2018年06月23日

[東京新聞] 地上イージス 導入は見直すべきだ (2018年06月23日)

米朝首脳会談後の情勢変化にもかかわらず、安倍内閣は地上配備型迎撃システムの導入を進めるという。防衛力は脅威の度合いに応じて節度を保って整備すべきだ。計画を見直すべきではないか。

弾道ミサイルを迎撃ミサイルで撃ち落とす弾道ミサイル防衛システム。安倍内閣は昨年十二月十九日、海上自衛隊の護衛艦に搭載する従来のシステムに加え、地上に配備する「イージス・アショア」を二基導入する方針を閣議決定した。

秋田県と山口県にある陸上自衛隊の演習場に配備、日本全域をカバーするという。

導入理由に挙げていたのが北朝鮮による核・ミサイル開発だ。安倍晋三首相は「北朝鮮による核・ミサイル開発がこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっている」と説明していた。

しかし、北朝鮮の脅威の度合いは今月十二日の米朝首脳会談後、明らかに変化している。それは安倍内閣も認識しているはずだ。

菅義偉官房長官が「日本にいつミサイルが向かってくるか分からない、安全保障上の極めて厳しい状況はかつてより緩和された」と述べたのは、その証左だろう。

にもかかわらずイージス・アショア導入方針を堅持するという。小野寺五典防衛相はきのう秋田、山口両県を説明に訪れ、「脅威は変わってない」と述べた。菅氏の発言との整合性を欠いている。

導入には一基一千億円程度かかるという。迎撃ミサイルの命中精度にも懸念がある。国際情勢が好転の兆しを見せる中、高額装備の導入をなぜ急ぐ必要があるのか。

その背景に米国からの防衛装備品の購入圧力があると疑わざるを得ない。トランプ米大統領は昨年十一月六日、日米首脳会談後の記者会見で「首相は米国からさまざまな防衛装備を購入することになる。そうすればミサイルを撃ち落とすことができる」と述べ、首相は「北朝鮮情勢が厳しくなる中、日本の防衛力を質的に量的に拡充しないといけない。米国からさらに購入するだろう」と応じた。

イージス・アショア導入を閣議決定したのはその約一カ月後だ。脅威が差し迫っているのならまだしも、緊張緩和局面での計画強行は、米国の意向に沿った、導入ありきとの批判は免れまい。

政府は北朝鮮の弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を当面中止することを決めた。同様にイージス・アショア導入も見合わせてはどうか。防衛政策は情勢の変化に応じて不断に見直す必要がある。
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[産経新聞] 【主張】災害時のデマ 卑劣なネット拡散許すな (2018年06月23日)

大阪北部地震の発生直後から、ツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)を中心に、さまざまな流言、虚報(デマ)が飛び交った。

災害時の混乱に乗じ、根拠のない嘘を広めようとする卑劣な行為を決して許してはならない。

被災地以外でも話題になった「シマウマが脱走した」「京セラドームに亀裂が入った」「電車が脱線した」との投稿はいずれも嘘だった。シマウマや京セラドームの写真を添付するなど、手口は悪質である。

平成23年の東日本大震災や、28年の熊本地震でも、同様のデマが流れた。熊本地震直後には、神奈川県の会社員の男が「動物園からライオンが逃げた」とツイッターで流した。動物園の業務を妨害したとして逮捕されると「悪ふざけでやった」と供述したという。

こうした情報を信じた人がいれば、避難行動にも影響する。震災被害を拡大しかねない、許されない行為であると知るべきだ。

流言の中でも見過ごせないのは「外国人の窃盗・強盗に注意」「テロに注意」といった外国人、在日外国人に対する偏見、差別の助長につながる表現だ。特定の人々を攻撃する行為である。

大正12年の関東大震災では、混乱の中で「朝鮮人が暴動を起こした」などの流言により、朝鮮半島出身の人々らが殺害され、止めようとした日本人が犠牲になる事件も起きた。

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SNSの運営会社も、そうした発言について利用規定を厳格に運用し、チェックを強化してほしい。要請があればデマを削除することなどはもちろん、書き込んだ人間の利用を凍結するなど、毅然(きぜん)とした態度で臨むべきだ。

違法行為は「軽い気持ちだった」などという言い訳は通じない。デジタル教育の場でも、基本的な事項と位置づけたい。

今回、大阪府はホームページに「事実と異なる情報が発信、拡散されている。情報の発信元には注意し十分に確認を」と記載し、冷静な対応を呼びかけている。

情報化社会の今、投稿された内容は真偽にかかわらず瞬時に拡散する。個々の利用者が真偽を確かめないまま引用する行為は、非常時の混乱を加速するのだ。

個人が自由に情報発信できる価値を守りたい。その価値を損なおうとする行為を見極める努力も欠かせない。
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[東京新聞] ブロック塀倒壊 無責任が犠牲を生んだ (2018年06月23日)

守れたはずの命だった−。こんな後悔を二度と繰り返さないように備えたい。大阪府北部地震の強い揺れは、ブロック塀の倒壊という人災に転化し、幼い命を奪った。大人の無責任が奪ったのだ。

地震はブロック塀を凶器に変える。危険性が知られるきっかけは、一九七八年の宮城県沖地震だった。その反省から八一年の建築基準法の見直しに併せ、ブロック塀の耐震基準が強められた。

しかし、小学四年の女児が下敷きとなった高槻市立寿栄小学校の塀は、旧基準にさえ違反したまま放置されていた。しかも、三年前に防災専門家が警告したのに、市教育委員会と学校は結果として生かせなかった。

直ちに撤去したり、改修したりしていれば、と思い返すのもくやしい。

ブロック塀の高さは三・五メートルと、上限の二・二メートルを大幅に超えていた。旧基準の上限ですら三メートルだった。加えて、高さが一・二メートルを超える場合には、塀を内側から支える「控え壁」を設けなくてはならないのに、それもなかった。

危険性を指摘され、建築職をふくめた市教委職員らが塀の点検に出向いたが、こうした違法性を見逃していた。亀裂や傾き、劣化度合いのみを確かめ、安全性に問題はないと判断していたという。

子どもを守るべき安全管理態勢としては、あまりにずさんかつ無責任というほかない。

学校の耐震強化策といえば、校舎や体育館などの建物ばかりに目が向きがちだ。外部からの不審者の侵入を防いだり、視線を遮ったりする役目を期待されてきたブロック塀も、当然ながら安全対策の対象だったはずだ。

もちろん、学校だけの問題ではない。今度の地震では、通学路の見守り活動をしていたお年寄りの男性も、民家の塀の下敷きになり、亡くなった。

街路に立つ塀や壁の安全性について、地域ぐるみであらためてチェックしなくてはならない。

国土交通省は点検すべき項目を公表している。高さや厚さは適切か、傾きやひび割れはないか、控え壁はあるか、地中に基礎はあるか。

疑問があれば、専門家に相談したい。必要に応じて補修や撤去を急ぐべきだ。自治体は助成金を出す制度を整えている。当面、注意表示を掲げるのも有効だ。

地震はいつ、どこで発生するか分からない。しかし、天災が人災に転じるのは防ぐことができる。
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[産経新聞] 【主張】ミサイル避難訓練 中止で国民を守れるのか (2018年06月23日)

弾道ミサイルの脅威は消え去ったのだろうか。国民を本気で守る気構えが政府にあるのかと、首をかしげたくなる。

菅義偉官房長官が、北朝鮮の弾道ミサイル飛来に備えた政府と各自治体による住民避難訓練を、当面中止すると発表したことである。

小野寺五典防衛相は同じ日、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」について、候補地である山口県の関係者に説明した。そこで語ったのは「北朝鮮は数百発の日本に届く弾道ミサイルや、かなりの数の核弾頭を保有し、具体的な廃棄の動きもない」ということだ。「脅威は何も変わっていない」と強調したのである。

ミサイル避難訓練は今年度、すでに訓練を終えた群馬、福岡両県以外に栃木、香川など9県で実施が予定されていた。すべて見送るという。訓練の必要性がなくなったという判断は極めて疑問だ。中止を撤回してもらいたい。

北朝鮮がミサイルを撃てば10分足らずで日本に着弾する。ミサイル防衛(MD)ですべてを撃ち落とすのは困難だ。全国瞬時警報システム(Jアラート)を聞いた国民は、限られた時間で速やかに避難しなければならない。

台風や地震に備える訓練と同様に、ミサイル避難訓練の積み重ねによって、万一の際の被害を減らすことができる。

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菅氏は「昨年のミサイル発射が頻繁だった時期とは異なり、今すぐミサイルが飛んでくるような状況ではない」と述べた。

たしかに、米朝首脳会談は「朝鮮半島の非核化」で合意し、北朝鮮はミサイルを発射しない意向を表明している。だが、これを真の緊張緩和とみなすのは早計だ。

北朝鮮は、弾道ミサイルや核兵器を廃棄する具体的な道筋も一向に示していない。それもあって、政府はイージス・アショア配備の方針を堅持しているのだろう。避難訓練を続けないのはそもそも理屈が合わない。

避難訓練は北朝鮮情勢にかかわらず必要でもある。中国、ロシアは北朝鮮よりも高性能の弾道・巡航ミサイルを持っている。

避難訓練は米朝間の対話ムードを損なうとでもいうのか。小野寺氏は「国際情勢は、瞬間にまた、大きな変化があるかもしれない」と語った。それに備えるのが、国民を守るということである。
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[毎日新聞] きょう沖縄慰霊の日 本土との溝をどうするか (2018年06月23日)

沖縄はきょう「慰霊の日」を迎えた。73年前の沖縄戦で旧日本軍による米軍との組織的戦闘が終結したとされる日だ。

米軍の本土侵攻を遅らせようと3カ月近くに及んだ持久戦で約20万人が犠牲となり、うち約9万4000人が一般の住民だった。軍に集団自決を強いられるなど、県民の4人に1人が命を奪われた凄惨(せいさん)な戦争であったことを忘れてはならない。

米軍の占領統治も苛烈を極めた。住民の多くは一時、収容所に入れられ、「銃剣とブルドーザー」による基地建設で住む土地を追われた。

一般に日本人の近現代の時代認識は「戦前」「戦後」に区分されるが、沖縄では1972年の本土復帰が画期となる。戦後日本の高度経済成長を共有できず、経済格差と基地負担の不公平という本土との溝を抱えたまま復帰後の沖縄が形作られた。

そして今あるのは、国土面積の0・6%しかない沖縄に米軍専用施設の70%が集中する現実だ。

かつて「沖縄イニシアティブ」というリポートがあった。沖縄サミット(主要国首脳会議)の開かれた2000年に琉球大の教授らが発表し、米軍基地の存在意義を認める内容に当時、異論も多かった。

だが、それまでの反基地闘争や独立論などと一線を画した沖縄の自立論はその後の保守県政に大きな影響を与えた。基地の整理・縮小が確実に進むなら、日本の一員として安全保障面の役割をある程度担いつつ、地域の特性を生かして自立的に発展していこうという考え方だ。

本土との溝を埋めようとする沖縄からのアプローチともいえるが、政府側はかたくなだ。沖縄振興への財政支援と引き換えに、沖縄の頭越しに日米間で決めた米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設受け入れを迫る姿勢に終始している。

これでは日本の安全保障が沖縄の犠牲の上に成り立ってきた従来の構図と変わらない。沖縄戦以降の歴史的経緯から目を背け、移設に反対する人々を敵視するような言論がネット上などに発信される状況は、政府の対応とも無縁ではないだろう。

本土側の無理解が沖縄への偏見を助長し、沖縄と本土の溝を広げている。歴史を見つめ直し、この悪循環を止めなければならない。
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[毎日新聞] 参考人への非常識なやじ 品位なき議員には懲罰を (2018年06月23日)

あるまじき言動だ。あまりに非常識で国会議員としての資質を疑わざるをえない。

自民党の穴見陽一衆院議員が、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案について審議した衆院厚生労働委員会で、参考人として受動喫煙の問題を訴えた肺がん患者に、「いいかげんにしろ」とやじを飛ばした。

参考人の長谷川一男さんはステージ4の重度の肺がん患者だ。優れない体調にもかかわらず、弱くなった背骨を守るコルセットを背中に当て、通勤ラッシュの中、委員会の求めに応じて出席した。

そんな長谷川さんに対する耳を疑う発言である。

やじは、屋外での喫煙規制に関する質問に長谷川さんが「なるべく吸ってほしくない」としつつ、喫煙者にも配慮し「屋外喫煙所も一つの方法だ」と言ったときだった。

長谷川さんはたばこを吸わないが、長く受動喫煙の環境下にあったという。がん患者に非情とも言える仕打ちだが、穴見議員が地元の大分がん研究振興財団の理事の役職にいたというのだから、あきれる。

本来ならがん患者を守るために見識を示す立場のはずだ。この財団が「考えられない発言で申し訳ない」と陳謝したのは当然だろう。

穴見議員はファミリーレストランの経営に携わっている。改正案では大手外食チェーンは全面禁煙となる。経営上の利害が背景にあったのではと勘ぐられても仕方がない。

そもそも長谷川さんを国会に招いたのは委員会である。参考人招致は憲法が定める国政調査権の一つで、国会が専門家や関係者の意見を法案審議に反映させるねらいがある。

穴見議員は「不快な思いを与えたとすれば、心からの反省と共に深くおわびする」とのコメントを出した。人ごとのようで誠意が感じられないにもかかわらず、高鳥修一委員長は口頭で厳重注意しただけだ。

招いたゲストに威圧的なことばを浴びせた穴見議員の非礼は委員会の権威も汚した。その程度の処分で済まされるなら国会の権威にもかかわる。懲罰に値する事案だ。

衆院規則には「議院の品位を傷つけ、その情状が特に重い者」の除名など懲罰規定がある。国会は穴見議員の責任を見過ごすべきではない。
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[読売新聞] 陸上型イージス 配備の意義を丁寧に訴えたい (2018年06月23日)

将来の脅威に備え、防衛力を着実に整備していくことが欠かせない。東アジア各国はミサイル開発を進めており、その防衛は優先課題だ。

政府は、弾道ミサイルを撃ち落とす陸上型イージスシステム「イージスアショア」を導入し、2023年度からの運用を目指している。秋田、山口両県の陸上自衛隊の演習場に配備し、2基で日本全土をカバーする。

小野寺防衛相は両県を訪問し、知事らに対して、システムの県内設置への理解を求めた。

ミサイル防衛は、海上自衛隊のイージス艦搭載の「SM3」が大気圏外で迎撃し、撃ち漏らしを空自の地対空誘導弾「PAC3」が対応する。イージス艦と同等の機能を持つイージスアショアは、迎撃態勢を補完する位置づけだ。

ミサイル着弾の可能性を低減させる意義は大きい。

イージスアショアの運用は、陸自が担う。陸海空3自衛隊の統合運用を円滑に進め、対処能力を向上させねばならない。

両県には、地上施設のレーダーが放つ電波による健康被害を心配する声や、テロの対象にならないかといった懸念がある。

小野寺氏は知事らとの会談で、電波の影響を調査し、健康確保策を検討する考えを示した。住民に対する説明会を重ね、不安の払拭(ふっしょく)に努める必要がある。

北朝鮮は日本を射程に入れる弾道ミサイルを配備している。米朝首脳会談でもミサイル廃棄の道筋はついていない。万が一の危機に備えるのは当然である。

予想される安全保障環境の変化を分析し、財政的に無理なく防衛装備を充実させることが大切だ。それが国民の理解につながる。

中国は、弾道ミサイルに加え、低い高度を飛ぶ高性能の巡航ミサイルを保有する。戦略爆撃機は頻繁に日本周辺を飛行している。中国機に対する空自の緊急発進は昨年度500回にのぼった。

巡航ミサイルを迎撃する機能をイージスアショアに持たせることも可能だ。抑止力を高め、中国の活動に歯止めをかけるべきだ。

イージスアショアは1基1000億円弱とされ、米軍から調達する。米国が価格決定の主導権を握っており、高騰しがちだ。

政府は米国と交渉し、コスト削減に努めなければならない。

政府は将来、ミサイル防衛に対応可能なイージス艦を4隻態勢から8隻態勢に増強する。中国の艦船の往来が活発化している南西諸島の警戒監視にも役立てたい。
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[読売新聞] 英原発建設交渉 日本の新増設論議に生かせ (2018年06月23日)

原発新設を目指す国の事業に日本の政府や企業が参画する意義はある。官民が連携し、事業性やリスクを精査したい。

日立製作所と英国政府が、英国に原発2基を建設する計画について本格交渉することになった。日立は来年、着工の是非を最終判断するという。

総事業費は3兆円超で、うち2兆円超を英国側の融資で賄う。残りの約9000億円には、日立と日本の政府系金融機関、英国政府などの出資を充てる方向だ。

福島第一原発事故を受け、世界的に安全対策費が増大している。東芝は、米国での原発建設の見通しが甘く、最終的に巨額損失を出して撤退を余儀なくされた。

日立は、同じ轍(てつ)を踏まないようにしなければならない。

最も懸念されるのが、建設が長期化して事業費が大幅に膨らむことである。その場合、日英双方で負担をどう分かち合うのか、詰めておくことが大事だ。

英国では、原発で発電した電気の買い取り価格を政府が保証する仕組みがある。その水準をどうするかも交渉の焦点になる。

民間企業の日立の交渉力には限界がある。日本政府も英国との協議に関与し、好条件で最終合意できるよう後押しすべきだ。

日本政府は、成長戦略の一環として、インフラ輸出を2020年に、10年の3倍の30兆円まで増やす目標を掲げる。今回の計画はこうした戦略にも資する。

英国での原発新規稼働は1995年を最後に途絶えている。86年のチェルノブイリ事故を契機に、脱原発路線を取ったためだ。

しかし、2000年代に入り北海油田が枯渇し始め、電力不足の懸念が強まった。温室効果ガスの削減も求められ、06年に原発活用の方針に転換した。

英国では30年までに、15基ある原発のうち14基が老朽化で廃炉になると見込まれている。

新設は現実的な判断と評価できるが、長期的な展望を欠いたエネルギー政策だったと言わざるを得ない。他山の石としたい。

日本は原発を「重要な基幹電源」と位置付けているのに、エネルギー基本計画には新増設への言及がなく、議論は進んでいない。

英国はフランスなどから電力融通を受けている。同じ島国でも、電力確保の条件は日本の方が厳しいことを自覚する必要がある。

将来の展望がないと技術者が育たず、日本の原子力産業は衰退しよう。安全性の確保を大前提に、原発の新増設を検討すべきだ。
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[朝日新聞] 沖縄慰霊の日 苦難の歴史に向きあう (2018年06月23日)

沖縄はきょう、「慰霊の日」を迎える。

73年前、沖縄戦は住民を巻きこむ激戦となり、日米両国で約20万人が死亡、県民の4人に1人が犠牲になった。命をつないだ人々も、その後の米軍占領下で過酷な生活を強いられた。

そんな沖縄の苦悩をわきまえぬ出来事が、また起きた。

米海兵隊トップのネラー総司令官の発言に対し、宜野湾市議会は6月定例会で「事実に反し、沖縄の歴史に対する無理解からくるもの」との抗議決議を全会一致で可決した。ネラー氏は先月初め、米国防総省での記者会見でこう述べたという。

「普天間飛行場の建設当初の写真を見ると、数キロ以内に住む人はいなかった。今は市街地がフェンスのすぐ近くに広がる」

3年前には、自民党の勉強会で、安倍首相に近い作家の百田尚樹氏が「もともとは田んぼの中にあった」と講演している。

どちらも明らかな誤りだ。

普天間飛行場は他の多くの基地同様、役場や学校、住宅などがあった土地を米軍が奪って造ったものだ。現にフェンスの中には先祖伝来の墓も残る。

事実に基づかず、基地の存在を正当化し、住民が墜落の恐怖や騒音被害に苦しむのは自業自得であるかのように言い放つ。

沖縄に対するこの無知・無理解が、長年にわたって過重な負担をこの島に押しつけ、いままた、辺野古の海を埋め立てて新たに基地を建設しようという動きの根底にある。

宜野湾市立博物館は来月2日まで、普天間飛行場を含む地域の歴史をたどる写真展を開く。

村のシンボルの松並木を伐採する米兵。滑走路を造成する大型重機――。千木良(ちぎら)芳範館長は「地域がどういう場所だったのかを、子どもたちに伝えたい。生まれた時から目の前にフェンスがある暮らしをしてきたかもしれないが、それが当たり前だと思われては困る」と語る。

集団自決の悲劇があった地であることを知らず、県内の若者らが読谷村(よみたんそん)のガマ(洞窟)を荒らした事件は、苦難の歩みを継承していくことの難しさを、沖縄の人々にも突きつけた。

翁長知事はこの春、「沖縄には歴史があり、それを理解して今の状況を見ないと基地問題は解決しない」と述べた。「沖縄の気持ちに寄り添う」と言いながら、辺野古の工事を強行し、くり返される米軍の事件・事故にも有効な手立てを打てない政権は、この言葉をどう聞くか。

慰霊の日を、事実に向きあい、知事がいう「理解」を少しでも深める契機としたい。
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[朝日新聞] 参考人にやじ 言論の府をおとしめた (2018年06月23日)

法案審議の参考にするために招いた民間人に対し、国会議員が心ない暴言を吐く。言論の府を自らおとしめるヤジに驚きあきれ、憤りを感じる。

受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案を審議中の衆院厚生労働委員会で先週、自民党の穴見陽一衆院議員(大分1区)が、参考人として出席した肺がん患者に向け、「いい加減にしろ」とヤジを飛ばしていたことがわかった。

自民党内では昨年5月、大西英男衆院議員が、対策を訴えた同僚議員に「(がん患者は)働かなければいいんだよ」と発言し、謝罪している。

改正案は、飲食店の屋内を原則禁煙としたが、例外規定により、既存店の55%で喫煙が認められる。原案からの大幅な後退は、自民党内の反対に押されてのことだ。穴見氏のヤジは、党内になお根強い異論を反映したものだろう。

批判の高まりを受け、穴見氏は謝罪コメントを発表した。発言を妨害する意図はなく「喫煙者を必要以上に差別すべきではないという想(おも)いで呟(つぶや)いた」というが、参考人が「喫煙者の方がどこも吸うところがないじゃないかとおっしゃるのもすごくよくわかる」と配慮を示した矢先のヤジだった。とってつけた言い訳と言わざるを得ない。

穴見氏はファミリーレストラン運営会社の役員を務めており、規制がかかる当事者でもある。対策の強化を求める者への恫喝(どうかつ)まがいの発言を「呟き」で済ますわけにはいかない。

自らは喫煙歴がなく、受動喫煙でステージ4の肺がん患者となったという参考人は、修正すべき法案の問題点を淡々と指摘した。目の前の相手に対する誠実さも想像力もうかがえない穴見氏には、議員としての資質を疑わざるをえない。

自民党の高鳥修一・厚労委員長は、穴見氏に口頭で厳重注意した。しかし、国会の品位を汚した、参考人への侮辱に対する対応としては甘過ぎないか。まずは自民党自身が、党内で厳正な処分を検討すべきだ。

安倍政権下での国会審議では、首相本人や麻生財務相らが、答弁席から不規則発言することがしばしばある。黒衣であるはずの首相秘書官が、野党党首の質問に対しヤジを浴びせたこともあった。

異論に耳を傾けず、批判に対し、敵意もあらわに言い返す。そんな政権の姿勢が、国会論戦の荒廃を助長しているのではないか。軽んじられているのは、結局、私たち国民であることを忘れてはなるまい。
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2018年06月22日

[産経新聞] 【主張】水害への備え 早めの避難で命を守ろう (2018年06月22日)

梅雨前線が活発化し、日本列島は梅雨本番を迎えている。

大阪北部地震の被災地では20日に強い雨が降った。震度6弱の激しい揺れで、被災地域の斜面や家屋は崩落、倒壊のリスクが高まっている可能性がある。余震と併せて降雨にも厳重な警戒を続け、二次災害を防がなければならない。

アジアモンスーン地帯に位置する日本列島はこれから数カ月、集中豪雨や台風による災害が起きやすい時期が続く。命を守るための備えと心構えを新たにしたい。

特に警戒を要する現象が線状降水帯である。発達した雨雲(積乱雲)が列をなし、同じ場所に長時間、激しい雨を降らせる。

昨年7月の九州北部豪雨、鬼怒川の堤防が決壊した関東・東北豪雨(平成27年)や広島市の土砂災害(26年)では、いずれも線状降水帯が猛威をふるい、多くの犠牲者を出した。

近年は地球温暖化や都市部のヒートアイランド現象の影響で、過去に例がない、あるいは数十年に1度というような特異な現象が必ずしも稀(まれ)でなくなっている。日本列島のどこでも記録的豪雨に襲われる可能性があると、認識しておく必要がある。

土砂崩れ、河川の氾濫、高潮など豪雨や台風がもたらす災害は地域によって異なる。自分が住む地域でどのような災害が起こり得るかを知り、事前にできる備えを確実に実行することが大事だ。

災害時の持ち出し品や非常食を準備し、避難場所や経路を家族や地域住民で確認しておく。防災、避難意識を共有することで、災害時の混乱を抑えられる。

命を守るためには風雨が激しくなる前に、安全確保のための行動を始めることが重要である。

土砂崩れや河川氾濫が差し迫った段階では、激しい風雨で行動が制約される。危険な状況にあることが分かっていても、自力での避難も救援、救助活動もできない場合が多いからだ。

気象庁は昨年から、土砂災害や中小河川の氾濫、短期間の豪雨に関する「危険度分布」を、ホームページで公表している。例えば、河川の洪水では現在の状況だけでなく、3時間後に予測される危険度も示される。

自治体は早めの避難指示や勧告に、住民は迅速な安全確保行動に役立ててもらいたい。
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[東京新聞] 高等教育無償化 中所得層は置き去りか (2018年06月22日)

所得の低い層を手厚く支える国の施策に異論はないが、高等教育の費用負担は中所得層にも重くのしかかる。奨学金を借り入れざるを得ない学生も多い。逆差別を招かない制度の設計を求めたい。

家庭が貧しく、高等教育の機会に恵まれなかった子どもも、また貧しくなる。負の連鎖を断ち切るために、国は低所得層に対し、大学や短大、専門学校などに要する費用の負担を軽くする制度の枠組みを決めた。

住民税非課税世帯とそれに準じる年収三百八十万円未満までの世帯を対象に、授業料や入学金の学費と生活費を支える。すべて返済不要だ。消費税の増税分を使い、二〇二〇年度から実施するという。

近年、大学・大学院卒と高校卒の学歴の違いは、およそ七千五百万円の生涯賃金の格差となって跳ね返るという。教育水準の底上げは、学び手本人はもちろん、社会全体の利益の向上に結びつく。

大学に進学する場合、国公立か私立か、自宅から通うか下宿するかなどの条件で費用は変わる。

非課税世帯については、子ども一人あたり年間百万円から二百万円ぐらいの支給を視野に入れての議論になるのではないか。その上で、段階的に金額を引き下げながら、年収三百八十万円未満までの世帯を支援する設計となる。

限りある財源を、低所得層に優先的にふり向ける考え方はうなずける。けれども、高等教育費の負担は中所得層にとっても重く、少子化の圧力にもなっている。

国の奨学金事業を担う日本学生支援機構の一六年度調査では、大学生のほぼ二人に一人は奨学金を利用し、そのうち七割余は年収四百万円以上の家庭の出身だ。在学中はアルバイトに時間を割き、借金を抱えて社会に出る人も多い。

たとえば、子どもの人数や要介護者の有無、資産の多寡といった個々の家庭の事情を度外視した仕組みが公平といえるか。少しの収入差で対象から外れる世帯や高校を出て働く人が納得できるか。

親が学費を賄うべきだとする旧来の発想に立つ限りは、こうした疑問は拭えないだろう。

自民党教育再生実行本部は、国が学費を立て替え、学生が卒業後の支払い能力に応じて返す出世払い制度の導入を唱える。オーストラリアが採用している。学び手本人が学費を賄う仕組みは一案だ。 もっとも、高等教育の恩恵に浴する国がもっと公費を投じ、私費負担を抑える知恵がほしい。慎重かつ丁寧な議論を重ねたい。
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