2017年11月18日

[産経新聞] 【主張】核のごみ説明会 李下に冠をただすなかれ (2017年11月18日)

原子力発電から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分に関する原子力発電環境整備機構(NUMO(ニューモ))の住民向け意見交換会で信頼性を傷つける事態が起きた。

NUMOと経済産業省は、全国で意見交換会を開催中だ。NUMOから開催の広報業務を孫請け受託した業者が、一部の大学生に1万円の謝礼を支払う約束で、出席するよう動員をかけていたのである。

対価を絡めた動員は、6日に開催された埼玉会場で発覚した。意見を述べた大学生の1人から「1万円もらえると聞いて参加した」との発言があった。

NUMOが業者に確認して、事実であることが分かった。業者は大学生に対し、会場での質問や発言内容などの指示を一切、出していなかったとしている。

そうであるにしても、広報活動への取り組みの認識が甘くはないか。世耕弘成経産相は業者委託の見直しなどを指示したが、経産省自身の意見交換会でもある。当事者意識をもって関わるべきだ。

「科学的特性マップに関する意見交換会」を正式名称とする説明会は、10月17日の東京から始まり、福島県を除く46都道府県庁所在地で順次開催の途上にある。

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日本では15年前から、ガラスで固めた4万本の高レベル放射性廃棄物を大深度の岩盤中に埋設する最終処分場の立地を受け入れてくれる市町村を探しているが、候補地が見つからない。経産省は膠着(こうちゃく)状態を打開するため、日本列島にも地質学的な埋設適地が広く分布することを示す地図を作成した。それが7月末に公表された科学的特性マップである。

マップ公表を機に、地下最終処分場の立地を社会全体でどのように実現していくのかを考える。上意下達ではなく、事業を担当するNUMO職員の顔が見える対話活動の形で、全国の人々と語り合うのが意見交換会の目的である。

高レベル放射性廃棄物の埋設事業は、終了までに100年を要するプロジェクトだ。若い世代の理解が欠かせないため、NUMOは大学生たちを重視したのだが、危うく道を踏み外しかけた。

これまでの苦労が水泡に帰しかねない危機であったことを肝に銘じ、再発防止に万全を尽くしてもらいたい。最終処分場の実現には原子力発電に伴う核のごみの後始末の将来がかかっている。
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[東京新聞] 首相所信表明 「国難」と叫ぶのなら (2017年11月18日)

物足りなさを感じた国民も多かったのではないか。安倍晋三首相の所信表明演説。北朝鮮情勢と少子高齢化を「国難」と声高に叫ぶのなら、国会の場でより詳しく、体系的に説明すべきであった。

野党が臨時国会の召集を要求してから五カ月近く。閣僚が今の顔触れとなった八月の内閣改造からすでに三カ月以上が過ぎている。衆院解散・総選挙を挟み、ようやく行われた首相演説である。

演説は約三千五百字。安倍首相の所信表明演説としては第一次内閣を含めて最も少ない分量だ。平成以降でも、小泉純一郎首相が二〇〇五年の「郵政解散」後の特別国会で行った三千二百十五字に次いで、二番目に少ない。

そもそも与党はこの特別国会を短い会期で終えようとしていた。野党の要求で結局三十九日間となったが、重要法案の提出は見送られ、提出法案の本数も限られる。二カ月後には通常国会が開かれ、そこで行う施政方針演説で説明をすればいい。短い演説には、そんな首相の気持ちが透けて見える。

首相は冒頭「緊迫する北朝鮮情勢、急速に進む少子高齢化。今、わが国は、まさに国難とも呼ぶべき課題に直面している」と述べ、衆院選で示された国民の負託に応える決意を強調してはいる。

しかし、北朝鮮情勢にしても少子高齢化にしても、現状をどう認識し、政権としてどう取り組むのかについて、詳しい説明がない。

鳴り物入りで行われたトランプ米大統領との会談については「日米同盟の揺るぎない絆を世界に示した」と語るだけで、どのような情勢認識の共有と対応策の検討があったのかは語らずじまいだ。

外交交渉はすべてを明かせないとしても国難と位置付ける以上、国民に可能な限り明らかにし、理解を得るのが筋ではないのか。

少子高齢化も同様だ。所信表明演説では「幼児教育の無償化を一気に進める」と語ったが、その内容は衆院選などで訴えた政策にとどまっている。

問題意識は共有するが、国民が聞きたいのは、踏み込んだ具体策と首相の決意ではないか。

これでは、国難と叫んで国民の危機意識を高めたのは、衆院選で支持を集めるための方便だったのか、と疑いたくもなる。

週明けから各党代表質問など本格的な国会論戦が始まる。首相は所信表明演説で語らなかった学校法人「加計」「森友」両学園の問題も含めて、謙虚な姿勢で、丁寧に語るべきだろう。
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[産経新聞] 【主張】所信表明演説 国難にどう対処するのか (2017年11月18日)

安倍晋三首相が衆院選後初の国会演説で、北朝鮮危機と少子高齢化を乗り越えていく決意を語った。与えられた「国民の信任」を原動力に、自ら争点に掲げた2つの国難の突破を冒頭で述べたのは妥当である。

ただし、どこまで肉付けされていたかといえば、極めて物足りない。選挙中の演説内容と、さほど変わらないではないか。

特別国会や来年の通常国会は、危機を実際に乗り越えるために必要な議論、立法を積み重ねるためにある。政策の深化、具体化へ大きく踏み込んでほしい。

首相は、衆院選で示された国民の意思について、安定的な政治基盤の下で「政策を、ひたすらに実行せよ」であると語った。

最たる課題は、北朝鮮危機である。日本は「戦後、最も厳しい」安全保障環境にある。核・ミサイルと拉致問題をいかに解決するかが問われている。

北朝鮮への圧力を一層、強化していく努力は、日米首脳会談や首相のアジア歴訪で示された。

問題は、北朝鮮に融和的な中国やロシアを翻意させ、強力な圧力をかける側に引き込めるかどうかだ。日中韓首脳会談の早期開催をうたうだけでは済まない。

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もし、外交努力が実を結ばなかったらどうなるか。万一の北朝鮮有事への備えも、もう先送りできない。

国民保護やテロ対策、在韓邦人の退避、難民対処など課題は多い。政府が国民に協力を求める点があるはずだ。事が始まってからでは遅いのである。

首相が「防衛力の強化」を約束したのは評価するが、その方向性が見えない。ミサイル防衛体制だけでは十分でなく、敵基地攻撃能力の整備も欠かせない。

少子高齢化の克服は、幼児教育や高等教育の無償化だけで乗り切れない。疑問に答えてほしい。首相は「経済社会システムの大改革に挑戦」すると語った。それには、人口激減に備え社会の仕組みを作り直す、全体的な構想をまず語る必要がある。

「与野党の枠を超えて、建設的な政策論議」を行う対象に、憲法改正も挙げた。だが、9条などの改正項目や実現時期には言及しなかった。

自衛隊は命がけで国を守っている。憲法への明記について、首相は正面から訴えるべきだ。
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[東京新聞] 砂川再審問題 歴史の闇を照らした (2017年11月18日)

駐留米軍をめぐる砂川事件で有罪判決を受けた元被告らによる再審と免訴の求めは東京高裁が認めなかった。最高裁の判決前に当時の同長官が米国側へ情報提供していた。この歴史の闇は忘れまい。

公平な裁判を受ける権利は、憲法で保障されている。元被告や遺族は「公平な裁判ではない」と知り、再審を求めていた。きっかけは二〇〇八年に機密指定を解かれた米公文書である。

砂川事件は一九五七年に起きた。東京都砂川町(現立川市)の米軍基地拡張に反対するデモ隊の一部が刑事特別法違反の罪で起訴された。東京地裁は五九年、駐留米軍は憲法九条に反するとして無罪判決を出した。

検察側は最高裁に跳躍上告し、最高裁は同年末に「安保条約は一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の対象外」と一審を破棄し、差し戻した。後に有罪が確定した。

米公文書では、一審判決後に当時のマッカーサー駐日米大使が藤山愛一郎外相と会談して違憲判決を懸念し、東京高裁への控訴ではなく、最高裁へ跳躍上告すべきだとの考えを伝えた。さらに同大使が当時の田中耕太郎最高裁長官と密談してもいた。

五九年にマッカーサー大使が米国務長官にあてた公電も明らかになった。田中長官が「(東京地裁の)伊達(秋雄)判事が判断を下したのは全く誤っていたと述べた」。しかも「下級審判決は覆されるだろうと思っている印象を受けた」と報告していたのだ。

これは司法の独立性を揺るがしている。単なる個人の感想を述べたでは済まない。裁判の見通しを伝えた田中長官は少なくとも合議から外れるべきだった。元被告らが「公平な裁判ではない」と受け止めたのも当然といえよう。

だが、不思議なことに今回の東京高裁の決定は、これらの田中長官の言動には一切触れないまま、再審の求めをあっさりと退けてしまった。あたかも闇に葬り去るような姿勢ではなかろうか。

ただ五九年の砂川判決は、全く無理筋であるにもかかわらず、現政権が集団的自衛権容認の根拠に使った判例でもある。これが基になり安全保障法制ができた。そして違憲訴訟も起きている。現代的な意味も持っているのである。

砂川事件の再審問題は、司法の歴史の闇を照らす意味を持つ。それゆえ最高裁には今後、ぜひ丁寧な回答を求めたい。
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[日経新聞] 開かれたアジアへ課題多い (2017年11月18日)

トランプ米大統領の初来日から東アジア首脳会議まで、アジアを舞台とした高いレベルの外交イベントがこのところ相次いだ。そのなかで、北朝鮮の核・ミサイル開発に対し地域の国々がほぼそろって厳しい姿勢を確認したのは、一定の成果だ。

ただ、もうひとつの焦点である南シナ海問題では、実効支配をめざす中国の動きに歯止めをかける機運が弱まった印象を受ける。日本は米国とともに「自由で開かれたインド太平洋」を訴えたが、…
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[毎日新聞] 膨らみ続ける所有者不明地 有効活用のための対策を (2017年11月18日)

所有者が分からない土地が、全国で急速に増えている。

増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる研究会が先月、推計を公表した。昨年段階で400万ヘクタールを超える所有者不明の土地が、2040年に約720万ヘクタールに達する可能性があるという。北海道の面積の約9割だ。

こうした土地が放置されることによる経済的損失は、17?40年で約6兆円に上ると研究会は見積もる。

所有者が亡くなった後、相続人が税負担を避けたり、土地管理の手間を嫌ったりして登記手続きをしないことが原因だ。古い登記が放置され、所有者の居場所が分からないケースも多い。都市部も例外ではない。

1990年代から指摘され始めたが、東日本大震災で顕在化した。高台移転事業の区域で、土地の権利関係が複雑で土地の取得が難航したのが一例だ。防災以外も公共事業に支障が出るケースは各地でみられる。

民間の開発にもマイナスだ。結果的に社会の活力がそがれてしまう。長期的に解決すべき社会的な課題と位置づけ、対策を急ぐべきだ。

都市への人口集中と過疎化の進行、利用価値が低い土地の相続に対する国民全般の無関心が背景にある。どうすればこうした土地の増加に歯止めをかけ、負の遺産になることを防げるのか。

柱の一つは登記手続きの促進だ。法務省が具体策を検討中だ。事務を担う市町村の意見も取り入れ、実効性のある案をまとめてもらいたい。

もう一つが土地の利用だ。国土交通省は所有者不明のまま長期間空き地になっている土地について、5年程度の利用権を設定し、農産物の直売所やイベント広場など公益性のある事業に活用できる制度創設を考えている。来年の通常国会に関連法案を提出する方向という。

財産権は憲法で保障された権利であり、慎重な対応が必要である。ただし、土地収用法に基づく収用など、現行でも公共の福祉のために財産権は一定の制約を受け得る。所有権を有する以上、所有者が適切に管理する責任を負うのも確かだ。一定の条件下で土地の利用ニーズに応えていく方向性は妥当だろう。

行政だけで解決できる問題ではない。民間も巻き込みながら、幅広い利活用の方策に知恵を絞りたい。
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[毎日新聞] 安倍首相が所信表明演説 この説明では物足りない (2017年11月18日)

この特別国会で質疑を行うことに消極的だった安倍晋三首相の姿勢がにじんだ所信表明演説だ。

衆院選の主要公約をコンパクトにまとめた演説の文字数は約3500字で、昨年秋の所信表明演説の半分にも満たない。目新しい政策もなく、第4次内閣となって最初の国会演説がこれでは物足りない。

首相は緊迫する北朝鮮情勢と急速に進む少子高齢化を「国難」とまで呼び、衆院解散の大義に掲げた。その選挙で信任を受けた政権として、危機的状況を乗り切るビジョンを国民に示す責任があるはずだ。

演説では、少子高齢化の克服に向けた「生産性革命」と「人づくり革命」というキャッチフレーズを強調しただけで、社会保障制度の将来像を描くことはなかった。

首相は与野党で「共に、描いていこう」と提起したが、それなら「お年寄りも若者も安心できる『全世代型』」といったイメージにとどまらない議論のたたき台が必要だ。

幼児教育無償化は公約通り明言したが、認可外施設の扱いなど検討課題には踏み込まなかった。「2兆円規模の政策パッケージ」には触れず、財源となる2019年10月の消費税率引き上げも確約はしなかった。

北朝鮮問題も説明不足だ。

首相は地域情勢について「戦後、最も厳しい」との認識を示し、北朝鮮に政策変更を迫る国際圧力を一層強化するとした。トランプ米大統領の来日で確認した強固な日米同盟のもとで「具体的行動を取っていく」と軍事的圧力もにおわせた。

では、圧力強化の先にどのような解決の道筋を描くのか。そこが見えてこないことに国民の不安も募る。

首相は演説の最後に「与野党の枠を超えて、建設的な政策論議を」と呼びかけた。そのためにはもっと踏み込んだ政策の説明が必要だろう。

「森友・加計」問題を追及されるのを嫌って、殊更に政策論議を強調しているようにも映る。

憲法改正の議論も促したが、首相主導で自民党公約に盛り込んだ「自衛隊の明記」などの改正項目に関する説明も演説にはなかった。

来週以降、各党代表質問や予算委員会の質疑が予定されている。首相には、「国会軽視」の汚名を返上する真摯(しんし)な説明を求めたい。
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[読売新聞] 銀行の業務削減 低金利下で生き残る正念場だ (2017年11月18日)

銀行の収益環境が厳しさを増している。日本経済の屋台骨を支える存在として、事業の再構築を急いでもらいたい。

大手銀行グループが、大規模な人員削減や店舗の整理を相次いで発表した。

みずほフィナンシャルグループは、10年間で従業員を1万9000人減らす。拠点全体の2割に当たる100店舗を統廃合する。

三菱UFJフィナンシャル・グループは9500人分、三井住友フィナンシャルグループも4000人分の業務をなくす。店舗の機能縮小や、書類を使わないペーパーレス化を推進するという。

マイナス金利政策などで超低金利が恒常化しており、融資の利幅で稼ぐ伝統的な銀行の収益モデルが行き詰まっている。マネー供給を増やすための金融緩和が、肝心の銀行から体力を奪うという皮肉な構図と言えよう。

借り手となる企業に守りの姿勢が強く、資金需要が鈍い。個人向け融資は人口減で伸びを期待できない。こうした事情も重なる。

業務削減で浮いた人材やコストを、いかに戦略的に活用するか。将来を左右する正念場である。

インターネット取引が増え、店舗に来る客数が減っている。ITの高度化で、大幅な省力化ができる事務は少なくない。近い将来の人工知能(AI)やロボット技術の活用も見据える必要がある。

邦銀は欧米主要行と比べ、企業の合併・買収(M&A)仲介や、富裕層の資産運用相談といった業務の多角化に出遅れている。

海外事業の強化は有力な選択肢だろう。三菱UFJは、インドネシアの銀行への2000億円規模の出資検討に入ったとされる。

成長著しいアジア市場の資金需要は、世界中から注目を集める。地理的に近く、関係を長く結ぶ日本勢の積極展開を期待したい。

地方銀行は、IT投資や営業範囲の拡大が限られるため、大手行以上に厳しい環境にある。

融資を焦るあまり、需要無視の賃貸アパート建設ブームを煽(あお)ったといった弊害も指摘される。地元企業の良き相談相手になるなど、長い目で地域の発展を支える本来の役割に立ち返るべきだ。

地域が重なり合う地銀同士の経営統合に、公正取引委員会が「地域独占につながる」として、待ったをかける事例が出ている。

地元の銀行が共倒れしては元も子もない。公取委は、統合を認めたうえで、新銀行に独占的地位の乱用がないよう、しっかり監視するのも一つの方策ではないか。
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[読売新聞] 所信表明演説 長期展望がないのは物足りぬ (2017年11月18日)

衆院選大勝で得た政権基盤の安定を生かし、政策課題を着実に前進させる。そのためには、野党とも丁寧に合意形成を図ることが重要である。

安倍首相が衆参両院で所信表明演説を行った。衆院選で「国難」と位置付けた北朝鮮問題と少子高齢化対策に重点を置いている。

安倍内閣では最も短い演説だった。年明けに施政方針演説を控えているとしても、長期政権が視野に入った今、将来展望を示さなかったのは物足りない。今後の審議でより具体的に語ってほしい。

首相は演説で「国際社会と共に、北朝鮮への圧力を一層強化していく」と語った。先週会談したトランプ米大統領、プーチン露大統領、習近平中国国家主席の名を挙げ、首脳外交の成果を強調した。

ミサイル防衛体制などを強化して、不測の事態に備えるとともに、北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させねばならない。日中韓首脳会談を早期に開催し、対「北」圧力のカギを握る中国にさらなる対応を促すことが求められる。

少子高齢化の克服に向けて、「人生100年時代を見据え、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦する」と力説した。衆院選公約の「人づくり革命」や「生産性革命」に取り組むという。

2020年度までに3?5歳児の幼稚園・保育園を無償化すると表明した。「真に必要な子ども」と限定したうえで、高等教育を無償化するとも語った。

少子化対策が急務なのは確かだが、安易なバラマキは将来世代に重いツケを残す。費用対効果を見極めて、バランスの取れた制度設計に知恵を絞らねばなるまい。

19年10月の消費税率引き上げに触れ、「財政健全化も確実に実現する」と述べたが、依然、具体性に欠ける。財政再建の新たな道筋を早期に明確にすべきだ。

野党に建設的な政策論議を呼びかけ、「困難な課題に答えを出していく努力の中で、憲法改正の議論も前に進む」と指摘した。

衆院選に伴う再編で、野党の勢力は様変わりした。

現実的な路線を志向する希望の党や日本維新の会とは、憲法改正や安全保障政策などで協調できる余地が大きいはずだ。立憲民主党も、憲法改正自体は否定していない。大いに議論を重ねたい。

安倍首相は、「自民1強」の驕(おご)りを排し、選挙戦で訴えた「謙虚さ」をきちんと行動に移さねばならない。野党にも譲るべきは譲る姿勢が、大きな成果を生むことにつながるのではないか。
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[朝日新聞] 所信表明演説 首相こそ「建設的」に (2017年11月18日)

建設的な議論を行い、政策をともに前に進めていこう――。安倍首相はきのうの所信表明演説で、野党に呼びかけた。

ならば首相にも求めたい。首相こそ、この特別国会での議論に建設的に臨むべきである。

忘れたわけではあるまい。

この特別国会は6月に通常国会を閉じて以降、約5カ月ぶりの本格論戦の舞台である。

この間、野党は憲法に基づき臨時国会を求めてきたが、首相は3カ月も放置したあげく、召集直後に衆院解散の挙に出た。

森友・加計学園をめぐる問題で、国民に約束した「丁寧な説明」を今度こそ果たす重い責任が首相にはある。

だが、首相や与党のふるまいは「建設的」とは程遠い。

そもそもこの特別国会は実質審議も所信表明演説もせず、約1週間で閉じる方針だった。

野党の要求で会期は12月9日までとなったが、所信表明演説は約15分と昨年の臨時国会の半分の短さだった。

内容もあっさりしていた。

北朝鮮情勢の緊迫と少子高齢化を「国難」と強調し、トランプ米大統領の来日など外交成果を誇る。その大半が、衆院選や一連の外交行事ですでに語ったことの繰り返しに過ぎない。

自民党は、野党に手厚かった国会審議の質問時間の配分を変え、野党の割合を減らす要求を強めている。実現すれば、行政府に対する立法府のチェック機能が弱体化しかねない。

先の通常国会では、森友・加計や陸上自衛隊の日報問題で野党の追及を受け、内閣支持率が下落した。その二の舞いを避けるためにも、野党の質問の機会を少しでも削りたい。そんな狙いがうかがえる。

それが首相の「建設的な議論」のあり方なのか。むしろ首相は質問時間の見直しを直ちに撤回するよう、党総裁として自民党に指示することが筋ではないか。

国会では来週は代表質問、再来週には予算委員会がある。

森友・加計問題のみならず、北朝鮮情勢や少子高齢化対策など、与野党が論じ合うべきテーマは数多い。

野党は、自民党の質問時間削減要求をはね返すべく結束する必要がある。あわせて各党で質問内容を事前に調整し、似た質問は避けるなど工夫を凝らし、議論を活性化させてほしい。

巨大与党に「多弱野党」が対峙(たいじ)する。その最初の場となるこの国会のありようは、年明け以降の国会運営にも影響する可能性がある。国会審議を形骸化させてはならない。
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[朝日新聞] 政治家の言論 その荒廃ぶりを憂える (2017年11月18日)

政治は言葉だ、といわれる。みずからの理念を人の心にどう響かせるか。それが問われる政治の営みが、すさんでいる。

加計学園の獣医学部問題を審議した衆院文部科学委員会で、聞くに堪えぬ発言があった。

他の政党の議員3人を名指しし、日本維新の会の足立康史氏が「犯罪者だと思っています」と述べた。相応の論拠を示さないままの中傷である。

各党から抗議されると「陳謝し撤回したい」とすぐに応じた。その軽薄さに驚く。言論の府を何だと思っているのか。

憲法は議員の国会内での言動に免責特権を認めている。多様な考えをもつ議員の自由な言論を保障するためだ。低劣な罵(ののし)りを許容するためではない。

これまでも、他党に対し「アホ」「ふざけるなよ、お前ら」などと繰り返し、懲罰動議を受けてきた人物である。

一向に改めないのは、黙認する雰囲気が国会内にあるからではないか。

同じ委員会で、朝日新聞への批判もした。「総理のご意向」などと記された文部科学省の文書を報じた記事について「捏造(ねつぞう)だ」と決めつけた。

自身のツイッターでは、「朝日新聞、死ね」と書いている。

加計問題の報道は確かな取材に基づくものだ。記事や社説などへの意見や批判は、もちろん真摯(しんし)に受け止める。

だが、「死ね」という言葉には、感情的な敵意のほかにくみ取るものはない。

昨年、「保育園落ちた日本死ね!!!」の言葉が注目されたが、それは政策に不満を抱える市民の表現だ。国会議員の活動での言動は同列にできない。

政治家による暴言・失言のたぐいは、以前からあった。最近は、政権中枢や政党幹部らからの、とげとげしい言葉が増えている。

政権与党が、論を交わす主舞台である国会を軽んじる風潮も一因だろう。昨年は首相周辺が野党の国会対応を「田舎のプロレス」「ある意味、茶番だ」と切り捨てた。

国会に限らず、政治の言葉が、異論をとなえる者を打ち負かすだけの道具にされている。

安倍首相は7月の東京都議選で、演説にヤジを飛ばした人々に「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫んだ。

「犯罪者」「死ね」「こんな人たち」。国策に重責を担う政治家が論争の相手を突き放し、対立と分断をあおる。

そんな粗雑な言動の先にあるのは政治の荒廃であり、それに翻弄(ほんろう)される国民である。
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2017年11月17日

[東京新聞] パラダイス文書 税逃れは社会を壊す (2017年11月17日)

「パラダイス文書」は重要なことを要請している。富める者が税を逃れ続けるなら、富の再分配は滞り、社会また国家の健全性を壊してしまうからだ。

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)による「パラダイス文書」の功績は、タックスヘイブン(租税回避地)が最大の売りとする「秘匿性」を突き崩したことにある。タックスヘイブンを利用する富裕層らに秘密が漏えいするリスクや恐怖心を植え付けたからだ。まだ氷山の一角にすぎないが、「パナマ文書」に始まった秘密の暴露が続けば、税逃れに対する強力な抑止力になるはずだ。


◆消費税1・85%相当
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関連資料を入手した欧州の有力紙、南ドイツ新聞はパラダイス文書の特徴を次のように説明する。

昨年報じたパナマ文書より資料は格段に多く、千三百四十万件に上る。政治家や有名スターら個人だけでなく、アップルやナイキなど多国籍企業が多く含まれる−。

日本の企業や個人名は千を超えていた。

タックスヘイブンは世界で約六十カ所といわれる。ICIJによると、タックスヘイブンを使った税逃れの額は、年間五十八兆円に上るとみている。日本だけでも五兆円で、これを消費税にすれば1・85%分と、再来年十月からの増税にほぼ相当する。

南ドイツ新聞のコラムニストは「人は、死と税務署という二つから逃れられないが、死後、パラダイス(天国)に行けば、もう税を取られず安堵(あんど)を得ると一般人は考える。対して大物たちはすでに生前、税から自由な彼岸にいるのだ」と皮肉たっぷりに批判した。

ICIJは文書の分析と取材に一年かけ、税逃れ策だけでなく違法まがいの裏取引や錬金術を突き止めた。秘匿性の高さゆえに「不正の温床」といえるものだった。


◆英国王室も御用達
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特に注目されたのは、米トランプ政権のロス商務長官がプーチン・ロ大統領に近い人物が経営する企業との取引で約七十八億円の資金を得ていた新たなロシア疑惑。

エリザベス英女王の私有財産がタックスヘイブンの投資ファンドで利益を上げていた王室の利殖。

ナイキはオランダの税務当局と合意し、利益をタックスヘイブンに十年間も蓄積。ナイキ、アップルなどの多国籍企業が巨万の富を蓄積できたのはタックスヘイブンの手助けあってのことだった。

当事者たちは一様に「合法的な方法にのっとっている」とうそぶいている。

税金の軽い国などで所得を「隠す」のは脱税だが、タックスヘイブンを通じた租税回避は違法ではない。それが違法でないことが問題なのであり、さらにいえば違法でなければ許されるのかという倫理や公平公正の問題がある。

納税を勧める立場の政治リーダーや国家の規範となる王室、世界中で膨大な富を得る多国籍企業−これらの蓄財が国民の怒りや失望を買うのは当然だが、背後にも黙して儲(もう)ける無数の富裕層がいる。

税には本来、所得再分配という格差を是正するための重要な機能がある。より良い社会をつくるために考え出された知恵だ。だが、富裕層が税を逃れては再分配は機能せず、格差は拡大する。「違法でない」からといって見過ごすことはできないのである。

パラダイス文書を受け、欧州連合(EU)はタックスヘイブンのブラックリストづくりを加速させた。経済協力開発機構(OECD)は、税の低い地域に利益を移すのを認めず、経済活動があった場所で正当な額の税金を払うよう新ルールで対抗する。

だが、カギを握るのは何といっても英国である。タックスヘイブンは大英帝国時代、英王家が巨額財産を王領の島に移したのが起源だ。時代は下り、一九七〇年代以降、日本などの台頭で製造業が衰退すると、英国は金融立国に活路を見いだす。そこで発展したのがタックスヘイブンなのである。

世界中に植民地を展開した英国は、カリブ海や大西洋などに十四の海外領土、本土周辺には三つの王領の島を保有する。その領土で税を減免し、高い秘匿性を武器にして世界中から富裕層の資産や投機資金を集めた。そのネットワークをロンドンの金融街と結んだ。

だからタックスヘイブンという自国の基幹産業を支えるシステムの規制には後ろ向きだったのだ。


◆市民も声を上げよう
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数年前、英国で租税回避していたスターバックスは世論の反発を受けて姿勢を改めた。企業にとって消費者の離反ほど怖いものはないのである。

今回明らかになったナイキやアップルなどに対し、タックスヘイブンの利用を止めるよう声を上げ、改めなければ不買も辞さない。そういった市民の行動も、根深い問題の解消に一助となる。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする