2017年12月12日

[東京新聞] 京都議定書20年 日本はなぜ変われない (2017年12月12日)

世界は脱炭素へ舵(かじ)を切り、後戻りはありえない。その原点になったのが、日本で生まれた京都議定書だ。あれから二十年、この国は、なぜ変われない。

「京都議定書の成功を祝福したい」

ドイツのボンで先月開催された国連の第二十三回温暖化対策会議(COP23)の開会式で、グテレス事務総長は賛辞を述べた。

京都議定書は、史上初めて国際社会が合意した温室効果ガス削減のための約束(ルール)である。

一九九七年、第三回京都会議(COP3)で採択された。


◆源流はキョウトにあり
-----------

先進国全体で二〇一二年までに九〇年比で5・2%、二酸化炭素(CO2)など、温暖化の原因になる排ガスを削減することにした。十八世紀後半の産業革命以来、温室効果ガスの排出を野放しにして発展してきた先進国に、より重い責任があるとして、欧州連合(EU)8%、米国には7%、日本には6%の削減義務を振り分けた。

数値目標や期限、罰則までも伴うルールは画期的だった。

しかし、先進国にのみ削減義務を課したため、翌年のブエノスアイレス会議(COP4)ですでに“南北問題”が顕著になった。

二〇〇一年、発起人とも言える米国が「自国経済に影響する」と、いち早く議定書から離脱した。

一二年のドーハ会議(COP18)で、二〇年までの延長(第二約束期間)が決まったが、京都議定書が生まれた日本は「二大排出国の米中が不在では意味がない」と不参加を宣言し、「議定書を殺すのか」などと非難を浴びた。

それでも京都議定書は、当初の削減目標の三倍以上の効果を上げた。一昨年、ようやく合意にこぎ着けた後継のパリ協定は、産業革命以降の平均気温の上昇を二度未満に抑えることを目標に、途上国にも、それなりの削減義務を課す。“全員参加”が基本である。


◆脱炭素と経済の両立へ
-----------

キョウトという土台があればこそ、温暖化への挑戦は、持続可能性を保ち得た。

野放しから削減へ、異常気象に対する危機感の共有へ−。京都議定書は国際社会の流れを変えた。そして、それよりはるかに大きな変化の源流にもなっていた。

「脱化石燃料に舵を切ろう、経済を低炭素で回していこう−。北欧発の小さな流れを、世界に広げる機運が京都で起きた」

NPO法人気候ネットワーク理事長の浅岡美恵さんは振り返る。その誕生以前から、京都議定書を見守り続けてきた人だ。

以来、CO2排出削減と経済成長の両立をなし得た国は、米国を含め二十二カ国にも上る。日本は入っていない。

この数年で激変したのが、国際経済の血流とも言える投資マネーの流れである。ESG投資が世界を席巻しつつある。

Eは環境(Environment)、Sは社会(Social)、Gは企業統治(Governance)の頭文字。目先の収益などよりも、環境や人権に対する企業の配慮を投資の基準にしよう、配慮のない企業を市場から追い出そうという流れである。

二〇〇六年、国連が世界の機関投資家に「責任投資原則(PRI)」を呼びかけたのをきっかけに、拡大を続けている。温暖化に対する危機感が、共有された証しと言ってもいいだろう。ESG投資の運用額は、この五年で二倍に増えた。日本円で二千五百兆円にも上る。世界の投資総額の四分の一を占めている。

もちろん、危機感だけでは語れない。社会はかつてない大変革のさなかにある。

例えばこの夏のこと、英仏が相次いで四〇年にガソリン車の販売禁止を宣言した。ガソリン車が退場を余儀なくされる−。脱化石燃料、脱炭素の象徴である。このスピードを誰が予想し得ただろう。

巨大な変化が起きればそこに、巨大な市場ができる。例えば再生可能エネルギー市場のような。

脱炭素に投資をすれば、倫理的にも経済的にも莫大(ばくだい)な利益を生み出す時代になった。

欧州では投資の過半をESGが占めている。米国では二割強。トランプ大統領のパリ協定離脱表明は、米国の本意とはほど遠い。


◆今も時計を止めたまま
-----------

日本ではわずか3・4%。フクシマを経験しながら、この期に及んで石炭火力や、もはや持続可能とは言えない原発にしがみつき、前進できない日本に、世界は奇異のまなざしを向けている。

二十年前、COP3の最終日。会場の時計を止めて徹夜の協議を続け、国際社会は京都議定書に合意した。その熱意が巨大な変化の源流になったのだ。

日本の時計は、なぜいまだ止まったままなのか。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】日欧EPAの妥結 自由貿易拡大の起爆剤に (2017年12月12日)

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が妥結した。国内市場の縮小が懸念される日本にとり、海外との経済連携は成長に欠かせぬ基盤となる。

日欧間の貿易・投資を伸ばすだけでなく、世界の自由貿易をさらに進める起爆剤としたい。

大枠合意から5カ月で最終合意にこぎ着けた。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で米国抜きの11カ国が大筋合意したばかりだ。間髪を入れず、日欧が足並みをそろえたことは、保護主義の台頭を阻む上でも有益だ。

協定には来年夏ごろ署名し、2019年早期の発効を目指す。世界の国内総生産(GDP)の3割を占める巨大なものだ。

安倍晋三首相は「自由で公正なルールに基づく経済圏を作り上げていく」と述べた。米国の自国第一主義、市場を歪(ゆが)める中国の経済運営とは異なる自由化の枠組みとして、この成果を通商協定上の国際標準に発展させていきたい。

日欧で対立点のあった企業と投資先国の紛争解決手続きは、合意対象から切り離し、別途協議することで折り合った。投資裁判所の創設を求めるEUに対し、日本は既存の国際機関の活用を主張していた。

EUの権限で発効させられる関税と異なり、投資分野はEU加盟国の承認が必要である。いたずらに発効を遅らせないためにも、これを分離した判断は現実的だ。

無論、紛争解決の仕組みが整わなければ、企業は安心して投資できない。新たに投資協定を結ぶかどうかも含め、協議を着実に前進させてもらいたい。

続きを読む

関税が撤廃されれば、自動車などの対欧輸出の追い風となる。ワインやチーズなど安全で安価な輸入品が増えれば、消費者に恩恵を及ぼそう。これに対応できるよう国内の農畜産業の競争力強化にも万全を期すべきである。

対日輸出で不利を強いられる米国は、対日圧力を強めるかもしれない。日本としては、多国間の枠組みがもたらす意義の大きさを粘り強く説き続けるしかない。

2年に1度の世界貿易機関(WTO)閣僚会議が開催中だ。WTOの貿易交渉が行き詰まる中、これを打開する多国間協定への期待は大きい。電子商取引などの課題に対応する上でも日欧交渉の成果は重要だ。日欧やTPP加盟国でWTOの議論を主導したい。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】ノーベル平和賞 核抑止の現実を忘れるな (2017年12月12日)

核兵器禁止条約を推進してきた非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン)に対する、ノーベル平和賞の授賞式がノルウェーで開かれた。

これを機に、政府に対して「被爆国であるのにおかしい」といった批判が出ている。核廃絶や核軍縮を目指しつつも、核兵器禁止条約には加わっていない点に対するものである。

ICANの事務局長は授賞式の演説で、日本など「核の傘」に頼る国々は、核保有国に加担していると非難した。国内の政府に対する批判も、そのような発想と軌を一にしているようだ。

核兵器廃絶の願いを持つことは理解できる。だが、短兵急に禁止条約で実現することはできない。人々をかえって核や戦争の脅威にさらしかねないからだ。

自国または同盟国が核抑止力を備えていなければ、悪意ある国の核攻撃やその脅し、化学兵器などによる攻撃から、国民を守れなくなってしまう。

厳しい国際社会の現実に目をつむることはできない。日本は、北朝鮮や中露の核の脅威にさらされている点を、深刻にとらえることが必要である。

北朝鮮が「日本を沈める」と声明を出し、核兵器の使用までほのめかしたことについて、河野太郎外相は「核兵器による抑止がどうしても必要」だとフェイスブックで指摘した。妥当な判断だ。

続きを読む

同盟関係にある米国が日本にさしかけている「核の傘」は、日本国民の生命を守る上で最も根幹にある防衛力、抑止力である。

その傘が機能してきたからこそ、日本は非核三原則を持ち続けられた。両者は一対の存在である点を指摘しておきたい。

そもそも、核兵器禁止条約に北朝鮮などが加わり、核戦力を放棄するとは到底考えられない。

だとすれば、政府が取り組むべきは核抑止の態勢を点検し、国民を実際に守る手立てとなっているかを考えることだ。核抑止力という安全保障の基本構造について、より強い国民の支持が必要だ。

広島、長崎の惨禍を語り伝え、核軍縮外交を推進するのは、唯一の戦争被爆国である日本の責務である。ただし、それだけでは足りない。核の脅威から国民を守る核抑止力やミサイル防衛など、現実的努力についても政府は説明に努めなければならない。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] もんじゅ廃炉のコスト監視を (2017年12月12日)

廃炉が決まっている高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、運転主体の日本原子力研究開発機構が計画をまとめ、原子力規制委員会に申請した。

2018年度に核燃料の取り出しを始め、47年度まで30年かけて撤去する。費用は3750億円の見込みで、通常の原子力発電所の廃炉に比べ5倍以上だ。

もんじゅは普通の原発とは仕組みが違い、炉心の熱を取り出すのにナトリウムを使う。ナトリウムは水と混じると爆発する恐れがある。機構によれば、安全な抜き取りには新たな技術開発が必要になり、コストが膨らむという。

安全確保を最優先すべきことは言うまでもない。とはいえ安全のためならコストを青天井にかけてよいというものではない。

もんじゅは建設などに約1兆円を投じながら、運転できた実績はゼロに近い。機構の安全管理がずさんで、検査漏れを繰り返したことが廃炉の一因になった。

廃炉の計画づくりや工程管理を機構だけに任せず、第三者が厳しくチェックすべきだ。廃炉対策では文部科学省を中心に省庁横断のチームを設けているので、この組織に実務者を加えるなどして監視を強めるのも一案だろう。

ナトリウムを扱う原子炉はフランスやロシアにもあり、炉から抜き取った経験がある。海外の技術で使えるものは最大限活用し、コスト抑制につなげるべきだ。

原子炉本体の解体が始まれば通常の原発と共通点も多い。東京電力福島第1原発事故の後に廃炉が決まった原発の解体も、同じ頃に本格化する。技術をもつ企業同士を競わせて費用を抑え、もんじゅでの経験を他の原子力施設に生かす道も探ってほしい。

ウランの有効活用をめざす核燃料サイクルでは、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)も完成が遅れ、コストが膨らんでいる。電気料金に上乗せする形で費用を負担しているのは国民だ。コストが野放図に増えるようでは国民の理解は得られない。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 被爆者が平和賞で演説 「諦めるな」世界で共有を (2017年12月12日)

ノーベル平和賞の授賞式で被爆者が初めて演説した。カナダ在住のサーロー節子さん(85)だ。

受賞団体である「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のフィン事務局長がスピーチする際、ともに壇上に上がった。それはサーローさんが各国で被爆体験を証言するなど、核兵器禁止条約の採択に重要な役割を果たしてきたためだ。

13歳の時、広島で被爆したサーローさんは「私の愛する都市は1発の爆弾で消滅した。住民は燃やされ、炭になった」と被爆体験を語った。 さらに、がれきの中で聞いた「諦めるな。光に向かってはっていくんだ」という言葉を繰り返し、核廃絶を求めた。各国に条約への参加を促すサーローさんには「核兵器は絶対悪」との思いがある。

フィン事務局長は条約採択を「暗い時代における一筋の光」と評価しつつ、「理想主義者として運動を批判する人がいる」とも語った。

授賞式には、被爆者の全国組織、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)からも2人が出席した。

核の非人道性に関心が高まったのは、被爆者が生き証人として運動を続けてきたからにほかならない。

1982年、国連本部で演説した故山口仙二さんは「ノーモア・ヒバクシャ」と訴えた。今夏亡くなった谷口稜曄(すみてる)さんも2010年、国連本部で被爆で大やけどした背中の写真を手に核廃絶を迫った。

それでも核保有国による削減は進まず、北朝鮮は核開発を続けている。「生きているうちに核廃絶を」という被爆者の願いと現実とのギャップはあまりにも大きい。

核保有国や「核の傘」の下にいる日本などは条約に参加していない。米英仏露中の5大国のノルウェー駐在大使は授賞式を欠席した。条約を巡る対立が平和賞の式典に持ち込まれたのは残念でならない。

河野太郎外相は「核廃絶というゴールは共有している」と談話を発表した。一方、授賞式に出席した松井一実・広島市長は「核に守られていると思うのは錯覚だ」と核抑止力の有効性を否定する見解を示した。

唯一の戦争被爆国、日本は核保有国と非核保有国の橋渡し役が求められる。被爆者の思いを重く受け止め、条約への対応を再考すべきだ。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 自衛隊の巡航ミサイル導入 専守防衛の境界がかすむ (2017年12月12日)

防衛省が航空自衛隊の戦闘機に搭載する長射程の巡航ミサイルを導入する。その関連経費約22億円を2018年度予算案に追加要求した。

米国製の射程約900キロの2種類と、ノルウェー製の射程約500キロのミサイルで、米国製は調査費、ノルウェー製は取得費を要求した。

巡航ミサイルはジェット推進でコンピューター制御により目標に誘導される。命中精度が高く、低空を飛ぶためレーダーに捕捉されにくい。

しかし、巡航ミサイル導入を直ちに認めるわけにはいかない。防衛政策の基本である「専守防衛」との整合性が見えにくくなるためだ。

防衛省は中国の海洋進出を念頭に離島防衛を強化すると説明する。だが、尖閣諸島は沖縄から約400キロで米国製の能力は飛び抜けている。

射程は日本海から発射して北朝鮮に十分届く距離だ。ミサイル基地を先制的に攻撃できる敵基地攻撃能力の保有にもつながる。

政府は、緊急時は敵基地攻撃能力を「憲法が認める自衛の範囲」と解釈しているが、専守防衛に照らして装備を保有してこなかった。

北朝鮮は弾道ミサイルを高く打ち上げて急降下させるロフテッド軌道を多用している。ミサイル防衛では迎撃しにくいとされ、強固な抑止力を求める意見は自民党などにある。

小野寺五典防衛相は「敵基地攻撃を目的としたものではない」と強調する。では、離島防衛を超える能力を持つ装備がなぜ必要なのか。

専守防衛に深く関わる重大な問題である。議論の積み上げもなく政府の一存で突然、追加要求するという性質のものではない。

敵基地攻撃能力を持とうとすれば、敵の防空網を突破する能力やミサイルを誘導する能力などが必要で、装備体系の変更にもつながる。

安倍政権は安全保障法制など防衛力の拡大を図ってきた。厳しい財政下、防衛費を5年連続で増額し、来年度は過去最大になる見通しだ。

米国は同盟国に軍事的な負担拡大を求めており、日本も例外ではない。専守防衛の枠が広がるなら日本の軍事的役割は増し、軍備増強は北朝鮮だけでなく中国も刺激する。

巡航ミサイル導入にはリスクを踏まえた多角的な議論が必要だ。なにより国民の合意が前提となる。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 時代遅れの国際金融規制は再構築がいる (2017年12月12日)

海外展開する大手銀行を対象にした新たな国際資本規制の枠組みが最終決着した。2008年のリーマン危機の反省を踏まえ、健全性を示す最低自己資本比率などのルールを大幅に強化した。

しかしこれだけでは今後の国際金融市場が直面する課題には対処できない。いまや金融の主役は銀行にとどまらず、IT(情報技術)と融合したフィンテックの台頭などでリスクの芽が拡散している。各国当局は、国際金融規制のあり方を再構築するつもりで新局面に臨む必要がある。

新しい資本規制は、27の国・地域の金融監督当局・中央銀行で構成する国際委員会が本拠を置くスイスの都市名を冠し「バーゼル3」と呼ぶ。1988年に「バーゼル1」を策定し、2004年には「2」へと規制を進化させたが、リーマン危機を防げなかった。

09年から続いたバーゼル3をめぐる長期交渉の最後の争点は、自己資本比率をはじくうえで分母となる、貸し出しなどリスク資産の算出方法だった。国内規制が厳しい米国が厳格な算定を主張し、硬直的だと貸し渋りを招くとして日欧が反論する構図だった。

最終的に日欧の立場を一定程度認める線で落ち着いた点は評価できよう。新規制は27年までに段階的に適用し、邦銀は追加の資本増強を回避できそうだ。

ただ、これで国際金融の安定が確保されるとは到底言いがたい。金融ビジネスには異業種の参入が加速している。銀行に的を絞った規制の枠組みは時代遅れだ。

中国ではアリババ集団など有力なネット商取引会社が大規模に決済・融資業務を手掛け、アジアなど海外進出をうかがっている。

国の信用力の裏付けなしに国境をこえて流通する仮想通貨への対応も課題だ。ビットコインは分裂を繰り返しながら値上がりし、トヨタ自動車の株式時価総額を上回る規模になった。今月始まった先物取引では相場安定の効果を期待できる半面、投機の拡大で乱高下を増幅するおそれもある。

千種類以上に増えた仮想通貨を使った資本調達は活況だが、危うさがつきまとう。脱税や資金洗浄の温床となるのを防ぐ国際的な監督や監視は後手に回っている。

フィンテックには金融や経済を革新し活性化する潜在力がある。その利点を生かしながらどう規制の網をかけるか。国際金融当局の知恵が問われている。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 日欧EPA妥結 保護主義を拒む重要な決断だ (2017年12月12日)

主張の違いが残る分野を切り離し、早期の交渉決着を優先した。

保護主義の台頭には決して退かないという政治的決意の表れだろう。

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が妥結した。2018年夏にも署名し、日欧双方の承認手続きを経て、19年の発効を目指す。

人口6億人を擁し、世界の国内総生産(GDP)の3割を占める巨大経済圏が生まれる。日本にとって初のメガ通商協定となる。

米国は、環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱し、世界貿易機関(WTO)にも異を唱える。「米国第一」政策に対し、他の先進国が結束する意義は大きい。協定の早期発効が重要となる。

13年に始まった交渉は、大筋合意の目標時期が再三延期された。多くの利害が交錯する交渉を決着に向けて急がせたのは、米トランプ政権の登場にほかならない。

協定の「大枠合意」が発表された今年7月は、主要20か国・地域(G20)首脳会議を控えていた。今回の妥結は、2年に1度開かれるWTO閣僚会議の直前というタイミングにあたった。

こうした機会を日欧が重視したのは間違いない。対米国で無策では、保護主義が広がりかねないとの危機感があるからだ。

新興国などに対し、自由貿易を推進するという強いメッセージを送ったのは確かだろう。

協定は、貿易品目の大半で関税を撤廃し、知的財産などのルールでも高水準の内容とした。

日本の自動車は、10%の欧州関税が8年目に撤廃される。欧州産ワインやチーズなどの日本への輸入関税は撤廃に向かう。

双方の産業界や消費者にメリットが期待できる。日本の官民は連携を強め、農産物を含めた輸出振興策を加速してもらいたい。

欧州産品と競合する酪農業への補助金など、真に必要な国内対策も着実に実施すべきだ。

日欧が幅広い分野で協定の成果を上げれば、世界に貿易自由化の範を示すことにもなる。

妥結を優先したため、協定は交渉が難航した「投資」分野の一部を切り離した。企業と国の紛争解決手続きについて、別の投資協定を結ぶ方向で継続協議とした。

先月に大筋合意した米国抜きのTPPも、残る11か国のうちカナダから不協和音が出るなど、予断を許さない面が残る。

二つのメガ協定で要となる日本には、双方ともより良い決着に導く重い責任が課せられている。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 五輪テロ対策 機動力とハイテクで抑止図れ (2017年12月12日)

起こり得るあらゆる事態を想定して、抜け穴を確実に塞ぐ。それがテロ対策の要諦である。官民を挙げて、凶行の芽を摘まねばならない。

政府が、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた「テロ対策推進要綱」を決定した。

対策推進本部長を務める菅官房長官は、「国際テロ情勢は極めて危険な状況だ。万全を期す必要がある」と強調した。車で群衆を無差別にはねるなど、手口が多様化するテロが各国で頻発していることへの危機感の表れだろう。

大会中、内外から1000万人の来場者が予想される。要人の来日も相次ぐ。五輪はテロの格好のターゲットになりかねない。先進国の首都で開催された12年ロンドン五輪などを参考に、実のある対策を練り上げてほしい。

要綱では、七つの重要項目が掲げられた。柱は情報収集や分析機能の強化だ。来夏に発足する首相官邸直轄の「国際テロ対策等情報共有センター」(仮称)を有効に機能させることが重要になる。

外務省や警察庁、国土交通省など関係11省庁の職員が常駐し、テロ情報を共有する。各省庁が蓄積してきたデータベースなどと照合して分析し、その結果を官邸に迅速に提供して対応策を講じる。

照合時に煩雑な手続きを廃するなど、省庁間の壁をなくした体制を築くという。機動力に富んだテロ対策を可能にするため、ぜひとも実現してもらいたい。

テロ等準備罪などを新設する改正組織犯罪処罰法が施行され、国際組織犯罪防止条約への加入がようやく実現した。テロ情報の交換など、捜査上の国際連携がスムーズになったのは大きな前進だ。

情報収集手段として、適用範囲が厳しく限定されている通信傍受の柔軟な活用を求める専門家は少なくない。人権に配慮しながら、範囲を拡大することの是非を国会で議論すべきではないか。

要綱は、最も重要な警備対象として、競技会場や空港、駅などの「ソフトターゲット」を挙げている。パリやロンドンなどのテロの状況を考えれば、当然だろう。

警備に威力を発揮するのが、人工知能(AI)をはじめとするハイテク技術だ。顔認証システムで、競技場の来場者を識別することが検討されている。スマートフォンなどを入場時の本人確認に使う電子チケットも選択肢の一つだ。

群衆の中から不審者を効率的に割り出す仕組みが求められる。漏れのない警備体制を敷くことが、五輪の成功につながる。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 核なき世界へ 日本の登場、待たれている (2017年12月12日)

核兵器を使う、作る、持つ。そのすべてを法的に禁じる核兵器禁止条約の採択を推進した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN〈アイキャン〉)に、ノルウェーのオスロで、ノーベル平和賞が授与された。

授賞式では初めて被爆者が演説に立った。

広島で被爆したサーロー節子さん(85)。13歳のときの被爆体験を語り、「核兵器は必要悪ではありません。絶対悪です。私たちの警告を心に留めなさい」と呼びかけた。

核保有国の指導者たちは、真摯(しんし)に耳を傾けるべきだ。

■背景にある危機感

広島、長崎の被爆者は戦後72年間、被害の実相と核兵器の非人道性を訴え続けた。平和賞は、核廃絶を求めてきたヒバクシャらとの「ダブル受賞」といってもいいだろう。

ICANには約100カ国の450以上のNGOが集う。中心になったのは20?30代だ。国や民族を超え、メールやSNSで連絡をとり、「核は人類と共存できない」という使命感からアイデアを出しあった。

その行動力は、核廃絶をめぐる新たな運動として高く評価されるべきだ。

もちろん核禁条約が採択されても、核廃絶がすぐに実現するわけではない。だが、この動きの背景には遅々として進まぬ核軍縮へのいらだちがある。

冷戦期にさかのぼれば、地球上に核兵器は7万発あった。核不拡散条約(NPT)のもと、核保有国は段階的な核軍縮を約束した。だが、1万5千発近くとされる世界の核弾頭のうち、9割以上をもつ米ロの交渉はいっこうに進んでいない。

09年にはオバマ米大統領がプラハで「核なき世界」を呼びかけた。核を持つ超大国からのメッセージだからこそ、世界の多くの人々が核廃絶が具体的に前進することを期待した。

しかし5年に1度のNPT再検討会議は、一昨年、最終文書を採択できないまま決裂。米国やロシアは、核兵器の近代化にすらとりくんでいる。

■「分断」を超えて

このままでは核軍縮が前に進まない。核保有国による段階的削減を待つのではなく、非核保有国が主役となり、主体的に廃絶へ導こう。そんな危機感が新たなムーブメントとなった。

受賞にはこの流れを核廃絶への一歩に、という期待もこめられていると受け止めるべきだ。

懸念されるのは核保有国と非核保有国との分断が進み、廃絶への流れが停滞することだ。

平和賞の授賞式に、核保有国の米ロ英仏中の駐ノルウェー大使は欠席したという。

11月に広島で開かれた国連軍縮会議で、中満泉・軍縮担当上級代表は「核禁条約とNPTが対立せず、相互補完性を高める工夫がいる」と述べ、双方の歩み寄りの余地を模索する。

立場は異なっても、同じ場を共有し、語る機会をもつことで、道は開けるはずだ。

9月から署名・批准がはじまった核禁条約は、50カ国が批准すれば発効する。現時点での批准は3カ国にとどまる。ICANは発効までの目標を2年以内とする。今後、各国に共感を広げていくために何ができるか。運動としての真価が問われるのはむしろこれからだ。

当面、世界各都市の議会で、条約に賛成する決議を採択させるため、賞金などを原資に基金をつくる。協力団体の活動支援などに使い、核保有国や核に依存する国の民意に直接、訴えかける運動を広げるという。

ICANが、各国の政府にとって無視できない世論をつくれるかがカギとなるだろう。

■戦争被爆国の責務

廃絶へむけた新たな動きに、日本政府が背を向けるような態度をとっているのは残念だ。

昨年10月、国連で核禁条約に向けた交渉を17年に始めるよう求める決議案が採択されたとき、日本は反対した。

ことし8月、安倍首相は訪問先の広島で「(核禁条約には)署名・批准は行わない」と語った。

確かに、北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念は無視できない。米国の「核の傘」の下で、いざというときに米の核兵器に守ってもらわなければいけないという現実こそ直視すべきではないか。そんな声もある。

だが、日本は戦争被爆国として、核保有国と非核保有国の橋渡し役を自任するのではなかったか。日本が国連に毎年提出している核廃絶の決議案に賛同する国は、今年、大幅に減った。このままでは保有国の代弁者として見られる可能性すらある。

できることはある。

条約が発効すれば締約国会議が開かれる。その場には批准していない国も、オブザーバーとして参加できる。たとえばそうした場への参加の意向を示し、被爆国として議論に参画していく積極性があっていい。

核の禁止を求める国は、日本の登場を待っている。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月10日

[東京新聞] 週のはじめに考える 「核には核」ではなくて (2017年12月10日)

今年のノーベル平和賞が、核兵器禁止条約実現に奔走した国際NGO(非政府組織)に贈られます。核兵器に対する見方は変わっていくのでしょうか?

受賞するのは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))。今年七月に国連で採択された、核兵器を違法とする核兵器禁止条約の成立に、「主導的役割を果たした」というのが理由です。

この条約は、核兵器の製造、保有、拡散、さらに核兵器を使った「脅し」まで、どの国に対しても幅広く禁止しています。


◆授賞式に欠席する理由
-----------

ノーベル平和賞の授賞式は、ノルウェーのオスロが舞台となります。筆者も以前、取材に行ったことがあります。

この時期のオスロは日が短く、朝九時ごろ外が明るくなり、午後三時ごろにはもう真っ暗に。そんな中、たいまつを持った市民が静かに祝賀の行進をします。

各国の大使も授賞式に参加しますが、今年は、異例にも世界の核兵器保有国の大使の大半が欠席するのだそうです。なぜ、そんな大人げない振る舞いをするのでしょう。外交官はマナーを重んじる人たちですよね。

欠席の理由は簡単。核保有国が一貫して唱えてきた「核を持つ理由」を、この条約が真っ向から否定したからです。

核保有国の言い分を要約すると、こうです。核兵器は確かに問題だらけで減らすべきだが、世界の安全を保つためには欠かせない。いわば「必要悪」だと。

多くの国が、それを信じてきました。しかし、そもそもおかしいと思いませんか。最も悲惨な結果をもたらす兵器が、世界を平和に保つ。そんな「理屈」は、いつか破綻します。


◆核禁止条約の変える力
-----------

実際北朝鮮は、核の世界秩序に挑み、朝鮮半島に危機的状況をもたらしています。

もちろん、国際社会の制止を振り切って核実験を重ね、さらに、弾道ミサイルの実験を強行する北朝鮮の行動は、とうてい許されるものではありません。

しかし、あえて北朝鮮の主張に耳を傾けてみると、核を巡る矛盾も見えてきます。

朝鮮半島の分断を決定的にした朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)で、米国は、北朝鮮、中国の連合軍の抵抗に手を焼きました。

中朝の国境地帯を分断し、戦況を一気に挽回するため、核兵器の使用を検討したのです。当時の米国の司令官は、有名なマッカーサー元帥でした。

彼は、朝鮮戦争を終わらせるため、旧満州地区に二十発以上の原爆を投下し、強烈な放射線を出す物質である「コバルト60」のベルトをつくる。そうすれば「六十年間、北方から(兵士が)北朝鮮に陸路で入ることができなくなる」と語ったと伝えられています。

その後も米国は、北朝鮮との緊張が高まるたびに、核使用を検討しました。米国の機密文書から明らかになっています。

北朝鮮の核・ミサイルへの執着は、長い間、米国の核攻撃の脅威にさらされたことも原因です。

世界は日本の被爆者の体験を通じて、核兵器の非人道性を学んできました。ところが、その日本政府は、核兵器禁止条約に参加しないと明言しています。

まずは保有国が核兵器を減らした後、「核兵器廃絶を目的とした法的な枠組みを導入することが最も現実的」(河野太郎外相のブログから)。

それがうまくいっていれば、新条約を作る必要はなかったでしょうね。核兵器の保有、非保有国の「橋渡し役」になると宣言しながら、苦しい説明を繰り返す日本政府には、「条約に参加せよ」と注文が相次いでいます。

ここでちょっと、大国による植民地支配について考えてみましょう。植民地は、現在の核兵器のように、国際社会で認められていた時代があります。


◆植民地をなくした宣言
-----------

植民地が放逐される決定打となったのは、国連が六〇年に採択した「植民地独立付与宣言」でした。植民地が「基本的人権を否認し、国連憲章に違反する」と認め、「無条件で消滅させる必要がある」と宣言しました。

植民地を持っていた米、英、仏などは採決を棄権しましたが、この宣言に勇気付けられたアフリカの国々が独立を宣言し、植民地は世界の地図から次々に消えていったのです。

核兵器禁止条約に核保有国は参加していませんが、「植民地独立付与宣言」と同様に、常識をひっくり返す可能性があります。

これまで核兵器を持つことは国際社会での「力」を意味しましたが近い将来、「非合法な兵器」に変わるかもしれませんし、変えねばなりません。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】もんじゅ廃炉申請 規制委との「二人三脚」だ (2017年12月10日)

高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉計画を日本原子力研究開発機構が策定し、原子力規制委員会に認可を申請した。

計画は4段階で構成され、完了までに30年を見込んでいるが、楽観は許されない。

内部に液体状の金属ナトリウムを大量に抱える高速増殖炉の解体について、日本は経験を持たないからだ。

もんじゅの廃炉は、建設や試運転での苦労を上回る難事業となろう。各工程を安全かつ効率的に前進させることが肝要である。

まずは、そのための気構えと組織体制の確立が、原子力機構にとって必要だ。廃炉を後ろ向きの幕引き技術と考えてはならない。

車の運転でも前進より、バックの方が難しい。高速増殖炉の廃炉工程こそ、日本の原子力技術の腕の見せどころであろう。

一連の難作業と工程を円滑に進めていくには、規制委の対応も重要な鍵を握る。

硬直的な規制に終始するようなことになれば期間は延び続け、3750億円を見込む廃炉費用も、その数倍に肥大しかねない。

最難関のひとつは、高速増殖炉での核分裂と熱の運搬を担う金属ナトリウムの回収だろう。原子炉容器内などにある1次系のものだけでも約760トンという量だ。

続きを読む

金属ナトリウムは空気に触れると発火し、水に接触すると爆発的に燃えるので漏出は禁物だ。

原子力機構に必要なのは、トラブルがあれば、ありのままを迅速に公表する心構えだ。計画から実施段階まで全過程においてだ。

もんじゅが長期停止する発端となった平成7年12月8日の事故はナトリウム漏れが原因だった。

この現場を撮影したビデオの編集をはじめとする不透明な情報発信が、当時の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)への決定的な不信につながったことを忘れてはならない。

その結果、1兆円の国費を投入したにもかかわらず、日本の核燃料サイクル政策上、重要な高速増殖炉技術の完成を先送りさせることになった。原子力機構には、革新的な廃炉技術の開発などを通しての名誉挽回を期待する。

他方、規制委には、強引とも評された手法でもんじゅを廃炉に追い込んだ経緯がある。これから始まる廃炉計画の審査では、建設的な意見を聞かせてもらいたい。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする