財政を引き締めていく。それによって市場の信認を得られ、成長も持続する、との考えだ。

経済成長と財政健全化の二兎(にと)を追うのは厳しい道のりではあるが、どちらも欠かせない以上、追い求める姿勢は共有するしかない。先進国の協調が乱れているとみられれば、市場で新たな攻撃の材料にもなる。

むろん成長重視といっても、むやみに高い成長を追い求めるべきではないことは言うまでもない。

米国の過去十数年の成長率は、ITバブルや住宅バブルによって底上げされていた。米国がかつての感覚で景気回復を図ると、再び世界にさまざまなひずみをもたらすことになる。

欧州でも、スペインやアイルランドといった周辺国でバブルが発生していたため、欧州統合のほころびがみえなかった面がある。そうした過ちを繰り返さないためにも、景気への悪影響を最小限にとどめつつ、財政再建を進めていくことが必要だ。

米国も、中期的な財政再建の必要性は認めている。それゆえに赤字半減で一致したのだが、そこで取り残されたのが、国内総生産(GDP)の2倍近い借金を抱える日本だった。

日本が年間40兆円を超す財政赤字を13年までに半減させようとすれば、歳出を増やさない場合でも、消費税9%分に相当する増税をする必要がある、との試算が成り立つ。

デフレ下でこんなに急激な増税策をとるのは現実的でない。だからこそ早くデフレを克服し、財政再建に乗り出したいところだ。

国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度に黒字化するという菅政権の目標は、各国に比べて甘い。強い経済、強い社会保障を実現するためにも、消費増税などの税制改革を織り込んで、強い財政をつくらなければいけない。

欧州経済に対する不安も手伝って、日本の国債は市場で買われている。それは、菅政権が消費増税の方向を打ち出し、日本が財政再建に踏み出したと評価されているからでもある。

参院選情勢が厳しいからといって、増税への意思をあいまいにすれば国際社会で失望を買い、「例外」扱いを卒業する展望も失われる。

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* 〈ロイター〉経済回復はぜい弱、財政再建は経済成長に配慮を=G20(6/28)

* 〈ロイター〉「消費増税なしに財政目標達成は困難」との見方、引き上げ時期は両論(6/22)

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[読売新聞] 日印原子力協定 核軍縮と不拡散も強く求めよ(6月30日付・読売社説) (2010年6月30日)

日本とインドが、原子力協力協定の締結に向けて交渉を開始した。

インドは、核拡散防止条約(NPT)を不平等条約だとして加盟せず、独自に核開発を進めている核兵器保有国だ。12年前の核実験に際しては、対抗して核実験を強行した隣国パキスタンともども国際社会の制裁を受けた。

日本は、そのインドへの原子力協力をこれまで控えてきた。すべての国のNPT加盟を求め、新たな核兵器国の出現を許さず、核軍縮を進めて究極的に核兵器のない世界の実現を目指す。そういう日本の非核政策が根底にあった。

今回、方針を転換した以上、従来の政策との整合性が問われる。この点、政府の見解ははっきりしない。丁寧に説明すべきだ。

2年前、日本など原子力供給国グループ(NSG、現在46か国)は、インドへの輸出規制を「例外扱い」で解除することを全会一致で承認した。インドとの関係強化を目指す米国が主導した。

インドは、民生用の核施設を国際原子力機関(IAEA)の査察下に置き、抜き打ち査察を可能にする追加議定書にも署名した。

岡田外相は、「例外化」後のインドの行動を注視し、約束を着実に実行したことを確認して、今回の決断を下したと説明した。

経済成長が著しい大国インドは今後、エネルギー需要の急増が見込まれている。インドの原発を受注した米国やフランスの企業は、提携する日本の大手メーカーの協力が欠かせない。米仏両国からの強い要請も背景にあった。

地球温暖化対策、インドとの協力強化、日本の原子力産業の活性化などを考えると、原子力協力にはメリットがある。

反面、インドは核保有を不問に付され、査察対象とならない軍事用の核施設は存続できる。民生用原発の核燃料の確保にもメドがつき、乏しい国内のウラン資源を軍事用に回すことが可能だ。

ライバルのパキスタンが危機感を抱き、同様の「例外扱い」を求めるのも不思議はない。それを後押ししようとするのは中国だ。

インドへの例外扱いは、NPTを順守する加盟国に不満を抱かせており、ブラジルは、追加議定書に署名をしていない。

核不拡散に逆行する動きを止めるために、インドは核軍縮や不拡散で具体的な行動を取らねばならない。核実験全面禁止条約(CTBT)への署名・批准もその一つだ。日本は協定交渉の過程でインドに強く働きかけるべきだ。
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[読売新聞] 成長と財政再建 G20で首相が負った重い宿題(6月30日付・読売社説) (2010年6月30日)

経済成長を維持しながら財政再建も着実に進める――。先進国と新興国がそれぞれ背負わされた難題である。

カナダ・トロントで開かれた世界20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)が採択した首脳宣言のポイントは、「成長に配慮した財政健全化」を打ち出したことだ。

菅首相は、首脳会議の直前にまとめた新経済成長戦略と財政運営戦略を説明し、この二つの戦略が事実上の国際公約になった。

日本も、持続的成長で世界経済の牽引(けんいん)役を果たしつつ、市場に評価される財政再建を実現するという、二兎(にと)を同時に追わざるを得なくなった。

菅首相の経済運営の手腕が、今後、問われることになろう。

現在の世界経済は、リーマン・ショック後の金融危機と同時不況を脱しつつある。しかし、ギリシャ危機で欧州経済がもたつき、先行きはまだ不透明だ。

こうした判断から、首脳宣言が「景気刺激策の継続が必要」と指摘したのは当然である。

一方で、宣言は、「深刻な財政赤字国は、財政健全化を加速する必要がある」とも強調した。

特に、「先進国は2013年までに財政赤字を少なくとも半減させる」などと、数値目標を明示した意義は大きい。ただ、財政悪化が最も深刻な日本は異例の「例外扱い」となった。

G20では、財政再建を優先する欧州と、景気重視の米国が対立した。だが、一斉に緊縮財政に走れば景気失速のリスクが高まる。このため欧米は妥協を図り、各国の状況に応じ財政立て直しを求めることで収拾したのだろう。

これで難しい立場に追い込まれたのが日本だ。欧米の財政再建目標から置き去りにされたうえ、経常黒字国として、さらなる内需拡大も要求されたからだ。

参院選後は来年度予算編成に向けた議論が始まる。増税しながら成長を実現するという「菅戦略」の肉付けを急がねばならない。

G20では、中国通貨・人民元の切り上げも重要テーマだった。宣言は人民元を名指しせず、「為替レートの柔軟性」を指摘したが、中国が今後、人民元の上昇容認を迫られるのは確実だ。

今回のG20サミットでも、利害が鋭く対立するテーマでは、意見集約する難しさが改めて浮き彫りになった。

主要8か国(G8)と、G20をどう使い分けていくか。日本は明確な戦略を練らねばならない。
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2010年06月29日

[産経新聞] 【主張】日米首脳会談 合意守る「真剣さ」見せよ (2010.6.29)

菅直人首相はカナダで胡錦濤・中国国家主席、オバマ米大統領と個別に首脳会談を行い、主要国(G8)首脳会議を舞台とした外交デビューを締めくくった。

日米首脳は米軍普天間飛行場移設をめぐる日米合意の履行や日米同盟を深めることで一致したとはいえ、8月末に迫った代替施設の詳細決定や地元説得は難航が必至の情勢だ。鳩山由紀夫前政権下で空洞化の危機に陥った同盟の信頼と実効性を回復するには実際の行動で示すしかない。

首相は言葉だけの「深化」でなく、全力で日米合意を期限通りに実現させてもらいたい。

日米関係は前政権下で迷走を重ねた。とりわけ普天間問題では、いったんは現行計画を受け入れた地元感情も硬化させてしまった。仮に8月末に代替施設の詳細を決めることができても、11月末の沖縄県知事選の結果次第では、移設計画に地元の了解を取り付けるのは至難の業となろう。

この間に海上自衛隊のインド洋補給支援も打ち切られ、日米安保体制の信頼性と抑止機能が大きく損なわれてきた。ここ1年余に、中国海軍の日本近海への進出や挑発的行動が活発化し、北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事件が起きたのも、こうした同盟の危機的状況がもたらしたものといえよう。

菅首相は「同盟が日米だけでなく、アジア太平洋の平和と繁栄の礎石」との認識でオバマ氏と一致したという。だが、真に問われるのは、前政権が残した「マイナスからの出発」をどこまで首相が認識しているかだ。

オバマ政権が前政権との協議で「対日疲れ」にあったため、「同盟の信頼性回復が急務」とする意見は米側でも強い。首相は9月訪米に言及したが、日米合意の実現に「真剣に取り組む」と誓った結果が厳しく問われよう。

一方、日中首脳会談で、首相が「戦略的互恵関係を深めたい」としながら、日米両国に重大な懸念を与えている中国海軍の挑発行動防止や国防政策の透明性拡大を求めなかったのは極めて残念だ。

民主党は参院選の政権公約で、昨年夏の衆院選公約にはなかった「中国の国防政策の透明性を求める」ことを新たに約束した。それなのに、首相が最初の日中首脳会談でこれに触れなかったのは首をかしげる対応だ。日米も日中も、確固とした国益を実現するための「有言実行」を貫いてほしい。
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[産経新聞] 【主張】角界の野球賭博 再度言う「ウミ出し切れ」 (2010.6.29)

大相撲の野球賭博問題で日本相撲協会の臨時理事会は、親方や力士らの具体的処分は先送りしたものの、特別調査委員会が名古屋場所(来月11日から)開催の条件として示した勧告を全面的に受け入れた。

協会としては、何としても名古屋場所を開きたい一心で、調査委の条件をのんだのだろう。だが、ここは積年の組織のウミを出し切ることが優先されなければならない。名古屋場所の開催は見送るべきであろう。

いずれにせよ、自浄作用もないまま、角界の野球賭博汚染をここまで拡大させた協会の責任は厳しく問われて当然だ。組織そのものを解体したうえで見直すぐらいの覚悟を示す必要がある。

調査委の勧告は、大嶽親方(元関脇貴闘力)ら3人を、解雇を含む懲戒処分とし、15人の力士を謹慎休場、さらに武蔵川理事長ら親方12人の謹慎も求めた。

調査にあたった各委員は、記者会見で「非常に厳しい勧告だ」と述べたが、この程度の処分は、一般社会ではごく当然のことだ。

背後に暴力団が介在していることを認識しながら、多額の現金をかけていた大嶽親方や大関琴光喜関は言語道断だし、野球賭博という犯罪に手を染めた他の力士の責任も重い。さらに、力士を育成、指導する立場の親方が、部屋の弟子が賭博に関与していたことを把握していなかったというが、にわかに信じがたい。

理事長の武蔵川部屋所属の元大関雅山関が野球賭博にかかわっていた事実は、そうでないことを示していよう。

大相撲は、元横綱朝青龍の暴力行為疑惑など不祥事続きだが、その都度あいまいな決着で批判を浴びてきた。なぜ不祥事が続くのかの反省に欠け、抜本的な改革ができなかった。今回の野球賭博問題の対応も後手に回り、結局は外部の有識者に調査を任せざるを得なかった。

相撲協会は古い体質をそのまま引きずり、理事ら幹部を力士出身の親方で占めてきた。彼らの間ではポストをめぐり、一門を巻き込んでの争いごとも繰り返されてきた。その結果、若い力士の生活を含めた指導や、協会の体質改善がなおざりにされてきた。

協会はいま、存亡の危機にある。場所中止は死活問題だろうが、根本的な出直しの改革姿勢を示すことの方が先決だろう。
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[東京新聞] JR不採用和解 23年の恩讐超えたい (2010年6月29日)

二十三年もの長き“闘争”だった。旧国鉄分割・民営化に伴う国労組合員らのJRへの不採用問題で、和解が成立した。今後は組合員の雇用が最大の焦点となる。恩讐(おんしゅう)を超えた話し合いを望む。

戦後最大の労働問題といわれた。一九八七年の分割・民営化でJRに採用されず、旧国鉄清算事業団にも解雇された国労組合員ら約九百人が、同事業団を引き継いだ「鉄道・運輸機構」を相手に損害賠償などを求めていた。

最高裁で一括和解した内容は、同機構側が一世帯あたり二千二百万円の解決金を支払うことなどだ。国際労働機関(ILO)が過去に何度も「公正な解決」を勧告してきたことを踏まえれば、今回の不採用問題の決着は意義が大きいといえる。

そもそも国鉄改革にあたって、「一人も路頭に迷わせない」と政府は公言していたが、その実態は大きく異なった。原告の大半を占める北海道や九州では、JRへの採用率は約40%にすぎなかった。国鉄改革という国策の犠牲者ともいわれる所以(ゆえん)だ。

「国労差別だ」と訴え続け、原告たちはアルバイトやカンパなどを頼りに、二十余年を生きてきた。国労側によれば「平均月収は十七万円程度」で、和解は人生の一つの区切りだ。

訴訟も紆余(うよ)曲折を経てきた。二〇〇三年に最高裁は「JRは使用者にあたらず、不当労働行為の責任は負わない」と判示した。

同機構を相手にも五件の訴訟が起こされ、昨年三月には東京高裁が国労差別を認定し、一人あたり五百五十万円の慰謝料支払いを命じた。転機の一つだった。

過去の政権下でも和解の動きはあったが、実を結ばなかった。鳩山由紀夫前首相時に大きく進展し、今春に政治決着をみたのは、政権交代の成果だ。

もっとも、かつての過激な活動に批判的な目を向ける人もいる。不本意な広域転勤を受け入れた人らからは、「ゴネ得」という声が上がるかもしれない。だが、むしろ人道上の問題と考えるべきだ。

組合員らは、なおJR各社や関連会社、自治体などへの再雇用を希望している。それに対し、JR側は難色を示しており、今後の最大の焦点となる。

原告の平均年齢は五十六歳である。五十四歳以下の人は約三百人を数える。

まだまだ働ける人々に、雇用の壁が立ちふさがる現状に目をつむってはなるまい。
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[東京新聞] 日米首脳会談 沖縄の負担軽減に実を (2010年6月29日)

菅直人首相はオバマ米大統領と初会談し、在日米軍基地の約75%が集中する沖縄県の負担軽減に向けた協力を求めた。その姿勢は一歩前進と受け取るが、負担軽減は実をあげなければ意味がない。

当面する日米間最大の懸案事項は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還をはじめとする沖縄県の基地負担軽減である。

この問題の処理が今や、良好な二国間関係を築けるか否かの試金石になっていることは否めない。

そうした状況の中、首相が今回の会談で、大統領に「沖縄県の負担軽減に協力してもらいたい」と率直に求めたことに注目する。

この発言は、沖縄県民の基地負担軽減を実現しなければ、持続的な日米安全保障条約体制、日米同盟の深化などあり得ないという、首相の問題提起と受け止めたい。

これに対し、大統領は「米軍が地域で受け入れられる存在であるよう努力したい」と答えた。首相の問題提起が届いたようではあるが、重要なことは基地負担を実質的に軽減することである。

合意済みの基地返還を着実に進め、継続使用する基地では深夜の離着陸を禁止するなど、騒音など生活被害の軽減に努めるべきだ。事件・事故を防ぐための米兵に対する再教育は言うまでもない。

焦点の代替施設の建設地について、首相は名護市辺野古に造る「日米合意に基づき、実現に向け真剣に取り組みたい」と述べた。

県内移設では県民の抜本的な負担軽減にはつながらないと考えるべきだし、大統領も「日本政府にとって簡単な問題ではないと理解している」と語るように、辺野古での建設は困難視されている。

ならば、辺野古を見直す勇気をいま一度奮ってみてはどうか。ともに市民運動家出身の両首脳である。基地被害に苦しむ沖縄県民の痛みを理解できないはずがない。

参院選に目を転じると「普天間」が「消費税」の陰に隠れ、争点化していないことが気掛かりだ。

共産、社民両党は辺野古移設反対を積極的に訴えているが、沖縄での候補者擁立を見送った民主党が、自ら語ろうとしないことが影響しているためであろう。

鳩山由紀夫前首相の辞任理由になった大問題である。触れないのが選挙戦術とはいえ、それでは政権党の責任を放棄したに等しい。

今からでも遅くはない。首相は沖縄県の基地負担軽減を含む安全保障の全体像と、実現に向けたシナリオを明確に語るべきである。
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[日経新聞] 日米修復へ言葉より行動を (2010/6/29)

壊れかけていた日米関係を修復する出発点に立った。27日の菅直人首相とオバマ米大統領の初会談の成果はこれに尽きるだろう。

会談でのやり取りをみると、両首脳は米軍普天間基地問題で広がった傷をふさぎ、ひとまず関係の修復を演出した。

首相が日米同盟を「アジア太平洋地域の平和の礎」と強調すれば、大統領も「米軍基地が日本国民に受け入れられるよう努力したい」と応じた。

似たような光景は鳩山前政権でも見た。鳩山由紀夫前首相は昨年9月に大統領との初会談で協力をうたい、11月には「トラスト・ミー(信用してほしい)」と普天間問題の解決を約束した。

ところが、実際には決着を先送りし、迷走を極めた。この言行不一致ぶりが日米の信頼を損ない、関係を冷え込ませたのである。

「離米路線」の誤解を招いた鳩山氏に比べると、首相は日米基軸をより鮮明に打ち出し、険悪だった空気は和らぎつつあるようにみえる。

それでも普天間問題のトゲが日米関係に刺さったままの現実は変わっていない。鳩山前政権のてつを踏まないためにも、首相に求められるのは解決に向けた行動だ。

日米は8月末までに普天間の代替施設の工法や位置を詰めることで合意している。それを受け、大統領が来日する11月までに事実上、決着させたい考えだ。

沖縄県名護市辺野古周辺に移設する日米合意をめぐっては、地元の反対が強い。首相は沖縄側の理解を得ないまま、「問答無用」で移設を進めることはないと約束している。

とすれば、菅政権は今から沖縄側と水面下で接触し、どうすれば協力してもらえるのか、真剣に着地点を探るべきだ。

時間は長くない。11月の沖縄知事選が近づくにつれ、地元の説得が難しくなるとみられるからだ。

首相は9月の国連総会に合わせて訪米する意向を大統領に伝えた。それまでに代替施設の工法・位置をきちんと詰められるか。

これがまず、「日米基軸」という掛け声がどこまで本物なのかをはかる試金石になる。
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[日経新聞] 財政立て直しの国際数値目標の重さ (2010/6/29)

先進国は2013年までに財政赤字を少なくとも半分に減らし、16年までに政府債務の国内総生産(GDP)比を安定させるか減少させる――。20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、首脳宣言で財政再建の具体的な目標を掲げた。

日本については財政状態が特に厳しい点に配慮し、菅政権が打ち出したばかりの財政運営戦略を「歓迎する」とした。共通目標達成が難しい日本が例外扱いされたのは、自慢できる話ではない。市場の信認を失わないためにも、政府は目に見える形で財政再建に取り組む必要がある。

財政の数値目標は議長国カナダが強く推し、ギリシャを発端に政府債務の信認危機が金融危機と連動する形になった欧州諸国がこれに同調した。すでに欧州連合(EU)諸国は13年から14年にかけて財政赤字のGDP比を3%以下に抑える目標を再確認し、財政再建を急いでいる。

米国のオバマ大統領も、当面の景気回復を重視しつつ財政立て直しに向けて努力する姿勢を強調した。目標を達成できなかった際に制裁措置を伴わないことを条件に、カナダ提案を受け入れたとみられる。

首脳宣言には「成長に優しい財政健全化」という文言が盛り込まれた。欧州の場合も増税だけに頼るわけではない。公務員の人件費削減、国営企業の民営化などで公共部門をスリムにし、経済効率を高めることや、年金支給年齢の引き上げなども財政再建の主要な柱になっている。

問題は日本だ。菅政権の財政運営戦略では、借金の元利払いを除く歳出と国債や地方債の発行分以外の歳入のバランスを示す基礎的財政収支を均衡させる目標時期は20年度。その時になって初めて政府債務のGDP比の上昇が止まるわけで、G20が打ち出した財政健全化の基準から大きく遅れることになる。

リーマン・ショック後に、主要国はいずれも金融政策と併せて財政政策を総動員した結果、財政赤字が膨らんだ。そんな状況は持続不可能との判断がサミットで共有されたが、世界金融危機前から財政赤字が根雪のように積もっていた日本の財政再建のハードルは極めて高い。

G20が先進国のなかで日本を例外扱いしたおかげで、実現不可能な目標を課される事態は免れた。だが日本の財政危機は対処不可能という国際的な認識が示されたという意味なら、ゆゆしきことだ。早急に歳出構造の見直しに着手し、消費税率引き上げを含めた財政健全化の道筋を明確にして行動に移さないと、日本は国際舞台から落後してしまう。
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[毎日新聞] 社説:日米首脳会談 再出発へ課題は重い (2010年6月29日)

「日米両国の安全だけでなくアジア太平洋地域の平和と繁栄にとっての礎でもある日米同盟をさらに深めていこう」。こうした認識を菅直人首相とオバマ米大統領が確認し合った。普天間問題の処理という重い課題は残るが、関係修復へ日米首脳が出発点に立ち戻ったことをともかく歓迎したい。

思い返せば、念願の政権交代を果たして初訪米した鳩山由紀夫前首相と、オバマ大統領が同盟関係の強化を確認したのは昨年9月だった。「日米同盟は日本の安全保障の基軸だ」と強調する前首相に、大統領は「今日から長い付き合いになる。その中でひとつひとつ解決していこう」と応じた。

あれから9カ月。日米関係は普天間問題で揺れ、同盟深化どころか首脳会談さえまともに開けない異常な状態が続いた。それだけに、菅、オバマの両首脳には再出発の確認の場となった今回の首脳会談の重みを認識してもらいたい。

菅首相はオバマ大統領との会談に向け、日米同盟に関する共通認識を持つことと、個人的信頼関係を築くことに期待を示していた。

日米同盟に関しては「過去50年以上にわたりアジア太平洋の平和と安定の礎として不可欠な役割を果たしてきた」(首相)、「今後50年も素晴らしい歴史を築いていけることを確信している」(大統領)との認識を確認し合った。11月の横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際に訪日する大統領との間で日米安保の新しい意義付けや経済、文化なども含めた同盟深化の具体策をどう練り上げるかが課題となる。

日米関係修復への大きなハードルは言うまでもなく普天間問題だ。沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ周辺への飛行場移設を盛り込んだ先の日米共同声明は、代替施設の位置と工法の検討を8月末までに終わらせることを明記している。

菅首相は共同声明に基づき移設実現に真剣に取り組む考えを大統領に伝え、それに先立つ記者会見では米軍基地の有無が日米のイコールパートナーシップ(対等な関係)に直結するとは考えていない、と語った。米側への配慮も込めた発言だろう。

しかし、鳩山内閣が地元の頭越しに米側と合意したことに地元の反発は激しく先の見通しは立っていない。処理を誤れば前内閣の失敗を繰り返すことにもなりかねない。

首相にまず求められるのは前内閣が県内移設に方針転換した事情をていねいに説明し、地元との信頼関係を築くことに全力を尽くすことだ。オバマ大統領も理解を示したように、両政府は沖縄の負担軽減にも真剣に取り組む必要がある。
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[毎日新聞] 社説:名古屋場所開催 まだ土俵際の危機続く (2010年6月29日)

野球賭博をめぐる激震が続く中、日本相撲協会は、名古屋場所を予定通り開催することを決めた。胸をなで下ろす相撲ファンはいるかもしれないが、事態は決して楽観できるものではない。相撲界が存亡の瀬戸際に立たされているというのに、協会の対応は依然として手ぬるく、「外圧」を受けないことには動かない感度の鈍さを露呈している。

協会は今月21日の理事会で、名古屋場所を開催するかどうかを7月4日の理事会で決めるとした。名古屋場所は同11日が初日で、4日はわずか1週間前。あまりに悠長な協会の対応は、結論を抜き差しならないところまで先送りし、なし崩し的に名古屋場所開催にこぎ着ける作戦ではないかと疑われても仕方がない。

これに対し、同じ日の理事会で設置が決まった学識経験者ら10人で作る特別調査委は結論を急いだ。わずか2回の会合で9項目の勧告をまとめ、その受け入れを条件に、名古屋場所開催を認めると協会に迫った。

勧告は野球賭博に関与した力士らの処分を求めただけではない。武蔵川理事長の「指導責任」も問い、理事長代行を置くことも求めた厳しい内容だ。

結果的に特別調査委は協会に「助け舟」を出したと思われる。早急に結論を出そうとした分、調査は十分といえず、今後、新たな疑惑が浮上したら、特別調査委自体が批判を招く恐れもある。それでも結論を急いだのは、協会執行部の悠長な対応では名古屋場所の中止が避けられなくなる事態を恐れたからだろう。

その「温情」を協会は理解できているのだろうか。「勧告を受け入れる」としながらも、関係者の処分は7月4日に先送りし、理事長代行の人選もそれまで持ち越した。この期に及んで、いまだ協会の体面を守ろうとしているように映る。

毎日新聞が27、28日に実施した世論調査では名古屋場所を「中止すべきだ」という意見が61%に達し、「開催すべきだ」の33%を大きく上回った。国民が求めているのは相撲界の抜本的な体質改善であり、本場所だけ開催できれば危機は去ったと考えるのは大間違いだ。

ここ数年、相撲界は相次ぐ不祥事に揺れ続けている。そのたびに協会幹部の対応に問題を残した。相撲界のことは大相撲出身者だけで決めればいい、という考えはもはや通用しない。相撲界の「内輪の論理」だけでことを解決しようとするなら「国技」と名乗るのはやめてもらいたい。公益法人としての税金の軽減も返上すべきだ。

大相撲が真に国民的娯楽として生まれ変わることができるか。名古屋場所以上に全国の相撲ファンが注目しているのはその点だ。
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