2018年01月22日

[東京新聞] カタルーニャ 第三の道探れないか (2018年01月22日)

スペイン北東部カタルーニャ自治州議会は独立派が過半数を占めたが、中央政府との対立収拾のめどは立たない。ドイツや英国は地域の声を政策に反映すべく模索する。スペインも倣ってはどうか。

州政府は、昨年十月の住民投票で独立支持派が過半数を占めたとして一方的に独立を宣言。中央政府は憲法違反だとして州の閣僚を全員解任し州議会を解散。先月、州議選が実施されたが、定数一三五のうち独立派が七十議席を獲得した。

ラホイ首相の国政与党、国民党は大幅に議席を減らした。独立派に対する中央政府の強権的な手法が反発を呼んだのだろう。

先週、選挙後初の議会が開かれたが、独立運動を主導し反逆罪などに問われた三議員が拘束され、プチデモン前州首相ら五議員がベルギーに逃れたまま。プチデモン氏はオンライン会議などで執務する構えだが、ラホイ首相は認めないと追い詰める。州首相が決まらなければ再選挙。同じ対立構図が繰り返されるだけだ。

実は他の欧州諸国も、中央と、独自の文化を持つ地域との関係づくりに腐心している。

ドイツの保守政権では南部バイエルン州の地域政党も加わって統一会派を結成、州の意向が国政に反映される仕組みになっている。目下難航する大連立交渉で対立点の一つになっている難民受け入れ上限設定はもともと、難民が多いバイエルンの地域政党の主張だ。

英国は欧州連合(EU)との離脱交渉で、北アイルランドと隣国アイルランドとの間の自由な往来でいったんは合意した。しかし、メイ政権に閣外協力する北アイルランドの地域政党が英国との一体性維持を主張したため、具体策は先送りした。アイルランドへの併合の賛否を巡る紛争で多くの犠牲者を出した歴史もあり、北アイルランドへの配慮は欠かせない。

カタルーニャ独立派も独立一辺倒ではなく、話し合いを求めようとする動きもある。州議選で独立反対派が第一党になったことにも留意すべきだ。

独立の動きが加速した背景にはカタルーニャ語の公用語化などをうたった自治憲章や徴税権が認められないなどの根強い不満がある。中央政府は対話を拒否するのではなく、州の声に耳を傾ける姿勢を示し妥協点を探るべきだろう。

ドイツ、英国の交渉のように手間と時間はかかるかもしれない。しかし、カタルーニャをつなぎ留める綱になるはずだ。
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[産経新聞] 【主張】イプシロン 宇宙産業を軌道に乗せよ (2018年01月22日)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型ロケット「イプシロン」3号機が、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所を飛び立ち、搭載したNECの地球観測衛星を予定の軌道に投入した。

2013年9月の初号機、16年12月の2号機に続く3機連続の成功で、JAXAが民間の商業衛星を打ち上げたのは今回が初めてである。

衛星打ち上げの国際市場への参入、日本の宇宙産業振興に向けた確かな一歩としたい。

イプシロンは、小惑星探査機「はやぶさ」(初代)などを打ち上げたM5ロケットの後継機にあたる。通信や地球観測などの分野で小型衛星の打ち上げ需要の増加が見込まれるとして、M5の廃止(06年)で一度は途絶えた固体燃料を使う小型ロケットを復活させたのだ。

打ち上げ市場への参入をにらんで低コスト、効率化を追求し、人工知能(AI)による機体点検の自動化やパソコンを使って少人数で打ち上げ作業を管理できる「モバイル管制」を実現した。

開発陣が「ロケットの世界に革命を起こす」と意気込んだ革新的な打ち上げシステムは、3機連続の成功で技術的にはほぼ実証されたといえる。3号機の打ち上げ費用は約45億円で主力の大型機「H2A」の半額以下。将来的には30億円までコストを低減し、国際競争力の強化を目指す。

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課題は打ち上げの実績である。味が良くても客の少ない食堂には新規の客が入りづらいように、技術は高くても成功回数が少ないと顧客をつかむのは難しい。

今後は年に1機程度の打ち上げとなる見通しだが、官需で打ち上げ回数を増やすのは財政的に困難である。衛星打ち上げをビジネスとして軌道に乗せるには、民需と外需をイプシロン運用の柱とする必要がある。

3号機が軌道投入したNECの衛星は経済産業省が開発費のうち164億円を補助した。国内企業に限らず新興国の衛星開発に協力するなど、需要をつかむためには一定の初期投資も必要だろう。

宇宙ビジネスの拡大を目指して制定された「宇宙活動法」が昨年11月に一部施行され、今秋には完全施行される予定だ。官民の両輪で宇宙産業の振興を図る。イプシロンはその牽引(けんいん)役を担うべきロケットなのである。
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[東京新聞] ひきこもり 親子の高年齢化が迫る (2018年01月22日)

子どものひきこもりが長期化し、親が高齢になった家庭が増えている。親の亡き後、生活に行き詰まることが懸念される。あまり時間がない。どうしたら支援できるのか、知恵を絞りたい。

ひきこもり問題は、個人や家庭で解決することは難しい。まずは「長期化・高年齢化」の実態を正確に把握し支援に結び付けたい。

「ひきこもり」は一九八九年ごろから言われだした。長らく子どもや若者だと考えられてきた。

だが、最近はそのまま中高年の年代になっている。親も高齢化している。親に介護が必要になったり収入が途絶えたりして親子で困窮する事態が起きている。

こうしたケースは「八十代の親と五十代の子」を意味する「8050問題」と呼ばれる。自分亡き後の子どもの将来を考えると、親の不安は尽きない。

政府はひきこもりを「半年以上にわたり自宅や部屋から出なかったり、趣味の用事や買い物で出かけるほかは外出しない人」と定義、二〇一五年の調査では、約五十四万人いると推計している。

しかし、この調査の対象は十五〜三十九歳だ。ひきこもり期間七年以上が約35%と最多だったことを考えると、四十歳以上の実態を知る必要がある。

政府は一八年度、四十〜五十九歳を対象にした初の実態調査を実施する。生活実態や抱える課題などを網羅的に把握してほしい。

ひきこもりの要因は多様だ。そこから抜け出すために単一の妙手があるわけではない。障害や病のある人、不登校から長期化する人、就職のつまずきや失業がきっかけとなる人もいる。最近は、非正規雇用の増加でキャリアを積めずに自尊心を傷つけられたりすることも要因と指摘されている。

社会に出られない苦しみは本人、家族だけでなく社会の損失でもある。政府は一五年に支援制度をつくり自治体の就労支援を促しているが、中高年向けは手薄だ。今後、支援の拡大が必要である。

ひきこもりの人は社会から孤立しがちだ。どうしたらいいのか当事者には分からない。

こうした家族の支援をする団体が活動を始めた。社会福祉士や司法書士らも加わる。本人の就労支援に加え、親へのカウンセリングや財産管理、住み替えなど直面する問題に幅広く相談に応じる。自治体だけでも支えきれない。民間の取り組みを自治体と連携して広げる対策が不可欠だろう。
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[産経新聞] 【主張】経団連の春闘指針 賃上げも人材への投資だ (2018年01月22日)

経団連が今年の春闘に向けた交渉指針で、「3%の賃上げは社会的な期待」と会員企業に前向きな検討を求めた。

着実な賃上げを通じて個人消費を活性化し、デフレ脱却を確かなものとしなければならない。

安倍晋三首相の要請に応じたもので、経団連が春闘で具体的な数値目標を掲げるのは異例である。

賃上げを社会的な期待として位置づけたことは歓迎する。大手企業の業績も好調に推移しており、積極的な賃上げで期待に応えてほしい。

手取り収入のアップを実感するには月給の増加が欠かせず、基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)が重要となる。日本経済の底上げを図るため、前向きな経営判断を下してもらいたい。

政府が経済界に賃上げを求める「官製春闘」は5度目となる。民間企業の賃金は労使交渉で決めることが原則である。だが、企業は内部留保をため込み続けており、政府が従業員への適切な還元を促すのは妥当だろう。

それでも賃上げ率は2%程度にとどまってきた。人件費の増加につながるベアの引き上げに、経営側が慎重な姿勢をみせてきたからだ。これに対し連合は定期昇給とベアでそれぞれ2%の賃上げを要求している。収益力が高まった企業は、業界横並びで賃上げ水準を決める慣行を脱してほしい。

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少子高齢化を背景に産業界では人手不足が深刻化している。企業が優秀な人材を確保するためにも待遇改善は不可欠である。確かな賃上げは、人材への投資につながる。子育て世代に対する手当を含め、手取り収入のアップに知恵を絞ってほしい。

働き方改革も今年の春闘の大きなテーマとなる。労働環境を改善する観点からも、長時間労働の是正は急務だ。だが、残業が減れば手取り収入も減るようでは、デフレ脱却に寄与しない。生産性が高まった分だけ賃金に配分するルールづくりが問われよう。

非正規社員の待遇改善も課題である。地域限定正社員制度の充実など、女性や高齢者を含めた多様な人材の活用が急がれる。

大手企業が確かな賃上げの流れをつくれば、被雇用者の7割が働く中堅・中小企業にも波及しやすくなる。取引条件の改善を通じ、中小の賃上げを後押しする姿勢を大手にも求めたい。
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[日経新聞] NHKは業務効率を高めよ (2018年01月22日)

NHKが2020年度までの経営計画を策定した。焦点だった受信料の一律引き下げは見送り、インターネットを活用したサービスの拡充や、4K・8Kと呼ぶ超高精細な放送に力を入れるという。

ネットを通じた動画配信サービスが普及するなど、視聴者が情報を手に入れる手段は大きく変わった。こうした変化に対応するのは理解できるが、業務が際限なく広がることには懸念を覚える。

NHKの事業収入は17年度に7118億円に達する見通しだ。5年前と比べると500億円あまり増え、さらに20年度は7300億円超まで増やす計画だ。

収入が増えても一律の引き下げを見送る理由として、石原進経営委員長は「一度値下げすると再値上げは難しい」ことを挙げた。

広く国民が支える公共放送の性格を考えると、業務効率を高めて負担は最小限にとどめるべきだ。資金が必要になったら改めて説明し理解を得るのが筋である。

NHKは4K・8K放送を始めるためにチャンネルを増やすが、事業を広げるだけでなく、重要性が薄れた業務は縮小すべきだ。職員の負担を減らし、番組の品質を保つためにも見直しは急務だ。

欧州では、英BBCがネットを活用したサービスの拡大にあわせてチャンネル数を減らした例などがある。NHKの上田良一会長は「チャンネル数も含め議論する必要がある」としており、検討を急ぐ必要がある。

視聴者が多様な情報を得られるようにするため、メディア企業の健全な競争環境を整える必要もある。NHKの蓄積した技術やコンテンツを民間企業に開放し、多様なサービスの提供につなげることなども検討課題になる。

NHKが本格開始を望んでいるテレビ番組のネットを通じた「常時同時配信」は、放送法の改正が前提になる。放送法が施行された1950年と現在では環境が大きく変わっている。本質的な議論を進め、時代に合った公共メディアの枠組みをつくる必要がある。
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[日経新聞] 米国の株高を支えるお金を生かす経営 (2018年01月22日)

2018年に入ってからも米株式相場が堅調に推移している。米経済の鏡ともいえるダウ工業株30種平均は史上初となる2万6000ドル台をつけた。

株価上昇を支える要因の一つは、業績好調な米企業が賃上げや雇用・投資増に動いていることにある。米企業のお金を生かす経営は、デフレ脱却を目指す日本の企業の参考にもなる。

米調査会社トムソン・ロイターによれば、17年10?12月期の米主要企業の利益は前年同期に比べて約10%伸びたもようだ。世界経済の拡大を映して、アナリストの事前予想を上回る好決算が例年より多いのが特徴だ。

人への投資を増やす企業も目立つようになった。金融のウェルズ・ファーゴや通信大手AT&Tは、従業員の賃金や報酬を増やす。小売業ウォルマート・ストアーズのマクミロン社長は「(経営の)根底にあるのは人の力」と述べ、賃上げや研修を通じた人材育成の重要性を強調した。

設備や研究開発に積極的にお金を投じる例も多い。米IT(情報技術)企業の代表であるアップルは、米国内の人工知能(AI)事業などに今後5年で300億ドルを投じる計画を表明した。

トランプ米大統領の税制改革によって米企業は法人税の負担が軽くなり、海外にためた余資を自国に還流しやすくなる。米企業がさまざまな投資の積み増しに動くのは、トランプ減税を経営基盤を充実させる好機と捉えているからと考えられる。

株主の力が強い米国は企業が目先の株主還元を重視しすぎるあまり、国内での人材や設備への投資が後手に回っているとの指摘があった。そんな米企業のお金の使い方が変わりつつあることに、もっと目を向けるべきだ。

経営基盤が強くなれば、長期の視点に立つ年金などの投資家の評価が高まる。お金を生かす経営は株主利益にも合う。

100兆円超の手元資金を持つ日本の上場企業も、人やモノに資金を投じる余力はおおいにある。株主への利益還元だけでなく、人材の確保や育成、研究開発の充実を投資家が求める構図は米国市場と共通している。

企業が起点となりお金の巡りを良くすることが、経済活性化の要諦である。日本企業は最高値圏の米株式市場から、そんなメッセージを読みとるべきだ。
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[毎日新聞] きょう通常国会がスタート 人口減少問題を忘れるな (2018年01月22日)

通常国会がきょうから始まる。

安倍晋三首相ら政権与党は新年度予算案の成立を急ぐとともに、時間外労働の上限規制などを盛り込んだ「働き方改革」の関連法案が主要な議題だと位置づけている。

同時に、首相や自民党執行部が早ければ今秋の国会発議を目指していると思われる憲法改正も、与野党で議論が具体化する見通しだ。

日本の将来を方向付ける可能性がある重要な国会である。

ただし、そんな中で忘れがちになっている宿題がある。

深刻な少子高齢化問題である。

昨年、私たちが「危機の社会保障」と題して社説シリーズで指摘してきたように、日本の人口の中で最も多い「団塊の世代」がすべて75歳以上になる2025年は目前だ。一方で少子化も進み、社会保障制度を支える現役世代側は細る一方だ。

文字通り「待ったなし」のテーマである。


与野党で協議する場を
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確かに安倍首相は昨秋の衆院選で少子高齢化を北朝鮮問題と並んで「国難」と訴えた。だが新年度予算案を見ると長期的な視野に立った対策を示しているようには見えない。

一般会計総額は6年連続で過去最大を更新して97兆円余。国と地方の借金残高は1100兆円を超す。

政府は少子高齢化対策として高等教育の無償化や介護職員の待遇改善を中心とした「2兆円パッケージ」を決定し、今後集中して予算配分するという。方向性は否定しないが、付け焼き刃の印象は拭えない。

当然、予算案をめぐる国会審議でも長期的な視点が不可欠となる。

例えば、「人生100年時代」を迎え、「病気を治す」から「生活を支える」医療に転換できないか。

あるいは介護が必要なのにサービスを受けられない「介護難民」が間もなく首都圏を中心にあふれてしまう事態に、どう対処するのか。

年金も含め、給付の抑制だけでは解決できず、国民の負担増が避けられないのは承知のはずなのに、今の政権は「安倍1強」の安定した政治基盤を持っていながら人気薄の政策には手をつけたがらない。

危機的状況を迎えているのは社会保障政策だけではない。

少子高齢化の先に待っているのは人口減少問題だ。今のままでは60年代には日本の人口は8000万人台に減るという。国の経済全体、自治体の運営、ひいては国造りそのものに及ぼす影響は計り知れない。

既に一部企業は深刻な人手不足に陥っている。だから「65歳定年」を見直すべきではないか。あるいは外国人労働者がきちんと働ける仕組みを考えるべきではないか……。これまで私たちが提起してきた通り、検討すべき対策はいくらでもある。

そこで提案がある。

人口減少問題に関し、特別委員会など国会に与野党協議の場を常設してはどうか。今年は衆院が解散され総選挙となる可能性は低そうだ。だからこそ与野党は対立を超え、腰を据えて長期課題に取り組む好機だとも考えるからだ。


首相の姿勢も問われる
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もちろん、通常国会では北朝鮮の核・ミサイル問題をはじめ、外交や安全保障も大きな課題となる。増額を続ける防衛費のあり方を議論することは、専守防衛とは何か、つまり憲法9条改正の議論とも密接に関係してくるだろう。

「森友」「加計」両学園の問題も疑惑の核心は依然として解明されていない。一件落着とはいかない。

論点はこれほどあるにもかかわらず、与党は野党の質問時間を削ったり、首相の委員会出席を減らしたりしようとしている。数で押し切ろうとする議論軽視の姿勢が一向に変わらないのは全く理解できない。

対する野党は、民進党と希望の党の統一会派構想が内部の反発で白紙に戻ったように、相変わらず内輪の混乱が続いている。野党各党は態勢を立て直し、まずは政府を厳しくチェックする姿を示すことだ。

そして、安倍政権が人口減少問題を先送りしようとするのなら、野党から具体策を提示して論戦を挑むべきだろう。

安倍首相も野党を敵視するだけでなく、国民にとっていい案であれば素直に評価して取り入れるべきである。改めて首相の器量が試されると言ってもいいだろう。

若い世代の未来を左右するテーマでもある。危機感を国民全体で共有して国会を見つめていきたい。
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[読売新聞] 商工中金改革 中小企業の支援強化を急げ (2018年01月22日)

全国に店舗網を持ち、中小企業取引を専門とする異色の金融機関だ。その意義を踏まえた再出発を急がねばならない。

大量の不正融資が発覚した商工組合中央金庫(商工中金)について、経済産業省の有識者会議が改革の提言をまとめた。

商工中金は、政府が5割近く出資する。金融危機時に公的補助を受けて資金融通する「危機対応融資」を悪用し、本来は対象にならない企業を経営難だと偽って融資額を積み上げていた。

提言は、危機対応融資の縮小とともに、他の金融機関が及び腰な新規事業者や、再生途上の企業などとの取引を今後の主軸にしていくべきだと強調した。

成長の芽があっても資金繰りに苦しむ事業者は多い。日本経済の底上げに欠かせない中小企業支援を手厚くする方向性は妥当だ。

融資候補の事業を見極める目利きの力を高め、有望企業の発掘に努める。全国規模のネットワークを活用し、多彩な業務提携の仲介に取り組む。こうした金融機能の強化が喫緊の課題である。

懸念されるのは、提言が、既定方針である完全民営化を4年後に判断するとして、事実上、先送りしていることだ。

商工中金は4年間を猶予期間とみてはなるまい。自立した金融機関として独自性を発揮していくためには、一日も早く新たな事業展開を進める必要がある。

危機対応融資は、2008年のリーマン・ショックや、11年の東日本大震災による倒産拡大を防ぐ「安全網」だった。不正融資は全100店舗のうち97店、総額2600億円に及んでいた。

公的資金を無駄遣いし、他の銀行の融資先を奪う民業圧迫をしていたことになる。危機対応融資の予算消化を優先する役所意識が働いていたとすれば本末転倒だ。

商工中金の次期社長には、みずほ銀行出身でプリンスホテル常務の関根正裕氏が3月に就任する。民間での知見を最大限に生かして迅速な再生を主導してほしい。

金融危機や震災時の中小企業対策としては、4月に国の信用保証制度が拡充される。一般の金融機関が保証を得て融資しやすくなるため、商工中金の危機対応に取って代わるとの見方がある。

危機対応融資の仕組みも今後、政府系金融機関の日本政策金融公庫などでの対応があり得る。

政府には、政府系金融機関全体で業務のあり方を再点検するとともに、非常時の資金供給に万全を期すことが求められる。
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[朝日新聞] 企業と人権 世界の動きに対応を (2018年01月22日)

企業が配慮するべき人権を広くとらえ、保護に努めるよう求める声が世界で広がっている。

自社やグループ企業はもちろん、原材料の調達から加工・製造、販売まで、取引全体に目配りする必要がある。従業員を大切にするだけでは不十分で、環境破壊も住民に対する人権侵害だ――そんな考え方である。

経団連も昨年、企業行動憲章を改定し、「人権の尊重」をうたう条文を新設した。だが、日本企業の動きは鈍い。批判をかわす守りの発想にとどまらず、積極的な姿勢を見せてほしい。

ビジネスと人権の関係については国連が11年、原則を打ち出し、各国政府の義務と企業の責任などを示した。

その2年後、バングラデシュで縫製工場が入ったビルが崩壊し、千人を超す犠牲者が出た。世界的な有名ブランドを支える下請け労働者の劣悪な環境が衝撃を与え、大手企業の責任を問う動きが本格化した。

人権と環境を結びつける流れが強まったのは、15年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)がきっかけだ。

17分野のうち企業にとって人権に直接かかわるのは働き方、ジェンダー平等などだが、気候変動や生態系・森林、水も人権に引きつけて考える。そうした視点は、SDGsがうたう「誰一人取り残さない」と重なる。

日本企業では、「ユニクロ」が昨年、アジア7カ国の縫製工場140余りを公表したことが注目されたが、背景にはNGOからの要求があった。花王は、製品の原料であるパーム油や紙・パルプへの配慮をはじめ、人権侵害がないか幅広く調べる姿勢が評価されているが、取り組みを加速させたきっかけは、やはりNGOからの批判だった。

今後企業に問われるのは、自らすすんで人権問題に向き合えるかどうかである。

どう取り組めばよいのか、戸惑う声は少なくない。そんな企業の一つだったANAは、まずは機内食の食材調達などわかりやすい課題に絞り、少しずつ広げていく方針という。参考になるのではないか。

企業を動かすのは、NGOだけではない。

農林水産分野をはじめ、NGOなどが人権や環境の観点から認証を与えた商品は着実に増えている。企業を環境と社会、社内統治の三面から評価し、資金の振り向け先を決める「ESG投資」をうたう投資信託も目立ってきた。

商品の購入や資金運用を通じて応援する企業を選ぶ。それが企業を変える原動力になる。
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NHK 公共性の議論をもっと

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[朝日新聞] NHK 公共性の議論をもっと (2018年01月22日)

NHKが18年度から3カ年の経営計画を発表した。放送に加え、ネット配信も活用した「公共メディアへの進化」を重点方針の第一にかかげる。

だが、華々しいアピールの陰で、視聴者が置き去りにされた感は否めない。

象徴的なのは、籾井(もみい)勝人前会長が提唱した受信料の値下げが見送られ、一部対象者への減免措置にとどまったことだ。事業収入は過去最高を更新中。毎年7千億円を大きく上回り、20年度の繰越金は600億円を超えるにもかかわらず、である。

理由としてNHKは、東京五輪に向けたスーパーハイビジョン(4K・8K)の設備投資などに巨費がかかることを挙げる。しかし、そうまでして超高精細な画像がなぜ必要なのか、丁寧な説明はない。「一度値下げすると値上げは難しい」という石原進経営委員長の発言は、世の中にどう受けとめられたか。自己都合が過ぎよう。

視聴者の視線は厳しさを増している。事実をゆがめた番組づくり、取材費の流用、受信料の着服など不祥事が相次ぐ。報道姿勢をめぐっても、政権との距離感を欠くとして公正さを疑う声は絶えない。いずれもNHKの存立にかかわる問題だ。

若者を中心にテレビ離れが進み、メディア環境が激変するなか、NHKの公共性とは何か、何が期待されているのか、突っ込んだ議論が必要だ。

受信料訴訟で政府が最高裁に出した意見書は、災害時などの情報提供を使命と位置づけたが、それにとどまるものではない。NHKには、社会全体に情報を届け、人々の知識や教養を底支えしてきた歴史がある。不確かな言説がネット上に飛びかういま、使命はますます重くなっているとの見方も強い。

だが、意欲的で優れた番組がある一方で、いい意味でのNHKらしさが薄れてきているのを危ぶむ声は少なくない。表向きは否定するが、現場からは「視聴率主義が強まっている」との嘆きがしきりに聞かれる。

民放の二番煎じのような安易な演出や、近年目に余る番組宣伝の多さは、NHKに対する信頼を深いところで傷つける。視聴率に結びつかなくても、多様な価値観をすくい上げ、人々のニーズにきめ細かく対応した放送がなされなければ、市民が受信料で支える意義はない。

上田良一会長は年頭あいさつで「NHKの公共性が問われる年」と述べた。その言葉通り、批判に真摯(しんし)に向き合い、社会との対話を深めることが、この巨大組織に求められている。
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