2017年03月26日

[東京新聞] 週のはじめに考える 野球から学ぶこと (2017年03月26日)

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を終えたプロ野球は、三十一日から公式戦に突入する。野球は私たちに多くのことを教えてくれる。

今月は野球にくぎ付けとなった人が多かったことだろう。ビデオリサーチによればWBCの日本戦の平均視聴率は関東地区で十四日の対キューバが27・4%、十五日の対イスラエルが25・8%。日本時間二十二日の準決勝は米国に敗れはしたが、同午前十時すぎ開始の試合にもかかわらず20・5%と高かった。


◆異国文化と触れ合う
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子供たちの野球離れが懸念され、国内のペナントレースの試合もテレビの地上波から次々と姿を消している。そのような中でも日本代表が出場する大会への関心が高いことを、あらためて示した。

国際試合の面白さは勝敗だけではなく、さまざまな国・地域の文化や国民性にスポーツを通じて触れ合えることにもある。決勝戦に勝ち上がるまで米国、ドミニカ共和国などの強豪を倒して七戦全勝だった準優勝のプエルトリコも、そのような国の一つだった。

カリブ海北東部に位置する人口約三百四十万人のプエルトリコには、子供から大人までがヒーローとしてあこがれる伝説の人物がいる。

ロベルト・クレメンテ氏。ご存じの方も多いだろう。米大リーグのパイレーツのスター選手だったクレメンテ氏は一九七二年十二月三十一日、ニカラグア大地震の被災者に援助物資を届けようと自ら乗り込んだ飛行機がカリブ海に墜落し、三十八歳の若さで現役選手のまま帰らぬ人となった。直前のシーズンでは通算三千安打を記録していた。

その名前は、今でも顕著な慈善活動を行った選手を表彰する「ロベルト・クレメンテ賞」として、大リーグに残っている。


◆引き継がれる系譜
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クレメンテ氏の系譜は、その後のプエルトリカンたちに引き継がれていった。九〇年代後半に黄金時代を築いたヤンキースの四番打者だったバーニー・ウィリアムズ氏は、故郷の大学の医学部に在籍していた時にヤンキースからスカウトされた。将来は医師かミュージシャンになるつもりだったが、クレメンテ氏を追い掛けることを決め米国に渡った。

俊足、巧打、好守に加えてチームを最優先に考えるプレーでニューヨークのファンを魅了し、チャリティー活動に時間を割くことも惜しまない。イチロー選手が代名詞ともいえる背番号「51」を好んで着けるのも、そんなウィリアムズ氏を敬愛していることが理由の一つにある。

大リーグ通算四百七十三本塁打を放ったカルロス・デルガド氏も、系譜を継ぐ一人だ。大リーグでは米中枢同時テロが起こってから、試合中に米国の愛国歌「ゴッド・ブレス・アメリカ(米国に神の加護あれ)」を選手、スタンドが起立して斉唱するようになった。ところが選手時代のデルガド氏は歌うことを拒否し、ベンチ前にも立たなかった。

「歌と9・11テロ、イラク戦争を野球に絡ませるというやり方が気に入らない。米国、プエルトリコ、そして世界中に幸あれと言うよ。世界が平和になるまでは」

米国の自治領であるプエルトリコには多数の米軍基地があり、米海軍の演習場ともなっている。そのことへの反感も、デルガド氏の行動には込められていた。

今回のWBCでは最後に米国に敗れた。だが、結束力で二大会連続の決勝進出を果たした背景には、野球を通じて自分たちが生まれ育った国・地域への愛情を表現し、子供たちに後を継いでほしいという願いがある。

日本代表にも、同じことを思わせるシーンがあった。東京ドームで七日に行われたWBC初戦のキューバ戦。山田哲人選手(ヤクルト)が放った打球を左翼席最前列でグラブを持って観戦していた男子中学生がフェンスから身を乗り出し、捕球してしまった。最初は本塁打と判定されたが、ビデオ検証の結果、二塁打に変更された。

捕球しなかったら本塁打になっていたかは微妙だ。しかしネット上では少年に対する非難が相次いだ。そのことを知った山田選手は、こう話したという。

「僕は全然気にしていない。だから野球を嫌いにならず、またグラブを持って応援に来てほしい」


◆ペナントレース開幕
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今、世界では善か悪か、白か黒か、何事も二極化して対立構造をあおる風潮があふれている。だが白には白の、黒には黒の事情がある。「野球を好きであり続けてほしい」という率直な思いから発した山田選手の言葉は、そんな風潮に一石を投じるものだった。

もうすぐプロ野球のペナントレースが開幕する。野球から学ぶことが、今年もきっと多くある。
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[産経新聞] 【主張】生殖補助医療 子供の身分守る法整備を (2017年03月26日)

匿名の第三者から卵子を提供された女性が、女児を出産した。NPO法人が無償の卵子提供者を募り、この女性の夫婦との間を仲介した。

現実が先行するのに対し、法整備は遅れている。民法は精子や卵子が第三者の提供であるケースを想定していない。

このため、生まれてくる子供にとって安定した親子関係が用意されているとはいえない。子供の身分保障に関わる法改正は待ったなしである。

法制化の動きはこれまでもあった。厚生労働省が平成15年、第三者の精子や卵子の提供を、病気などで妊娠できない法律上の夫婦に限り認める報告書をまとめた。

母親に代わって協力者が出産する代理懐胎は認めず、子供には遺伝上の親を知る権利を認める内容である。

法務省はこれを踏まえ、出産した女性を「母親」、第三者の精子提供に同意した夫を「父親」とする民法の特例に関する要綱試案を公表したが、作業は中断した。

自民党の部会も一昨年、民法の特例法案をまとめ、出産した女性を母親とし、第三者の精子提供に同意した夫は、自身の子供であることを否認できないとした。

これらの議論を下敷きに、親子関係の安定を最優先とした法改正が必要だ。誕生を自ら選択できない子供に、地位の安定を用意することは大人の責務といえる。

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どこまで生殖補助医療を認めるかも課題となる。第三者の精子提供による不妊治療では、1万人以上が生まれている。だが卵子提供は親族によるケースを除き、ほぼなかった。

提供側に肉体的リスクがあり、医療者が消極的だからだ。代理懐胎はさらにリスクが高い。第三者にリスクが及ぶ医療をどこまで認めるか、国民的議論が必要だ。

「出自を知る権利」をどう認めるか。これを法制化すべきかどうかという問題もある。家族のあり方に踏み込むだけに、さまざまな意見があるのは当然だろう。

すべてを満たす法律を早急に作ろうとしても、現実にはなかなか追いつかない。まず、生まれてくる子供の法的地位の安定を先行させることが現実的ではないか。

生殖補助医療は出産がゴールではなく、子供にとってはそこがスタートになる。法の不備により、子供を泣かすようなことがあってはならない。
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[産経新聞] 【主張】外国人の就農 「担い手」になり得るのか (2017年03月26日)

外国人労働者の就農を解禁する国家戦略特区法の改正案が閣議決定され、安倍晋三政権は今国会成立を目指す。

高齢化や後継者不足は多くの農業現場で深刻化している。一定水準以上の技能や知識を持つ専門人材を受け入れ、現状を打開する狙いがある。

だが、期待するような人材は本当にやってくるだろうか。母国の大学で農学部を卒業したような人が想定されているが、大学間のレベルの差は大きい。

まさか、単純労働者の「隠れみの」ではあるまい。受け入れありきで、専門人材の基準を甘くすることなどあってはならない。

この解禁策は、政府の国家戦略特区諮問会議が「『強い農業』を実現するため専門外国人材の活用が喫緊の課題」として打ち出したものだ。

山本幸三行政改革担当相は、技能実習生として実習を終えたレベル以上を想定しているとし、「場合によっては中間指導者になってもらう」とも述べた。だが、技能実習を終えた段階で専門人材と位置づけるのは無理がある。

それだけではない。担当相は特区以外での受け入れも検討すると表明している。

政府・与党内には、建設業や製造業など人手不足が予想される分野での外国人活用を求める意見が根強い。そうした拡大策をとれば、実態として単純労働を行う人を「専門人材」と称して受け入れることになりかねない。

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外国人労働者の受け入れで、農業現場がひと息つくという効果はあるだろう。だが、少子高齢化に歯止めが掛からない現状で、外国人に頼ることが、担い手不足の根本的解決になるだろうか。

そうしたやり方は、技術革新や構造改革の遅れにもつながる。それは日本農業の弱体化である。

食料確保は国家の基本政策である。国益全体を考えたとき、農業を外国人抜きでは成り立たないものに仕向ける政策は、積極的にとるべきものとは思えない。人材が途絶えれば産業は崩壊する。

むしろ情報通信技術(ICT)やロボット開発に、もっと国を挙げて取り組み、限られた人数で生産性を高める「新たな農業」へのシフトを急ぐべきだろう。

新農業を成長戦略に位置づけ、そのノウハウを世界へ輸出する。安倍首相には、それくらいの大きな構想を描いてもらいたい。
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[日経新聞] 機関投資家と企業の対話促す改革進めよ (2017年03月26日)

資産運用会社や年金など機関投資家の行動規範を定めた「スチュワードシップ・コード」が、約3年ぶりに見直される。金融庁の有識者会議で改定案が示され大筋で了承を得た。

安倍晋三首相は企業統治(コーポレートガバナンス)改革を、成長戦略の一つと位置づけてきた。その推進力となったのが、2014年に策定された機関投資家の行動規範だ。今回の見直しを、ガバナンス改革を一段と進めるための契機とすべきである。

強制ではないが守らない場合は理由を説明する必要がある、という規範の基本的な考えは変わらない。そのうえで見直し案は、議決権行使状況を開示することの重要性を強調した。

現在は開示に消極的な運用会社も多い。見直し案は、少なくとも役員人事や報酬など主な議案ごとに行使結果を集計し、賛否の件数を公表すべきだとした。さらに個別の投資先ごとの開示も促した。

こうした改定の背景には、資産運用を巡る日本的な事情が横たわっている。日本の大手運用会社はほぼすべて商業銀行や証券会社のグループに属する。信託銀行は企業にお金を貸しつけるとともに、大株主にもなっている。

はたから見れば金融商品の営業が優先されるあまり、機関投資家の経営チェックが甘くなっているのではないか、との疑義も生じる。議決権行使の結果の開示を促すことにより、資産運用会社が株主の責務を果たし投資先の経営に目配りしているかどうか、外部から判断しやすくする。

また行動規範は、あらゆる運用会社が投資先の企業価値を向上させるような提案をするよう求めた。影響力を強めるため他の投資家と協働することも選択肢の一つとして挙げている。

企業に投資の必要性を指摘したり、利益還元を提言したりする運用会社は増えている。規範で促すことにより、機関投資家の働きかけが広がることが期待される。運用会社は企業の経営を理解し、長期の視点で助言できる専門家を育てることが必要だ。

企業も株主向け広報の体制を拡充するなど、対話の準備を急ぐべきだ。機関投資家と経営陣が議論を深めることは企業価値を向上させ、お金の運用を託している個人の富を増やす。さらには、投資や雇用の拡大を通じて経済全体を豊かなものにするはずだ。
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[毎日新聞] 道徳教科書 型に縛られない授業を (2017年03月26日)

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正式に教科になり、2018年度から小学校の授業で使われる「特別の教科 道徳」の教科書24点の検定結果が公表された。

偉人伝など従来の教材を「読む」道徳から、討論などを積極的に取り入れる「考え、議論する」道徳への転換を反映し、工夫が見られる。

一方で、検定は「内容項目」の記述について細かくこだわった。計244件の意見が付いて部分的に修正され、全点パスした。

内容項目は道徳の学習指導要領で示す基準で「正直、誠実」「親切、思いやり」「家族愛、家庭生活の充実」「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」など22項目あり、さらにより具体的に表記したものを学年段階に応じて学ぶ。

しゃくし定規に項目と記述を突き合わせると、首をかしげざるをえない修正も生まれる。

たとえば、「伝統と文化」にからんでは、当初のストーリーの記述に登場する「パン屋」が、意見で伝統的な「和菓子屋」に改められた。

「感謝」については記述に欠けていた高齢者を登場させるべく、消防団の「おじさん」を「おじいさん」に変更した。

文部科学省は、内容項目はすべて学ぶべきものとしている。

話の不自然さよりも、内容項目に応じた記述の不足を問題視することにならないだろうか。

さらに、先生たちが内容項目の「消化」に追われ、じっくり子供たちと向き合う余裕をそがれないか。

道徳の教科化は、絶えぬいじめ問題が契機だった。

しかし、人の苦しみを思いやる、敬意を払う、差別しない、などの心持ちや態度、規範は一律に定めた細かな項目学習だけで体得しうるものではない。

今回の全道徳教科書がいじめ問題を取り上げているが、地域、学校、教室によってそれぞれの実情があり、現場の先生たちの取り組みはさまざまだろう。

教科書は「主たる教材」と位置付けられているが、その上に工夫の授業や指導を組み立ててこそ生きる。

また、道徳を教科化することは検定教科書とともに「評価」を伴う。

道徳は他の教科と違って個人の内面の動きにかかわるものであり、点数評価はなじまない。唯一の「正解」というものもない。

先生による評価は、子供の成長した面や長所、改善を望むことなどを文章で記録し、他の子供たちとは比較しない「個人内評価」にする。もちろん、受験の資料にもしない。

その見守る目には、細かく縛られぬ、学校教育現場の実情に応じる裁量が不可欠だ。
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[毎日新聞] 非正規の公務員 「賞与」を改革の一歩に (2017年03月26日)

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自治体から臨時に任用されている非正規公務員の給与の制度を見直す法案を政府が国会に提出した。非常勤の職員にも期末手当(賞与)を支給できるようにする。

民間企業が「同一労働同一賃金」に動き出す一方で、地方公務員は正規・非正規職員の待遇格差が放置されている。格差是正を図りつつ、自治体の行政サービスのあり方を点検するきっかけとすべきだ。

自治体から臨時に雇われる公務員は増加の一途をたどってきた。

総務省の集計によると非正規職員は約64万人に達し、2005年時点より約19万人増えた。今や、地方公務員の約5人に1人を占める。

職種は事務補助や保育士、図書館員など広範囲にわたる。福祉などの行政ニーズが増える中で労働力を補完してきたといえる。

その一方で、非正規職員の待遇はほとんど顧みられてこなかった。

臨時的な労働の対価として「報酬」が支払われ、ほとんどの自治体は正式な給料や手当を支給していない。週40時間労働のフルタイム近く働いても年収200万円程度との調査結果もあり、「官製ワーキングプア」とさえ言われる。

任用の根拠とする法律も自治体によってはっきりしない。1年単位で任用を繰り返すため、不安定な状態に多くの職員は置かれている。

提出された法案は非正規職員にも賞与が支給できるようにし、非正規職員を任用する根拠をおおむね統一した。さらに、フルタイムで働く人は正規職員と同様に給料や各種手当が支給されるようにした。

非正規職員の多くは常勤職員とあまり変わらない勤務実態だけに、見直しは当然だ。フルタイム勤務でなくても正式な給料と各種手当が支給されるような制度を最終的には目指すべきだろう。

一方で、公務員の人件費は税金でまかなわれる。それだけに、コスト意識も欠かせない。

正規職員も含め、どこまでを行政が担うべきか改めて考えるべきだ。民間への委託や移譲も含め、全体的な業務の点検が求められる。

格差を是正するうえでは、正規職員の給与水準が高すぎないかを見直すことも必要な観点となるだろう。

今回の措置をめぐっては気になる点もある。人件費増加を避けるため、自治体が非正規職員の雇用を打ち切る「雇い止め」をしたり、フルタイムで働く職員をパート化したりするおそれが指摘されていることだ。

弱い立場にある非正規職員にしわ寄せするようでは格差是正どころか、本末転倒だ。自治体は中長期的な視点から、どんな人員体制がふさわしいかを検討する必要がある。
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[日経新聞] 信頼できる臨床研究体制を (2017年03月26日)

医薬品の臨床研究で、効果が高く見えるようにデータを改ざんしたとして薬事法違反に問われた製薬会社やその元社員を無罪とする地裁判決が出た。

改ざんがあったことは認めたが、その研究論文は法律で規制する虚偽広告には当たらず、罪は問えないとの判断だ。

しかし医療現場では、論文を見た医師の処方に影響を与える可能性は十分ある。人の命や健康に影響したり、医療費の無駄遣いにもつながったりしかねない大きな問題は残ったままだ。

この事件の発覚を受け、政府は昨年の通常国会に、臨床研究の透明性を高めるための法案を提出している。監査や情報公開を義務付ける内容だ。法案は継続審議中だが、早期に成立させ、信頼できる研究体制の構築を進めてほしい。

不正があったのは製薬大手ノバルティスファーマがつくる高血圧症治療薬のデータだ。同社は臨床研究の中心となった大学病院の医師らに多額の奨学寄付金を提供していたことも問題になった。

医薬品や医療機器の開発・改良のためには、実際に人に使ってみて有効性や安全性を確かめる臨床研究が欠かせない。これらの研究には、被験者の安全の確保や外部からの監視の目などが必要になるはずだ。ただ現状では、国が新薬や新医療機器を承認するための研究を除いて、法的な規制はかかっていない。

今回の不正事件も、すでに国が承認した高血圧治療薬の新たな効果を探る研究の中で起こったものであり、規制対象外だった。

規制を強めればよいというものでもない。再生医療などの新しい技術の実用化には一定の自由度も必要だ。法律が制定された後も、関係者でよく協議し、医学の発展の芽を摘まないような柔軟さを保ってほしい。

法規制以前の問題として、製薬企業や研究者は高度な倫理観を持つべきである。不透明な寄付金などによる癒着を排し、改めて襟を正してほしい。
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[朝日新聞] 欧州統合60年 市民の信頼築く改革を (2017年03月26日)

「60周年」の節目を、欧州連合(EU)への信頼を取り戻していく元年としたい。

1957年3月25日、フランスや西ドイツなど6カ国がローマ条約に調印。EUの前身、欧州経済共同体の設立を決めた。

二度の大戦への反省から、国境を越えた人や物の自由な往来を促し、各国が主権を譲って共通政策を打ち出すことで平和と繁栄を目指す壮大な実験は、いま深刻な壁にぶつかっている。

ギリシャ危機に端を発した経済の停滞、難民や移民の流入、相次ぐテロで、「EUは安全と繁栄をもたらすのか」と疑う声が広がった。英国のEU離脱決定で欧州統合は初の後退を迫られ、「自国第一」を掲げるポピュリズム(大衆迎合)政党が各国で勢いを増している。

「長い平和に慣れ、EUのありがたみが薄れた」との指摘もある。何世紀も戦争が繰り返された欧州で、過去60年間は加盟国間の武力衝突がなかった。

初心に戻り、「不戦」の共同体を築き上げた意義を再確認すべき時だ。

ローマには25日、加盟国首脳が集い、結束を誓い合った。

あるべきEUの姿の検討も始まった。従来通り加盟国が横並びで統合を進めるか、各国事情に応じて統合速度に差をつけるのか、活発な議論が期待される。その際、大国主導で小国の意見が軽視されてはなるまい。

保護貿易に傾くトランプ米政権や強権姿勢を強めるロシアなど、大国のエゴへの懸念が募る折だ。EUには国際協調のモデルを追求してほしい。

一方、60年を経ても、加盟国の市民にとってEUは身近な存在とは言いがたい。

市民生活に直結する多くの規制をEUが決めているのに、その決定過程をめぐる発信が足りない。直接選挙で選ばれる欧州議会はあるが、権限が限られ、選挙の投票率も低い。

「自分たちが代表されていない」という市民のEU不信が結束を乱しているなら、ゆゆしき事態だ。民意を生かし、透明性を高める改革に、EUや各首脳は知恵を絞ってほしい。

いまの世界の先進国を見渡すと、「統治する側」と「される側」との距離をどう縮めるかは共通の課題でもある。非難の的がEUであれ、グローバル化であれ、多くの国々の市民が既成政治に限界を感じている。

政治家や官僚が物事を決めて動かす日々の営みが、市民を置き去りにしていないか。統治システムをどう検証し、改善に取り組んでいくか。先行する欧州の実験の行方を見極めたい。
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[朝日新聞] 大阪万博案 このままで開けるのか (2017年03月26日)

大阪で25年に国際博覧会(万博)を誘致しようとする経済産業省の構想案がまとまった。安倍政権は5月下旬までに、博覧会国際事務局(BIE)に立候補を届け出る方針だ。

ただ、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした案は、全般に漠然としてインパクトを欠く。昨年11月にいち早く立候補したフランスに勝てるかという問題以前に、国民の理解を得られるか、疑問だ。

巨額の資金確保や交通アクセス整備にも難題を抱えている。手続き上、立候補は閣議了解だけでできるが、国会でその是非を議論すべきだ。

大阪万博構想は、松井一郎大阪府知事が率いる大阪維新の会が14年に提唱した。わずか3年でここまで進んだのは、維新との関係を重視する安倍政権の後押しゆえだ。関西出身の世耕弘成経産相はとりわけ前向きだ。

だが、構想浮上から閣議了解まで7年かかった05年愛知万博に比べ、準備不足は明らかだ。

最も重要な開催テーマについて、大阪府は「健康・長寿」を提案した。しかし経産省の有識者会合では「途上国の支持を得にくい」との声が相次ぎ、「未来社会」に今月変更された。

人工知能(AI)や仮想現実(VR)といった先端技術を駆使し、参加型で疲れない万博を目指すという。多くの要素を盛り込もうとしたあまり、かえって万博の統一的な方向性が見えにくくなった感が否めない。

フランスでは官民合同の万博誘致組織が12年末から活動を始めている。日本はまだ、経団連会長をトップとし、今月27日にようやく発足する段階だ。

経産省は今月の有識者会合に「関西弁」に訳した構想案を参考資料として配布した。ところが批判が相次ぐと、すぐに撤回した。政府の司令塔のドタバタぶりにも不安を禁じえない。

万博の会場建設には1250億円かかる見込みだ。過去の万博では国と地元自治体、経済界が3分の1ずつ負担してきた。ただ、関西の企業からは「一過性のイベントに資金を出すのは難しい」との声が相次ぐ。

会場候補の人工島には鉄道がなく、必須となる地下鉄延伸で別に640億円かかる。大阪府と大阪市はカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致とセットでの整備をもくろむものの、カジノには府民の抵抗感が強い。

松井氏らは「20年東京五輪後の成長の起爆剤に」と25年万博開催にこだわる。だが無理押しする必要がどこまであるか。国民の意見を幅広く聞き、立候補を慎重に判断したほうがいい。
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[読売新聞] 個人向けローン 銀行の安易な姿勢はツケ残す (2017年03月26日)

貸しやすい顧客ばかりを相手に安易な利ざや稼ぎに走っていないか。

急増する銀行のアパートローンとカードローンについて、金融庁が実態調査に乗り出した。

銀行には、高収益が期待できる個人向けローンを積極的に増やすことで、マイナス金利政策による収益減を補う目的があろう。

だが、目先の利益を優先した過剰な融資は、新たな貸し倒れリスクを抱え込むことにつながる。

審査体制や営業手法などが顧客本位で行われているか、金融庁には十分なチェックを求めたい。

アパートローンは、投資用の賃貸住宅を建てる人向けの融資だ。2016年の実績は4兆円に迫り、前年より2割以上増えた。

16年の貸家着工件数が8年ぶりの高水準に達したことも、融資の急増ぶりを裏付ける。

きっかけは、15年に相続税の課税対象が拡大したことだ。更地のままより住宅を建てた方が税金が少なくなる。建設資金を銀行から借りると、納税額は一層減る。

問題は、銀行と不動産業者らがアパート経営の節税効果や資産運用益ばかりを強調して、将来のリスクを十分説明しないケースが指摘されていることである。

アパートローンは、借り主が得る家賃収入で返済する仕組みだ。部屋の借り手が確保できればいいが、空室が増えれば、返済が滞る可能性もある。特に、人口減が加速する地方都市を中心に空室リスクが懸念されている。

日銀は、1月の支店長会議で「魅力の乏しい物件などで、空室率上昇や家賃下落が見られるとの声がある」と警鐘を鳴らした。

一方、カードローンも、16年末の残高が5・4兆円に達し、この1年間で1割ほど増えている。

消費者金融業者には、利用者の年収の3分の1を超えた貸し出しができない「総量規制」が導入されている。銀行は対象外だ。

無担保で使い道を問わず、申し込み当日に融資を受けられる手軽さを盛んにPRしている。

消費者金融には抵抗感がある消費者も、銀行から借りるなら安心との心理が働くとされる。

だが、一部には返済能力を大幅に超える金額を融資する事例が報告されている。カードローンの金利は割高だ。行き過ぎた融資が広がれば、多重債務者の増大など社会問題化しかねない。

銀行に求められるのは、将来性のある企業の資金需要を地道に掘り起こし、日本経済の活性化に資する融資を行うことだろう。
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[読売新聞] 対「イスラム国」 有志連合の結束で壊滅目指せ (2017年03月26日)

過激派組織「イスラム国」による卑劣なテロを阻止するには、掃討作戦が不可欠だ。関係国は、米国を中心に緊密に連携し、組織の壊滅を急がねばなるまい。

米国主導の有志連合の閣僚級会合が開かれ、68か国・地域などの代表が参加した。閣僚声明は「イスラム国」を「地球規模の脅威」と位置づけ、「根絶に向けて固く結束していく」と強調した。

「米国第一」を掲げるトランプ政権が会合を呼びかけ、協調を確認した意義は小さくない。議長役のティラーソン米国務長官は、組織打倒への強い決意を示した。

「イスラム国」は、2014年以来、イラクとシリアの一部地域を支配する。有志連合が支援する現地部隊の攻勢により、イラクで約60%、シリアで約30%を奪還したのは明るい材料である。

イラク軍による北部の要衝モスルの制圧作戦は最終局面に入った。自爆テロなどの抵抗を抑え込まねばならない。

壊滅のカギを握るのは、「イスラム国」が首都と称するシリア北部ラッカの攻略だ。米国は、米軍特殊部隊の増派や空爆強化などを検討している。早急に戦略を構築し、実行に移してもらいたい。

「イスラム国」はインターネットで過激思想を拡散し、欧米での無差別テロを煽(あお)る。ロンドン中心部でも最近、関連が疑われるテロが起き、多くの死傷者が出た。

閣僚声明は、ネットでの宣伝戦の対策拡充やテロリストに関する情報の共有を打ち出した。奪還した地域の復興支援や難民の帰還促進も課題に挙げた。

軍事力だけで、過激思想やテロを根絶するのは困難である。現地の政治的安定と民生向上に向け、国際社会が長期的に関与し、資金を提供する取り組みが欠かせない。日本も、人道援助や教育支援などの貢献を続けていきたい。

懸念されるのは、有志連合とは距離を置くロシアの動向だ。シリア内戦に軍事介入し、アサド政権を支援する。停戦協議の主導権も握りつつある。テロ組織の撲滅よりも、中東での影響力拡大に重点を置いているのは間違いない。

トランプ大統領は、ロシアと共同で「イスラム国」掃討作戦を進める構想を持っていた。だが、側近らとロシアの癒着疑惑に関し、国内で強い批判を浴び、対露協調路線は行き詰まっている。

トランプ氏には、同盟国を中心とする有志連合を対テロ戦略の軸に据えたうえで、米露の立場の違いを埋める努力が求められる。
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2017年03月25日

[産経新聞] 【主張】道徳に初教科書 楽しく普遍的価値を学べ (2017年03月25日)

小学校の道徳教科書の検定が初めて行われ、内容が公表された。

合格した民間8社の教科書をみると、思いやりや公共心、生命の尊さなど人々が暮らす上で欠かせない徳目を、子供たちが考えながら学べるよう工夫されている。

戦後教育でおざなりにされてきたことである。子供たちの心に迫る授業を展開し、教育再生を図ってほしい。

検定教科書を使って道徳を教科化することには「国が特定の価値観を押しつける」といった批判がいまだにあるが、的外れだ。

中央教育審議会の答申でうたわれたように、道徳の授業は「押しつけ」とは対極にある。立場の違いで価値判断が異なるなど、多角的に考える力を養うものだ。

道徳は教師の指導力の差が大きい。副読本を読んで終わらせるだけの授業も少なくなかった。

学習指導要領では「正直、誠実」「家族愛」「畏敬の念」など自分自身のほか、社会との関わりや自然、生命の崇高性に関する徳目を挙げ、各学年での指導を分かりやすく示した。

こうした徳目は普遍的な価値を持つ。自ら考えて議論する教育の「芯」となる。それなのに、戦後の教育に欠けていた。検定はそこを重視し、指導要領に照らして足りない内容があれば修正した。

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例えば「規則の尊重」についてだ。5・6年生用では、公園のきまりを守るといった記述にとどまらず、権利と義務をバランスよく学べるよう盛り込んだ。高齢者への尊敬や感謝の気持ちに関する内容を欠く例もあり、検定の結果、修正が加えられた。

個性の尊重に目を向けるあまり、教えられてこなかったものも少なくない。先人への感謝や、人々の支え合いで暮らしが成り立っていることなどである。

正直を説く寓話(ぐうわ)「金の斧(おの)」といった伝統的な物語以外に、「夢」をテーマにプロ野球の大谷翔平選手を登場させるなど、興味をひく工夫もこらしてある。教材研究を通し、指導法を含めてさらなる改善を期待したい。

科学技術の進展やインターネットで情報があふれる時代である。大人も判断に迷う問題が多い。政治や経済の不祥事で「徳」のなさが問われる場面も目立つ。

次代を担う子供たちのため、保護者らも教科書を手に取り、徳育の大切さを再認識すべきだ。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする