2017年10月23日

[産経新聞] 【主張】自公大勝 国難克服への強い支持だ 首相は北対応に全力挙げよ (2017年10月23日)

北朝鮮危機と少子高齢化という、日本に差し迫った国難を乗り越える。安倍晋三首相の呼びかけに、国民は強い支持を与えた。

第48回衆院選で与党の自民、公明両党は大勝し、安定的な勢力を確保したうえで、引き続き政権を運営することになった。

野党側は、選挙を目前に民進党が「分解」したことにより、立憲民主党、希望の党などが新たに誕生した。だが、明確な対立軸や危機克服の具体策を示すことなく終わった。政権の受け皿として、大きな支持を得る勢力とはなり得なかった。

≪「9条改正」ためらうな≫

政権基盤を固め直した安倍首相は、自ら掲げた路線の具体化を急がなければならない。その最たるものが、北朝鮮問題である。

選挙期間中に懸念された挑発はなかった。だが、北朝鮮は最近の声明で、米原子力空母への「奇襲攻撃」まで叫んでいる。核・ミサイル戦力を放棄する気はさらさらない。

首相や与党は、対北圧力の強化という外交努力を選挙戦で訴えた。それにとどまらず、万が一、有事になったとしても、国民を守り抜く備えを、急ぎ固めておかなければならない。

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11月にはトランプ米大統領が初来日するのをはじめ、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、東アジア首脳会議(EAS)への出席など、重要な外交日程が続く。強硬姿勢を改めない北朝鮮を翻意させるため、さらなる圧力強化も必要になってくる。

日米首脳会談では、自衛隊と米軍の協力や核の傘を含め、日米同盟の抑止力強化に関する具体策を話し合うことが重要である。

韓国にいる日本人や米国人などの外国市民を迅速に避難させる「非戦闘員退避活動」(NEO)や、武装難民への対策も早急に講じることも求められる。

ミサイル防衛の充実にとどまらず、敵基地攻撃能力の導入や防衛予算の増額への政治決断も求めたい。その中には、覇権主義を強める中国への備えも含まれるべきである。

戦後の平和と安全を保ってきたのは、自衛隊と日米同盟の存在である。憲法9条は自衛隊の手足をしばり、国民を守る手立てを妨げることに作用してきた。

安全保障の根本には、国民自身の防衛への決意がなければならない。その有力な方法は国民投票によって憲法を改め、自衛隊の存在を明記することだ。抑止力の向上に資するものであり、自民党はさらに国民に強く説くべきだ。

安倍首相と自民党は、憲法改正という公約実現への努力を止めてはならない。与党公明党に協力を促すのはもとより、改正に前向きな姿勢を見せた野党との協議も、加速する必要がある。

≪社保改革の全体像示せ≫

もう一つの国難である少子高齢化についても、対策は待ったなしの状況に追い込まれている。求められるのは、人口が減少する一方、社会の年齢構成が極端に高齢者へと偏ることへの対応だ。

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選挙戦で、自民、公明両党は教育や保育の無償化などを強調するばかりで、社会の仕組みをどう作り替えていくのか、全体像を描き切れなかった。

全世代型の社会保障制度を構築するというのも、単なる子供向け予算の加算では許されない。

既存制度の無駄を徹底して排すことが求められる。社会保障・税一体改革の再構築を含むグランドデザインを急ぎ描いてほしい。

無償化論についても、その道筋には明確さに欠けるところが少なくない。

公明党は私立高校授業料の実質無償化まで言い出した。待機児童解消に向けた32万人分の保育の受け皿整備を前倒しする。消費税増税が実現するまでの間、運営費などはどう捻出するのか。

首相は少子高齢化に対処するために消費税増税が必要だと判断した。税率を10%に引き上げるまでの2年間を有効に使い、これに耐えられる力強い経済の実現に全力を挙げなければならない。

足元の景気は回復傾向を強めているが、国民の実感が乏しい点は政権も認めざるを得まい。企業や家計が将来を展望できる成長基盤を、確実に築いてもらいたい。

政府・与党に、選挙の勝利に浮かれているいとまはない。舵(かじ)取りを間違えられない荒海を進んでいるとの認識が常に必要である。
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[東京新聞] 安倍政権が継続 首相は謙虚に、丁寧に (2017年10月23日)

衆院選結果を受けて、自公両党の連立政権が継続する。安倍晋三首相(自民党総裁)は続投するが、謙虚に、丁寧に国政に当たるべきは言うまでもない。

台風が接近し、雨の中、投票所に向かった有権者も多かったのではないか。離島などでは投票を繰り上げたり、即日開票を断念するなど、悪天候の影響もあった。

期日前投票が過去最高になったのも、天候悪化で投票所に行けない事態に備え、早めに投票したいとの思いもあったことだろう。

先人が勝ち得てきた貴重な選挙権だ。無駄にしてはならない、との熱い思いを感じざるを得ない。


◆国会は全国民の代表
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選ばれた議員や、政権を託された政党が、こうした有権者の思いに誠実に応えるのは当然である。

その際、留意すべきは政権を支持しなかった有権者も含めて、政治はすべての国民のために行わなければならない、ということだ。

言うまでもなく、日本国憲法は国会議員を「全国民の代表」と定める。自らを支持した有権者だけの代表ではない。このことをまず肝に銘じるべきだろう。

安倍首相が消費税増税分の使途変更と北朝鮮対応のための政権基盤強化を争点に掲げて解散に踏み切った衆院選だった。

自民党は単独で過半数(二百三十三)を超えた。安倍首相は衆院選の勝敗ラインを、公明党の獲得議席を加えた「与党で過半数」としており、選挙結果を見る限り、消費税増税分の使途変更と、「対話」よりも「圧力」に重きを置いた北朝鮮対応は、形の上では有権者に支持されたことにはなる。

とはいえ、自公連立政権を率いる安倍首相が積極的に支持されたと断言するのは早計だろう。

報道各社の世論調査によると、総じて、安倍首相の続投を支持しないと答えた人は、支持すると答えた人を上回る。


◆続投不支持多数だが
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今年七月の東京都議選で、自民党は歴史的惨敗を喫した。

このときの敗因には、学校法人「森友」「加計」両学園の問題をめぐる首相自身の不誠実な答弁や「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法成立を強行した強引な国会運営、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報隠しなど、安倍政権のおごりや緩みが挙げられた。

地方自治体の選挙だが、痛手だったのだろう。首相は八月三日、内閣改造後の記者会見で、深々と頭を下げ「さまざまな問題が指摘され、国民の皆さまから大きな不信を招く結果となった。改めて深く反省し、国民の皆さまにおわび申し上げたいと思う」と述べた。

しかし、今回の選挙戦の街頭演説では、森友・加計問題に自ら言及することはなかった。批判ばかりでは何も生み出さない、と言いながら、旧民主党政権時代をくさして、同党に所属していた議員がつくった新たな政党を批判する。

わずか二カ月前、深い反省やおわびを表明した首相の低姿勢は、どこに行ってしまったのか。

安倍首相の続投を支持しない人が多いにもかかわらず、自公両党が過半数の議席を得るのは、一選挙区で一人しか当選しない小選挙区制を軸とした現行の選挙制度が影響していることは否めない。

小池百合子東京都知事が慌ただしく「希望の党」を結成し、民進党が事実上分裂して一部が合流する一方、これに反発する枝野幸男元官房長官らは「立憲民主党」を立ち上げた。

野党勢力が分散すれば、与党が有利になるのは当然だ。

小池氏の準備不足や民進党の混乱を見越した解散なら、選挙戦略としては巧妙だが、国政全体に責任を負う首相としては誠実とは言えまい。希望の党は当初の見通しよりも勢いが失速したが、立憲民主党の伸長は、安倍政権に対する批判の強さと受け止めるべきだ。

自民党は憲法改正を公約の重点項目に初めて掲げたが「改憲派」の各党間にも考え方や優先順位に違いがある。日程ありきで拙速に議論を進めるべきではない。

成長重視のアベノミクスや消費税増税も、支持されたとはいえ選挙戦で問題点も明らかになった。原発依存も同様だ。引き続き、幅広く国民の声に耳を傾け、柔軟な対応に努めるべきである。


◆森友・加計解明続けよ
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そして政治に対する信頼の問題である。森友・加計両学園をめぐる問題がすべて解明されたわけではないし、選挙を経たからといって免責されるわけでもない。国会として引き続き解明に全力を挙げるのは当然だ。ましてや野党側がひるむ必要はまったくない。

首相自身、問題の解明に進んで協力し、丁寧な説明に努めるべきである。「謙虚に、丁寧に、国民の負託に応えるために全力を尽くす」。ほかならぬ、首相自身の言葉である。
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[毎日新聞] 日本の岐路 「安倍1強」継続 おごらず、国民のために (2017年10月23日)

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衆院選は自民党がほぼ公示前の勢力を維持し、公明党を含む与党で3分の2に達した。

私たちは安倍晋三首相が抜き打ち的に衆院解散を表明して以来、「日本の岐路」と題して、この選挙を論じてきた。

従来にも増して、今回の選挙が日本の分岐点になると考えたからだ。具体的には首相に権力が集中する「安倍1強」を継続させるか否かの選択であった。

そもそも今回の総選挙には、安倍首相が来年秋の自民党総裁選で3選を果たすための実績作りという狙いがこめられていた。

首相が3選されれば、2021年秋まで政権担当が可能になる。第1次政権の1年分を含め、安倍首相の在任期間は憲政史上最長の10年近くに及ぶこともあり得る。

そうした前提のうえで有権者は継続を選んだ。


持続可能な社会保障に
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勝利した首相にはそれだけのエネルギーが補充されたと考えられる。ただし、首相の役割は特定のイデオロギーへの奉仕ではない。首相はおごることなく、恵まれた政治資源を国民のためにこそ活用すべきだ。

国民生活にとって、今、最も優先されるべきは、少子高齢化と財政危機の下で社会保障制度を持続可能にしてゆくことだ。

25年に団塊世代のすべてが75歳以上となり、大都市圏を中心に介護、医療の需要や財政負担が急増する。同時に若者、子育て支援など全世代型の施策も迫られている。

一方で、国と地方の借金は1000兆円を超す。社会保障の持続と財政再建を両立する「魔法のつえ」などない。給付と負担のバランスの必要を説くことは、強い基盤を持つ政権だからこそ可能なはずだ。

来週発足する第4次内閣にとって喫緊の課題は、北朝鮮危機への対応だ。トランプ米大統領が来月5日に訪日する。日米の連携は重要だが、軍事的圧力に傾斜するトランプ政権に同調して不測の事態を招かぬよう、細心の注意を払う必要がある。

安倍首相の最終目標が憲法改正にあることは疑いの余地がない。

選挙結果を受けて、首相は改憲についても国民の理解が得られたと強弁する可能性がある。

首相は9条に自衛隊の存在を明記したいと訴えてきた。実力組織を憲法にどう位置づけるかという問題提起を私たちは否定していない。

ただし、安全保障法制や特定秘密保護法の時のように性急に憲法を扱ったら、それこそ国の針路を誤らせる。国民に信頼されない改憲作業ほど、危険なことはない。

将来を見据えて、自衛隊の役割を冷静に論じ、広く国民の同意を得ていかなければならない。

憲法の論点は自衛隊に限らない。参議院の役割の見直しも含め、衆参両院の憲法審査会で建設的議論を深めるべきだろう。


緊張感ある国会審議を
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着実な成果を上げていくためにはこれまでの「安倍政治」の手法や中身を改め、押しつけ型の政権運営を見直す必要がある。

衆院選中に実施した毎日新聞の世論調査では、選挙後も安倍首相が首相を続けることに「よいとは思わない」との回答は47%で、「よいと思う」の37%を上回った。

それでも今回、安倍内閣が信任を得られたのは野党側の事情による。

小池百合子東京都知事が結成した希望の党は一時、与党を脅かす存在になりかけていた。

だが、民進党議員の参加をめぐる露骨な選別が逆風を呼んだ。公約や党内統治のずさんさも露呈し、急に失速した。

他方で小池氏の強引なやり方に反発して民進党の左派リベラル勢力は立憲民主党を結成し、両党は競合関係となった。

政権批判票の分散が、小選挙区制度の下で自民を利した。小池氏の劇場型手法に多くの有権者が不安を抱き、自民党を「よりまし」と判断したのではないか。

行政の公正さが疑われた「森友・加計」問題の解明作業は中断したままだ。首相は選挙での勝利を口実として、過去の問題だと片付けるべきではない。

野党では立憲民主党が公示前勢力を大幅に上回り、躍進した。

「安倍1強」が続く国会の審議を与党ペースにせず、緊張感を作り出すには野党の姿勢がカギを握る。建設的な政策論争を期待したい。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 安倍政権を全面承認したのではない (2017年10月23日)

この1カ月の大騒ぎは何だったのだろうか。降って湧いたような突然の衆院選は、これまでとさほど違わない与野党の議席配分で幕を閉じた。選挙戦の当事者たちは我が身の生き残りに必死だったのだろうが、有権者が頭を悩ますようなしっかりした選択肢が提供されたとは言い難かった。

いちばんの責任は民進党の前原誠司代表にある。いくら党の支持率が低迷していたとはいえ、衆院解散の当日という土壇場になって、野党第1党ができたてほやほやの新党「希望の党」に合流を決めたのは、あまりにも奇策だった。

勝手に自滅した野党

有権者に「選挙目当て」とすぐに見透かされ、7月の都議選に続くブームを当て込んで希望の党になだれ込んだ候補者はいずれも苦戦を余儀なくされた。

希望の党を立ち上げた小池百合子代表の振る舞いもよくわからなかった。「排除」という物言いが盛んにやり玉にあげられたが、政策を同じくする同志を集めようとするのは当然であり、そのことは批判しない。

しかし、分身的存在だった若狭勝氏らが進めていた新党づくりを「私がリセットします」と大見えを切ったのに、自らは出馬しなかった。これでは政権選択にならない。都知事選と都議選の連勝によって、自身の影響力を過大評価していたのではないか。

選挙戦では終盤になって、もうひとつの新党「立憲民主党」が急速に勢いづいた。これをもって、「リベラルの復権」ともてはやす向きもあるようだが、それは早計だろう。

立憲民主党をつくったのは「改革保守」を名乗った希望の党に受け入れてもらえなかった面々である。初当選は社会党だった人もおり、中道より左寄りなのはその通りだ。

だが、憲法改正に関する考え方をみても完全に一枚岩ではない。政策が支持されたというよりは(1)排除されたことへの判官びいき(2)希望の党の失速で行き場を失ったアンチ安倍政権の有権者の後押し――などが重なりあった結果であり、一過性の人気に終わるかもしれない。

この選挙をひとことで総括すれば「野党の自滅」である。自民党と公明党を合わせて、定数の過半数を大幅に上回り、選挙前と同水準の議席を獲得したとはいえ、野党候補の乱立に救われた選挙区も多い。両党が「与党の勝利」「安倍政権への全面承認」と受け止めているとしたら、大いなる勘違いである。

有権者は自公の連立政権に軍配を上げたが、野党よりはややましという消極的な支持にすぎない。自民党に取って代われる受け皿さえあれば、簡単に見限る程度の支持であることは、都議選で身に染みたはずだ。

主な世論調査を見ても、8月の内閣改造・自民党役員人事を受けて一時は上向いた安倍内閣の支持率は、選挙戦に入って再び低下した。ほとんどの調査で、不支持が支持を上回っており、不支持の理由も引き続き「首相の人柄が信用できない」が多い。

森友・加計学園問題などで生じた政権への不信感はなお払拭されていないと見るべきだろう。自公が過半数を占めたことで「みそぎは済んだ」などと浮かれないことである。

経済再生が政治の役割

疑惑をかけられた議員の表舞台への登用や、強引な国会運営を押し進め、「魔の2回生」が「魔の3回生」になるようなことがあれば、いずれ手痛いしっぺ返しを食らうことになろう。

順風だった橋本龍太郎内閣がロッキード事件の有罪議員の入閣をきっかけに瓦解への道を歩んだ例があることを強調しておきたい。

今回の衆院選勝利によって、安倍晋三首相は来年9月の自民党総裁選で3選を果たし、2021年まで政権にとどまる可能性が出てきた。そうなれば、戦後最長の佐藤栄作首相どころか、戦前の桂太郎首相を抜き、憲政史上最長の超長期政権になる。

問題はそれに見合う業績を上げているかどうかだ。政権返り咲きからでも間もなく5年だが、アベノミクスひとつとっても「道半ば」「7合目」というばかり。生活がよくなった実感があまりないという国民が大半だろう。

「安倍1強」と呼ばれる強大な権力を何に使うのか。経済を再生し、国民の暮らしを守る。それこそが政治の役割だ。「初の憲法改正」という宿願ばかり追い求め、肝心の原点を置き去りにしてはならない。
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[朝日新聞] 政権継続という審判 多様な民意に目を向けよ (2017年10月23日)

衆院選は自民、公明の与党が過半数を大きく超えた。有権者は安倍首相の続投を選んだ。

森友・加計問題への追及をかわす大義なき解散――。みずから仕掛けた「権力ゲーム」に、首相は勝った。

ただ、政権継続を選んだ民意も実は多様だ。選挙結果と、選挙戦さなかの世論調査に表れた民意には大きなズレがある。

■選挙結果と違う世論

本紙の直近の世論調査によると、「安倍さんに今後も首相を続けてほしい」は34%、「そうは思わない」は51%。

国会で自民党だけが強い勢力を持つ状況が「よくない」が73%、「よい」は15%。

「今後も自民党中心の政権が続くのがよい」は37%、「自民党以外の政党による政権に代わるのがよい」は36%。

おごりと緩みが見える「1強政治」ではなく、与野党の均衡ある政治を求める。そんな民意の広がりが読み取れる。

ならばなぜ、衆院選で自民党は多数を得たのか。死票の多い小選挙区制の特性もあるが、それだけではあるまい。

首相が狙った権力ゲームに権力ゲームで応える。民進党の前原誠司代表と希望の党の小池百合子代表の政略優先の姿勢が、最大の理由ではないか。

小池氏の人気を当て込む民進党議員に、小池氏は「排除の論理」を持ち出し、政策的な「踏み絵」を迫った。

それを受け、合流を求める議員たちは民進党が主張してきた政策を覆した。安全保障関連法の撤回や、同法を前提にした改憲への反対などである。

基本政策の一貫性を捨ててまで、生き残りに走る議員たち。その姿に、多くの有権者が不信感を抱いたに違いない。

例えば「消費増税凍結」「原発ゼロ」は本紙の世論調査ではともに55%が支持する。希望の党は双方を公約に掲げたが、同党の政策軽視の姿勢があらわになった以上、いくら訴えても民意をつかめるはずがない。

与党との一対一の対決構図をめざして模索してきた野党共闘も白紙にされた。その結果、野党同士がつぶし合う形になったことも与党を利した。

■筋通す野党への共感

その意味で与党が多数を占めた今回の選挙は、むしろ野党が「負けた」のが実態だろう。

旧民主党政権の挫折から約5年。「政権交代可能な政治」への道半ばで、野党第1党が散り散りに割れたツケは大きい。

与党の圧倒的な数を前に、野党が連携を欠けば政権への監視役は果たせず、政治の緊張感は失われる。その現実を直視し、選挙と国会活動の両面で協力関係を再構築することこそ、野党各党が民意に応える道だ。

留意すべきは、権力ゲームからはじき飛ばされた立憲民主党がなぜ躍進したのかだ。

判官びいきもあろう。そのうえに、民進党の理念・政策や野党共闘を重んじる筋の通し方への共感もあったのではないか。

「上からのトップダウン型の政治か、下からの草の根民主主義か」。枝野幸男代表が訴えた個人尊重と手続き重視の民主主義のあり方は、安倍政権との明確な対立軸になりえよう。

では、首相は手にした数の力で次に何をめざすのか。

自民党は公約に初めて改憲の具体的な項目を明記した。一方で首相は選挙演説で改憲にふれず、北朝鮮情勢やアベノミクスの「成果」を強調した。

経済を前面に掲げ、選挙が終わると正面から訴えなかった特定秘密保護法や安保法、「共謀罪」法を押し通す。首相が繰り返してきた手法だ。今回は改憲に本腰を入れるだろう。

■白紙委任ではない

だが首相は勘違いをしてはならない。そもそも民主主義における選挙は、勝者への白紙委任を意味しない。過去5年の政権運営がみな信認され、さらなるフリーハンドが与えられたと考えるなら過信にすぎない。

首相の独善的な姿勢は、すでに今回の解散に表れていた。

首相は憲法53条に基づく野党の臨時国会召集要求を3カ月も放置した末、あらゆる審議を拒んで冒頭解散に踏み切った。

与党の多数は、そんな憲法と国会をないがしろにした政争の果てに得たものだ。そのことを忘れてはならない。

民意は改憲をめぐっても多様だ。本紙の世論調査では、自民党が公約に記した9条への自衛隊明記に賛成は37%、反対は40%だった。

短兵急な議論は民意の分断を深めかねない。主権者である国民の理解を得つつ、超党派による国会の憲法審査会での十分な議論の積み上げが求められる。

憲法論議の前にまず、選ばれた議員たちがなすべきことがある。森友・加計問題をめぐる国会での真相究明である。

首相の「丁寧な説明」は果たされていない。行政の公正・公平が問われる問題だ。勝ったらリセット、とはいかない。

民意の分断を防ぎ、乗り越える。そんな真摯(しんし)で丁寧な対話や議論が、いまこの国のリーダーには欠かせない。

政権のおごりと緩みを首相みずから率先して正すことが、その第一歩になりうる。
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[読売新聞] 衆院選自民大勝 信任踏まえて政策課題進めよ  (2017年10月23日)

◆「驕り」排して丁寧な政権運営を◆

安倍政権のすべてを支持するほどではない。だが、政治の安定を維持し、経済再生や日本の安全確保できちんと結果を出してほしい。それが、今回示された民意だろう。

第48回衆院選は、自民党が過半数を大きく上回る議席を得て、大勝した。公明党との連立政権が継続する。安倍首相は2012年衆院選以来、国政選で5連勝だ。

首相は大勢判明後、「安定した政治基盤の下、一つ一つ結果を出したい」と強調した。

◆首相全面支持ではない

首相は、来年秋の自民党総裁選での3選に向けて、足がかりを築いた。内政、外交両面でさらなる長期的な政権戦略を練り、その布石を打つことが大切である。

我が国は今、デフレ脱却、財政再建、北朝鮮の核・ミサイルなど様々な課題に直面している。

今の野党に日本の舵(かじ)取りを任せることはできない。政策を遂行する総合力を有する安倍政権の継続が最も現実的な選択肢だ。有権者はそう判断したと言えよう。

希望の党の結成や、民進党の分裂・合流、立憲民主党の結成という野党再編の結果、小選挙区で野党候補が乱立し、反自民票が分散した。これが、自民党に有利に働いた点も見逃せない。

公示直後の世論調査で、内閣支持率は不支持率を下回った。首相は、自らの政策や政治姿勢が無条件で信任されたと考えるべきであるまい。与党の政権担当能力が支持されたのは確かだが、野党の敵失に救われた面も大きい。

安倍政権の驕(おご)りが再び目につけば、国民の支持が一気に離れてもおかしくない。首相は、丁寧かつ謙虚な政権運営を心がけ、多様な政策課題を前に進めることで国民の期待に応えねばなるまい。

与党は、19年10月の消費増税による増収分の使途変更で教育無償化などを拡充すると表明した。

バラマキを排し、真に必要とする家庭を支援する制度を設計する必要がある。達成不可能になった20年度の基礎的財政収支の黒字化という目標に代えて、新たな財政健全化の道筋も明示すべきだ。

安倍政権の原点は経済再生だ。アベノミクスの加速へ、既存政策の焼き直しでなく、成長戦略を多角的に強化することも急務だ。

◆希望は新党の脆さ露呈

北朝鮮情勢は今後、さらに緊迫する可能性がある。日米韓3か国が連携し、金正恩政権への圧力を強めつつ、中国の協力を得て、核放棄を迫り続けねばならない。

立憲民主党は当初、希望の党に合流できない民進党の左派・リベラル系議員の受け皿として出発したが、安倍政権に批判的な層に幅広く浸透し、躍進を果たした。

労働団体による個別議員への支援に加え、共産、社民両党との選挙協力も効果を上げた。

今後、民進系の無所属議員らと連携する可能性がある。政府・与党に何でも反対する「抵抗政党」に陥らず、建設的な論戦を仕掛けることが求められよう。

希望の党が安全保障関連法を容認し、安保政策で自民党と差のない保守系野党を目指す姿勢は、評価できる。従来の不毛な安保論争に終止符を打つことは重要だ。

希望の党は一時、政権獲得を目指す構えだった。だが、小池代表の民進党からの合流組への「排除」発言などで失速した後は、盛り返せず、苦戦した。

消費増税凍結、30年の原発ゼロなど、付け焼き刃の政策は具体性を欠いた。「しがらみのない政治」の名の下、政治経験の乏しい新人の大量擁立も疑問視された。

組織基盤がなく、「一枚看板」の小池氏の人気に依存した新党の構造的な脆(もろ)さを印象づけた。

小池氏の地元の東京で振るわず、全国でも当選者の大半を民進党の移籍組が占めた。小池氏の求心力低下は避けられまい。

◆憲法改正論議を活発に

政策面で民進党に先祖返りしたり、離党して民進党の再結集を図ったりすることは、有権者を愚弄(ぐろう)する行為であり、許されない。

共産党は、立憲民主党に左派系の票を奪われ、伸び悩んだ。

今回の衆院選では、憲法改正が本格的な争点となった。

自民、公明、希望、維新の各党は改正に前向きである。各党の合計議席が衆院の3分の2を大きく上回ったが、改正項目に関する足並みはそろっていない。

自民党は今後、自衛隊の明記、緊急事態条項など4項目に関する党内論議を再開し、党の考え方をまとめる。各党も、無為に議論を先送りせず、自らの見解を策定すべきだ。超党派の合意形成に向けた重要な一歩となるだろう。
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2017年10月22日

[産経新聞] 【主張】日産と神鋼の不正 安全の基本損ねる背信だ (2017年10月22日)

安全を守るための法令をあまりに軽んじる姿勢にあきれる。

日産自動車が資格を持たない社員に完成車の検査を行わせていた問題で、9月の不正発覚後も大半の工場で無資格検査が続けられていた。

アルミや鉄鋼製品の性能を改竄(かいざん)していた神戸製鋼所では、社内の自主点検の際に管理職らが不正を隠蔽(いんぺい)していたことが新たに発覚した。

いずれも日本を代表する大手メーカーである。社内不正が常態化していたのだろうか。世界の信頼をも揺るがす背信行為の続発を重く受け止めなければならない。

安全性を早急に確認し、原因を徹底解明するのは当たり前だが、言葉で取り繕うだけなら消費者や取引先に見放される。

日産の西川広人社長は不正発覚時点の会見で「再発防止を徹底した」と強調した。非常時におけるトップの指示さえ製造現場に行き届かない状況に驚く。管理体制を強化するため、国内で生産した車両の出荷を全面停止したのも当然である。

資格者が検査する本来の態勢に改めたはずなのに、無資格者の検査が続いていたのは、管理職同士の連絡ミスなどが原因という。

西川氏は「現場任せだった」と釈明したが、指示が現場に届かないのは企業統治に決定的な不備がある証左である。

生産を拡大する一方で、完成車を検査する陣容が他社よりも手薄だったという指摘もある。

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仏ルノー出身のカルロス・ゴーン会長は、コスト削減など効率優先の経営が特徴だ。それが不正につながったとすれば問題の根は深い。徹底した検証が必要だ。

出荷前検査は、道路運送車両法に基づき、自動車メーカーが国の安全検査を代行する制度である。その見直しの必要性についても、政府は検討すべきだろう。

神戸製鋼ではアルミ製品などの性能改竄が判明し、米司法当局や欧州連合(EU)当局も調査に乗り出した。日本ブランドの信頼が傷つけば、政府が進めるインフラ輸出にも悪影響を与える。

さらに同社では、日本工業規格(JIS)の検査証明書を書き換えた疑いも新たに見つかった。

他の企業、業界に同様の問題がないのか気がかりだ。法令順守について産業界全体で襟をただすのはもとより、有効な防止策を講じるのは政府の責務でもあろう。
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[産経新聞] 【主張】衆院選きょう投票 「未来」への機会生かそう (2017年10月22日)

衆院選の投票日を迎えた。日本の未来を決める重要な機会である。有権者はぜひ投票所へ足を運び、貴重な一票を投じてほしい。

天候上の悪条件も予想され、低い投票率とならないかが懸念される。3年前の衆院選は、戦後最低の52・66%だった。

自分たちの代表を送り込む選挙だというのに、半数の有権者しか投票にいかない。そうした傾向が民主主義を損なわないか心配だ。

周辺の国々を見渡してほしい。必ずしも公正で自由な選挙が行われている国ばかりではない。民主主義を成り立たせるもっとも基本的な機会をもちながら、それを生かさないのは何とももったいないではないか。

急速に進む少子高齢化が、衆院選の争点になった。半世紀後には高齢者が総人口の約4割を占め、年間出生数は55万人程度へと減少する。

事態の深刻さを踏まえれば、関心が集まるのは当然である。

十分な解決策が並んだとはいえないが、高齢者に偏らない全世代型の社会保障制度の構築、幼児教育・保育の無償化、格差是正などが論じられた。いずれも若い世代に密接に関係する課題であることに注目してほしい。

「18歳選挙権」が導入された昨年参院選の投票率は、全体で54・70%である。

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若い世代をみれば、18、19歳の平均は46・78%、20代35・60%、30代44・24%という低水準だ。60代(70・07%)や70歳以上(60・98%)とは大きな開きがある。

そもそも60代の人口は20代の1・5倍ほどいる。そこに、この投票率をかけて計算すると、投票に行った60代は20代の2・8倍に及んだことになる。

高年齢層はそれだけ、投票を通じて政治への影響力を行使しているともいえる。

年齢にかかわらず投票に赴くのが望ましいが、とりわけ20代、30代の奮起を促したい。期待するというより、積極的に投票に行くべき年代だともいえる。

子供を産み、育てやすい日本を作っていくには、限られた財源の配分をどう見直すかが大きな鍵となる。当事者となる若い世代が投票に行かなければ、そのニーズは反映されにくい。

少子高齢化に備える絶好の機会だと、投票をとらえてほしい。
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[東京新聞] 週のはじめに考える 民意を正しく映すには (2017年10月22日)

衆院選はきょうが投票日。民意は選挙結果に正しく反映されるのか。安倍晋三首相による突然の解散で民主主義の根幹にかかわる問題も見えてきました。

厳粛な気持ちできょうの投票日を迎えました。十二日間の選挙戦を終えた衆院選。国政を誰に委ねるのか。棄権や浅慮の「お任せ民主主義」でなく、私たち有権者が熟慮の意思を示すことこそ、日本の政治を正しい方向に導きます。

「全国民の代表」である国会議員を選ぶことは、先人が勝ち取ってきた私たち国民の権利です。


◆公約の吟味が前提に
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とはいえ、どの候補者、政党に投票するか、かつてないほど悩ましい選挙でもありました。

小池百合子東京都知事が「希望の党」を結成し、民進党前議員らが合流する一方、反発する枝野幸男元官房長官らが「立憲民主党」を立ち上げました。野田佳彦前首相ら無所属での立候補もいます。

野党勢力が分散したため、安倍政権に交代を迫るには誰に投票すればいいのか分かりづらい複雑な構図となったからです。安倍政権打倒を掲げながら小池氏は立候補はせず、首相候補を明示しないことも混乱に拍車をかけました。

その責任は野党だけでなく、解散に踏み切った首相にもあります。

有権者が政権を選択するには政策や公約の吟味が前提ですが、今回は時間が十分とは言えません。特に野党にとっては、選挙準備が十分整わないうちの解散でした。

任期を一年以上残す段階で解散する以上、国民の大方が納得する「大義」が必要です。首相は「国難突破解散」と名付けますが、消費税増税分の使途変更と北朝鮮対応への政権基盤強化を理由に挙げるだけでは説得力を欠きます。

「森友」「加計」両学園をめぐる問題の追及を逃れるためと、指摘されても仕方がありません。


◆小選挙区制の弊害も
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政権の座に長く就いている人たちは、解散は「首相の専権事項」であり、いつでも可能だと考えているのでしょう。根拠とするのは内閣の助言と承認による天皇の国事行為を定めた憲法七条です。

「七条解散」は慣例化しているとはいえ、野党の選挙準備が整わないうちの解散は、不公平であるばかりか、有権者から公約や政策を十分、吟味する時間的な余裕を奪います。突然の解散による準備不足で生煮えの公約や政策を眼前に並べられてはたまりません。

民意を正しく政治に反映するには、十分な判断材料と時間的な余裕を確保するのは当然です。

日本が長年、政治改革の手本としてきた英国では二〇一一年、下院議員の任期を五年とする「議会任期固定法」が制定されました。解散には下院の三分の二以上の賛成を必要とし、首相の恣意(しい)的な解散を封印するのが狙いです。

日本でも、内閣不信任以外では政府提出の予算案、重要法案が否決された場合や国論を二分する問題が生じたときに解散は限るべきでしょう。法律で可能かどうか、まず検討することが急務です。

民意と議席数の乖離(かいり)も深刻な問題です。例えば一四年衆院選の小選挙区で、自民党は得票率48%で75%の議席を得ました。野党全体では得票率が50%近くに達しますが、議席は21%にとどまります。

野党勢力が分散した今回も、同様のことが起こり得ます。

これは一選挙区で一人しか当選できない小選挙区制の特性です。政党・政策本位、政権交代可能な二大政党制を目指して導入された制度ですが、民意が正しく反映されるとは、とても言えません。

衆院への小選挙区制導入から二十年以上。その間、政権交代が二回実現しましたが、眼前に今あるのは、国民の反対を押し切って安全保障関連法や「共謀罪」法の成立を強行する「安倍一強」の姿です。民意が極端に切り捨てられ、国会での議論が軽視された結果でもあります。

民意を正しく議席数に反映するには、比例代表を基本とした制度に改めることも一案です。今、一九九〇年代のような政治改革の機運はありませんが、逆に、民主主義の土台である選挙制度を議論する好機ではないでしょうか。


◆政党交付金見直しを
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もう一つ、指摘せざるを得ないのは政党交付金の問題です。分裂した民進党本部から、希望の党や立憲民主党、無所属で立候補した候補に資金が渡っていますが、元は八割以上が政党交付金です。

交付された政党と全く違う政策を進める政党の活動に使われるのなら、民意を反映した交付金の使い方とはとても言えない。

国会議員も身を切る必要があるというなら、三百二十億円に上る政党交付金を廃止するか、せめて減額することが先決です。国のお金に頼る政治活動が、国家権力から自由なはずがありませんから。
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[毎日新聞] 日本の岐路 衆院選きょう投票 「安倍1強」の継続か否か (2017年10月22日)

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衆院選の投票日を迎えた。

憲法改正や社会保障、経済・財政政策、外交・安全保障など多くの課題でこれからの日本政治の方向を決定づける可能性がある選挙だ。

報道各社の事前調査では2014年の前回衆院選に続き、自民党が優位な情勢になっている。しかし調査時点で投票態度を明らかにしていない人は3?4割おり、接戦となっている小選挙区も多い。

私たち有権者の1票は重い。ぜひ投票所に足を運んでもらいたい。

改めて指摘しておきたい。

今回は安倍晋三首相の1強体制が継続するのを是とするのか、しないのかが問われている衆院選だ。

事前調査通りなら、安倍首相が来年秋の自民党総裁選で3選される可能性が強まる。その場合、安倍内閣はあと4年、21年秋まで続き、第1次内閣も含め在任期間は約10年に達して憲政史上最長となる。


首相権限強化の副作用
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なぜ、この1強体制に至ったのだろうか。

1990年代初めに進められた一連の政治改革は、衆院への小選挙区比例代表並立制導入とともに、内閣機能の強化を目指したものだった。

各府省の縦割りを排して首相のリーダーシップを強め、迅速に政治課題に対応するという改革の目的が間違っているとは思わない。だが、そのひずみも見えてきたのが安倍政権の約5年間だった。

内閣人事局が府省幹部の人事権を握った結果、官僚が自由にものを言えなくなっている。森友学園や加計学園の問題が象徴的だ。官僚が安倍首相らの意向をそんたくした結果、行政手続きがゆがんだのではないかとの疑問が今も消えない。

小選挙区制導入により、自民党では候補者選定や資金配分の権限が党総裁や幹事長に集中した。活発な党内議論が著しく乏しくなっているのはそれと無関係ではないだろう。

国会も軽視され、安全保障法制をはじめ審議が不十分なのに与党が強引に成立させる場面も目立った。

安倍首相の実行力を評価する人もいるだろう。しかし権限強化の副作用は明らかに出ている。こうした権力のあり方を問う選挙でもある。

異例ずくめの選挙戦だった。

首相は「森友・加計問題の疑惑隠しではないか」との批判を受けながらも臨時国会で何の審議もせずに衆院を解散した。首相自らの都合を優先したのは間違いないだろう。

一方、野党は小池百合子東京都知事が代表を務める希望の党ができたものの、民進党候補者は分裂し、立憲民主党が急きょ発足。結局、「自民・公明」「希望の党・日本維新の会」「共産・立憲民主・社民」の3極が争う構図となった。


それぞれの尺度で選ぶ
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小選挙区制は二つの主要政党が1議席を争う形を想定している。戸惑う有権者が多いのは当然だろう。

安倍内閣の支持率は依然、低迷している。毎日新聞の世論調査によれば、衆院選後も安倍首相が首相を続けることについて「よいとは思わない」と答えた人は47%。「よいと思う」と答えた人の37%を上回った。

にもかかわらず自民党が優位な情勢になっているのは、小選挙区制の下で野党が分散した理由が大きい。ただし決められたルールに基づいて行う選挙の結果によって進められていくのが民主政治の基本である。

自民党が勝利すれば、憲法改正の議論は首相のペースで急速に進む公算が大きい。経済政策でも特に地方で不満の声が強い今のアベノミクスの方向は変わらないだろう。原発などエネルギー政策も同様だ。国会運営も変わらないかもしれない。

衆院選の投票率は、ともに自民党が大勝した前々回の12年が59%、前回が52%と2回連続で戦後最低を更新した。有権者の半数近くが棄権する状況は民主政治の危機と言える。

この低投票率の下で生まれた「安倍1強」でもある。棄権するのは、結果的には政権に白紙委任するのに等しいことも忘れずにいたい。

確かに今回の選択は難しい。しかし選ぶ方法はさまざまだ。自分が望ましいと考える政治状況に少しでも近づけるために投票する方法もある。最も関心のある政策で自分の考えに一番近い党や候補者を選んだり、候補者の人となりに重きを置いたりするのもいいだろう。

選挙は有権者が政治に関わる最も重要な場だ。今回初めて総選挙で投票する18、19歳を含め、それぞれの判断で大事な1票を投じたい。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 節目の選択「お任せ民主主義」に決別を (2017年10月22日)

きょう22日は衆院選の投開票日である。12日間にわたって繰り広げられてきた選挙戦に有権者の審判が下る。

衆院議員の任期は2021年10月までの4年間。18年秋の明治150年の記念式典、19年の改元、20年夏の東京五輪がひかえている。19年夏の参院選との衆参同日選がない限り、向こう3年おそらく議席は動かない。

平成から次なる時代へ、10年代から20年代へ、日本政治の方向性が固まる節目の選挙である。

報道各社による各党の獲得予想議席の報道で大勢が明らかになり、選挙戦への関心がすっかりしぼんでしまったのは確かだ。

小選挙区はすでに行方が見えており、自分の票が選挙に影響を及ぼす可能性は低いので棄権しようと考える人がいるとすれば、事前の予測が外れた例をあげよう。

大平正芳首相が一般消費税の導入を掲げて戦った1979年の衆院選と、橋本龍太郎首相の退陣につながった98年の参院選が代表例だ。いずれも自民党勝利の予想がくつがえった。

もうひとつ指摘される棄権の理由は、政党や候補者の政策の違いや自分の利益になるかどうかが判断できないためである。こんどは自民・公明両党、希望の党・日本維新の会、共産・立憲民主・社民各党の3極の構図になったことで分かりやすくなったはずだ。

まして小選挙区と比例の2票を持っている。使い分けるかどうかはともかくとして、権利を行使しない手はない。棄権とは多数派に国の将来を無条件でゆだねることである。そんな「お任せ民主主義」とは決別したい。

多くの有権者がお任せではなく自ら出て行くと政治は動く。05年の郵政選挙はその前の03年のときより投票率が8ポイント上昇し67%、09年の政権交代選挙は69%だった。

前回14年の投票率は過去最低で52%とギリギリで5割を維持した。今回もし50%を下回るような事態になれば、半分に満たない人の声を民意といえるのかといった声も出てきかねない。

今回、18歳選挙権で20歳未満の若者が総選挙ではじめて一票を投じる。高齢者の利益を重視するシルバー民主主義に流れないようにするためにも、まずは若者が一票を投じることから始めたい。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 株価の連騰が企業に促すもの (2017年10月22日)

日経平均株価が20日、9円12銭高の2万1457円64銭で取引を終了し、1960年12月から61年1月にかけて記録した14日間の最長連騰に並んだ。

歴史的ともいえる株価の連続上昇の背景には、景気や企業業績の拡大がある。と同時に、低金利が続いているため運用難の資金が株式に流れ込んでいる。

日本企業の競争力向上に対する市場の期待が先行している面も大きい。企業は株高の持つ意味を受け止め、成長に向けて手を打つことが求められている。

60年12月当時の日本は高度成長期のまっただ中にあった。池田勇人内閣が国民所得倍増計画を決めた時期に重なる。官民の投資が成長をけん引し、所得の増えた家計が消費を拡大した。

現在は当時より長い期間の景気拡大が続いているが、実感に乏しいとの声は多い。その要因の一つは、業績が良いにもかかわらず投資や賃上げに慎重な企業が多いことである。

その意味で、今回の選挙戦などを通じて、企業が抱え込んだ現金の有効活用策が注目されているのは望ましいことだ。

いまや上場企業だけで手元資金は100兆円を上回る。長期の視点で日本企業に投資する外国人投資家は、これを使って設備投資や企業買収など成長のための布石を打つよう求めている。

人件費の上昇につながる賃上げも、優秀な人材を獲得するための先行投資と捉える投資家は決して少なくない。歴史的な株価の連続上昇には、日本企業の潜在力への期待が多分に反映している。それに応えるのが経営者の責務だ。

折しも、世界的には「暗黒の月曜日」(ブラックマンデー)と呼ばれた世界同時株安から30年の節目である。最高値圏にある米株式市場は、利益に比べて株価が高いとの指摘も増えている。

日本企業が戦略的な投資で収益基盤を強固なものにしておくことは、急激な株価変動への備えにもなるはずだ。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする