2018年12月12日

[毎日新聞] 順天堂大も入試不正 言い訳の非常識さに驚く (2018年12月12日)

医学部の不適切な入試が、新たに明らかになった。

順天堂大医学部が、女子と浪人生を不利に扱い、合格ラインに達していた受験生を不合格にしていた。今年と去年で165人に上る。面接を行う2次試験の評価では男女で異なる合格ラインを設定していた。

驚くべきは、その理由だ。「女子はコミュニケーション能力が高いため、補正する必要がある」「20歳を過ぎると差がなくなるというデータがあり、男子学生を救う発想だった」というものだ。

順大は、文部科学省の調査に対し不正を否定し、調査に当たった第三者委員会にも、性差を正当化するような学術論文を提出したという。だが、この弁明は開き直りに等しい。

医学部1年生は全員寮生活を送る。順大は、女子寮の収容能力の限界も女子合格者抑制の理由に挙げたが、新たな寮の完成後も、判定基準は変わらなかった。

順大は、過去6年間の入試の平均合格率が男子9・2%に対し、女子5・5%だった。医学部を置く全国81大学で最も格差が大きかった。

無理な理屈をつけてでも女子の合格を抑えたかったのはなぜか。東京医科大が女子受験生の得点を一律減点していた問題では、系列病院の女性医師の離職率の高さが理由に挙げられた。そうしたことが背景にあるならば、女性医師が働きやすい環境整備をすべきだ。入試で女性を差別する理由にはならない。

この時期まで不正の公表がずれ込んだのも極めて問題だ。先週末以降、金沢医科大や北里大なども不適切な入試があったことを発表した。

入試の出願は始まっている。順大では、不正に伴う追加合格者のうち入学者数を来年の募集定員から差し引く。受験生への影響は大きい。

文科省が大学の自主的な公表に任せたことも問題を長引かせる原因になった。受験生の立場に配慮すれば、もっと早く対応すべきだった。

一連の医学部入試不正を受け、「全国医学部長病院長会議」は先月、性別や年齢で合否判定に差をつけることは不適切とする規範を公表した。来年入試から国公私立大の別なく規範に基づく入試が行われる。大学は、公正な入試を行う社会的な責任があることを改めて自覚すべきだ。
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[毎日新聞] 役員総退陣の革新機構 経産省「変節」の責任重い (2018年12月12日)

前代未聞の総退陣を招いた責任は一体、誰にあるのか。

9月に改組・発足したばかりの産業革新投資機構(JIC)で、9人の民間役員全員が辞任を表明し、活動休止を招く事態が起きた。報酬を巡る経済産業省との対立がきっかけではあるが、問題の根は深い。

官民ファンドに求める役割が、政府内、さらに民間役員との間で一致をみないまま始動したところに、混乱の火種が生じたようだ。

JICは、安倍政権下で乱立した官民ファンドを整理し、強化するため作られた。一方、社長辞任を発表した田中正明氏らは、世界の一流民間ファンドと肩を並べる投資活動を思い描き、役員に就任した。

田中氏自身も参加した経産省の研究会による報告書が経営理念になっていた。従来型の官主導による産業育成ではなく、失敗を恐れずチャレンジする経営者の後押しとなるような資本の供給を目指そうとした。

ところが、次第に「国の意向を反映する『官ファンド』へ変化」(田中氏)していったという。辞任コメントを発表した星岳雄・米スタンフォード大教授も、「ゾンビ企業の救済機関になろうとしている」と経産省側の「変節」を痛烈に批判した。

一貫性を欠く態度で新組織を混乱に陥れた同省の責任は重い。

それにしても、JICの発足後に経産省が見せた変節は不可解である。成果主義の報酬体系など、同省の研究会が提唱していたではないか。一度JIC側に提示した報酬案を撤回した裏に何があったのか。

世耕弘成経産相が言う「事務的な不手際」が原因とは信じ難い。官民ファンドはアベノミクスの「成長戦略」で重要な役目を負っていた。安倍政権として、JICをどう使いたかったのかを、最終的な所有者である国民に説明する義務がある。

今回の辞任劇は、リスクを伴う新規ビジネスに投資マネーを供給する出し手が不十分な現状も映した。迅速に意思決定できる組織構造、運用のプロや投資資金をグローバルに求める運営、実績に基づく報酬。田中氏らが目指そうとしたファンドが日本にも必要なのは間違いない。

ただしそれは、国民の資産ではなく、あくまで民間資金を使って推進すべきものである。
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[朝日新聞] 官民ファンド 「事務的失態」なのか (2018年12月12日)

こんな前代未聞の事態がなぜ起きたのか。

産業革新投資機構の田中正明社長ら代表取締役4人と、社外取締役5人が辞意を示した。立ち上げた傘下ファンドも清算するという。2兆円規模の官民ファンドが、発足から3カ月もたたずに頓挫したことになる。

経済産業省は、文書で示した高額報酬の制度案を、機構側が取締役会で決めた後になって一方的に撤回した。田中氏らは「経産省による信頼関係の毀損(きそん)行為」であり、「日本が法治国家でないことを示している」と批判した。国が裁量的に口出ししてくるようなファンドになったと見限ったのだろう。

世耕弘成経産相は「政府内で確定しているわけではない報酬案を紙でお示しした事務的失態については、深くおわびする」と述べている。過ちを認めつつも、必ず「事務的」と限定をつけるのは不可解だ。

経産省は昨秋以来、「リスクマネー供給」について有識者を集めた研究会を開催。それを踏まえて産業競争力強化法を改正し、鳴り物入りで機構を設置した。当初の報酬案を示したのは、局長としてその先頭に立ってきた幹部である。それを突然撤回したことを、単なる手違いで片付けるのは無理がある。

問題の根幹は、政府内の調整過程が不透明で、どこで何が決まっているのかが外部に見えにくいことだ。機構の運営を阻害しただけでなく、国民への説明責任も軽んじている。なぜ方針が揺れ動いたのか、いまだに納得できる説明はない。

経産省は機構の立て直しを図るというが、難航は必至だろう。避けるべきなのは、不振企業の延命や、有効性の定かでない政策のための便利な「財布」として使われることだ。既存の官民ファンドにはそうした例が目立ち、整理と責任の明確化が問われていた。その愚を繰り返してはならない。

官民ファンドは、そもそも性格があいまいだ。国の資金を使う以上、政策効果や収益性、報酬制度などを含め国民への説明責任は重い。一方で政府が頻繁に介入すれば、意思決定が遅れ、成果も望みにくくなる。

そこにどのようなバランスを取りうるのか。その難題に挑んでまで期待すべき働きがあるのか。機構を存続させるのであれば、今回の事態も含めて十分に検証し、国民に納得のいく説明をすることが不可欠だ。

「事務的失態」の名で役人のミスに問題を矮小(わいしょう)化することは許されない。世耕経産相は自らの責任を自覚すべきだ。
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[読売新聞] 中国の通信機器 安全保障上の懸念は拭えない (2018年12月12日)

政府は、機密情報の漏(ろう)洩(えい)や、サイバー攻撃を防ぐ責務を負う。中国の不正行為への関与があり得る以上、調達先から、中国企業を排除するのは妥当な判断である。

情報通信機器の調達に関する政府の新たな指針がまとまった。サイバー攻撃など安全保障上のリスクを考慮した契約に改める。安倍首相は記者会見で、「悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しないことが重要だ」と述べた。

政府は、特定の企業や製品の排除が目的ではないと説明するが、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と、中興通訊(ZTE)の2社を事実上、政府調達から締め出す狙いがある。

中国共産党は、中国企業の海外での活動にも介入してきた。習近平政権は産業振興策「中国製造2025」の中核に、ファーウェイを位置づける。2社が、中国政府の諜報(ちょうほう)活動やサイバー攻撃に協力する疑念は拭えない。

米国や豪州などは、調達の対象から、2社を外す策を講じている。米国防総省は9月にまとめた「サイバー戦略」で、中国を名指しで、「持続的に機密情報を抜き取っている」と批判した。

世界貿易機関(WTO)は、政府調達の協定で、特定の国の排除を原則禁じているが、安保上の理由がある場合は、例外となる。

日本の政府機関は恒常的にサイバー攻撃を受けている。国の安全を維持するため、より踏み込んだ措置を取るのは当然だ。

次世代通信規格「5G」が本格的に普及すれば、情報通信量は飛躍的に増大し、サイバー攻撃のリスクが高まる。政府は、米豪などと連携し、脅威の低減に着実に取り組まねばならない。

2社の製品を代替するのは、容易ではない。中国以外の国から機器を調達できるよう、新たな供給網(サプライチェーン)を整備することが大切である。

携帯電話大手は、政府方針に同調する構えだ。広く普及している低価格の中国製機器を調達から外せば、投資計画に影響を与えかねない。官民で中国企業に関する情報共有を進め、対処のあり方を検討する必要がある。

中国政府は、日本の決定に反発している。多くの国が、ファーウェイなどに対する圧力を強化した事実を重く受け止めるべきだ。

ファーウェイ幹部の身柄拘束は、中国企業に対する米国の警戒感を浮き彫りにした。米中両国は、通商問題に加え、ハイテク分野での対立激化が避けられまい。
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[読売新聞] 革新機構総退陣 解体的に出直して使命果たせ (2018年12月12日)

民間から起用された取締役が総退陣する異例の事態である。

スタートを切ったばかりの官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長らが辞任を表明した。代表取締役4人と、坂根正弘氏(コマツ相談役)ら社外取締役5人の計9人だ。

記者会見で田中氏は、高額報酬の是非を巡る経済産業省との対立が決定的となり「信頼関係を回復することは困難と判断した」と、一斉辞任の理由を説明した。

最大1億円超の報酬はもともと経産省の事務方が提案し、一転して撤回した。世耕経産相は「事務的失態があった」と、改めて非を認めたが、大量辞任の事態を招いた経産省の責任は重い。

JICは、旧産業革新機構を改組して9月に発足した。経営を国際金融や投資のプロに委ね、迅速な投資判断でベンチャー企業などにリスクマネーを供給する役割が期待されていた。

他の官民ファンドを傘下に入れる機能も備え、振るわない官民ファンドの整理・統合を進める軸にもなり得る存在である。

旧産業革新機構は、経営難の企業を再建する「救済色」の強い案件を中心に手掛けた。

これを「未来の産業育成」にカジを切り、政府の成長戦略の一翼を担うことになっていた。

順調に行けば、停滞する官民ファンドを活性化させる起爆剤になった可能性がある。出足からのつまずきは極めて残念である。

JICには当初、自由度の高い投資手法が認められた。ところが、発足後に経産省が「チェックが働かない」として、難色を示したとされる。ファンド運営を巡る認識の違いも、不信を増幅させた。

そもそも、JICの報酬体系や機能に関する制度設計の詰めが甘かったのではないか。JICへの説明も不十分だった。透明性の高い方法で対処していれば、ここまでこじれなかったはずだ。

経産省は、経営陣不在を理由に来年度の財政投融資の要求を全額取り下げる方針だ。JICは事実上の休止状態に追い込まれる。

経産省は、省内にJIC連絡室を設けた。来春までをメドに、経営陣不在による混乱の収拾や、新経営陣の人選にあたる。

民間人の多くは後任への就任に二の足を踏もう。小手先の改革では信頼回復は望めまい。優秀な人材を確保し、ファンドとしての使命を果たさねばならない。JICの存在意義にまで踏み込んだ「解体的出直し」が求められる。
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[朝日新聞] 不公正入試 二次被害を広げた愚 (2018年12月12日)

あまりにも対応が遅い。受験生を何だと思っているのか。

順天堂、北里など5大学が、医学部入試で不公正な選考をしていたと相次いで認めた。

東京医科大での不正入試の発覚を機に、文部科学省が調査を始めたのは8月。10月には同様のことをした大学に対し、自主的な公表を呼びかけていた。

この間、過去に不合格になった受験生は、大学側の考えや対応が全く見えないまま、来春に向けての再度の受験勉強や、やむを得ず進学した別の大学での勉学を強いられた。

現役生もたまったものではない。被害者を救済するため、その人数分を来春の定員枠から差し引く措置がとられれば、受験状況は様変わりする。一方で、一般入試の出願開始は迫り、志望校の変更は容易でない。

若者たちがかかえる不安や葛藤は容易に想像できる。にもかかわらず発表をずるずる先延ばしした罪は、極めて重い。

性別や浪人の年数によって、一律に不利に扱う。募集要項に明記しないまま同窓生の子らを優遇する。5大学が認めた事例の大半は、改めて検討するまでもなく、やってはいけないことだ。常識を欠き、社会の憤りも理解できない人々が医師を養成する。そら恐ろしい話だ。

中でも驚かされたのは順大の説明だ。女子はコミュニケーション能力に富み面接評価が高くなるので、合格ラインを厳しく「補正」したという。学問の府が「能力が高いから評価を下げた」と意味不明な理屈をこね、差別の意図はないと言い募る。あきれるほかない。

発端になった東京医科大でも「二次被害」は深刻だ。

18年度入試で不当に落とされた女子5人を再び不合格としたのだ。順位を正しくつけ直したうえで、正規に合格した在校生分を定員から引くと、追加合格の枠は24人分しかない。入学希望者29人のうち下位5人はやはり不合格――との説明だ。

定員を大幅に超えれば教育に支障が出るのはわかる。だが原因をつくったのは大学自身だ。受験生に落ち度はないのに、こんな対応が許されるのか。

加えて柴山昌彦文科相は「彼女たちは仮に公正な試験が実施されても合格できなかった」などとツイートした。この5人よりも得点の低かった学生が現に在籍している理不尽さに目をやらず、被害者をおとしめていることに思いが及ばないらしい。

大学に救済策を急がせ、入試全般について不正を防ぐ方法を省全体で練る。それが、担当閣僚として今なすべき務めだ。
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2018年12月11日

[東京新聞] ゴーン氏起訴 検察は世界に説明を (2018年12月11日)

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者が起訴・再逮捕された。退任後に受け取る巨額の報酬を巡り不正があったとされる。世界を駆け巡るニュースだけに検察側は詳細な説明が求められよう。

世界を驚かした経済事件だ。有価証券報告書に記載すべき報酬が二〇一五年期までの五年間で約五十億円少なかった−これがゴーン被告の起訴事実である。再逮捕の容疑は一八年期までの三年間でも約四十億円を過少記載した疑いだ。

いずれもゴーン被告が日産自動車を退任後に受け取る性格の報酬だった。東京地検はこの退任後の報酬をめぐり、ゴーン被告のサインのある書面を押収しており、支払いは確定事項だと考えている。

その一方でゴーン被告は「退任後の支払いは確定していない」と否認しているようだ。両者の間には認識の溝がある。検察がどう証明するのか、ゴーン被告側がどう防御するのか、冷静に見守る必要がある。

もっとも複雑な背景事情があるとの見方も出ている。フランスのルノーと提携関係がある日産は、既にフランス政府の雇用・産業政策に組み込まれている。その主導権争いが絡むのではと…。日産の電気自動車技術の行方が絡んでいるのでは、との見立てもある。

東京地検が司法取引を使ったせいもあろう。今年六月から施行された新ルールで、他人の犯罪の解明に協力すれば検察官から不起訴などの見返りを得られる。

日産の誰との司法取引だったのか。どんな内容だったのか。国民や各国のメディアなどに伏せられているため、この事件の意味を誰もがつかみかねている。さまざまな謎めいた風評も立つ。

検察は従来「公判で明らかにする」とのみ語ってきた。そのような沈黙の姿勢でよいのか。これだけ国際的な論評を受ける事件では、むしろ積極的に検察の意図を語るべきではないのか。

逮捕されても弁護人の立ち会いが認められない、と奇異の目で海外で受け止められた。拘置所の小部屋に閉じ込められるのは拷問だという指摘さえある。

被疑事実の時期をずらしただけで、勾留期間は最長で計四十日にもなる。否認すれば、起訴後の勾留ももっと長くなるかもしれない。この「人質司法」と呼ばれる日本独自の刑事司法の現状に世界から批判もあろう。世の中は世界水準で動く時代だ。この事件を機に改めてほしい問題である。
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[産経新聞] 【主張】ゴーン容疑者 再逮捕の意味丁寧に語れ (2018年12月11日)

そこに容疑がある限りは国内法にのっとり、粛々と捜査を進めるべきは当然である。ただし誤解や批判を排すべく、捜査には丁寧(ていねい)な説明と一定の透明性が求められる。

東京地検特捜部は金融商品取引法違反の疑いで日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者と側近の前代表取締役、グレゴリー・ケリー容疑者を再逮捕した。容疑は、直近3年分の有価証券報告書に役員報酬を少なく記載したとされるものだ。

ゴーン容疑者は来日した11月19日に空港で身柄を確保された。起訴、再逮捕された10日は勾留期限にあたっていた。

11日からの勾留により最長で年末の30日まで身柄を拘束されることになり、否認のままなら起訴後勾留が続く可能性もある。

国際的な大物経済人であるゴーン容疑者の逮捕や長期の勾留については、主に海外のメディアから批判が相次いだ。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは「ゴーン氏は不可解な宗教裁判に耐えている」と論評し、仏紙ルモンドは「弁護士の立ち会いなしでの取り調べが毎日続く」と伝えた。

国内法における逮捕や勾留の要件は、逃亡や罪証隠滅の恐れがある場合であり、その可否は裁判所が判断する。海外に在住し、企業内に絶大な権力を持つ容疑者らには、国外逃亡や証拠隠滅の可能性が否定できず、十分にその必要性があるといえた。

弁護人は取り調べに立ち会えないが、その全過程は録音・録画(可視化)され検証対象となる。勾留期限については、必ずしも日本が長いとはいえない。

東京地検は海外からの批判に対し、「国ごとにそれぞれの制度がある。自分の国と違うからと簡単に批判するのはいかがなものか」と反論してきた。その通りである。容疑者がどれだけ著名な経営者であっても法の下には平等であり、特別扱いはあり得ない。

ただ再逮捕を受けた会見で、東京地検は、長期勾留についての質問などに「適正な手続きに基づいている」と繰り返した。これだけ国際的に耳目を集める中で木で鼻をくくったような説明が続けば、無用な反発を招くだけである。

検察の使命は、真実の追求である。批判への萎縮が許されないことと同等に、決して傲慢であってはならない。
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[産経新聞] 【主張】臨時国会閉幕 「言論の府」に恥じないか (2018年12月11日)

国会議員が建設的な議論や質問を展開し、法案や政策について政府が丁寧に説明責任を果たす。それが尽くされれば採決に付して結論を出す。

「言論の府」として当たり前の役割だが、10日に閉幕した臨時国会がそれを果たせたとは到底いえない。極めて残念なことである。

安倍晋三首相は記者会見で、外国人労働者の受け入れ拡大を図る改正出入国管理法の成立を、臨時国会の実績として挙げた。

首相は制度の運用に万全を期すとしたが、課題は山積している。国のかたちを大きく変える政策転換を、議論が生煮えのまま強行した。その多くの責任は、安倍内閣と与党が負うべきものだ。

野党も政府・与党に負けず劣らず問題があった。その最たる例が、衆参各院の憲法審査会の事実上の機能停止である。

自民党は、同党独自の憲法改正案の説明を目指していた。だが、立憲民主党や国民民主党など主要野党は応じず、自民党から「職場放棄」と図星を指されるとさらに反発し、改憲案を俎上(そじょう)に載せることを妨げた。

憲法審査会は、通常国会からの引き継ぎ案件だった国民投票法改正案の審議も行わず、来年の通常国会へ先送りしてしまった。

国民投票は憲法の規定に基づく制度である。国民が憲法上の重要な権利を行使しにくい状態を与野党が放置して平然としている。それで国会議員を名乗っているのだから恐れ入る。

国会は、法案や予算案のみならず、日本や国民にとって重要な問題を討議する場でもある。

臨時国会は10月24日召集だったが、それより前の同月4日に、ペンス米副大統領の対中政策に関する重要演説があった。米中関係は「新冷戦」に入ったとの見方が広がった。事実であれば、東西冷戦終結以来、およそ30年ぶりの国際環境の地殻変動である。

だが、臨時国会で「米中新冷戦」と日本の対中政策、防衛力整備、北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題について突っ込んだ議論はほとんどなかった。このような感度の鈍さでは、国の舵(かじ)取りはおぼつかない。

党首討論は一度も開かれなかった。平成26年に与野党は原則月1回の開催で合意したのではなかったか。もっとまじめに務めを果たしてもらいたい。
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[東京新聞] ノーベル文学賞 再生へさらに改革を (2018年12月11日)

ノーベル賞の授賞式があったが、今年は文学賞の受賞者はなし。関係者の性的醜聞を巡る混乱で、発表が見送られたためだ。改善策は示されたが、世界で最も影響力のある文学賞は再生できるのか。

文学賞の選考に当たるスウェーデン・アカデミーでは昨年、会員の夫による性的暴行が発覚した。しかしアカデミーは「証拠がない」として不問に付した。これに抗議する会員たちが次々と辞任。トップの事務局長も辞任するなど混乱が広がり、例年なら物理学賞などと合わせて十月に行われる賞の発表は見送りとなった。

この異常事態にアカデミーは、従来は会員だけで構成していた賞の選考委員会に、外部の専門家を加える改善策を発表した。組織の大幅な刷新を求めていたノーベル賞の運営財団も「正しい方向への一歩」と評価しており、来年は再開される可能性が出てきた。

だが、文学賞の問題はこれだけではない。暴行問題に後ろ向きだったアカデミーの保守的な体質に加え、関係者が事前に受賞者の名を漏らした疑惑も見過ごせない。受賞者を当てる賭けで利益を得られる可能性があり、アカデミーも漏えいの事実は認めている。

また、選考委員が候補者について予断を抱いていたり、受賞者と親しい関係にあったりと、個人的な思惑や利害が選考をゆがめる懸念もかねて指摘されてきた。

そもそも、ノーベル賞の候補となる水準の文学者と作品に優劣を付けること自体、至難の業だ。

物理学など科学の分野なら、論文の引用回数をはじめ、比較的明確な判断の材料がある。だが文学は、用いる言語もその母体となる文化も異なれば、表現の形式も詩から長大な小説まで多種多彩を誇る。それを一列に並べて比較するのは、文化的な営みというよりは「異種格闘技」に近い。

それだけに、賞の信頼の回復には外部委員の招致にとどまらず、選考の公正さを保つ体制づくりなど、さらなる改革が必要だろう。例えば、現状では、候補者への評価や選考の経過は半世紀も公開されない。そうした秘密主義が賞の権威を高めてきたという側面もあるが、公開までの時期を短縮するなどして、受賞者を決める過程の透明性アップにつなげるのも一案ではないか。

日本国内にも、賞の選考にもの申せる識者がいよう。この伝統ある賞の再生に向けて、そうした人もより積極的に意見を述べ、アカデミーに働きかけてほしい。
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[毎日新聞] ゴーン前会長起訴・再逮捕 「裏報酬」の実体が焦点だ (2018年12月11日)

裏の役員報酬を将来的に支払うことが確定していたのかどうか。そこが最大の焦点になる。

役員報酬を過少に記載したとして、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が起訴された。

2014年度までの5年間、高額報酬への批判を避けるため、約100億円だったゴーン前会長の役員報酬の有価証券報告書への記載を約50億円にとどめた罪だ。残額は退任後に受け取る仕組みになっていた。

ゴーン前会長は、直近3年分の虚偽記載でも再逮捕され、報酬隠しの立件額は約90億円に上る見込みだ。

企業の役員は、業績などに応じて報酬を得るのがあるべき姿だ。有価証券報告書の記載によって、投資家は企業の姿勢をチェックする。10年から、1億円以上の高額報酬を得た役員の氏名と金額の開示が義務づけられたのは、そのためだ。

虚偽記載は投資家の判断を誤らせる可能性がある。倫理的に許されない行為である。

ただし、事件の構図はそう簡単ではない。

ゴーン前会長は、退任後に受け取る金額を一覧にした文書を毎年作成し、一部側近と共有し箝口(かんこう)令を敷いていた。東京地検特捜部は、文書の存在や、司法取引に応じた側近の証言を重要な証拠とみている。

一方、ゴーン前会長は、一部を退任後に受け取る計画があったと認めながらも単なる希望額だとし、受け取りは確定していないとの主張だ。裏報酬が実際には積み立てられていないことも指摘している。

このため、裏報酬が「将来得べかりし利益」と言えるかどうかが争点になる。役員報酬の虚偽記載がこれまで刑事事件になった例はない。ゴーン前会長には、自身を含めた役員報酬額を決める権限があったとされ、捜査のメスが入った意義はある。

事件を巡っては、長期にわたる勾留など日本の刑事手続きへの批判がフランスなど海外で起きた。

勾留期間の長さは、司法制度の違いに起因し、一概に日本が長いとは言えない。ただし、取り調べへの弁護人の立ち会いなど、欧米の先進国で認められていながら、日本では原則的に採用されていない取り組みもある。国際化が進む中で、刑事司法手続きも不断の見直しが必要だ。
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[毎日新聞] 次世代ハイテク覇権 新局面迎えた米中の争い (2018年12月11日)

次世代ハイテク技術をめぐる米中の覇権争いが新段階に入った。通信機器の中国大手、華為技術(ファーウェイ)の最高幹部が米国の対イラン制裁に違反した疑いでカナダ当局に拘束され、中国が猛反発している。貿易紛争も絡み、米中対立の激化につながる可能性がある。

ファーウェイは携帯電話の通信設備では世界トップの巨大民間企業だ。日本など170カ国以上で事業を進め、次世代高速通信技術の「5G」でも業界をリードする。

米国はハイテク分野で世界トップの水準を目指す中国の産業政策「中国製造2025」に神経をとがらせている。拘束されたのはその中核企業の創業者の娘だ。ハイテク覇権をめぐる米中のせめぎ合いという見方が出るのも無理はない。

米国は中国製通信機器には情報漏えいなど安全保障上のリスクがあると警戒してきた。8月にはファーウェイ製品などの政府調達を原則的に禁じる国防権限法が成立した。日本など同盟国にも同調を求めている。

日本は中国企業の名指しを避けつつ、米国と共同歩調を取る方針を決めた。安全保障に絡む問題で同盟国との協調は重要だが、日中関係に無用な摩擦を生まぬ配慮も必要だ。

中国は昨年、国民や企業に国の情報活動への協力を義務づける「国家情報法」を成立させた。ファーウェイの創業者は中国軍の出身で軍との緊密な関係も指摘されてきた。

中国独特の国家と企業の関係に各国の警戒心が高まっている。摩擦回避には透明性を高め、世界ルールに歩み寄る姿勢が求められる。

中国はカナダによる人権侵害だと批判するが、中国の司法制度よりカナダの方が公正と考えている人が多いことを自覚すべきだろう。

米国は中国がサイバー攻撃を通じて先端技術を盗んでいると不信感を抱いている。中国はサイバー攻撃を防ぐ国際的な枠組み作りへの協力などで真剣に対応する必要がある。

米国も力ずくで中国の台頭を抑え込もうとするのでは、国際政治、経済の不安定化を招く。今のところ、ファーウェイ幹部の拘束は貿易紛争とは別問題という点で米中の見解は一致している。まずは冷静に2月末までの猶予が与えられた貿易交渉の前進に力を注ぐべきだ。
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