2020年04月05日

[東京新聞] 週のはじめに考える 「私の代表」がいる議会 (2020年04月05日)

今日は選挙制度について書きます。新型コロナウイルス感染拡大で緊迫している時に、不要不急のことを、と思われるかもしれません。ですが、社会が土砂降りの時こそ、人々が凍えないよう傘を差す政治のありようを、そしてそれを定める一つの要因である選挙制度について、皆さんと考える機会にしてみたいと思います。


◆時代錯誤の高額供託金
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主権者の手に民主主義を取り戻し、選挙から政治の未来をつくる。そんな理想を掲げて、公職選挙法などの改正のあり方を二〇一五年から四年間にわたり審議してきた「選挙市民審議会」が答申をまとめました。元自治省選挙部長で弁護士の片木淳さんなどが共同代表を務めています。

立候補がしやすい制度に改めることが答申の一つの柱です。選挙供託金の撤廃などを求めています。最大六百万円に上り、一定の得票がなければ没収されるため「普通の人」が立候補するには大きな壁です。ドイツ、フランス、米国などに同様の制度はありません。アイルランドなど、違憲判決で廃止となった国もあります。

日本で供託金制度ができたのは一九二五(大正十四)年。男子の普通選挙制度と同時でした。一定額以上の納税が条件だった選挙権の枠が取り払われたことで、労働者などの立場に立つ「無産政党」が勢力を伸ばすことを、阻む狙いがあったとされています。後に過酷な思想弾圧に使われる治安維持法もこの時成立しています。

民衆が権利拡大を求めた大正デモクラシーの帰結と、昭和の戦争に続く暗い時代の始まりが重なり合う混沌(こんとん)の中で生まれた制度が、今も幅を利かせているのです。

答申ではサラリーマンが立候補するときの休暇や議員辞職後の復職を企業に義務づけることや、女性などの候補者割合を一定以上にした政党には政党交付金を上乗せすることなども提言しています。


◆オッサン政治を変える
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目指しているのは、議会の構成を、社会の構成に近づけていくことです。現状では衆議院で見れば女性の比率は9・9%。年代別で見れば四十〜六十歳代に偏っています。インターネット上のグループ「全日本おばちゃん党」(昨年解散)の代表代行を務めた法学者の谷口真由美さん言うところの「オッサン政治」です。

同じような属性、年代の人が集まって行う意思決定が、ときに想像力の欠如を招き、今の政治課題となっている側面もあるのではないでしょうか。例えば少子化問題。保育所が足りないなど、共働き世帯の子育てのしにくさは、専業主婦を前提にした社会のありようから政治の思考が抜け出せなかったことも大きな要因です。国政、地方問わず投票率が低いのは、候補者や、その訴えの中に投影できる「自分」がいないことも無縁ではないでしょう。

ファシズムの時代を生きたスペインの哲学者オルテガは著書「大衆の反逆」(三〇年)の中で「民主主義は、その形式や発達程度とは無関係に、一つのとるにたりない技術的細目にその健全さを左右される。その細目とは選挙の手続きである」と記しています。彼は、都市化、工業化で根無し草となった人々の付和雷同を猛烈に皮肉る一方で、人々が主体的に政治にかかわることでヨーロッパを融合させていく未来も夢見ていました。

選挙市民審議会の運営に携わってきた、幼稚園経営者の城倉啓さん(50)は答申に沿った法改正を目指し、超党派の議員連盟をつくってほしいと自民党など各党の議員に働き掛けています。

選挙制度で厄介なのは、法改正の主体となるべき国会議員の腰が重くなりがちなことです。現在の制度で当選している人たちにとって、制度の変更は落選リスクを高めることにもなりかねません。

それでも城倉さんは活路はあると考えています。鍵は有権者にあります。「選挙制度に関心を持つことは『票になる』と議員に感じてもらえば、機運も高まります」


◆壁崩すのは有権者の熱
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衆院選に小選挙区制が導入された九四年の公選法改正が実現した背景には、金権政治に対する有権者の強い怒りもありました。

「一票は微力かもしれないが、無力ではない。議員の中に自分の代表っぽい人がいないのは、あなた自身が軽んじられていることなんです」。そんな呼び掛けをするため、イベント開催や動画制作などにも積極的に取り組んでいくと言います。

コロナを巡り、安倍晋三首相や地方自治体の首長など政治家が人々に語りかける機会も増えています。各国の首脳も日々、同じ課題を巡って国民に訴えています。目をこらし、耳を澄ませてみてください。そこに「あなた」がいる政治はありますか。
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[産経新聞] 【主張】新型コロナと台湾 信頼に足る隣人と協力を (2020年04月05日)

南米・ペルーの新型コロナウイルス対策による国境封鎖で、現地に足止めされていた日本人旅行者らが3月28日、在ペルー台湾代表部が台湾人のために手配したチャーター機に同乗することで出国できた。

菅義偉官房長官は「ペルーおよび台湾側に深い感謝の念を伝えた」と述べた。人道的な立場から日本人に救いの手を差し伸べた台湾に最大限の謝意を表明したい。

同様に国境を封鎖したインドから、今度は日本政府が手配したチャーター機に台湾人が同乗して出国した。台湾からも謝意が伝えられた。世界が危機的な状況にある今だからこそ、信頼に足る隣人と協力し合う関係は欠かせない。

新型ウイルスをめぐっては、台湾の参加を拒んできた世界保健機関(WHO)に対し、安倍晋三首相が「政治的な立場で排除すれば地域全体の健康維持、感染防止は難しい」と主張してきた。

WHOの背後には、政治問題を優先させる中国の存在がある。

感染や防疫、医療に関する詳細な情報は国際的に共有されなくてはならない。中国の一方的な主張で東アジアに空白地帯を生むことは許されない。台湾のWHO本格加盟の実現に向け、日本は運動の先頭に立つべきだ。

台湾は新型ウイルスの封じ込めに一定の成果を収めている。思い切った水際対策や住民へのマスクの円滑な供給、インターネットを用いた自宅学習など台湾の優れた対応から日本は学ぶべきだ。

日本は人工呼吸器など医療機器の増産や新型ウイルス用のワクチン、治療薬の開発に取り組んでいる。これらの分野で台湾への協力を惜しんではなるまい。

日本と台湾は経済、安全保障の両面で、中国とどのような関係を構築していくべきか、似たような課題を負っている。日台は協力して平和と繁栄を保っていく必要がある。

茂木敏充外相は3日の衆院外務委員会で、新型ウイルスの影響で帰国を希望しながら実現していない邦人が約50カ国に約4千人いると明らかにした。

2日にはポーランドの在留邦人150人が同国政府が用意したチャーター便で帰国し、茂木外相が「深い友好関係の象徴となる協力だ」と謝意を伝えた。こうした厚意の輪の広がりが感染拡大の抑止に結び付けば理想的である。
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[産経新聞] 【主張】滋賀再審無罪 刑事司法は検証徹底せよ (2020年04月05日)

警察も検察も裁判所も猛省すべきだ。そのためには徹底検証を自らの手で行う必要がある。

滋賀県の病院患者の死亡をめぐり殺人罪で実刑となり服役した元看護助手、西山美香さんの再審公判で大津地裁は無罪を言い渡した。大津地検は上訴権を放棄し、西山さんの無罪が確定した。

西山さんは患者の人工呼吸器を外して殺害したとして平成16年、逮捕、起訴され、公判で否認したが、殺人罪で懲役12年が確定して服役した。22年にも再審請求したが、大津地裁、大阪高裁、最高裁ともに認めなかった。その全てが誤りだったことになる。逮捕から15年余りを経て得られた結論だ。長すぎる歳月に慄然とする。

判決は、西山さんには軽度の知的障害があり、恋愛感情に乗じた取り調べの担当刑事が「強い影響力を独占し供述をコントロールした」と捜査手法を強く批判し、自白は「不当、不適切な捜査によって誘発された」とみなして信用性を否定した。

患者の死因は致死性不整脈だったなどの可能性があり、判決は事件性そのものにも疑問を呈した。典型的な冤罪(えんざい)である。

再審公判の裁判長は「手続きが一つでも適切に行われていれば、このような経過をたどることはなかった」と述べ、「刑事司法に携わる全員が自分の問題として考えるべきだ」と求めた。

県警は「患者がたん詰まりで死亡した可能性がある」とする医師の所見が書かれた捜査報告書を再審の確定後に提出した。立件に不利な証拠を隠蔽(いんぺい)した疑いがある。再審公判では検察の有罪立証断念により、取り調べ刑事の証人尋問も見送られた。真相は何も明らかになっていない。

今後は捜査の違法行為を追及する国家賠償訴訟の場などが真相解明の場となる。だがそれでいいのか。刑事司法の当事者は自ら検証を徹底すべきではないのか。

検察には有罪立証の断念や上訴権の放棄ではなく、全ての証拠を改めて検証し、積極的に無罪論告を行うなどの方法もあった。大阪地検特捜部の証拠改竄(かいざん)事件では、最高検の主導で捜査チームを編成して事件化した。

裁判長はまた、「時間は巻き戻せないが未来は変えられる。西山さんの15年を無駄にしてはならない」とも説諭した。刑事司法当局に向けられた言葉だろう。
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[毎日新聞] 香川県のゲーム条例 付き合い方考える機会に (2020年04月05日)

インターネットやゲームの利用について家庭にルール作りを求めた香川県の条例が施行された。

18歳未満は平日のゲーム利用時間を60分まで、中学生以下はスマホの利用自体も午後9時までとする目安を盛り込んだ。

条例に利用時間を明記して依存症対策に取り組むのは全国初の試みだ。ただ懸念される点も多い。

まず、行政による家庭生活への介入という問題がある。

そもそも子どものゲーム利用時間は各家庭にまかせる事柄だ。それを自治体が示す以上、慎重な運用が求められる。

条例は子どもにルールを順守させるよう保護者に努力義務を課した。これでは行政が対応を家庭に押しつけてしまう恐れがある。

利用時間を絞ることが依存からの脱却につながるかも疑わしい。

新しい趣味や生活目標を見つけることが脱却に役立ったという研究成果がある。時間制限よりも、何か打ち込める目標を持つことの方が効果があるとの指摘もある。

とはいえ、多くの家庭で子どもにどこまでネットやゲームを認めるかは悩みの種だ。

世界保健機関(WHO)は昨年、利用者がゲームにのめり込みすぎて日常生活に支障をきたす「ゲーム障害」を新たな依存症と認定した。依存防止のための対策が迫られているのも事実だ。

条例で「事業者の役割」を明文化した点は注目したい。

オンラインゲームには一般的に、利用者の射幸心をあおる側面があるとされる。

条例は事業者に対して、子どもの健全な成長が阻害されないよう自主的な規制に努めることや、必要な依存症対策を実施することを求めた。事業者に責任を自覚させることにつながるだろう。

日本にはゲーム障害を専門とする医療機関が少なく、国際的に取り組みが遅れている。

条例は、当事者が適切な治療を受けられるよう、県が医療提供体制の整備を講じるように定めた。さらに、相談支援の推進や人材養成なども盛り込んだ。

こうした分野で行政が果たす役割は大きい。今後、国や他の自治体が取り組む際、参考になるはずだ。条例の施行をゲームとの付き合い方を考える機会にしたい。
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[毎日新聞] 富士山噴火の被害想定 首都機能の重大リスクだ (2020年04月05日)

首都機能がまひする事態になれば、日本の経済・社会への影響は甚大だ。その危機に国や自治体は備えなければならない。

政府の中央防災会議の作業部会が、富士山で大規模な噴火が発生した時に首都圏などが受ける被害の想定を公表した。噴火から3時間で都心に火山灰が降り積もる恐れがあるという。

約300年前の宝永噴火と同規模の大噴火が起きたと想定した。影響が最も大きいのは、西南西の風が吹き、都心が灰の直撃を受ける場合だ。

灰が微量でも、鉄道は運行システムに不具合が生じてストップし、視界の悪化で車の通行も困難となる。物流が滞り、水や食料が不足する恐れが出てくる。

雨が降れば被害は一層広がる。電線がショートし、大規模な停電が発生しかねない。そうなれば断水や通信障害も起きる。

噴火から15日目には東京都新宿区で灰が約10センチ積もるといい、処理が難しい課題となる。除去が必要な量は4億9000万立方メートルに及ぶ。東日本大震災で発生した災害廃棄物の約10倍の量にあたる。

降灰が大都市に与える影響については研究が進んでおらず、対策も遅れていた。今回の想定は、国と自治体、鉄道や電力などの事業者に初めて本格的な対策を促している。

まず、防災計画の整備が欠かせない。堆積(たいせき)した灰の処分場候補地、各家庭における食料の備蓄など、国や自治体があらかじめ定めて周知しておくべきことは多い。

各事業者にとっては、噴火活動が活発な地域の経験が参考になるだろう。JR東日本は既に、線路の点検用カートにブラシを取り付けた灰の除去装置を開発した。手本にしたのはJR九州の桜島対策だという。

さらに、長期的な対策にも力を入れるべきだ。噴火の時期や規模を正確に予測できれば、混乱を軽減できる。だが、現在の知見では難しい。観測体制の一層の強化や、火山の専門家の育成を進めていく必要がある。

今後、国土交通省など関係省庁や自治体による具体的な対策の検討が始まる。経済・社会の混乱を抑えるため、関係機関が連携を強めなければならない。
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[読売新聞] 介護保険20年 制度の維持へ不断の見直しを (2020年04月05日)

介護保険制度は創設から20年を迎え、大きな転換期に差しかかっていると言えよう。

かつて介護は家族で担ってきたが、核家族化が進み、身内頼みの介護は限界になった。このため、2000年度にスタートしたのが、社会で介護を支える介護保険制度だ。

利用者は要介護の認定を受け、状態に応じて入浴や食事などのサービスが提供される。財源は保険料と公費で賄われ、利用時の自己負担は低く抑えられている。

制度が定着し、多くの人が多様な支援を受けられるようになったことは評価できる。

ただ、急速な高齢化の進展で、介護を必要とする人はこの20年間で約3倍に膨らんだ。高まるニーズにサービスを提供する介護人材の確保が追いつかない。

読売新聞の調査では、主要自治体の首長の約9割が今後10年間、制度を維持するのは難しいと回答した。その理由として多くの首長が人材不足を挙げている。

人手が少ない介護現場では、職員一人ひとりの負担が重くなりがちだ。このため、職員が離職し、サービスの質が低下する悪循環に陥るケースも多い。介護の担い手を増やすことが急務である。

他の業種に比べて低い給与水準を引き上げるなどの待遇改善が欠かせない。利用者の状態をスマートフォンに記録するといった業務の省力化を通じて、働きやすい環境を整える必要がある。

介護ニーズの膨張に伴い、保険料負担は重くなる一方だ。65歳以上の人が払う月額の保険料は、当初は2911円だったが、直近では5869円まで上がっている。このまま増え続ければ、保険料を支払えない人も出てこよう。

費用負担を抑えるには、サービス内容の見直しが不可欠だ。

現在は、軽度者向けの家事援助まで介護保険サービスで行っている。これらを市町村の事業に移すことが求められる。

家事援助の担い手にボランティアを活用すれば、費用を抑制する効果が期待できる。地域住民が助け合う「共助」の力を高めていくことが重要になる。

気がかりなのは、政府の介護保険制度改革のスピードが遅いことである。経済的余裕のある高齢者にはサービス利用時に相応の自己負担を求めることも有力な選択肢の一つだが、こうした見直しは実現のめどがたっていない。

制度を維持し、老後の安心を支え続けるためにも、課題の先送りは許されまい。
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[読売新聞] 自衛隊の活動 検疫や輸送支援の態勢整えよ (2020年04月05日)

感染症対策の多様な任務を円滑にこなせるように、自衛隊は態勢を整えなければならない。

新型コロナウイルスの水際対策強化のため、河野防衛相が自衛隊に災害派遣命令を出した。医官や看護官が成田空港と羽田空港で、感染の有無を調べるPCR検査に携わる。

帰国者を待機施設などに搬送する業務を含め、自衛隊員約120人が派遣されている。

政府は、入国を事実上拒否する対象を計73か国・地域に拡大した。この地域から帰国する日本人らにウイルス検査を行う。

帰国者が感染源となるケースが相次いでいる実態を踏まえれば、自衛隊の協力で、検査態勢を充実させることは重要だ。

自衛隊法は、人命や財産の保護を目的とした災害時の派遣を規定している。通常は都道府県知事や関係機関の要請に基づいて行われるが、今回は緊急を要するため、政府内の調整を経て自主派遣の形式を取ったという。

集団感染が起きたクルーズ船への対処や、中国から帰国した邦人らの支援で、1か月半で延べ4900人の隊員が、検査の支援や物資の輸送などにあたった。

自衛隊が機動力を生かし、感染症の蔓延(まんえん)という国の危機に対処する意義は大きい。自治体や関係機関と緊密に連携して、適切に任務を遂行すべきである。

検疫作業を続けていく上で欠かせないのは、マスクや防護服などの備品を十分に確保することだ。患者と接する隊員の体調管理にも気を配る必要がある。

政府は、感染症にかかわる業務に就く自衛官に対し、特別手当を支給する。過酷な任務であることを考慮したのだろう。

政府が緊急事態宣言を発出した場合には、患者の搬送や医薬品など緊急物資の輸送、消毒作業への協力、医療・生活支援といった活動が想定される。

自衛隊は様々な事態を想定し、緊急事態宣言下での活動計画を練り上げねばならない。全国の陸、海、空の部隊を弾力的に運用することが求められる。

都市部では、感染者の増加が続いている。患者の受け入れ能力が限界を超え、医療崩壊が起きることを懸念する声は多い。

防衛省は、防衛医科大病院と、全国に16の自衛隊病院を持つ。医官は約900人、看護官は約1000人いる。東京の自衛隊中央病院は既に、感染者を入院させている。事態の推移を見極めつつ、受け入れ拡大を検討すべきだ。
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[朝日新聞] 新型コロナ 途上国へも目配りを (2020年04月05日)

ウイルスに国境はない。たとえ先進国で封じ込めに成功しても、それだけでは不十分だ。医療態勢の弱い途上国で感染が広がらないよう、国際社会全体で協力することが欠かせない。

国連は先月下旬、途上国や紛争地域などで新型コロナウイルス対策に取り組むため、20億ドル(約2200億円)の人道支援を各国に要請した。

対象はアフリカやアジア、南米、中東の貧しい国々や難民キャンプだ。世界保健機関(WHO)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)など国連機関と国際NGOが協力し、医療器具や医薬品を提供する。

こうした国々は衛生状態が悪く、医療施設も整っていない。感染が爆発的に広がり、先進国を含めた世界全体にとって新たな脅威となる恐れがある。

グテーレス国連事務総長は「第2次大戦以降で最も困難な危機だ」と訴えた。国際社会はその言葉を正面から受け止め、協調を強める必要がある。

とりわけ懸念されるのがアフリカだ。アフリカ大陸で初の感染者が確認されてから約1カ月半でほぼ全ての国に広がった。感染者は全体で7千人台と、欧米に比べ少なく見えるが、検査態勢の不備を考えれば実態はより深刻だとみるべきだろう。

先日開かれた主要20カ国・地域(G20)の首脳会議は「アフリカの保健システムを強固にすることが、世界的回復へのかぎだ」と声明でうたった。その考えを実行に移したい。

感染症対策の基本とされる手洗いだが、アフリカでは水の確保が困難だ。ユニセフによると、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、都市部の3人に2人、約2億6千万人が手洗いに必要な水やせっけんが手に入らないという。子どもたちを中心に慢性的な栄養不足も深刻だ。

こうした環境もあって、アフリカでは感染症との闘いがかねて日常化している。エイズ、結核、マラリアの3大感染症に加え、エボラ出血熱も流行が続く。そこに新型コロナが加われば、さらに重荷が増える。

日本は四半世紀以上前にアフリカ開発会議を立ち上げ、関係を深めてきた。昨夏の第7回会合では、保健医療分野での貢献も改めて表明した。国内で新型コロナ感染が急増しており、経済への深刻な影響も懸念される。その対策を十分に図りながら、途上国で苦しむ人々への目配りも忘れないようにしたい。

各国が自国での対策に注力することは当面必要だろう。だが長い目で見れば、それだけで感染症問題を克服することはできない。グローバル化した世界で感染症にどう向き合うか、国際社会が問われている。
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2020年04月04日

[東京新聞] マスク2枚 不安の解消には程遠い (2020年04月04日)

全戸に二枚ずつ布製マスクを配布する−。マスク不足が続く中では歓迎する声はある。感染症への不安を少しでも解消する対策は必要だが、国民が実感できるほどの効果があるだろうか。

布製マスクを広く国民に届けることでマスク不足と不安の解消につなげたいと政府は考えている。

使い捨てマスク不足から、布製マスクを手作りする人も増えている。布製でも感染拡大防止には一定の効果がある。

だが、今回のマスク配布には、いくつもの疑問がわく。

マスクは一世帯に二枚を郵送する。一人世帯なら余るが多人数世帯では足りない。政府は追加配布も表明せざるを得なかった。

郵送でポストごとに配布されるため介護施設やグループホームなど多人数が暮らす施設でも二枚の配布にとどまったり、ホームレスなど住所のない人へは届かないのではないか。人によって支援に差がでるとしたら不安解消どころか逆効果だろう。

さらに、三日の国会で野党が「八百万戸余りの空き家にも配布されるのではないか」と指摘し、政府はその懸念を認めた。そうなれば有効に活用されないし、空き家からの盗難なども懸念される。

政府が三月十日に公表した緊急対応策第二弾には、布製マスク二千万枚の配布が盛り込まれたが、配布対象は介護施設や保育所などに限っている。経済対策だとしても広く国民への配布は唐突感が否めない。後から対策に穴が見つかるようでは場当たり的な対応と言わざるを得ない。

財源の使い方にも疑問がある。

送料も含め配布の経費は計二百億円を超える。

確かに、政府は医療機関へのマスクの優先配布や生活支援策なども打ち出している。だが、これだけの財源を使うのなら医療機関や介護施設へのマスク配布をさらに増やしたり、さまざまな経済活動の自粛で生活が困窮する人への支援を厚くするといった対策の方が必要な人に必要な支援が直接、届くのではないか。

ドラッグストアに通ってもなかなかマスクが手に入らない事態こそが不安や不満を招いている。台湾では増産を政府主導で進め生産能力を一月時点の七倍に高めたという。日本でも生産企業の支援にこの財源を回してはどうか。

必要な支援策を探り優先順位と財源をつけ、丁寧に説明して国民の理解を得ながら進める。政府はその姿勢を忘れるべきではない。
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[東京新聞] 米軍基地の感染 地位協定の矛盾を露呈 (2020年04月04日)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在日米軍内にも感染者が出ている。日本側は米兵らの入国を制限できず、感染に関する情報も十分に受けられない。日米地位協定の矛盾が露呈した形だ。

在日米軍側の発表によると、米兵らの感染は三月下旬から相次ぎ確認された。神奈川県の海軍横須賀基地で兵士五人、沖縄県の空軍嘉手納基地では兵士二人と親族一人が発症。長崎県の海軍佐世保基地も三日、一人の感染を明らかにした。いずれも基地や関連施設で隔離され、基地外住民との接触はないと強調している。

ただ、感染者の性別や年代、容体は不明。米国を含む海外から帰国後に感染が分かった例が多いようだが、欧州から帰った嘉手納の兵士については、どの国に行っていたのか、居住地が基地内か基地外かも明らかにされていない。

米軍側からの一方的で断片的な情報しかもたらされないのは、日米地位協定の「壁」のためだ。基地には日本側の自由な立ち入りが認められない。何人の兵士や家族が基地内にいて、どんな訓練を行っているかも基本的には明かされない。コロナ禍に対しても保健所などによる調査は当然及ばない。

さらに、日本政府がどれほど外国人の入国制限を強化しようと、米兵はもともと入国審査の対象になっておらず適用外だ。検疫を受ける義務もない。今後も感染拡大国から米兵が入国することがあっても、日本側は実態を把握したり阻止したりすることができない。

在日米軍施設が、政府や自治体が懸命に取り組むコロナ対策の「抜け穴」になりかねない事態である。一部で共用されている自衛隊基地の防護も重要だ。

米国防総省は三月末、個別の部隊や基地ごとの感染者数を公表しない方針を示した。安全保障上の理由からだが、基地は一層「ブラックボックス」化し、住民の間に無用な不安を広げる恐れがある。

日米両政府は二〇一三年、感染症を巡り、在日米軍と日本の衛生当局間の情報交換について覚書を交わした。外務省は、新型コロナに対しても、各基地と自治体間で情報共有はできていると説明するが、沖縄県などは不十分だと指摘している。日本政府は、覚書の厳格運用に努めなければならない。併せて、感染症対策の盲点として浮かび上がった地位協定の見直しも進めるべきだ。

感染者二十万人超に達した米国と直結している在日米軍基地を特別扱いしている場合ではない。
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[産経新聞] 【主張】現金給付30万円 迅速な実施で苦境打開を (2020年04月04日)

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策の柱である現金給付として、一定水準まで所得が減少した世帯を対象に現金30万円を支給することになった。安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長が3日の会談で合意した。

現金給付をめぐっては与野党から全国民一律とする案や1人10万円を支給する案が出ていた。これに対して政府は、一律給付では貯蓄に回ってしまう懸念があると判断したようだ。広く薄く給付するよりも本当に困っている世帯に対象を絞って手厚く支給することにした。

給付条件の線引きや世帯構成で不公平感が出る面もあろう。だが国内では感染が急速に広がっており、対策は急を要する。まずは給付制度の詳細を詰め、これを迅速に実施するよう求めたい。

安倍首相は3日の国会で「事業継続のため、生活を維持していただくために必要な額をできるだけ早期に提供したい」と述べた。

当然である。リーマン・ショック時に行った定額給付金は1人当たり1万2千円だった。今回のコロナ禍は経済活動や生活が突然機能しなくなった点で、その衝撃度は過去に経験したことがないほどの深刻さである。より大きな給付が求められるのはもちろんだ。

問われるのは、迅速かつ効果的に国民の暮らしを守れるかどうかである。全国民一律のような分かりやすさはない。自己申告制にするとしても、遅滞なく給付できるよう手続きの煩雑さを排しつつ、虚偽申告の余地をなくす両面での目配りが欠かせない。

現金給付をめぐり、かえって国民の混乱が生じるようでは元も子もない。そうならないよう万全の手立てを講じてもらいたい。

政府は来週にもまとめる緊急経済対策について、資金繰りが滞っている事業者や生活困窮者に対する感染拡大期の支援策と、感染が収束した後の経済を回復させるための需要刺激策の二段構えで検討している。

景気刺激策については、キャッシュレス決済によるポイント還元の拡充や幅広い用途の商品券などの案も取り沙汰されている。実効性のある策を確実に講じることが肝要である。

危機的状況の収束時期は見通せない。事態が長引けば、現金給付を含めてさらなる対策が必要になることも銘記しておきたい。
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[産経新聞] 【主張】発送電分離 安定供給の役割忘れるな (2020年04月04日)

大手電力会社の送配電網を分社化し、本体から切り離す「発送電分離」が4月から始まった。太陽光など再生可能エネルギーを主体とする新電力が、送配電網を使いやすくする取り組みだ。

政府が進める電力自由化を柱とする電力市場改革の総仕上げと位置付けられている。電力会社の競争を通じ、料金引き下げやサービスの向上も促す。実効性ある競争が欠かせない。

その一方で電力業界に求められる最大の責務は、電力の安定供給である。この役割を忘れてはならない。市場競争の激化などで肝心の電力供給に影響が出るようでは本末転倒である。

最近は台風や地震などの自然災害による大規模な停電が頻発している。発送電分離に伴う組織分断で停電時の早期復旧に支障があってはならない。業界横断の復旧応援体制の構築も急ぐべきだ。

1日付で送配電網を本体から切り離したのは、関西や中部など各地の大手電力とJパワー(電源開発)の9社だ。福島第1原発事故を起こした東京電力ホールディングスは、すでに発送電を分離している。経営規模が小さい沖縄電力は対象外となった。

送配電部門の分社化で送配電網の中立性を確保し、新電力などが利用しやすくする。送配電会社がグループ企業を取引上優遇することは禁じられ、経営幹部は本体と役職を兼務できない。電気料金の引き下げにつなげ、契約者の利便性を高めてほしい。

電力供給の広域化にもつなげる必要がある。各地の送配電会社が連携を深め、全国規模で電力が柔軟に融通されるようになれば、夏や冬の電力不足などの緊急時にも対応しやすくなる。将来的には送配電会社の再編などにつながる可能性もあろう。

ただ、発電から送配電までの一貫体制が見直されたことで、災害対応などで懸念が残る。昨年9月に首都圏を襲った台風15号は、千葉県を中心に大規模停電を引き起こした。その際に復旧にあたった東電グループの送配電会社「東電パワーグリッド(PG)」は、復旧見通しを何度も修正するなど混乱を広げた。

電力自由化を通じた競争は不可欠だが、それを安定供給を妨げる要因にしてはならない。送配電会社は自らに課された供給責任を厳しく自覚してほしい。
posted by (-@∀@) at 12:30| Comment(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする