2009年10月31日

[東京新聞] 行政刷新会議 無駄排除 衆知集めて (2009年10月31日)

政府の行政刷新会議が、二〇一〇年度予算編成に向けて不要不急の事業を洗い出す「事業仕分け」作業を再開した。限られた予算を効率的に使うため、衆知を集めて徹底的に無駄を排除してほしい。

事業仕分けは、刷新会議の加藤秀樹事務局長が代表のシンクタンク「構想日本」が地方自治体の事業見直しに用いてきた手法。国政レベルでも自民党が政権当時、党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」で文部科学省事業の「政策棚卸し」に活用した実績がある。

今回の仕分けは、民主党国会議員七人と民間有識者約二十人が三班に分かれ、国の約三千事業のうち二百程度について、公開の場で「不要」「継続」「民間へ」などに仕分けし、予算案に反映する。

年末に予定される予算編成まで時間は限られる。精力的に作業を進めるべきだ。

ただ、仕分けに参加する予定だった新人の衆院議員十四人が、小沢一郎民主党幹事長の強い意向で外されたことは適切ではない。

新人議員には選挙区活動を優先するよう指導していることに加え、経験不足というのが理由だが、新人とはいえ、有権者に選ばれた社会経験豊富な国会議員だ。

しがらみのない方が、惰性で続いてきた事業を見抜けるかもしれない。国民に近い視点や平衡感覚を、活用すべきではなかったか。

仕分けに参加する議員が三十二人から減り、議員一人当たりの作業量は増える。仕分け作業に遅れや漏れが出ないかも心配だ。

人選見直しで作業が約一週間止まった。小沢氏と仙谷由人担当相との間で連絡不行き届きがあったようだ。長年の確執があるかもしれないが、政府・与党一体と言う以上、連絡を密にすべきだった。

九十五兆円超に膨らんだ一〇年度予算の概算要求をどこまで削るのかも明確でない。

仙谷氏は九十二兆円程度に圧縮したい考えを示したが、藤井裕久財務相はさらに切り込み、九十兆円以下が望ましいと明言した。

政府としての目標が定まっていないのも、マニフェストで「政治主導で予算の骨格を策定する」とされていた「国家戦略局」の設置が来年の通常国会以降に先送りされ、機能していないためだ。

戦略局は刷新会議とともに政治主導の両輪だったはず。現在は「戦略室」にとどまっているが、菅直人副総理兼国家戦略担当相のリーダーシップで、具体的な予算編成方針を早急に決めるべきだ。
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[東京新聞] ポスト京都 『架け橋』になるときだ (2009年10月31日)

「ポスト京都」の年内合意ができなくなった。十二月のコペンハーゲン会議(COP15)で大枠を決め、一年以内の決着をめざす。だが、その間にも温暖化は進む。悲観している暇はない。

二〇〇九年のCOP15で、京都議定書に続く一三年以降の温室効果ガス削減ルール(ポスト京都)に合意する−。二年前のバリ会議(COP13)で決まったことだ。その合意ができなくなった。

削減義務をめぐる先進国、途上国間の深い溝は埋まっていない。〇五年比20%の削減数値を盛り込んだ米国の温暖化対策法案も、上院通過のめどが立っていない。このままでは、先進国により重い義務を求める中国やインドなど、新興国の非難の的になるだけだ。

世界の排出量の四割を占める米中を交渉の場につなぎ留め、実効性のある新議定書を作るには、決着の先送りもやむを得まい。

COP15では、まず法的拘束力のない「政治合意」をめざすという。国連気候変動枠組み条約のデブア事務局長は、合意文書に盛り込むべき内容として、先進国の意欲的な数値目標と、途上国への具体的な資金援助を挙げている。温暖化の進行による打撃は、途上国ほど深刻だ。危機回避には先進国の資金や技術が欠かせない。中国やインドも、交渉を決裂させたいわけではない。先進国の意欲と援助が、途上国の参加を促し、新議定書採択への道を開く鍵になるのは間違いない。

そこで脚光を浴びるのが、日本の存在だ。鳩山首相は九月の国連演説で「二〇年までに一九九〇年比25%削減」という、意欲的な目標を表明済みだ。資金、技術の両面から途上国の温暖化対策を支援する「鳩山イニシアチブ」も提示した。いずれも国際的な評価は高く、政治合意、さらに新議定書採択に向けてリーダーシップを発揮できる環境は整っている。

森林保護などに充てられるインドネシアへの四億ドル(約三百六十億円)の円借款が、鳩山イニシアチブの初適用になる。だが、これを単なる「援助枠」にとどめるべきではない。先進国から途上国へ資金や技術をよりスムーズに移転できる仕組みを提案し、政治合意の質を高めたい。

COP15を失望の場にしてはならない。首相は所信表明演説でも「先進国と途上国との架け橋としての役割を積極的に果たす」と述べた。COP15は、その意欲を実行に移すチャンスになる。
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[日経新聞] 社説2 「貸し渋り」対策法に残る不安(10/31)

民主、国民新、社民の3党連立合意による「中小企業金融円滑化法案」を政府が閣議決定した。中小企業や住宅ローン債務者が返済猶予など貸し付け条件の変更などを申し出た時は金融機関が「できる限り」申し出に応じるよう努力義務を課す。

与党は当初「貸し渋り・貸しはがし対策法」と呼び、亀井静香金融担当相は国民新党のマニフェスト(政権公約)に沿い返済猶予の訳語を取って「モラトリアム」と名付けた。強制的な法案で金融機関に損失が及ぶ印象を与え、銀行株が下がるなど市場に不安が広がった。

決定した法案は当初に心配された金融の常識に反する内容でなく、従来の政策の延長線上に落ち着いた。返済猶予は「返済条件の変更」の一部と解釈され、その言葉自体は盛り込まれなかった。

法案は中小企業に対する融資をできる限り柔軟に実施するよう金融機関に促した。債務返済の負担を軽くするための返済条件の変更や借り換えの要請にも、金融機関ができるだけ応じるよう求めた。

借り手や金融機関が制度を乱用する懸念は薄らいだ。返済猶予などに応じた企業が倒産した際の政府の損失保証は融資残高の4割とし、残りは金融機関の負担にしたためだ。

不安定な経済情勢のもと、事業継続が可能な中小企業が金融機関の融資の手控えによって資金繰りに困る可能性はある。米欧でも中小企業向け融資の確保が課題となっており、政策面の目配りは必要だろう。

金融機関には条件変更などの実績を半年ごとに公表するよう義務付けた。中小向け融資に不熱心と評価されないよう、金融機関に一定の圧力をかける効果を狙った。

だが、金融機関に対する強要の度合いが濃くなりすぎるのは良くない。法案を盾に民間同士の取引に政治家が口をはさんだり、金融庁が裁量行政に走ったりする余地も残る。不透明な締め付けは金融機関の新規融資への態度を一段と慎重にさせ、逆効果となりかねない。

金融検査では条件変更した貸出債権を不良債権扱いとしないよう指針を緩める。日本の金融行政が不透明との印象を内外に持たれ、市場の不信を招かないようにしてほしい。
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[日経新聞] 社説1 政府・日銀はデフレを軽視するな(10/31)

日銀が発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は、日本経済が直面する試練の厳しさを改めて浮き彫りにした。消費者物価は3年連続で下落見通しである。経済の基礎体力の低下に焦点を据え、政策を運営していくべきである。

昨年秋のリーマン・ショックから1年たち、経済は徐々に持ち直してきた。とはいえ、回復は景気対策と外需頼み。企業が過剰雇用を抱えるなか、日本経済はなおもろさを抱えている。供給力に比べて需要が不足しているために、物価の下落はしばらく続く――。「展望リポート」の見通しはそんなところだ。

日銀は物価安定のメドとして、消費者物価変動率でゼロ%からプラス2%という水準を挙げている。物価下落つまりデフレは、日銀が望ましいとみる物価変動率を下回った状態である。素直に考えれば、一層の金融緩和が必要になるところだ。

これに対し白川方明総裁は、無担保コール翌日物金利を0.1%とする現在の金融政策を「十分に緩和的」という。現状の金融緩和を「粘り強く続ける」としたうえで、「景気回復や金融システムの安定化に伴って緩和効果は強まっていく」との見方を繰り返した。

リーマン・ショック後に導入した金融市場安定のための緊急対策についても、いきなり解除したりはせず、「市場に不測の事態を与えないようにする」と述べた。できることはやっているというのだろう。問題は一連の策によって、本当に企業や家計の心理が好転しているかだ。

デフレから脱却できるかどうかのカギを握るのは、企業や家計の中長期的な成長期待が回復し、予想インフレ率が上向くことである。この点でショッキングだったのは、経済が無理なく成長できる潜在成長率の推計が、今回の「展望リポート」で従来の1%前後から0%台半ばに下方修正されたことである。

潜在成長率が低下すれば、実際の成長率が低くても需給ギャップ(需要不足)は解消しやすくなるとの指摘も可能ではある。だが、現実に即していえば企業や家計の行動がますます慎重となり、低成長のワナにはまりこみかねまい。デフレの長期化はそうしたリスクを映し出しているのではないか。

潜在成長率を回復させるためには、日銀ばかりでなく経済活性化に向けた政府の取り組みが欠かせない。現状ではその戦略は著しく欠如している。政府と日銀が足並みをそろえた成長戦略を打ち出さないことには、日本経済の展望も開けない。
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[毎日新聞] 社説:日航再建 公的資金の重さ認識を (2009年10月31日)

日本航空の再建が、国の管理下で進められることになった。前原誠司国土交通相が任命したJAL再生タスクフォースが、企業再生支援機構の活用が必要との報告書をまとめ、これを受ける形で日航は機構に支援を要請した。

タスクフォースのメンバーは、再建策を取りまとめ、それを実行するため日航の経営に参画することも想定していた。しかし、日航にたまった積年の負の遺産を解消に向かって導くのは大変な作業だ。法的な裏付けを持たず、資金拠出などの権限もないタスクフォースにとっては、荷が重すぎた課題だったようだ。

経営再建の道筋が不透明だとして銀行団と折り合えず、債務削減について合意を得ることができなかった。公的資金の投入については、国民の理解が必要だが、その前提ともいえる企業年金の給付引き下げについても、具体的な方策を示すことができなかった。

タスクフォースの報告書は公表されないままお蔵入りとなった。そして、日航の再建は、自公政権時代に仕組みがつくられ、業務を開始したばかりの企業再生支援機構にゆだねられた。

政治主導とはいうものの、意気込みだけでは、どうにも歯が立たなかったということだろう。

企業再生支援機構は、経営不振に陥った企業の再生に取り組むためつくられた官民出資のファンドで、支援機構は改めて日航の資産査定を行い、銀行などの債権者との調整を経て支援策を策定する。

総額1兆6000億円の公的資金枠を持ち、それを使って出資や融資、銀行からの債権の買い取りなどを行い、3年以内の再生をめざす。

ただし、日航の資金繰りは厳しい状況が続いている。機構による支援決定までに時間が必要で、つなぎ資金を確保するため政府は特別措置をとらざるを得ないという状況だ。

日航が自立した企業として再生することが必要であることは、言うまでもない。そのためには、会社更生法や民事再生法などを適用して法的整理を行うという選択もあったはずだ。しかし、政府は、私企業である日航の再建に、国民の負担に結びつく公的資金の活用という道を選んだ。政府の責任は重い。

赤字路線からの撤退や人員削減も必要だろうし、企業年金の給付水準の引き下げについては、強制的な減額を視野に入れた特別立法なども検討されるという。

これまで手がつけられなかった分野についても、きちんとした対応をし、困れば国の支援に頼るという日航の経営体質を、抜本的に改革してもらいたい。
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[毎日新聞] 社説:「仕分け人」混乱 政権の看板事業が泣く (2009年10月31日)

これでは、政権の看板の先行きが危ぶまれる。政府の行政刷新会議が行う「事業仕分け」チームへの新人議員の起用をめぐり政府と民主党の小沢一郎幹事長ら党側の調整が混乱し、陣容が大幅に縮小された。

首相官邸、党側の意思疎通にまずさがあったとはいえ、政府が進めた人選が党側の意向でここまで覆るのは、異常である。鳩山由紀夫首相を長とする政府と、党を仕切る小沢氏の二重権力化という政権の不安要因が表面化した形だ。収拾に動かなかった首相の指導力に、疑問を抱かざるを得ない。

行政のムダ一掃に向け発足した刷新会議の目玉が「事業仕分け」だ。各省が予算計上を求める事業の必要性を国会議員、専門家らが公開の場で逐一、吟味するものだ。仙谷由人行政刷新担当相は衆院の新人議員のうち14人を選び準備に乗り出したが党を仕切る小沢氏が難色を示したとの情報が伝わり、作業は中断した。

結局、国会議員からは新人を除く7議員の参加にとどめることとし、チームは縮小された。来年度予算編成を控え貴重な日数を費やし、陣容の立て直しにも労力を割かざるを得ない。そのあおりで仕分けの対象とする事業も絞り込まざるを得ないとすれば、失態である。

無視できないのは政府は首相、党務は小沢氏と意識的に徹底していた政権の分業体制のほころびを露呈したことだ。

新人に「仕分け」をさせる是非はいちがいに決めつけられない部分がある。新人とはいえ有権者から選ばれた国会議員は中堅、ベテランと同様の仕事を任せるべきだ、というのが筋論だ。一方で小沢氏は「分厚い資料(予算書)を見なければならない」と新人による作業に疑問を投げかけたという。経験の浅い新人を活用しても結局は会議事務局を仕切る官僚らに誘導され、見せかけの政治主導となる懸念は否定できない。

だからこそ、政府と党は意思疎通に万全を期すべきだった。「必殺事業仕分け人」と持ち上げながら、調整に動かなかった首相の対応は問題だ。党側も、人物本位で新人起用を認める柔軟さが必要だった。かたくなな対応では「小沢チルドレン」の囲いこみ優先、との指摘を免れまい。

出足でつまずいた刷新会議だが、早急に仕分けチームを立て直し、作業を進めねばならない。議員メンバーは絞られたが、結果を示せるかは必ずしも人数の問題であるまい。

それ以上に、刷新会議の議長である首相が、作業断行の決意を示すことが重要だ。人選ひとつで小沢氏の意向をうかがっているようでは、ムダ削減に抵抗する勢力からも足元をみられるばかりである。
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[産経新聞] 【主張】読書週間 秋の夜長に感じ考えたい (2009.10.31)

秋の澄んだ空気が、「明窓浄机(めいそうじょうき)」という言葉を思い起こさせ、読書に好適の季節が到来したことを告げる。いま、読書週間の最中である。

先ごろ発表された平成20年度の「国語に関する世論調査」(文化庁実施)報告書によれば、1カ月に何冊本を読むかとの問いに、「読まない」と答えた人が46・1%にも上った。14年度調査に比べて約9ポイントも増えており、国民の「読書離れ」が急速に進んでいることがうかがえる。

国会は平成17年に「文字・活字文化振興法」を制定し、読書週間スタートの日の毎年10月27日を「文字・活字文化の日」と定めた。また昨年には、平成22年を「国民読書年」とする決議も採択している。国民が新聞などの活字にもっと親しみ、読書への意欲を高められるよう、国を挙げての取り組みが行われているのだ。

最近は読書離れもさることながら、読書の形態も著しく変化している。若者世代を中心にした「ケータイ小説」の流行などはその典型例で、携帯電話で“本を読む”というスタイルは、「読書」のイメージを一変させた。

ケータイ小説の文章については一概には論じられないとしても、豊かで伝統的な国語とはかけ離れた粗雑なものが目につく。携帯電話ゆえの制約からだろうか。

「文字・活字文化振興法」にも「国語が日本文化の基盤である」と明示されている通り、読書の意義については何より、文化を育てていくような美しい国語との出合いが強調されるべきである。

とくに子供には、そんな意義を見失わない読書習慣を身につけさせたい。例えば「卓袱(ちゃぶ)台」や「手塩にかける」といった、日本の文化や習俗に根ざしながらも今では消えつつある言葉や慣用句に数多く触れさせることも重要だ。

未知の言葉に出合った子供はそこで活字を追う目を止め、さまざまに想像し、考え、感じるだろう。感性や読解力というものは、そうした経験の積み重ねによって磨かれるものに違いない。

建築家の安藤忠雄さんはかつて、講演のなかで「今の子供は知識を詰める時間はあっても、自分で考える時間がない」と指摘した。「知る」読書ももちろん重要だろうが、心がけたいのはやはり「考え、感じる」読書である。時間がゆっくり流れる秋の夜長は、そんな読書にぴったりだ。
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[朝日新聞] 貸し渋り対策―金融のゆがみ正す契機に (2009年10月31日)

中小企業が抱える借金の返済猶予につながる新たな支援策を、鳩山政権がまとめた。臨時国会で「中小企業金融円滑化法案」の成立を図る。

発端は亀井静香金融相の発言だった。それが、借金の返済を政府が強制的に猶予させる「モラトリアム」を意図したかのように受け取られ、論議を呼んだ問題の結末である。

仕上がりを見れば納得がいく、という人は多いのではあるまいか。

法案は、借り手企業が元本の返済繰り延べといった融資条件の変更を金融機関に申し入れれば、金融機関は誠実に対応するよう努める義務がある、としている。

金融機関が返済猶予などに応じやすくなるよう、新たな信用保証制度を作るほか、返済を猶予したことが「不良債権の増加」とみなされないよう金融庁の検査基準を変える。

融資条件を緩めることを通じて中小零細企業の資金繰りを支援し、経営の再建を経済全体の再生につなげようという狙いだ。

ただ、これで金融機関の審査が甘くなったり、いずれ信用保証の代位弁済が増えたりすれば、国民負担につながりかねない。

そうした弊害を避けるには、各金融機関が借り手企業とよく話し合って、経営実態をきちんと把握する必要があるのではないか。

金融機関がそうした姿勢で臨むなら、長年にわたる日本の金融の「ゆがみ」を正すきっかけにもなる。

日本の金融機関は90年代、不良債権を減らすため自己資本比率規制と金融検査基準を守ることにきゅうきゅうとして、融資先の財務諸表ばかりを重く見て融資するようになった。

優良企業には各金融機関から借り切れないほどの融資話が殺到し、不振に苦しむ企業からは潮が引くように金融機関が遠ざかる。

景気の良い時はそれでもまだよかった。だが、いったん不況になると、大企業には貸す一方、中小零細企業は「業績が悪い」との理由で敬遠する傾向が一段と強まった。

日銀がいくら金融を緩和しても、生産が縮小して金詰まりになっている中小企業になかなか恩恵が及ばないのはこのためだ。

不良債権を処理する過程で日本の金融は、借り手の人となりや企業の将来性といった数値に表れにくい経営実態を加味し「相手を信用してカネを貸す」という金融の大切な部分を衰弱させてしまったといえる。

新法を契機とした融資条件見直しの過程で、このような体質を改める新たな取り組みが生まれるよう、関係者は大いに努力すべきだ。

そうしてこそ、今回の騒動を実りのあるものにできるだろう。
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[朝日新聞] 新型用ワクチン―子どもにこそ必要では (2009年10月31日)

新型の豚インフルエンザの流行が、大都市圏を中心に勢いを増している。

とりわけ気がかりなのは、重症になって入院する患者が、もっぱら子どもたちに集中していることだ。9歳以下が全体の6割を占め、14歳以下だと8割にのぼる。

ぜんそくなどの持病がある人が重症になりやすいとされてきたが、これまでのところ入院患者の多くは健康な子どもたちだ。早めに手当てを受けたにもかかわらず、症状が急速に悪化して脳症などで亡くなることもある。

今はまず、子どもたちの命を守るために万全を期していかねばならない。

医療従事者以外へのワクチン接種が昨日から一部の地方で始まった。だが、厚生労働省が決めた順番では妊婦や持病のある人たちが優先で、病気を持たない子どもたちへの接種は12月上旬以降となっている。

ワクチンには、感染を予防したり重症化を防いだりする効果が期待される。子どもたちへのワクチン接種をもっと早めるべきではないか。日本小児科学会や日本ウイルス学会などの専門家から、そんな指摘が出ている。

東京都は今週、独自の判断で、就学前の幼児への接種を11月半ばに前倒しすることを決めた。持病のない幼児が脳症で相次いで亡くなり、危機感を強めていることが背景にある。医療従事者への接種が従来の2回から1回に変更されたため、その分を幼児に回す。

ほかの自治体にも、同じような不安が広がっていることだろう。

ワクチン接種の優先順位は、欧米や南半球などの状況を参考にして決められた。ところが、日本の状況はこれまでのところ、患者や死者の数が少ないことも含めて欧米とはかなり違う。

学校から始まった流行が社会に広がり、持病がある人たちの命を脅かすと考えられてきたが、その重症例は幸いにして少ない。

厚労省は早急に実態を把握し、ワクチンをどう使うか再検討すべきだ。新型インフルの本格的な流行は初めての経験である。科学的な根拠に基づいて柔軟に計画を見直す、臨機応変の対策が必要な場合もある。

麻生前政権下では、厚労相直属のチームも含め、専門家による委員会がいくつもあって混乱を招いた。

政治主導を掲げる鳩山政権はまず、専門家の意見をきちんと聞き、それを政策につなげる態勢を整えることに政治力を発揮してほしい。国民への正確で明瞭な情報提供も重要だ。

日本小児科学会は厚労省に対し、地域での医療機関の連携に指導力を発揮することや、できるだけ昼間の受診を呼びかけることも合わせて要望した。

昼夜の別なく奮闘している小児科医のために、子どもたちの命を救うために、できる限りの支援をすべきだ。
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[読売新聞] 国連核廃絶決議 国際的な機運を有効に生かせ(10月31日付・読売社説) (2009年10月31日)

「核兵器のない世界」を目指し、核軍縮と核拡散防止で実効ある取り組みを進めていく重要な契機とすべきだ。

日本などが共同提案した国連総会決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」が、軍縮問題を扱う第1委員会で、賛成多数で採択された。12月には国連総会で採択される。

決議案は、唯一の被爆国として核廃絶を目指す日本が1994年に初めて提案し、毎年採択されてきたものだ。今年初めて、米国が共同提案国に加わった。

核廃絶を究極の目標と公言するオバマ米大統領の登場で、核軍縮と核拡散防止をとりまく環境は大きく変わっている。

オバマ大統領は4月、チェコのプラハで、核兵器を実際に使用した唯一の国として「行動する道義的責任」に言及した。

新たな米露核軍縮交渉の開始、「核なき世界」実現に向けた初の国連安全保障理事会首脳級会合、そして今回の核廃絶国連決議の共同提案は、その具体化だろう。

核兵器保有国が共同提案国になったのは過去に1度、96年の英仏両国の例があるのみだ。

米国の場合、ブッシュ前政権の8年間、反対票を投じ続けた。北朝鮮と同じ反対陣営に連なる光景は、米国のイメージを損ねた。

今回、米国が百八十度の転換をしたことによって、決議は、より重みを増したと言える。

来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、有識者会合が核廃絶への提言をまとめる動きも活発化している。

こうした国際的な機運の高まりをどう生かすか。

前途は楽観できない。再度の核実験と弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮、核開発やミサイル開発を続けるイランなど、NPT体制を揺るがす危険な挑発行為は依然として続いているからだ。

決議案は、国際社会が取るべき具体策を列挙している。

核兵器保有国による一層の核削減、核実験全面禁止条約(CTBT)の早期発効、プルトニウムや高濃縮ウランなど核兵器用核分裂性物質の生産を禁じる「カットオフ条約」の即時交渉入りなど、核軍縮に不可欠な事項ばかりだ。

かけ声の繰り返しに終わってはならない。今度こそ成果をあげる必要がある。

核査察を担当する国際原子力機関(IAEA)の事務局長に、天野之弥大使を送り込む日本としては、核拡散防止で積極的な役割を果たしていくべきだ。
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[読売新聞] 国連核廃絶決議 国際的な機運を有効に生かせ(10月31日付・読売社説) (2009年10月31日)

「核兵器のない世界」を目指し、核軍縮と核拡散防止で実効ある取り組みを進めていく重要な契機とすべきだ。

日本などが共同提案した国連総会決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」が、軍縮問題を扱う第1委員会で、賛成多数で採択された。12月には国連総会で採択される。

決議案は、唯一の被爆国として核廃絶を目指す日本が1994年に初めて提案し、毎年採択されてきたものだ。今年初めて、米国が共同提案国に加わった。

核廃絶を究極の目標と公言するオバマ米大統領の登場で、核軍縮と核拡散防止をとりまく環境は大きく変わっている。

オバマ大統領は4月、チェコのプラハで、核兵器を実際に使用した唯一の国として「行動する道義的責任」に言及した。

新たな米露核軍縮交渉の開始、「核なき世界」実現に向けた初の国連安全保障理事会首脳級会合、そして今回の核廃絶国連決議の共同提案は、その具体化だろう。

核兵器保有国が共同提案国になったのは過去に1度、96年の英仏両国の例があるのみだ。

米国の場合、ブッシュ前政権の8年間、反対票を投じ続けた。北朝鮮と同じ反対陣営に連なる光景は、米国のイメージを損ねた。

今回、米国が百八十度の転換をしたことによって、決議は、より重みを増したと言える。

来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、有識者会合が核廃絶への提言をまとめる動きも活発化している。

こうした国際的な機運の高まりをどう生かすか。

前途は楽観できない。再度の核実験と弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮、核開発やミサイル開発を続けるイランなど、NPT体制を揺るがす危険な挑発行為は依然として続いているからだ。

決議案は、国際社会が取るべき具体策を列挙している。

核兵器保有国による一層の核削減、核実験全面禁止条約(CTBT)の早期発効、プルトニウムや高濃縮ウランなど核兵器用核分裂性物質の生産を禁じる「カットオフ条約」の即時交渉入りなど、核軍縮に不可欠な事項ばかりだ。

かけ声の繰り返しに終わってはならない。今度こそ成果をあげる必要がある。

核査察を担当する国際原子力機関(IAEA)の事務局長に、天野之弥大使を送り込む日本としては、核拡散防止で積極的な役割を果たしていくべきだ。
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[読売新聞] 日銀決定会合 金融緩和の出口戦略は尚早だ(10月31日付・読売社説) (2009年10月31日)

物価が下がるデフレが長期化すると予想しながら、なぜ金融緩和を後退させるような決定をしたのだろうか。

日銀は30日の金融政策決定会合で、政策金利を年0・1%とする事実上のゼロ金利政策を続ける一方、企業金融の支援策を打ち切る方針を決めた。昨年来の危機対応策で初の解除となる。

雇用不安は強く、景気回復の足取りは重い。中小企業の資金繰りも厳しい。金融の安全網を外すのは時期尚早であろう。

日銀は昨秋のリーマン・ショックの後、2回の利下げに加え、日銀による社債の買い取りや、超低利の政策金利で金融機関に貸し出す「特別オペ」で、企業金融を支えてきた。

決定会合は、金融市場の機能回復で社債の発行環境が改善したとして、買い取りを期限の今年末で打ち切ることにした。特別オペも期限を来年3月末に延長したうえで終えるという。

確かに社債の買い取りは利用が減り、役割を終えた感もある。しかし、特別オペの方は、残高が約7兆円と多く、まだ十分に活用されている。

企業金融の支援にとどまらず、「低利で日銀から借りられる」という安心感が、市場金利全体を低位に安定させた緩和効果も大きい。打ち切りは撤回すべきだ。

心配なのは、デフレ症状の悪化である。30日発表の消費者物価指数は、9月まで3か月連続で2%台のマイナスを記録した。

日銀も同日、経済や物価の先行きを示す「展望リポート」で、今年度から3年度連続で消費者物価が下落すると予想した。デフレが長期化するとの診断で、金融緩和を維持・拡大すべき状況だと、日銀自身が認めた形だ。

ところが、決定会合が出した治療方針は、特別オペの打ち切りなど緩和に逆行する内容だった。事実上のゼロ金利策を終える「出口戦略」を意識し始めたと見られても仕方あるまい。

日銀は「きわめて緩和的な金融環境を維持していく」というが、期間は「当面」とあいまいだ。デフレ払拭(ふっしょく)まで緩和を続けると表明し、市場を安心させるべきだ。

子ども手当など民主党政権の大盤振る舞いで国債が大増発されるとの観測が強まり、長期金利がじりじり上昇している。

住宅ローン金利の上昇や円高など、景気に悪影響を与える金利高の防止に向け、金融政策の責任は重い。日銀は政府との政策連携を、一段と密にせねばならない。
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[読売新聞] 日銀決定会合 金融緩和の出口戦略は尚早だ(10月31日付・読売社説) (2009年10月31日)

物価が下がるデフレが長期化すると予想しながら、なぜ金融緩和を後退させるような決定をしたのだろうか。

日銀は30日の金融政策決定会合で、政策金利を年0・1%とする事実上のゼロ金利政策を続ける一方、企業金融の支援策を打ち切る方針を決めた。昨年来の危機対応策で初の解除となる。

雇用不安は強く、景気回復の足取りは重い。中小企業の資金繰りも厳しい。金融の安全網を外すのは時期尚早であろう。

日銀は昨秋のリーマン・ショックの後、2回の利下げに加え、日銀による社債の買い取りや、超低利の政策金利で金融機関に貸し出す「特別オペ」で、企業金融を支えてきた。

決定会合は、金融市場の機能回復で社債の発行環境が改善したとして、買い取りを期限の今年末で打ち切ることにした。特別オペも期限を来年3月末に延長したうえで終えるという。

確かに社債の買い取りは利用が減り、役割を終えた感もある。しかし、特別オペの方は、残高が約7兆円と多く、まだ十分に活用されている。

企業金融の支援にとどまらず、「低利で日銀から借りられる」という安心感が、市場金利全体を低位に安定させた緩和効果も大きい。打ち切りは撤回すべきだ。

心配なのは、デフレ症状の悪化である。30日発表の消費者物価指数は、9月まで3か月連続で2%台のマイナスを記録した。

日銀も同日、経済や物価の先行きを示す「展望リポート」で、今年度から3年度連続で消費者物価が下落すると予想した。デフレが長期化するとの診断で、金融緩和を維持・拡大すべき状況だと、日銀自身が認めた形だ。

ところが、決定会合が出した治療方針は、特別オペの打ち切りなど緩和に逆行する内容だった。事実上のゼロ金利策を終える「出口戦略」を意識し始めたと見られても仕方あるまい。

日銀は「きわめて緩和的な金融環境を維持していく」というが、期間は「当面」とあいまいだ。デフレ払拭(ふっしょく)まで緩和を続けると表明し、市場を安心させるべきだ。

子ども手当など民主党政権の大盤振る舞いで国債が大増発されるとの観測が強まり、長期金利がじりじり上昇している。

住宅ローン金利の上昇や円高など、景気に悪影響を与える金利高の防止に向け、金融政策の責任は重い。日銀は政府との政策連携を、一段と密にせねばならない。
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[産経新聞] 【主張】日航再建 民事再生法なぜ活用せぬ (2009.10.31)

経営が悪化した日本航空は政府管理下で再建をめざすことになった。官民出資の企業再生支援機構を使って債務を整理した上、公的資金で日航に出資や融資を行う方向で検討に入った。

しかし、「一私企業である日航を、なぜ公的資金を使ってまで支援するのか」という国民にとって最大の疑問は解けない。前原誠司国土交通相は「このままでは飛行機が飛ばなくなる」と説明するが、説得力は弱い。

米国ではデルタ航空やユナイテッド航空など大手航空会社が経営破綻(はたん)し、連邦破産法11条にのっとって債務を整理し再生している。期間中、各社は政府に頼ることなく営業を継続し、運航に支障はでなかった。日本にもそれと同等の民事再生法がある。なぜそれを活用できないのか。

政府支援を受ける日航と同じケースでは、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)がある。GMは債権者や労組、年金受給者らの利害関係者との調整を事前に行った上、11条を活用し再生した。

企業再生支援機構を使っても、公的資金の思惑が絡んで利害関係者間の調整がうまくいくとは限らない。日航はすでに債務超過とされている以上、民事再生法を活用する方が管財人の下で迅速に再建手続きに移行できる。法的整理を排除する理由はないはずだ。

時間を空費している間に、資産劣化と資金繰りの悪化が進む。前原国交相は9月に就任後、大臣直属の専門家チームを組織し、再建策作りを委ねた。チームは1カ月にわたって利害関係者間の調整を進めてきたが、まとまらなかった。前原国交相が「法的整理を選ばない」と早々と言明したため、破綻しないと高をくくった債権者らは、債権カット案などに首を縦に振らなかったからだ。

結局、専門家チームは資産査定の中身や人員、路線削減などのリストラに関する報告書も公表しないまま解散した。国交相は「再生支援機構が改めて資産査定する」との理由を挙げるが、何のためのチームだったのか。公的資金の活用を柱に据える以上、国民に対してきちんと公表すべきだ。

日航自身の問題も大きい。「親方日の丸」意識が抜けないまま経営再建を先送りしてきたあげくの経営危機である。批判を浴びている高額の企業年金など、高コスト体質を自ら改めない限り、再建は危ういと認識すべきだ。
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2009年10月30日

[東京新聞] 『くらま』衝突 難所の安全 再点検を (2009年10月30日)

護衛艦「くらま」と韓国籍コンテナ船の衝突は、海の難所・関門海峡で起きた。狭い航路の中で船はどう誘導されたのか。事故原因の究明とともに、国内の数ある難所での安全対策を再点検したい。

関門海峡は狭い海域が二十七キロも続く。潮の流れも速いことで知られる、国内有数の海の難所だ。事故が起こった「早鞆(はやとも)の瀬戸」は、航行可能な航路幅はわずか五百メートルにすぎない。

ここでは港則法という船舶の法律に基づいて、右側通行が義務づけられている。コンテナ船がこの狭い海域で、前を行く貨物船を追い越す時に事故は起きた。

海上保安本部の海上交通センターと貨物船やコンテナ船との無線交信は、衝突の四分前から始まり、管制官が左側から追い越すよう誘導していたもようだ。二分前には「くらま」の接近をコンテナ船に伝え、注意を促したものの、間に合わなかった。

門司海上保安部などが関係者らから事情聴取しているが、まずはどういう経緯で事故が起こったか、速やかに詳細な事実関係を把握し、事故原因の解明に尽くしてほしい。管制官の誘導が適切であったか、コンテナ船の操船に問題はなかったか、細かなチェックが求められる。「後進いっぱいをかけた」という「くらま」側の衝突回避の行動にも調査が必要だ。

とくに、追い越す海域として適当だったかは疑問だ。しかも、護衛艦が対向航行している時だ。「くらま」に異常接近を伝えたのは衝突の数十秒前というだけに、管制の在り方が問われそうだ。

だが、航空管制と異なり、港則法では航路に入る船の順番や時間などの指示には、船舶側が従う義務があるが、操船は船長の判断に委ねられている。潮の流れやレーダーに映らない小船については、同センターでは把握できないためだという。

しかし、関門海峡では漁船など小船を除いても一日約六百隻もの船が往来し、二〇〇八年には三十五隻の衝突事故が起きている。管制態勢に不備はないか。狭い海域での追い越しなどで新たな航行ルールは必要ないか…。さまざまな安全面の問題をはらんでいるのは、間違いなかろう。

東京湾や伊勢湾など、大型船舶や日本の海に疎い外国船が行き交う海域では、どんな大規模な事故が起きるか分からない。海の難所の多い島国だけに、安全対策を見直す契機とすべきだ。
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[東京新聞] JAL救済 年金減額は最低条件だ (2009年10月30日)

政府主導による日本航空(JAL)救済が決まった。高額な企業年金の是正を条件に公的資金による資本増強などが柱だ。経営者・社員はこれが最後の再建チャンスと覚悟すべきである。

映画や小説で日航は何度も取り上げられてきた。ナショナル・フラッグ・キャリア(国を代表する航空会社)として海外に飛躍した輝かしい歴史と世界最悪の航空機事故。高いブランド力の裏で繰り広げられる社内抗争。現在は倒産の瀬戸際だ。

政府は官民共同出資の公的機関「企業再生支援機構」を活用して日航を再建することを決めた。機構は独自に日航の資産を査定して支援の可否を決める。日航は機構を通じた公的資金による資本増強などを行う。また政府は関係閣僚による対策本部も設置する。

救済策は国土交通相の専門家チーム「JAL再生タスクフォース」の再建計画を反映したものだ。

公的支援が動きだすまで年内に千八百億円のつなぎ融資と来年三月までに三千億円の資本増強が必要となる。そこで政府保証が付いた日本政策投資銀行の危機対応融資のほか、民間銀行団には二千五百億円程度の債権放棄と債務の株式化を要請することになった。

リストラ策としてグループ社員約四万八千人を一万三千人程度削減する。また国際線と国内線計四十五路線を廃止する。企業規模を縮小して筋肉質の企業づくりを目指す−との方向は妥当なものだ。

日航に対する公的支援はやむを得ないだろう。

だが最低条件は企業年金の減額だ。現在の給付利率は4・5%と高く毎月数十万円受給している退職者もいるという。公的資金が年金に充てられては国民の理解は得られない。政府は特別立法も検討する構えだが、当事者間で早期に解決することを求めたい。

再建には何よりもスピードが重要だ。日航経営陣は銀行や取引先、株主などの協力と支援を一刻も早く取り付けるべきだ。安全運航の徹底とともに市場での信頼感を高めなければ利用客は戻らない。

社員は会社が危機的状況にあることをもう一度確認すべきだ。極端な労使対立は許されない。救済策が行き詰まれば法的整理に追い込まれよう。

政府は再建のための環境整備を急ぐ。割高な着陸料や空港使用料を引き下げるなど、航空会社と空港の国際競争力を高める政策が重要だ。航空自由化対策をしっかりと推進してもらいたい。
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[読売新聞] 日航再建 今度こそ甘えは許されない(10月30日付・読売社説) (2009年10月30日)

両翼を国に支えられ、何とか再建に向けた離陸の準備に入った。だが、航路の前方は厚い雲に覆われている――。日本航空の現状を旅客機に例えれば、こんな状況だろう。

経営難に陥っている日本航空が29日、「企業再生支援機構」に支援を要請した。日航の再建は今後、国と銀行が設立した公的機関の下で進むことになる。

この事態を受け、政府は国土交通省を中心とした関係府省による対策本部を設け、公的資金の投入などで再建を全面支援する。

そのために、特別立法の制定も検討するという。国がここまで民間企業の再建に関与するのは異例のことだ。それだけ、日航の経営が危機的だということである。

日本の航空輸送の6割を担う日航が経営破綻(はたん)すれば、国民生活や経済活動にも大きな影響が出る。公的資金を含めた国の支援はやむを得ないだろう。

だが、日航はこれまで何回も国の支援を受けながら、親方日の丸的な甘い体質から脱却できなかった。二度とこうした事態を招かないよう、抜本的な経営改革に取り組まなければならない。

企業再生支援機構は、ダイエーなどの再建を手がけた産業再生機構を参考に設立され、今月半ばから業務を始めた。支援対象企業の株や債権を買い取り、不採算事業の整理などを進める。

日航の再建策作りに取り組んできた国交省の特命チームは、7000億円を超す金融支援と、抜本的なリストラを進めることで、再建は可能と判断している。

このため日航は今後、9000人の人員削減や、内外45路線の廃止・減便、ホテルを運営する子会社の売却などを進める方針だ。

3300億円の積み立て不足がある企業年金の削減も、再建に向けた大きな課題となる。

日航に公的資金が投入されれば、その一部は年金支給の原資にも回る。これでは、国民はとても納得しないだろう。政府は強制的に年金を削減する措置も検討しているが、それを待たず、労働組合やOBは削減に応じるべきだ。

日航には、八つの労組がある。複雑な労使関係が経営改革の足かせになっているのは明らかだ。この際、労組の整理・統合に踏み切る必要がある。現経営陣の刷新も避けられまい。

機構は日航の財務状況を改めて精査する方針で、最終的に再建計画が固まるのはまだ先になる。日航は、この間の安全運航に万全を期してほしい。
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[日経新聞] 社説2 逆向きに走り出す日本郵政(10/30)

郵政改革の方向を大幅に変更する政府方針の下、日本郵政の経営陣も入れ替わった。官から民へ、資金の流れの転換を目指した小泉内閣の民営化とは逆向きに走り始めるとみられる。憂うべき事態である。

日本郵政は28日に開いた株主総会で、唯一の株主である政府の提案により、役員を選任した。辞任した西川善文社長の後任に元大蔵事務次官の斎藤次郎氏を充て、役員も大幅に入れ替えた。常勤取締役5人のうち官僚OBが3人を占める。

日本郵政は定款で指名委員会が役員を指名すると決めているが、1人を除く指名委員の辞任が決まっていたのを理由に指名委員会を開かず、政府のいわば“政治任用”による役員人事となった。この一事をみても日本郵政はもはや民営化した会社の体をなしていない。

一方、政府は郵政民営化推進室を廃止して郵政改革推進室を設立。室長には小泉内閣時代、民営化に非協力的として更迭された総務省の元局長が就いた。

先週、政府が閣議決定した「郵政改革の基本方針」は、日本郵政の下に貯金、保険、郵便事業、郵便局の4社を置く体制を見直して再編成する。ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険には銀行法、保険業法とは別の規制をかける。この決定に基づき日本郵政グループの株式売却を凍結する法案を今国会に提出する。

民営化でサービスが低下したという声や、旧特定郵便局長らの民営化への反対を受けて政府は方針を変えた。サービス改善は体制を変えなくてもできたはずだが、基本方針や役員人事をみると、政府は郵政事業を事実上、旧日本郵政公社またはそれ以前の姿に戻す方針と読める。

郵貯・簡保資金は長年、国債、地方債の購入や特殊法人への投融資などに非効率に使われた。その時代に戻る可能性を否定できない。

斎藤新社長は郵貯・簡保資金を地域・中小企業金融に活用する考えを表明した。しかし民営化を後退させる流れのなかでは、公益の名のもとに、きちんとした審査もせず中小企業や地方自治体関連の企業体などに資金を貸す恐れもあろう。郵政改革をめぐる政府の新方針はこれらを含め様々な危険をはらんでいる。
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[日経新聞] 社説1 日航再建は経営と航空政策の両面から(10/30)

日本航空(JAL)の再建問題が新局面を迎えた。前原誠司国土交通相は29日、JAL再建に政府の企業再生支援機構を活用する方針を表明した。

政府は再建をなめらかに進めるために特別立法も検討しているが、一民間企業の再生を公的に支援するのは異例の事態である。納税者が納得できる再建方針や支援の根拠を示す必要がある。

JAL再生には3つ重要な点がある。第一に、過去にも何度か公的支援を受けてきたJALに経営改革を促し、「親方日の丸体質」を改めることだ。

いくら金融支援をしても、JALの体質が変わらなければ、抜本的な再生にはつながらない。いずれ問題はぶり返すだろう。

英ブリティッシュ・エアウェイズがアイルランドの航空会社から経営トップを登用したように、しがらみのない人材の起用で企業体質を抜本的に変える必要がある。官僚OBを送り込む案も一部にあるが、政府依存を強める最悪の選択だ。

第二に、関係者が痛みを分かちあう公平な再建案が要る。公的資金でJALの資本を増強するのなら、一企業の再建への税金投入となる。その前提として、社員や株主、債権者を含めたJALの関係者が相応の痛みを引き受けるのは当然だろう。

負債の削減などを強力に進めるために、再建型の倒産法制を適用する可能性も除外すべきではない。旧産業再生機構でも、法的整理と機構の支援を併せて企業を再建した事例はある。

焦点となっている年金についても、旧再生機構傘下で再建したカネボウのように、年金の積立金を払い戻したうえで解散する道もある。一時的にかなりの現金が必要になるが、負の遺産を将来に引きずらないための一つの方策だろう。

第三に、航空行政の見直しも欠かせない。日本の航空会社は着陸料や航空燃油税など国際的にみて割高な公的負担を課され、政府はそれらを原資に利用客の少ない地方空港を整備してきた。

いったん空港ができれば、採算度外視で路線開設を求める圧力がJALなどにかかり、経営基盤はさらに弱まる。この悪循環を断ち切るのは、政治の役割である。

JAL再建に残された時間は多くない。羽田、成田の両空港の発着枠の拡大で、今後空の競争は一段と激しくなるだろう。小手先の延命策を繰り返すのであれば、自民党政権時代の対応と変わりない。
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[毎日新聞] 社説:郵政新体制 肥大化へ逆戻りせぬか (2009年10月30日)

日本郵政の新体制が発足した。しかし、「新」という形容がふさわしいとはどうにも思えない。選出された経営陣の顔ぶれをみると、官への回帰が鮮明だからだ。

西川善文社長の後任に就いたのは元大蔵次官の斎藤次郎氏で、さらに4人の副社長の中には坂篤郎前内閣官房副長官補と足立盛二郎元郵政事業庁長官が含まれている。5人の社長・副社長のうち過半の3人を官僚OBが占める。

脱官僚が鳩山政権が掲げているスローガンだ。そのため天下りの禁止も唱えている。ところが今回の日本郵政の人事は、天下りを繰り返す、わたりではないか。

鳩山由紀夫首相は、日本郵政の人事について、亀井静香金融・郵政担当相に一任したという。しかし、看板に偽りありということになると、鳩山政権への打撃となりかねない。

民主党としての考えをきちんと示すべきで、少なくとも亀井氏に振り回されているという印象を取り除くようにしないと、国民の信を得ることはできないだろう。

斎藤新社長は、地域金融機関との連携、全国の郵便局ネットワークの活用などを打ち出し、4分社体制の見直しについても年内に方向を示すという。

郵便、郵貯、簡易保険について全国で一体となったサービスを展開するうえ、地域サービスの拠点として郵便局を位置づけるというわけだ。年金や介護など、いろんなアイデアが出ており、斎藤社長は積極的に取り組む姿勢を示している。

情報伝達の電子化が進む中でも郵便事業は継続していかなければならない。しかし、財政投融資の財源集めという役割を失った郵貯と簡保との一体運営では、いずれ支えきれなくなるということが、郵政改革の原点だった。

郵政3事業の一体運営に加え、郵便局をさまざまな公的サービスの拠点とする。これによって委託料などの形で公的な支援が行われれば、郵政3事業はこれまで通りやっていける。そんな思惑が、今回の官への回帰の背景にあるのではないか。

しかし、これはかつて模索された郵便局でのパスポートの発給など、郵政肥大化路線への逆戻りを意味する。

そうなると、民間金融機関との競合や巨額の資金の公的金融への滞留、さらに、効率性を担保し国民への負担を回避するといった問題が蒸し返されることになる。

こうした疑問に答えを出し、国民が納得できる形で将来の郵政の姿を示すことが果たしてできるのだろうか。新体制となった日本郵政がどのようなプランを出してくるのか、注視していきたい。
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