2018年10月20日

[東京新聞] 九州の太陽光 「潜在力」が示された (2018年10月20日)

九州電力が太陽光発電の出力制御に踏み切った。原発の電気が最優先、お日さまは後回しということだ。それにしても電気が余って困るとは−。この国の豊かな潜在力。生かさない手はないのだが。

何とも不思議、というより非常にもったいない。

全国に先駆けて、原発四基を再稼働させた九州電力。好天で送電線の空きが少なくなったため、太陽光による電気の受け入れを一時取りやめるという事態になった。

電力小売りが自由化されても、既存の大事業者による送電網の独占状態は続いている。電力会社が過剰と判断すれば、せっかく発電可能な電力をむだにするしかないのである。

少なくとも一つ、明らかになったことがある。日本は、未来の「エネルギー大国」になり得るということだ。長い間、この国は「資源小国」と言われてきた。石油、石炭の時代が続いていたからだ。そのために、原子力を「準国産エネルギー」ということにして、原発を優遇し続けてきた。

だがこの国では、太陽こそ「純国産エネルギー」。太陽光は無限にあって、しかもただ。その上、火山の多い九州は地熱資源も豊かな半面、原発にはとりわけ不向き。本来、自然エネルギー活用で世界をリードすべき土地柄ではないのだろうか。

ではなぜ、太陽光の電力が“制御”されてしまうのか。

「原発の電気を最優先で送電網に流しなさい」とする、国のルールがあるからだ。再生可能エネルギーを主力にすると言いながら、旧態依然の“原発びいき”。「純国産」を普及するには、これをまず改めるべきではないか。

「自然エネルギーは天候に左右されるので、不安定だ」と言われるが、日本は南北に細長く、気象条件もさまざまだ。例えば、北海道や東北には風が豊富にある。風はお日さまが沈んだ後も吹く。

全国各地の“埋蔵資源”を開発し、調整力を高めて、融通、補完し合う。集中から分散、そして連携へ−。既存のインフラを基にして、そんな新たなシステムを構築できれば、「エネルギー大国日本」も絵空事とは思えない。

もちろん送電網の大幅な増強が不可欠だ。コストはかかる。

しかし、安全対策から廃炉、核のごみの処分まで、原発の方がよほど“金食い虫”だ。石油や石炭の輸入も減る。

そう考えれば、決して損な投資ではないはずだ。
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[東京新聞] インドネシア 地震復興へ日本の力を (2018年10月20日)

二千人超が犠牲になったインドネシア・スラウェシ島の地震から三週間。同国からの要請で、日本が復興計画の策定を支援することになった。東日本大震災の経験などを生かした国際協力としたい。

インドネシアの国家開発計画庁は、復興計画は一カ月で完成させたい考え。手始めとして、日本は国際協力機構(JICA)の約二十人を被災地に派遣し、実態を調べている。同庁は「地震や津波からの復旧で多くの経験を持つ日本は、計画を一緒に考えられる唯一の国だ」と期待している。

スラウェシ島はトラジャコーヒーで知られ、面積は北海道の約二倍。九月二十八日、同島中部を震源としたマグニチュード(M)7・5の地震が発生。州都パル郊外などが津波や液状化現象に襲われ、二千人を超す犠牲者が出たほか、五千人近くが泥に埋まったままとみられている。しかし捜索は地震から二週間の今月十二日で打ち切られた。通信事情は悪く、がれきなどの撤去は進んでいない。

二〇〇四年、インドネシアなどインド洋周辺の十二カ国で二十二万人以上の犠牲者を出したスマトラ沖地震津波の際、インドネシアは各国からの支援を一度に受けて混乱したという。今回は、復興計画のパートナーとして、一九九五年の阪神大震災や二〇一一年の東日本大震災を経験した日本一国に絞り、支援を要請していた。

両国は、国交を樹立してから今年で六十年。長く友好関係にあり、日本からの円借款など政府開発援助(ODA)は、累計で約五兆六千億円(一六年度まで)に達し、日本にとって最大の援助国。日本企業の進出も多い。

インドネシア周辺では今世紀に入り、M7級の大地震が十数回起きた。同国はインド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界上にあり世界一の地震国だが、途上国ゆえインフラは脆弱(ぜいじゃく)で防災設備も整備されていない。

復興計画に基づく実際のプロジェクトにも、日本が主体的に関わることになろう。そして、今回の地震や津波、液状化のメカニズム解明にも日本の知恵を注いでほしい。日本の防災・減災研究にも役立つと思われるからだ。

日本では、M8〜9級の南海トラフ地震が「今後三十年に70〜80%の確率で起きる」とも予測されている。東日本大震災などからの復興を進めつつ、インドネシアの復興を積極的に手伝い、将来にも備える−地震国、友好国として、できうる限りのことをしたい。
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[毎日新聞] 混迷する英国のEU離脱 メイ首相は説得に全力を (2018年10月20日)

来年3月に迫った英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる交渉は、EU首脳会議で目指した大筋合意に至らず、決着は先送りされた。

大きな障害となったのは英領北アイルランドとアイルランドの国境管理問題だ。EUは北アイルランドを関税同盟に残すことを提案。英国はそれが国家の分断につながると反発し、英国全体が一時的に関税同盟に残る案にこだわった。

また、将来の通商関係をめぐり、英国はモノの自由取引を続ける一方、移民規制を導入する離脱案に固執している。EUは人の移動の自由だけを制限する姿勢は「いいとこ取り」だとして受け入れていない。

EUは合意期限を12月のクリスマスまでずらしたが、混迷は深い。

合意に達しない場合は2020年末までの「移行期間」が白紙化される恐れがある。3月の離脱で一斉に関税や通関手続きが復活し、市民生活や世界の企業活動が混乱に陥る「合意なき離脱」が現実味を帯びる。

交渉が遅々として進まない原因は主に英国側にある。与党・保守党内の対立があまりにも深刻だからだ。

強硬派はメイ首相の離脱案が「EUに半分残留するようなものだ」と反発している。また、閣外協力する北アイルランドの地域政党は、本土内で関税障壁が生じることになるEU案に反対する。

一方、野党の一部では再度の国民投票を求める声も噴き出している。

このためメイ首相は今回予想された政府の新提案すら提示できなかった。仮にEUと合意できても、本国に持ち帰り議会承認で否決される事態を恐れたのだろう。メイ首相の迷う姿が目立つ。

しかし、そもそも主権の回復を理由に離脱を選んだのは英国自身ではないか。離脱による代償や困難は当然予想されたはずだ。それらを受け入れた上で最善の策を探る議論を進めるべきだろう。

メイ首相はあくまでもEUとの経済的なつながりの継続を重視する。ならば、それが国益に通じることを与野党をはじめ国民に訴え、政治生命をかけてでも説得すべきだ。

もはや英国だけの問題ではない。他国や国際社会のことも考え、EUが受け入れられる譲歩案を示し、混乱回避に努めてほしい。
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[毎日新聞] 地方アイドルのトラブル 未成年の保護規定が必要 (2018年10月20日)

松山市を拠点とするアイドルグループでリーダーを務めた16歳の少女が自殺し、遺族が損害賠償を求めた裁判が注目されている。自殺は、所属事務所による過酷な労働環境やパワハラが原因だったと訴えた。

遺族側は、脱退の意向を伝えた時にスタッフからLINE(ライン)で「次また寝ぼけた事言いだしたらマジでブン殴る」と言われ、学業より仕事を優先するよう強制されたと主張する。事務所側はパワハラなどについて否定している。

少女が事務所と結んだ契約書には、さまざまな禁止規定がある。例えば、正当な理由なく指定された活動を欠席した場合はその月の報酬の50%、遅刻は5000円の罰金が科せられる、などだ。

なかでも目を引くのは、事務所の内部情報を「許可なく家族を含む他者に開示してはならない」という規定だ。情報を漏らせば50万?100万円の罰金という。

未成年が仕事上の悩みを信頼して相談する相手はまず親だろう。それすら禁じる内容である。あまりに非常識と言わざるを得ない。

にもかかわらず、未成年相手にこうした契約が結ばれる背景には芸能界特有の契約形態がある。アイドルが事務所に専属して活動し、事務所が活動を支援する業務委託方式だ。

企業が従業員を雇う際に結ぶ労使の義務などを定めた雇用契約と異なり、労働者を保護する労働基準法など労働法規が原則、適用されない。

しかし、遺族側によると、イベントがある日は1日平均10時間以上の拘束があったという。未成年に対する過酷な労働実態をどう認定するかが、大きな争点となる。

全国各地のアイドルグループは、AKB48グループの成功もあり、批評家によれば1000組以上あるという。ビジネスの広がりを物語る。

それに伴い、アイドルと事務所を巡るトラブルも増えている。東京のグループや別のアイドルらが賃金未払いやセクハラ被害などを訴えて裁判になり、社会問題化した。

心身が成熟していない未成年に対しては、健康への配慮や精神的な支援をする環境整備が必要だ。現状を野放しにせず、必要なら国が業界団体と協議し、未成年を保護する規定の策定に乗り出すときである。
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[読売新聞] 英EU離脱交渉 これ以上の停滞は許されない (2018年10月20日)

英国の欧州連合(EU)離脱交渉が難航を極めている。合意なき無秩序な離脱は、双方にとってマイナスだ。英国とEUはこの共通認識を基に、溝を埋めねばならない。

EU首脳会議が、英国の離脱条件と将来の関係を定める交渉で、「十分な進展がない」と判断し、11月の合意目標を先送りした。交渉は12月にずれこむ見通しだ。

英国は、来年3月29日にEUを離脱する。英・EU双方の議会が合意を承認する手続きを考慮すれば、交渉は「時間切れ」との戦いに入ったと言えるだろう。

難航の最大の要因は、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理問題だ。

北アイルランドは、帰属を巡る流血の紛争を経験した。和平を支えるアイルランドとの自由往来を維持することでは、英国とEUは合意している。

EUは具体策として、英国の離脱後も北アイルランドをEUの関税同盟にとどめることを求めた。英国は「国家の分断を招く」と拒否し、対立点となっている。

このままでは、北アイルランドを巡る問題が、英国とEUが目指す包括的な合意を阻害することになりかねない。双方は大所高所に立って、妥協点を探るべきだ。

合意が成立しなければ、離脱後の激変緩和措置として、2020年末まで現状の関係を保つ「移行期間」が認められなくなる。関税導入などの準備が間に合わず、混乱が起きるのは避けられない。

メイ英首相は、移行期間を延長する可能性に言及し、トゥスク欧州理事会常任議長も、前向きに検討する意向を示した。年末までに大枠で合意したうえで、移行期間を延長し、細部を詰めるのは現実的な策だろう。

欧州歴訪中の安倍首相は、欧州委員会のユンカー委員長と会談し、交渉の停滞に対する憂慮を表明した。欧州各国に進出する日本企業への悪影響を最小限にとどめるよう求めたのは当然である。

日本の自動車メーカーは英国の工場で年間約80万台を生産し、多くをEU諸国へ輸出する。離脱に伴い、物流や金融が混乱すれば、日本をはじめ世界各国の経済に打撃を与えることを、英国とEUは認識してもらいたい。

懸念されるのは、離脱の具体策を巡り、英国が割れていることだ。メイ政権の「穏健離脱」路線に対し、与党・保守党の「強硬離脱」派は反発を続ける。メイ氏は指導力を発揮し、国内の合意取り付けに取り組まねばならない。
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[読売新聞] 太陽光一時停止 電力の安定供給が最優先だ (2018年10月20日)

電力の安定供給を確保する。再生可能エネルギーは着実に増やす。その両立を図っていくことが大切である。

九州電力が、晴天の土日に、一部の太陽光事業者の発電所を一時停止させる「出力制御」を実施している。

平日より電力需要が少ないことから、太陽光で作る電気が余り、需給バランスが崩れるためだ。供給過多になると、電力不足と同様に電力の周波数が乱れ、放置すると大停電を起こしかねない。

太陽光などの再生エネは出来るだけ活用したいが、安定供給体制が揺らいでは元も子もない。電力網を守るための、やむを得ない措置と言えよう。

九州は日照条件の良さを生かして、太陽光発電の導入が進んでいる。晴天のピーク時には約800万キロ・ワットと、原子力発電所8基分にも相当する供給力がある。

ただし太陽光は、天候悪化や日没で供給力が急低下する。これに備えて、出力が安定している原発などの基幹電源を動かしておかなければならない。

九電は、火力発電の稼働を一部止めたり、余った電力を他社に融通したりして需給バランスをとってきたが、これらの措置では対応しきれなくなった。

こうした場合、国のルールに沿って、電力会社は太陽光や風力発電の事業者に発電の一時停止を求めることができる。理に適(かな)った制度と言えるだろう。

一時停止の対象は1日当たり、太陽光全体の5?9%だ。九電は、出力制御を極力回避するよう、需給調整に全力を挙げてもらいたい。今後の出力制御の見通しを的確に情報開示すべきだ。

太陽光の増加で需給調整が難しくなっているのは、九電管内に限らない。国が2012?14年度に認定した太陽光の約4割が未稼働である。これらが動き出せば、調整の難易度はさらに上がる。

各電力会社は、太陽光などを無理なく受け入れるための方策を真剣に考えねばならない。

電力会社間を結ぶ連系線を一段と増強し、電力の過不足を広域的に調整することも一策だ。

将来的には、安価な大容量蓄電池を開発し、各地域で電力を自給する「電源の分散化」も進めたいが、技術的なハードルは高い。

太陽光に偏っている再生エネのいびつな構成も正す必要がある。政府は再生エネを主力電源の一つとする方針だが、洋上風力やバイオマスなどを増やして多様化しなければ、その展望は開けまい。
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[朝日新聞] プラごみ戦略 「大国」に見合う対策を (2018年10月20日)

プラスチックごみを、どう減らしていくか。その鍵を握るプラスチック資源循環戦略の素案を環境省がまとめた。

2030年までにレジ袋やストローといった使い捨てプラスチックの排出量を25%削減し、プラスチック製容器包装の6割をリサイクルや再利用する。こうした数値目標を政府が掲げるのは初めてだ。絵に描いた餅に終わらせてはならない。

海にプラスチックごみが流れ込むと、波や紫外線で砕けて5ミリ以下のマイクロプラスチックになる。これが有害物質を吸着して魚介類に取り込まれ、食物連鎖で人間を含む多くの動物に悪影響を及ぼす恐れがある。

地球規模の汚染を防ぐため、脱プラスチックの流れが強まっている。欧州委員会がストローやカップなどの規制案を出したほか、多くの国々が独自の対策に乗り出している。民間でも、世界的な飲食店チェーンがプラスチック製ストローを使わない方針を相次いで打ち出した。

日本もこれまで、使用済みプラスチックの分別収集や有効利用などで、プラスチックの海洋流出の抑制に努めてきた。

とはいえ、1人当たりの使い捨てプラスチックの使用量が米国に次いで世界で2番目に多い「プラスチック大国」である。率先して脱プラスチックに取り組む責任がある。

その試金石の一つが、レジ袋をいかに減らせるかだ。

日本人は1人あたり年間300枚とも400枚ともいわれるほど多くのレジ袋を使う。容器包装リサイクル法の下、有料化やマイバッグ配布などが小売業者に求められているが、あくまで自主的な取り組みだ。今回、有料化の義務づけを盛り込んだことは評価できる。

ただ、その効果には限界がある。すでに有料化が広がりつつあるスーパーでも、レジ袋を辞退する人は約半数で頭打ちだ。レジ袋を禁止している海外の例を参考に、より効果的な規制を検討する必要があろう。

循環戦略案には、植物由来のバイオマスプラスチックなど再生可能な素材に切り替えていく方針や目標も明記された。利便性やコスト面で代替が難しいこともあるだろう。しかし技術力で壁を乗り越えれば、新たなビジネスが生まれるはずだ。

私たち一人ひとりの覚悟も問われている。プラスチックに過度に依存するライフスタイルを見直さない限り、問題の根本的な解決にはつながらない。

「大国」の取り組みを、世界が見つめている。そのことを忘れてはならない。
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[朝日新聞] 殺人ロボット 出現を許していいか (2018年10月20日)

人工知能(AI)を備え、人間の介在なしに標的を定め、攻撃する。SF映画に出てくるような、そんな兵器が現実に使われる時代が来るかもしれない。議論を急ぎ、開発・配備される前に歯止めをかけるべきだ。

自律型致死兵器といい、殺人ロボットとも称される。AIを載せた自動運転車に兵器を積んだものや、昆虫のような超小型無人機が構想されている。

人類の歴史の中で、火薬や核兵器の発明は戦争のあり方を根底から変えた。殺人ロボットはそれと同じような変容をもたらすかもしれない。

すでに米国は無人機のドローンを米本土から遠隔操縦し、外国の敵を攻撃している。自らは安全な場所に身を置いて一方的に攻撃する行為には、かねて批判がある。ましてロボットがその判断で殺傷するとは、戦争もまた人間の所業であるという枠さえも逸脱する。

米国、ロシア、イスラエル、韓国などが研究・開発している兵器は、遠からず殺人ロボットの域に達する可能性がある。自軍の兵士を傷つけずにすむことが、推進する側の最大の理由だろう。さらに、機械のほうが判断や動作が人間よりも迅速かつ正確だとして、誤爆や民間人の巻き添えを減らす効果があるという主張も聞かれる。

しかし、判断を機械に任せることには大きな疑問がある。

攻撃の成否にかかわらず、責任は人間が取らなければならないが、その覚悟やおそれが薄れはしないか。誤作動や、サイバー攻撃によってその兵器が乗っ取られる心配もある。殺人ロボットがテロリストの手に渡ったら、いったいどうなるか。

交戦の規則などを定めた戦時国際法は、対等な条件下での敵対行為を前提としている。一方が機械になれば、土台そのものが崩れてしまう。

こうした兵器の規制を検討する国際会議が昨年からスイス・ジュネーブで開かれ、ことし8月末に3回目の会合があった。全面禁止を主張する国から、ゆるやかな人間の関与で足りるとする国まであって、議論はまだ煮詰まっていない。

国際社会は、化学兵器や対人地雷などの非人道的な兵器を禁じてきた。殺人ロボットについても同様に対処するべきだ。

日本は民生用ロボット分野で高い技術を持つ。会議では「完全な自律型致死兵器は開発しない」「冷静でバランスの取れた議論を」と述べたが、腰が引けた感は否めない。ロボットの平和利用を進める立場から、もっと議論を主導してはどうか。
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2018年10月19日

[東京新聞] 免震不正 地震国を覆う深い不信 (2018年10月19日)

製品の信頼を損なう事態が何度起きれば収まるのか。今度は大手油圧機器メーカーKYBが不正な免震・制振装置を生産・販売していた。命に関わる問題での不正であり生ぬるい対応は許されない。

KYBと子会社は性能検査で適正な結果が出なかった免震・制振装置について、データを改ざんし、適切な数字に変えて出荷していた。装置は油の粘りを利用して地震の揺れを小さくするオイルダンパーという。不正の理由について会社側は「納期に追われていた」などと説明している。

しかし、このような弁解は一切許されるはずもない。不正の正確な開始時期ははっきりしないが二〇〇〇年代初めごろからという。この間、〇五年に耐震偽装事件が発覚し、一五年には東洋ゴム工業による免震装置のゴムのデータ改ざんがあった。なによりも一一年に東日本大震災があり、今年は北海道で大きな地震があった。

さらに南海トラフ地震を念頭に地震への備えが国民的な課題となっている。不正はこうした状況下で見過ごされてきた。教訓を得る機会は何度もあったのに何ら改善はなされなかった。KYB経営陣の責任はあまりに重い。

一方、国土交通省の対応にも疑問が残る。同省は改ざん幅の大きい装置でも「震度6強から7程度でも人命に損傷は及ばないレベル」などと検証結果を説明する。しかし、基準に満たなくても最大レベルの地震で人命に影響が出ないなら、基準そのものがおかしいということになりはしないか。

今回、対象となる建物は住居、医療施設から官公庁、五輪関連施設など範囲が膨大だ。KYB以外のメーカーで同様のケースがある恐れも否定できない。このため不安は国全体を覆い始めている。

神戸製鋼所、日産自動車、SUBARU…。地震関連に限らず国内メーカーでは製品の検査不正が次々起きている。その度、責任の所在が分からないまま事態は収束する。経営陣が法的な責任を追及されるケースは少なく、監督官庁が再発防止策を指示して幕引きとなる。

今回も現場の検査官が不正を引き継いでいたことが指摘されている。しかし、問題の根源は製品の安全より目先の利益を追い求める経営陣と、その姿勢を放置してきた監督官庁にあるのではないか。現場へのしわ寄せは、新たな不正を呼ぶだけだ。今度こそ、行き過ぎた利益優先の企業風土を改める契機としなくてはならない。
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[東京新聞] ツイートで戒告 裁判官の声が聞きたい (2018年10月19日)

ツイッターへの不適切な投稿問題で東京高裁の岡口基一裁判官が戒告となった。「品位を辱めた」が理由だ。だが、さまざまな社会事象への裁判官の考えは、個人として発信していいのではないか。

官僚的裁判官像が望ましいか。市民的裁判官像が望ましいか。どちらかに立つことで、この問題の考え方も変わってくる。

前者は世間と交わらず、ひたすら裁判所の中で裁判に取り組む。後者は積極的に世間と交わり、交流を深めることによって、裁判に取り組む。

前者は確かに世間と隔絶するから、外観的には公正で中立に見える。だが、後者のように世間のさまざまな意見の中で裁判を考えた方が、より公正で中立な結果が出るともいえるのだ。

岡口氏はツイッターで不特定多数の人々に「つぶやき」を発信する裁判官として有名だった。身近な法的話題から、裁判に興味を持ってもらおうという趣旨で書いた軽妙な短文である。

問題にされたのは、今年五月のツイートである。拾われた犬の所有権が元の飼い主と拾った人のどちらにあるかが争われた裁判をめぐっての内容だ。

原告の名前などは明らかにしていないから、一般市民の投稿ならば、さして問題にならないであろう。だが、投稿者は裁判官。原告からの抗議を受けて、東京高裁が岡口氏を懲戒すべきかどうかの分限裁判を申し立てたのだ。

「表現の自由を踏まえても、裁判官に許容される限度を逸脱した」−。これが最高裁大法廷の判断だった。同時に「裁判所に対する国民の信頼を損ね、裁判の公正を疑わせる」とも述べた。

実は岡口氏は過去にもブリーフ一枚の半裸写真を投稿したこともある。そして厳重注意。これが二回あった。最高裁が「品位を辱めた」と言ったのはそれだ。確かに品位に欠ける。裁判所が顔をしかめたのは当然であろう。

だが、問題の核心は、高裁長官が「ツイートを続ければ、分限裁判を検討する」と岡口氏に言ったことではないのか。もし私的な表現行為の自由を封殺する意図なら、ゆゆしき問題だ。

歴史と文化は異なるが、欧米なら裁判所の門を出れば一私人である。日本でも原則的に私人として表現の自由があるはずだ。裁判官の声を聞きたい人は多い。今回の決定で、裁判官たちが萎縮しないか。閉鎖的環境の中に逼塞(ひっそく)するのを懸念する。
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[毎日新聞] 免震装置のデータ不正 防災の基盤を揺るがした (2018年10月19日)

油圧機器大手のKYBとその子会社が、地震に備えて建物内に設置される免震・制振装置の検査データを改ざんしていた。

対象は、自治体庁舎などの公共施設や病院、マンションなど全国で986物件に上る。免震装置は、国民の生命や財産を守る重要なシステムだ。地震国である日本の大型機械メーカーが、防災の基盤を揺るがすようなずさんな品質管理をしていたことは信じられない。

改ざんは検査に当たる従業員の判断で行い、口頭で引き継ぎ、2000年以降の8人が関与を認めた。

揺れへの耐久性に関するデータをごまかし、基準値内に収まったように書き換えて出荷していた。納期に間に合わせるのが理由だった。

納期のためにデータを不正に操作してもいいという感覚からは、安全な製品を提供するという常識がまひしていることがうかがえる。プレッシャーを与え、そういう空気を作った経営陣の責任は重い。

この分野は、KYBの売上高の3%弱と非主力部門だった。長年にわたりチェックが利かなかったことを含め、企業のガバナンス(統治)も不十分だった。

昨年、神戸製鋼や三菱マテリアル系子会社の製品データ改ざん問題が明らかになった。日産自動車でも、無資格社員による検査が発覚した。神戸製鋼のケースは、やはり納期の優先が原因だった。

収益至上主義がはびこっていることはないか。日本の製造業が抱える共通の問題が背景にあるように思える。産業界全体で問題の深刻さを共有すべきだろう。

こと防災に関わるだけに、一刻も早い事態の収拾が必要だ。だが、16日に改ざんを公表して以後、KYBの対応は後手に回っている。

自治体などが対象物件を先んじて公表する中、やっときょう物件名を発表する予定だ。情報不足にいらだつ声が聞かれる。装置の取り換え工事には日数を要する。必要な情報を速やかに公開しなければならない。

他の免震装置事業者が不適合品を出荷していないのかも点検すべきだ。国土交通省は各事業者に報告を求めた。防災上の重要な設備である以上、国民の不安感が増さぬよう監督を強化していく必要がある。
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[毎日新聞] 日韓首脳の相互往来 ハードル下げて定例化を (2018年10月19日)

今年は日韓共同宣言20周年に当たることを踏まえ、日韓両政府が模索していた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の年内訪日が見送られそうだという。

安倍晋三首相と文大統領は昨年7月、両首脳が頻繁に往来する「シャトル外交」の再開で合意した。しかし、これまでに行き来したのは今年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪開会式と5月の日中韓首脳会談の2回のみにとどまる。単独訪問は一度もない。

シャトル外交は、日韓共同宣言にその趣旨が盛り込まれ、2004年7月に小泉純一郎首相が韓国・済州島を訪れたことで始まった。

日韓の間には常に歴史や領土問題などが横たわるものの、11年12月まで単独訪問の形での往来が続いた。 それから7年近くも途絶え、もはや、どちらが次に訪れる順番なのかすらあいまいになっている。歴史的にもつながりの深い隣国同士なのに、残念だ。

長く断絶しているのは、首脳往来そのものを国内政治と結びつけ、双方が外交的成果を求めようと過剰に意識するからだろう。とりわけ文大統領の前任である朴槿恵(パククネ)大統領は、慰安婦問題の進展を首脳会談開催の前提条件としたため、3年以上、会談ができなかった。

安倍、文両首脳はこの反省に立ったはずだったが、依然として国内世論や政治状況に左右されていることに変わりはない。

韓国政府は、慰安婦問題に関する日韓合意に基づき設立した「和解・癒やし財団」の解散を示唆する。日本の植民地時代の元徴用工による損害賠償請求訴訟は、年内にも韓国の最高裁による確定判決が予想され、国民感情の悪化が懸念される。そうなると、ますます訪問は難しくなるだろう。

今月11日に韓国であった国際観艦式をめぐっては、韓国側が自衛隊旗の旭日旗を掲げないよう求め、日本側が派遣を見送る事態に発展した。

それだけに、ハードルを低くし、首脳往来を定例化する時ではないか。違いがあるからこそ日常的に会い、信頼を深めた方がいい。北朝鮮問題での連携にもプラスに働く。

日韓両国の民間レベルの交流は拡大を続けている。政治指導者が先頭に立ってこそ、重層的な関係構築が可能となろう。
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