2017年08月17日

[東京新聞] 加曽利貝塚 市民が守った「国宝」 (2017年08月17日)

竪穴式住居

写真

千葉市の加曽利(かそり)貝塚が近く、国の特別史跡に昇格する。貝塚は市民が開発から守った。特別史跡は国宝と同格で、指定は全国で六十二番目。身近な所にも「宝」はある。大事にしていきたい。

加曽利貝塚が学界で初めて紹介されたのは一八八七(明治二十)年。その後、東大などの調査で「本邦第一の貝塚」とされた。考古学では有名な加曽利B式、加曽利E式の土器は、同貝塚で発見された。土器の特徴による時代区分「土器編年」もここで生まれた。

貝塚は海岸から数キロ内陸に入っている。貝塚一帯に縄文人が住み始めたのは約七千年前。巨大な貝塚ができたのは約五千年前で、約三千年前まで二千年間も定住生活が続いた。人骨が多く、犬が埋葬された跡も十四カ所見つかった。それでも、発掘調査が終わったのは全体の一割にも満たない。

一九六〇年、住宅建設のために貝塚が買収され、翌年、造成工事が始まった。県立高校教師だった武田宗久さんが保護を訴え、研究者や大学生、高校生らが発掘調査を行い、市民に公開して重要性を訴えた。保存活動が市民に広がり、一万人超の署名が集まった。

これが市政を動かし、国会でも取り上げられた。貝塚は国の史跡に指定され、土地は買い上げられた。市は公園として整備し、博物館を建設した。樹木は縄文時代の植生を再現し、復原集落や貝層断面観覧施設などがある。かつては畑だったが、今は千葉モノレールの桜木駅から歩いて十分ほど。木陰は涼しく、家族連れの姿をよく見かける。

「守る会」の保存運動趣意書には「われわれの祖先の残した典型的な大遺跡を破壊から守り、永久に保存して子孫に伝えることは現代に生きる者の責務であると信じます」とある。「守る会」は「友の会」と名前を変えて今も活動を続けている。

地域の宝は、案外、住んでいる人は気付かない。しかし、他人任せでは守れない。子どもたちには、夏休みを自分の住んでいる所に関心を持つ機会にしてほしい。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[東京新聞] 最低賃金改定 生活できる額へ速く (2017年08月17日)

二〇一七年度の最低賃金の引き上げ幅は二十五円となる。時給で決める方式となった〇二年以降最大だった昨年度を超え3%のアップ。だが、非正規労働で生活するには、とても十分とはいえない。

まず、言っておきたいことがある。政権は最低賃金の引き上げでアベノミクスの下支えを狙う。だが、これを法律で定めるのは憲法二五条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するためだ。それを忘れてほしくない。

最低賃金は、企業が払う賃金の最低額だ。働くすべての人に適用され、これを下回る賃金は違法となる。労使が参加する国の中央最低賃金審議会が毎年、改定の目安額を決める。改定はいわば非正規労働者の“春闘”といえる。

審議会が示した目安額(時給)は、全国平均で二十五円引き上げ、八百四十八円とする。安倍政権が三月に公表した「働き方改革実行計画」に掲げる「年3%程度ずつ引き上げ時給千円を目指す」との方針に沿った決着だった。

二十五円の引き上げは昨年度を上回った。安倍政権は引き上げを求めた成果と胸を張るが、目標の千円まで開きがある。政府は毎年のように「千円」を目標に掲げるが、実現への歩みは遅い。

厚生労働省の毎月勤労統計調査ではパート労働者の時給は〇八年から既に千円を超えている。業種や地域によっては、千円実現が十分可能なのではないか。

八百四十八円では、普通に働いても年収は二百万円に届かない。国税庁の民間給与実態統計調査では、年収二百万円以下は約千百三十万人いる。民間労働者の二割強が、この収入で踏ん張って生活している。引き上げがこのままのペースでは千円到達にはあと六年ほどかかる。非正規の人の正社員化を進めることは無論として、この賃金で家計を支える非正規労働者が増えていることを考えれば、一日も速く目標額に到達すべきだ。

国は都道府県を四ランクに分けランクごとに目安額を決めた。現在、東京は九百三十二円で、最低額の宮崎、沖縄との差額は二百十八円。だが、今改定ではさらに四円差が広がる。審議会で労働側は、三年以内に最低額を八百円超にするよう要望した。地域差の縮小も同時に実現したい。

賃金アップには、経営体力の弱い中小零細企業の業務効率化などへの支援や、大企業の下請けに対する不当に低い取引価格など下請けいじめの適正化を進めたい。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】文大統領の演説 反日で連携している時か (2017年08月17日)

北朝鮮と反日で連携するような国に、未来はあるのか。地域の安全保障の現実をみない妄言に、あきれるばかりだ。

韓国が日本の統治から解放された記念日とする「光復節」の記念式典で、文在寅大統領が徴用工問題などを蒸し返し、「南北共同」による調査にまで言及した。

日韓の亀裂を生むだけの発言である。北朝鮮の核・ミサイル開発の暴挙を止めるため、国際圧力を強めるのが、いま最も重要な課題だ。水を差すようなことをなぜするのか。

ましてや「融和」に偏る発言は、北朝鮮に誤ったメッセージを送ることになりかねない。

「強制動員の苦痛は続いている」と指摘し、北朝鮮と関係が改善すれば、共同で被害の実態調査を行うことを検討するという。

言うまでもなく、日韓の戦後補償問題は、個人補償を含め解決済みである。昭和40年の日韓協定で請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記された。

日本が供与した無償資金3億ドルには、個人の被害補償問題の解決金も含まれているのだ。

そもそも「強制動員」「強制労働」といった批判は誤りだ。法令(国民徴用令)に基づき、合法的に行われた勤労動員である。

北朝鮮は「強制連行840万人」「慰安婦20万人」といった虚構の数字を平気で挙げる。嘘やごまかしは常套(じょうとう)手段だ。そんな国との共同調査を口にすること自体、非常識さにおいて大差ない。

文氏は慰安婦や徴用工の名誉回復、補償などが「国際社会の原則」にあたるという。原則という言葉を使うなら、国同士の約束を守ることから始めてはどうか。

問題解決に「日本の指導者の勇気ある姿勢が必要だ」と述べた点も、責任転嫁でしかない。韓国の指導者として、反日世論におもねらず、北朝鮮の脅威や日韓関係の重要さを国民に説いてほしい。

続きを読む

ソウルでは慰安婦の人形を乗せた路線バスまで登場し、市長が記念乗車するパフォーマンスをみせた。異様な光景に、韓国内からもやり過ぎだとの声が聞こえる。

日本大使館前や釜山の総領事館前の慰安婦像は、いまだに撤去されていない。徴用工像の設置計画もある。

反日人形をつくって喜んでいる場合ではあるまい。嗤(わら)うのは誰かをよく考えてはどうか。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】GDP大幅増 持続してこその好循環だ (2017年08月17日)

今年4?6月期の実質国内総生産(GDP)の速報値が年率4・0%増と大きく伸びた。11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長である。

なかでも、個人消費と設備投資という民間需要の2本柱がこれを牽引(けんいん)したのも明るい動きだ。

この流れを一過性に終わらせてはなるまい。持続できて初めて、企業収益の改善が所得や消費の拡大につながる経済の好循環を果たせるからだ。

民間企業による攻めの経営が欠かせない。慎重さばかりに重きを置いたデフレ期の発想にとらわれることなく、設備投資を着実に実行し、景気回復を実感できる一段の賃上げを行うよう求めたい。

個人消費は0・9%増、設備投資は2・4%増で、いずれも1?3月期よりもプラス幅が拡大した。経済対策効果で公共投資も5・1%増となり、これらがそろって内需を押し上げた。

従来の日本経済は外需頼みの傾向が強く、為替や海外経済次第で景気が揺れ動くもろさがあった。これを脱するには、長きにわたって停滞してきた消費や投資の回復を確実なものとし、内需主導の力強い経済を目指す必要がある。

もとより、乗り越えるべき課題は多い。

今回、家電などの消費が増えたのはリーマン・ショック後の景気刺激策で購入した製品の買い替え需要があったためだ。天候に恵まれたことも消費を後押しした。

こうした一時的な追い風がなくても幅広く消費を促すには、家計所得を増やすほかあるまい。

続きを読む

企業収益が改善した割に賃上げは力不足だ。経団連集計で夏のボーナスも5年ぶりに減った。人手不足で時給が増えたパート社員と比べ、正社員の賃上げが鈍い。将来を慎重にみすぎてはいないか、労使ともに言えることだ。

設備投資が伸びたのは、企業の省力化投資が進んだためである。人手不足に対応するにはIT(情報技術)などを活用して、労働生産性を高める必要がある。効率化の成果を、社員の所得向上に確実につなげることが肝要である。

安倍晋三政権の役割も大きい。企業が人手不足への対応にとどまらず、成長分野を開拓して新たな収益基盤を確立できるよう、環境を整備すべきだ。

それにつながる規制緩和や制度改革、税制改正などを果断に進めることが求められる。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 水銀規制の水俣条約発効 日本が世界の対策主導を (2017年08月17日)

[PR]

水銀の使用や輸入を国際的に規制する「水俣条約」が発効した。水銀による健康被害や環境汚染を防ぐ国際的な枠組みが、本格始動する。

条約名には、水俣病のような水銀被害を二度と起こさないとの決意が込められている。提案した日本は世界と手を携え、脱水銀社会への歩みを着実に進めていかねばならない。

水銀は人への毒性が強く、神経障害などを起こす。環境に排出されると、分解されないまま世界を循環するやっかいな物質だ。このため、2013年10月に熊本県で開かれた国際会議で水俣条約が採択された。

発効に伴い、限定された用途以外の水銀の輸出入が禁止され、既存の鉱山からの採掘も15年以内にできなくなる。蛍光灯や電池など一定量以上の水銀を含む製品の製造や輸出入も、20年末までに原則禁止される。

日本は条約の締結に先立ち、国内法を整備した。蛍光灯の製造禁止などは条約の規定より3年早める。

国内対策では、一般家庭などに残されている体温計など水銀含有製品の回収と適正処理が課題となる。水俣病が発生した熊本県でも、回収率は約1割にとどまるという。住民などへの一層の周知が必要だ。

国内で回収された水銀の多くはこれまで、輸出されてきた。政府は特定用途での輸出を今後も認める方針だが、水銀被害を防ぐ条約の趣旨に照らせば、全面禁止すべきだ。

途上国の小規模な金採掘では、鉱石から金を抽出する際に水銀が使われている。貧困層が従事していることから、経済的な影響も考慮し、条約は禁止には踏み込まなかった。日本を含む国際社会の継続的な支援が欠かせない。

水俣病を経験した日本には、水銀の環境への排出を削減したり廃棄物から水銀を回収したりする技術がある。積極的に提供することで、世界の水銀対策に貢献できるはずだ。

9月には水俣条約の第1回締約国会議がスイスで開かれる。胎児性水俣病患者の坂本しのぶさんらも参加し、水銀被害の根絶を訴える。

水俣病の公式確認から60年余が過ぎても、いまだに被害の全体像は未解明のままだ。裁判闘争も続く。

水俣の教訓を世界と共有すると言うのなら、政府は足元のこうした問題解決にも真摯(しんし)に取り組むべきだ。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 4%成長とアベノミクス 出来過ぎの次が試される (2017年08月17日)

[PR]

内需主導の経済成長をいかに定着させるかが問われている。

4?6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は年率換算で前期比4%増だった。プラスは6四半期連続だが、これまでの1?2%程度に比べると突出している。

主因は横ばいだった消費が大きく伸びたことだ。従来は輸出が支えてきたが、外需頼みは海外の景気に左右されやすい。安定成長には内需主導が望ましい。経済の好循環を掲げるアベノミクスの目標でもある。

ただ、エコノミストの間では消費の伸びは一時的との指摘が多い。

家電の販売が好調だったが、リーマン・ショック後の景気対策で大量購入された製品が買い替え時期を迎えている。レジャーや外食が活発だったのも、好天が寄与した。

こうした特殊要因を除くと、節約志向は依然根強いとみられている。賃金の伸びが鈍いためだ。消費が本格回復すれば物価も上がるはずだが、上昇率は0%台にとどまる。

この夏の天候不順でレジャーなどの消費が再び停滞し、7?9月期の成長率は落ち込むとの予測もある。経済の足腰が強くなければ、一時的要因に振り回されやすくなる。

そもそも日本経済は、労働力や生産設備、技術などを十分に活用しても、達成できる持続可能な成長率(潜在成長率)は0%台に過ぎない。4%成長は実力をはるかに上回り、出来過ぎだ。政府も2%以上を目標にしている。改革を通じて潜在成長率を底上げすることが必要だ。

アベノミクス開始から4年半以上が経過した。改革には十分な時間だが、政府は目先の対策を優先した。

安倍晋三首相は昨年、景気てこ入れを理由に今年4月に予定していた消費増税を延期した。高齢化社会を支える安定財源が確保されなければ社会保障に対する国民の不安は解消されず、節約志向も変わらない。

人口減少で国内市場は縮小している。企業は成長が描けなければ賃金を増やしにくい。財源が限られる中、政府は少子化対策に予算を重点配分すべきだ。企業が成長分野に参入しやすくなる規制緩和も重要だ。

改革には痛みも伴う。ただ、6期連続のプラス成長は11年ぶりだ。安定した経済環境は、改革に踏み出す好機のはずだ。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 人の力をいかす日本へ(4) (2017年08月17日)

日本の活力を高めるうえで欠かせないのは、海外人材が活躍できる場を広げていくことだ。欧米では反移民ムードが広がるが、国にとって必要な外国人を獲得しようとする競争は衰えていない。日本の将来を見据えて、外国人材をどのようなルールで受け入れるのか正面から議論し、包括的な政策を打ち出すときに来ている。

現実と向き合う必要

日本でも働く外国人の数は年々増えている。2016年10月現在では108万人と、5年間で58%増加。日本の就業者の2%近い水準に達している。

伸びが目立つのは2倍以上に増えた留学生のアルバイト。これと国際貢献を建前に受け入れている技能実習生で全体の4割以上を占める。人手不足が深刻化するなかで、日本で働くことを目的とせずに来ている人たちがその穴を埋めている姿が浮かび上がる。

日本が競争力や魅力を高め、経済や社会の基盤を維持していくには、外国人材の力が重要になる。だが、政府はこれまで「移民政策はとらない」という建前のもとで、その場しのぎの受け入れ策を重ねてきた。現実と向き合わない対応を続ければ、むしろ社会の安定性を損なう恐れもある。

求められるのは、外国人材の就労から社会への定着、支援のあり方まで含めた全体的な戦略だ。

大きな柱は3つある。一つは高度人材や留学生の就労を促す政策をさらに拡充することだ。

学歴や年収などを基準に研究者や技術者を優遇するポイント制の導入は、人材獲得に効果を発揮し始めている。これに加え、起業をめざす若者などが日本で活躍できる仕組みを強化すべきだ。

留学生は学んだことと仕事の内容が合わないと就労ビザが下りないが、基準があいまいで資格の取得に苦労する例も多い。基準の透明性を高め日本での就職のカベを低くしていくことが肝要だ。

2つ目は、高度人材とはいえないものの、介護、農業、物流など日本の産業を支える人材を正面から受け入れる仕組みづくりだ。技能実習制度を様々な業種に広げる形で対応してきたが、もはや限界に近い。国際協力という名目とのギャップが広がり、実習生が不当な待遇を受ける例も目立つ。

政府は外国人技能実習機構を設け実習生の権利保護に努める構え。ただ一時的な出稼ぎ受け入れという側面が強い現行制度では、労働の質も高まらず働く人たちの社会的な位置づけも低いままだ。

日本人だけで対応できない分野で、質の高い人材を受け入れる正式な枠組みを確立すべきだ。

企業や有識者らで構成する外国人雇用協議会は、一定の技能水準を持った人を選定する「外国人就労適性試験」を実施し、これに合格した人に在留資格を与える制度の導入を提言している。試験では日本語や社会的なマナー、業種ごとに必要な知識などについて評価する。会員企業などと内容を協議しながら実際に試験をつくり、実施する準備を進めている。

企業の努力も欠かせず

相手国も責任を持つ2国間協定の活用や、雇用への影響を考慮した毎年の受け入れ人数の上限設定といった工夫によって、社会や経済に望ましい形で受け入れる制度をつくることは可能なはずだ。

3つ目は受け入れた外国人の支援だ。有能で社会に溶け込める人材は日本に残ってもらうのが望ましい。そのためにどんな能力や資格が必要かわかりやすく示せば、外国人材の技能向上意欲を高めることにもなる。日本語習得の後押しや教育、医療など生活面でも外国人を支えていく必要がある。

外国人材の活躍促進には企業の役割や努力も重要になる。海外人材獲得に前向きな企業は増えているが、日本企業への就職に二の足を踏んだり、就職してもすぐやめたりする外国人が少なくない。

日本国際化推進協会が15年に実施した留学生らへのアンケート調査では、「日本に住むのは魅力的」と答えた人が83%に達したが、「日本で働くのは魅力的」との回答は22%にとどまった。処遇の仕組みを明確にするなど、働く場としての魅力を高めるべきだ。

外国人材はすでに日本を下支えする存在になりつつある。その流れは一段と強まるだろう。どんな人に来てもらい、働いてくれる人をどう支えるか。官民ともに真剣に考えねばならない。(おわり)
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 新専門医制度 「患者本位」を忘れずに (2017年08月17日)

内科や外科、小児科などの「専門医」を育てる新たな研修制度が来年4月に始まる。

国家試験に合格したあと、2年間の初期研修を終えた医師が対象だ。3年程度、研修先として複数の病院を回りながら知識や技術を現場で学び、試験に合格すると認定される。

「専門医」という肩書・名称はすでにあるが、様々な学会が独自に認定しており、100種類を超えて乱立状態にある。名称も「専門医」「認定医」などが混在し、患者にはわかりにくい。新制度では全体を19の基本診療科に分け、統一した基準で認定するのが目標だ。

患者本位の制度にするには、医療の質を高める機会とするだけでなく、患者が病院や医師を選ぶときの客観的な目安にできる仕組みが必要だ。専門性を重視するあまり、医師が自分の分野以外の患者は診察しない、ということになっても困る。専門医を認定する第三者機関「日本専門医機構」は、研修プログラムづくりを学会任せにせず、かじ取り役を担ってほしい。

避けなければならないのは、新制度に伴う研修や指導のため、医師が大学病院や都市部の大病院に集中する事態だ。

医師の数は04年の約27万人から14年には約31万人に増えた。ただ、研修先を選べるいまの初期研修が04年に始まってから、地方の大学を卒業した医師が大都市圏に流れ、偏在の一因になったと指摘される。

専門医制度をめぐっても、地方の病院や自治体からは地元の医師不足の悪化を心配する声が強く、今年度の開始予定が1年間先送りされた経緯がある。

機構は、(1)大都市圏の定員に一部上限を設ける(2)研修施設を地域の中核病院にも広げる(3)都道府県ごとに置く協議会を通じて地元から意見を聞いて研修プログラムを改善する、といった措置をとった。

とはいえ、不安は解消されていない。自治体や厚生労働省と、研修で中心的な役割を果たす大学病院は、新制度がもたらす影響を注視してほしい。

「総合診療専門医」の新設も、新制度の特徴だ。

地域の病院や診療所で患者に対応するだけでなく、在宅医療や介護、みとりまで担うことが期待されている。人生の最後を住み慣れた地域や自宅で暮らすことを目指す「地域包括ケアシステム」に欠かせない存在だ。

総合性と専門性をどう両立させるか。まずは、果たすべき役割をもっと明確にしたうえで、実践的な研修プログラムづくりに努めることが求められる。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 米「301条」検討 国際通商ルール尊重を原則に (2017年08月17日)

不毛な制裁合戦に陥ることなく、国際ルールを尊重し、建設的な問題解決を図るべきだ。

トランプ米大統領が、米通商法301条に基づき、中国による知的財産権侵害などの調査を検討するよう関係部局に指示した。

米企業などの不当な損害が認定されると、関税引き上げなどの制裁措置を中国に発動できる。

中国政府は、米国が対中制裁に踏み切れば対抗措置を取る考えを表明し、米国を牽制(けんせい)している。

米中貿易が冷え込めば、両国はもとより、世界経済全体に悪影響が波及するのは避けられない。

米国側には、核・ミサイル開発を進める北朝鮮に影響力を持つ中国に対し、一段の圧力強化を迫る狙いがあるのは明らかだ。

安全保障上の目的で、直接の関係がない通商政策を「取引材料」に使うことは、ルール無視の政治決着となる危うさがある。米中双方に冷静な対応が求められる。

米企業のコンピューターシステムが中国から不法侵入を受けて、企業秘密が盗まれる。中国に進出した米企業が中国政府から不当な技術移転を強要される。米政府は、こうした不公正な実態があるとして中国側を非難している。

中国は2001年の世界貿易機関(WTO)加盟に際し、知財保護の強化を約束した。しかし、今も模倣品や海賊版ソフトが横行するなど、実態が伴わない。着実に改善することが重要だ。

米301条も問題が大きい。

日米摩擦が深刻化した1990年代には、日本の自動車部品やフィルム市場が標的とされた。

欧州連合(EU)は当時、301条が協定違反だとしてWTOに提訴した。米国が自制的運用を表明してクロ判定を免れたものの、WTOの手続きを逸脱すれば協定違反に当たると指摘される。

2000年代以降の米政権が301条適用を抑制してきた中で、トランプ政権は、積極的な活用に転じると表明していた。

トランプ氏は、米貿易赤字の縮小を経済政策の最優先課題の一つとするが、旺盛な国内消費など構造的な問題がある。制裁をちらつかせて貿易相手国に譲歩を迫っても、根本的な解決には程遠い。

16日から北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉が行われ、秋以降は、日米経済対話の実質的な協議も始動するとみられる。

「米国第一」を掲げて強気の交渉姿勢を示すトランプ政権は、互恵的な貿易を育む現実路線に早く転換しなければなるまい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 富士山ブーム 神聖な自然環境をどう守るか (2017年08月17日)

相変わらずの富士登山ブームである。夏山シーズンがたけなわとなり、山頂付近には夜明け前から、ご来光目当ての登山客の長い列が続く。

マナーを守り、安全に留意しながら快適な登山を楽しみたい。

日本人の心を魅了してきた富士山は、古くから信仰の対象とされた霊峰だ。2013年、世界文化遺産に登録された。

多くの登山者を受け入れつつ、いかに神聖さを保っていくか。それが目下の課題である。

7?9月の期間中、富士山には20万?30万人の登山客が訪れる。週末には、平日の2倍の混雑となる。ご来光を見るのに便利な山頂付近の山小屋から順に予約が埋まり、多くが満室の状態だ。

山梨県側で混雑時に行った調査では、43%の人が登山客の多さに不満を感じている。他の登山客に無理に追い越されて、危険な目にあった人は23%にも上る。

このままでは、登山客が将棋倒しになるなど、大きな事故が起きかねない。人が増え過ぎると、富士山の神秘性が損なわれて、世界遺産としての価値が揺らぐ。

登山客数の適正化に向けた対策は、避けて通れまい。

世界文化遺産に登録された際、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)も、来訪者管理戦略をまとめるよう求めた。

政府は、1日当たりの登山者数の目安を示す方針だ。それを盛り込んだ保全状況報告書を来年12月までに提出する。

山梨、静岡両県は、全地球測位システム(GPS)などを用いて登山客の動向を調査している。混雑状況を丁寧に分析して、適正な人数を設定することが必要だ。

具体策も求められる。登山客の分散化は、混雑を緩和させる手法の一つだろう。両県が今夏からネット上に公開している混雑予想カレンダーなどを活用し、平日の方がゆとりのある登山を楽しめることをPRしていきたい。

両県は、1人1000円の富士山保全協力金を任意で徴収し、登山道の維持管理に充てている。昨年は、山梨県側で65%、静岡県側で51%の登山客が支払った。

一部には支払いの義務化を求める声もある。登山客数の適正化にどの程度の効果があるのか、きちんと見極めることが大切だ。

安全確保も来訪者管理戦略の忘れてはならない課題である。スニーカーにTシャツといった軽装の外国人が目立つ。急変する天候や落石の危険など、基本的な知識を発信することが欠かせない。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 関西3空港 一体運営で浮揚を (2017年08月17日)

神戸市が持つ神戸空港の運営権が、関西、大阪(伊丹)両空港を運営する関西エアポートと、親会社のオリックス、仏バンシ・エアポートの3社連合に売却される。来年4月から、3空港の一体運営が実現する。

25キロ圏内にひしめく3空港は足の引っ張り合いが絶えず、関西のまとまりのなさと、国の放漫な空港政策の象徴と目されてきた。

外国人観光客が増え、昨年から関空と伊丹を運営する関西エアの業績は好調だ。一方、06年に開港した神戸空港の利用者数は事前の需要予測に一度も届かず、伸び悩んだままだ。

3空港にはそれぞれ特性がある。どう有効活用すれば関西全体の浮揚をはかれるか。関西エア側には、民間ならではの柔軟な発想と素早い施策展開を期待したい。国や地元も結束して側面支援に努めてもらいたい。

42年間の運営権の対価として市が得る基本額は191億円。空港島の造成などで投じた総事業費3140億円の1割に満たず、多額の借金が当面残る。

神戸市は70年代に市域での新空港建設に反対した。だが80年代以降は独自で空港をつくる方針に転じた。95年に阪神大震災があり、市民の強い反対運動も起きたが、押し切った。

運営権売却で過去のツケが消えるわけではない。市は責任を改めて重く受け止めるべきだ。

神戸空港には、発着は国内線のみ、1日30往復までという制限が課せられている。海上にあるので24時間発着が可能だが、現行の運用時間は午前7時?午後10時だ。いずれも、関空や伊丹との「すみ分け」のため、地元で合意したルールだ。

地元の経済界や関係自治体は国とともに、ルールの見直しに向けた議論を始める方針だ。

過去は3空港の地元の利害が対立し、不協和音が絶えなかった。今度は関西全体にとって最適なあり方をめざすことに徹するべきだ。運営を託す関西エア側の考えを尊重し、新たなルールを定めていくのが望ましい。

東京と大阪を1時間強で結ぶというリニア中央新幹線が建設されれば、関西の3空港、特に伊丹への影響は必至だ。将来も見据えた長期戦略も併せて練っていく必要がある。

空港民営化は各地で進む。仙台が昨年7月から民営化され、高松も来年4月に続く予定だ。北海道や福岡県では、複数の空港を民間が一括して運営する構想が動いている。

日本で民営空港は定着するか。関西3空港の一体運営の成否が試金石となってこよう。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月16日

[産経新聞] 【主張】北の攻撃予告 日米連携で万全の備えを (2017年08月16日)

北朝鮮情勢の緊迫化を受け、安倍晋三首相がトランプ米大統領と電話で協議した。

北朝鮮が米領グアム周辺への弾道ミサイル発射を予告し、これに米国が強く反発するなど、米朝間の緊張が高まる中での対応である。

両首脳は、北朝鮮に弾道ミサイル発射を強行させないことが、最も重要であるとの認識で一致した。同盟国の首脳が直接、意見交換し、連携を確認した意義は大きい。

国際社会が圧力を高めても、北朝鮮の核・ミサイル開発は阻止できていない。緊迫の度合いが高まる一方、にらみ合いが長期化することも考えなければならない。

日米当局はさまざまなレベルで意思疎通を図り、最悪の事態も想定した備えに取り組むべきだ。

北朝鮮は弾道ミサイルの島根、広島、高知の上空通過を予告した。マティス米国防長官は、グアムに着弾すると判断すれば、迎撃すると明言している。

米軍と自衛隊の情報共有も欠かせない。韓国軍も含め弾道ミサイルへの警戒、監視体制を強化することが北朝鮮への牽制(けんせい)となる。

米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長が韓国、中国に続いて日本を訪れる。ワシントンでは、日米の外務、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が開催される。

いずれも目下の最大課題は、北朝鮮への対応である。北朝鮮にこれ以上の暴挙は許さないという、断固たる姿勢を示す機会とすべきである。同時に、日米連携を具体的にどう強化していくかをよく話し合ってほしい。

続きを読む

北朝鮮の攻撃予告に対し、「炎と怒りに見舞われる」などトランプ氏の発言も激烈を極める。威嚇発言を繰り返す、金正恩朝鮮労働党委員長との駆け引きの側面もあるだろう。

だが、トランプ氏のみならず米政府首脳は再三、軍事力行使の可能性に言及している。金正恩体制が常軌を逸していることと併せて考えれば、軽視はできない。

日本も、多くの事態を想定した対応の準備が必要だ。北朝鮮に核・ミサイルを放棄させるのと同時に、日本国民の生命、財産を守り抜かなければならない。

朝鮮半島有事の際の在韓邦人の退避、ミサイルが日本に落下する場合の住民保護など、課題は少なくないのである。
posted by (-@∀@) at 13:23| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする