2017年05月25日

[産経新聞] 【主張】中核派 過激組織の警戒を怠るな (2017年05月25日)

大阪府警が広島県内の過激派「中核派」の拠点で逮捕した男が、昭和46年に警察官が殉職した渋谷暴動事件の殺人容疑などで指名手配していた活動家とみられている。

事実なら、その逃走劇は約46年に及ぶ。驚くべきは、この間、非公然アジトなどで潜伏を支援してきたとみられる中核派の組織力である。過激派への警戒を怠るわけにはいかない。

事件当時22歳だった男は、白髪頭となっていたという。昭和46年といえば、NHK総合テレビが全番組をカラー化し、小柳ルミ子が「わたしの城下町」を歌った年だ。沖縄返還はこの翌年である。男の風貌が変わっていたとしても無理はない。

男は逮捕時、証拠の隠滅を図り、取り調べには完全黙秘を貫いているというから、筋金入りの活動家であり続けたのだろう。

暴力革命を標榜(ひょうぼう)する中核派は、同じ革共同系の革マル派などと凄惨(せいさん)な内ゲバ事件を繰り返してきた。成田空港の反対運動などをめぐって関係者の襲撃や放火ゲリラを起こし、圧力釜爆弾の使用や迫撃弾を皇居に撃ち込むなど、テロの手口をエスカレートさせた。

過激な武装闘争路線は警察当局の厳しい取り締まりを受けて先細りとなり、近年は市民運動や労働組合への浸透を図り、より巧妙に運動を継続していたとされる。

機関誌やホームページには「共謀罪粉砕」「反原発」「基地撤去へ沖縄闘争」などの文言が並び、広範な活動を報告している。こうした運動体の表裏に過激派の姿があるのだろう。

彼らの主張は、現実離れしている。例えば、核実験やミサイル発射を繰り返して国際社会から孤立を深める北朝鮮情勢について、中核派の機関誌は「米日帝国主義の朝鮮侵略戦争が切迫する」と表現していた。

こうした時代錯誤的な主張を展開する集団と、いわゆる健全な市民運動家は、どう共通認識を持ちうるのか。何より彼らの本質は、殺人容疑の手配犯を、かくも長きにわたって組織的に隠しおおせる犯罪者集団である。

英マンチェスターのコンサート会場で22日、自爆テロにより多数が死傷するなど、世界でテロの嵐が吹き荒れている。国際テロへの備えに万全を期すとともに、国内の極左暴力集団の動向についても監視を強めるべきだろう。
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[産経新聞] 【主張】年内に自民改憲案 首相方針へ論議の加速を (2017年05月25日)

安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法9条改正などについて、党としての改憲案を年内にまとめる方針を表明した。

施行の目標を3年後の平成32年に置く自身の構想に沿ったものだ。民進党などの抵抗で進まなかった論議を加速するものであり評価したい。

首相は「第一党のリーダーとして国民に訴え、議論を深め、促進する責任がある」と述べた。最大政党の党首が憲法改正に指導力を発揮するのは当然だ。

自民党は、党憲法改正推進本部(保岡興治本部長)の幹部に、党執行部の幹事長や政調会長らを加えて態勢を強化した。保岡氏は検討項目として9条への自衛隊明記と教育無償化、緊急事態における国会議員の任期延長を挙げた。

最大の焦点は、9条である。

現憲法に防衛力の規定がないことが安全保障をめぐる国論を混乱させてきた。国民を守り抜く術(すべ)を定めぬ憲法が独立国の憲法といえるのか。致命的な欠陥は是正していかねばならない。

現行の憲法9条1項、2項はそのまま残し、自衛隊の根拠規定を加えるのが首相の考え方だ。

自民党が24年に党議決定した「党憲法改正草案」は9条1項の戦争放棄を残しつつ、戦力不保持の2項は全面的に改めて自衛権を明記した。新設の条文「9条の2」で国防軍の保持を定めた。

党内には首相の構想に対し、自衛隊を軍と位置づけなくてよいのかという意見と、「憲法上の規定があれば自衛官は誇りを持って活動できる」(中谷元・元防衛相)と賛成する意見とがある。

日本の平和と安全を保つ上で、国防軍の実現が望ましいのはもちろんだ。産経新聞の憲法改正案「国民の憲法」要綱(25年)も軍の保持を盛り込んでいる。

自衛隊を認める「加憲」を超えた改正に公明党は否定的だ。その同調を得なければ9条改正は触れることさえできないと、首相は現実的に判断しているのだろう。

自衛隊の位置づけのほか、3分の2勢力をどう形成するか。自民党議員は議論を尽くし、改正案を確実にまとめてほしい。

憲法の施行から70年を迎え、日本を取り巻く環境は一層きびしいものになっている。国民を守り抜くという、国家としてもっとも基本的な役割を果たすために必要な憲法改正を、国民とともに考える作業を急ぎたい。
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[東京新聞] 英の自爆テロ 分断解消への議論も (2017年05月25日)

犠牲者はコンサートを楽しんでいた若者たちだった。多くのミュージシャンを輩出した英中部マンチェスターの爆発テロ。無差別殺人は絶対に許されないが、社会の分断にも目を向けたい。

米人気歌手アリアナ・グランデさんの公演が終了した直後、会場の出入り口近くで爆発は起きた。八十人以上が死傷した。女性や子どもたちが多かった。リビア系移民二世とされる男(22)による自爆テロで、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。

英政府は、警戒レベルを五段階の最高レベルに引き上げ、サッカーの大会やイベントの警備に兵士を配置する方針を決めた。

欧州ではここ数年、テロが相次いでいる。パリでは風刺週刊紙本社が襲撃され、劇場や飲食店で銃が乱射された。ブリュッセル、仏南部ニース、ベルリンなどでも多くの犠牲者、負傷者が出た。

英国でも今年三月、ロンドンの国会議事堂周辺で、男が通行人をはねるなどして五人が亡くなったばかりだった。

駅、空港、コンサート会場、劇場、クリスマス市など、市民が自由に出入りするため、警備が緩やかなソフトターゲットが狙われるケースが多い。

ISに感化され、自国で犯行に及ぶホームグロウンテロや、組織と直接のつながりのないローンウルフ(一匹おおかみ)型テロも目立つ。

英国では六月八日の総選挙に向け、欧州連合(EU)からの離脱交渉の進め方や、移民政策などについて議論が繰り広げられていたところだった。

一方で、トランプ米大統領は中東訪問を終え、先進七カ国(G7)首脳会議(サミット)や、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に向かう途上だった。

事件がこのタイミングで、社会の分断を狙い、市民を無差別に巻き込んだとすれば言語道断だ。

トランプ大統領就任で溝が広がりかねない米国と欧州だが、サミットなどの場で、テロ対策での連携を強めたい。

しかし、監視や取り締まりの強化は対症療法にすぎない。

メイ英首相は「不公平や不正義に取り組む」と述べ、EUからの離脱決定で明らかになった格差の是正を重点政策に挙げている。貧困や疎外感による社会の分断解消に向けた、国際的な議論も主導してほしい。時間はかかるかもしれないが、テロ根絶には有効だ。
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[東京新聞] 新大学入試案 50万人というハードル (2017年05月25日)

積み残した課題は多く、見切り発車は許されない。文部科学省が示した大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」の原案のことだ。大規模な一斉試験に負荷を掛け過ぎてはいないか。

知識偏重の一点刻みでの選抜を廃止し、考える力や表現する力の到達度をランク別に評価する方式に転換する。そういう改革の方向性にはうなずけるものがあった。

とはいえ、具体的な制度設計に入った途端、かねての懸念が明瞭になった。文科省は二〇二〇年度からの実施に向けて六月に方針を決めるというが、国民の声をよく聞いてほしい。

国語と数学ではマークシート式に加え、記述式の問題を導入して採点を民間業者に委ねる。英語では実用英語技能検定やTOEFLのような民間検定試験を使う。これらが大きな変更点となる。

国語では最長百二十字ぐらいで考えをまとめる問いを、数学では数式や解き方を求める問いをそれぞれ三問程度出すという。

しかし、記述式の採用はハードルが高いといえる。

例えば、国語では、行政の資料や駐車場の契約書から情報を読み取るモデル問題例が示された。けれども、正答の条件として、引用すべき文章のくだりやキーワードはあらかじめ決まっていた。

数学のモデル問題例では、最終的に正答のみの記述を求めていて、結論に至るまでの過程は評価の対象にはしていなかった。

五十万人規模の答案を短期間でぶれずに採点する必要がある。その公平性、客観性を担保するには明確な採点基準が欠かせない。

だが、逆にいえば、採点基準を明示できない自由記述のような問題を課すのは無理ということだ。これでは、真の思考力や表現力を試すのは難しいのではないか。

英語に民間検定試験を充てるのは、実用能力を測る手段として好ましい。コミュニケーションの道具として「読む」「聞く」だけではなく、「書く」「話す」の技能を学ぶのは当然だろう。

将来、海外に留学したり、仕事で滞在したりする動機づけにもなりうる。文法や解釈に偏りがちで、英語を操る力が身につかない学校の授業こそ改善したい。

入試とは大学が入学者を選抜する方便だ。大学には学生を鍛え上げ、社会に送り出す役割がある。

本来は個々の大学で、望ましい学生の卵を見抜くための入試を工夫するのが筋だ。問われているのは大学の主体性である。
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[日経新聞] テロとの戦い、結束を新たに (2017年05月25日)

英マンチェスターのイベント会場を狙った自爆テロは死者22人、負傷者59人の大惨事になった。同国で起きたテロとしては、52人が死んだ2005年のロンドン連続爆破事件以来の規模である。メイ首相はテロ警戒水準を5段階中で最高の「重大」に引き上げた。

会場では米国の人気歌手のコンサートが開かれており、8歳の少女を含む子供が多数、犠牲になった。無辜(むこ)の人を非道な暴力で無差別に殺傷したテロリストを断じて許せない。

今週末にイタリアで開く主要国首脳会議(G7サミット)は、治安情報の共有など結束を新たにする必要がある。英政府は欧州連合(EU)との離脱交渉を始めるが、テロ対策で両者が連携を緊密にするのは当然だ。

過激派組織「イスラム国」(IS)がインターネットで犯行声明を出した。英当局は自爆犯のほかに関わったグループがいる可能性があるとみている。第2、第3のテロへの備えが要る。

英国は大陸欧州と海で隔てられているうえ、旅行者が旅券審査なしで国境を越えられるシェンゲン圏に入っていない。銃器類が容易に持ち込めず、独仏やベルギーなどに比べればテロ封じ込めに成功してきた印象がある。当局は過去4年に13件を未然に防いだ。

ただ「抑止には限界がある。問題はテロが起きるかではなく、いつ起こるかだ」と警告してもいた。3月にはロンドンの議会議事堂近くでイスラム過激派の男が車を暴走させ、4人が死んだ。

今回は総選挙の選挙戦の最中だった。テロ犯は厳戒態勢のロンドンを避け、人が集まるのに警備をしにくいソフトターゲットを狙った。周到な準備がうかがえる。空港や駅などに限らず、あらゆる場が標的になり得る。

テロを防ぐ即効薬はない。各国間で情報を密に交換し、要監視者を見張り、資金の流れを断つ。それでも防ぎきれまいが、暴力と恐怖に屈するわけにはいかない。日本人にとっても人ごとでない。
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[毎日新聞] トランプ政権と中東和平 仲介の実が問われている (2017年05月25日)

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トランプ米大統領がイスラエルとパレスチナを訪問し、中東和平交渉で仲介役を果たす意欲を示した。

和平再生へ向けて米大統領が指導力を発揮することに異論はない。問題はトランプ氏に難題に取り組む覚悟と構想力があるかどうかだ。

トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長と個別に会談後、「(双方に)和平を達成する用意がある」と強調した。ただし交渉再開の時期や、具体的方策は示さなかった。

パレスチナが独立国家を樹立し、イスラエルとの「2国家共存」を目指す和平交渉は、3年余、中断している。中東和平は双方だけでなく、イスラエルと周辺アラブ諸国の和解や、地域全体の安定化につながるものとして期待されてきた。

それだけに米大統領の役割は重要だ。クリントン大統領は1993年にパレスチナ暫定自治合意(オスロ合意)を仲介し、2000年に最終地位交渉にまでこぎ着けた。だが、それが頓挫した後は大きな進展がなかった。オバマ前大統領もむしろ消極的だった。

問題の一つはイスラエルが占領地で続けるユダヤ人入植地の建設だ。パレスチナは領土がむしばまれるとして常に反発してきた。入植地をいかに解消させるかが和平交渉で主要な議題となる。

また双方が「首都」だと主張するエルサレムの帰属を決めることも、難関と位置づけられている。

しかし、トランプ氏はネタニヤフ首相との共同記者会見で、入植地問題に一切触れなかった。アッバス議長に対しては「暴力の抑制」など課題を突きつけた。

また「2国家共存」に固執しないとした2月の自身の発言や、在イスラエル米大使館のエルサレムへの移転方針について公に修正しなかった。「パレスチナ国家」への言及もなかった。パレスチナ側からすれば、イスラエル寄りとの疑念は拭えないだろう。

トランプ氏の中東歴訪には、オバマ前大統領と異なる姿勢を示す狙いがある。サウジアラビア、イスラエルとの関係修復に加え、中東和平への意気込みもその一環と言える。

言葉だけでなく、仲介の実が問われることになる。
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[毎日新聞] 原発再稼働に頼る関電 持続可能な経営なのか (2017年05月25日)

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原子力規制委員会は福井県の関西電力大飯原発3、4号機の安全審査で、新規制基準に合格したことを示す審査書を正式決定した。

関電の原発では、同県の高浜4号機が今月再稼働した。高浜3号機も来月再稼働する予定だ。

地元同意が得られれば、年内にも原発4基が稼働する体制が整う。

関電は最終的に、老朽原発3基を含め福井県内に所有する9基を再稼働させる方針だ。大手電力会社の中でも原発回帰の姿勢が際立つ。

だが、事故に備えた自治体の住民避難計画は不十分なままだ。

大飯原発と高浜原発は十数キロしか離れていない。自然災害などで過酷事故が同時発生すれば、対応は一層困難になる。原発集中立地の問題は規制委も今まで真剣に検討してこなかった。そうした状況にもかかわらず、関電が原発再稼働を相次いで進めることは、認めがたい。

関電は、火力発電の燃料費削減により収支が改善し、電気料金を値下げできるという。短期的に見れば、確かにその通りだろう。しかし、原発に頼るばかりで持続可能な経営と言えるのか、大いに疑問がある。

東日本大震災前、関電は発電量に占める原発比率が5割を占め、電力会社で最も高かった。震災後はその分、火力発電の燃料費がかさんだ。電気料金を2度値上げし、顧客離れを招いた。岩根茂樹社長は「最大の経営戦略は再稼働」と語る。

だが、風力や太陽光発電のコストは低下し続けており、世界のエネルギー投資は再生可能エネルギーに集中するようになった。一方で先進国の原子力産業は斜陽化している。

安倍政権も長期的には、原発依存度を引き下げる方針だ。そもそも、老朽原発の安全対策費が想定を上回るかもしれない。大事故を起こせば、会社の存続すら危うくなる。

原発に左右されない経営体制の構築こそが、関電にとっても長期的な利益にならないか。大阪市と京都市は「経営体質の強化と安定化につながる」として、脱原発依存を関電の株主総会で提案してきた。

大飯原発では今後、地元同意手続きが焦点となる。事故の影響を考えれば、同意の範囲を立地自治体に限らず、避難計画の策定が義務づけられた原発30キロ圏に拡大すべきだ。
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[日経新聞] 米中東政策の転換に長期戦略はあるか (2017年05月25日)

トランプ米大統領の就任後初めての外遊先は中東だった。サウジアラビアではイスラム過激派の掃討への結束とイランに対する圧力強化を訴え、イスラエルでは中東和平の実現に意欲を示した。

サウジとイスラエルはオバマ政権の時代に米国との関係が冷え込んだ。トランプ大統領が最初にこの2国を訪れ、イランとの対決姿勢を明確にしたことは、オバマ政権時代からの中東政策の転換を意味している。

中東の安定に米国の関与は必要だ。ただし、複雑に絡み合う問題の解決には長期的な戦略が求められる。バランスを欠く性急な介入は、かえって中東の亀裂を広げることになりかねない。

トランプ大統領は選挙運動の期間中イスラム教を敵視する発言を繰り返した。就任後には、イスラム教徒の多い中東・アフリカ諸国からの入国制限措置を決め、国内外で反発を招いた。

サウジにはイスラム教の聖地メッカがある。最初の訪問先として選んだのはイスラム世界との和解を訴える狙いがあるのだろう。

トランプ大統領はサウジで、イスラム諸国の首脳らを前に、イスラム過激派への対処を目的とする新たな安全保障協力の枠組みを提唱した。拡散するイスラム過激派のテロに立ち向かうにはイスラム諸国の関与が不可欠で、視点は評価できる。ただ、問題もある。

トランプ大統領は「イランを孤立させ、テロ資金を遮断する」と強調した。大統領の演説に招かれたのはイスラム教スンニ派の国々だ。シーア派のイランと対峙するスンニ派連合の結成が安保協力の狙いだとすれば、宗派対立をあおりイスラム世界の分断を加速することになりかねない。

トランプ大統領はイスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長にそれぞれ会い、中東和平の仲介に意欲を示した。パレスチナ問題は不安定な中東情勢の核心にある。歴代の米政権が仲介に取り組みながら挫折を繰り返してきた。大統領の意気込みに期待したい。

だが今回の訪問では和平の具体的な構想や手順は示されなかった。トランプ氏はイスラエル寄りとされる。独立したパレスチナ国家がイスラエルと共存するという従来の和平原則にこだわらない考えを示したこともある。大切なのは公正な仲介者としての立場だ。腰を据えた取り組みを求めたい。
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[朝日新聞] 河野統幕長 軽率すぎる改憲発言 (2017年05月25日)

自衛隊制服組トップとして、軽率すぎる発言である。

「一自衛官として申し上げるなら、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるのであれば非常にありがたいと思う」

河野克俊統合幕僚長が、安倍首相が自衛隊の存在を憲法に明記する改正に言及したことについて問われ、そう語った。

河野氏は「憲法という非常に高度な政治問題なので、統幕長という立場から言うのは適当でない」とも述べていた。菅官房長官は個人の見解であり、問題ないというが、同意できない。

自衛隊法は隊員の政治的行為を制限している。同法施行令はその具体例として、政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張したり反対したりすること、などをあげている。

服務の宣誓では、すべての隊員が、憲法順守や政治的活動に関与しないことなどを誓う。

首相のめざす改憲が実現すれば、隊員がより誇りをもって任務を果たせるようになる――。河野氏はそう考えたのかもしれない。だが、それを公の場で発言するのは話が別である。

かりに河野氏が一自衛官だとしても、法令を順守すべきなのは当然だ。一般の公務員でも、休日に政党のビラを郵便受けに配っただけで、国家公務員法違反の罪に問われた例もある。

まして同氏は20万人を超える自衛官を率いる統幕長である。首相の改憲提案は、与野党にも国民にも複雑な波紋を広げている、極めて政治的なテーマでもある。これに賛意を示すような発言は、政治的な中立性を逸脱すると言われても仕方がない。

9条をどう改めるのか、集団的自衛権の扱いをどうするのか、議論の行方は分からない。

自衛隊の将来像が見通せないなかで、隊員の命を預かる統幕長が、首相の政治的主張を後押しすると受け取られる発言をするのは軽はずみのそしりを免れない。

安倍政権は制服組の積極的な活用を進めてきた。河野氏は頻繁に首相と会い、軍事的な助言をする立場だ。そうしたなかで政治との距離感を見失っているとすれば、文民統制の観点からも見過ごせない。

河野氏は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報をめぐって事実上、「戦闘」の言葉を使わないよう指導したと語り、批判を浴びたこともある。

災害救援などを通じて、自衛隊は幅広い支持を得てきた。河野氏の言動は、長い時間をかけて隊員たちが培ってきた国民の信頼を傷つけかねない。
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[読売新聞] トランプ初外遊 中東安定化の戦略が問われる (2017年05月25日)

中東情勢の安定と過激派組織の撲滅に向けて、米国が確固とした戦略を構築し、影響力を高めることが重要である。

トランプ米大統領が初の外遊先に中東を選び、関与の拡大を打ち出した。

サウジアラビアで、イスラム圏54か国の首脳らを前に演説し、過激派掃討は「善と悪の戦いだ」と強調した。「米国は共通の利益と安全のために、協力する用意がある」とも述べ、共闘を訴えた。

トランプ氏は、昨年の米大統領選で、イスラム教徒をテロの元凶とみなす過激な言動を繰り返していた。政権発足後も、中東など7か国からの入国を制限する大統領令に署名し、批判を浴びた。

イスラム圏との「敵対」から「結束」への急旋回は、現実を踏まえた判断だろう。イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」の打倒には、サウジなどスンニ派諸国との連携が欠かせない。

具体策として、米国とサウジの主導により、「テロリスト資金摘発センター」が設立される。湾岸協力会議(GCC)の加盟国が、テロ資金源の遮断を目指し、情報を共有する。各国で監視を強め、成果を上げてもらいたい。

サウジに次いで、トランプ氏はイスラエルを訪問した。いずれも米国の伝統的な同盟国だ。オバマ前大統領の中東政策の転換を印象づける思惑が透けて見える。

オバマ氏は、両国と対立するイスラム教シーア派大国のイランとの関係を改善し、サウジなどの対米不信を招いた。冷え込んだ同盟関係を立て直そうとするトランプ氏の意図は理解できる。

ただ、「イラン包囲網」の行き過ぎた強化は、反米感情と緊張を高めかねない。地域全体に目配りした構想が求められる。

トランプ氏は、イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長と個別に会談し、中東和平への意欲を示した。エルサレムでの演説で、「和平は可能だ。献身する」と語った。

歴代米政権の仲介努力は失敗に終わっている。和平交渉は2014年以来、開かれていない。

サウジなど湾岸諸国を交渉に巻き込む新たな手法を試みる意義はあろう。トランプ氏の娘婿で、ユダヤ教徒のクシュナー大統領上級顧問が仲介役を務め、和平案の作成を進めるのではないか。

トランプ氏は、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議と主要国首脳会議(タオルミーナ・サミット)に臨む。各国の指導者との信頼関係を深めねばなるまい。
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[読売新聞] 英自爆テロ 警備の弱点突いた卑劣な犯行 (2017年05月25日)

音楽の余韻に浸る一般市民の命が、無残に絶たれた。断じて許されない卑劣な犯行である。

英国中部のマンチェスターのコンサート会場出入り口で、米女性歌手の公演終了直後、自爆テロが発生した。10代の若者ら多数が死傷した。

容疑者は、マンチェスター育ちで、リビア系の22歳の男とされる。過激派組織「イスラム国」がネットで犯行声明を出した。

英政府は、次の攻撃が差し迫っている恐れがあると判断し、テロ警戒度を最高の「危機的」レベルに引き上げた。メイ首相が、都市の要所を警備するために軍の兵士を動員すると表明したのは、強い危機感の表れだろう。

テロの連鎖を食い止め、事件の全容を解明することが急務だ。

今回の犯行場所は、会場と駅を結ぶ「公共スペース」だった。手荷物検査を受けて入る会場と違って立ち入りが自由で、警備の弱点になっていたことは否めない。

観客が一斉に退場するタイミングで自爆したのは、被害を大きくする狙いがあったとみられる。

不特定多数の人が集まる「ソフトターゲット」をいかに守るか。今回の事件を詳細に分析して、対策を向上させるほかあるまい。

2005年のロンドン同時テロ以降、英治安当局は、中東で過激派と接触した人物などへの監視を拡充した。再発阻止に一定の成果を上げてきたのも事実だ。

しかし、3月にはロンドンの議会議事堂付近で乗用車を使ったテロが起き、今回は地方都市が標的となった。自国育ちの犯人による「ホームグロウン」型テロの根絶が難しいことを示している。

マクロン仏大統領やメルケル独首相を始めとする欧州連合(EU)加盟国首脳らは、英国に追悼と連帯のメッセージを送った。

来月上旬の総選挙の後、英国はEUと離脱交渉を開始する。英国もその他の加盟国もテロの脅威に直面している事情は同じだ。治安分野の協力は引き続き緊密化させるべきではないか。

イタリアで26日に始まる主要国首脳会議は、テロ対策で連携を確認する場となる。安倍首相は「いかなるテロも、我々の結束を挫(くじ)くことはできない」と強調した。

日本でも、有名アーティストの来演など大規模イベントが、頻繁に開かれている。20年東京五輪の開催も控える。欧州のテロは、対岸の火事ではない。

テロ防止のために、関係国との協力を深め、国内の警備態勢を着実に強化せねばならない。
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[朝日新聞] 英自爆テロ 暴力の根を絶つ結束を (2017年05月25日)

若者たちの命と将来を奪った蛮行に強い憤りをおぼえる。

英中部マンチェスターのコンサート会場で、自爆テロがおきた。人気歌手の公演を楽しんでいた観客の多くは10?20代で、母親と来た8歳の女の子も亡くなった。

無差別に市民を狙ったテロを断じて許すことはできない。

自爆したのは22歳のリビア系英国人男性とされる。地元で生まれ育った青年がなぜ、テロに走ったのか。何らかの組織が背後にいたのか。英当局は事件の解明に全力を挙げてほしい。

直視すべきは、取り締まる法令をいくら厳しくし、警備を厳重にしても、テロは完全には防ぎきれないという現実である。

欧米では近年、大勢が集まる会場での荷物検査など、警備が強化されてきた。だが今回は公演終了後の出口付近という隙を突かれた。公道や広場など、市民が自由に出入りする所を狙うのが最近のテロの特徴だ。

車やナイフなど身近な物で大勢を殺傷するケースも目立つ。市販の材料とネット情報で爆弾も自作できる時代だ。

英国では、北アイルランド武装勢力のテロが吹き荒れた1970年代以来、監視カメラが全土に設置された。2001年の米国、05年のロンドンでの同時多発テロ以降は、疑わしい人物の捜索や拘束を容易にする法改正がなされてきた。

それでもテロはやまない。

格差や差別など、テロを生む根本的な土壌の改善に取りくむ必要がある。そう指摘されて久しいが、現状はどうか。

テロの不安に乗じて異なる民族や宗教の排斥を掲げる政治勢力が欧州各地で伸長している。非寛容な風潮が新たなテロを生む悪循環を招いているとすれば、ゆゆしき事態である。

今週末のイタリアでの主要7カ国(G7)首脳会議でも、テロ対策が議論されるだろう。反テロの結束の表明はもちろん、排外主義や、対テロに名を借りた人権侵害を許さない姿勢も示してもらいたい。

トランプ米大統領は、イスラム教徒が多い国々からの入国禁止措置をめざしているが、イスラム社会との不信の壁を築くのが逆効果なのは明白だ。

過激思想による暴力は、今や世界共通の問題である。その撲滅に向けた連携を深めることが重要だ。各国の司法・金融当局間の協力を進める一方、先進国などで移民や難民の社会統合を深める努力も必要だろう。

テロを生まない社会の実現に向けて、国際社会の知恵を絞りたい。
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