2016年10月01日

[日経新聞] 生殖医療の進歩を生かすには (2016年10月01日)

米国の不妊治療病院が、「3人の親」から子を誕生させることに成功した。難病の原因となる細胞の異常が母から受け継がれるのを防ぐため、第三者の卵子も使った。日本でも実施の是非を議論し、ルール作りを急ぐ必要がある。

子は5カ月たっても健康だという。母は細胞のエネルギー工場といわれるミトコンドリアに異常があり、過去に産んだ子は重い病気を起こした。新しい手法で病気を避けられるなら朗報だ。

医師らは健康な女性から提供された卵子から核を除去し、代わりに母の卵子から取りだした核を入れて父の精子で受精させ、母の子宮に戻した。子は両親と女性の3人から生まれたといえる。

近く米学会で発表の予定だが、論文はなく不明な点も多い。手法や結果は最大限公開してほしい。

ミトコンドリアのDNAは母から子へ不規則に受け継がれる。異常なものが多いと神経系や運動機能などの重い障害を起こすが、根本治療の方法はなかった。

新技術には課題も多い。卵子提供者のミトコンドリアが母の遺伝情報に予期せぬ作用をしないか、解明しきれていない。核を移植する際に、母の異常なミトコンドリアが混入する恐れもある。

米国では1990年代、「卵子の若返り」を目的に若い他人のミトコンドリアを注入する例が相次いだ。一部で発達障害が出て、因果関係は明らかでないものの禁止された。今回の手法も類似点があり承認が得られないため、規制の緩いメキシコで実施された。

一方、英国はミトコンドリア病を防ぐための核移植などを認めている。日本でも研究は進んでいるが法制度は未整備だ。日本産科婦人科学会などの指針もない。遺伝子治療のひとつとみなして規制する考え方もあるが、付け焼き刃の対応は好ましくない。

生殖医療の技術進歩は速い。上手に生かせるよう、専門の承認機関がある英国を参考に安全性や倫理的、法的な課題を総合的に検討できる態勢を整えるべきだ。
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[日経新聞] 都庁の無責任体制は目を覆うばかりだ (2016年10月01日)

豊洲市場の主要な建物で盛り土がなかった問題で、東京都の小池百合子知事が職員自らによる検証結果を公表した。段階的に地下空間への変更が検討されたため、変更を決めた個人を限定できないという内容だ。都庁のガバナンスの欠如は深刻と言わざるを得ない。

確かに、建物の構造に関わる問題だけに、1人の職員が一夜にして変えたわけではないだろう。しかし、2008年から13年にかけて検討が進んできたのに、それがなぜ上司に伝わらなかったのか。上司はなぜ確認しなかったのか。依然として疑問はつきない。

変更後も都議会や都民に対しては、盛り土をしているかのような説明が続けられてきた。豊洲問題は都政に関する様々な課題のなかでも重要度が高いテーマだった。おかしいと思う職員がいなかったとは到底、考えられない。

石原慎太郎元知事も含めて、当時の幹部の責任は極めて重い。自らの関与を否定する歴代の中央卸売市場長の姿は、たとえそれが事実としてもあきれるしかない。都政史上で最大級の汚点であると、すべての職員が自覚すべきだ。

都庁の職員は警察や学校関係まで含めて約16万8千人に上る。事務職と技術職の縦割り、同じ技術職のなかでも土木系と建築系などの縦割りは、かねて指摘されてきた問題だ。

小池知事は新たに内部告発を受け付ける「公益通報制度」を設ける方針だ。都庁内の意思決定のあり方から見直すべきだろう。

豊洲市場では地下水の調査で初めて、一部地点から環境基準を上回るベンゼンとヒ素が検出された。人体に影響を及ぼすレベルではないと思われるが、都民の不安はさらに高まっている。

一方、地下空間にたまっている水も含めて、これまでの大半の調査では安全性が確認されている。地下水をくみ上げて処理するシステムが本格稼働すれば、さらに改善するという指摘も多い。

豊洲を巡る問題は、たとえ「安全」だとしても「安心」と受け止めてもらえない状態に陥っている。小池知事や都に求められるのは専門家の意見を参考に必要な対策を講じ、わかりやすい言葉で都民に説明し続けることだろう。

都政、そして都庁に対する信頼は著しく低下している。事実のひとつひとつを公表し、説明責任を果たすことでしか、信頼回復の糸口はつかめない。
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[毎日新聞] 豊洲市場 分からないとは何事か (2016年10月01日)

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豊洲市場で、主要な建物の下に土壌汚染対策の盛り土がされなかった問題について、原因を調査してきた東京都が報告書を公表した。

新市場建設という大きなプロジェクトで、専門家の会議で決まった盛り土をせずに地下空間を作るという重大な設計変更が、なぜ行われたのかが最大の焦点だった。

報告書は、盛り土計画の変更は2008年以降、段階的に固まっていったとして、いつ誰が決めたのかは特定していない。極めて不十分な内容だ。

小池百合子知事の指示を受け、局長級幹部や市場長ら8人が調査に当たった。関係者のヒアリングの他、部内資料も精査したという。

だが、部課長会議など機関決定の肝心な場面について具体的な記述はほとんどない。結局、暗黙の了解のような形で地下空間の設置が決まっていったかのように記されている。内部調査の限界は明らかだ。

そもそも、これだけ大きな設計変更について、関係部局での議論の経過が文書で残っていないとすれば、公文書管理の点からずさんと批判されても仕方ない。都庁は行政組織として重大な欠陥を抱えているといわざるを得ない。

今回の問題では、都議会などで「敷地全面で盛り土をしている」と事実と異なる説明を続けてきた姿勢も問われた。

報告書によると、一部の幹部は、建物の下に盛り土がなく地下空間となっていることを認識していたが、修正しなかったという。無責任極まりない姿勢も、問題の背景にあることをうかがわせる。

また、建物の下に盛り土がされている説明図を問題が発覚するまでホームページに載せ続けたことについては「漫然と継続した」とあるだけだ。都民への説明責任の重さに対する自覚は報告書から感じられない。

小池知事は、公益通報者保護制度を活用して職員からの証言を集め、調査を継続する考えを示した。都議会の集中審議が来週には始まる。

都議会は「百条委員会」を設置し、石原慎太郎元知事らを招致することも本格的に検討すべきではないか。

豊洲市場の安全性の判断に影響を与える事態も明らかになった。都が実施した8回目の地下水モニタリングで、環境基準を超える有害物質のベンゼンとヒ素が初めて検出されたのだ。

これまで7回の調査が正確に実施されていたのかも疑われかねない。年内に実施される9回目の調査結果は来年1月に明らかになる。ここで再び環境基準を超えたらどうするのか。移転そのものについて、先を見据えた対応が求められる。
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[毎日新聞] ハンガリー 自国エゴの連鎖が怖い (2016年10月01日)

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中東などからの難民を分担して受け入れようとする欧州連合(EU)の「割り当て」政策を受け入れるべきか。東欧のハンガリーであす行われる国民投票は、欧州統合の基盤を掘り崩す危険性をはらんでおり、その行方が懸念される。

英国は今年6月の国民投票でEUからの離脱を決めた。一方、ハンガリーの国民投票は、EUにとどまりながら、EUの政策を「民意」を盾に拒否しようとオルバン政権が画策したものだ。有権者の過半数が投票し、投票者の過半数が「受け入れ拒否」を支持すれば、政権の「勝利」となる。事前の世論調査を見る限りでは、そうなる可能性が高い。

欧州には昨年、100万人を超える難民が流入した。昨年9月、EUはまず約16万人の難民を各国に割り当てることを決めたが、現段階で受け入れられたのは約5000人にとどまる。ハンガリーなど東欧諸国が割り当てに強く反発していることが受け入れが進まない大きな理由だ。

第二次世界大戦後、多くの移民や難民を受け入れてきた西欧諸国に対し、冷戦終結後にEUに新規加盟した東欧諸国は難民受け入れの経験が乏しい。昨年は西欧を目指す難民の通過地となり、鉄道駅や道路が難民に一時占拠されるなど社会に大混乱をもたらした。難民の多くがイスラム教徒で、受け入れによってキリスト教に根ざす伝統的な社会の変容を懸念する国民の不安も理解できる。

とはいえ、ハンガリーなど東欧諸国はEU加盟で経済的に大きな利益を得てきた。加盟から10年以上たちEUの一員として「いいとこ取り」は許されまい。政権には、戦後欧州が目指してきた寛容な社会づくりへ国民を説得する責任があるはずだ。

ところがオルバン政権は違うようだ。社会の「右傾化」を背景に2010年の総選挙で大勝し、ハンガリー民族の歴史と伝統の偉大さを前文にうたう憲法改正を実現した。今回も難民の脅威を誇張して国民の不安をあおってきた。経済政策の行き詰まりから国民の目をそらし、独裁的な政治手法への批判をかわすために国民投票を政治利用しようとしているのであれば無責任だ。

ハンガリー国民投票の結果は、他の欧州諸国の反EU極右勢力を勢いづける可能性もある。自国の主張を通すために、法的根拠の乏しい国民投票が各国で乱用されるようになれば、EUの結束は乱れ、難民政策にとどまらず、あらゆる統一政策が立ちゆかなくなる恐れもある。

EUと加盟各国首脳は、こうした「自国エゴ」の連鎖を食い止めなければならない。ハンガリーには、EUに加盟した当時の理想と気概をもう一度、思い起こしてほしい。
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[読売新聞] OPEC合意 原油減産を相場安定の契機に (2016年10月01日)

サウジアラビアなど14か国が加盟する石油輸出国機構(OPEC)が、原油の減産で8年ぶりに合意した。

供給量を抑えることで原油価格の低迷に歯止めをかける狙いがある。

OPEC各国がしっかりと足並みをそろえ、原油相場の乱高下を防ぐことが重要だ。

合意は、8月時点で日量3324万バレルのOPEC原油生産量を、3250万?3300万バレルの範囲に収めることが柱である。

これまで相場の維持よりもシェア(市場占有率)拡大を優先し、増産基調にあったOPECの大きな路線転換と言える。

原油価格は2014年半ばまで1バレル=100ドル前後の高値圏にあったが、中国など新興国経済の悪化を背景に需要が低迷し、相場は急落した。今年2月には26ドル台と12年ぶりの安値となり、最近は40ドル台で推移していた。

原油安は本来、日本を始め原油の消費国にとってプラスとなる。しかし、産油国の財政悪化などでオイルマネーが金融市場から流出する動きが強まっている。

特に年明け以降は株式市場が原油価格に敏感に反応するようになり、乱高下が助長された。行き過ぎた原油安は、世界経済の大きなリスク要因である。

減産合意の着実な履行による原油価格の安定は、産油国と消費国双方にとっての利益となる。

気がかりなのは、OPECの盟主であるサウジと、大生産国のイランの対立が根深いことだ。

イランは、核開発に絡む米欧などからの経済制裁が今年初めに解除され、増産の意欲が強い。

サウジは大幅な減産を受け入れてイランに一定の増産を認める形で、ひとまず減産合意にこぎつけた模様だ。11月末の総会で国別産出量を調整する方向だが、政治的に鋭く対立する両国が折り合えるかどうか、予断を許さない。

OPECの生産量は世界全体の約4割で、かつてほどの価格決定力がない側面もある。非OPECの産油国への目配りも大切だ。

米国は、岩盤に染み込んだ原油であるシェールオイルの開発によって、今やサウジに比肩する産油国だ。採掘コストが高く、近年の原油安で打撃を受けたが、相場が持ち直せば、再び供給量が増えて値崩れを招く懸念がある。

OPECは今回の減産合意に関し、世界有数の産油国であるロシアなど域外国に協力を求める方針だ。原油相場の安定に向け、連携強化に努めなければならない。
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[読売新聞] 豊洲市場問題 安全確保と都政改革が重要だ (2016年10月01日)

部局間で情報が共有されていない。コンプライアンスの意識が欠けている。豊洲市場問題を通して、都政の問題点があぶり出されたと言える。

東京都の豊洲市場の建物下に盛り土がなかった問題に関する内部調査の結果が、小池百合子知事に提出された。専門家にも諮らずに、重大な計画変更を決めたのは誰なのか、特定には至らなかった。

専門家会議が敷地全体の盛り土を提言したのは、2008年7月だ。その3か月後、盛り土をせずに地下空間を設ける案が内部で検討され、10年11月から13年2月にかけて段階的に計画が変更された。報告書はそう指摘する。

責任の所在が不明確なまま、なし崩し的に計画が変更されていた経緯がうかがえる。

報告書によると、都議会の答弁は、土壌汚染対策を所管する土木担当部門が担当していた。事実と異なるという認識のないまま、前例に沿った答弁を続けていた。

施設の建築担当部門では建物下に盛り土がないことを把握していたにもかかわらず、答弁を修正させることはなかった。縦割りの弊害と言うほかない。

小池氏は記者会見で、調査の継続を表明し、「意思決定のプロセスに不備があった。都の組織運営上の問題であり、だからこそ都政改革が必要だ」と強調した。

問題を見過ごしていた都議会も責任を免れない。知事に協力し、巨大組織が抱える問題点を洗い出して改善につなげるべきだ。

豊洲市場に移転した場合、食の安全は保たれるのか。この点が、都民の大きな関心事だろう。

市場の3地点の地下水から、環境基準をわずかに上回るベンゼン、ヒ素が初めて検出された。

人体に直ちに影響はないとみられるものの、都民の不安を考えれば、汚染源などを徹底的に調査してもらいたい。

小池氏は、市場の移転について、地下水調査の最終結果を待って判断する方針を示している。専門家の意見を踏まえて、安全性を冷静に見極める必要がある。

水産仲卸売場棟の構造計算書に不備があったことも新たに判明した。コンクリート床の一部で、計算書の数値と実際の厚さに食い違いが生じていた。都は、床の耐荷重や耐震性などに問題がないかどうか検証するという。

そもそも、盛り土をせずに地下空間を設けたことに、安全上の問題はないのか。様々な課題に誠実に対応しなければ、市場関係者や消費者の信頼は取り戻せない。
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[朝日新聞] 豊洲市場問題 都政改革へ徹底解明を (2016年10月01日)

およそ納得できる結論ではない。これでは小池百合子知事が掲げる「自律改革」も看板倒れになりかねない。

東京都の豊洲市場の盛り土問題について、小池氏がきのう、内部調査の報告を発表した。

専門家会議が想定しなかった地下空間がつくられた主な原因として、職員の連携不足や組織の縦割りなどを挙げたが、責任者や時期は特定しなかった。

「誰が、いつ、どこで、何を決めたのか。原因を探求する義務がある」。議会で明言したのは3日前。その「義務」が果たされないままでは、都民も肩すかしを食った気分だろう。

市場の移転問題だけでなく、東京五輪の費用見直しでも次々に課題が噴出している。新任の知事がいきなり挑む問題としては相当厳しいのも確かだ。

今回の不十分な報告は、16万人の職員からなる官僚組織に切り込むには、いかに壁が厚いかを物語っているのだろう。

しかし、総額数千億円を投じた公共事業がここまで不透明に進められ、都民に虚偽の説明がなされてきた事実は重い。

調査の中で元市場長の一人は「専門家会議の提言の通りにやらないことは、憲法を守らないのと同じと考えていた」と語った。ならばなぜそうなったのかとの疑問がいっそう膨らむ。

知事が言うとおり、目的は犯人捜しではない。主眼は、これまでの都政の問題を洗い出し、是正に生かすことにある。

巨大プロジェクトをどう決めているのか。都議会と健全な関係にあるのか。都政のブラックボックスをこじ開ける役を小池氏は有権者から託されたのだ。

就任直後から果敢に手腕を振るう姿勢をみせたことは評価できる。一方で就任から2カ月たち、一定の結果を示す段階にさしかかっているのも確かだ。

新市場の建物や地下水などの安全問題は、専門家会議の調べによる結論を待つべきだろう。いたずらに風評被害を招いてはならない。冷静な分析のもとで安全性を判断すべきだ。

一方、盛り土問題は、立ち止まることなく事実解明を尽くすべきだ。都政改革本部には、外部有識者も加わって各局を点検する「内部統制プロジェクトチーム」がある。生きた検証材料になるのではないか。

都には、4年後に迫る五輪開催の責任のほか、高齢社会にどう向き合うかなど様々な課題がある。古い密室行政の体質から脱し、透明で効率よい都政づくりを都民は待望している。

改革の勢いを、ここで失速させてはならない。
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[朝日新聞] 新潟県知事選 原発立地の安全論じよ (2016年10月01日)

新潟県知事選が告示された。原子力規制委員会による東京電力柏崎刈羽原発の安全審査が終盤を迎えるなか、再稼働に慎重だった現職の泉田裕彦氏が立候補を見送った。新知事は再稼働に同意するのか、判断を求められることになる。

無所属の新顔4人が立候補した。自民、公明推薦で前長岡市長の森民夫氏と、共産、社民、生活推薦で医師の米山隆一氏の全面対決の様相になっている。

柏崎刈羽原発の30キロ圏には約46万人が住む。住民の安全をどう確保していくか。投開票の16日にむけ、各候補は対策を具体的に語ってもらいたい。

事故時に住民をスムーズに避難させる防災対策は、原発の安全上の「最後の壁」とされる。立地自治体トップの知事に課せられる責務は極めて重い。

泉田氏は「東電福島第一原発事故の検証と総括なしに、再稼働を議論しない」とし、有識者委員会で独自検証を続けてきた。住民避難計画が新規制基準に含まれていない点も問題視し、国に改善を求めてきた。

柏崎刈羽原発では02年に東電のトラブル隠しが発覚し、07年の中越沖地震では火災と微量の放射能漏れが起きた。原発と東電への県民の不安と不信は根強い。泉田氏はこれを踏まえ、問題提起を続けてきたといえる。

今回の選挙で、米山氏は「泉田路線を継承し、福島事故の検証がなされない限り、再稼働の議論は始めない」と主張する。泉田氏の政治手法に批判的だった森氏は「県民の安全最優先で、規制委の結論が出れば厳しく検証する」と一線を画す。

有権者の判断のポイントになってきそうだ。

知事が持つ原発再稼働への「同意権」は、電力事業者との安全協定に由来した慣例的な権限で、法的なものではない。

7月に就任した鹿児島県の三反園訓知事が九州電力川内原発の運転停止を要請した際、「国のエネルギー政策を揺るがすべきではない」との批判が上がったが、この批判はおかしい。事故で最も影響を受けるのは立地地域だ。住民の不安を軽減するため、自治体は事業者と交渉を重ね、安全対策に関与するしくみと権限を獲得してきた。

福島の事故で、住民の不安はさらに強まった。自治体トップが、安全確保を事業者と国任せにしないのはむしろ当然だ。

新潟県は東電の供給区域ではないのに、首都圏に送電する原発のリスクを負ってきた。知事選は、国の政策に直結する選択となる。全国的な視野に立った論戦を期待したい。
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2016年09月30日

[東京新聞] イグ・ノーベル賞 笑った後で考える科学 (2016年09月30日)

米ハーバード大で先週、イグ・ノーベル賞の授賞式があり、日本人が十年連続で受賞した。賞は「まず人を笑わせ、そして考えさせる」研究が対象。ユーモアが科学を身近にしてくれる。

本年度の「知覚賞」に選ばれたのが、立命館大の東山篤規(あつき)教授らの「股のぞき」だ。

京都府の天橋立に行くと誰もがやってみる。天地がひっくり返るとともに、遠くのものが近くに見える。日本人にはなじみの行動だが、見え方が変わるのはなぜか。学生ボランティアを使った実験での結論は、意外にも「いつもと違う姿勢によって知覚の精度が下がる」ということだった。「なぜ」と考えることの大事さを教えてくれる。

授賞式後、東山教授が股のぞきを実演すると爆笑が起きた。講演会の会場では「逆立ちでは」との質問が出たという。まさに「笑わせ、考えさせる」研究である。

同賞は一九九一年に始まった。特典は、本物のノーベル賞受賞者から認定書が贈られることで、旅費も出ない。例年、十件のテーマが選ばれるが、すべてが科学的な業績とは限らない。

今年の化学賞は、排ガス規制で不正を働いたフォルクスワーゲン社。授賞理由は、排ガス問題を検査時に自動的・電気機械的に処理したという皮肉である。

国別では、米国が圧倒的に多い。日本はカラオケが「人々が互いに寛容になることを教えた」として平和賞に選ばれるなど二十二件。英国と二位を争う。ドイツは少なく、中国が健闘している。

オランダ人物理学者のアンドレ・ガイム博士は二〇一〇年に「炭素新素材グラフェン」でノーベル物理学賞を受賞しているが、〇〇年に「カエルの磁気浮上」でイグ・ノーベル賞も取っている。

独創的な研究はときに巧まざるユーモアを感じさせる。クラゲを八十五万匹捕まえた。何度も実験装置を爆発させた。これはどちらの賞だろうか。

〇八年にノーベル化学賞を受賞した下村脩・名古屋大特別教授は家族総出でクラゲを捕った。緑色に光るタンパク質GFPを見つけるためだった。

中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授は実験装置を何度も爆発させた末、青色発光ダイオードの製作に成功。一四年にノーベル物理学賞を受賞した。

来週からノーベル賞の発表が始まる。三年連続の日本人受賞を期待したい。
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[産経新聞] 【主張】五輪計画 仕切り直しを躊躇するな (2016年09月30日)

不都合な事実があるなら、これを改めるに躊躇(ちゅうちょ)すべきではない。ただし決断の根拠は明確に示さなければならない。

2020年東京五輪・パラリンピックの開催費用を検証する都の調査チームが、競技会場となる3施設について、建設中止を含む抜本的な見直し案を小池百合子都知事に報告した。大会経費は推計3兆円を超える可能性を指摘し、コストの削減を提案している。

小池知事も「しっかりと受け止めたい」とし、代替地開催などを検討する考えを示した。

さっそく五輪組織委員会の森喜朗会長は「国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で決まっていることをひっくり返すことは、極めて難しい問題だろう」と小池知事に伝え、丸川珠代五輪相も「別途新たな負担が生じる可能性がある」などと述べた。

調査対象の3施設は、ボートとカヌー会場の「海の森水上競技場」、水泳会場の「五輪水泳センター」、バレーボール会場の「有明アリーナ」だ。

当初計画の69億円が491億円に膨らんだボート会場は宮城県の「長沼ボート場」へ、321億円から683億円の水泳会場は近接の「東京辰巳国際水泳場」、176億円から404億円のバレー会場は横浜市の「パシフィコ横浜」などへ、代替地の候補もあげられた。費用の暴騰や代替案の問題点について詳細を明らかにし、公明正大な判断を求めたい。

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五輪準備をめぐっては、新国立競技場の建設計画や大会エンブレムが白紙撤回されるなどの不手際が続いた。小池知事は28日の所信表明演説で「都政は都民の信頼を失った」と述べたが、それは五輪準備も同様だ。都や組織委、スポーツ界、国の役割分担が不明瞭で、一連の不祥事でも責任の所在は常にあいまいだった。

東京五輪は、明るい気持ちで迎える夢の大会でありたい。リオデジャネイロ大会の選手の奮闘はその機運を盛り上げたが、競技以外の場面で負の話題が多すぎる。

小池知事は「都民ファースト」を基本姿勢に掲げるが、五輪招致時の理念であった「アスリート・ファースト(選手第一)」も忘れてはならない。選手は、華美で豪勢な施設を求めていない。必要なのは良好な競技環境と、観衆の興奮である。このことを判断材料の第一に据えてもらいたい。
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[東京新聞] 東京五輪の検証 「コンパクト」の初心に (2016年09月30日)

二〇二〇年東京五輪・パラリンピックはコンパクトに。小池百合子東京都知事はその約束を果たしてほしい。徹底した情報公開と合意づくりに努め、いわば都民、国民の手に五輪を取り戻すことだ。

五輪の招致計画段階での開催費用の見積もりは、七千三百億円余りだった。それが、いつの間にか二兆円、三兆円に増えそうだという想定外の見通しが飛び交い、不安と懸念が強まっている。

問題なのは、その根拠も、資金の出所も、責任の所在さえも、都民、国民によく知らされていなかったという点だ。

小池氏が設けた都政改革本部の調査チームは、その原因を曲がりなりにも摘出した。いまの野放図な準備の進め方では、費用は三兆円を超えるかもしれないという。

都の本年度予算に基づけば、高齢者や障害者、子どもらの医療や保健、介護、福祉分野の予算のざっと三年分に匹敵する。市民感覚からすれば納得し難いだろう。

なぜ費用が膨らみがちになるのか。調査チームの一次報告書はいくつもの課題を示している。

致命的なのは、五輪推進体制の欠陥ではないか。大会組織委員会が準備や運営を担いながら、開催都市の都が財政責任を負っている。国はそれに協力するのみだ。

現状の三者体制を会社に例えれば、社長と財務部長が不在というわけだ。組織委の民間からの収入は五千億円程度にとどまるとみられ、残りの請求書は都民に回される仕組みになっている。

計画の立案から予算の見積もり、人員の配置まで、チェックが利かない無責任体制も同然だ。報告書の提案通りに、国や都による風通しの良い一元的な管理体制に速やかに改めるべきである。

司令塔をはっきりさせ、無駄を省くという方針を隅々まで貫徹させるだけでも、現場のコスト意識は変わるのではないか。

競技施設の整備では、既存施設の利用を最優先する。仮設施設は質素を旨とし、恒久施設は負の遺産にしない。そうした不退転の決意で、国際オリンピック委員会や国内外の競技団体と粘り強く協議してほしい。

最大一兆六千億円に上る見込みという大会運営や警備、輸送、広報といったソフト面の費用の圧縮にも衆知を集めねばならない。

諸外国では、財政難から二四年夏季五輪への立候補を取りやめる都市が相次ぐ。東京五輪では、五輪そのものの持続可能性をも問われていることを銘記したい。
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[産経新聞] 【主張】中国企業訴追 北制裁の抜け穴をふさげ (2016年09月30日)

北朝鮮の制裁逃れに加担し、核兵器開発を助けていた中国企業とその幹部を、米政府が初めて訴追した。併せて金融制裁にも踏み切った。

北朝鮮の貿易総額の、実に9割を中国企業が占めている。これは北朝鮮制裁の「抜け穴」にメスを入れたものであり、監督すべき中国政府の責任は重大である。

米政府は2月、中国など「第三国」の法人・個人を金融制裁の対象とする、北朝鮮への独自制裁法を成立させた。今回の訴追は、これを受けたものだ。中国企業に対する発動は、抜け穴を放置した中国政府に圧力をかける上でも大きな意味を持つ。

中国・丹東(遼寧省)の貿易会社「鴻祥実業発展有限公司」は、戦略物資である重油や、汎用(はんよう)品バッテリーなどを北朝鮮に輸出してきた。高濃度ウランを製造する遠心分離機用の酸化アルミニウムまで含まれていたという。

中朝貿易を管理するはずの中国税関は、女性経営者の贈賄で、検査機能を果たしていなかったとも伝えられる。

米国から核関連物資輸出の証拠を突きつけられ、中国当局も同社を含む複数の国内関係先の調べにようやく乗りだしたようだ。

北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するため、国連安全保障理事会はジェット燃料の禁輸を含む厳しい制裁を科し、日米韓なども独自の制裁を実施している。だが抜け穴があっては、国際社会の努力は実を結ばない。

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北朝鮮は今月、制裁をあざ笑うかのように、軍用機などによる航空ショーを開催した。制裁下にあってもふんだんにジェット燃料を消費するショーを開けることを強調したかったのだろう。中国ルートの抜け穴がこれを支えていたとすれば、許されないことだ。

5回目の核実験強行を受けて安保理は、新たな制裁決議を調整している。同時に、現行の制裁が厳格に履行されるよう中国に圧力をかけ続けなくてはならない。

米国務省のラッセル次官補(東アジア・太平洋担当)は、核・ミサイル開発阻止のため、北朝鮮の資金源を断つ新たな措置を日韓とともに検討中だと公表した。欧州連合(EU)との間では北朝鮮を国際金融システムから排除する協議も始まった。あらゆる制裁の手段を総動員し、北朝鮮の暴挙を押しとどめるべきだ。
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